2021年1月7日木曜日

海外から見る日本の緊急事態宣言

  

 

 ここ数日前から、日本で緊急事態宣言を要請、検討・・というニュースを耳にしてきました。「緊急事態宣言」というのは、「緊急」なのではないのか? 何日、検討しているのだろうか?と思いながら・・。 

 昨年の3月にヨーロッパでのコロナウィルスの感染拡大が始まって以来、コロナウィルスが蔓延し始めたことが公になって、フランスは、あっという間にロックダウンになりました。(フランス政府では、どうやら、これは危険な状態であるということは、2週間ほど前からわかっていたそうですが・・)

 1回目のロックダウンは、衝撃的で、突然、生活必需以外の外出は一切できず、学校も閉鎖というほぼ経済が止まってしまうようなロックダウンでした。なぜ、フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まるのか? フランス人は、マスクをしないし、不潔だし、フランスは、これだからいけないんだ・・などと、色々と感じ、考えながら、この一年を過ごしてきました。

 当初は、ウィルスについても、まるで未知のものであったので、どのように感染が広まっていくのかもわからずに、「日本は大丈夫だろうか?」「日本もコロナウィルスを甘く見てはいけないよ!・・」などと思ったりもしていました。

 しかし、これまで日本は、世界一の高齢化社会であり、人口の過密具合もフランスの比ではないにもかかわらず、フランスのような極端なロックダウンの措置を取ることもなく、自粛要請、緊急事態宣言とあくまでも、国民の規律に頼る形で感染を抑えてきたことは、フランスにおいても、日本の事例や感染症対策を参考に挙げられることも多く、奇跡的なこととして見られてきました。

 そして、私も、このまま日本は、何とかこのコロナウィルスの危機を乗り越えて行くものだろうと思っていました。現在でも1日の新規感染者数を見れば、日本が緊急事態宣言か否かと危機感を高めている数字は、もしも、それがフランスの数字であったならば、もうコロナウィルスはフランスから消滅したとでも言いかねないほどの数字なのですが、どうも日本の報道の様子を見ていると、かなりの緊迫状態のようで、驚いています。

 フランスは、毎日、数万人単位の新規感染者が出ることにももう慣れてしまっていることもあるのですが、日本の医療環境や検査環境の不備の状態には、これが日本なのか?と驚いてしまうこともいくつか聞こえてきます。

 感染拡大を回避するには、日常生活をいかに注意しながら送るかということも大切ですが、注意して生活していても、感染してしまうことも少なくないことから、検査をいかに拡大し、病状が悪化することを防ぐことはもちろんのこと、無症状の感染者が感染を広げることを防ぐことも重要です。

 日頃、フランスで生活していれば、日本では当たり前のことが当たり前にいかないことが多く、大抵のことは、日本の方が数段、便利に合理的にできるので、「ここは日本じゃないんだし、フランスだから仕方ない・・」と諦めることも多く、私の中には、日本の方が優れているという気持ちがあるのです。

 日本の感染者に対するホテル隔離の話なども聞いて、すごいなと思っていたのです。フランスは、陽性になっても自主隔離1週間が普通ですから・・。

 しかし、例えば、肝心のPCR検査に関してなどは、今やフランスでは、薬局でも、誰もが無料で、容易に受けられるものになっていますが、日本は、検査も容易ではない様子。「フランスにできることがなぜ?日本にできない?」と信じ難い気持ちです。

 また、何より、政府の、いつまでも、一方的に国民の善意に頼り続けるはっきりしない曖昧な態度には、やるせなさを感じます。営業時間短縮、営業自粛などを呼びかけ、自粛要請に応じない店舗の店名を公表するなど、強い立場の側から弱い立場の人を吊し上げるなど、脅迫行為、そんなことをフランス政府がしたら、クーデターでも起こりかねません。

 ましてや自粛警察が厳しすぎるほど厳しい日本社会において、そのような店名の公開をすれば、致命的な痛手となることは間違いありません。たまたま日本の友人からのメールに、「フランスは感染者を責める空気がなくて良いですね・・」と書いてあり、なるほど・・と思ったばかりでした。

 みんなが真面目に規則を当たり前のように守っている日本は、素晴らしいなと思う反面、その規則を守ることを皆が見張り合うようなキツキツな感じ、そして、挙げ句の果てには、政府が名前を公表して吊し上げるという緊張状態では、コロナが怖いのか、そんな社会が怖いのかわからなくなってきます。

 これまで、日本が世界から見たら、奇跡的と言えるほどに感染を抑えてこれたのは、ひとえに日本国民の真面目さのおかげであり、この厳しさこそが感染ここまで抑えてこれたのですが、それは日本政府の手柄ではありません。

 緊急と言いながら、ずるずると国民の不安を煽り、国民にお願いばかりの政府は、具体的に1日の感染者数が何人まで下がれば、またコロナ対応のできる病床がどこまで空きがある状態になればなどの目標数値を示し、ここまでになるまで、一緒に頑張ろうと国民に寄り添う熱意ある態度を示さなければ、日本人の緊張状態もそうそう続くものではありません。

 昨日のフランスの新規感染者数は、25,379人、日本は、4,357人、感染が一度波に乗ってしまえば、現在のイギリスのようにしばらくは手が付けられない状態になってしまうので、日本のような狭い土地に莫大な数の人口、しかも多くの高齢者を抱える国で、同じことが起こったら、それこそ大変なことになると思いますが、それにしても、1日、2万5千人以上の感染者を出しながら、日本に比べたら、ずっとのびのびと暮らしているようなフランスに、困ったもんだ・・と思いながらも、どこかホッとしたりもしてしまうのでした。


<関連>

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html





 

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