2021年8月31日火曜日

ヘルスパス 職場でのヘルスパス提示義務化に伴う職場内の摩擦

   


  フランスでは、今週から、ヘルスパスの提示義務が職域にまで求められるようになりました。つまり、同じ職場内で、従業員のヘルスパスをチェック・管理することが必要になったわけです。職務上以外のことで、人をチェックし合うというのは、あまり気持ちの良いものではありません。

 現在の段階では、全ての職場でというわけではなく、レストラン・カフェ、映画館、美術館などの文化・娯楽施設、スポーツ施設、一部のコマーシャルセンター・デパートなどの顧客に対してヘルスパスの提示が求められる場所においての人と接する部門で働く従業員に対してのものであり、フランスでは、約180万人がこれに該当します。

 現在、フランスのワクチン接種率は74.3%までに上昇していますから、そこまでの大問題には、発展しにくいとは思いますが、とはいえ、頑なにワクチン接種を拒否、ヘルスパスに反対する従業員を抱える企業では、少なからず、摩擦が生じています。

 元来、フランスは、労働者の権利が強く守られている国で、一旦、正規採用した場合の従業員の扱い、特に解雇に関しては、法律で強く守られており、今回のような、ヘルスパスが提示できない場合(=ワクチン接種拒否)は、給与が支払われない=解雇同然、というような図式のケースは、元来のフランスの労働者保護の観点から考えれば、かなり異例なことです。

 現在のところは、まだスタートしたばかりなので、たとえ、ヘルスパスの提示ができなかったとしても、他の部署への異動や、説得などの話し合いが持たれることが先決なので、そこまで深刻な事態は、浮上してきていません。

 しかし、国の決定とはいえ、顧客に対して行うヘルスパスのチェックと職場の中でお互いのヘルスパスをチェックし合うという図式は、職場全体の意志統一ができていない限り、職場内で不穏な空気を生み出します。

 と言っても、今回の場合は、経営者側もこれを遂行しない場合には、企業全体が営業停止になる恐れがあるため、これを回避することはできません。

 このような強制的な管理体制を敷くというのは、まことにフランスらしくない、フランス人には受け入れにくいことであるに違いありませんが、(それ故、7週間連続で反対デモも起こっている)すでに1年半以上も続いているパンデミックという異常事態ゆえ、フランス人とて、多くの人が受け入れざるを得ず、このヘルスパスに追い立てられるようにして、ここまでワクチン接種率も上がってきたのです。

 しかし、このワクチン接種の有無による不穏な対人関係は、企業内だけでなく、家族の中でも生まれ始めています。家族の集まりに際して、(誰かの誕生日パーティーや冠婚葬祭など)ワクチン接種をしていない者は参加してほしくないとか、それでも参加したい、家族に会いたいという摩擦で、家族関係にヒビが入ってしまった・・などというケースも少なくありません。

 もともと、コロナウィルスという病気は、人との接触を避けなければならないという残酷な側面を持つウィルスではありますが、ワクチンが誕生したことで、それが回避できると思いきや、そのことで、一層、凝縮した人間関係のいざこざが、また別の形で生じてしまうことに、やるせない気持ちになります。

 しかし、そこで、ちゃっかりした人もしっかり現れるのがフランスで、ワクチン接種を拒否している人が早々に医者に頼み込んで、ドクターストップ(Arrêt Maladie)の書類を書いてもらい、3ヶ月間の病気のための休職手続きをとってしまう人まで登場しています。

 医師の書いたドクターストップによる休職の場合、企業側は当人の病気についての詳しい事情について追求することはできず、この期間、少なくとも給与の半額は保障されます。つまり、ヘルスパスを提示できない場合に、無給になってしまうことを避けて、とりあえず、給与の半額が保障される方法をとるわけです。

 しかしながら、このヘルスパス提示義務の終わりが見えているわけではなく、永遠にドクターストップの書類をもらい続けて生活を続けることは不可能で、問題を先延ばしにしているに過ぎません。

 もっとも、この期間にヘルスパスの提示が必要のない転職先を探すという道もあるにはありますが・・。

 あくまでもワクチン接種は義務化したわけではないと言いながら、事実上の義務化のような状態に、「強制はできない・・しかし・・」といった曖昧な、どうにもおさまりが付きにくいモヤモヤした状況が生じています。

 そんな状況をよそに、政府側は、「フランスはヘルスパスの成功を収めた!」「他国の多くの国がフランスのヘルスパスに追随している!」と得意の自画自賛を始めています。

 たしかに、このヘルスパスがなければ、いつまでも、レストランやバー、その他の文化施設なども、閉鎖状態が続き、人々が現在のような、ほぼ日常に近いような生活を取り戻すことはできなかったかもしれないし、ここまでワクチン接種率が上がることもなかったかもしれません。

 とりあえずは、3日に1回、PCR検査を受け続ければ、ヘルスパスとして、使えるので、どうしてもヘルスパスを受け入れられない人々は、PCR検査をし続ける意外、他に道はありません。しかし、10月半ばにPCR検査が有料化すれば、それさえもあまり現実的な話ではなくなります。

 そして、実際に、経営者とヘルスパスを拒否する人々との間の話し合いが決裂し、解雇同然の状況になり始めた時、ヘルスパス反対、ワクチン接種をする人々がおとなしくそれを受け入れるのかどうかはわかりません。

 9月の半ばには、医療施設・高齢者施設勤務の従業員(医療従事者及び医療施設の職員)に対しては、ヘルスパスではなく、ワクチン接種の義務化の期限を迎えます。これは、PCR検査で乗り切ることはできません。

 フランスの感染状況は、少しずつとはいえ、減少傾向に向かい始め、概ね、フランスのヘルスパス政策は成功したかに見えていますが、万人が両手をあげてそれを歓迎しているわけではないのです。


職域によるヘルスパス提示の義務 フランス


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2021年8月30日月曜日

フランスに来てからの食生活の変化 


バゲットに分厚く切ったエシレバター とりあえず手っ取り早くて美味しいもの

 

 思い返してみれば、フランスに来てから、私の食生活はずいぶん変わったなぁ〜と思います。まぁ、変わったと言っても、フランスに来てからすでに随分、時が経っているので、子供ができたり、状況も違うので、一概に国が違うせいとも言い難いのですが・・。

 日本にいた頃は、外食も(と言っても、食べるというより、飲み歩いていただけだけですが・・)かなり頻繁で、しかも、数軒にわたって飲み歩いて、夜もかなり遅くなったりもしていたのですが、フランスに来てからは外食はめっきり減って、夜、遅くまで飲み歩くということもしなくなりました。

 まあ、子供がいたこともあるのですが、大体、フランスでは外食が高い上、治安も日本ほど良くないので、夜、遅くまで飲み歩くということも、なかなか躊躇われ、どちらかといえば、友達と飲んだりするなら、家で・・となることが多いのです。

 思えば、日本にいた頃は、自分で言うのも何なんですが、よく言えば? 私は、結構な酒豪で、(全然、よく言ってないかも・・)とにかく、よく、飲んでいました。あの頃は、飲み出せば、そんなに食べなくてもいい感じで、よく塩で飲めるなどと言いますが、まさに塩もいらないような感じでした。

 どんなに夜、遅くなっても、途中、記憶が曖昧なことがあっても、不思議なもので、しっかり家に帰っていて、朝、起きると自分のベッドで洋服を全て脱いで寝ていて、朝、起きると自分が脱いだ洋服がベッドの脇に脱いだままの形で置かれていて、しかも、ブラジャーまで丸い形のまま(ホックを外していないということ)捨て置かれていて、どうやって脱いだんだろう?と、一人で苦笑してしまうこともありました。

 まぁ、それだけ若かったということもあるのでしょうが、フランスでは外でそんなに飲むことはありません。実際に治安も良くないので、警戒心が働いて、そこまで飲む気にもなりません。

 食生活については、日本のように食べたいものが、いつでもどこでも簡単に買えるわけでもないので、何でも自分で作るようになりました。食べたいものが、どこでも手軽に気軽に買えないので、仕方ないのですが、こちらで手に入れることができる材料を工夫して作ることが楽しくなりました。

 何も作りたくなければ、最も手っ取り早くて確実に美味しいのは、バゲットとバター、チーズです。下手な外食をするよりも、確実に間違いなく美味しいので、バゲットやバター、チーズは、ものすごく食べることが多くなりました。

 それでもパリは、海外にしては、かなり日本やアジアの食品が手に入る場所ではあるのですが、それとて、それなりの場所に買い物に行かなければならないし、特に、このパンデミックの間などは、食料品の買い物とて、外出できる距離まで制限されていた時期もあったので、その何でも自分でどうにかして作るという作業がレベルアップしたような気がしています。

 手に入りづらい納豆やさんまなどがある時などは、もう納豆とご飯だけで、さんまを焼いただけで、もうこの上ない幸せを感じることができるのです。

 狭いベランダで日本のきゅうりやしそ、みつば、小ネギ、さやえんどう、ニラ、小蕪などを育てたり、自給自足とまでは行かないまでも、野菜を育てたりする楽しみも覚えました。

 あらためて考えると、日本にいた頃よりも、ずっと日本食を自分で作っていて、日本にいた頃よりも食べるようになっていることが、少々、妙な気がするというか、皮肉な気もします。

 お酒は、以前よりも量は減ったものの、ちゃんと飲んでいます。(ちゃんと飲んでますなんて、薬かよ?って感じだけど・・)

 私の育った家庭では、(もちろん、子供の頃は飲みませんでしたが・・)食事の時は、飲みながら・・という感じだったので、日本では、家では、まずはビール、そしてその後は食事に合ったお酒を飲んでいましたが、フランスでは、それこそ日本酒や焼酎などは、高価で、そうそう簡単には手に入りません。

 一時は、わりとどんな食事にも合う、ウォッカにハマり、買い物に行けば、小さかった娘がウォッカの置いてある場所に走っていって、大きな声で「ママ〜!!おっか!おっか!あったよ〜!」などと叫ぶのを止めるのに必死になったりしたこともありましたが、結局のところ、最近は、結局のところ、もっぱらワインに落ち着いています。

 フランスでは、やっぱり、ワインが一番、コスパが良いようです。それも、いかにも有名なワインではなく、安くて美味しいものを見つけるのがなかなかの楽しみになっています。最近は、フランスでは(特に若者の間では、)もっぱらビールやその他の水や炭酸で割って飲むアルコール類が代等してきているようですが、私は、もっぱらワインです。

 食生活に関しては、日本ほど満たされている国はないと思うのですが、たまに帰国すると限られた期間に狂ったように食べまくる私も、もしも、実際に日本で再び生活することがあったら、私は、どんな食生活を送るんだろうか? どこから手をつけたらいいかわからないほどの食品に戸惑いを感じるのではないか? とさえ思っています。

 いずれにせよ、食べること・お酒を飲むことが大好きな私、どこで暮らしていても、食生活が生活における大きな位置を占めていることに変わりはありません。


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2021年8月29日日曜日

ヘルスパス反対デモ7週目 地域ごとのワクチン接種率・デモ動員数・感染率は連動している

   


 このヘルスパス反対のデモは当分の間はなくなることはないでしょう。

 ヘルスパスの起用が発表されて以来、ヘルスパスの効力も適用範囲も徐々に拡大されている中、いよいよそれは、来週から、職域にまで(ヘルスパスの提示が求められる場所で働く主に人と接する職業に対してヘルスパスが求められる)及ぶことが決定しており、また、多くの人がバカンスから戻ってきた今、デモが止む理由はありません。

 この職域に及ぶヘルスパスの適用は、ヘルスパスの提示ができなければ、給与が支払われなくなるというかなり厳しいもので、事実上の解雇に近い強行なもので、ヘルスパス(ワクチン接種)反対の人にとっては、生活のかかった深刻な状況に陥ることになります。

 しかし、現在のフランスのワクチン接種率は74.3%にまでなり、ワクチン接種はしても、政府の強行なやり方に反抗している人という層を除けば、デモに参加しているのは、ワクチン未接種の残りの25%程度の人です。(とはいえ、16万人の結構な人出ではありますが・・先週よりも減ってはいます・・)

 つまり、国民の大半はワクチン接種を既に済ませているわけで、ヘルスパスが起用されることが決まった段階で、急激にワクチン接種が進んだだけでも、半ばヘルスパスは成功したとも言えます。

 ここ一週間ほどで、ほんの僅かではありますが、フランスの感染者数は減少傾向にあり、これもまた、ヘルスパス起用の効果が表れ始めたとも言われています。

 とはいえ、このヘルスパス反対のデモは、フランス全土にわたる大掛かりなもので、その動員数は、7週間の間に、地域的にも差が表れ始め、ワクチン接種率が低い地域ほど、デモの動員数が多いという当然ではありながらも、さらに感染の危険を増大するというさらに皮肉な結果を生み始めています。

 つまり、地域ごとによるワクチン接種率とデモの動員数、そして感染者数は、規則的に連動しているわけです。

 特にフランスの南東部では、ヘルスパスに対する反抗勢力が強く見られます。

 これは、単にワクチン接種だけではなく、格差社会における社会への反抗の側面もあります。これらの人々は既に植え付けられている価値観に支配されて、聞く耳を持たず、視点や思考を拡げることができません。

 しかし、政府側は、大半がワクチン接種を進めている現状に、もはやデモはあまり問題視はしておらず、はっきり言えば、「言いたい奴には言わせておけ」という状態で、オリヴィエ・ヴェラン保健相は「ヘルスパスの成功に直面して、抵抗は落ちている」と語り、それがまたデモ隊の反感を買っています。

 とはいえ、8月30日からはヘルスパスの効力が職域にまで拡張されるのに続いて、9月15日には、医療従事者のワクチン接種義務化による問題が再浮上するのは必須、10月には、PCR検査の有料化が待ち構えています。

 このままでいくと、この秋の感染状況も影響してくるとは思いますが、その全てが落ち着く、少なくとも10月末までは、このデモは続くと思われます。

 それにしても、土曜日の度にデモ、街中への外出も躊躇われるし、ましてや、デモ隊が行進する近隣の店舗、商業施設、レストランなどにとっては、とんでもない営業妨害です。

 レストランはともかく、多くの店舗が日曜日には営業しないフランスで、土曜日の営業妨害が続くのは、それこそ大変な損害です。ロックダウンによる閉店には、政府の補償金が支払われていましたが、デモのための補償金が支払われることはありません。

 言いたいこと、抗議したいことを訴える権利は認められるべきだとは思いますが、いいかげん、大概にしてもらいたいものです。


ヘルスパス反対デモ フランス


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2021年8月28日土曜日

来週から新年度の学校再開に向けて、学校で週60万回の唾液検査実施

   



 フランスの長い長い夏休みのバカンスももうすぐ終わり、来週、9月2日(木)からは、新年度が始まります。

 現在のフランスのワクチン接種率は、国全体で74.3%にまで上昇してきているものの、一番最後にワクチン接種が開始された12歳から17歳の年齢層に関しては、57%にとどまっています。

 科学評議会(Conseil Scientifique)は、現在のところ12歳以下の子供に対しては、ワクチン接種は行われていないため、他の年齢層の生徒達も併せて、新年度が始まれば、1日あたり、5万人の子どもたちの感染が起こるであろうとの懸念を示しています。

 しかし、フランス(本土)は、「新年度の開始を延期する理由はない。新年度の開始を延期することは、極端な場合にのみ取られるべき措置である」とし、新年度の学校開始は、従来からの予定どおりに9月2日(木)とすることを発表しました。

 感染状況が極度に悪化している一部の海外圏(グアドループ・レユニオン・ギアナ)については、当面の間、9月13日まで、新年度の授業再開が延期されることになりました。

 ジャン・ミッシェル・ブランケー教育相は、この新年度の開始について、各学校での厳重な衛生対策とともに、週60万件の学校での唾液検査を行うことを発表しています。



 ワクチン接種率が低い子供たちの間での感染から感染拡大が懸念される現在のデルタ変異種の対策として、学校を通常に近い形で再開するために、頻繁にテストを行う対策を取っています。

 また、8月30日からは、ヘルスパス(2回のワクチン接種済の証明書、72時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)がないと働けなくなる職業には、主に人と接する職業が該当していますが、教師もまた、このヘルスパスが必要な職業の一つになっています。

 教育省がイプソス世論調査機関に調査を依頼した結果、現在のフランスの全国の教師のワクチン接種率は、89%(78%が2回接種済み、11%が接種過程(1回接種済または、接種予約済み)がワクチン接種済みであることがわかっています。

 現在のところは、教師はワクチン接種が義務化されている職業ではないとはいえ、ヘルスパスがないと働けなくなる職業であることには変わりなく、現在の段階で、ワクチン接種をしていない残りの11%の教師に関しては、当面の間は、PCR検査を週に2回受け続けることが必要になります。

 教育相は、今年の初めから政府が示している方針どおりに学校閉鎖は最終的な手段であるとし、これまでも完璧であったとは言えないものの、できる限りの対策をとりつつ、学校の授業を続けていることは、やはりフランスが誇るべきことの一つであると語っています。

 しかし、今後の感染状況によっては、新たな対策を講じていくとしています。

 学校の新年度の再開は、18ヶ月以上も続いているパンデミックに対して、逃げ続けるだけでなく、対策を講じて、立ち向かい、是が非でも日常生活を続けていくためのフランスの大きなハードルの一つでもあります。


学校再開 唾液検査


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2021年8月27日金曜日

海外から見ている日本のコロナウィルス対策について

   


 私は、日本人ゆえ、海外に住んでいても、いつも日本の状況は気になり、フランスのニュースとともに、日本のニュースも気にしながら、生活しています。

 ことに、パンデミックが始まってからは、日本とフランスを比較しながら、「こんなところはさすが日本だ!」とか、逆に、「フランスでもできていることが、どうして日本でできないんだろう?」とか思いながら、双方の国を見守っています。

 パンデミックが始まったばかりの昨年の段階では、日本はさすがに衛生的で、規律正しい生活をこれまでの日常から送ってきたこともあり、フランスやヨーロッパのような壊滅的な感染拡大には至らず、フランスのような完全なロックダウンもせずに、パンデミックを乗り切ってきました。

 しかし、パンデミックも長引くに連れ、日本には、オリンピックやパラリンピックという計り知れないハンディを背負い、一般の国民へのコロナ対応に加えて、オリンピック対応にも追われ、力もお金も分散され、国民への感染対策が疎かになってしまった結果が現在の日本の状況を招いているような気がしてなりません。

 オリンピック選手のためには、数日おきにPCR検査がなされていたというのに、未だ国民は高価な料金を支払わなければ検査ができないのも、なんで?おかしいなぁ〜と思います。しっかり検査ができていなければ、日本の感染者数は、実際には、もっと多いのではないか?と思ってしまいます。

 パンデミック当初から、徹底的な検査と隔離が叫ばれてきたのに、まずその根本的なところからして改善されていないのは疑問です。日本では抗体カクテル療法が拡大されていくようですが、その前の段階から、改善できることがありそうな気がします。

 特に最近の日本のニュースを見ていると、その現実が信じ難く、救急車でたらい回しになるとか、必要な人が入院治療を受けられないとか、こんなことが本当に日本で起こっているのだろうか?と、これが本当に日本なの?と信じ難い気持ちです。

 「救急車でのたらい回し」なるものは、フランスでは、病院の状況を統括して、救急車がコントロールされて、配置されるため、いくら医療が逼迫している事態の時でもたらい回しという状況は、起こりませんでした。

 昨年の医療が最も逼迫した時でさえ、いよいよ病院が満床になり、病院の廊下にまで病人に埋め尽くされた後には、病院の前にテントが張られ、野戦病院のようなものができ、地域によっては、病人をTGVや軍用機を使って移送したりしていましたので、ある程度以上の病状の人が入院できずにいるケースは少なかったと思います。

 しかし、それでも病床には限りがあり、呼吸器なども不足していたので、動物病院から呼吸器を運び込んだり、トリアージュを行わなければならない場面もありました。

 そして、何回かのロックダウンを繰り返し、ワクチン接種が進むに従って、ヘルスパスなるものを用いて、ワクチン接種済みの人は、ほぼ日常と変わりない生活がスタートしています。

 日本は、ワクチン接種のスタートが遅かったわりには、さすがに巻き返しが早く、現在、54%(2回接種済は43%)までにワクチン接種率が上がっているようですが、いつまでも緊急事態宣言で全ての人が縛り付けられている様子にも疑問を感じます。

 フランスは、バカンスがスタートする時期にヘルスパスの起用が発表されたために、多くの人が急激にワクチン接種に走り、ワクチン接種率が上がりました。

 日本は特に若年層は、重症化しにくかったり、副反応を恐れてワクチン接種が進みにくいという話が伝わってきています。いつまでも、ワクチン接種をした人も、しない人も同じように制限された生活が続くならば、ワクチン接種をしないでおこうと思う気持ちもわからないではありません。

 ヘルスパスのようなものを起用しているのはフランスだけではありません。ワクチン接種をすれば、かなりの割合で重症化を避けることができるのは、すでに多くの国で実証済みなので、日本もヘルスパス同様のものを起用して、ワクチン接種をしたら、具体的に実際の生活が送りやすくなるというメリットを作るべきではないかと思います。

 ヘルスパスを起用するには、ある程度、ワクチン接種が進んでいなければ無理な話ではありますが、フランスがヘルスパスの起用を発表した段階のワクチン接種率は55%程度の時でした。

 自粛自粛で疲弊して、先の見えない気持ちになっている日本の人々に、ヘルスパスのようなものを起用して、これなら日常を取り戻すことができるという希望が持てるようにすることは、大切なことなのではないか?と思うのです。

 コロナ前までは、「日本では当たり前だったことがフランスでは、決して当たり前ではなかった・・フランスだから、仕方ない・・」と思うことが多かったのですが、ここへ来て、コロナ対応を見ていると、「フランスでは当たり前のように行われていることが、日本ではできていない」ことに、日本人として、現在の日本のコロナ対策の現状に唖然とさせられるようになってきたのです。

 日本ってこんな国ではなかったはずなのに・・と。


日本のコロナ対策 フランスのコロナ対策


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2021年8月26日木曜日

パリで食べられる世界一のピザ PEPPE PIZZERIA ピッツェリア・ペッペ

   

世界チャンピオンという名前の人気ピザ アップでどうぞ!


 パリで世界一のピザが食べられると聞いて、ビックリして、早速、そのピッツェリアに行ってみました。

 フランスでも、ピザと言えば、とてポピュラーな食べ物で、もともとチーズが大好きなフランス人がピザを嫌いなわけはありません。しかも、外食するにしても比較的安くて、若い子たちが安く外食を済ませるとしたら、ピザかケバブかマクドナルド・・そんな感じです。

 ウーバーイーツができる前も出前ができるのは、ピザか、中華がやっている日本食くらいで、それだけ気軽に食べられ、一般的に浸透しているメニューではあったのです。

 しかし、いくらピザがフランスでポピュラーだとはいえ、ピザといえば、何といってもご本家はイタリア、なのに、なぜ、世界一のピザがパリで??と、ちょっと不思議な気もしたのです。

 昨年、ピザの世界チャンピオン(2019-2020)であるナポリのシェフ、ジョセッぺ・クトラロがピッツェリア「PEPPE」をパリにオープンしたのでした。

 それはパリの20区というパリの中心部からは少し離れたところで、(といってもパリは狭いのでそんなに遠いわけではない)ペーラ・シェーズという有名な広大な墓地の裏手あたりのどちらかというと下町っぽい界隈にあるのですが、なぜかその「PEPPE」の一角だけは、イタリアの風景が切り取られて突如そこに現れるような独特な一画で、お店の正面には、階段を数段登ったところに、サンジェルマン・ド・シャロンヌ教会がそびえ、お店の店内から外を見ると、外のテラス席と教会と青い空が見えて、それはそれはか感動的な景色です。

 この格別のロケーションを教会を使って演出するあたりもなかなかのセンスです。

  

店内から見た教会を背景にしたテラス席

 最初にサイトでこのお店を調べて、予約を取ろうとしたら(お昼の時間)、予約は来週以降の限られた時間しか空いておらず、「あらまぁ〜すごい人気なんだわ!」と半分、諦めかけていたのですが、ふと先日、あまりに天気がいいので、「どこかに行こう!そうだ!あのピザを食べに行こう!予約なくても大丈夫かもしれないし・・ダメならテイクアウトでもいいし・・」と、突然、思い立って、出かけてみたのでした。

 案の定、混んではいましたが、予約なしでも全然OKで、ヘルスパスチェックの後、わりとすんなり入れましたが、それほど広くもない厨房で、テイクアウトのお客さんなども結構いて、それぞれが、一人、5枚、10枚と買っていくので、テイクアウトの分のオーダーが溜まっているため、席にはすぐに入れてもピザがやってくるのには、少々時間がかかります。

 (しかし、これは昼の話で、夜の予約は数ヶ月先までいっぱいなのだそうです。)

 テラス席も良かったのですが、ピザを焼いている様子も見たかったので、店内の席に案内してもらうとピザ窯の周りの3人のイケメンのピザ職人たちが、ピザを窯の中に押し込む大きいヘラのような棒を巧みに使い、音楽に合わせてリズムを取りながら、楽しそうに絶え間なくピザを焼いている様子が見えて、飽きることがありません。

  


 店内のウェイターやウェイトレスも大変、感じがよく、よく気が付く人たちで、さすがに繁盛店は違うな・・と感心しました。

 メニューは、紙のもの(ちょっとクシャクシャになってたけど)とQRコードのものと両方があり、それぞれのテーブルにはアルコールジェルが置かれ、衛生対策もバッチリです。

 前菜は、アーティーチョークやカプレーゼ、サラダ、生ハムやサラミの盛り合わせ、ブルスケッタなど6種類、値段は8〜12ユーロ(1,000円〜1,500円程度)、ピザはマルゲリータなどの定番によくあるメニューの他、ゴルゴンゾーラのピザ、トリュフクリームのピザ、そしてチャンピオンを取ったという話題のピザなど13種類あり、12〜20ユーロ(1,500円〜2,600円程度)です。

 ドリンクは、ソフトドリンクで4ユーロから、ビール、ワイン、カクテル、まあまあ良心的な価格です。

   

前菜の生ハムとチーズの盛り合わせ

 私は、せっかくだから、世界一のピザを食べてみたいと思って、「世界チャンピオン(CAMPIONE DEL MONDO)を食べてみました。(右がチャンピオン・左がレジーナ)

 


 ナポリ風の生地の外側は見事に膨らんで、トッピングには、黄色いトマト、24ヶ月もののパルマ産の生ハム、プロヴォローネ(イタリア北部パダーナ高原などで生産されているセミハードタイプのチーズ)、水牛のモツァレラチーズ、ローストアーモンド(これもなかなか良かった!)、バジル、イチジクのジャムがちょっとだけアクセントにのせられていて、フワフワでいて、どこかもっちりとした感じがあるにもかかわらず、とても軽い生地が見事に焼き上げられていて、絶品!私の期待が裏切られることはありませんでした。

 とはいえ、大きなピザを一人で一枚、食べきれなくて、もったいないなぁ〜と思っていたら、持ち帰り用の箱をくれて、残りは無駄なく、お持ち帰りしてきたのでした。

 このお店はイタリアンとはいえ、ピッツェリアなので、他のパスタなどのメニューはありませんが、とかくイタリアンはハズレが多いと定評のパリでこれだけ美味しいピザが食べられるのには、大満足です。

    

世界チャンピオン ジョセッぺ・クトラロ


世界一のピザ(パリ) PEPPE ピッツェリア ペッペ


PEPPE PIZZERIA (ピッツェリア・ペッペ)

2Place Saint-Braise 75020 Paris

営業時間 (火〜日)12:00~14:30, 18:45~22:30 (月)夜のみ

メトロ 3号線 Porte de Bagnolet, 9号線 Porte de Montreuil, 2号線 Alexandre Dumas

PEPPE MENU



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2021年8月25日水曜日

フランス9月1日から3回目のワクチン接種開始

   


 フランスは、予定していた9月15日からの3回目のワクチン接種を9月1日から受け付けることを発表しました。

 3回目の追加ワクチン接種の該当者は、65歳以上の高齢者と重症化及び死亡のリスクを高める併存疾患のある全ての人としています。

 Haute Autorité de Santé(HAS)(高等保健機構)は、3回目のワクチン接種について、「現在、フランスで蔓延しているデルタ変異種に関連する症候性形態に対する保護機能が時間の経過とともに低下し、不充分になると考えられるため」と説明しています。

 HASは、この説明に、すべてのワクチン、特にデルタ変異種に対する有効性の経時的な低下を示唆するいくつかの研究を提示しています。

 ビオンテック・ファイザーワクチン接種が2回済んでいるにも関わらず、8月13日の段階で特定された622例の重症化例の3分の2は、1つ以上の併存疾患に苦しむ人々で、そのうちの107名の死亡者のうち、72%が85歳以上であったことがわかっています。

 これらの研究結果により、3回目のワクチン接種を限定して優先接種していく方針を固めたのです。 

 この3回目の接種条件は、年齢や併存疾患に加えて、アストラゼネカ、ファイザー、またはモデルナの2回のワクチン接種後6か月が経過していることが付け加えられています。このため、現在の段階では、少なくとも3月の段階で2回のワクチン接種を済ませている人に限られているため、急激に3回目のワクチン接種が進むことは考えにくく、時間の経過とともに、徐々に行われていくものと思われます。

 まず最初にワクチン接種を開始した高齢者施設や介護施設において、この3回目のワクチン接種キャンペーンが開始されます。

 しかし、それは義務ではなく(もともと2回のワクチン接種も義務ではないが・・)、ヘルスパスの効力に影響はありません。

 そもそも2回のワクチン接種でさえも、渋々、受け入れざるを得ない気持ちだった人にとって、これでひと安心と思っていたところに、2回のワクチン接種では効果は十分ではなく、もう1回必要だというのですから、一体、どれだけワクチン接種を受け続けなければないのか?と追加の3回目のワクチンに対しては現段階では懐疑的な人も少なくありません。

 また、今回の該当者に関しては、これから秋から冬にかけての季節には、例年はインフルエンザワクチン接種を推奨されている人々でもあり、2種類のワクチンを同時に接種する危険を危惧する人も多いのですが、この2種類のワクチン接種は、たとえ時期が重なっても危険はないとしています。

 逆に、コロナウィルスワクチンに関しては、6ヶ月を経過すると有効性が低下し始めることを強調し、特に高齢者や併存疾患を抱える人々に対しては、3回目のワクチン接種を推奨しています。

 現在、フランスのワクチン接種率は、72.3%、国全体の感染を抑えていくには、まず、この2回のワクチン接種率を上げていくことも同時に進めていかなければなりませんが、現在のフランスのワクチンのストックは、その両方をこなしていくに十分な量を備えています。

 しかし、世界的には、まだ1回のワクチン接種もできていない人々も多く、WHO(世界保健機構)は、後進国にワクチンを譲るように呼びかけていますが、ヨーロッパでは、フランスの他、イギリス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、ハンガリーなどの国々が同時に3回目のワクチン接種を開始することを発表しています。

 私自身、心臓疾患があるため、恐らく、この併存疾患を持つ人というカテゴリーに入ると思うのですが、私が2回目のワクチン接種が終了したのは、6月5日、少なくとも12月までは、次のワクチン接種を受けることはできないので、少し様子を見て、かかりつけのお医者さんと相談して、考えようと思っています。

 しかし、これから定期的にワクチン接種を続けなければならないとしたら、なかなか気が思いことです。フランスは、ヘルスパスが適用されることになって以来、急激にワクチン接種が進み、ある程度、ワクチン接種が進んでいけば、ヘルスパスなども必要ない世界がやってくるのではないか?などと思っていた矢先にこの3回目のワクチン接種の話です。

 まだまだパンデミックは終わらないようです。


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2021年8月24日火曜日

パリに日本の駄菓子屋さんみたいなお店ができた!MANGA CAFE KONBINI

   


 ここ2〜3年、ロックダウン等であまり出歩けなかったこともあって、久しぶりにパリの街を歩いていると、「あれ?ここに、こんなお店あったっけ?」と思って、ひょっこり物珍しい気持ちでお店に立ち寄ってみたりしています。

 パンデミックの影響はもちろんのこと、フランスでは、それ以前からテロだのデモだのがあまりに頻繁に起こっていたために、徐々に観光客の足も減少しつつあったところに、パンデミックの大打撃!ロックダウンによる営業停止に対しては、フランス政府の補償はあったものの、ロックダウンが解除になった今、政府からの援助は打ち切られ、かといって、以前のように観光客が戻ってきたわけでもなく、特に日頃は顧客の大半を観光客が占めるお店などは、衰退の一途を辿るのみで、閉店、倒産して、お店を畳まなければならなくなった店舗も少なくありません。

 きっと、パリのガイドブックなどは、大幅に書き換えをしなければならないのではないか?と思うほどです。

 そんなわけで、当然、閉店したお店の後には新しい違うお店がいつの間にかオープンしていて、久々にパリの街を歩いてみると、思いがけないお店を発見したりもするのです。「えっ?ここ前、何のお店だったっけ?と考えてみても思い出せない・・」という私に、「そういうお店だから潰れるんでしょ!」と娘の冷たい一言。

 しかし、みんなに愛されながらも泣く泣く閉店したお店もあるはずです。

 と同時に、消費者側としては、「えっ??こんなお店ができてたんだ!」という新しい喜びもあり、先日、パリを歩いていて偶然、「日本の駄菓子屋さんみたいなお店」を見つけたのでした。

 お店の看板には、「CONCEPT STORE JAPONAIS(コンセプトストア・ジャポネ)」と書いてあったので、日本のコンセプトストアって何だろう?と思って、あまり期待もせずに入ってみたのです。

 なるほど、狭い店内は日本製品に溢れていたのですが、その半分は日本の駄菓子というか、お菓子で、日本の駄菓子屋さんを思わせるような細かいお菓子が所狭しと陳列されていて、懐かしいというほど駄菓子屋さんというものに行った記憶がない私でさえ、思わず懐かしさを感じてしまうような・・それでいて、こんなお菓子あるんだ・・というような新しいものもあったりして、なかなか楽しい空間でした。


  


 日本のポッキー(フランスではMIKADOという名前で出ています)や日本ならではのフレーバーのキットカット、しゅわしゅわっとするラムネの飴やサクマ式ドロップス、ドラえもんやポケモン、スーパーマリオのガム、今フランスで流行っているおもち(mochi)のお菓子、カラムーチョなどのスナック菓子や、カップラーメンやカップ焼きそば、日本のドリンク類、ねるねるねるねやうまい棒まであります。





 半分以上はお菓子などの食品類で、残りの半分は、日本のお弁当箱(近年、フランスではBENTOブームが起こりました)、日本のお箸、靴下、招き猫などの小さなオブジェ、おにぎりを作るケースや保温マグ(魔法瓶)、日本語の教材までおいてあります。


 


 このお店のオーナーはフランス人だそうですが、もともとパリ市内に他に2件、マンガカフェをやっていて、この駄菓子屋さん(だと私は勝手に思った)は、日本のマンガ、アニメ、ゲーム等をコンセプトにしたお店だそうで、そう言われれば、同じお菓子でもマンガやアニメのパッケージのお菓子が多く、そこから商品構成が広がっている感じでした。

 日本の駄菓子屋さんみたいだ!と思った私は、勝手に現地に在住している日本人が多いのかと思いきや、意外にもお客さんはフランス人ばかりでびっくり!しかも、結構な盛況ぶりでした。

 先日、フランス政府がフランスの文化復興のためにフランスの若者向に発行した「カルチャーパス」の使い道のほとんどが「日本のマンガ(MANGA)」で、「カルチャーパスはマンガパスと呼ばれるようになった」という現実からも、このような、日本のマンガ・アニメ・ゲームなどのキャラクターを使ったお菓子にまで人気が及ぶようになっているのには、驚きです。

 日本に一時帰国した際には、いつ行ってもお菓子一つをとっても次々と新製品が新しいフレーバーが登場しているのが楽しみな日本の一部がパリで垣間見えることは、たとえお菓子といえども、なかなか在仏日本人としては、嬉しいお店の発見でした。

 パリにいらした際には、フランス人にウケている日本のものを覗いてみるのも楽しいかもしれません。

 



パリの日本の駄菓子屋さん<MANGA CAFE KONBINI>

営業時間 11:30~19:30(火〜土)、12:00~19:30(日)、月曜休み

61 Rue des Petits Champs 75001 Paris

メトロ 7・14番線 Pyramidesから徒歩3分




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2021年8月23日月曜日

フランスでワクチン接種が進んでも感染拡大が止まらない理由

   


 パンデミックが始まって以来、一つだけ良いことがあったとしたら、それは、パリの街が少しだけ清潔になったことです。

 当初は、どのように感染が広がっていくのかもわからず、とにかく除菌・消毒が繰り返され、メトロの駅なども頻繁に掃除、消毒が行われていたため、いつになく清潔で、感染の恐怖はあったものの、それはそれで清潔になったパリの街がこのまま清潔にする習慣が浸透していってくれればいいなぁ・・などと思っていました。

 ロックダウンのために、あまり人が街に出なかったこともあって、街中のゴミも少なくなり、ゴミよりも路上に捨てられているマスクが気になるくらいでした。

 しかし、3回目のロックダウンが解除された頃から、ワクチン接種も急激に進み出し、ヘルスパス(ワクチン接種2回接種済証明書、72時間以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)さえあれば、どこでも自由にアクセスが可能になりました。

 レストランやカフェも再開し、大勢の人がバカンスに出て、ヘルスパスさえ持っていれば、ほぼ日常と変わらない生活ができるようになって以来、人々の衛生観念も薄れ始め、以前と同じような地べたに平気で座り込んだりする光景が見られるようになりました。

 冒頭の写真は、パリの、あるパッサージュ内の光景で、未だ(というより益々)感染が増加し続け、1日の感染者が2万人を超える状況でありながら、地べたに平気で座り込んで、休憩している学生たち(引率者の大人も一緒)がパリ観光中に休憩している様子です。

 感染抑制のためには、ワクチンは強い見方ではありますが、一番重要なことは、個人個人の感染対策で、たとえ、このグループの人々が全員ワクチン接種済みだったとしても、感染を100%回避できるわけでもなく、公衆の大勢の人が土足で歩く通りに平気で長々と座り込む彼らの衛生観念の低さはフランスにとって致命的です。

 フランスがワクチン接種が進んでも感染拡大が止まらないのは、一人一人の感染対策、衛生観念の欠如が原因だと思わざるを得ないと私は思っているのです。人々が土足で歩いているところに平気で座り込む人たちは、そのままメトロに乗って、平気で座席に座っていると思うと、公共交通機関で気軽に着席するのもちょっと躊躇われるような気分になります。

 一時はすっかりきれいに消毒されていた駅なども、再び、そこはかとなく、またアンモニア臭を感じるようになり、また元の臭い駅に戻りつつあります。

 商業施設等に入る時には、手を消毒するように大抵の施設ではアルコールジェルが設置されているものの、義務化されている場所以外では、ほとんどマスクをしない人が増え、数万人が集まるデモでさえもマスクをしていない人がほとんどです。

 衛生観念の違い、生活習慣の違いと言ってしまえばそれまでですが、もともと、なぜ、フランスで(ヨーロッパで)これほどの被害が広がってしまったのかを彼らはまだ、わかっていないのだろうか?と、もどかしい気持ちになります。

 それでも、厳しいロックダウンや数々の罰金付きの規制、ワクチン接種の拡大で、いくつもの感染の波を乗り越えてきましたが、ウィルスも変異を続け、その威力を増している中、ワクチン接種だけでは感染が抑えきれていない理由がこの写真に見られる彼らの衛生観念の欠如にあることは明白です。

 染み付いている彼らの清潔さという感覚、衛生観念は、ワクチン接種では治らないのです。

 一方、コロナ前の日常から、いつでもどこでも清潔で、個人個人の感染対策も世界的にも高水準だと思われる日本が今回のパンデミック以来、最悪の感染悪化の状況を迎えていることは、フランスとは逆に個人個人の感染対策が原因ではなく、政府の医療体制の確保や感染対策(規制や補償)が正常に機能していないことが原因で、国民ばかりが煽りを食っている感が否めません。

 そのどちらもがバランスよく機能するということは、あり得ないのだろうか?と、フランスと日本の両方を見ていて思うのです。


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2021年8月22日日曜日

6週間連続ヘルスパス反対デモ 動員数減少傾向 アンチヘルスパスは減っているのか?

  


 マクロン大統領のヘルスパスの発表以来、7月17日から毎週土曜日の「ヘルスパス反対デモ」が6週間続いています。

 しかし、先週あたりから、デモの動員数は減少傾向にあります。

 とはいえ、6回目のデモもフランス全土で200以上のデモ隊が組織され、内務省の発表によると全国で、175,503人がこのデモに参加したと言われています。

 これまでのデモのピークは4回目の8月7日で23万人がデモに参加していましたが、それ以来、2週連続、動員数は減少しています。

 これは、ピーク時の後の2週間は、フランス人が最もバカンスに出ている時期と重なっているための動員減少ということも考えられますが、同時にワクチン接種率が上昇しているためと考えることもできます。

 フランスの現在のワクチン接種率は、70.2%(2回接種済は60.5%)にまでになり、1回でもワクチン接種を済ませている人が2回目のワクチン接種を受けないとは考えづらく、少なくとも70%以上の人がワクチン接種を受け入れていることになります。

 残る30%には、ワクチン接種をできない年齢(12歳以下)の人数も含まれているため、既にかなりの割合に及んでいるわけです。

 ワクチン接種を済ませている人の中にもアンチヘルスパスの人はいないことはありませんが、それはごく限られた割合であり、一般的にワクチン接種を済ませていさえすれば、ヘルスパスの提示はそれほど煩わしいものでもなく、わざわざ反対するには及ばないもので、むしろ、そのことによって自分や周囲の人の安全性がある程度は確保されるのです。

 もう一つの理由(デモの動員人数減少の理由)としては、ワクチン接種がここまで上昇しているにもかかわらず、フランスの感染は悪化し続けている=再び、どんどんヤバい状況になってきているという現状です。

 現在、フランス領マルティニークやグアドループなどでは、深刻な医療崩壊を起こしており、これまでに600人以上の救急支援のための人員が派遣されているものの、もはや第1波を彷彿とさせるような医療崩壊状態で、当然、病床は、全く足りておらず、運ばれてくる患者が入る場所などなく、病院の廊下でさえいっぱいで、病院の前に建てられたテントの下に寝かされている患者で溢れかえっています。

 テレビでは、病院で苦しむ決して高齢でもなく、既往症もなかったはずの若い患者の「コロナを甘く見ていた・・ワクチン接種をしていなかったことを心の底から後悔している・・苦しい・・」などという証言を流し、ワクチン接種の重要性を報道しています。

 ここまで深刻ではなくとも、フランスの南部、特に海岸沿いのバカンスエリアでは、徐々に感染が悪化し、感染状況を示すマップはフランス全土が真っ赤、南部に至っては、黒くなってきていて、102の地域では、7日間で住民10万人あたり50件のアラートレベルを超えるため、赤に分類されています。



 ワクチン接種がここまで進んできたにもかかわらず、これだけ感染状態が悪化し、人々がバカンスから戻り、学校も仕事も再開され、ウィルスも本格的に活発になりうる秋を迎えるのですから、いつまでも、ただただ、ヘルスパス反対!などと言っている場合ではないのです。

 世論調査によると、フランス人の54%は、ヘルスパス反対のデモに反対しているそうで、そのうち、アンチ・アンチヘルスパスのデモが起こるかもしれません。


フランス ヘルスパス反対デモ


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2021年8月21日土曜日

マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる マルセイユ14歳少年銃殺事件

  


 

 8月18日の午後10時半頃、マルセイユのサンバルテルミー地区にあるルイヴィルクローゼ大通り付近で、武装した二人の男の発砲したカラシニコフによって、14歳の少年が銃殺され、一緒にいた8歳の少年も負傷という衝撃的なニュースに、マルセイユだけでなく、フランス中が驚愕しています。

 この近辺は麻薬取引ポイントの一つであり、麻薬・ドラッグの密売組織の武装化が問題となっている中で起こった悲劇的な事件でした。

 さらにショッキングだったのは、マルセイユ市長が、この事件に関して発表した声明が、「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる。この現実はなんとしても止めなけらばならない」というものだったことでした。

「パン・オ・ショコラを買うように・・」という表現は、いかにもフランスらしい言い方ではありますが、それだけ、どこでも、誰でも、容易に買うことができるということです。

 この事件では、バイクに二人乗りした男のうち、後部座席に座っていた方の人がまるでシューティングゲームのように発砲して走り去っており、検察によると、彼らは麻薬の密売場所がある街の入り口の前にある展望台を標的にしたものと見られています。

 この麻薬密売に関して、警察が手付かずに放置していたからではなく、むしろ、麻薬密売場場所(組織)の解体を進めていたからこそ起こった悲劇でもあり、麻薬取引ポイントを奪回する意味を込めての彼らの領土争いの一部であり、武力攻撃の理由の一つであったと考えられています。

 本人が死亡しているため、真相は不明ですが、被害者の少年には、逮捕歴はなく、麻薬売買のためにその場に居合わせたわけではないと思われていますが、「14歳の少年が、夜の10時半になぜ?そのような場所にいたのか?彼は麻薬に関わっていたのではないか?」などとの報道も広がっており、彼の親族が、「いい加減な報道をして、被害者をさらに貶めるようなことは許せない! 彼はちゃんとした家庭に育った勤勉な少年で、35℃もある夏の夜、バカンス期間中でもあり、外にサンドイッチを食べに出ただけ!麻薬などには決して関わってはいなかった!」と涙ながらに訴えていました。

 彼女の話が本当だとしても、危険な地域だと知りながら、14歳の子供を夜の10時半にサンドイッチを食べに外出させるのもどうかとも思いますが、被害者の少年については、詳しいことはわかっていません。

 この事件が起こったのは、比較的貧しい地域ではあったものの、これだけ麻薬密売・武器密売が浸透、拡大する背景には、麻薬の消費者には、多くのブルジョワ階層が含まれていることも事実であり、社会的により高い階級の人々がこのトラフィックをサポートしているという現実があるためでもあります。

 つまり、消費者がいなければ、商売は成り立たず、これだけ麻薬密売組織が勢力を広げ、武器密売組織までに発展するには、それだけの消費者がいるということです。フランスがヨーロッパ最大の麻薬消費国と言われるのも頷けます。

 この事件の2日後には、同じマルセイユのショッピングセンター近くのパーキング付近で再び銃撃事件が起こり、少なくとも二人が負傷し、そのうちの一人は腹部を撃たれる重症という事件が再び起こっています。

 銃撃事件の直後、コマーシャルセンター内にいた顧客は、しばらくコマーシャルセンター内にロックダウン状態になりました。

 同地域で、3日間に2件の銃撃事件が起こるとは、まさに「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる」証のような気がしてしまいます。(ちなみに価格は1,500ユーロから2,000ユーロ(20万円〜26万円程度)だそうです。

 麻薬・ドラッグの密売組織の武装化から広がった武器密売の問題は、地域の住民を脅かす規模にまで発展しつつあります。

 内務大臣は、即刻、この卑劣な行為を非難し、これらの事実は、麻薬密売と武器密売はフランス国家が対応すべき最優先事項であると発表しています。

 昨年の3月に最初にロックダウンになった時に、マクロン大統領は、「私たちは、戦争状態にある」と演説を始めましたが、このパンデミックによる戦争状態が終息していない中、今度は、ウィルスではなく、麻薬がらみの本物の武器が使われる戦争が始まっています。


マルセイユ14歳銃殺 カラシニコフ


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2021年8月20日金曜日

8月30日からヘルスパスがないと働けなくなる

   


 フランスでは、美術館、映画館、劇場を始めとした文化施設に始まり、スポーツ施設、レジャー施設、レストラン、カフェ、ナイトクラブからコマーシャルセンターまで、ほぼ、ありとあらゆるアクセスにヘルスパス(ワクチン2回接種証明書・72時間以内のPCR検査陰性証明書・6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が必要になり、すでに、今やヘルスパスを持たない限り、かなり行動範囲を制限される状態になっています。

 とはいえ、ここまでの状態ならば、これらの施設に入場する際には、ワクチン接種を受けていなくても、PCR検査を受けさえすれば、とりあえず、これらの施設を利用するのも可能なわけで、手間はかかるものの、全く身動きが取れなくなるわけではありませんでした。

 しかし、8月30日からは、これらの施設で働く全ての従業員・ボランティア・臨時労働者・下請け業者に対して、ヘルスパスが求められることになりました。こちらの方は、毎日のことなので、どちらかといえば、よりワクチン接種の義務化に近いニュアンスがあります。

 具体的には、上記の施設に加えて、スポーツ・音楽・見本市などのあらゆるイベントに関わる人々、図書館(大学およびフランス国立図書館などの専門図書館を除く)、長距離交通機関、お祭りなどなど、これらに関わる全ての従業員が対象となります。

 ただし、これらの対象施設においても、一般の人がアクセスできない場所や、営業時間外に働くスタッフはヘルスパスの義務の対象ではありません。

 これまではお客さんのみに強制されていたヘルスパスの提示義務がそれらの場所で働く従業員に対して義務化されることになるわけです。お客さん側からしたら、嫌なら行かなければ良いだけの話ですが、そこで働く従業員にとっては、嫌だから行かないというわけにもいきません。

 また、PCR検査で凌いでいこうとすれば、72時間以内の結果が継続的に必要になるわけですから、3日に1回、PCR検査を受け続けることを強いられることになります。

 しかし、同じ施設内で、お客さんには必要で、従業員は不要というのもおかしな話で、ヘルスパスがスタートした時点で、本来ならば同時に必要であったものが、一応、2回のワクチン接種を受けること前提で、猶予期間が設けられていたに過ぎません。

 つまり8月30日には、その猶予期間が切れるということになります。

 ヘルスパスを提示する限り、雇用契約はこれまでどおり継続されますが、ヘルスパスの提示ができない場合は、一定期間は、雇用主との合意に基づき、従業員は労働協約で定められた有給休暇を使用することができます。

 しかし、雇用主との合意が成立しない場合は、雇用主は従業員に対して、雇用契約が直ちに停止されることを通知し、給与の支払いは停止されます。

 ヘルスパスの提示がない場合は、雇用契約は一時停止されますが、ヘルスパスを提示した時点で雇用契約は再開されます。

 雇用契約の一時停止が3日以上続く場合、雇用主は従業員に面接を求め、状況を正規化する方法について話し合います。雇用主は、特に、ヘルスパスを提示する義務の対象とならない別のポジションへの会社内の一時的な再分類の可能性、および活動がこの作業モードに移行可能な場合の在宅勤務の可能性について話し合うことができます。

 仕事場として仕事をするために求められるヘルスパスは、ほとんどワクチン接種の義務化を意味しています。

 ヘルスパスは、社会的対話の枠組みの中で展開されることを前提とし、ヘルスパス提示義務が会社の一般的な組織に影響を与える場合は、社会経済委員会(CSE)に通知し、相談する必要があります。相談はパス設定後、遅くとも1ヶ月以内に行えるとされています。

 徐々にヘルスパスによるワクチン接種への追い込みが厳しくなっていきます。生活がかかっている仕事場においてのヘルスパスの義務化は、否応なしにワクチン接種を突きつけられているのと同じことになります。

 しかし、アンチヘルスパス・アンチワクチンのデモに参加している人の中には、頑なにワクチン接種を拒否し続ける人も少なくありません。「ワクチン接種しなければ、仕事を続けられないならば、仕事はやめる!」と喚いている人も少なくありません。

 職を辞してまで、ヘルスパス、ワクチン接種に抵抗する人々たちは、今後はさらに追い詰められた状況になっていくわけで、デモが激化していくのも必須だと思われますが、それでも政府も後に引くわけにもいきません。

 バカンスの終盤にかかり、人々がバカンスに出かけている地域を中心に、すでに感染が急激に悪化し始めており、医療崩壊寸前の状態に追い込まれ始めています。感染悪化が加速しているのは、見事に海沿いの人気のバカンススポットに集中しています。

 しかも患者の大半はワクチン未接種の30歳〜45歳が中心となってきており、行動範囲も広ければ、バリバリ仕事をする年代でもあります。

 フランスの第4波の波は、上昇を続け、一向にとどまる気配はありません。


ヘルスパス 失業 解雇

 

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2021年8月19日木曜日

パリで今、大人気のラーメン屋さん KODAWARI RAMEN TSUKIJI こだわりラーメン築地

   


 とにかく、今、パリで大人気で、いつ行ってもすごい行列のできている店として有名で、一度は行ってみたいな・・と思っていました。

 今、多くの人がバカンスで出かけていて、飲食店の入店には、ヘルスパスが必要になったばかりの今なら、少しはマシなのかもしれない!と思い、それでも行列覚悟で行ってきたのが、「KODAWARI RAMEN TSUKIJI こだわりラーメン築地」です。

 フランス人の昼食の時間のピークはだいたい13時からで、朝11時45分開店のこのお店、開店と同時にというわけにもいかず、それでも13時前までには何とかと・・着いたのが12時半頃で、すでにお店の前には行列ができていました。

 このあたりは、ラーメン屋さんをはじめ、日本食のレストランの多い地域ではありますが、この店舗のある通りは、その日本食レストラン街とも言われるサンタンヌ通りからは、2本ずれている通りで、小さめのホテルや事務所、住宅の多い比較的、静かな通りにあります。

 一見、目立たないこの通り沿いの店舗に絶え間ない行列ができ続けることは、なかなか珍しいことです。

 私が並んだすぐ後にもすぐに延々と行列は伸びていき、途中でお店の人が出てきて、「隣のビルの入り口は避けて並んでください!警察に通報されちゃう!」と行列の交通整理をするほどで、並ぶのが嫌いなはずのフランス人が並んでまで入りたいラーメン屋さんは、その名前どおり、店内の内装からして、かなりのこだわりぶりで、ちょっとした昭和の日本の築地の空間を体験するようなテーマパークのようでもあります。

 何も知らずに通りかかる人は、その行列を見て、何ごとか?とお店を二度見していきます。

 私もフランス人に負けず劣らず並ぶのが嫌いな人間なのですが、さすがにここは、もう並ぶことを覚悟で来ていますから、周囲の人の様子を観察しながら、待つことおよそ30分。ラーメン屋さんだけあって、回転は悪くありません。

 行列している段階で、すでにヘルスパスのチェックは済ませ、店内に入ると、どういうわけか、(ら)と(ま)にアクセントのついた元気なフランス人のおばさんの「いらっしゃいま〜せ〜!」という雄叫びが響き、まずはその店内の様子に圧倒されます。



 わざと雑に積み上げられた発泡スチロールには、「北海道さんま」「丸中しれとこ食品」「鮮さんま 高級鮮魚」などと印刷されたシールが貼られていて、「築地」と書かれた大きな提灯、束になってぶら下がっている「築地場外市場 場外市場は移転しません」と書かれたレジ袋、ゴム手袋、軍手、ぶら下げ式の秤、ポリバケツ、ふぐ、鮮魚に見せかけた魚が乱雑に並んでいて、なぜか「伊藤食品」という大きなエビが描かれた看板、とんかつソースの段ボール、新巻鮭の木箱などなど、まるでパリの街とは異空間の徹底した昔の日本の築地市場の雰囲気を演出しています。




 中には、解体されようとしているマグロがど〜んとテーブルに置かれていたりもします。

 静かなトーンで、BGMにも築地の市場の「らっしゃい〜〜!らっしゃ〜〜い!」という日本の市場独特な喧騒がうっすらと流されたり、遠くから聞こえるようなカモメの鳴き声がそれに時々、追加されたりしている「こだわり」ぶりです。

 

席ごとに感染対策のためにバリアが設けられているのも日本っぽい心くばり


 肝心のメニューですが、この店舗は、鯛ベースのスープのものと、イワシベースのスープのものが中心で、メニューの種類はそれほど多くはありません。日本人の私も食べたことのないような独特な濃厚なスープは、鯛やイワシの他に、昆布、椎茸、日本から輸入された3種類の大豆を使っているとかで、スープをしみじみと味わってみても、メインとなる鯛やイワシ以外は、一体、何を使っているのか、なかなか解明し難い複雑な味わいです。

 しいて言えば、鯛をベースにした鍋料理のスープを凝縮したような感じでしょうか?イワシベースのスープは、さらにイワシのパンチが強烈です。

  

こだわりラーメン鯛 トッピングなしのシンプル チャーシューとローストされた鯛が乗ってる

 麺は、アッシー・ロマンス(グラン・エスト地域圏)のKODAWARI畑の小麦からのものを使用し、24時間熟成され、手揉みした麺でまろやかで、どちらかというともっちりタイプの麺です。

 また、上にのせられているチャーシューがこれまた絶品で、しっとりと味わい深く、肉自体のクォリティが高いのか?見事なチャーシューに仕上がっています。このチャーシューの肉もバスク地方の家族経営の農場からのものが使われています。

 また、魚にしても、イワシはブルターニュから、鯛は地中海沿岸から届けられています。

 気になるお値段ですが、シンプルなメニューならば、13.5ユーロ(約1,750円)と、他のパリのラーメン屋さんと比較しても、それほど高いわけでもありません。しかし、トッピングの味玉(2€)やチャーシュー(3€)、鯛のフィレ(3€)、イワシのフィレ(3€)などを追加していくとなかなかな値段になります。

 何れのラーメンにもシェフおススメのトッピングメニュー付きのものがありますが、これだと、18.5ユーロ(約2,400円)になります。

こだわりラーメン鯛(左)とイワシ シェフのおススメトッピング付き


 ラーメン屋さんには付き物の餃子(KODAWARI GYOZA)もありますが、これは、どう考えても餃子ではなく、これは、ちょっとこだわりすぎた感が否めません。(具は魚)

  

こだわり餃子

 その他、沢庵、枝前、きゅうりの漬物、なめろう丼などのサイドメニューがあります。

 飲み物も、ビールやコーラに加えて、梅酒、日本酒、ラムネや日本の緑茶などがあるところもちょっと他のパリのラーメン屋さんとは違うところです。

「こだわりラーメン サイト メニュー」

  

KODAWARI RAMEN メニュー

 全ての料理は独自の自家製を貫いており、その全てに「こだわり」の強さが窺い知れます。

 日本で長いこと修行したフランス人シェフが作るお店全体としての「こだわり」には、店内の様子を見ていても、逆にフランス人が作る日本のイメージはこういうものなのか?と思わせられる気もします。

 「こだわる」ことが大好きなフランス人、一時、日本語の勉強がてら、パリの他のラーメン屋さんでアルバイトしていたことのある娘が、「やたらとこのスープは自家製か?この麺は自家製か?」と聞く人が多いと聞いてびっくりしたことがありましたが、この文字どおりの「こだわり」がフランス人にこれだけウケているのも、フランス人のツボを抑えた「こだわり」にこだわっているからなのかもしれません。

 しかし、実際の現在の築地は豊洲に移転しており、この築地の市場を再現したような光景は、どこか昭和を思わせる光景で、決して現在のものではありません。

 先日、オリンピックの際にフランスで東京の光景として使われていたモニュメントは、スカイツリーではなく東京タワーだったりしたことからも、どうしても、フランスの日本のイメージは、「昭和のまま」で固まっているような気がするのでした。 


KODAWARI RAMEN TSUKIJI(こだわりラーメン築地)

12 Rue de Richeleu 75001 Paris 

営業時間 11:45~23:00

メトロ 1・7番線 Palais Royal または、7・14番線 Pyramides から徒歩5分以内




                          KODAWARI RAMEN を紹介している映像

2021年8月18日水曜日

コマーシャルセンターでのヘルスパスのコントロール

  


 我が家の近所のコマーシャルセンターは、パンデミック以前から、それほど盛況でもなくなり始めていて、それがパンデミックの影響を受け、軒並み閉店・撤退してしまった店舗も多く、今では閑散としていて、何だか寂しいくらいなのですが、それでも政府が今週から定めた基準値、「10万人あたり200人の発生率を超えている地域の2万㎡以上のコマーシャルセンター」には、該当しているため、コマーシャルセンターの入り口では、ヘルスパスのコントロールが行われています。

 めぼしい店舗も撤退してしまっているために、私がそのコマーシャルセンターに行くのは、スーパーマーケット(カルフール)か、薬局、たまに、DARTY(家電品のチェーン店)くらいで、あとは、近道をするために、コマーシャルセンターの中を突っ切って通り道にする程度です。

 たとえ、コマーシャルセンターを突っ切るだけでも、ヘルスパスは通行証のように必要なのです。

 本来ならば、食料品等の生活必需品のお店は、ヘルスパスの提示はいらないのですが、コマーシャルセンターの中に入っているスーパーマーケット等は、コマーシャルセンターの入り口でヘルスパスのチェックが行われるために、ヘルスパスなしには、入場できません。

 ヘルスパスのチェックについては、QRコードをピッとチェックするだけなので、大して時間がかかるものではありませんが、そこはそこで、ヘルスパスを持ってくるのを忘れた・・とか、必要だということも知らなかったという年配の人などもいて、なかなかまごついている場面も見られます。

 こんなにヘルスパスについて、大騒ぎをしているというのに、「知らない?」とは、信じ難い気もしますが、ルールもどんどん変わっていくので、(コマーシャルセンターのヘルスパスチェックは今週から)常に、状況を把握していかなければなりません。

 現在のパリは、まだバカンスから戻っていない人も多く、ヘルスパス云々以前に、通常よりも人が少なく、店員さんもバカンスに出払っているために、絶体的に人は少ないのですが、混んでいるのは、薬局だけ・・そういう私も薬局に薬を取りに行ったのですが、薬局には長い行列、少ない店員で多くのお客さんの対応をする上に、たまたまカードを使う機械が全部、ダウンしているとかで、えらい長い時間を薬局で待たされることになりました。

 その間に飛び込んできた年配の男性は、入り口で、ヘルスパスを持っていないなら、薬局に行って、PCR検査をして来いと言われたとかで(その薬局は、コマーシャルセンターの入り口付近にある)、長い行列を割り込み・・。

 「出た出た!割り込み・・」と思いつつ、私は、そんな様子を眺めていましたが、もう検査を受けなければ、買い物もできないことで、その男性はテンパっていて、自分が割り込みをしているということも自覚していない様子でした。

 しかも、以前はやっていたはずのPCR検査をその薬局ではやめてしまっており、なんだか法的には、OKなのかどうかわかりませんが、「どうせ、カルフールに行くだけでしょ!簡易検査ならできるから、それでいいでしょ!」と簡易検査をして行ったのでした。

 今は、それでも人出が少ないので、そんなドタバタがあったとしても、たかが知れていますが、これがバカンスシーズンが終わった時のいつもの人出になった場合は、とても、処理しきれないのではないか?と思ってしまいます。

   


 今でも、すでにパリの人の多い地域の街中では、テントを張って、PCR検査場を設けているところが少なくありませんが、今後、当面の間は、コマーシャルセンターの付近にも検査場がなければ、ただでさえ、パンデミックの打撃を受けて衰退しているコマーシャルセンターは、ますます存続の危機に陥る可能性があります。

 同じスーパーマーケットに行くならば、ヘルスパスを持っていない人にとっては、ヘルスパスのチェックの必要のない独立した(コマーシャルセンターに入っていない)スーパーマーケットに流れてしまいます。

 我が家の近所のコマーシャルセンターなどは、入り口付近に薬局があるのだから、薬局がその役割を果たせば良いのでしょうが、コマーシャルセンター側が薬局にPCR検査を再開してもらうように依頼しなければなりません。

 今後、バカンスが終わって、パリに人が戻ってきたら、ますますPCR検査が必要になると思いますが、もともと、本来は、PCR検査よりも、ワクチン接種拡大のために設けられたヘルスパスのシステムですから、今さら?検査場を拡大するのも何だか少し違うのかな?とも思います。

 どちらにせよ、これまでフランスでは、全て無料で行われていたPCR検査も10月には有料になるため、買い物に行く度にいちいち検査を受けているわけにも行きません。

 ヘルスパス反対のデモも5週間連続で行われていますが、9月に新年度を迎え、学校も仕事も再開されるとなると、問題は、コマーシャルセンターだけには留まらず、ますます厄介なことになっていきそうです。

 学校・仕事の再開でひと騒動、医療従事者ワクチン義務化の期限がやってくる9月半ばに、またひと騒動、そして、PCR検査有料化のタイミングでまたひと騒動、当分は、段階が進むごとに起こる反発が続きそうです。

 ワクチン接種をしていれば、全然、問題ない話なんですけどね・・。


コマーシャルセンター ヘルスパスチェック


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2021年8月17日火曜日

フランスがドイツよりもワクチン接種が進んでいるのにドイツよりも感染が悪化している理由

  


 フランスの感染悪化は、着実に拡大しており、ついに、コロナウィルスによる入院患者数が1万人のしきい値を突破し、10,151人に達してしまいました。その数字に比例するように1日の感染者数も優に2万人を超える状態が続き、1日の死者数も100人に迫る勢いで、集中治療室の患者数も1,908人にまで上昇しています。

 昨年も8月下旬から徐々に感染悪化が進んでいったものの、昨年の夏の時点でのウィルスは、気温の上昇とともに、威力を弱め、1日の感染者数は2千人台、集中治療室の患者数も380人程度で、まさに桁違いでした。

 現在は、ワクチン接種もかなり進み、フランスのワクチン接種率は、69%(2回接種済は58.4%)に達しています。

 国民の半数以上がワクチン接種済みの状態であるにもかかわらず、現在のこの感染悪化の事態は、非常に深刻です。

 フランスはよく、アメリカやドイツ、あるいは、イギリスと比較して、自国(フランス)を盛り立てることがありますが、つい数日前にもマクロン大統領がツイッターで、フランスのワクチン接種率をアメリカとドイツと比較して、フランスが彼らよりも上回っていることをグラフで示し、「私たちは共に成し遂げることができます! なぜなら、フランスは、より強く、より団結し、より市民的で、より責任感があるからです。私たちは、フランスです!」という愛国心とフランスとしてのプライドに満ちたツイートをしています。



 しかし、アメリカは、あまりの人口の多さに、比較にはなりませんが、ドイツは、フランスよりもワクチン接種率が若干低く、人口が2千万人ほど多いにもかかわらず、1日の新規感染者数も4千人前後、集中治療室の患者数も548人、1日の死者数も20人前後と格段に被害を抑えられているのです。

 これには、いくつか理由が考えられますが、その一つは、ワクチン接種が拡大していく前にドイツはかなり厳しいロックダウンを長い期間、継続していたことが考えられます。それは、フランスよりもワクチン接種率が高いイギリスにも同じことが言えます。

 そもそも昨年末にイギリス変異種が出現して以来、イギリスは危機的状況を迎え、ワクチン接種もどこの国よりも早く対応し、ワクチン接種もものすごい勢いで進めてきたこともあるのですが、同時にかなり厳しいロックダウンを続け、感染者を抑えながら、ワクチン接種を進めてきた経過があります。

 イギリスに関しては、ワクチン接種率が高いために、感染悪化をフランスよりも抑えられているのは、納得できることですが、ワクチン接種率がフランスよりも低いはずのドイツがフランスよりも圧倒的に感染を抑えられていることは、注目に値します。

 先に述べたように、前段階での厳しいロックダウンも理由の一つだと思いますが、原因はそれだけではないはずです。

 ドイツ人は、比較的、ヨーロッパの中では日本人に気質が似ていると言われますが、衛生対策管理についての厳格さ、真面目さなどがラテン気質のフランス人とは違うのではないかと思っています。

 このドイツとフランスのワクチン接種率と感染者数の違いを見ていると、必ずしもワクチン接種だけで、感染を防げているのだろうか?と感じずにはいられません。

 昨年の夏の終わりの感染状況の変化を見ると、人々がバカンスから戻り始めて、秋頃から一気に上昇していった経過を考えると、ワクチン接種が進んでいるとはいえ、現段階で、すでに昨年の5倍もの患者が集中治療室を占領しているフランスの現状は、充分に危機的状況であると考えられます。

 夏のバカンスのピークも今週いっぱいで、来週からは、バカンスを堪能した人々が続々と街に戻ってきます。

 フランスは、ヘルスパスの適用範囲を広げ、規制を強化していますが、ヘルスパスとワクチン接種の拡大で、秋には押し寄せるであろう大きな波を乗り越えることができるのだろうか?と大いに不安になってきました。


フランスとドイツ 入院患者1万人突破


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2021年8月16日月曜日

ヘルスパス適用範囲の拡大 ギャラリーラファイエット・プランタンなどのデパートまで〜 

   


 8月16日から、イル・ド・フランスの9つのショッピングセンターが訪問者にヘルスパスを課すと、パリ警察本部がプレスリリースで発表しました。


 ヘルスパスが必要になる商業施設は以下のとおりです。

・ギャラリーラファイエット(パリ9区)

・プランタン・オスマン(パリ9区)

・サマリテーヌ(パリ1区)

・ボンマルシェ(パリ7区)

・BHVマレ(パリ4区)

・コマーシャルセンター・ボーグルネル(パリ15区)

・コマーシャルセンター・イタリー2(パリ13区)

・コマーシャルセンター・ヴィルアップ(パリ19区)

・コマーシャルセンター・アエロヴィル(ヴァル・ドワーズ)

 これらの商業施設に関しては、入場の際にヘルスパスの提示とマスクの着用が義務付けられることになりました。

 この措置は、「感染率が住民10万人あたり200件の新規陽性症例を超える地域の2万㎡以上の商業施設」という基準で設定されています。

 また、セーヌ・サン・ドニとヴァル・ド・マルヌの各地域の感染拡大への懸念も強調されており、これらの地域でも感染率は10万人あたり200人を超えています。

 結果、パリ地域の一貫性と調和のために、パリの3つの空港(ロワシー、オルリー、ルブルジェ)

 また、パリ近隣のセーヌサンドニとヴァル・ド・マルヌの各地域の感染状態に対する懸念も強まっており、その発生率も10万人あたり200人を超えています。

 その結果、「パリ地域の一貫性と調和のために」、近隣県はパリのヘルスパスの適用の基準を採用し、パリの3つの空港(ロワシー、オルリー、ル・ブルジェ)とその付属施設も該当しています。

 そして、近隣のヴァル​​・ド・マルヌでは、ベルエピネ(ティエイ)を含む8つのコマーシャルセンターと2つのIKEA(イケア)ストアも該当します。

 結果的にこの基準に基づいて、カウントすると、フランス大都市圏では、合計で2万㎡を超える126ヶ所のコマーシャルセンターとデパートが月曜日からヘルスパスの管理下に置かれることになります。

 ヘルスパスが本格始動(レストラン・カフェ・長距離交通機関など)し始めてから1週間、どうにか、ヘルスパスのチェックもそれほどのトラブルもなく(デモを除いて)進み出したことを確認し、にも関わらず、感染悪化が進み、2週間後には、バカンスから皆が戻り、新年度の始まりとともにさらに感染が悪化することを懸念してのヘルスパス適用範囲の拡大に踏み出したものと思われます。

 このヘルスパスの適用範囲の拡大で、ますますデモが勢いを増しそうな気配もしますが、5週連続のデモにはびくともせずに、政府は着々と衛生対策を進めていく姿勢が感じられます。

 しかし、ワクチン接種済みでヘルスパスも持っている者としては、外出の際に少しでも感染の危険が軽減されることは、まことに歓迎すべきことで、しかも、ヘルスパスのチェックは、数秒で終わる簡単なもので、何の苦痛もないことなのです。

 ヘルスパスの確立にあたって、憲法評議会によって検証された法律によれば、その場所へのアクセスおよび輸送手段へのアクセスに危険が及ぶ場合(生活必需品の店舗は除く)、ヘルスパスの適用は、地域の知事の手に委ねられています。


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2021年8月15日日曜日

5週連続 フランスのヘルスパス反対のデモ

   


 マクロン大統領が7月12日にヘルスパス(ワクチン2回接種証明書、48時間(現在は72時間に変更されている)以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)が多くの場所へのアクセスに必要になることを発表した時には、彼には、恐らく目前に控えたバカンスを利用して、ワクチン接種を国民に急がせるという目論見があったはずです。

 実際に、それまで停滞気味だったワクチン接種の予約は、一時サイトがパンク思想になるほど、多くの人がワクチン接種を急ぎ始めました。

 そして、もう一つの彼の予想には、バカンス期間中は、デモを起こしにくいという算段があったに違いありません。実際に、例年は、夏のバカンス期間中には、デモはあまり起こらず、9月以降のデモやストライキの日程を予告して、皆がバカンスに出てしまうのです。

 しかし、今回に限っては、マクロン大統領のヘルスパス発表以来、5週連続でどんどん規模を拡大してデモが起こり続けています。

 「フランスを解放しよう!」「選択の自由を認めよ!」「健康独裁反対!」「マクロンは出ていけ!」「我々は実験用のラットではない!」「私たちは、ワクチンを義務化される奴隷ではない!」「クレイジーな健康対策は止めよ!」などなど、彼らの掲げているスローガンだけでも、色々なものがあります。

 もはや昨今の何のデモにもかこつけて登場する黄色いベスト運動の人々や、とにかくマクロン政権のやることなすこと気に入らない人々、また、子供へのワクチン接種への危険性を訴える女性たちが子供のため、孫のためにと参加しています。

 終いには、政府がアンチヘルスパスの抗議を過小評価していることを非難している人々までいて、これでは、駄々をこねる子供を相手にせずにいる親に文句をつけているようなものです。

 しかし、アンチヘルスパスは、必ずしもアンチワクチンとも違い、ワクチンは義務化ではないと言いながら、ある程度の期間はPCR検査の陰性証明書を代替品として与えながら、10月にはPCR検査を有料化し、事実上、ワクチン接種の義務化に追い込むような強引なやり方に反発しているものでもあるのです。

 たしかに最初にこの発表を聞いた時は、私もかなり強引だなという印象を受けました。いつもだったら、凄いデモになるだろうけど、夏のバカンス中だからな・・くらいに思っていたのですが、やっぱり5週連続でデモは起こっています。

 一部の感染症専門家や医療関係者は、いっそのこときっちりと「ワクチン接種義務化」するべきだとの声も上がっています。

 しかし、ワクチン接種の義務化とすれば、それはそれで大反発は間違いなく、政府としたら、このヘルスパスは苦肉の策だったに違いありません。

 5回目のデモは若干、先週の人数を下回ったものの、依然として、そのデモは全国的なもので21万人以上が参加している大掛かりなものでした。しかし、これが今ひとつ、求心的な力を持たず、政府が動じないのは、括弧とした先導者がいないからだとも言われています。

 ワクチンは嫌、ヘルスパスも嫌、マスクも嫌、でもロックダウンも嫌・・では、どうしたらいいと言うのでしょうか?

 フランスの感染状況は、ワクチン接種率が68.35%(2回接種済は 57.48%)とかなり上がってきたにもかかわらず、(実際には、この数字を下げているのは、17歳以下の年齢層と見られ、その他の年齢層では、76%以上まで上がっています)悪化する一方で、コロナウィルスによる入院患者はここ一週間で8,368人から9,600人まで、7日間で約1,300人近く増加し、集中治療室の患者数は、1,800人を突破(1ヶ月前は900人前後だった)し、約1ヶ月で倍増しています。

 この感染のスピードを考えれば、もはや一刻の猶予もないのは明白で、政府は8月末までに5千万人ワクチン接種の目標を掲げています。

 8月もあと2週間あまり、みんながパリに帰ってくる?ということは、感染が激増する可能性と同時にデモが激化する可能性もあるのです。

 ワクチン接種の自由を主張する人々の意見とワクチン接種をして自由を勝ち取り、経済を回そうとする政府の意向はどこまでも平行線で、8月から9月にかけて、このデモはまだまだ続くでしょう。


フランス ヘルスパス反対デモ


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2021年8月14日土曜日

フランス人と日本食

   

この間、パリのお寿司屋さんで食べたお寿司 シャリは赤酢


 空前の日本食ブームで私がパリに来たばかりの頃(20年くらい前)は、パリで日本食のレストランは珍しい部類で、決まった地域(オペラ界隈)のいわゆる日本人エリアと言われるところに行けば、あるには、あるけど・・という程度で、決してフランス人にとって、日本食は一般的なものではありませんでした。

 それが、ここ10年くらい前から、グングン日本食レストランは増え出して、特に中国人経営のチェーン展開のような、お寿司屋さん(だけど、焼き鳥や餃子なども置いている)がパリ中、どこへ行ってもあるようになりました。

 そのようなお寿司屋?さんは、不思議なもので、キャベツの千切りがちょっと薄甘いドレッシングで和えられたものと、よくここまで細かく切れるな・・と思われるお豆腐がちょっぴり入った薄いお味噌汁、セットメニューだと焼き鳥(と言っても、フランス人が大好きなチーズが挟んであったりする)と握り寿司にもなぜかご飯がついてくる不思議なメニューで、いわゆる一つ一つを食べ切っていく(三角食べをしないということ)フランス人は、サラダ、味噌汁、焼き鳥、お寿司を食べた後に、白いご飯に甘いお醤油をかけて食べたりしています。

 お寿司のわさびは、握り寿司でも、シャリとネタの間にはさまってはおらず、別にお皿の脇に添えられています。

 下手をするとその甘いお醤油をお寿司にも使ったりするので仰天します。この甘いお醤油は、最近では普通のお醤油とともに普通のスーパーマーケットでも売っているようになったほど、フランスでは、人気商品でもあります。

 私は、最近は、パリでは日本人のやっているお寿司屋さんにしか行きませんが(それでさえ、滅多に行かない)、そこにはそこで、妙に通ぶったフランス人がいて、「ほら、ここは、ちゃんとわさびがシャリとネタの間に入っているんだ!」「甘い醤油なんて置いてないぞ!」と講釈を垂れているのを見かけたりすると、「そこ??」と、苦笑いしてしまいます。

 そんな講釈をたれているフランス人が、「マグロ抜きで・・」などと言っているのにも、「マグロを抜いちゃうの??」(内心は、それなら、私にちょうだい!と思っている)とびっくりさせられたりもします。

 まあ、好みですから、そこを突っ込むのもおかしいですが・・。

 なので、これほど日本食ブームとはいえ、フランス人が一体、どこまで本当の日本食の美味しさをわかってくれているかは、ちょっと疑問でもあります。まあ、日本人の私としては、多少アレンジ?されていても、日本食が広まってくれるのは、嬉しいことではあります。

 以前、職場にいた日本人が日本に帰国した際にみんなに買ってきてくれる貴重な日本のお菓子などをフランス人たちが、「セ・パ・マル!(悪くない・・)」などと言いながら、気安く食べる様子に、内心、「この美味しさ、貴重さをわかってないのに、もったいないな・・」とちょっと腹立たしく思ったりしたこともありました。

 家にフランス人を招いたりしても、かなりの食通の人でない限り、これぞ日本食!というものは出さずに、フランス人が好きそうな、どちらかといえば、和食というよりは、日本で言う洋食に近いものにしたりします。もちろん、お米だって、貴重な日本米は使わないケチな私です。

 以前は、フランスでお米といえば、お米のコマーシャルで「このお米は、ベタベタしない!」がキャッチフレーズになるような、どちらかといえば、サラダにして食べるような存在でしたが、お寿司のポピュラー化で、ベタつく?お米も受け入れられるようになりました。

 それでも、いわゆる普通に一般のスーパーマーケットでお寿司用とされているお米と本物の日本米は、比べものになりません。パリでは、日本食材店も結構ありますから、本物の日本米も買うことができます。しかし、高いです。

 なので、最近は、イタリアやスペインで作っている欧州産の日本米を買うことが多いです。それでさえ、普通のスーパーマーケットで買えるお米よりはかなり高めです。

  

スーパーマーケットで売っているお寿司、これで3000円ほど

 ですから、一般的にフランス人が口にすることの多い、今やスーパーマーケットなどで売られるようになったお寿司などは、きっと日本の回転寿司にも遥かに及ばないクォリティなのに、その数倍の値段で、それをフランス人は喜んで買っていきます。

 それに比べれば、日本のフランス料理は、フランスのそれと、そこまで遜色がないように思います。それとも、フランス人からしたら、日本のフランス料理って違う・・と思っているのでしょうか? 

 もっとも、私は、フランスに移住して以来、貴重な一時帰国時に日本でフランス料理を食べることは、まずないので、今なら違うと感じるでしょうか? 

 いずれにしても、日本の食事・レストランのレベルはかなり高く、どこに行っても世界中の料理が色々選べる世界一美味しい国だと私は思うのです。


パリの日本食レストラン


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2021年8月13日金曜日

ニースの病院で新生児感染での入院急増 新生児をも襲うデルタ変異種の脅威

   


 これまでには、ほとんど見られなかった生後1ヶ月前後の新生児のコロナウィルス感染が急激に増加していることをニースのレンバル病院が報告しています。この病院では、この一週間で、10人の新生児が小児救急治療室に入院しました。

 これまでには、例を見なかった急激な新生児の入院増加に小児救急治療室の責任者が警鐘を鳴らしています。

 全ての命の重さにかわりは、ありませんが、ことさら小さい子供の苦しむ姿には、心を締め付けられる思いです。

 生後1ヶ月にも満たない赤ちゃんが発熱・・たとえ、コロナウィルスでなくとも親としたら、どうしたらよいのかわからない大変、慌てる状況です。それが、コロナウィルス感染ともなれば、普通の治療では、済みません。発熱してまもなく、動かなくなってしまう新生児に救急隊が駆けつける時には、もはや入院治療以外に方法はありません。

 これらの新生児コロナウィルス感染に共通するのは、子供の両親がワクチン接種を受けていないことです。妊娠中、出産後、間もないということでワクチン接種の胎児への影響も考えてワクチン接種を控えていた人も多いことでしょう。

 そんな隙をついてまで、コロナウィルスは感染していきます。子供が生まれれば、家族全員が集まり、新生児に群がり、その新しい命の誕生を喜び、祝うのは、人としたら、当然の感情で、本来ならば、微笑ましい光景なはずです。思わず赤ちゃんを抱き、頬を寄せたくなるのは、自然なことです。

 しかし、そこにまた落とし穴があるのです。

 一般的にもう少し年長の子供は、合併症のリスクのある既往症のある子供を除いて、ほとんど入院するまでには、至らないようですが、まだ抵抗力もない、新生児は、正しい治療を施さなければ、一歩間違えれば、危険な状態に陥ってしまうのです。

 このレンバル病院の小児救急治療室の責任者は、あらためて、新生児にも感染することを誰もが認識する必要があると語っています。

 一人で動くことのできない新生児にとっては、感染のリスクは、両親と非常に限られた周囲の人のケアにかかっています。

 これまで症例が見られてこなかった新生児のコロナウィルス感染は、その周囲の人の肩にかかっています。

 この医師は、妊婦に対してのワクチン接種も新生児を守るために必要と主張していますが、妊婦が胎児へのワクチン接種の影響や出産後の授乳への影響を考えてしまうのもわからないわけではなく、妊婦がワクチン接種に納得しないことも多いのも現実です。

 しかし、新生児に感染したウィルスは、同時に周囲の人に感染する危険もあることもまた事実です。

 ワクチン接種が感染拡大の鍵を握っている今、今後の感染拡大は、新生児をも含めたワクチン接種ができない12歳以下の子供たちと、あくまでもアンチワクチンの態度を揺るがさない人々の間での感染拡大をどう抑えていくかが焦点となっていきそうです。


新生児コロナ感染

 

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2021年8月12日木曜日

リオネル・メッシ パリサンジェルマンへ移籍のパリフィーバー

   


 バルセロナを退団したリオネル・メッシがパリサンジェルマン(PSG)と2年間の契約を結び、パリにやってきたニュースは、サッカーについては、あんまり知らない私でさえ、避けることができないほどの大ニュースでした。

 メッシがパリにやってきた日は、大統領でさえ、その1日をそれほど追跡されないほどに、分刻みで彼のこなしていくスケジュールが報道され、彼の行く先々には、大勢のファンが集まり、熱烈な歓迎を受け、彼の乗る車は警護のための厳重な警備のもとに誘導される大フィーバーでした。

 一昨日、彼の乗るプライベートジェットがフランスに到着したのが午後3時50分、それからまもなく空港の窓からファンに向けて手を振る彼は、「Ici c'est Paris(ここはパリ)」と書かれた白いTシャツを着ていました。

 集まっていたファンは、サッカーの試合を見ているわけでもないのに、彼の姿を目にしただけで、「メッシ!メッシ!メッシ!」と大歓声を送ります。

 その後、彼の乗る黒いバンは警備の車に先導されて、パリに隣接したヌイイ・スー・セーヌにあるアメリカンホスピタル(パリのセレブ御用達の病院)に向かい、健康診断を受けます。

 検診が終わり病院を去ったのは午後7時すぎ、彼が、家族とともにパリ8区にあるホテル・ロイヤルモンソーに到着したのは、午後8時20分、それからまもなくして午後9時15分、彼がホテルのバルコニーから、ファンに向けて手を振り挨拶をしました。

 誰かがパリに来ることで、これだけの熱烈な歓迎を受けることは、そうそうあるものではありません。国賓級のどこかの国の皇族や大統領とて、これだけの歓迎を受けることはありません。

 彼が涙ながらにバルセロナを退団し、もしかしたら、パリサンジェルマンに移籍するかもしれないという話が出始めてから、そんなに時間は経っていなかったので、彼の涙ながらの「バルセロナに残るために全てのことをやった」という感動的な記者会見から一転して、この世界最高峰の選手がパリサンジェルマンにやってくる!という衝撃的なニュースが彼の来仏をさらにドラマチックにしたかもしれません。

 いずれにせよ、彼のフランスでの人気は大変なもので、「彼の存在は、もはや、神格化している!」と評されるほどで、翌日のパリサンジェルマンとの2年間の契約締結の記者会見では、会見上に臨んだ記者たちからも「メッシ!メッシ!」とメッシコールが上がる興奮状態になりました。

 彼の契約発表当日には、シャンゼリゼにあるPSGの公式ショップには、バルセロナでデビューした時と同じ番号が使われる彼のパリサンジェルマンでの背番号「30」のついたユニフォームを買おうとする人で長蛇の列ができ、その行列はショップからメトロの駅まで続くほどの大変なものになりました。

 彼は、記者会見でフランス人の熱烈な歓迎に感謝し、新しい冒険にトレーニングを待ちきれない気持ちであり、同じチームにすでに友人もいる新しいチームで、ヨーロッパリーグの優勝を目標に掲げ、全てのタイトルを勝ち取るために全力を尽くすことを宣言しました。 

 フランスメディアによれば、彼の年俸は4,000万ユーロほどと推定されており、加えて、多くのスポンサーからのお金が入ります。

 ここまで神格化されている彼にまつわる経済効果は、サッカーだけにとどまらず、多方面に影響していくことと思われます。

 パリサンジェルマンもメッシ獲得資金よりも彼がもたらすビジネス上のプラスの方がはるかに大きいと説明しています。

 彼のインスタグラムのフォロワーは2億4,700万人、彼の発信力には並々ならぬものがあります。

 サッカーについては、疎い私ではありますが、これだけ「神扱い」されている彼には、一言でいいから、インスタグラムで、「みんな、ワクチン接種を受けよう!」と呟いてくれたら、マクロン大統領を始め、フランス政府がどんなに国民に訴えるよりも効果があるのではないだろうか・・などと思っているのです。


メッシ パリサンジェルマン移籍


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