2026年10月17日土曜日

パリのメトロの通路はやたらと歩くし、上り下りが多い

  


 私自身は、もう慣れてしまったので、そこまで気になることはなかったのですが、日本から来た人などには、驚くことがいっぱいあるようで、そのひとつは、やたらと歩くところが多いということです。

 どこかの駅で違う路線に乗り換えたりする場合、同じ駅内でも別の路線のホームまで移動するわけですが、アクセスがしやすい路線というものもあるには、あるのですが、そう遠くないにしても、途中で階段を上って、またすぐ下りて、「じゃあ、さっき、なんで上がったのよ!」と思うようなところがけっこうあって、細かな通路を渡り歩かなければならない場合が多いです。

 エスカレーターがない駅も多いし、あっても故障中というケースも多いし、ホント、健脚じゃないと、メトロの移動は厳しいだろうな・・と思うことがあります。

 それでも不幸中の幸いは、例えば、ベビーカーを押していて、階段の前で立ち往生している人がいたりすると、スッとどこからか人が表れて、ひょいとベビーカーを持ち上げて階段を上ってくれたりして、その後は、何ごともなかったようにスマートに立ち去っていく人がけっこういるので、本当に困っている人は見たことはありません。

 私でさえも、重い荷物を持っていたりすると、「手伝いましょうか?」と声をかけてくれて、重い荷物を持って上がってくれたりする人があらわれることが多いので、優しいな・・と好意に甘えてしまいます。

 とはいえ、ムダな上り下りが多いメトロの通路には、遭遇するたびに、また・・ここもだ・・と軽くウンザリします。

 パリのメトロは1900年に開通したそうで、その後、路線が段階的に増えてきています。1号線から今のところ14号線、15号線(これは2026年10月開通予定となっていますが・・)、この先、16、17、18号線まで計画・建設が進められています。

 多少の例外はありますが、このため、後からできたものほど、奥深く掘っているため、階段が多いことになります。ただし、最近、出来ている駅に関しては、エスカレーターがしっかり完備はしていますが、その駅との乗り継ぎの路線とのアクセスとなると、路線ごとに違う深さで作られていることもあり、また、パリの地下には、古い建物の基礎、上下水道、地下室、他の路線のトンネルなどが入り組んでおり、高さが一定にはできずに、上がったり、下がったりが多くなっているのです。

 もともと別々に作られた駅を乗換駅として接続した場合、最初から一体設計された駅のように平らでまっすぐな通路にするのは困難なのだそうです。

 また、古い駅になればなるほど、エスカレーターやエレベーターを後付けしにくいということもあり、こんなに階段上る??と心底、ウンザリする駅もあります。

 しかも、螺旋階段のようになっていて、終わりが見えず、延々と上らなければならない駅もあります。

 総合的にいえば、乗り換え客の歩きやすさよりも、各路線を建設できる場所に通すことが優先された結果ということらしいです。

 これは、メトロの階段問題だけでなく、あらゆる面において、顧客の便利さとか、使いやすさといったことに対する配慮が欠けている・・と感じることが多いのです。

 これも私が日本(東京)で生まれ育って、日本の清潔で便利な環境がごくごく当然のこととして、育ってきたので、いちいち「え~~?」と思うのであって、パリの人は、「これはこういうもんだ・・」と素直に受け入れている感じがします。


パリのメトロの階段


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2026年10月16日金曜日

私のいない日本での娘と私の友人

  


 友人から、突然、LINEで写真が送られてきて、「サプライズー!」と書いてあったので、ふむふむ、どんなサプライズなのかと思ったら、写真には、その友人とそのパートナーともう一人・・なんと、娘が映っていて、ホントにサプライズでした。

 どうやら、写真は彼女の家のような感じ(といっても私は、大昔に一度おじゃましたくらいなので、全くどんなお家だったかは覚えていない)で三人がニッコリ笑っています。

 私の友人と娘は面識はあるし、私が日本に帰国した際などに、一緒にでかけたりしたこともあったし、それこそ、娘が小さい頃には、私は日本に帰国時も(母がすでに心臓の具合があまりよくなかったこともあって・・)どこに行くにも娘を連れ歩いていたので、私が帰国時に友人に会ったりしている場所には、常に一緒にいたので、自ずと、私の親しい友人は、全員、娘のことを知っているわけです。

 とはいえ、娘が大きくなってから、また、一人で日本で生活を始めてからは、そうそう接点はなく、といっても、娘が日本で生活を始めたばかりの頃には、なにか困ったことがあったら、きっと助けてくれるだろうから・・と、娘と私の友人たちのLINEを繋げてもらっていました。

 以前にも別の友人と彼女がパリに来るときに、友人が託してくれたものがあって、それを受け取りに二人で食事してきた・・とかいうのが、そういえば、あったのですが、今回は、まるでそんな話を事前に聞いていなかったうえ、彼女の自宅。

 そりゃビックリです。

 娘は、そのへんは、妙に腰が軽いというか、食べ物につられて出かけるというか・・あまり、私の友人に私なしで会うということに抵抗がないらしく、今回も、近々、パリに来る従姉妹に言伝てくれるものを受け取りに行ってくれたとのこと。

 なんともありがたい話です。

 しかし、自分自身に置き換えてみるならば、私が母の友人に母ぬきで会って食事する・・なんてことは、想像すらつかなかった話。これまでの経緯があればこそという感じではありますが、不思議な気持ちです。

 以前にも、娘には、「そういうの(私の友人に私なしで会ったりすること)って嫌じゃないの?大丈夫?」と聞いたことがあり、彼女はサラッと「全然・・」とひとこと。

 「美味しいもの食べられるもん!」と。

 思うに、なんなら、私が死んだあとも、彼女たちは、こうして付き合い続けられるんじゃないかと・・。そんな妙な勘ぐりまでしてしまうのでした。

 それもこれも、娘が日本語をふつうに話せるようになっていたおかげ・・日本語教えておいて、本当によかったな・・と思います。

 しかし、嬉しい話です。


娘と私の友人


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2026年10月15日木曜日

半年以上待たされた心臓専門医の予約が・・

  


 もう今や、予約を取ったのがいつだったのかも、よく思い出せないのですが、明らかに予約を取った時点で、「え~~半年以上先じゃん!」と思ったのだけは覚えていました。

 この心臓専門医の予約待ちの長さは、フランスではしばらくは、フランスでは会う人ごとに愚痴っていた気がするのですが、みんながみんな、揃いも揃って、「まあ、そんなもんでしょ・・自分もね・・」とごくごく当然のこととして受け入れられているのです。

 もはや半年以上もたって、よく考えないと、なんで予約取ったんだっけ?(体調不良で、他にも色々検査をした挙句、最後に残っていたのが心臓の検査でした)と思うくらいの予約当日、まず、家のエレベーターが故障していて、階段でえっちら、おっちら、下まで降りることになり(上るときのことを考えながら・・)、「なんだか、今日はついてないな・・」と思いながら、半年以上待った、心臓専門医に向かいました。

 受付で、「今日、11時55分に予約を入れてあるのですが・・」というと、「カルト・ヴィタル(保険証カードのようなもの)を出してください」と。しばらく、受付の人が照会してくれていましたが、どうにも時間がかかり、「なんか、嫌な予感・・」と思っていると、その予感は命中。

 なんと、とっていたはずの予約はキャンセルになっていました。そんなことってある?と思うのですが、フランスだったら、あり得ないことではありません。こんな時は、もう自己防衛本能で、「できるだけ腹を立てないスイッチ」が作動し、すんなりと、「じゃあ、次の予約を入れてください」と涼しい顔をして、言ってのけたつもりでした。

 しかし、次の予約はというと、「来年の4月」ということで、もう半年以上待ちというのは、もういつでも変わらないのでした。

 前回、待たされることになったときには、半年先なんて、もし悪いところがあったら、そんな先なら死んでるよ!と思ったのですが、今度は、さらにまた半年先・・。

 もうどうでもよくなってきました。


専門医の予約待ち


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2026年10月14日水曜日

スーパーマーケットチェーンを襲った新手のサイバー攻撃で300店舗以上が大打撃

  


 サイバー攻撃の話は、わりと頻繁に聞く話で、今や珍しくはない話になっているのですが、たいていは、これまでは、情報漏洩とか、そういった類のものが大半を占めてきました。

 ところが、今回、始めて、冷蔵システムへのサイバー攻撃があり、インターネット、U、ルクレール、モノプリ、カーフールといったスーパーマーケットグループは、冷蔵システムへのサイバー攻撃のターゲットとなり、冷蔵庫、冷凍庫内の温度が最大80℃まで上昇し、大量の商品を廃棄せざるを得ない事態に陥り、中には、火災の被害まで出ているそうです。

 被害を受けたのは、デンマークのダンフォス社製のショーケースで標的となったのは、旧型のショーケースであると主張しています。

 ルコルニュ首相は、「これは前例のない極めて深刻な事態である」と遺憾の意を示し、この件をフランス国家サイバーセキュリティ庁(ANSSI)に付託しています。

 関係筋の情報によれば、被害総額は数百万ユーロに上る可能性があるといいます。

 最も被害の大きかったのは、「インターマルシェ」で、国内の200~300店舗が被害を被っています。

 冷蔵システムへのサイバー攻撃は、これまで前例がなく、そのうえ、これほどの規模の攻撃は初めてのことです。

 このダンフォス社製の冷蔵システムは、逆にいえば、これほど多くのスーパーマーケットチェーンに利用されていたのか?と驚くばかりですが、同社は大手小売店に加え、メトロなどのスーパーマーケットや特に精肉店などの個人経営店も影響が出ています。

 通常、冷蔵システムには、機器に付着した霜を除去する自動霜取り機能が搭載されています。これらの機器は、24時間のうち2時間だけ霜取りを行うようにプログラムできるそうです。しかし、このハッカーたちは、この機能を乗っ取り、温度を50℃に設定して、連続解凍サイクルを強制的に実行させたのです。その結果、冷蔵庫は商品を冷やすどころか、数時間にわたって加熱状態となりました。

 このハッキングの翌朝、早朝に冷蔵庫、冷凍庫をあけると熱風が噴き出したと業界関係者は証言しています。恐ろしい話です。

 一部の店舗では、攻撃は真夜中に始まり、数時間かけて温度が上昇し、最終的に影響を受けた商品は、すべて焼失したと見られます。

 焼失まではしなくとも、この被害を受けた商品は、当然、廃棄せざるを得なくなったわけで、一夜にして、大打撃、その廃棄処分だけでも、大変なことで、しばらく使い物にならないショーケースは、少なくとも、数日間は使いものにならないために、早急に次の仕入れを行ったとしても陳列できないわけですから、被害は雪だるま式に増加してしまうわけです。

 こんなサイバー攻撃、一体、だれが、何のためにやったのか?全くもって疑問ですが、こんな風に、ごくごく身近な生活の一部のものが影響を被ってしまうサイバー攻撃というものは、考えてみれば、他にもたくさんあるのではないか?と思ってしまいます。

 まったく、思っても見ないようなことが起こる時代です。

 先ほど、私がよく行くモノプリを覗いてみましたが、そこは被害を受けてはいなかったようです。


スーパーマーケットの冷蔵システムへのサイバー攻撃

 

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2026年10月13日火曜日

パリでもっとも歴史あるマレ地区の象徴的な市場「マルシェ・デ・ザンファン・ルージュ」火災で全焼

 


 

 昨日の朝、一番で入ってきたのは、「マルシェ・デ・ザンファン・ルージュで激しい火災が発生した!」というもので、これは、私にとってもかなりショッキングなニュースでした。

 すぐには、情報は入ってこなくて、「激しい炎に包まれている!」とか、「エリア全体から高い炎が上がっている!」とか、そんな感じでしたが、マルシェの構造上、エリア全体が燃え上がるなんてことは、途中で鎮火する・・なんてことは、考えづらいわけで、それから、まもなくして、「全焼した・・何も残っていない・・」という知らせが入ってきました。

 ここは、私にとっても、パリで大好きな場所のひとつ、近くを通れば、何も買わなくても、何も食べなくても、ブラ~ッと覗いて歩くだけで、楽しい・・そんな場所でした。

 警察当局によれば、火災発生は午前3時頃、火災報知器が鳴ったのは午前4時15分頃で、消防隊が到着した時には、高い炎が屋根付き市場全体を包み込んでいたそうです。

 約150人の消防士と約50台の消防車が出動し、その後、火災は鎮火したものの、1,000㎡の市場は完全に焼失してしまいました。


 このマルシェは1615年に設立され、16世紀に近くに設立された病院兼孤児院にちなんで名付けられました。フランソワ1世の妹によって設立されたこの施設は、パリのオテル・デュー病院から子どもたちを受け入れていました。

 ここはパリで初めて孤児の養育に特化した施設で、そこに暮らす子どもたちは、「神の子」と呼ばれていました。キリスト教の慈善の象徴である赤い布を見に纏った孤児たちは、赤い子どもたちと呼ばれるようになり、18世紀半ば、この孤児たちと施設に敬意を表して市場は、「マルシェ・デ・ザンファン・ルージュ」(赤い子どもたちのマルシェ)に改名されました。

 それ以来、ずっとパリに存在してきたこのマルシェは、観光客にとっても地元民やフランス国内外の多くのセレブにとっての憩いの場としても超有名なスポットでした。時には、ミシュランの星付きシェフたちも、賑わうマルシェの中をひっそりと訪れている・・そんな場所でした。

 この火災により、市場内の約20軒の露店が店を失いました。フレンチのみならず、色々な国のお料理が気取らずに楽しめるお店ばかりでした。たしか、和食のお弁当屋さんのようなお店もあったと思います。

 ず~っと昔からあるものは、これからもず~っとあり続けると思っていましたが、このような災いが起こるのは、ちょっとタイプは違いますが、ノートルダム大聖堂が焼けてしまったときと似たような思いです。

 火災の原因はまだ発表されていませんが、しかし、出火したのが午前3時頃、どのお店も閉店していて、誰もいない時間帯に出火するのは、不自然です。逆に人のいる時間帯ならば、このような大災害になる前に鎮火できていたでしょう。

 ともかくも、この場所は歴史的建造物(1982年から)にも指定されていた場所で、パリ市が廃墟のようになってしまったこの場所をこのままにしておくわけがありません。

 今後の再建は、どのようにして、マレ地区の、パリ市の象徴的存在であった、この市場がその魂を取り戻せるのか?と早くもパリ市は、このマルシェの復興を約束しています。


マルシェ・デ・ザンファン・ルージュ全焼


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2026年10月12日月曜日

ルノワールの著名な絵画が盗難 容疑者2名を含む6名逮捕

  


 9月初旬(9月8日)、カーニュ・シュル・メール(アルプ・マリティーム県)の美術館からオーギュスト・ルノワールの絵画2点「コロンナ・ロマーノ夫人」と「井戸端の若い女性」が盗まれました。

 2人組の窃盗犯は、庭のフェンスに開けられた穴からルノワールの最後の住居に侵入し、わずか数分で4点の美術品を盗み出し、警察が到着すると2点を庭に放置して逃走しました。

 検察当局は、窃盗事件後に「窃盗犯が狙った4点の作品は、美術館の中でも最も価値の高い4点だった」と発表していました。対象となったのは、「ココ・リザン」、「マダム・ステファン・ピションの肖像」、「マダム・コロンナ・ロマーノ」、「井戸端の少女」の4点です。

 捜査関係者によると、回収された2点の絵画は、800万ユーロから1,000万ユーロの価値があると推定されています。 

 窃盗事件の翌日、カーニュ・シュル・メール市長は、「容疑者たちは、ヘルメット、手袋、マスクを着用した真のプロであり、非常に情報通でもあり、わずか5分足らずで絵画を盗み出した」と述べています。

 犯人は、装備も情報も万全で、フェンスに穴をあけて邸宅の敷地内に入り、窓を割って建物内に侵入。その後、電動金属ノコギリで絵画の掛け金具を切断しました。しかし、警報システムで通報を受けた市警察のパトロール隊が数分以内に到着したため、犯人たちは2点の絵画を放置して逃走を余儀なくされたと見られています。

 しかし、グラース検察庁から捜査を引き継いだマルセイユ検察庁と司法警察は、ただちに声明を発表することはありませんでした。

 事件から約1カ月たった後、複数のメディアがアルプ・マリティーム県、ヴァール県、エロー県、ドゥー県で窃盗容疑者2名を含む6名が一斉に逮捕されたと報じました。

 この盗難事件は、パリ・ルーブル美術館で発生した強盗事件の約1年後に発生しています。今回のカーニュ・シュル・メール(アルプ・マリティーム県)の美術館の強盗事件は、フランスの美術館におけるセキュリティに関する議論を再燃させています。

 ここ数ヶ月、フランスの美術館では複数の著名な侵入事件が発生しています。

 7月に発表された33項目の計画の中でフランス文化省は、展示の安全性が確保されるまで一部の作品を一時的に展示ケースから撤去することを推奨しています。


ルノワール盗難


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2026年10月11日日曜日

欧州連合(EU)欧州証券市場監督機構(ESMA)の権限強化に満場一致で合意

  


 欧州証券市場監督機構(ESMA)はEU(欧州連合)の金融市場を監督する独立機関です。

 この機関は、投資家の保護(金融商品や証券市場に関するルールなど)、金融市場の透明性・安定性(市場のリスクを分析し、不正や市場の混乱を防ぐための取組み)の確保、市場の監督(EU加盟国の監督当局と協力し、監督の一貫性をはかる)をするための機関です。

 今回、EU(欧州連合)は、この欧州証券市場監督機構(ESMA)の権限を強化することで合意しています。

 これは、EU各国に分かれている金融市場の監督を一体化し、欧州企業が資金を調達しやすい競争力のある資本市場を作ることを目的としています。

 現在も、EUには、共通の金融市場の規制がありますが、実際の監督は、国ごとの当局が担う部分が大きく、規制の適用や執行の方法にも違いがあります。ESMAの権限を強化することで、主要な市場運営者をEUレベルで直接監督できるため、監督基準のバラつきや企業の負担を減らすことができると期待されています。

 また、これは、米国に対抗できる欧州資本市場をつくるためという意味もあります。

 現在は、欧州企業、特に成長企業やスタートアップ企業が事業拡大に必要な資金を十分に調達できずに米国等に拠点を移すことが多く、これを欧州に引き戻すため、欧州企業が欧州域内で成長資金を調達しやすくすることを目指しています。

 取引所、証券決済機関、清算機関などは、EU全域の金融取引を支える重要インフラです。こうした機関の活動が複数の国にまたがる場合、監督が各国に分かれているとリスクへの対応や情報共有に差が生じる可能性があります。

 そこでESMAの監督、権限を拡大し、独立した常勤の執行機関を設けることで監督上の判断を迅速かつ一貫して行うことが狙いなのです。

 つまり欧州企業の成長と競争力の向上を図っているわけですが、これには、ドイツの主要な市場運営者などに例外が設けられており、監督の完全な一元化ではありません。

 本質的には、金融監督の中央集権化そのものが目的なのではなく、欧州の資金を欧州企業の成長に活用し、米国などに対する欧州の経済の競争力を高めることが目的なのです。

 しかし、ドイツの主要な市場運営者などに例外が認められていることなどにもみられるように、所詮は、異なる国が集まっているEUという連合ゆえの難しさがあらわれており、まったく無意味とは言わないまでも、最も主要とも言えるドイツの主要な市場運営者が加わらないということには、なにか、すっきりしないものがあります。

 EUは、独立した国家の集まりでありながら、国境を越えた一つの経済圏として機能しようとしていますが、経済面では統合を進めたくもあり、とはいえ、政治面では各国の独立性を維持したいという難しさがあります。

 これが、将来的には、どのように作用していくのかは、まだ未知ではありますが、相対的には、対米関係への焦り、対米競争への危機感のようなものを感じます。


欧州証券市場監督機構(ESMA)


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