2021年1月11日月曜日

日本の2度目の緊急事態宣言とフランスの2度目のロックダウンの共通する緩さ


 日本の感染悪化が進み始めて、1都3県にわたる2度目の緊急事態宣言が発令されて、緊迫している状況の日本の報道をフランスから見ていました。正直、実際には、フランスの方がよほど深刻な状態なのに、何だか日本は、フランスよりもずっと深刻なような感じを受けていました。

 私が知ることができる日本の状況は、日本の報道やツイッターなどで見る情報だけなので、実際の状況とは乖離があるのかもしれませんが、どうやら、今回の緊急事態宣言は、前回のものよりもなぜか緩いという一面があるようです。

 国民が一回目の緊急事態宣言の経験から、この程度なら大丈夫というような、ある程度、その対処法を身につけているために、最初の緊急事態宣言よりもずっと人出が多く、これで大丈夫なのだろうかという意見も少なくないとか・・。

 また、学校なども閉鎖されないことから、やはり、よりこれまでの生活に近い感覚にもなるだろうし、何より、長引く感染回避への対応から経済が逼迫して、生活自体にもどこか必死になっていることから外に出ざるを得ないような状況もあいまっているのかもしれません。

 そんな様子を見て、これは、フランスの2回目のロックダウンの時と似ているな・・(きっと国民の緊迫感や危機感のレベルは桁違いに違うとは思いますが・・)と思ったのです。

 フランスの2回目のロックダウンも10月末には新規感染者数が6万人強、一時は7万人に迫る勢いで、もはや2度目のロックダウンも仕方ないだろうと多くの国民が感じている中での再度のロックダウンでした。

 しかし、いざ、2度目のロックダウンが始まってみると、前回のロックダウンとは、制限の内容も異なり、学校や工場などの職場は閉鎖されることもなく、リモートワークは可能な限り、営業が許可されるお店の範囲も通信機器や家電などにも広げられたこともあり、外出許可証さえ持っていれば、外出は制限時間内、距離も制限範囲内という縛りはありましたが、街中は、何だかいつもとは、変わりないような人出に「これがロックダウンか?」「こんなんで大丈夫なんだろうか?」と不安に感じたのを覚えています。

 それでも日本の緊急事態宣言と違って、一回目のロックダウンより緩くなったとはいえ、大多数の店舗やレストラン、美術館、劇場、映画館は営業時間短縮などではなく営業停止でしたから、その違いは大きいと思いますが、とにかく日中の人出などは、クリスマスを控えていたということもあるのでしょうが、街中は、結構な人出でした。

 これには、国民がこのロックダウンという状況に慣れて、上手く対処する方法を良くも悪くも心得てしまったからで、長く続くロックダウン、ロックダウン解除、そして再びロックダウンという緊張状態とそれぞれに順応していっていることが原因だと思います。

 そもそも人間の極度の緊張状態というものもそうそう長く続くものでもなく、ある程度の緩さは仕方ないのかもしれません。

 ただ、日本の場合は、きっとフランス以上に世間の規範も厳しく、長引くコロナウィルス感染に再び感染悪化のためのロックダウンとはいえ、国の決めた緊急事態宣言以前から、厳しい生活を続け、仕事の上でもプレッシャーも大きく、そこそこの対応を取るしかないのかもしれません。

 何より、日本の営業時間短縮などに対する政府の補償への配慮も国民の不安をさらに大きくしているような気もしています。フランスの営業停止などに対する補償も必ずしも充分とは言えませんが、フランスのロックダウンと補償は常にセットで、前年の売り上げに対するパーセンテージで支払われているので、ある程度は納得しやすいかもしれません。

 そして、ゆるゆるだと思われていた2回目のロックダウンは、約1ヶ月間で驚くほど1日の感染者が減少したので、ある程度緩くはあっても、効果はあるものだ・・とビックリしました。

 日本もこれから緊急事態宣言が拡大される見込みのようですが、緩い緊急事態宣言でも、きっと効果は現れるよ!頑張れ!日本!とそんなことを思ったのです。

 とはいえ、フランスの状況は、日本よりもずっと深刻な状況・・フランスは、下手をすると、現在の夜間外出禁止やレストラン等の営業停止だけでは済まない本格的なロックダウンになる可能性も心配されています。

 昨日、マルセイユでは、イギリスの変異種感染者が50人以上確認されたとか・・しかも、感染経路不明の場合が多く、感染率が高いと言われているだけにとても心配しています。

 また、北東部の他国との国境沿いの地域から感染拡大が広がって、夜間外出禁止前倒し16時に制限される地域も日々、拡大していることから、全く気を許せない状況が続いています。

 今回の日本の緊急事態宣言も緩いと言われながらも、何もせずにはいれない状況のはず。日本は厳しいな・・と思う反面、その厳しさが感染が拡大していると言われている現在でさえ、フランスやヨーロッパに比べては、格段に抑えられている状態なのです。

 この時点で緊急事態で対処する日本は、結局のところ、フランスとは比べものにならないほど、きっちりしているのだと思うのです。

 頑張れ!日本!


<関連>

「海外から見る日本の緊急事態宣言」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_7.html

1 コメント:

岬坂 さんのコメント...

はじめまして。
少し古くなりますが第一波当時のギャラップのコロナウイルスに関する国際世論調査調査のなかに
4.ウイルスの拡散防止に役立つならば、自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない
そう思う フランス84% 日本32% という結果があります。
フランスからみて、この差は何処から来ていると思われますか?
日本が30ヵ国中最下位の理由は何となくわかりますが、フランスがこれ程高いのが意外です。