1月15日(金)にパリ15区・ボーグルネルで14歳の少年が12人の集団によって殴る蹴る、終いには、バットやハンマーまで使って長時間にわたっての暴行を受ける、恐ろしい画像がツイッター上で拡散されて大問題になり、同時に彼への支援メッセージが後を絶ちません。
少年は、複数の友人と共にいましたが、この突然の襲撃に遭遇し、友人とともに逃げる途中で、運悪く転び、彼一人がターゲットにされた模様です。
彼は、その後、まもなく病院に運ばれ、6時間にわたる手術の後、昏睡状態に陥り、意識不明の重体です。彼は、現在も挿管状態で、頭蓋外傷、脳と頭蓋骨の間の血腫、脳挫傷、腕、指の骨折を負っています。
パリ検察庁は、「集団による殺人未遂事件」として、捜査を開始していますが、まだ犯人は、特定されていません。
この事件で私が驚いたのは、この事件のあまりに残酷な暴行の模様はもちろんのことですが、この事件が起こったのが、パリ市内では、特に危険と思われている地域ではなかったことです。
パリ15区は、観光客には、あまり注目される場所ではありませんが、16区ほど地価が高いわけでもないわりには、比較的安全で、在仏日本人の多い地域でもあるのです。
パリ日本文化会館(Maison de la culture du Japon à Paris)などもあり、韓国レストランなどが多い地域でもあります。
何よりボーグルネルと言えば、パリ最大級のモダンなショッピングモールで有名なところで、とてもそんな残忍な犯罪と結びつくようなイメージではないのです。
被害者の少年の母親は、沈痛な面持ちで、しかし冷静な態度で、自らマイクを持ち、テレビのインタビューに答え、まるでレポーターのように、淡々と落ち着いて、息子の被害状況を説明し、「彼は、優等生で、敵を作るタイプの人間ではなく、とても誰かから怨みを買うようなことは考えられません。彼は、一週間昏睡状態が続いていましたが、少しだけ回復の兆しが見え始めました。警察も政府も力付けてくれていて、捜査も進行中ですが、犯人は特定されていません。この事件を目撃した方がいたら、情報を警察に連絡してください」と堂々と顔を出して、訴えかけていました。
思っても見なかった15歳の息子の事件を堂々とテレビの前で冷静に語ることができる母親に感心したとともに、この比較的安全と思われていた地域で、このような恐ろしい事件が起こることに恐怖を感じるのです。
事件の真相はまだわかっていませんが、これが、特に彼を狙ったものではなく、無差別に行われた暴力であったとしたら、それは余計に恐ろしいことでもあります。
コロナウィルスによる様々な制限を強いられているストレスの多い生活が続く中、人々の心も荒れて、犯罪も増加しています。ストレスの発散をこのような暴力的な方法で発散させている一部の人間が、コロナ以外の恐怖を煽っています。
<関連>「ノエルに向けて治安の悪化するパリ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_12.html
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