フランスの3回目のロックダウンは、もはや、するかしないかではなく、いつ、どのようにするかという段階に入っているようです。フランスの感染状況は、急激に拡大してはいませんが、週平均、1日の感染者が2万人前後という高い数字をずっと保ち続けてながら、じわじわと増加しており、集中治療室の患者数もこれにつれて、少しずつ増加し、現在は、2,965人(1月24日現在)とほぼ、3,000人のボーダーラインに限りなく迫りつつあり、これは、前回のロックダウンに踏み切った時と同じレベルにまで達しています。
しかも、現在、最も懸念されているのは、イギリス変異種を始めとする南アフリカ、ブラジルなどの変異種の拡大で、新規感染者の20%がイギリス変異種による感染が占めているポルトガルのように、感染が急速に拡大してしまうことを恐れています。
すでに年末年始にかけて感染拡大が深刻になり、新規感染者の増加だけでなく、多くの死者を出し、ロックダウン状況にあるイギリスやドイツなどに比べると、一見、感染の急激な拡大はみられないフランスは、この期に及んで、「フランスは、ヨーロッパの中では、最も感染対策ができている」などと、お得意の自画自賛の姿勢を崩していませんが、その実、ロックダウンの効果が表れ始めているドイツやイギリスに比べると、なかなか微妙な数字を常に保ち続けており、今のフランスの状況は、単にドイツやイギリスに比べて、早い時期に1日6万9千人という驚異的な新規感染者数を叩き出したために、ロックダウンを早い時期に行った結果であり、その後のイギリス変異種の出現から、イギリスからの入国制限を慌てて行ったものの、実際には、この変異種がかなりの割合で蔓延し始めていることは、幼少者の感染拡大などの数字を見ても明らかです。
これからが怖いところで、この変異種による感染拡大の波を迎えるかもしれないにあたって、フランスはすでに集中治療室が3,000近く埋まっている状態で迎えてしまうことで、ここから、急激に感染拡大した場合は、間違いなく医療崩壊まっしぐらになります。
あくまでも経済をできるだけ維持し、学校も閉鎖しない状態を保ちたいフランスは、夜間外出禁止を18時に前倒しにした効果を期待していますが、一週間たった現在もその顕著な効果は確認されていません。
学校に関しても、どちらにしてもフランスの学校は、あと10日ほどで冬のバカンスに突入するために、その学校のバカンスのタイミングに合わせた形でのロックダウンを考えているのではないかと思われます。
科学評議会の議長が、少なくとも3週間のロックダウンは必須であると発言しているとおり、あらゆる状況(感染状況や変異種拡大の影響等)を考えてもロックダウンは確実ですが、あとは、そのタイミングや方法(地域的なものにするか、制限の範囲、年齢等)を検討している段階です。
現在すでに長い期間営業停止されているレストランやカフェの営業停止が先んじて少なくとも4月6日までと延長されたり、3月に予定されていたバカロレアのスペシャリテの試験が中止になり、ずっと先の予定がどんどん中止になっていることも、当然の措置であると思いつつ、政府が目先のロックダウンを一日延ばしにしつつも、2月から3月にかけての感染爆発を充分に見据えている不気味な動きであることを感じずにはいられません。
また、イギリス変異種に関しては有効性は変わらないとされていたワクチンも、南アフリカ変異種に関しては、有効性を40%低下させるという研究結果も発表されており、世界各国が躍起になっているワクチン接種の効果も効果が危うくなり、まさにウィルスの進化と人間の戦いのいたちごっこのようで、このパンデミックがさらに長く続きそうな気配がしています。
<関連>「学校閉鎖に踏み切る基準 フランスの年少者の感染増加」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_19.html
「世界中が警戒しているイギリス変異種」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_14.html
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