2021年1月31日日曜日

ロックダウンしないフランス政府の決断は正しかったか?

 

 Manifestation contre la loi "Sécurité globale" à Paris, le 30 janvier 2021


 現時点では、ロックダウンをしない選択をしたフランス。この選択が良い選択だったと思っているのは、48%、悪い選択だった・・ロックダウンをするべきだったと考えている人は、52%という世論調査の結果が出ています。

 この数字からも規則に縛られることが大嫌いなフランス人でさえも、かなりの危機感を持ってはいるということがわかります。しかし、今となっては、ロックダウンに反対の割合もずっと増えていることも事実です。

 特に若者の間の精神的なダメージによる自殺が増加するなど、「コロナウィルス感染よりも人と関われない孤独が怖い」という若者も少なくありません。

 日曜日から営業停止となるコマーシャルセンターなどには、冬のソルド(バーゲン)のラストチャンスを狙って、かなりの人出で賑わいました。今年のソルドは、例年の予定よりも遅く始まったにも関わらず、また、このタイミングで、また、営業停止です。

 もっとも、ロックダウンせずに、さらなる制限となれば、他に手立てはありません。

 また、あいも変わらず、土曜日のデモは、フランス全土(パリ、リヨン、ナント、レンヌ、ボルドー、ストラスブールなど)で行われ、3万人以上がデモに参加し、警察との衝突で、35人が逮捕されています。

 デモは、グローバルセキュリティ法に反対するデモではありますが、デモの終盤には、こんな生活やってられない!と暴れ出す人までいて、もはや何に対して抗議しているのかわからないようなところもあります。

 デモというのは、本来は、何らかの問題に対して抗議する活動でありますが、フランスでは、一部には、デモをすること自体が目的で、ストレス発散の場のようにしている人もいるのも事実です。

 前日に「現在は、危険な状況ながら、制限を追加しつつ、衛生管理を強化して、ロックダウンは回避して様子を見る」との発表があったばかり・・より注意しなければ、ロックダウンになると言われているのに、デモに出かける人が後を経たないことは、絶望的な気持ちにさせられます。

 グローバルセキュリティー法に関して、今、このロックダウンか否かの瀬戸際の状態で抗議しなければならないことなのか? 全く理解ができません。

 また、日曜日からは、EU圏外の出入国が禁止され、EU圏内でさえも、厳しく制限されますが、感染状態がフランスよりさらに深刻なスペインでは、政府の方針の違いから、22時以降の夜間外出制限はあるものの、それ以前の時間帯には、バーから美術館、レストラン、劇場に至るまで公共施設が閉鎖されていないことから、マドリッドなどには、フランスからの観光客がかなりいるようです。

 急な国境制限とはいえ、現在、スペインにいるフランス人観光客は、急いで日曜日までに帰国するか、それ以降に帰国する場合は、入国時にPCR検査を受けなければなりません。

 現時点では、ロックダウンはしないことを決定した政府も必死であり、警察の取り締まりは、厳しくなったようで、土曜日1日だけで、営業禁止に違反しているパリのレストラン24軒が検挙されたようです。

 今回のロックダウンをしなかった判断は、選挙を控えた政治的な判断であったとの批判も少なくなく、マクロン大統領は、ツイッターで、「私は、自信を持っています。私たちが生きている時間は非常に重要な時間です。一緒に感染を止めるためにあらゆることをしましょう」と呼びかけています。

 しかし、フランスには、夜間外出禁止ならば、夜は、家で人と集い、より感染の悪化したスペインに行って、レストランなどの普通の日常に近い生活を楽しみ、ストレス発散にデモに出かける人がたくさんいるのです。

 高いレベルでの感染状態が続き、ジリジリと増加を続けるフランスは、いつ急激な感染拡大を迎えるかわからない時限爆弾を抱えているようなものです。

 実際に、昨日の新規感染者数は、24,000人を超えており、もはやイギリスの新規感染者数を上回っているフランスなのです。

 結局のところ、猶予が長引いただけで、結局、いずれ、ロックダウンになるのを待っているような中途半端なジワジワと制限が厳しくなる状況は、より一層の国民の動揺を招き、感染も封じ込められない最悪の決断だったような気がしてなりません。


<関連>「まだロックダウンしないフランスの真意」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_30.html

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