2022年7月28日木曜日

パリ13区にサル痘専門ワクチンセンターオープン

  


 コロナウィルスも収束しないうちに「サル痘」なるあまり聞きなれない病気が騒がれ出したのは、今年5月のことでした。なぜだか、コロナウィルス同様、またヨーロッパを中心に感染が拡大し始めたというニュースに、なんでまたヨーロッパ??と正直、うんざりしていました。

 その後、コロナウィルスの感染が再び急上昇し始め、第7波はいつピークを迎えるのか?などと言っている間に、「サル痘」の方も着実に拡大していたようで、WHO(世界保健機構)は先週末、サル痘に対する警戒体制を最高レベルに引き上げるという発表をしています。

 元来はアフリカ大陸で流行している「サル痘」が5月初旬から報告されている症例はヨーロッパに集中しているのです。

 国際保健規則によると、最高レベルの警戒体制とは「疾病が国際的に広がる可能性があるため、他の国に対する公衆衛生上のリスクを構成すると判断され、かつ国際的な協調行動を必要とする可能性のある異常事態」とされている。WHOがこの警告レベルを使用するのは、今回で7回目です。

 パンデミックの前段階認定のような感じなのかもしれません。

 「サル痘」は、5月以降、で74カ国で16,836人以上の人の感染が報告されています。

 そのうちフランスでは、現在約1,745人のサル痘患者が確認されており、決してヨーロッパ内でも感染者が少ない国ではありません。またフランスのサル痘感染者1,745人のうち、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)は、その約半分の患者がいる最も感染の多い地域です。

 そんな背景もあってのことなのか、欧州医薬品庁(EMA)が先週末に、サル痘の蔓延に対抗するため、ヒトの天然痘に対応するワクチンの使用を承認した直後、今週になって、パリ市役所が運営する最初のサル痘専門ワクチンセンターが、パリ13区にオープンしました。

 HAS(高等保険機関)によると、サル痘の場合は、皮膚や粘膜の接触で感染すると言われており、感染のリスクが高いのは、患者と接触する医療関係者、「男性と性的関係を持つ」男性、「売春をしている人」などが挙げられています。

 パリには、この天然痘対応のワクチン接種ができる公立病院は他にもありますが、予約が取りにくいことから、サル痘専門のワクチンセンターを作り、早急にワクチン接種を拡大する方向に舵をとりはじめたようです。

 サル痘ワクチンに関しては、公立病院は完全に飽和状態で、10月まで待たされるとかで、この新しく設立されたサル痘専門のワクチンセンターだと比較的、スムーズに予約がとれるようです。そもそも、コロナウィルスやバカンス問題でそうでなくとも公立病院の人出不足が深刻なところ、どんどん課題?が増えるのですから、何もかも公立病院で賄おうとするより、専門のワクチンセンターを作った方がきっと、事が進むのが早いのです。

 ワクチン接種に関する処方箋は不要とされており、事前の問診の後、すぐにワクチン接種が受けられるようになっており、またワクチンセンターで直接予約することも可能です。もちろん、Doctolib(ドクトリブ・医療関係の予約システムのサイト)などのネットでの予約も可能です。

 しかし、パリ市議会は、さらにサル痘予防接種のための投与量と人員を増やすため、国に対して「緊急措置」を求めており、先週末に保健省が発表した3万回分のワクチンでは「まったく足りない」と主張しています。

 パリ地域のリスクのある人すべてにワクチンを接種するには、実際には、その10倍は必要だと言われています。正直、このサル痘の感染に関してはコロナウィルスのような不特定多数の感染ではなく、ワクチン接種とはいえ、かなり限られた人々が必要なワクチンだと思っていただけに、このある程度、限定された人々が30万人以上もいるのか?とちょっと別の驚きを覚えたのでした。(まあ、そうかもしれないな・・とも思うけど・・)

 また、ワクチンといえば、「ワクチン反対キャンペーン」を唱える人々もまた、出現する中、パリ市長は、このワクチン接種が必要な人々全てが9月までにワクチン接種を受けられる体制をとらなければならないと 「もっと真剣で迅速な採用システム」を導入するよう政府に求めています。


・Le centre Edison(Centre Vaccination contre Variole du singe) 

   44 rue Charles Moureu 75013 Paris

 月〜金 9時〜18時、土 午前中のみ

  

パリ サル痘専門ワクチンセンター 


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