2020年3月24日火曜日

コロナウィルスに対する各国首脳のスピーチ




 ヨーロッパ(フランス)に居を移して、もう20年以上になりますが、私は、滅多に、フランスを褒めることは、ありません。日常の生活でも、日本なら当たり前にスムーズに行くことが、いちいちすんなりとは行かず、不便なこと、不快なことが当たり前です。

 コロナウィルスの蔓延にしても、周囲からの警笛に耳を貸さない市民が、いつまでも予防をせず、ロクに手も洗わず、マスクもせず、大勢の人が集まる場所を避けずに、外出禁止令が出るギリギリまでデモで騒いでいたことも、爆発的な感染に繋がった要因になっているとも思っています。

 ただ、コトが非常事態になってからの政府の対応、マクロン大統領の毅然としたスピーチや対応は、なかなかなものだと、感じています。若いのに頼もしいな・・と。

 外出禁止令を発表した際の彼のスピーチは、落ち着いて、理路整然と、また毅然としたものであり、まっすぐ目を見据えて、自分たちの置かれている危機を「これは戦争である」という言葉を使って真摯に訴え、外出規制をせざるを得ないこと、また、同時に、それに伴う社会保障を約束しました。

 外出禁止令から、一週間が経ち、それでも、その規制を守らない市民のために、規制は、さらに厳しくなっているものの、この規則を守りたがらないフランス人が大方、おとなしくしているのも、社会保障の約束がされていることによります。

 また、ドイツのメルケル首相のスピーチも、さらに見事なものでした。

 私は、ドイツ語は、わからないので、訳されたものを読んだだけですが、印象的だったのは、「ドイツには、この危機を乗り越えるために必要なものを投入できる能力がある国であり、それを実行すると断言して、国民を安心させたこと」、そして、さらに印象的だったのは、スピーチの中の「開かれた民主主義に必要なのは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、そして、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。」という部分でした。

 そして、民主主義社会は、強制ではなく、知識の共有と協力によるもので、皆が思いやりを持って、力を合わせることでしか乗り越えられないという彼女を通じての言葉は、彼女自身の温度が伝わるものでした。

 日本は、規律のある、皆が勤勉に働く、安全で、清潔で美しい国ですが、国のトップにこのような真摯な、説得力のある、体温を感じられるようなスピーチを期待できるでしょうか?

 メルケル首相が仰っていた「政治的決断を透明にし、説明して、私たちの行動の根拠をできる限り示して理解を得られるようにすること」は、何よりも国民を納得させ、意識を強固にするために何より大切なことのように思います。

 現在の日本は、まだ、ヨーロッパのような深刻な状況にはなっていないものの、充分に危険を孕んでいる状態です。権限の範囲に違いはあるにせよ、もっと、説得力のある発言するべきところを、いつまでも、ただ、「自粛要請」などとしか言わず、色々なことに関しても、不透明なことが多すぎて、あまりにも、情けなく感じます。

 もしも、日本に、ヨーロッパのような危機が訪れた場合、果たして日本のトップが、マクロン大統領やメルケル首相のような、説得力のあるスピーチができるのかは、大いに不安を感じるところです。

 非常事態ほど、その国の本質が現れるものだと、今、私は、実感しています。

 

 












0 コメント: