2022年7月13日水曜日

この猛暑の中、パリ市内のプールがストライキ

  


 今年の夏のバカンスシーズンが始まるとともに、SNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)の一部、空港公団などのストライキが立て続けに起こり、バカンスに出かけようとする人々を大混乱に陥れています。

 特に空港のストライキによる多くのフライトキャンセルとともに空港に山積みにされた荷物が2週間近く経った今も未だに空港に山積みにされている光景には、荷物を持たずにバカンスに出発させられた人々の困惑ぶりを思うと本当に言葉もありません。

 私が同じ目に遭っていたなら、こんなトラブルに巻き込まれるくらいなら、フライトはキャンセルしていたのに・・と思っていたと思います。

 まさにバカンスシーズンに入るにあたって、最も人々が迷惑する機関が続々とここぞとばかりにストライキを連発している感があります。以前、RATPのストライキが続いてウンザリしていた時にフランス人の知り合いに、「もうこんな時に酷く迷惑だ!」というようなことを言ったら、「ストライキは一番、人の迷惑になる時にやらなければ意味がないじゃない!」とあっさり返されて、「そりゃそうなんだけどね・・さすがにストライキの国で生まれ育った人は根性が座っている・・」と唸ってしまったことがありました。

 そして、今年は公共交通機関や空港に加えて、今度はパリ市の市営プールで7月1日から8月31日までのストライキを呼びかけており、パリ市のホームページによると、パリ市内の42ヶ所のプールのうち、すでに12ヶ所のプールが閉鎖しているそうです。

 特に今週は、パリではすでに6月に迎えた40℃に迫る猛暑が再び襲うと言われている中、バカンスに出かけられないパリ市民にとって、市営プールの閉鎖は、厳しい現実です。

 もともと、フランスでは、日本のようにどこの学校でもプールがあるわけではなく、(というより、むしろ学校にプールがあることは極めて稀)、学校の水泳の授業でさえも、市内のプールに移動して行われているのが普通で、そもそも、市営のプールでさえもそんなに数があるわけではないので、学校やクラス(または学年)ごとに振り当てられる水泳の授業の時間は、そもそもほとんどが屋内プールであることもあり、夏の間に限られたことではありません。

 娘が小学生の頃は、水泳の授業が真冬の寒い時期にあたり、いくらプールは温水プールでも学校との行き帰りの往復で風邪をひいてはいけないと思い、タイツを履かせて出したら、これまた教師から、「水泳の授業のある日は着替えに時間がかかるので、タイツは履かせないようにしてください」などと、信じられない通知があり、仰天したことがありました。

 「ふつう、逆だろ!風邪をひかないように暖かくしてきてください・・だろ!」とフランスの教師はこれだから嫌だ・・」などと思ったことがありました。

 話は逸れましたが、今回の真夏の猛暑時のパリ市内のプールのストライキは、労働時間の増加と休暇の減少に抗議したものだそうです。

 もともと、我が家の近くの市営プールは夏には職員がバカンスに出てしまうために閉めてしまうプールだったうえに、ここ数年、改装中のために何年も閉鎖状態。つい先日、ようやく「改装工事が終わりました!プールが再オープンします!」という招待状が来ていたので、ようやく、プールに行けるな・・と思っていたのですが、私は風邪をひいたりして、ちょっと体調を崩しているうちに、コロナウィルス第7波の感染急上昇に恐れをなして、ちょっとプールに行く勇気はありません。

 しかし、娘が小さな頃には、さんざんお世話になった市営プールです。とにかくエネルギー溢れかえる娘をなんとか夜、あっさりと寝かすためにも我が家にはプールは不可欠で、休みの日には、必ずと言っていいくらいプールに通い続けていました。

 このインフレで生活も逼迫していく中、フランス人が何より大事にしているバカンスも期間を短縮したり、出費を抑えようとしている中、バカンスに出られない人もせめてプールくらいは・・と考えている人々には、大きな痛手です。

 フランスに住みながら、今さら、ストライキやデモにいちいち目くじらを立てているわけにもいかないし、時にはデモなどで声を上げることが必要であるとは思うようにはなりましたが、しかし一方で、多くの人を困らせて、なんとか自分たちの要求を通そうとするやり方は、駄々を捏ねている駄々っ子のような気がやっぱりしてしまうのです。


パリ市 プールストライキ


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