2026年7月14日火曜日

必用であれば血を流す覚悟もある・・ マクロン大統領 パリ祭前日の演説

  


 残る任期が1年を切ったマクロン大統領にとって、今年のパリ祭は大統領としての最後のパレードになります。

 そんなパリ祭(革命記念日)の前日、毎年、恒例の軍へ向けてのマクロン大統領の演説は、軍に向けてということもありますが、一般市民としては、少々、引いてしまう強烈な内容を含むものでした。

 マクロン大統領は、ブリエンヌ宮殿で行われた演説の中でフランスが取り組んできた主要プロジェクト(国家予算(軍事)の倍増、国家再軍備、若者の役割、平和維持活動)について言及しました。

 特に、軍事予算に関しては、「当初2030年に目標としていた軍事予算640億ユーロを2027年に前倒しするように要請し、2027年に640億ユーロということは10年間で倍増することを意味する」と胸を張りました。

 現在のヨーロッパで軍事力強化が必用であることは理解できるのですが、毎回、思うのですが、マクロン大統領の大盤振る舞い?的な感じが、どうにも大変な赤字を抱え、緊縮財政構築のために、一時期、短期間に何度も首相を交代する事態にまで陥った国難といえる時を過ごしている状態としては、どうにも不協和音を感じずにはいられない気がしてしまうのです。

 まあ、軍に向けての演説なので、ことさら軍事力強化について熱く語っているところはあるとは思うのですが、なかなか心穏やかに聞けることばかりではありません。

 中でも、「フランスは国際法と集団安全保障にコミットする信頼できるパートナーであり続ける」と強調したうえで、欧州全体として、「欧州は構成国を信頼し、主権を尊重しつつ、自衛の責任を負い、団結して行動することで強国へと成長しつつあります。長らく欧州を蝕んできたナショナリズムに陥ることなく、加盟国の愛国心を結集し、共に行動することで全員がより強くなる欧州です。」と述べました。

 そして、極めつけは、「私たちが世界に向けて発信するメッセージは、『平和こそが私たちの目標であり、自由と法の尊厳を重んじ、必用であれば血を流すことも厭わず、常にそれらを守るために戦う覚悟がある』」という文言です。

 「平和のために血を流すことも厭わない・・」なかなか強烈でした。

 まあ、見方を変えれば、フランス国歌「マルセイエーズ」の歌詞みたいな気もしないこともありませんが・・。

 そして、もうひとつ、2025年に発表された国家奉仕制度(志願制かつ選抜制の18歳から25歳の若者を対象とした兵役制度(学位の有無不問))が本年2026年9月にスタートするそうです。

 なんだか、グングン軍事国家になっていくようで、不穏な気持ちです。


必用であれば血を流す覚悟もある


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2026年7月13日月曜日

猛暑によるフランス国内の一部の原子炉停止が及ぼす影響

  


 EDF(フランス電力)は、猛暑のため、ガロンヌ川沿いのゴルフェック原子力発電所2号機、ローヌ川沿いのビュジェ原子力発電所3号機、ムーズ川沿いのショー原子力発電所2号機、計3基の原子炉を停止したと発表しています。

 また、その他、8基の原子炉が現在、出力を下げて運転されています。(サン・アルバン、ブライエ原子力発電所、ビュジェ、ショー、トリカスタンの各原子力発電所)

 これらの措置は、河川への熱放出を抑えるために行われているものです。

 実はこの措置は6月の猛暑の際から執り行われているもので、猛暑による原子炉の運行停止という措置です。

 フランスでは猛暑によって河川温度が上昇すると、原子力発電所は環境規制(温排水で河川生態系に悪影響を与えないため)に従って出力を下げたり、一時停止したりします。

 原子力はフランスの発電の約7割を担うため、出力停止は市場への影響が大きくなり、不足分は天然ガス火力などで補う必要があり、フランスやドイツの卸電力価格は大きく上昇する可能性を孕んでいます。

 フランスは通常、欧州最大級の電力輸出国で原子力の出力が落ちると、英国、ベルギー、ドイツなどへの輸出余力が減少し、欧州全体の電力需給がひっ迫する可能性があります。

 卸電力価格の上昇は家庭や企業の電気料金に転嫁される可能性もあり、特に冷房需要が急増する時期と重なるため、エネルギーコストがさらに増加します。

 猛暑による原子炉停止は河川水温の上昇のためですが、このような理由での原子炉停止の措置は、2003年、2018年、2022年にも発生していますが、まさか、猛暑で原子炉を停止しなければならない事態とは、これは深刻な話です。

 現時点では、フランスの送電会社やEDF(フランス電力)は、他の原子炉、火力・水力発電、欧州域内での電力融通を活用して需給バランスを維持しており、広範囲な停電などは発生していません。

 ただし、電力供給の余裕は通常よりも少なくなり、電力価格の上昇やガス火力への依存増加という形で社会的影響があらわれているのです。

 

猛暑による原子炉停止


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2026年7月12日日曜日

真夏のオランジュリー美術館

  

 

 猛暑が少しおさまっていた頃に、つい、うっかり、どこか近場の美術館に行きたいな・・と思って、できれば、モディリアーニの絵がみたいな・・と調べたら、現在、確実にモディリアーニの作品が展示されているのは、パリではオランジュリー美術館だということで、オランジュリー美術館に行くことにしました。

 通常ならば、予約なしでも行けないこともないのですが、今はバカンスシーズンに入っているし、この暑い中、延々と並ぶのも嫌だったので、まあ、予約しておこうかな・・と思い予約を入れました。

 直近で空きのあったのは、1週間後くらいだったのですが、まさかこんなにまた暑くなるとは思わずにうっかり予約してしまいました。予約の直前になって、また猛暑がぶり返してきたわけですが、ついうっかり予約してしまったので、行かないわけにもいかず、また、行ってしまえば中は涼しいので、「まっいいか!」と行ってきました。

 予約して出かけたのは、不幸中の幸いというか、現在、猛暑のために事前予約以外は受け付けないということになっていて、ずいぶんたくさんの人が泣く泣く帰されていました。



 ルーブル美術館は夏季(7月8月)は、もともと事前予約以外は受け付けていませんが、オランジュリーは当日でも多少、並べば入れたのです。今年は猛暑のための例外ということでした。

 また、ルーブル美術館の方はたとえ、事前予約があったとしても、かなり並びます。(オランジュリー美術館の方は事前予約があれば、ほとんど並びません)

 美術館内に入ってしまえば、館内はこのうえない避暑の場所でもあり、冷房もちゃんと効いていて、暑くもなく、寒くもなく、美しいものに囲まれて、まさに天国です。

 私がオランジュリー美術館が好きなのは、有名なモネの睡蓮の絵の部屋なども好きなのですが、家からあまり遠くなく、中を見て歩くのに、ちょうどいい大きさで、美術館の周囲もチュイルリー公園、コンコルド広場、シャンゼリゼと、まさにパリそのものの美しい景色に囲まれたロケーションということもあります。




 現在は、アンリ・ルソーの特設展をやっていました。ルソーに関して言えば、そこまで詳しく知っている画家ではありませんでしたが、それでも、「あっ!この絵、どこかで見たことあるかも?」というような有名な絵があることも、飽きずに見れてしまう空間です。








 パリの美術館を色々と見ていると、最近、感じるのは、ただただ、絵が並んでいるというだけではなく、その展示の仕方、飾り方がスマートで洗練されたものであるところがとてもすごいな・・と思います。

 ある程度、こじんまりとしたスペースを使って、部屋中を大きく取り囲むような展示の仕方、バックの壁の色、ライティングなども素晴らしいな・・と思うのです。

 私のお目当てだったモディリアーニの作品ももちろん、しっかりありました。私は絵のことは、専門的には全くわからず素人なので、どこがいいのかわからないのですが、なぜか好きというそれだけなのです。



 一年中を通して、美術館は私の好きな場所で、わりとよく出かけますが、この暑い時期の美術館は涼しいし、格別なものです。心地よい美しいものに囲まれた空間は、心の奥底が癒される気がする場所です。


オランジュリー美術館 Musée de l'Orangerie Paris 

Jardin des Tuileries 75001 Paris 


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2026年7月11日土曜日

最近、あらためて実感している・・日本のエアコン・空調システムはスゴいんだな・・と

  


 また、パリには熱波がやってきて、これがまだしばらく続きそうな予報を見ていて、心底、ウンザリしています。

 家の中では、もうエアコンなしでも、それなりにエアコンなしで、なんとか頑張る体制ができてきているので、苦しいけど、まだまだなんとか乗り切れそうな気もしているのですが、やはり、家以外、主に公共交通機関の空調管理は、本当にどうにかしてほしいと思っています。

 娘が小さい頃は、学校の長い長いバカンス期間の調整や日本の小学校に体験入学させたかったことなどもあったりして、夏の暑い期間に日本に行かざるを得ない時期もありましたが、娘も成人している今は、真夏の暑い間は、絶対にあの暑い日本には行きたくないと思っていました。

 しかし、今、こうして、パリの夏も厳しくなっている今、一体、日本の夏とパリの夏とどちらが苦しいのか?と思ってしまうことがあります。久しく夏に日本に行っていないので、実感として、湿度も高い日本の暑い夏を忘れていることもあるかもしれませんが、少なくとも、日本では、夏の暑い間に冷房の入っていないバス、電車などの公共交通機関などはないし、どこへ行っても、冷房がしっかり効いているので、その途中の交通機関に辿り着くまでのわずかな時間を耐えることで、なんとか凌げているわけで、もちろん、それでも暑さは厳しいのですが、これまで日本のバスや電車やその他の施設に冷房がしっかり効いている状態をあたりまえのように思っていましたが、ほんとうは、それってスゴいことなんだな・・とあらためて思っています。

 最近の日本は停滞気味で、正直、情けなく思うことが多かったのですが、パリがこの異常な猛暑に見舞われることが珍しくなくなっているこのタイミングになって、あらためて、あの暑い夏を少しでも快適に過ごせるように整えられている様々な設備はスゴいことだったんだなと思っています。

 ここ5年くらいの間に、パリの猛暑は年々酷くなっているにもかかわらず、この空調管理のことは、話題にのぼりつつもなかなか前進せず、例えば、パリおよびパリ近郊のバスに100%冷房車になるのは10年後・・とか言っているので、とりあえず、パリにエアコンがしっかり入るのには、少なくとも10年はかかるということで、それだって、言っているとおりにはならず、ズルズル遅れるのがフランスなので、全く、私の生きているうちにお願い・・と思うばかりです。

 これまで夏にエアコンは必要なかった国なので、進歩しなかったのも仕方がないと言えば、仕方がないのですが、本来ならパリよりも数段、辛いはずの暑さに対する対応をしっかりできている日本ってやっぱりすごいんだな・・と久しぶりに見直す気持ちでいます。

 最近は、来年に迫った大統領選挙の候補者の中で、「自分が当選したら、まず早急に空調システムを整える!」などと公約に掲げる政治家も登場したりしていることには、ビックリです。


日本のエアコン・冷房


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2026年7月10日金曜日

Uber EatsとDeliveroo 午後2時から午後6時までの最も暑い時間帯の配達を停止

  


 フードデリバリー業界の二大巨頭であるUber EatsとDeliverooは、猛暑警報が発令された地域では、午後2時から午後6時までの最も暑い時間帯の配達を停止すると発表しました。

 これは労働大臣が労働者保護のための対策を講じるように両社に要請したことを受け、猛暑警報が赤色に発令されている地域で午後の配達を停止することを決定したものです。

 自転車による配達の一時停止は、「当社のプロトコルに追加されるものである」とUber Eatsは述べており、一部の提携レストランが提供する飲料水へのアクセスを容易にするシステムも含まれています。

 Uber EatsとDeliverooの発表を受け、労働大臣は「重要な一歩が踏み出された」と述べていますが、補償として収入の代替措置は予定されていません。

 たしかに、このような姿勢は必要なことかもしれませんが、そもそも、午後2時から午後6時までは比較的、注文が少ないと思われる時間帯。そのうえ、フランスの場合、もっとも暑い時間帯は午後5時頃から7時頃。

 なにもしないよりはマシなのかもしれませんが、そもそも、あまり配達の需要がない時間を停止しておいて、もっとも暑い時間に配達を再開させる・・そして、いかにも配慮してます感をアピールする感じがして、どうにもしっくりきません。

 そのうえ、配達をできなくなる時間帯、収入が途絶えるわけですから、その分の補償なしということは、別の意味で苦しいことになりかねません。なんかズレてる感じ・・。

 Uber EatsとDeliverooの配達員にとっては、微妙な措置なのではないかとも思われます。

 猛暑の中の仕事という意味では、私は工事現場などの作業員にとってもかなりきついことだと思っていました。私はただ歩くだけでもフーフー言いながら歩いている横では、年度末ということもあるのか、やたらと今時期、工事が多いことが気になっていました。

 しかも、年度末で予算を使い切るためのような、「こんなの掘り返して、これ?本当に必要なの?」と思うような工事も少なくありません。Uber Eatsとは違って、労働時間も長く、アスファルトの照り返しがきつい中の作業は、本当にきついのではないかと思っていました。これこそ、猛暑の中での長時間にわたる作業ですから、労働者保護の措置が必用なのでは?と思います。

 しかし、Uber Eatsにしろ、工事現場にしろ、仕事をしなければ、収入が途絶えるわけで、仕事を全面的にストップするわけにはいかないのでしょうが、どちらにせよ、しんどい話だなと思います。

 Uber EatsとDeliverooに関しては、政府は提携レストランに対し連帯を示すように呼び掛けていますがレストラン側からしても、今やUber EatsとDeliverooは大きな収入源でもあり、これを時間限定とはいえ、停止するということは痛手だろうな・・と思います。

 前回の6月末の強烈な猛暑は1週間ほどでおさまりましたが、今回、ふたたびやってきている猛暑は、それよりももっと長引く気配。

 フランス気象局は、現在72県にオレンジ色の熱波警報を発令し、深刻かつ長期にわたる熱波を予測しています。

 

Uber EatsとDeliveroo 


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2026年7月9日木曜日

急に思い立ってパリ・プラージュ散歩

  


 また、熱波が迫りくる・・というより、もうすでにやってきているパリですが、前回の猛暑に比べると、今週はまだ少しはマシ・・。とりあえず、今のところは、夜中のうちに気温がある程度、下がってくれているので、朝のうちは、まだ過ごしやすい時間が存在しています。

 それも、早めの朝の時間だけなので、動くなら、午前中の早めの時間帯・・と思って、久しぶりにパリ・プラージュを歩いてきました。



 2002年以来、たぶん、ほぼ毎年やっているパリ・プラージュですが、私は毎年、行っているわけでもなく、今回も数年ぶりな感じです。


 まだ暑くならない朝の時間帯だったので、人もあんまりいないだろうと思ったものの、けっこう人が来ているもので、特に自転車でビュンビュン飛ばしている人(単に通勤経路にしている感じの人から、サイクリングをしている人など)や、ジョギングをしている人、お散歩をしている人、また、セーヌ川の遊泳場に泳ぎに来ている人など、それぞれにセーヌ川沿いのパリ・プラージュを満喫していました。


 何回見ても、ここで泳ぐのは、私にはちょっと抵抗があります。(だって水がみどり・・)フランスはバカンスに突入しているため、小さな子どもを連れたパパの姿もあり、しかし、入口には、一応、年齢のチェックというのではなく、身長のチェックポイントがあって、この線よりも大きくなければ入れない・・ということになっているようで、たまたま居合わせた小さな男の子は、「今年はまだ、ダメだね・・来年になったらきっと入れるよ・・」と言われていました。

 中にはおそらく育休中の、なかなか素敵な若いパパが生後1カ月にも満たないほどの赤ちゃんにミルクを慣れない手つきでミルクをあげていたりもしている姿は微笑ましいかぎり。




 パリの街中で、この暑さの中救われるのは、街路樹がけっこう多くて、緑に覆われて木陰になっている部分がけっこうあることです。しかし、セーヌ川沿いとなると、そこまで街路樹は多くなく、しかし、朝の時間帯ならば、ふつうに車やバスなどが走っている車道からは、階段で降りていく感じになっているため、その突堤というか壁の部分が日陰を作ってくれています。



 ほぼ、以前に行ったときと大きな変化はありませんが、給水ポイントが以前よりも増えたことと、給水ポイントのような感じで、お水ではなく、日焼け止めが出てくるようになっているポイントなどもありました。

              


 ところどころに公衆トイレが設置されていましたが、かなり匂うところもありました。美しいパリ・プラージュにこの匂い・・なんか逆にパリっぽい気もします。

  


 しかし、朝、比較的早い時間帯ということもあったのでしょうが、思いのほか、川辺というものは涼しいもので、一般道のようにアスファルトに囲まれていない場所というのは、それだけでも少しマシなのかも??と思いました。

 あちこちに置かれたデッキチェアで昼寝をしている人もいれば、本を読んでいる人もいれば、昼寝というよりも、ひょっとしてこの人、昨夜から寝てる?と思うほど爆睡している人・・またテーブル・ベンチ・パラソル尽きのスペースでは、朝ごはんを持ってきて食べている人たちもけっこういて、なんか、以前に来たときよりも、生活に根付いている感じがあるな・・と思いました。

 

パリ・プラージュ2026 PARIS PLAGE 2026


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2026年7月8日水曜日

ETIAS(電子渡航認証システム)の導入 2027年に延期される見込み

  


 ビザ免除対象の非EU圏からの渡航者がEUに入国する際に必要となる電子渡航認証システム ETIASの導入は、2026年末までには導入される予定になっていましたが、依存する生体認証出入国システム(EES)の深刻な不具合と遅延のため2027年に延期される見込みとなりました。

 この新しいシステムは英国、米国、その他の第三国を含む、EUへの渡航を希望する約14億人のビザ免除対象者に影響を与えます。日本もこれに含まれます。

 米国のシステムに倣ったこのシステムでは、オンライン申請、出発前のセキュリティチェック、そして出発前に20ユーロの支払いが必用になります。

 今回の延期は主に、指紋認証と顔認証を用いて非欧州圏からの旅行者の出入国を電子的に登録する生体認証欧州出入国システム(EES)の導入中に発生した問題によるものです。段階的な導入により、複数の空港で長蛇の列が発生し、夏季シーズン突入とともに、航空業界内で懸念が高まっています。

 ただでさえ、この時期、空港は長蛇の列・・このような不具合のためにさらに列の長さが延長されるようでは混乱は免れません。

 本来ならは4月10日から本格稼働する予定だったこのシステムは、数々の技術的な不具合に見舞われています。なかには、100人以上の乗客が乗り遅れる事態も発生しています。

 まだ、公式発表はされていませんが、システム開発を担当する欧州機関(EU-LISA)は、ETIASの年内導入はもはや不可能であることを認めています。

 欧州委員会はシステムの正式は発効日を設定する責任を負っていますが、EU-LISAによる技術テストの検証が完了して初めて発行日を設定できます。しかし、IT関連の問題が依然として残っており、年内導入は不可能というのは、もう避けられません。

 また、欧州委員会によれば、これはシステム上の問題だけではなく、人員不足やインフラ整備の不備など、出入国管理システムとは無関係な他の要因が遅延の原因となっている可能性があることも示唆しています。

 この生体認証システムの導入は、まさに難航を極めているといってよく、当初は2022年に導入される予定だったが供給問題、技術的な困難、加盟国間での導入状況のバラつきなどにより、導入は度々、延期されてきました。

 ここで確認しておきたいのはETIAS(電子渡航認証システム)とEES(生体認証欧州出入国システム)という異なる2つのシステムが連携して存在しているということです。

 今回のETIASの不具合は、複数の主要な欧州国境システムを同時に導入することの難しさとも言われていますが、これに対してEESは国境通過時に機能し、出入国を記録するものです。

 一方、ETIASは、出発前に必要なもので、ビザ免除対象の旅行者は対象となる欧州諸国へのフライトに搭乗する前に、電子認証を取得する必要があり、システムが稼働すれば、航空会社は乗客がこの認証を取得していることは確認しなければならなくなります。

 つまり、旅行者側からすれば、このシステムがよっぽどスムーズに稼働してくれなければ、面倒なステップが増えるということになります。少なくとも、このために出費がかさむことだけは確かです。

 とりあえず、年内は、これが導入されないということは、旅行者にとっては朗報なのかもしれません。


ETIAS(電子渡航認証システム)の導入延期


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