パリ刑事裁判所はエリゼ宮から約100点の食器が盗まれた事件について、これに関わった人物らに判決を下しました。
驚くべきことに、この盗難事件の実行犯はエリゼ宮の大統領官邸財務担当官でした。
この事件では3人の男が有罪判決を受けていますが、当然、一人はこの食器を盗んだ男、もう一人は盗品をオンラインで販売する仲介を務めた実行犯のパートナー(食器販売会社のマネージャー)、そして、その盗品の主な購入者であった男(当時、ルーブル美術館受付係)という3人です。
この事件はセーヴル国立磁器工場がエリゼ宮のモノグラム入りの皿がオンラインで販売されているのを発見したことから発覚。大統領府執事は銀食器やポリアコフ、アレチンスキーなどの芸術家の複数の品物が紛失していることに気付き、告訴していました。
捜査はすぐに、倉庫の鍵を直接管理できる唯一の人物であった男(国賓晩餐会のテーブルセッティングも担当)に焦点が絞られ、捜査官は彼のロッカーと車内を捜索し、盗品を発見しました。
2月下旬の公判では、彼は「盗んだ食器を自宅で飾るつもりだった」と説明していましたが、捜査はすぐに転売ネットワークの存在を突きとめました。そもそも、この事件はオンライン上でエリゼ宮のモノグラム入りの食器が販売されていることにより発覚したのですから、そんなことがバレるのは、時間の問題だったわけです。
この男のパートナーである転売者は、Vinted のビジネスアカウントやFacebookの専門グループでの販売などを通じて、盗品を販売していました。
そもそも、エリゼ宮の食器には、番号が振られており、エリゼ宮のモノグラムが刻印されているため、公式ルート以外では、販売することができません。
しかし、この主犯の男はエリゼ宮の中にいたために、目録を偽造することが可能だったわけで、これらの偽造目録とともに盗品を捌いていました。
さらに、驚いたことにこの判決は、裁判長が判決の言い渡しの際に「犯行期間、盗まれた品数、そして、それらの金銭的、歴史的価値を鑑み、本件は重大な犯罪であると判断した」と説明しているにもかかわらず、量刑は私の想像以上に軽いものでした。
推定被害総額37万7370ユーロと言われるこの犯罪の実行犯には、加重窃盗罪として懲役24ヶ月(うち12ヶ月は執行猶予)の判決を受け、電子監視ブレスレットを装着した自宅軟禁刑と罰金1万ユーロ、3年間のエリゼ宮への立ち入り禁止、高級品オークションへの参加を永久に禁止の判決が下されました。
電子監視ブレスレットを装着するとはいえ、実質的には、投獄されることはないわけです。罰金1万ユーロにしたって、これまでどれだけ盗品を捌いて利益を得てきたかを考えれば、安すぎる気がするし、しかも、エリゼ宮立ち入り禁止が3年間だけなんて!ふつう、永久に立ち入り禁止でしょう!と思いませんか?
彼のパートナーもほぼ同等の刑(懲役24ヶ月、うち16ヶ月は執行猶予)です。
なんなら、コレクターであったこの盗品を購入して起訴された男は、懲役1年(執行猶予付き)とはいえ、気の毒といえば、気の毒で、彼は疑念を抱きながらも、これらの盗品のために1万5千ユーロを費やしてしまっており、なんなら被害者でもあるわけです。
なんとなく、モヤッとするする判決でした。
エリゼ宮の食器盗難事件
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