10万人の警察官を動員して大晦日の夜の外出禁止の警戒をしていたフランス。大晦日のシャンゼリゼは、静まりかえり、取り締まりの警官のみが練り歩く異様な光景で都会の街は空っぽになったように映っていました。
しかし、それは、都会の目立つ場所のみのことで、大晦日以来、ブルターニュ地方のレンヌ南部・リューロンでは、2,500人が集まるレイブパーティー(ダンス音楽を一番中流すパーティー)が行われていました。
パーティーの場所に選ばれたリューロンの倉庫のようなスペースには、31日の夕方から数百台の車が集まり始め、夜通しのパーティーが始まりました。パーティーの参加者は、フランス国内だけではなく、イタリアやスペイン、ベルギーなどの隣国からも人が集まっていました。
警察が介入した時には、すでに簡単に解散させることができないほどの人数になっており、憲兵隊が発砲する事態にまで発展し、警察官25人が負傷しましたが、参加者を傷つけることはできないことから、警察も憲兵隊も手がつけられない状態が続き、一昼夜以上、続いていました。
若者が夜間外出禁止(特に大晦日)に反発して、躊躇なく、屋内でのパーティーをしようとしていることは知っていましたが、まさか、これほどの人数の、しかも国境を超えてまで人が集まるパーティーが行われるなどとは、思ってもみませんでした。
今や、大勢の人が集まっている光景を見かけると、それがたとえ、映画やドラマの中のことであっても、思わずギョッとしてしまう私です。
このレイブパーティーの映像を見る限り、皆、屈託なく、音楽に合わせて楽しそうに踊り、マスクをしている人などほとんどおらず、たまにマスクが見えても顎マスク。ビールなどのアルコールを口に含んで、人に吹きかけている人までいます。これでは、飛沫が飛ぶどころの騒ぎではありません。
このパーティーが行われた地域は、現在、フランスの中で特に感染が悪化している場所には、指定されてはいませんが、この屋内での光景には、思わず第1波が全国に拡大する根源となったミュールーズの教会の集会が頭をよぎります。
この教会の集会もフランス全土だけでなく、海外からも人が集まり、集会の終了後、全国にウィルスを持ち帰って感染をフランス全土に拡散させたのです。
このパーティーが警察や憲兵隊までが容易に踏み込めないことが理解できません。しかし、少なくとも、このパーティーで662人が逮捕、407人が勾留されています。
ただでさえ、ノエルで人が国内大移動し、家族で集い、感染者数も2万人台に増加しているフランスです。このパーティーが解散させられたとしても、全国から集まった人々が、何食わぬ顔をして、それぞれ、自分の地域に散っていくことを思うと恐怖でしかありません。
いみじくも、ブルターニュは、現在、娘がスタージュのためにここ半年間、滞在している地域です。娘がこのパーティーに参加してはいなくとも、この地域でクラスターが起これば、危険も高まります。他人事ではありません。
ロックダウンや夜間外出禁止に反抗する気持ちはわからないではありませんが、今は、それが許されない状況なのです。結果として、自分たちの行動がさらに厳しい制限やロックダウンを招いていることをわからないバカが大勢いることに憤りを感じます。
なぜ、いつまでもレストランが営業できないのか? 映画館や劇場も営業できないのか? こんなことをしていては、いつまでも、フランスに日常は、戻ってきません。
年末は、よく日本語でも、「年忘れ○○」などと言いますが、昨年起こったコロナウィルス感染の惨状は、まだ、忘れてはいけない出来事なのです。このパーティーでは、1200人以上が罰金を課せられましたが、お金を払って済む問題ではありません。
2日の夜には、このパーティーの主催者は逮捕。10年の投獄と750万ユーロの罰金の可能性があるそうです。しかし、このパーティーがもたらした被害はあまりにも大きいのです。
やっぱり、フランスは、大晦日の1日だけでも、夜間外出禁止ではなく、ロックダウンにすべきでした。
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