2020年5月23日土曜日

フランスのロックダウン解除後・クラスターが続々と発生している

Urne bureau de vote lors du premier tour des élections municipales dimanche 15 mars 2020


 昨日のニュースでは、ロックダウン解除後にフランス国内で、30件のクラスターの発生が確認されたと発表されていました。それが、翌日には、46件に跳ね上がっています。

 確認された感染源となった場所には、病院、学校、企業、食肉処理場、障害者施設、宗教コミュニティ施設などが挙げられています。フランスは、これらのクラスター発生の確認を「クラスターを少しでも多く発見できる事は、感染者を隔離することができ、感染拡大を抑えることができることに繋がる。」と、非常に前向きな受け止め方をしていますが、ロックダウン解除前に公言していた一週間に70万件のPCR検査も達成できていません。

 ということは、発表されているクラスターも、病院、学校、企業など、追跡できる範囲内での追跡可能な場所での数字が発表されているだけで、ロックダウン解除後に全国でいくつも起こっているデモや、ピクニックのためにサンマルタン運河やセーヌ川岸やサクレクール寺院やアンヴァリッドに集まった人の間で起こっているであろうクラスターは、追跡できていないので、現在、確認されているクラスターは、氷山の一角で、実際には、もっと多いと思われます。

 ロックダウン後の国民への対応は、細かくは、市町村ごとに、委ねられており、マスクの義務化なども、グリーンゾーンであるボルドーやニースなどは、公共交通機関だけでなく、街中での着用も義務付けられているのに、レッドゾーンであるイル・ド・フランス、パリなどでは、義務付けられてはいません。

 感染の蔓延がおさまらない状況での綱渡りの状態のロックダウン解除には、少なくとも、マスクくらいは、義務化すればいいものを、(フランス人は、義務化しなければ、マスクをどんどんしなくなってしまう。)ロックダウン解除からの開放感から、せっかく、ほとんどの各市町村が無料で配布しているマスクも、あまり意味をなしていません。つまり、どんどん、マスクをしない人が増えているのです。

 毎日の1日の死者数、重症患者数の発表もここのところ、減少してきているものの、発表される数字にもエラーが多く、明らかに政府も経済再開の方に重心が傾き、警戒が緩んでいると思わざるを得ません。

 そして、一ヶ月後のことになりますが、ロックダウンのために中断されていた全国統一地方選挙の第二ラウンドが、6月28日に行われることが決定しました。もちろん、感染状況が悪化していない場合という条件付きではありますが、多くの人が密閉状態に集まる選挙というクラスターになりうるリスクを取る決定を現在の段階ですることに、私は、甚だ疑問です。

 そもそも、その選挙の第一ラウンドは、ロックダウンになる2日前に行われており、その段階で、すでに政府は、2日後にロックダウンをする事は、決定していたわけで、選挙のタイミングから、ロックダウンを遅らせたのです。

 危険な状況である事は、わかりつつも(そのために投票率もフランスにしては、とても低かった)、ロックダウンになるほど深刻な状況とは知らなかった国民が選挙に行き、おそらく、多くの投票所でクラスターが起こってしまったことは、明白です。

 現在、感染状態が沈静化しつつあるように見える(とはいえ、現在も100人近くの人が毎日亡くなり、重症患者は、1700人以上もいるのです)のは、ロックダウンの効果によるものであり、逆にロックダウン解除後の結果は、フランスでの最初の感染が昨年の11月であったことを考えれば、感染が爆発するまでに3ヶ月以上が経過しており、ロックダウン解除の影響は、まだ、先にならないと見えない状況なのです。

 ロックダウンをして、せっかく感染が鎮まりつつあるのに、この際、せめて、選挙は、可能な人にはネット投票ができるようにするとか、革新的な対策を取らないのは、とても
残念です。

 フランスは、現在は、税金の申告等もほとんどネットで可能な状態になっており、ロックダウンになった途端に、政府から、国民、各自の携帯にロックダウンの情報が送られてくる国です。選挙がネットでできないはずは、ありません。ネットを利用できない人だけが投票に行くようにすれば、随分と危険は、軽減できるはずです。

 選挙における感染防止対策が、アルコールジェルの設置や投票に使うペンは、自分で持ってくること・・というだけなのは、どうにも情けないことです。

 

 

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