フランスでは、ディエップ(ノルマンディー地域圏)の病院で、医療従事者141人と患者123人にコロナウィルス感染が拡大するクラスターが発生しています。病院でのクラスター発生は、深刻な事態です。
ディエップは、イギリス海峡に面した港町で、この港町の病院での急激な勢いでのクラスター発生には、イギリス変異種の影響が強いと見られています。
この病院では、医療従事者の感染に加えて、コロナウィルスによる入院患者の増加により、緊急ではない手術の30%は、延期せざるを得ない医療逼迫状態に追い込まれています。
なぜ、ここまで感染が拡大してしまったのか? しかも病院で、医療従事者の間で・・。
フランスでは、これまでに96万人へのワクチン接種が行われていますが、最優先されているのは、あくまでも高齢者で、医療従事者に対しても50歳以上という制限がつけられています。
コロナウィルスの治療の第一線で働く、感染リスクが最も高いと思われる医療従事者に対して、ワクチン接種に年齢制限が敷かれていることは、おかしな話です。医療という現場で働く人々は、たとえ感染して重症化する可能性が低かったとしても、感染を拡げてしまう可能性があるのです。
感染拡大が進んでいる今は特に、彼らこそがワクチン接種を優先されるべきなのです。
これに関しては、日本は、未だワクチン接種が開始されていない状況ではありますが、政府が示しているコロナウィルスワクチン接種の方針では、医療従事者へのワクチン接種を最優先にしていることは、とても賢明なことだと思っています。
ましてや、現在、フランスは、ワクチン接種の拡大に懸命になっているものの、ワクチンの供給が間に合っていない状況で、ワクチン接種を急ぐばかりで空回りしている感が否めません。
現在、ワクチン接種の権利がある75歳以上の一般の高齢者でさえも、予約を取るのも大変で、家から遠い場所に行かなければならなかったり、やっと予約が取れて出向くと、ワクチン切れの状態だったりするアクシデントも起こっています。
フランスの感染状況は、劇的な感染悪化ではありませんが、徐々に、しかし、確実にじわじわと悪化している微妙で危険な状態が続いています。波が急激に高くならずに徐々に上昇している状況は、知らず知らずのうちにわかりづらい形で自覚しづらい状態で、悪化しているだけに、余計に始末が悪いとも言えます。
とはいえ、余程のことがない限り、継続すると言っていた学校も、クラスター発生のために閉鎖される学校が増え始め、もはや3回目のロックダウンは避けられない状況であると、誰もが思っています。
政府は、夜の外出禁止を18時に前倒しした効果が現れることに僅かな期待を抱いているようですが、現実的には、感染悪化の顕著な数字が表れるのを待っているような状態で、同時に、3回目のロックダウンをどのような形にするのか(制限の内容や地域、方法、期間など)を手探りしているようです。
夜の外出禁止を18時に早めたことで、スーパーマーケットなどの店舗は、朝7時半からの時間前倒しの営業に切り替えたり、日曜日も営業するなどのフランスとしては、異例の対応を取り始め、必死にこの制限に対応していますが、そこまでしても感染の威力は、一向に抑えることができないことは、歯痒いばかりです。
ワクチン接種が現在、多くの国ではリスクの高い(致死率の高い)高齢者を中心に必死で行われているのが、果たして正しかったのかどうか? と、私は思い始めています。
感染の抑制をワクチンに頼るならば、医療従事者はもちろんのこと、仕事に出なければならない人々、感染を拡げる可能性の高い人々こそがワクチンを接種しなければならないのではないだろうか?と、チラと頭をかすめたりしているのです。
しかし、現在のところ、ワクチンの効用性もどの程度なのかは、まだわかりません。即効性があるのかどうかもわからないし、かなりの割合でワクチン接種が進んでいるイスラエルでさえも感染の拡大は止まっていません。
フランスの専門家は、このままの状態を続ければ、3月には、フランスは、再び、昨年同様、あるいは、昨年以上の壊滅的な状況が怒ると警告を発しています。
人々が感染回避の努力をすれば、その形を変化させながら、威力を発揮し続けるコロナウィルスにどうしたら、人間は打ち勝つことができるのか?
3度目のロックダウンで3度目の正直・・感染を止めることができるのか? オリヴィエ・ヴェラン保健相は、今年の8月末までにフランス人全体のワクチン接種を終える予定であることを発表しています。
あくまでも予定ですが・・。
<関連>「ワクチン問題、さらに混乱状態のフランス」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_6.html
「フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_12.html
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