2021年1月19日火曜日

学校閉鎖に踏み切る基準 フランスの年少者の感染増加

  



 先週の初めから、週末にかけて、3クラスにまたがって、27人の感染者(生徒22人、教師5人)が確認されていたオワーズ県(パリから30㎞ほどの地域)の小学校が18日から26日までの8日間、学校を閉鎖することを発表しました。

 すでに先週から感染が確認されていたために、週の初めに1学級が閉鎖され、キャンティーン(給食)が閉鎖され、週の終わりにさらにもう1学級閉鎖され、それでも次の対策に踏み切らない学校に対して、保護者からは、学校閉鎖の要請が出されており、週明けには、290人の生徒のうち、登校したのは、20人のみとなっていました。

 そもそも5000人しかいない村で、1つの学校での27人の感染は大きなものでしたが、できる限り学校は閉鎖しないという政府の方針や学校閉鎖に踏み切る明確な規則がないことから、学校を閉鎖する決定が保護者が誘導する異例な形となりました。

 年が明けてからというもの、フランスでは、わずか10日間で、10歳未満の陽性率が3%から10%と3倍以上、増加しており、学校の衛生環境やキャンティーン(給食)施設の衛生対策の改善が求められています。

 この年少者の感染の急激な増加の原因は、より年少者に感染が広がりやすいというイギリス変異種の性質が疑われており、この変異種がフランス国内に想像以上に拡大していることが懸念されています。

 政府は、フランスにおけるイギリス変異種は、陽性検査結果の1%と発表していますが、この年少者の急激な感染拡大から、実際には、それ以上に存在している可能性が指摘されています。

 あくまでも、学校閉鎖は、最終的な措置としていたフランス政府ですが、学校閉鎖に関する規定を学級内3人以上の陽性者がでた場合には、学級閉鎖、同学年で複数のクラスにまたがった場合は学校閉鎖を考えるといった基準(今回の場合は、この基準)が必要となってきました。

 現在、フランスでは、ワクチン接種は、リスクの高い高齢者を中心に進められていますが、それを嘲笑うかのような年少者の感染拡大に、ため息が出てしまいます。

 まさに、最も今、恐れられているイギリス変異種は、細胞に直に侵入するために感染力が強いと言われており、ドイツなどは、2月中旬までのロックダウン延長や在宅勤務の厳格化に加えて、特定地域での高性能FFPマスクの着用義務を検討しています。

 フランスでも、一般に広まっているサージカルマスクや布マスクでは、充分に感染が防げないのではないか?という声が上がり始めています。

 クリスマス、年末年始から2週間以上が経過した今、急激な感染爆発は起こっていないものの、1日の新規感染者数が2万人強という高い状態を徐々に増加しながら保っている(集中治療室の患者は2800人突破、1日の死者数は11月末以来の400人突破を記録)フランスは、まだまだ、依然として爆弾を抱えている状態なのです。


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