3月初旬にリールの研究者らが発表した科学論文で、アルツハイマー病の発症と進行における細胞の関与が初めて明らかにされたとして、この発見により、発症前であっても早期介入が可能になるという希望が生まれたと注目されています。
これは、神経科学と認知科学の研究者であるヴァンサン・プレヴォ氏の指導の下、フランスの国立保健医療研究所(INSERM)、リール大学、リール大学病院(CHU)によって行われた研究です。
アルツハイマー病は、記憶と学習を司る脳領域である海馬に位置するニューロン(神経細胞)のゆっくりと進行する変性によって引き起こされます。徐々に変性は脳全体に広がり、記憶、日常的な作業の遂行、空間と時間の見当識に問題が生じます。
アルツハイマー病患者に共通する特徴の一つは、主にニューロンに存在する「タウタンパク質」(神経細胞の中で物質を運ぶ仕組みで脳の神経細胞の構造を安定する役割)の異常な蓄積で、通常は少量が分泌されて血液中に排出されますが、アルツハイマー病患者のタウタンパク質の構造は変化し、ニューロン内で正常な機能が果たせなくなり、血流から適切に排出されないタウタンパク質はニューロン内に蓄積し、脳機能を阻害し、徐々にニューロンの変性を起こし、認知機能の低下に繋がるということです。
ここでリール大学は脳と身体の他の部分との間の重要な情報交換を担っている「タニサイト」が重要な役割を果たし、タニサイトがタウタンパク質の輸送に関与し、脳脊髄液からタウタンパク質を補足して毛細血管へ輸送していることを発見したと発表しています。
もう一つの発見はタニサイトが実はタウを脳から除去して血流へ輸送する主要な経路であるということです。
マウスにおいて、これらの細胞の活動そ阻害することで、研究者たちは、アルツハイマー病の初期段階を発症したことを確認したと説明しています。
そしてアルツハイマー病で亡くなった患者の脳を調べたところ、タウタンパク質を含むタニサイトが損傷していることが明らかになり、断片化された細胞は、もはや血液を脳性髄液に適切に結合できずにタンパク質の必用な排出を妨げていました。
この発見により、「タニサイトが断片化する前に生活習慣の改善や薬物療法などを通じて早期介入を行い、タニサイトの窒息に対処することで、発症リスクを低減することが期待できると言われています。
将来的にはこの発見はアルツハイマー病の予防に役立つ可能性はあるものの、現時点では、治癒できる可能性は低いとも言われています。
現在、フランスでは約90万人がアルツハイマー病に苦しんでおり、現在の薬物治療やケア活動では、アルツハイマー病を治癒することはできず、認知機能低下の症状を遅らせることしかできていません。
アルツハイマー病のメカニズム
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