2020年3月31日火曜日

フランスのコロナウィルスのピークは、まだ、これから・・絶対に病気になれないパリ




 とうとう、フランスの1日の死者が400人を超えてしまいました。それでも、まだ、集中治療室での治療が必要な患者さんが、それを上回る人数で増え続け、現在、5107人(3月30日現在)が集中治療室に入っており、これまでに、3000人以上が亡くなっています。

 昨日、書いたように、イル・ド・フランス他、複数の地域では、病院は、すでに満床で、救急隊も、新しい患者の割り振りに、四苦八苦しています。

 単に感染しているだけでは、もはや、入院することはできず、自宅で隔離生活を送り、高熱を出して、呼吸が厳しい、かなり深刻な状況にならなければ、受け入れてもらえません。これは、悪循環で、医療がウイルスの勢いに付いていけずに、重症患者を増やしています。

 マスク不足は、当初から、叫ばれ続け、今日、中国から1000万枚のマスクが到着したことが、ニュースで、大々的に報道されるほどですが、しかし、実は、足りないのは、マスクだけではなく、呼吸器や集中治療室に必須の薬品類も十分な量がありません。

 高校の実験室に大きな機械を設置し、学生を動員して、消毒液を作ったりする様子は、まさに、戦時中の学徒動員です。

 海外からの到着を待ちきれない呼吸器を動物病院にあるものまでを供出させて使っているというニュースは、衝撃的でしたが、実際に、呼吸器としては、同じように機能するので、緊急を要する患者さんには、必要不可欠なもので、非常に厳しい状態だった15歳の少女が、その呼吸器のおかげで、助かり、退院したという例もあるそうです。

 呼吸器の注文も中国に頼っているようで、注文も時間毎に値段が上がり、届いたところが、ちゃんと機能しないという酷い事例も起きているようです。

 もはや、ジャーナリストも毎日、増加し続ける数字に、「ピークはいつでしょうか?」というフレーズを連発しています。残念ながら、こんなに悲惨な状況でも、まだ、感染者、重症患者、死者が増え続けているということは、ピークではなく、これから少なくとも、まだ、しばらくの間は、この悲惨な状況が続くということです。

 街の中は、静まりかえっていますが、医療現場は、まさに、医療崩壊というのは、こういう風に進んでいくのかを目の当たりにしているような、地獄絵図です。

 あまりに悲惨なニュースが続くせいか、最近は、ニュースの終わりに、短時間ですが、音楽の演奏が流されるようになりました。私も気が滅入るのですが、外で何が起こっているのかを知らずにはいられないので、ニュースは、夜だけ、見るようにしています。

 もう、絶対に、感染は、できない、他の病気にもなれない・・と、日々のニュースを見ながら、強く思うのです。

 引きこもり生活で、少し身体を動かさなければ・・と、YouTube を見ながら、エアロビクスをしたりするのですが、家の中で、縄跳びをして、骨折をした前科を持つ私は、骨折さえも、恐ろしく、ヨガやストレッチの方がいいかなぁ??などと思いながら、恐る恐る家の中で身体を動かしているのです。

 

 

2020年3月30日月曜日

フランスのロックダウンは遅すぎた コロナウィルスと戦う大移動作戦




 フランスでは、コロナウィルスの蔓延から、病院が飽和状態に達している地域から、まだ余裕のある地域の病院への、重篤な状態の患者さんの大移動が、始まっています。

 日々、300名近くの死亡者が出ている状態が続いていると同時に、新たに、集中治療室のケアが必要な重症患者がそれを上回る数字で増え続けています。(+359名/4362名/3月29日現在)

 移動する患者さんは、既に、かなり重篤な状態なので、人工呼吸器等の装置をつけた状態での移動ですから、大掛かりな装置とともに、スタッフが付き添っての救急車、TGV(新幹線)、場所によっては、軍のヘリコプターを使っての大移動ですから、かなり、物々しい大掛かりな大移動です。

 日曜日は、3箇所の飽和状態の地域からのドイツなどの海外を含む大移動となりました。中でも、もっとも、被害者を多く出している Grand Est グランエスト(フランス北東部の地方で既にその地方だけで750名以上の死者が出ている)から36名の重症患者が、医療装置を備えられたTGVで、Poitier ポアチエ (フランス西部にある地方)や Bordeaux ボルドー(フランス南西部の中心的な都市)へ移送されています。

 現在は、それでも、まだ、移送できる地域が残っているので、まだ、大掛かりであろうが、移送も可能ですが、このまま、重篤な患者が増え続ければ、さらに悲惨な状況に陥るのは、明白です。

 このロックダウンの効果が現れ始め、感染者(特に重症患者)が、なんとか減り始めるまでに、この状態をなんとか、持ちこたえなければなりません。

 残念ながら、フランスは、ロックダウンのタイミングが遅かったと考えざるを得ません。そして、あまりにも国民が甘く見て、アジアの特殊な病気だろうと言わんばかりに、コロナウィルスを舐めていました。

 日頃からの衛生観念の欠如と生活習慣や、大人しく警戒に従わないという国民性もありますが、今から振り返って考えれば、もう少し、早いタイミングで、警戒して、ロックダウンをしていれば、ここまでの悲惨な状況には、なっていなかったと思います。

 フランス人は、従順な規律正しい人たちではありませんから、ロックダウンをしない限り、ウィルスの蔓延は防げなかったと思います。本当にギリギリまで、まるで、自分たちだけは、感染しないとでも思っているとばかりに、油断していました。

 もはや、フランスでは、感染しただけでは、入院できないのです。

 自分たちに火の粉が降りかからなければ、なかなか実感としてわからない、わかりたくないのが心情ですが、今や世界中に広がる惨状を見れば、自分だけは、大丈夫ということは、もはや、あり得ないことが、世界中が証明しているのです。

 日本は、衛生観念も優れた、規律正しい人の多い国です。ロックダウンにならなくとも、一人一人が注意して行動すれば、なんとか、この危機を乗り越えることができるかもしれません。経済がストップしてしまうことも深刻ですが、自粛ができない人が後を立たないならば、一刻も早く、外出禁止の措置を取るべきです。

 私の祖国である日本が、フランスのような、惨状に陥らないように、これ以上の感染者を広げることのないように、心から祈っています。

 

 

 

 

2020年3月29日日曜日

イル・ド・フランスの病院は、コロナウィルスのために飽和状態

          
厚生省の画像


 フランスのフィリップ首相は、前日の外出禁止延長(4月15日迄)の発表に続いて、昨日も、今後のコロナウィルス対策について、さらに詳しく政府の対応を説明しました。

 それもこれも、感染者はもちろんのこと、重篤な患者の数が増え続け、死亡者も毎日、300人以上(これまでに2314名・3月28日現在)という状態が続いていることによる、国民の不安への対応でもあります。

 事態は、非常に厳しい事態ではあるが、政府は、全力で対応しているということ、特に、医療用品(マスク、呼吸器等)の調達について、(海外への十分な数の注文をし、続々とそれらが届く予定になっているということ)また、今後のPCR検査の実施について、4月、5月と長期的な計画で、その検査数を増やしていくということ、また、最も深刻な重篤な患者のための集中治療室の確保を国内の比較的、余裕のある地域だけでなく、海外のフランス領にも用意することを発表しました。

 2月には、5000床であったフランスの集中治療室のベッドは、3月には10000床にまで増加しましたが、4月には14000〜14500床までに増やすことを目標と発表しています。しかも、フランス国内だけでなく、フランス領とはいえ、海外にまでというのです。

 というのも、イル・ド・フランス(パリを中心とするフランスの中心都市の地域)の病院は、すでに飽和状態で、すでに満床状態以上で、他に容易に動かせない、緊急を要するにも関わらず、受け入れ先もない重篤な患者は、病院の廊下で酸素に繋がれて夜を明かすという深刻な状況に陥っているのです。

 このウィルスの怖さは、病状が悪化(特に息苦しさを訴え始めてから)が、驚くほど早く重篤な状態になることで、迅速な対応をしなければ、致命的な状態に陥ってしまう点なのです。

 そして、ここまでの急な展開に、満足なスタッフの数も、マスクも医療器具もギリギリの状態で働いている医療従事者自身も疲弊し、感染するケースも出てきているのです。

 現在でも、すでに、ドイツやルクセンブルクなどのヨーロッパの他国が幾らかの重篤な患者を引き受けてくれたりしていますが、残念ながら、それでも亡くなってしまう方も出ています。

 ですから、現在、フランスのテレビでは、厚生省が時間毎にコロナウィルスに対する呼びかけのコマーシャルも流しています。

「もしも、咳が出たり、熱が出たりしたら、家にいてください。他人との接触を避けてください。そして、あなたのかかりつけのお医者さんに電話で相談してください。通常は、病状は、数日、安静にしていることで回復します。しかし、もし、呼吸が苦しくなったり、息切れがするような、深刻な病状が出てきた場合は、すぐに☎️15に電話してください。」

 咳が出たり、熱が出たりしたら・・医者にかかりなさい!ではなく、家にいてください・・というところで、ズッコケそうなところですが、これが、現在のフランスの状況なのです。咳が出たり、熱が出たりしても、まず、かかりつけの医者に電話して、相談してください・・というところから、現在の混乱状態、フランスの医療の飽和状態、危機的状態を示しています。

 


2020年3月28日土曜日

4月15日まで延長されたフランスのコロナウィルス外出禁止 

     Image


 フランスのコロナウィルスのための外出禁止の期間が4月15日までに延長されました。現在のフランスの状況から考えると、当然で、この報道を聞いて、驚いた人は、おそらくいないと思います。

 私は、4月15日までの外出禁止・・を聞いて、「えっ??それだけなの??」と思ったくらいです。まあ、少なくとも4月15日までと、言っているので、更なる延長も確実だと私は、思っています。

 それくらい、今のフランスの状況は、深刻で、死者が2000人に迫り、日々、重症患者が増え続けている、先の見えない、悲惨な状況なのです。

 昨日は、これまでで、最年少の16歳の、何の既往症も持っていなかった、ごくごく普通の生活を送っていた少女が、咳から始まり、あっという間に一週間で亡くなってしまったという事例まで、起こり、衝撃的なニュースとして、報道されました。

 当初、若年者は、致命的なことにはならないと言われていたのは、全くの間違いだったと言わざるを得ません。

 現在、フランスでは、3787人(3月27日現在)が集中治療室に入っていると発表されており、その多くは、70才以上でありながら、42人は、30歳以下という状況なのです。

 これまで、ほとんどが高齢者、もしくは、既往症のある人がほとんどであった死亡者、もしくは、重症患者が日々、若年層のごくごく健康に生活していた人々にまで及んでいるのです。

 今、フランスは、そうして亡くなった人も、感染の危険回避のために、最期の時に、家族と面会することもできず、お葬式さえできない状況で、ご遺族の方々の心痛は、計り知れません。

 そんな中、ここのところ、フランスで、一気に注目されているのは、マルセイユの大学病院で、感染症専門医として研究を続ける Prof.DIDIER RAOULT(ディディエ・ラウルト教授)が、マラリアの治療薬であるCHLOROQUINE(クロロキン)の投与がコロナウィルスの治療に一定の成果をあげたことを発表し、一躍、希望の光、スターのように取り上げられています。

 私がこのニュースに「えっ??」と思ったのは、「クロロキン」という名前に聞き覚えがあったからです。思い起こしてみれば、アフリカ(コートジボアール)にいた際に、マラリアの予防薬として、主人も服用していたことがあったからです。

 しかし、一般的には、まだ、クロロキンのコロナウィルスへの効用は、その投与のタイミングや、患者の容態にもより、効用、有効性がしっかりと確認できていないことから、クロロキンの増産を決定しながらも、その使用には慎重な態度を取っています。

 今やフランスでは、ニュースに必ず登場すると言ってもいいラウルト教授。68歳という年齢ながら、金髪(白髪?)を肩まで伸ばし、口髭、あご髭を蓄えながら、赤いギンガムチェックのシャツに赤い腕時計をした様相の、見るからに、変わり者の彼が、世界を救ってくれるのを皆が祈るように見守っているのです。

 クロロキンの製造元であるフランスの製薬会社サノフィ(フランス在住の方には、Doliprane(ドリプラン)の会社と言えば、誰もがご存知だと思います。)は、30万人分のクロロキンをフランス政府に贈与すると発表しています。

 
 






















2020年3月27日金曜日

フランスのコロナウィルス医療従事者の悲痛な叫び

        Image


 一昨日、マクロン大統領がミュルーズの軍の設置する野営病院を訪問し、夜、テレビを通じて、国民に向けて、コロナウィルスの対応に疲弊している医療を中心とした支援のため、軍を動員する方針を発表しました。

 実際に、この時代に、フランスに野営病院という映像も十分にショッキングですが、酸素吸入器や医療機器の設置されたTGVが用意され、重篤な患者が移送され、薬品や患者が国内、あるいは、国を超えて行き来する様子にも、言いようもない気持ちにさせられます。

 フランスの高級ブランドのLVMHは、香水の工場で、消毒用ジェルを作り、サンローランでは、マスクの生産を始めました。これをコロナウィルスとの戦争というならば、まさに、LVMHもサンローランも軍事工場のようです。

 それでも、増え続ける感染者の対応にあたる医療従事者用に充分なマスクや防護服は足りておらず、この危険なウィルスの最前線で、毎日、時間超過で働く医療従事者は、「これ以上危険にさらされるなら、もう働けない!」と、ストライキが一部の病院では、起こっています。
(マスクの不足で危険を訴えているのは、外出規制の検問に当たって、犠牲者も出ている警察官からも声が上がっています。)

 それにも関わらず、マスクの盗難は、止まないのです。

 足りないのは、マスクや防護服だけではなく、医療機器、医療用ベッドなどの生産もギリギリの生産体制で、臨んでいますが、部品の一部は、通常は、イタリアから輸入しているため、在庫切れで、生産が追いつかない状態だという工場もあります。

 そして、最も大変なのは、医療従事者の不足と、病床の不足です。特に、集中治療室の需要が急激に増えている中、残念ながら、亡くなってしまった人の病床は、すぐに次の人で埋まり、受け入れが不可能で、他の病院へ回されるという現状に、第一線で働く医者も、「もしも、自分の親がコロナウィルスにかかったら、他の遠い国に送る。」というほどに、第一線の現場は、緊迫しており、政府関係者の発言とは、温度差が感じられます。

 その上、当初は、アジア人差別だったコロナウィルス差別が、心ない人から、医療従事者がまるで、ウィルスを街中に持ち込むような人のような扱いを受けるという信じられない現象もおきています。

 まさに、命がけで、医療にあたっている人に夜8時には、市民が窓辺から拍手を送っているという美談と同時に、現場では、街では、悲惨なことが起こっているのです。

 テレビのそんな悲惨なニュースの合間に流される、見慣れたパリの街は、からっぽで、ひたすらに静かで、あちこち、歩いているのは、警官だけです。そんな静かで、やたらと美しく感じられるパリの街には、悲惨な医療現場の様子の気配も見えないのが、余計に悲しく感じられるのです。

 

2020年3月26日木曜日

コロナウィルスによるロックダウンは、別の混乱も生み始めた・・




 コロナウィルスが拡大し続ける中、フランスは、何よりも人命優先で、感染の拡大を防ぐために、いわゆる「ロックダウン」の状態にあります。

 来週は、交通機関もさらに縮小され、シャルルドゴール空港は、ターミナルもわずかとなり、オルリー空港(主に国内線やヨーロッパ便)は閉鎖という局面から、駆け込み移動でバタバタ。

「とにかく、家にいろ!」と外出禁止を強いられて、街には、警察が巡回し、外出の際にも外出許可の用紙を持ち歩き、検問に合った時に備えています。

 やたらとうるさい地域では、アパートの外にちょっとだけゴミを捨てに行った際に、「外出許可の用紙を持っていない!」と135ユーロを取られたとか、買い物に行く道すがら、ちょっと知り合いに会って、間隔を取りつつ、少し話していたら、「話をするんじゃない!」と怒られたとか、体を動かすために散歩(時間制限と距離制限がある)に出たら、「立ち止まるな!」と怒鳴られたとかいう話を耳にします。

 入ったことはありませんが、刑務所みたいだなと思います。

 どうやら、私の友人たちからの情報では、自転車で出かけると、検問で、止められる場合が多いそうです。(自ずと移動距離が広がることもあるかもしれません。)

 そうやって、検問にあったからと言って、「ハイ、すいませんでした。」と引き下がらないのが、フランス人で、大声で怒鳴り合いの口論になっている場合も少なくないようです。その怒鳴り合いの方がよっぽど、飛沫感染しそうな感じですが・・。

 もはや、そうして、少しでも罰金を稼ごうとしているような感じにも受け取れてしまいますが、どちらも、異常な事態にイライラしていることだけは、間違いありません。

 そうして、再度、違反とされた場合は、1500ユーロ、3回以上、止められると、3700ユーロ(約45万円)の罰金の上に、投獄されるという厳しい法令。フランスでは、簡単な窃盗などでは、なかなか投獄にまで至らないのに、どれだけ、この外出禁止を徹底させようとしているのかがうかがえるものだと思っていました。

 ところが、ここへ来て、刑務所内での感染を恐れて、すでに留置されている受刑者5000人を釈放することになったとか。

 テロリストや、凶悪殺人犯などは、除外とされてはいますが、これは、コロナウィルスとは、別の意味での恐怖が街に放たれることになります。

 もともと、フランスでは、生半可なことでは、投獄されないのですから、その人たちを釈放というのは、それはまた、別の意味での恐怖です。

 投獄するとか、釈放するとか、こうして、厳戒令の中、社会は、別の混乱も生んでいくのか・・と、ますます外出するのが怖くなっているのです。

 日毎、コロナウィルスによる死者が200人、300人、400人と増えているフランス。この混乱は、まだまだ、収まりそうにありません。

 日本のテレビなどを見ると、ロックダウンなどという状況が、「想像もつかない!」と言っていますが、私だって、こんな状況は、全く想像つかなかったです。まさか、フランスで、こんな事態が起こるなんて・・。
 でも、フランスだけでなく、世界中で起こっているのです。

 せめて、日本は、何とか持ちこたえて、こんな状態に陥らないようにと、心から祈るばかりです。

 

 

2020年3月25日水曜日

コロナウィルス被害で、日本へ帰る人、帰らない人、帰れない人、それぞれの決断




 コロナウィルスがヨーロッパで、これだけ蔓延してしまった今、日本への帰国は、既に、容易なことではなくなってしまいました。

 当然ではありますが、今、フランス(ヨーロッパ)から、日本に入国するのには、空港でのチェックに加えて、空港からの公共交通機関利用の禁止、ならびに2週間の自宅待機、あるいは、ホテルでの監禁生活が義務付けられています。ですから、家に帰るのにも、家族に空港まで車で迎えに来てもらうか、レンタカーを借りて、帰らなければなりません。

 しかし、来週からは、JAL、ANA、エアフランスともにパリ発の日本への直行便は、欠航となってしまうため、また、フランスでも、さらなる外出禁止の延長が確実視されているため、駆け込みで帰国しようとする人も多いようです。

 特に留学生などは、学校閉鎖に伴い、奨学金等も打ち切りになってしまう人もいるようで、まさに、折角の限られた留学期間を泣く泣く帰国せざるを得ないのは、本当に残念なことでしょう。

 しかし、ご両親にとったら、ここまで、危険と騒がれている国(実際に危険な状態であると思いますが・・)に、学校も閉鎖されている今(しかも、学校再開の見通しも当分つきそうもない・・)、まったく、フランスに残る必要もなく、1日も早く日本に帰ってきてほしいと思うのは、当然のことだと思います。

 私が、もしも、日本に住んでいて、フランスに娘が一人でいるとしたら、さぞかし心配で、「日本に帰ってきなさい!」と言っていたと思います。

 私には、もう両親もなく、逆に、もしも、自分が感染していたらと思うと、周囲の人をはじめ、日本の人に迷惑をかけたくないので、今は、パリで引きこもり生活をしている方が良いと思うのです。

 しかも、私には、猫もいるので、置き去りには、できないし、此の期に及んで、一緒に連れて帰るために、予防接種等を受けさせたり、猫用の書類を集めることもできないので、日本への帰国は、考えていません。

 たまたま、私は、先月、日本に帰国しており、2月の末にパリに戻ってきました。一年ぶりの帰国で、久しぶりに友人や親戚にも会うことができて、美味しいものもたくさん食べて、山ほどの日本食を持って、まさに、ギリギリのタイミング?でした。

 パリに帰ってくるのが、もう少し遅い予定を組んでいたら、日本から、ヨーロッパの悲惨な状況の報道を見て、もしかしたら、「このまま、日本に留まって、もう日本で暮らそうか・・」とか、考えていたかもしれません。

 人生は、少しのタイミングの差で、思ってもみない別れ道に遭遇することもあるのだと思っています。

 まさか、フランスから日本に帰るのがこんなに大変な日が来るとは、夢にも思っていませんでした。日本へ帰る人、帰らない人、それぞれに事情があり、どちらにしても、苦渋の選択をしていると思います。その全ての人々が、この苦難を乗り越えられますように。

 1日も早く、このウィルス騒ぎが終息し、気軽に日本と行き来できる生活になる日が来ることを祈っています。



2020年3月24日火曜日

コロナウィルスに対する各国首脳のスピーチ




 ヨーロッパ(フランス)に居を移して、もう20年以上になりますが、私は、滅多に、フランスを褒めることは、ありません。日常の生活でも、日本なら当たり前にスムーズに行くことが、いちいちすんなりとは行かず、不便なこと、不快なことが当たり前です。

 コロナウィルスの蔓延にしても、周囲からの警笛に耳を貸さない市民が、いつまでも予防をせず、ロクに手も洗わず、マスクもせず、大勢の人が集まる場所を避けずに、外出禁止令が出るギリギリまでデモで騒いでいたことも、爆発的な感染に繋がった要因になっているとも思っています。

 ただ、コトが非常事態になってからの政府の対応、マクロン大統領の毅然としたスピーチや対応は、なかなかなものだと、感じています。若いのに頼もしいな・・と。

 外出禁止令を発表した際の彼のスピーチは、落ち着いて、理路整然と、また毅然としたものであり、まっすぐ目を見据えて、自分たちの置かれている危機を「これは戦争である」という言葉を使って真摯に訴え、外出規制をせざるを得ないこと、また、同時に、それに伴う社会保障を約束しました。

 外出禁止令から、一週間が経ち、それでも、その規制を守らない市民のために、規制は、さらに厳しくなっているものの、この規則を守りたがらないフランス人が大方、おとなしくしているのも、社会保障の約束がされていることによります。

 また、ドイツのメルケル首相のスピーチも、さらに見事なものでした。

 私は、ドイツ語は、わからないので、訳されたものを読んだだけですが、印象的だったのは、「ドイツには、この危機を乗り越えるために必要なものを投入できる能力がある国であり、それを実行すると断言して、国民を安心させたこと」、そして、さらに印象的だったのは、スピーチの中の「開かれた民主主義に必要なのは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、そして、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。」という部分でした。

 そして、民主主義社会は、強制ではなく、知識の共有と協力によるもので、皆が思いやりを持って、力を合わせることでしか乗り越えられないという彼女を通じての言葉は、彼女自身の温度が伝わるものでした。

 日本は、規律のある、皆が勤勉に働く、安全で、清潔で美しい国ですが、国のトップにこのような真摯な、説得力のある、体温を感じられるようなスピーチを期待できるでしょうか?

 メルケル首相が仰っていた「政治的決断を透明にし、説明して、私たちの行動の根拠をできる限り示して理解を得られるようにすること」は、何よりも国民を納得させ、意識を強固にするために何より大切なことのように思います。

 現在の日本は、まだ、ヨーロッパのような深刻な状況にはなっていないものの、充分に危険を孕んでいる状態です。権限の範囲に違いはあるにせよ、もっと、説得力のある発言するべきところを、いつまでも、ただ、「自粛要請」などとしか言わず、色々なことに関しても、不透明なことが多すぎて、あまりにも、情けなく感じます。

 もしも、日本に、ヨーロッパのような危機が訪れた場合、果たして日本のトップが、マクロン大統領やメルケル首相のような、説得力のあるスピーチができるのかは、大いに不安を感じるところです。

 非常事態ほど、その国の本質が現れるものだと、今、私は、実感しています。

 

 












2020年3月23日月曜日

コロナウィルス外出禁止から1週間のフランスの変化




 コロナウィルスによる外出禁止の戒厳令状態になって、1週間が経とうとしていますが、状況は、日々、変化しています。

 フランスは、これまでに死者が674人出ており、昨日から、1日で、112人も増え、さらに一日経って、200人近く増え、現在は、860人となっています。重篤な患者は、余裕のある地方の病院に、軍の飛行機で移送されたり、新たな、テントを立てて、病室のような施設を作ったりと、緊急の対応に追われています。

 こんな状況の中で、必死でマクロン大統領が、「とにかく家にいろ!」と、繰り返し訴えているにも関わらず、91824人の人が、罰金を払っている状況です。ここまでの状況になって、罰金が課せられるとわかりながら、こんなにたくさんの人が外出していることには、驚きです。

 そんな、状況を深刻に考えているフランス政府は、さらに、外出禁止に関する処罰に投獄が追加しました。1回目の違反は、罰金135ユーロ、15日以内に再度の違反の場合は、1500ユーロに増加、3回目以上のルール違反は、犯罪と見なされ、6ヶ月の投獄と3700ユーロの罰金で処罰されることになりました。

 日常のフランスでは、生半可なことでは、投獄という措置は、なかなかない中、事態の深刻さが読み取れます。

 だいたい、フランス人というのは、規則に従うということを、とても苦痛に感じる人々なのです。


 数日前に、書留を届けてくれた郵便配達の人も、アパートの階下まで、書留を受け取りに行くと、距離を置いて、手渡しをしてくれ、「サインは、自分が代理でするけど、良いですか?」と、懸命に、人との接触を避けていました。

 フランスでは、マスク不足が深刻な状態で、限られたマスクは、軍の管理下にあり、医療従事者を優先に配布されており、しかも、そのマスクが盗まれたりしているため、このような状況の中でも、働いてくださる郵便配達員の人には、マスクはなく、それに反発する職員が増え、とうとう、郵便配達も滞る状態になってしまいました。

 その後の書留は、不在通知が入れられていただけで、受け取る事はできず、(在宅にも関わらず、不在通知が入れられている事は、普通の日常でもパリではよくあることではありますが・・)、今は、受け取りに出かけることもできずに、困っています。

 毎晩、夜、8時には、医療従事者を始め、この状況の中で働いてくださる方々に感謝の意を込めて、ベランダや窓から、拍手を送ることが広まり、日々、その拍手は、大きくなっています。

 始めは、なんとなく違和感があった私も、昨夜は、かなり大きな拍手になっていたので、ベランダに出てみると、感謝というよりも、家に缶詰になっている人々の不思議な連帯感のような励まし合いのような雰囲気があり、意味合いが変わってきている感は、あるものの、こんな分かち合いの時間も悪くないかもしれないなとも思いました。

 私は、普段、あまりテレビを見ないのですが、やはり、フランスの状況を知っておかなければと思い、夜のニュースを見る習慣がつき、内容は、ほぼ、コロナウィルスの現状ばかりですが、やはり、オンタイムの生のニュースで現場のお医者様などのお話もあったりするので、見逃せない気持ちです。

 昨日は、「とにかく、検査、検査、検査、フランスは、この道を行きます。」と前日に厚生大臣から発表があったとおりに、さっそく、ドライブスルーのような検査が開始された模様が報道されていました。

 私は、買い貯めたままになっていた本を読んだり、野菜の種を撒いたり、ネットを覗いたり、1日1日は、あっという間に過ぎていきます。

 日頃から、ストックのストックがないと気になるくらい、備蓄をしている我が家は、食料の買い足しなしにも、おそらく、数ヶ月は、持ちこたえられるくらい食料もあり、運動不足もYouTubeなどで、動画を見ながら身体を動かしたりと、あまり、不便もありません。

 ネットのおかげで、友人や家族とも連絡が取れるし、これが、インターネットのある時代で、本当に良かったと、つくづく思っています。

 しかし、海外で生活をしていて、こんな状況もなかなかないわけで、そんな時に感じることや、考えることも、なかなか貴重だなと、そんな風にも考えています。

 何より、ご機嫌なのは、猫のポニョで、私がどこにも行かないので、どこか、満足げに悠々としています。

 当初は、最低でも15日間と言われていた、この外出できない生活、この調子だと、さらに延長されるのではないかと感じています。

 













2020年3月22日日曜日

在外邦人は、コロナウィルス対策への日本の状況を心配している




 フランス(ヨーロッパ)のコロナウィルスの事態は、日々、刻々と変わっています。イタリアでは、すでに医療崩壊を起こし、既に発症元の中国の死者数を上回っているので、イタリアの状態ばかりが報道されていますが、それは、イタリアに限ったことではありません。

 フランスとて、15000人近くの人が感染し、600人近い人が亡くなっています。つい、先週までは、黄色いベスト運動のデモが止まずにいたことや、フランス人の意識の低さを考えれば、致し方ないことかもしれません。

 外出禁止の措置が取られてもなお、従わない人が後を経たず、警察、軍、ついには、ドローンまで使っての監視が始まっています。

 当初は、若者には、脅威ではないと言われていたコロナウィルスも、若者でさえ、重篤な状態になりうることもわかっており、とにかく、いつまでたっても、外出禁止が徹底せず、市民の危機感の薄さに、マクロン大統領も、「とにかく、家にいろ!」と、必死で訴えています。

 そんな状況から、外出の縛りは、どんどん、キツくなっています。

 テレビ等の報道でも、パリの集中治療室の最前線で戦っている医師が、「この24時間で、集中治療室に入る患者が急増し、人工呼吸器が必要な重篤な患者が35%にも増えている。歩いてやってきた患者が2時間後には、集中治療室に入っている。事はかなり深刻だ。このウィルスは、最悪だ。だが、これは現実だ!外出をやめなさい!事の重大さは、あなたの想像を超えている!」と訴えています。

 米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウィルスの感染者が世界全体で28万人を超え、3日間で約8万人が上積みされ、世界各地で、増加ペースが加速している実態が明らかになり、世界の死者は、1万1千人を超えました。

 日本は、これまで、高度な医療システムや、日頃からの衛生観念の高い、生活習慣や真面目な性格から、オーバーシュート(爆発的な感染)には、至っていません。

 しかし、このヨーロッパの(世界の)状況を目の当たりにしている在外邦人の多くは、逆に、日本にいる家族(特に高齢の両親)を心配しています。

 ここ数日の連休の日本の様子の映像を見ていると、オリンピックの聖火を東日本大震災の被災3県で巡回展示する催しに5万人以上が集まったとか、伊勢神宮や鎌倉の観光客が戻ってきているとか、テーマパークが再開したとか・・お花見気分でピクニックをする様子など、信じられない光景ばかりが目につきます。

 コロナウィルスのハッキリとした性質も解明されていない今、事態を舐めてはいけません。日本(東京)のように密集度が高い上に高齢化社会で、しかも、初期から感染者が出ていたことを考えれば、もうイタリア以上になっていてもおかしくないのに、重症化したり、亡くなった人が少ないという事は、そんなに酷くないと考えるのもわからないではありません。

 しかし、これまでも大丈夫だったから、これからも大丈夫だろうとの思い込み、日本なら、大丈夫だろうという過信は禁物です。オーバーシュートは、突然、起こるのです。

 本当に日本は、大丈夫なのだろうか? 世界の状況に比べて、あまりに緩い日本の状況を見ると、温度差を感じ、不安を感じます。

 人ごとではない状況ながら、コロナウィルスによる危機的状況を実感している海外に住む日本人は、日本の状況を心配しています。

 



2020年3月21日土曜日

世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき





 「復興五輪」を掲げる東京オリンピックで、聖火は東日本大震災の被災地に到着し、此の期に及んで、まだ、オリンピックを開催するか否かで、喧々諤々としながらも、26日からは、日本国内の聖火リレーが行われるといいます。

 この時代に、海外からのニュースが入らないわけはなく、今やコロナウィルス(COVID-19)の蔓延は、世界規模になり、ヨーロッパをはじめ、世界の様々な国が、国を閉鎖しているというのに、予定どおりに東京オリンピックの開催の姿勢を崩さず、オリンピックの話題が横行している日本の状況は、本当に恥ずかしいです。

 オリンピックの開催国としては、致し方ないこともあるかもしれませんが、フランス(ヨーロッパ)では、オリンピックの話など、誰もしていません。

 それどころではないからです。

 オリンピックは、世界の祭典であり、日本人だけが参加するわけではありません。
この世界の状況で、オリンピックを予定どおりの期日で迎えることが、不可能であることは、明白です。
 
 コロナウィルス対策にせよ、オリンピックにせよ、国のトップである人が、「慎重な対応を求める」などという曖昧な言葉ではなく、毅然とした態度で、国民に向けて説明できないことが、日本をまるで、違う惑星のような状況にしています。

 もとより、その清潔さ、安全さなどから、まるで、違う惑星のように感じを受けることもありますが、今回、私が感じている「違う惑星」というのは、世界の潮流からズレているということです。

 それもこれも、国のトップがしっかりと国民をリードしていれば、本来、日本人は、自制心が強く、他への思いやりもあり、衛生観念も優れ、規則はしっかりと守る国民なので、このような世界に恥じるような状況には、陥ることはないはずです。

 日本のマスコミは、明らかに偏っていますから、自らが海外のニュースにも積極的に目を向け、何が今、世界で起こっているのか? 何が本当なのか? 今、何が必要なのかを自分で見定めなければなりません。

 ここへ来て、コロナウィルスへの警戒が緩んでいる日本を心配しています。


<関連>
「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html

 

 

2020年3月20日金曜日

フランスのコロナウィルスのための外出禁止による二次災害




 新型コロナウィルスの感染が急激に広がっているヨーロッパでは、最も深刻なイタリアに続き、フランス、スペイン、オーストリア、ベルギーなどの国で不要不急の外出禁止令が敢行され、各国の人口の合計で外出禁止対象者は、2億人に上ります。

 フランスでは、違反者には、最大135€(約16000円)の罰金が課されることになっていますが、にも関わらず、外出証明書を持っていればいいだろうと言わんばかりに、外出する人が後を絶ちません。

 あるフランス人の女性の医療従事者は、テレビ局のインタビューに対して、「私たちが、必死でウィルスの蔓延を阻止しようと命がけで、働いているのに、(私の同僚は、妊婦であるにも関わらず、働いている!)外出する人が後を絶たないのは、許しがたいことだ! 今は、バカンスではないのだ! どうか、外出を控えてほしい!」と強く、訴えていました。

 また、こんな状況の中でも、それを逆手にとり、警官を装って、罰金を取ろうとする詐欺や、所持品検査を装って、財布から現金やクレジットカードを抜き取ろうとする盗難、防疫官を称する者が自宅に入ってきて、貴重品を奪われるなどの被害も出始めています。

(現在、フランスにおいての罰金徴収方法には、その場で現金で支払うことはありません。)

 そして、今やフランスでは、軍の管理下となっているマスクは、軍の手によって、各病院に配布されていますが、その病院において、そのマスクの転売のための盗難事件までもが起こっているのです。そんな盗難のせいで、命がけで、医療に当たっている人に充分なマスクが行き渡っていないのです。

 マクロン大統領が仰っている「ウィルスとの戦争」は、本来ならば、味方同士であるはずの人々の中でも、混乱を起こしています。

 また、事実上、軟禁状態にある人々の中で、さらに深刻な状況なのが、DV被害に遭っている人々です。ただでさえ、外出できずに、精神的な均衡を保つのが難しい状況で、DVが日常的に起こっている家庭での惨状は、察するに余りあります。

 ただでさえ、表面化しにくいDVは、この状況下では、さらに深刻化する懸念があります。このような事態を予測して、政府も外出禁止状況でのDVからの救済も呼びかけています。@gouvernementFR

 先日、ドイツのメルケル首相は、国民に向けて訴えていました。

「私たちの誰もが同じように、ウィルスにかかる可能性があります。今、誰もが皆、協力する必要があります。まず、第一の協力は、今日、何が重要なのかについて、真剣に考えることです。パニックに陥らず、自分には、関係がないなどとは、一瞬たりとも考えないことです。この戦いが、どれだけ他の人への思いありのある行動にかかっているか、どれだけ、私たちが力を合わせて行動することで、自分たち自身を守ることができるかということでもあります。」

 
 フランスは、このメルケル首相の演説の内容を肝に銘じる必要があります。

 コロナウィルスだけではなく、二次災害までが蔓延することのないように、祈るばかりです。


<関連>
「フランスでコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

 










 




2020年3月19日木曜日

フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由




 当初、日本の方が危うかったコロナウィルスの蔓延が、一気に日本を上回り、ヨーロッパ(フランス)で蔓延したのは、なぜでしょうか? 

 当時、日本には、ダイヤモンド・プリンセスの対応で世界中の批判が殺到したものの、現在の状況は、ヨーロッパの方が危機的状況を迎えています。

 比較的気温が低く、乾燥している気候も原因の一つであると思います。

 フランスでも先週、木曜日にマクロン大統領からの、コロナウィルスに関する詳細な説明等の注意勧告の声明の発表があり、週末には、買いだめに走る人でごった返したにも関わらず、屋外とはいえ、土曜日には、感情的になり、興奮状態の黄色いベスト運動のデモが行われ、日曜日には、マルシェがいつもどおりに開き、大勢の人でごった返し、公園では、たくさんの人で賑わっていました。

 先週の木曜日の声明で、充分に、外出禁止のような気分になっていた私には、信じられない光景でした。はっきり言って、「この人たちは、バカなんだろうか?」と思いました。

 一昨日、再度、マクロン大統領からの声明では、「私たちは、今、ウィルスとの戦争状態にある!」と何度も繰り返し、更なる厳しい外出制限・外出禁止が発表されました。

 日本がヨーロッパのような蔓延には、至っていないのは、日本の優れた医療制度によるものも大きいかもしれませんが、私は、その国民性や文化に大きな理由があると思っています。

 日本は、とにかく清潔な国です。フランスから日本へ帰ると、慣れ親しんだ国ながら、毎度のように、空港のきれいなことに眩しいような気持ちにさせられます。きれいというのは、単に綺麗なばかりではなく、清潔という意味でもあります。

 日本の空港は、トイレでさえもピカピカで、フランスの公衆トイレを見慣れている私にとっては、眩しいほどです。フランスの公衆トイレは、ウォシュレットはおろか、便座さえないトイレが多いのです。駅のトイレに至っては、(場所によっては、駅自体)悪臭を放つほどです。

 それに比べて、日本は、常日頃から、テレビをつければ、健康に関する情報が常に流され、毎日、入浴し、除菌・抗菌と常に身の回りを清潔に保ち、少々、度が過ぎるとさえ感じていたほどです。

 衛生観念がヨーロッパの人とは、全く比べものにならないほど違うのです。

 また、挨拶するたびにビズ(お互いに頰を合わせる)したり、握手をしたりする習慣も関係あるでしょう。

 そして、何よりも大きいのは、日本人の真面目さです。人の言うことに従順に従う日本人の真面目さは、時に、ヨーロッパでは、バカにされることもありますが、こうした非常時には、とても重要なことです。

 フランスでは、コロナウィルスに対して、騒ぐだけ騒いで、実際の現実的な対応は、緩慢で、ついに、レストランやカフェが閉店されるという日の午前0時に大勢の人が集まって、その瞬間を楽しむような輩までいて、なぜ、閉店することになっているのかが、理解できない人で溢れていました。

 外出禁止になった今でさえ、パリのマルシェには、食料品の買い物なら、外出許可証さえ持ち歩けばいいんだろうと言わんばかりの日頃と変わりない人出の多さに、取り締まる警官でさえ、為す術もない感じでした。

 自分が感染するリスクは、自業自得ですが、もしかしたら、発症していないだけで、すでに自分が感染していて、他人に感染を広げる可能性だってあるのです。

 この意識の低さ、衛生観念の低さがフランス(ヨーロッパ)の現状を生んでいると私は、思うのです。

 今、私は、フランスにいて、改めて、思うのです。

 日本人の真面目さ、清潔さ、衛生観念、周囲の人を思いやる意識の高さは、とても、素晴らしいことなのだと・・。



<関連>
「コロナウィルスにも屈しないフランス人のデモ・ストライキ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_4.html

「フランスの駅のトイレの先進国とは信じ難い臭さ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_27.html

 

2020年3月18日水曜日

フランスのコロナウィルス対策・非常事態宣言 外出禁止・フランスのロックダウン


Image



  一昨日の夜のマクロン大統領の非常事態宣言から、開けた翌日、その日の正午には、フランス全土で外出を禁止するという日の朝のスーパーマーケットは、開店前からのまさかの大行列でした。

 もうすでに数日前から、連日、買いだめに走る人で、開店早々のスーパーマーケットは、商品がないのか、間に合わないのか、早々に陳列棚は、空だらけの状態で、それでも、少しでも買い置きをしておこうという人で、いっぱいでした。

 日本と違って、日頃、マスクをする習慣のないフランス人の中で、ほんの1週間ほど前までは、マスクをしていると、逆に、「あの人は、感染しているのではないか?」と怪訝な顔をされましたが、フランス人の中にもマスクをしている人が見られ始め、(それでも、ちらほらという程度ですが・・)、もはや、マスクをしていて怪訝そうな顔をされることもなくなりました。

 ここ数日の間に、外務省、日本大使館からは、何通ものコロナウィルスに関する情報が届いていましたが、今回は、フランス政府から、携帯に「外出禁止」、「止むを得ない外出の際は、外出証明書を必ず携帯する旨」のSMSが、私の携帯にも送られてきました。
 https://www.gouvernement.fr/

 私は、正直、私のような外国人の末端の人間に対しても、きっちりと一斉にメッセージを送ってくることと、一体、どこから、私の携帯番号がわかったのかということに驚いたのです。思い当たることと言えば、税金の申告の書類くらいでしょうか?

 少々、不可解ではありますが、この非常時に、この発信力は、スゴいなと思いました。

 かくして、今後、しばらくの間は、移動中の証明書なしには、外出できない状態になり、たとえ、やむなく仕事に行く場合は、移動中の証明書に加えて、出勤証明書を所持していなければ、罰則、罰金まで課せられるという徹底ぶりなのです。
https://mobile.interieur.gouv.fr/fr/Actualites/L-actu-du-Ministere/Attestation-de-deplacement-derogatoire 




 この封鎖には、10万人の警察官や憲兵が動員されています。

 例外として、認められている、最低限の食料品・医薬品の買い物や、医者に通うことの他に、犬の散歩(付き添い一人のみ)などが含まれているのも、フランスらしいなと感じます。

 幼稚園から大学に至るまで、すでに学校は、全て休校になっているので、パリに住む人も、別荘を持っている人など、また、持っていない人は、借りてまでも、パリを脱出する人も多く、また、一人暮らしの学生などは、実家に帰ることを促されています。

 そのため、地方行きのTGV(新幹線)などは、帰省する人のラッシュで、これまた、感染には、明らかにリスキーと思われるほどの大混雑。
https://twitter.com/thaljazzy/status/1239941243569872896

 ここ一両日中には、大移動も済み、街は、ゴーストタウンのようになることでしょう。

 いみじくも、マクロン大統領が、「我々は、コロナウィルスとの戦争状態にある。」と発表していたとおりに、街には、軍用車が通り、まさに戦争のような光景に、ホンモノの戦争を知らない私のようなものでも、ウィルスという見えない敵と戦う戦争のような気がしてきます。

 フランスのLVMH社は、ゲランの香水の工場で水性アルコールジェルを製造し、病院に無料配布を行うそうです。

 長い人生には、色々なことがありますが、まさかのこのような状況、しかも、海外で・・。しかしながら、できることをする以外は、あとは、深刻になりすぎても精神衛生上、良くないので、もとより、家にいることが、好きな私にとっては、どこか、緊張感を感じつつも、今のところは、あまり負担にも感じていません。

 今週は、お天気も良さそうなので、自宅のアパートの小さなベランダで、土を耕して、日本から買ってきた野菜の種を少しずつ撒こうと思っています。








 
















2020年3月17日火曜日

フランス人の買いだめは止まらない フランスの外出禁止令



週が明けて、月曜日になって、少しは、落ち着いたかと思い、近所のカルフールへ行きました。土曜日には、商品の棚はカスカスになっていましたので、朝、開店と同時だと、いつもの調子だと、まだ、品物が出しきれていないと思い、わざと、開店1時間後くらいに行ったのですが、これがまさかの、もの凄い人出。

 店内に向かう途中も、これまでは見かけなかったマスクをしている人も、ちらほら見かけられるようになり、店内は、まさかの大混雑。相変わらずの買いだめモードは、止まらないどころか、さらに拍車がかかっている様子で、どのカートにも山盛りの商品が詰め込まれ、相変わらずの大人気(?)のトイレットペーパーやパスタやパンが品薄のためか、まさかの大きなじゃがいもの袋までが山積みに・・。



 フランス人は、お金がなくなると、日頃、「じゃがいもを食べて過ごすしかないな・・」などと、冗談のように言いますが、まさに危機的状態の食べ物は、じゃがいもなのです。


 以前に、カルフールで、朝、店員さんに「私たちは、朝番で、4時から働いている・」という話を聞いたことがあり、「朝4時から働いてるのに、なんで、商品が出しきれていないの?」と思いましたが、今日は、従業員も気合が入っているのか、いつになく、キビキビと働いていて、私は、こっそり、「やればできるじゃん!」と思っていました。

 こんなにキビキビ働くカルフールの従業員を見たのは、初めてです。

 お客さんの方も、心なしか、皆、歩く速度が早く、どこか、焦っている感じが伝わってきます。

 レジにも、1メートルの間隔を開けて並んでくださいという張り紙がしてあり、(これは、誰も守っていませんでした・・というより、守れないくらいの混雑ぶり・・)店員もタートルネックを伸ばして、口に塞いで、お客さんに対応していました。


 これだけの人が仕事には、行かずに買いだめに、必死になっている様子を目の当たりにすると、嫌でも危機感を煽られる気がしてきます。

 きっと、買い物に来ていた人々も同じように感じていることでしょう。この焦りのような危機感の連鎖がパニック状態にならないことを祈るような気持ちです。

 とうとう、マクロン大統領からのさらに厳しい外出制限の声明が発表されました。先週、木曜日の発表では、徹底しきれなかった人々の外出、マルシェでの人混み、公園での結構な数の人出等に関しても苦言がありました。

 食料品の買い出し、医者、どうしても避けられない仕事以外の外出が禁止となった今、次なる課題は、このスーパーマーケットの混雑への対応を何とかする必要があるかもしれません。

2020年3月16日月曜日

コロナウィルス対策のためのフランスの学校閉鎖




 今週から、フランスの全ての学校(保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学)は、閉校となります。

 娘が小さい頃に学校から、風邪をうつされてきて、鼻をぐずぐずしていたり、ちょっと咳をしていたりすると、それは、たちまち娘を通じてパワーアップされて、私を襲いかかり、娘は、鼻がグズグズしていたりする程度で、あっという間に完治したにも関わらず、娘よりも、体力的に衰えている私には、あっという間にヒドい風邪となって襲いかかって、私は、寝込む寸前の状態になり、それでも仕事は休めずに、ふらふらになりながら、通勤するという目に遭ったりしていました。

 今回の学校閉鎖も、たとえ、子供がコロナウィルスに感染しても、発症する可能性が低くとも、他の人に感染を拡大させるという意味があるのだと思っています。

 フランスでは、小学生以下の児童を保護者なしに放置することは、厳しく禁じられていますので、仕事を持つ親にとっては、大変な負担となるのは、明白です。ましてや、フランスは、専業主婦の割合が極端に低く、ほとんどの女性が働いているので、なおさらのことです。

 今回は、仕事をしている場合もできる限りのリモートワークが勧められており、また、仕事に行けない場合の社会保障もあるようなので、鼻からしばらくの休業状態を決め込んんでいる人も多く、その社会保障に該当しない人でも、医者に頼んで、ドクターストップの書類を用意し、有給状態で仕事に出なくてもすむ方法を取り始めているようです。

 以前、ストライキで学校が一ヶ月近く閉校になり、だからといって、仕事を休むわけにもいかず、途方に暮れたことがありました。その時は、単なる?ストライキでしたから、社会保障は、何もなく、慌てて探し出したフランス語も教えてくれるという女性を頼んだら、大変な出費になった上、その女性が、主人を誘惑しようとするとんでもない女性だったりしたこともありました。(注1)

 そんなことに懲りて、娘は、ストライキのない私立の学校へ入れたのですが、今回ばかりは、公立であれ、私立であれ、全ての学校は、休校です。休校といっても、その間のネット授業や宿題等は、用意されているようですが、毎日の、キャンティーン(給食)での食事の代わりに、各家庭で用意しなければならない子供達の昼食だけでも、大変な負担になります。

 スーパーのパスタやパスタソースなどが軒並み売り切れになっていましたが、さしずめ、今週からのフランスの子供達は、いつもの何倍もの量のパスタを食べることになることでしょう。

 こんな犠牲を払ってまで行う学校閉鎖をよそに、フランスでは、未だ行われているデモや、今日も大勢の人で賑わっているマルシェなどの人混みに、フランス人の意識の低さを感じずにいられません。





(注1)関連ブログ
「主人を誘惑しようとしたフランス人の女性の話」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_20.html


















2020年3月15日日曜日

コロナウィルスがみるみる変えていくフランスの景色





 私は、先月、2週間ほど、日本に一時帰国をしていました。すでに、コロナウィルスの感染騒ぎが始まっており、特に、クルーズ船内での感染者の拡大が問題になっていて、日本は、アジアがその拠点とされている中、なかなかの注目を集めており、日本からフランスに帰国する際には、フランスに入国させてもらえるか、心配したほどでした。

 そしてフランスに帰国して、2週間、みるみる事情は、変わってしまいました。

 もはや、フランスからどこか別の国に行くことの方が難しいような状況になってしまいました。

 騒いで、アジア人を避けたり、マスクや消毒薬が手に入らなくなっているわりには、街中には、マスクをしている人は、あまり見当たらないなぁ・・と思っていましたが、ついに、数日前にマクロン大統領から、来週から、全ての学校が閉校となることが発表され、いよいよ、本格的にコロナウィルス対策が始まった感がありました。

 マクロン大統領の声明のあった前日に買い物に行った際も、すでに、備蓄モードの買い物をする人が目立っていましたが、この週末の世間の買い物の様子は、もう備蓄モード全開で、近所のかなり大型のスーパーマーケットの陳列棚(特に食料品)は、のきなみガラガラで、あれだけ大規模なスーパーマーケットの食料品がこんなにガラガラになっている様子は、ちょっと、それだけで危機感を煽るような感じを受けるものです。
 (特にパスタやパスタソースのコーナーの売り切れ状態は、圧巻でした。)

 しかしながら、この週末の世間の買いだめモードは、容易に想像できたはずで、スーパーマーケット側もそれを見越して、仕入れを拡大するなどの対策が万全でないところも、さすがにフランスだと感じることも事実です。

 日本のスーパーやコンビニなどは、日常から、天候や世間の動き、もしくは、テレビ番組の内容に沿って、仕入れの量や内容を工夫して対応していることを考えれば、この状況で、このタイミングで、陳列棚を空にしてしまうような仕入れの仕方は、フランスならではと思ってしまうのです。

 そんな食料品の買い出しに走っている人も大勢いる中、信じられないことに、まだ、黄色いベスト運動のデモも続いており、いつもよりは、多少、マスクをしている人が見受けられたものの、結構な規模で騒いでいる人々のウィルス感染への意識が到底、理解できません。

 そんな中、ついに、フランス政府からは、さらに、ステージ3への引き上げが発表され、15日深夜0時から、レストラン、カフェ、映画館等が閉鎖されることになり、都市間の移動、人との接触を避け、会合は制限し、公共交通機関は、職場に物理的に存在することが、必須で職場に向かう際のみ利用することとされています。

 食料品、薬局、ガソリンスタンド、銀行等の生活に必須のものを扱う店舗は、閉まることは、ありませんが、また、さらに街の景色が変わっていくように感じています。

 こんなことなら、しばらく、日本に留まっていた方が良かったかも・・と、思わないでもありませんが、やはり生活の基盤をフランスに置いている以上、準備なしに、日本にい続けることも、どこか落ち着かず、長期間、フランスを留守にすることも、容易ではありません。

 幸いにも、今は、日本から持ってきている食料品もたくさんあり、家での籠城生活もそんなに苦ではありません。冷静に、状況を見極め、静かに生活を送っていこうと思っています。
































2020年3月14日土曜日

フランスにホワイトデーはない





 先日、日本に一時帰国をした際には、ちょうど、バレンタインデーにぶつかって、本当に久しぶりに、日本のバレンタインの様子を目にしました。

 私が学生の頃から、日本には、バレンタインデーがありましたが、私が就職した頃から、バレンタインデーは、どんどん拡大し、義理チョコ、友チョコ・・などというものまで登場し、会社でも、何やら結構な数のチョコレートをばらまく羽目になりました。

 私が、日本で最初に就職した会社の部署は、以前にも書いたように(注1)、理系の専門分野においては、至極、優秀な人たちの集まっている、ちょっと浮世離れした人が多い部署だったので、バレンタイン当日、チョコレートを渡しても、バレンタインデーというものを知らずに、「誰かの海外出張のお土産??」などと言われることもあったりしましたが、中には、以前に、同じ部署にいて、研究所に異動になった、時々、飲みに行ったりしていたおじさんから、飲み仲間の女の子みんなに、「チョコレートを社内便で送って! みんな別々の便で!」などと頼まれることもあったりして、現在の職場の人にチョコレートの数を自慢したいらしく、なんとも、いいおじさんになっても、可愛いなぁと思ったりしました。

 フランスに来てからは、バレンタインは、日本のように、義理チョコ、友チョコなどと、やたらめったらチョコレートを配り歩くということもなく、必ずしも女性から男性に送るというものでもなく、バレンタインデーの意味合いも少々、違ったりして、我が家では、逆に主人が花束を買ってきてくれたりするので、すっかり、日本のようなバレンタインの慣わし?を、正直、忘れていました。

 それが、久しぶりのバレンタインのタイミングでの帰国で、相変わらず、というか、すっかり、お歳暮やお中元のライトバージョンのように、周囲が、チョコレートを買い集めている様子を見て、また、出かければ、デパートや駅ビルなどでも、チョコレートフェアのようなものをやっていて、すっかり、この行事が日本独特なものになって定着していることを思いました。

 もともと、儀礼的な贈り物の習慣のある日本ですから、わからないでもありません。

 3月は、バレンタインのお返しをするホワイトデー。

 フランスでは、バレンタインでさえ、日本のようなプレゼントの仕方でもなし、そのお返しとされているホワイトデーもないのです。

 もともとは、商売上手な日本の製菓会社が考えたという「ホワイトデー」、フランスには、浸透しそうにありません。




(注1)
「理系の人間がまともな日常生活を送れない話 その1 娘が理系の道に進んで・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post.html





















 

2020年3月13日金曜日

コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと


Image

 マクロン大統領が夜8時から、テレビでお話することは、前日の午後に、事前に発表されていました。

 事前の予告どおりに、コロナウィルス対策に関するお話は、約30分間にわたって、きっちり、放送されました。
 きっと、もの凄い高視聴率だったと思います。普段、テレビをあまり見ない私でさえ、見ましたから・・。

 フランスは、来週の月曜日から、保育園、小学校、中学校、高校、大学と全て、当面の間、閉校となることになりました。学校を閉校とするのは、たとえ、症状が現れていなくても、若者から、感染が広まりやすいということは、科学的見地からも明らかなことだからだそうです。

 そして、70歳以上の年長の人、持病のある人、障害のある人には、可能な限り、自宅にいてほしい、また、仕事をしている人も、可能な限り、リモートワーク、あるいは、人との距離をおいてほしい。石鹸で手を洗うこと、挨拶のビズー(頰を合わせる)をしないことなど、基本的な感染回避の方法の説明が続きます。

 また、全フランスの国立病院、医療システムは、全力で、力を合わせて、これに臨み、全ての医療従事者は、もちろんのこと、引退して間もない人や学生までをも動員し、また、ヨーロッパとしての連携を保ちながら、この危機に臨みますという意気込みと体制について・・。

 この間に、仕事をすることができない場合の社会保障について・・。

 とにかく、30分間、淀むことなく、噛むこともなく、きっちりとカメラ目線でしっかりと訴えかけるように、何よりも最優先されることは、健康なのだ、みんなで力を合わせて冷静に立ち向かいましょう!と話す様子は、説得力があり、とても、頼もしく感じられました。

 ついつい、日本の首相も、こんな風に、国民に対して、きっちりと具体的に話をしてくれたらいいのに・・・と、思ってしまうのは、私だけでしょうか? 

 用意された原稿を恥ずかしげもなく、読み上げるような声明の発表には、何の説得力もありません。

 日頃は、私は、日本人であることに誇りを持っていますし、日本は、素晴らしい国だと思っていますが、こと、政治家に関しては、このような放送を見るたびに、日本は恥ずかしいなと思います。

 フランスの大統領は、お話がとても上手です。フランスだったら、このような機会に原稿を読み上げるようなことは、ありえないことですし、もし、あったとしたら、大スキャンダル、即刻、大統領失格の烙印を押されることと思います。

 このような、世界的な危機的状況下で、国のリーダーが国民の前で、堂々と、しっかりと話をしてくれることは、とても大切なことだと思います。

 とはいえ、コロナウィルスの感染拡大が加速しているフランス・ヨーロッパ。

 とうとう、アメリカからも入国拒否の宣告を受け、学校は閉校になり、観光客も、いなくなり、危機的状況に突入してしまいました。

 テロの後は、デモ・ストライキ、デモが治まらないうちに、パンデミック・・。

 ここ数年、フランスは、危機的状況が続いていて、平和な時が訪れるのは、いつになるのでしょうか?

 早く、この騒ぎが終息してくれることを心から祈っています。

 Vive la République, vive la France !!


 

 









 

2020年3月12日木曜日

フランス人の買いだめと、コロナウィルス騒ぎの中、どこか漂う緊張感



買いだめの典型とも思えるトイレットペーパー、小麦粉、パン、クラッカーなどを買い込んでいるカート


 フランスでは、何やら、ヤバそうな気配が漂い始め、きっと、週末には、混雑するだろうから、今日のうちにでも、少し、買い物をしておこうと、スーパーマーケットへ行きました。

 すると、平日の中途半端な時間ながら、結構な人出で、しかも、買いだめ・ストックであろう買い物の人がほとんどで、フランス人にも、コロナウィルスの危機感がいよいよ高まってきている事を感じます。

 どのカートにも、共通するトイレットペーパーの大きなパッケージ、明らかに備蓄と思われるような、小麦粉、パン、パスタ、クラッカー、水、サラミなどの保存できる食品などを淡々と買い込んでいます。

 トイレットペーパーだけをひたすらに買い込むというような買い方は、していませんし、最低限の生活必需品をある程度、とりあえず、少しずつ買いだめしているといった印象で、パニック状態になっているようには、感じられないところが、救いです。

 買い込むものが、日本ならば、さしずめお米だったりするだろうところが、パンや小麦粉やパスタやクラッカーだったりするところが、改めて、フランスは、小麦の文化なんだなぁ・・と妙なところに感心したりもします。

 平日のスーパーマーケットで、これだけの人出というのは、クリスマス前の時期のようですが、さすがに、クリスマス前のようなウキウキした感じはまるでなく、みな、淡々ととりあえずの買い物をこなしているといった感じです。

 今週末などは、きっと凄い人出になるのだろうと思いながら、私もどこか、重苦しい気分でセルフレジへ行くと、いつも顔を合わせる店員さんが、明るく、「ボンジュール!サバ(元気)?」と声をかけてくれて、なんだか、日常と変わらない様子でいてくれることに、とてもホッとした気分でした。

 フランス人の店員さんは、概して、愛想がなく、感じが悪いのですが、顔見知りになると、これまた、人が変わったように、親しみを表現してくれて、明るく声をかけてくれるところもフランスならではです。

 今朝も、起きて、外から、パトカーだか、救急車だかのサイレンがしばらく聞こえていたら、なんとなく、いつも以上に、不安な気持ちになっている自分に、落ち着いているつもりではいても、どこか、気持ちの中に緊迫感・緊張感を持っているのだなぁと感じます。

 とりわけ、感情を激しやすいフランス人ですから、ひとたび、本格的なパニック状態になった時には、いくばくかとコロナウィルスよりも、フランス人がパニック状態になった時のことを心配している私なのです。











2020年3月11日水曜日

海外での出生届の提出 大使館もところ変われば・・さまざまで・・




 私が娘の出生届を出したのは、コートジボアールの首都、アビジャンにある日本大使館でした。当時、コートジボアールの日本大使館は、アビジャンの中心地にあるビルの中の一室にあり、薄暗くて、閉鎖的で、おまけに、防犯上なのか、応対してくれる大使館員の人の顔が見えないように、スモークガラスが貼ってあり、はっきり言って、感じ悪いことこの上ありませんでした。

 行ったことはありませんが、刑務所の面会でさえ、相手の顔は、見えるだろうに・・と思ったものです。

 その上、コートジボアールでの日本人の出生届など、滅多に受け付けることがないためなのか、慣れていない様子で、応対もおぼつかないものでした。

「そりゃーそーでしょーよ! アビジャンでお産する日本人なんて、おそらく何十年に一人でしょーよ!」と心の中で毒づきながらも、フランス人の主人ではなく、日本人の私、本人からしか受け付けないと言われたことに、憤慨していたのでした。

 出生届には、提出期限があるために、産後間もないにも関わらず、大使館に出向くだけでも大変なのに、その上、再三、先方の揃えた書類に不備があり、度々、出向かなくてはならず、挙げ句の果てに、名前のローマ字表記について、「日本の外務省に問い合わせます。」と言われて、数日間、待たされ、私の方も初めてのことで、おぼつかないところを、不明瞭な対応が続いたために、私も不安と怒りが爆発し、最終的に提出する際には、書記官の人に、「たしかに、これで、間違いがありません。」ということを書面で一筆書いてもらったほどです。(後になって、面倒なことになっては、いけないと思ったのです。)

 それでも、日本大使館よりも、もっと凄かったのは、出生証明書を出してもらいに行った(こっちの方は、主人が行ってくれましたが・・)現地の市役所で、相手が外国人だから、これは、ボレると思われたのか?「出生証明書を出して欲しいなら、カラーテレビを一台持って来い!」と言われたとか・・・。

 もちろん、そんなものは、持って行きませんでしたが、書類は、すんなりとは済まずに、間違いが多く、こちらも数度にわたり、訂正をしてもらわなくてはならずに、本当に閉口しました。

 それから、数ヶ月後にパリに引っ越した時に、パリの日本大使館に出向いた時には、あまりに明るく、綺麗で、すんなりと事が進むことに、同じ日本大使館でもこんなに違うものだと感激したものです。

 日本大使館でも、国によって、ずいぶんと違うものなのです。

 












2020年3月10日火曜日

フランス・欧州におけるコロナウィルス対応




 在留邦人向けに、外務省から、「欧州における新型コロナウィルスに関する注意喚起」が、送られてきました。

 イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、スイス等を始めとする欧州において、新型コロナウィルス感染症の新規感染者が多数報告され、件数も増加しており、感染も地理的に拡大の傾向にあるので、感染の可能性に注意し、最新情報を入手し、感染予防に努めるようにとのこと。

 特に、イタリアの一部の地域は、感染症危険レベルが高く、スイス、スペイン、ドイツ、フランスも危険レベル1が発出されています。

 3月8日付の各国政府の発表によれば、スイス、スペイン、ドイツ、フランスにおける新型コロナウィルスの感染症例数は、
 スイス:281例(うち死亡2例)
 スペイン:589例(うち死亡17例)
 ドイツ:902例(うち死亡0例)
 フランス:1126例(うち死亡19例)
と、なっています。

 感染症例が7000人を超える勢いのイタリアを除くと、フランスでの感染症例が多いのも、私は、わからないでもない気がしているのです。

 中国から発症し、当初、日本に停泊していたクルーズ船で多くの感染者が出たことなどから、アジア人を回避しさえすれば、感染しないとでも思っていたような節もあり、やたらとアジア人が避けられたり、差別されるといった話が聞こえてきました。

 街中から、マスクや消毒用のジェルなどが売り切れたり、トイレットペーパーやパスタの買い占めに走ったりしているわりには、街中でマスクをしている人は、あまり、見当たらず、5000人以上、人が集まる集会などは、禁止されているにもかかわらす、先週末にも、年末から続いている年金改革反対のデモがけっこうな規模で行われたり、マラソン大会が予定どおり行われたり、はたまた、奇をてらったのかもしれませんが、パリでは、物騒な事件が起きています。

 「人との接触は、出来るだけ、控えましょう!」との呼びかけにもかかわらず、91%の人は、まだビズ(挨拶がわりに頰を合わせる)をし続け、75%の人は、まだ握手をし続けているといいます。

 まるで、コロナウィルスは、フランス人だけでいる分には、感染しないと思っているとしか思えないような理解不能な状況なのです。

 ヨーロッパでは、感染者数が爆発的に増加している地域を封鎖されたはずのイタリア北部の人は、北イタリアから逃れようと、パニック状態になっているといいます。

 ヨーロッパは、陸続きですから、感染しだしたら、街を封鎖しようと、身勝手な行動に走り、人々が逃げ出すなど、感染が蔓延するのは、目に見えています。

 WHO(世界保健機構)も、「パンデミック(世界的な感染の流行)の恐れが非常に現実的になっている」と発表しています。

 非常に身勝手な認識の仕方をして、パニック状態で激しやすいフランス人に、的確な情報を冷静に受け取り、賢明な行動をとってしてほしいと切に思っています。

 




2020年3月9日月曜日

フランス人の若い女の子は、前髪を切らない





 日本の若い女の子、特にアイドルと言われる女の子たちを見ると、ほとんどの女の子が前髪がある・・というか、前髪を切っていることに気付かされます。

 たかが、前髪、されど、前髪です。

 フランスの若い女の子は、前髪を切りません。いや、前髪を切る子がいたとしても、ごくごく少数です。

 「どうして、フランスの女の子は、前髪を切らないのかな???」と娘に聞いてみると、間髪入れずに、「かっこ悪いから・・」と言います。

 それは、美的感覚が違うことによるのかもしれませんが、日本人が可愛い、良いと思う女性像とフランス人が良いと思う女性像の違いが、前髪の有る無しに現れているような気がするのです。

 前髪を切ると、顔が小さく見えるということもあるかもしれませんが、全体的に若く、幼い印象になります。若い女の子の場合、可愛らしい・・極端に言えば、あどけないとさえ言えるような、そんな感じが好まれているのではないかと思うのです。

 女性が可愛らしく、どこか、守ってあげたいと思われるような印象を感じさせる部分を持っています。

 一方、フランスの女の子にとっては、可愛い、特に幼く、あどけないということは、どちらかというと未成熟というニュアンスでとらわれかねないところがあり、そういった可愛さというよりも、むしろ、きれい、美しい、カッコいいことが好まれる傾向にあります。

 これは、単なる美意識や文化には、とどまらず、女性の社会的な位置付けをも表しているのです。

 女性がどのような存在であることが、社会で一般的に好まれているか? 可愛らしい、どこか幼く、あどけない印象が好まれているのか? 可愛いよりも、美しく、カッコいい印象が好まれているのか? 

 もちろん、美的感覚や、人によって似合う髪型というものもあるとは思いますが、その社会で一般的に好まれている印象やニュアンスから、社会の中の女性の位置付けというものが、髪型、特に前髪に表れているような気がするのです。

 いみじくも、国際女性デーである日に、そんなことをふと思ったのです。






2020年3月8日日曜日

フランス人は、ゼリーを食べない




 私は、ゼリーが好きで、家ではよく、デザート用に、コーヒーゼリーなどを作ります。食事の後、淡白で、サッパリしたゼリーは、口当たりも喉越しも良く、カロリーも控え目で、なかなか良いデザートだと思っているのです。

 日本だと、コンビニを始め、ゼリーを使ったデザート・スイーツは、数多く売られていて、たくさんのフルーツが入ったゼリーや、熱湯を注ぐだけでできる自分で作れるゼリーなど、バラエティーに富んでいて、色々な味を楽しめます。

 ところが、フランスでは、スーパーマーケットなどのデザートのコーナーにもゼリーはないのです。デザートといえば、チーズ類か、ヨーグルト、さもなければ、クリームを加工したムースなどの乳製品系のものばかりなのです。

 ヨーグルト、フロマージュブラン、チョコレートムース、フラン、クレームアングレーズ、マロンクリーム、クレームブリュレ、クレームキャラメルなどなど、クリーム系のものなら、種類も豊富で、色々なものの中から選ぶことができます。

 また、彼らは、ホイップクリームも大好きで、いちごなどのフルーツにも、これでもかと思うほど、山盛りのホイップクリームをかけて食べるので、スプレー式のホイップクリームもなかなかポピュラーです。

 多分、乳製品好きで、あくまでクリーム系のものが好きなフランス人には、ゼリーは、物足りない、味気ないもののように感じるのかもしれません。ですから、スーパーマーケットなどのデザートを置いてあるコーナーには、あんなにたくさんのデザートが置かれているのに、ゼリーは、全く置いていないのです。

 売っていないのならば、自分で作るしかない・・と、ゼリーを作ろうと思っても、ゼラチンは、日本ならば、大抵は、粉末状ですが、フランスでは、硬くて薄いシート状のもので、とても溶けにくく、量も測りにくくて、使いづらいのです。

 あくまでも、フランスは、消費者にとって使いやすいようにするという観念が薄い、いや、ないのです。

 こんなところでも、いちいち、フランスのダメさ加減を自覚させられるのです。

 粉末状のゼリーといえば、ゼリーというよりは、ジュレといって、コンソメ味のついた前菜の一品に使うような、自分で野菜などをテリーヌのような型に入れて作るものならば、わりと一般的に、どこのスーパーマーケットにも置いてあります。

 それでも、時々は、ゼリーが食べたくて、硬いシート状のゼラチンを買ってきては、不器用に硬いゼラチンを溶かしながら、自分でゼリーを作っているのです。

 ゼラチンは、コラーゲンも含まれている、ローカロリーの、とても優秀な食品であるにも関わらず、フランスに広まらないのは、フランス人の好み、食文化がかなり保守的であることにもよるのかもしれません。



 











2020年3月7日土曜日

娘の帰省




 娘が一人暮らしを始めて、一年半が経ちました。学校が一週間以上のお休みに入るとパリに帰ってきます。それは、さながら、私が日本に帰国するときの様子のようで、とにかく、食べることに真剣で、一食も逃すことなく、食べることに重きを置いています。

 日頃、自炊をしている彼女にとって、普段、自分で作ることができない料理をここぞとばかりに食べて行くのです。

 私が日本に帰国する時と違うのは、彼女が出来るだけ、外食を避けていることで、フランス料理嫌いで、何よりも和食党の彼女にとっては、パリでは、いくらでも和食も、外で食べられるとはいい、彼女曰く、「たとえ、ラーメン一杯であっても、安くて12〜15€(1500円程度)の和食は、コスパが悪すぎ・・」だそうで、できる限りを、家で食事をできるようなスケジュールの組み方をしているのには、苦笑してしまいます。

 それは、家で食事をすれば、自分の好きなものが、出てきて、しかも、お金を払うわけではないし、自分の慣れ親しんだ、好みのものが出てくるのですから、そのほうがいいに違いありません。

 ましてや、今回のように、私が日本から帰ってきたばかりで、日本食品がたくさんある状況においては、なおさらのことです。

 私の従姉妹が娘へと持たせてくれた娘の好きなお店の揚げまんじゅうなども、滅多にニコリともしない彼女が、溢れんばかりの笑顔で、それはそれは愛おしそうに、わざわざ、そのために日本茶なども入れ直して、じっくりと味わい、しかも、その後、しばらくは、余韻を味わいたいからと、他のものは、口にしません。

 その食への情熱には、我が家の遺伝子をひしひしと感じさせられます。

 そんな娘の様子に刺激されるのか、猫のポニョまでが、エラいがっつき様で、自分のキャットフードは、そっちのけで、私たちの食事に突進してくる様子は、我が家の遺伝子が乗り移っているようで、ちょっと怖いほどです。

 あまりの勢いで私たちの食事に突進してくるポニョに閉口して、食事をしている部屋からポニョを締め出したら、今度は、その仕返しとばかりに娘の部屋のベッドの上で、💩をするという恨みを込めた行動に出て、しかも、悔しくて、どうしても💩をしようとしたけれど、なかなか出ないのを絞り出そうとしたような形跡。

 猫のそんな食い意地までもを湧き起こす娘の帰省時の食への執念は、凄まじいものであるに違いありません。

 考えてみれば、娘の帰省は、私の日本への帰国と同じ、里帰りのようなもの。

 自分の日本への帰国時のことを省みれば、娘やポニョの様子にも、何も言えないなと思いながら、明日は、娘のために何を作ろうかと考えています。

 










2020年3月6日金曜日

新たに娘が見つけた居るだけでいいというフランスでのアルバイト




 依然として、失業率が高く、若年層においてさえも厳しいフランスの雇用情勢の中、若者の学生アルバイトとて、見つけるのは、容易ではありません。

 これは、フランスの経済が低迷していることはもちろん、その雇用形態と、本来ならば、労働者を守るための法律に起因しています。

 つまり、一度、雇ったら最後、解雇することも容易ではなく、若者を含めた新規の雇用が難しい状態になっているのです。

 そんな中、いわゆる日本には、有り余るほどある学生アルバイトのような仕事でさえ、なかなか、若者にもその機会が巡って来ないのが現状なのです。

 こういった状況の中、娘は、一人暮らしを始めて以来、彼女の現在の住まいの近くの私立の学校と契約している、エチュード(正規の学校の授業が終了した後の補習授業)を提供する会社と個人契約して、補習授業の講師のアルバイトをしています。

 ある程度、自分の学校の授業などのスケジュールと調整できることもあり、彼女は、やる気のない生徒に対しても、かなり厳しい、おっかない先生として、アルバイトを続けてきました。

 それが、昨年末あたりに、もう一つ、土日をメインにしたバイトを見つけたといって、新しいアルバイトを見つけてきたのです。学校の先輩がこれまで続けてきたアルバイトで、彼女が留学を機会にその仕事を辞めるために、後任を探しているとのことで、何やらとにかく楽そうな仕事だとか・・。

 果たしてそれは、ほぼほぼ、居るだけでいい、というアルバイトでした。先方は、「とにかく、時間だけは、きっちりしてくれればいい」ということで、駐車場のモニタールームで、モニターを監視して、たまにやってくる駐車場の利用者の質問に答えるだけで、その間は、勉強をしていても構わないし、食事もその場所で取ってくれれば、いつ、いくらでも食事の時間をかけても構わないという、またとない楽チンなアルバイトでした。

 モニターを眺めて、何か問題があれば、連絡をするだけ、(しかし、問題など、そうそう起こるものでもありません。)決して危険なことに自分で対応しようとしてはいけないというお仕事です。

 時間をキッチリ守ってくれる人というだけでも、フランス人の場合は、かなり絞られるのかもしれませんが、それにしても、そんなアルバイト、そうそうあるものではありません。

 以来、彼女は、自分のパソコンやレポートを抱えて、せっせとアルバイトに通っているのです。アルバイトでお金をもらいながら、彼女は、せっせとレポートを仕上げ、自分のしたい勉強をし、たまにやってくる駐車場のお客さんから、「勉強していて、エライね〜!」などと、お褒めの言葉を預かるのだそうです。

 この失業率の高い国で、こんなに楽チンなバイト、しかし、これも6月から始まる彼女のスタージュのためにあと3ヵ月ほど。

 美味しい話は、そう長くは続かないものです。

 
















2020年3月5日木曜日

理系の人間がまともな日常生活を送れない話 その2 娘が理系の道に進んで・・・




 以前、昔の私の職場にいた、ある意味、その道では、恐ろしく優秀な理系のトップの人たちが、なかなか、ユニークな人材の集まりでもあり、彼らが、ちょっと浮世離れした感じというレベルからも、かなり逸脱しており、往々にして、ごくごく普通の一般人の送る日常生活を普通に生きられないという話を書きました。

 そして、そんな昔の職場の理系の博士たちを懐かしく思い出した時に、自分の娘が理系の道に進み出したとたんに、まさかまさかで、その兆候が見え隠れし始めて、ヤバいというところまで、書きました。

 彼女は、小学校から高校まで、家の近所の私立の学校に通い、高校卒業後、プレパー(グランドエコールの準備学校)に進み、その後、グランドエコールに入学しました。彼女が選んだのは、バイオ系の理系の道でした。

 彼女は、高校生の段階で、すでに理系の道を選んでいたので、その時は、理系=以前の職場の博士たちの奇行・・という発想には、私の中では、まるで繋がらなかったのです。

 ところが、ここ数年、彼女は、ある程度、優秀であるはずにも関わらず、ごくごく普通の日常生活で、かなりの欠落した部分が目立ち始めたのです。

 毎日のことなのに、「いってきま〜す!」と家を出て、必ずといっていいくらいの割合で、何か忘れ物をしたといって、すぐに家に戻ってくるだけでなく、物を失くす、壊す、忘れる、転ぶ、駅を間違えて電車に乗り遅れる・・などなど、枚挙にいとまがありません。

 それも、年々、その度合いも頻繁になってきて、今回も、家に帰ってくるのに、鍵を忘れるし、定期券も何度失くしたことか、携帯も壊しては、失くし、歩いていれば転び、自転車に乗っていれば、車と接触事故を起こし、日頃の言動については、もはや、彼女の日常は、うかがい知れないので、わからないのですが、なかなか、きっと、一日、密着してビデオでも撮っていたら、さぞかしおかしなことをやっているのではないかと思われます。

 もともと、周囲の目を気にして、自分のやりたいことを控えるタイプではありませんでしたが、一人でも、自分のペースで堂々と自分を貫いて日常を過ごしているらしいのは明白で、いわゆる周囲の空気を読んで思い煩うといったことも一切ありません。

 きっと、この辺りが、常人との境目で、今から思えば、理系の博士たちの歩まれてきた道を着々と歩んできていたのです。

 普段は、親元を離れて学校の近くのシェアハウスで暮らしている彼女ですが、現在、冬休みでパリに帰ってきており、また、休み中に次の留学手続きの書類を揃えていたのですが、締め切りの期日を間違えており、今週中に提出しなければならない書類をシェアハウスに忘れてきており、あわや、TGVで数時間かけて、シェアハウスにトンボ帰りしなければならないところを、同居人になんとか連絡をとり、彼女の部屋にある書類をメールで送ってもらう手筈をなんとかつける算段をしているところに、彼女の部屋から、ガラガラガッチャ〜ンという派手な音。また、何かを破壊した模様。

 心優しい同居人のおかげで、留学手続きの書類は、無事に送ることができたのですが、万事がこの調子のズボラ加減で、一体、どうして彼女の学業に支障が出ないのかは、不思議でなりません。

 昔は、職場の博士たちの奇行に、呆気にとられて笑っていた私ですが、これが我が娘のこととなれば、笑ってばかりはいられません。

 親としては、そんなに優秀でなくてもいいから、無事で、つつがない人生を歩んで欲しいと思うばかりです。

 
⭐︎よろしければ、前編もご覧下さい。
「理系の人間がまともな日常生活を送れない話 その1 娘が理系の道に進んで・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post.html

2020年3月4日水曜日

コロナウィルスにも屈しないフランス人のデモ・ストライキ






 私が日本から帰国した翌日、猫の世話を頼んでいたジャン・ピエールという元同僚のフランス人から電話がかかってきました。

 「無事、予定どおり、帰れたんだね。日本は、どうだった? コロナウィルスで日本は、患者がたくさん出ているんでしょ! 」そう言って、彼は、ほとんど、一人で、フランスのテレビで報道されているであろうことをほとんど一人で滔々と話し続けていました。

 日頃からおしゃべりで、話し出すと止まらない人ですが、それにしても、手をこまめに洗った方がいいとか、うがいをした方がいいとか、そばにいる彼の奥さんも加わって、説教じみたことを言い始めたので、内心、うんざりしながらも、彼の現在の関心事は、コロナウィルスなんだ・・と思わずには、いられませんでした。

 翌日に、彼は、預けていた鍵を返しに来てくれたのですが、昨日の饒舌っぷりとは、打って変わって、いざ、家にやってくると、私が日本から帰ってきたばかりで、感染している危険性があるとでも思っているのか、彼自身、口には、出しませんでしたが、明らかに私を恐れている感じで、いつになく、落ち着かずに、鍵だけ渡すと早々に帰って行きました。

 コロナウィルス騒動の当初から、アジア人がウィルス扱いで、差別されているという報道を目にしてきましたが、こういうことが発端になっていくのだろうなと、初めて、身近なこととして感じたのです。彼の場合は、差別というよりは、単純に恐怖なのでしょうが・・。

 とはいえ、フランスは、早々に中国・香港・上海へのフライトをストップして、ウィルス感染の対策をとり、今のところは、日本のように多数の感染者は出てはいませんが、それでも、室内など閉鎖空間で5000人以上が集まるイベントを禁止する政府方針を発表しています。

 実際に、パリで予定されていたハーフマラソンなども中止になっています。

 しかしながら、私が疑問に思うのは、パリでも、薬局でマスクが売り切れになっているとか、消毒薬が売り切れているとかいう話を聞くわりには、街中でマスクをしている人は、あまり、見かけないどころか、昨日も年金反対のデモが行われていて、彼らのウィルスへの危機観念というのは、年金問題のデモとなるとすっ飛んでしまうものなのかと、大いに疑問に思ったのです。

 たしかに、デモは、閉鎖空間ではありませんが、大勢の人と接触する場面であることに変わりはないと思うのです。それも、また、なかなかの人出でなかなかの騒ぎだったようです。

 彼らは、それなりにウィルスに対して、恐怖心を抱いたり、アジア人を差別するような行動に出つつも、根本のところでは、自らマスクをしたり、大勢の人との接触を避けるほどの危機感はなく、年金問題での怒りが高まり興奮すれば、デモに走るほどの危機感しか持ち合わせていないのです。

 しかし、一応、フランスでは、コロナウィルスの予防対策として、
・定期的に手を洗う ・握手をしない ・ビズー(挨拶のキス)をしない 
・咳やくしゃみをする際は、肘で口を押さえる ・一度使用したティッシュは使わない
・病気の際は、マスクを着用する
といった呼びかけをしています。

 肘で口を押さえるとか、一度使用したティッシュは使わない・・など、日頃の基本的な衛生観念にツッコミを入れたくなるような内容であることも、「ああ、私は、フランスに帰ってきたのだな。」としみじみ思わされるのです。

 3月31日には、再び、大掛かりな、ストライキ・デモが予定されているそうです。
フランス人にとってのストライキやデモは、コロナウィルスにも屈しないのです。

 




2020年3月3日火曜日

潤沢な日本食材を目の前にして思うこと 満ち足り過ぎると幸福に鈍感になる




 今は、日本から帰国したばかりで、山のような日本の食材を持ち帰り、ニコニコの生活を送っています。たくさん持ち帰ったとはいえ、この限られた食材を、少なくとも、向こう半年は、日本へは、行かないと思われる間に、少しずつ、少しでも無駄のないように、使っていくのですから、決して多すぎることはありません。

 こちらで手に入る食材と掛け合わせながら、愛おしい気持ちで、この食材を大事に大事に使っていきます。

 それは、日本に行った際にも同じようなことを感じるわけで、食事のたびに、今日は、何を食べよう?とか、買い物に行けば、新鮮な気持ちでワクワクします。一食一食を感動しながら頂き、幸せな気持ちに浸ります。

 日本での私たちは、恐らく、はたから見れば、滑稽なほどに一食一食に感動して過ごします。

 もし、私たちが日本に住んでいて、当たり前に手に入るものだったら、大した感動も覚えることは、なかったでしょう。それが、ごくごく小さなことで、感動することができるのです。

 人は、満たされれば、満たされるほどに、もっともっとと欲が出て、不満が膨らみ、幸せに鈍感になるような気がします。

 食べ物くらいで、大げさだとも、思いますが、あらゆることは、これに似ているように思うのです。

 自虐的でもありますが、海外生活において、日頃、不便で、理解しがたいことに囲まれている生活の中だからこそ感じられる幸せもあるのです。

 最初に長期で海外生活を始める時に、「手に入らなければ、自分で育てたらいいじゃない!」と母が、いくつかの日本の野菜のタネを持たせてくれました。

 日本に行くと、たくさんの日本食材とともに、いくつかの野菜のタネを持って帰るのも、それ以来の習慣のようになっています。

 「手に入らなければ、自分でなんとか作る。」精神で、春になり、自宅の狭いベランダで、プランターの土を耕して、野菜を育てるのも、楽しくもあり、喜びでもあります。

 日本にいたら、きっと、決して感じることのなかった当たり前のことや、当たり前のものに対する感動や喜びを感じられる生活を私は、なかなか気に入っています。

 

 

 











 

2020年3月2日月曜日

叔母の美徳




 私の両親は、すでに他界してしまいましたが、日本には、叔父、叔母や従姉妹たちがたくさんいます。日本に行けば、ありがたいことに、この日本にいる親戚の面々が本当に暖かく迎えて、支えてくれています。

 特に、私にとっての叔母たちは、母のいなくなってしまった今、私がこれから、年齢を重ねていく上での、ある意味での指標となってくれます。

 もしかしたら、母という近すぎる存在よりは、もう少し、客観的に眺めることができるかもしれません。

 親に育ててもらい、教育を受けさせてもらい、就職して、結婚して、子供を持ち、子供も成人し、まだ学生ではありますが、一応、独立する目処がたった今、これからどのように、自分の時間を過ごし、人生の終盤に向けて生きていくのかを考えます。

 残念ながら、体力的にも衰えを感じ始めながら、これまで当たり前のようにできていたことが、少しずつではありますが、できなくなり、努力なしには、なんとか、体力的な衰えの進行を遅らせることすらもできません。

 そんな意味では、私の10年先、20年先を生きている叔母たちの生活ぶりを垣間見ることは、私に色々なことを示唆してくれます。

 何人かいる叔母の中で、とても、明るく、朗らかな叔母がいます。
 彼女は、高齢にも関わらず、今も友人がたくさんいて、誰に対しても、物怖じすることなく話しかけ、何かしてくれた人には、必ずその人の名前を聞いて、丁寧に改めてお礼を言うのです。

 彼女は、どこでも朗らかに、その人の地位や立場は、関係なしに、明るく、分け隔てなく、時には、無邪気とも思えるような態度で接するので、どこでも、みんなに好かれて、人気者なのです。

 レストランで食事をしても、彼女は、必ず給餌の人にでも、「とても、美味しかったわ。ごちそうさま。」と言い、ほんの些細なことをしてくれた見ず知らずの人にも、彼女は、必ずその人の名前を聞いて、「〇〇さん、ありがとう。」と言うのです。

 若い頃は、いちいち、仰々しくお礼を言ったりすることは、なんだか、大仰で、いかにもおばさんのすることみたいで、照れくさくもあり、なんだかなぁ〜??と思っていた私ですが、最近になって、これは、とても大事なことだなと思うようになったのです。

 人に感謝して、その気持ちをその度に、言葉に出して伝えることは、ごくごく当たり前のことのようで、意外にも、それを当たり前にやってのける人は、少ないのです。

 感謝されて、嫌な気持ちになる人は、いません。

 考えてみれば、そういう面では、フランスの方が、見ず知らずの人に気さくに話しかけたり、挨拶したりということが多いかもしれません。

 今、この歳になって、あらためて、生きていく上では、意外にも、「ありがとう」とか、「ごめんなさい」とか、ごくごく当たり前の幼稚園の子供に教えるようなことが、自然とできることが、なかなか、大切だったりするのかもしれないと、彼女を見ていると、思うのです。

 フランス人は、この「ごめんなさい」の方は、あまり言えてませんが・・。

















2020年3月1日日曜日

お留守番していた猫は、とても寂しかったらしい





 我が家には、もう今年で12歳になる猫が一匹います。名前は、ポニョと言います。

 とても、気が強く、プライドの高い猫で、うちにお客様が来ても、気に入った人の場合は、顔を出して、そばをウロウロしたりするのですが、嫌いな人が来ると、容赦なくカ〜ッと威嚇します。

 一度、ポニョが病気になり、入院させたことがあるのですが、入院当初は、グッタリしてしまっていたのですが、点滴をして、回復すると、ものすごい勢いで、お医者様にもカーッと威嚇をはじめ、2日目に面会に言った際には、「とっても、怒ってます。まあ、少し回復してきたし、連れて帰った方がいいでしょう。」と言われるほどで、違う状況に馴染むことが苦手です。

 普段は、ツンデレで、自分の気ままに、好きな時に寝て、好きな時に起きてくる自由気ままな猫ですが、飼い主同様、食い意地だけは、人一倍で、食事の際には、必ず出てきます。食事どころか、冷蔵庫をあけるとすっ飛んできます。

 それでも、ポニョは、我が家の危機的状況の時に、生まれてすぐにやってきたためか、私たちの気持ちには、とても敏感で、こちらが落ち込んでいたりするときは、すぐにそれを察して、寄り添ってくれるようなところもあります。

 娘がまだ、小学生の頃だったので、娘とは、姉妹のようで、どちらかというと、ポニョは、娘のことを妹のように思っている節があります。
 性格も二人は、とても似ています。

 日本に帰国するような、比較的、長期で家を留守にする時には、ポニョの厄介な性格を考えると、とても人に預けることは、考えにくく、ポニョは、家に残し、知人に鍵を渡して、毎日、ご飯と水とトイレを掃除してもらうように頼んで行くのです。

 もう、ここ何年も、日本行きの際には、この方法で過ごしているのですが、今年は、なぜか、とても、寂しかったようで、私が帰ってくるなり、ニャーニャーではなく、ギャーギャー鳴いて、まるで喋るかのごとく私に何かを訴えかけます。

 私の後をずっと、付いて回り、夜中にふと私が目を覚まして、トイレに行こうとすると、私の部屋の前で待っていたポニョとぶつかり、夜中まで見張っていたのかとびっくりさせられました。

 昨晩は、私の部屋の中のちょうどベッドが見渡せる椅子の上に、場所に陣取って、私を見張りながら、寝ていました。今もべったりと私にくっついています。

 昨日、留守を頼んでいた知人が鍵を返しに来てくれたのですが、2週間の間に彼が家に来ても、ポニョは、2度しか顔を見せなかったとか・・、自分の命綱とも言える存在なのに、逆にそんなに彼が嫌いなのかとちょっと、訝しく感じてしまいます。

 2日経っても、私にベッタリでいつもと違う様子のポニョに、よっぽど寂しかったのね・・と申し訳ない気持ちと、それでも、世話をしに来てくれていた人が来ても、顔を出さなかったあたり、その頑なさを切なく思うのです。