2020年3月27日金曜日

フランスのコロナウィルス医療従事者の悲痛な叫び

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 一昨日、マクロン大統領がミュルーズの軍の設置する野営病院を訪問し、夜、テレビを通じて、国民に向けて、コロナウィルスの対応に疲弊している医療を中心とした支援のため、軍を動員する方針を発表しました。

 実際に、この時代に、フランスに野営病院という映像も十分にショッキングですが、酸素吸入器や医療機器の設置されたTGVが用意され、重篤な患者が移送され、薬品や患者が国内、あるいは、国を超えて行き来する様子にも、言いようもない気持ちにさせられます。

 フランスの高級ブランドのLVMHは、香水の工場で、消毒用ジェルを作り、サンローランでは、マスクの生産を始めました。これをコロナウィルスとの戦争というならば、まさに、LVMHもサンローランも軍事工場のようです。

 それでも、増え続ける感染者の対応にあたる医療従事者用に充分なマスクや防護服は足りておらず、この危険なウィルスの最前線で、毎日、時間超過で働く医療従事者は、「これ以上危険にさらされるなら、もう働けない!」と、ストライキが一部の病院では、起こっています。
(マスクの不足で危険を訴えているのは、外出規制の検問に当たって、犠牲者も出ている警察官からも声が上がっています。)

 それにも関わらず、マスクの盗難は、止まないのです。

 足りないのは、マスクや防護服だけではなく、医療機器、医療用ベッドなどの生産もギリギリの生産体制で、臨んでいますが、部品の一部は、通常は、イタリアから輸入しているため、在庫切れで、生産が追いつかない状態だという工場もあります。

 そして、最も大変なのは、医療従事者の不足と、病床の不足です。特に、集中治療室の需要が急激に増えている中、残念ながら、亡くなってしまった人の病床は、すぐに次の人で埋まり、受け入れが不可能で、他の病院へ回されるという現状に、第一線で働く医者も、「もしも、自分の親がコロナウィルスにかかったら、他の遠い国に送る。」というほどに、第一線の現場は、緊迫しており、政府関係者の発言とは、温度差が感じられます。

 その上、当初は、アジア人差別だったコロナウィルス差別が、心ない人から、医療従事者がまるで、ウィルスを街中に持ち込むような人のような扱いを受けるという信じられない現象もおきています。

 まさに、命がけで、医療にあたっている人に夜8時には、市民が窓辺から拍手を送っているという美談と同時に、現場では、街では、悲惨なことが起こっているのです。

 テレビのそんな悲惨なニュースの合間に流される、見慣れたパリの街は、からっぽで、ひたすらに静かで、あちこち、歩いているのは、警官だけです。そんな静かで、やたらと美しく感じられるパリの街には、悲惨な医療現場の様子の気配も見えないのが、余計に悲しく感じられるのです。

 

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