2021年1月9日土曜日

ロンドン重大インシデント宣言 英国変異種の脅威

 


 昨年末からイギリスでコロナウィルスの変異種が検出されたことが発表されて以来、その変異種の感染率の高さと悪化の速度の速さの驚異から、多くの国がイギリスからの入国禁止等の制限を取り始めていました。

 フランスも翌日には、イギリスからの入国を禁止し、英国とは、人の流れだけでなく、物流も多いフランスは、配送のトラックがクリスマス直前に足止めを食い、多くのトラックが国境付近で何日も夜明かしを余儀なくされる異常な事態が発生しました。

 その時点では、イギリスの変異種の威力がどの程度であるのかは、具体的には、わかりにくい状況でした。

 しかし、ここ数日のイギリスの感染状況は、かなり深刻な状況になっており、感染拡大が止まらない状況のようです。

 イギリスの感染状況は、日々、記録を更新しており、昨日は、1日の死者が1,325人、新規感染者数は、68,053人を記録し、ロンドンでは、病院での医療体制が崩壊寸前であることから、「重大インシデント宣言」が発令されました。

 すでにロックダウン状態のイギリスで、さらに強い宣言が出されるのですから、その被害状況がいかばかりであるかがわかります。

 フランスでもこのイギリスからの変異種の感染者は出ているようですが、現在のところは、この変異種によるクラスターは、2件。しかし、この変異種がイギリスで発生してから、現在の感染拡大に至るまでは、2ヶ月間かかっており、フランスの場合も決して安心ができる状態ではありません。

 すでに、フランスでのこの変異種の感染者は、イギリスに行ったわけでも、イギリスから来た人に関わったわけでもない感染経路不明の人が多いのです。ということは、すでにフランスにこの変異種がかなり広まっているということなのです。

 フランスの感染状況も数字的には、新規感染者2万人前後のまま、横這い状態ではありますが、北東部を中心に悪化している地域は拡大しており、夜間外出禁止が午後6時に前倒しになる10地域が追加されています。

 フランス全体を見ても、新規感染者数の横這い状態をよそに、昨年の11月23日以来、フランス全土にわたり、感染警戒アラート値を超えてしまいました。

 この不釣り合いな数値(新規感染者が横這い状態なのに警戒アラート値が増加する状態)は、ノエル前に比べて、検査を受けている人数が圧倒的に減少していることから来ているのではないかと私は、思っています。

 12月の感染者数は、ノエル前には、家族との集まりの前になんとか安全にクリスマスを過ごそうと考えていた人たちが最大限検査を受けた結果の数値であり、現在は、一先ず、バカンスにも出かけないし、家族との集まりもないために、検査を受ける人も大幅に減っているわけで、実際の感染者が検査を受けないままに感染者にカウントされていない極めて危険な状況であるような気がしてならないのです。

 現在は、ワクチン接種も急加速して進められる中、ファイザー社やモデルナ社は、イギリスや南アフリカでの変異種に関してもワクチンの有効性は変わらないことを発表しています。

 すでに世界に蔓延しているコロナウィルス、そしてイギリスの変異種の感染拡大、それらを追いかけるように進められているワクチン。次から次へと現れる脅威にワクチンが打ち勝つことができる日は、まだまだ遠い気がしています。


<関連>

「イギリスからの入国禁止に踏み切るフランス コロナウィルス変異種警戒」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_22.html

「コロナウィルス変異種感染拡大によるイギリスからの入国制限が引き起こした混乱」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_24.html

0 コメント: