2022年7月25日月曜日

パリ市内、今日から冷房中に扉を閉めないお店は罰金150ユーロ

   


 これまでお店の扉が開いているか閉まっているかということは、あまり意識していませんでしたが、あらためて思い直してみると、パリでは日本のようにお店の扉が自動扉ということが少なく、開店時には、扉が開いたままになっているお店が多かったように思います。

 こんなことをあらためて思い直してみるに至ったのは、今週からパリ市内では、エアコンの効いたお店の扉を開いたままにしておくと、150ユーロの罰金が課せられるという法令が発布されたからで、「パリにおける地球温暖化の影響と、現在の期間におけるエネルギー消費の削減が急務である」ことが理由に掲げられています。

 ただし、「定期的に認可された屋外テラスのあるレストランやパブ」には適用されないという例外もまた同時に認められています。



 地球温暖化は、昨今、夏の間に何回も40℃に迫る気温上昇に見舞われていることからも明らかで、そのうえ、ウクライナ戦争の影響もあり、電力供給が危ぶまれていることもあり、20日の段階で、フランス政府は国民向けにバカンスなど、長期で家を空ける場合には、「無線LANのプラグを抜くこと」や「エアコンの温度を少し下げること」「部屋を使わないときは電気を消すこと」などの具体例をあげて、節電の努力を呼びかけています。

 もともと、パリで、こんなに夏が暑くなったのは、せいぜいここ5年くらいのことで、それまでは、冷房も必要がなく、未だに一般家庭にはエアコンがない家の方が多く、少し前までは、レストランなどでも、わざわざ「冷房完備」などと張り紙がしてあるくらい、冷房は一般的なものではありませんでした。

 しかし、さすがにここ数年はあっという間に冷房のないお店はほとんどないほど冷房は普及していましたが、それでも、そこまで気温が上がる日というのも限られているため、レストランや一般商店は、冷房をつけていても、これまでどおり、なんとなく、これまでの習慣で扉は開いたままというお店が多くを占めていたように思います。

 そういえば、この間、生ハム屋さんに買い物に行った時、お店の扉が閉まっていたため、一瞬、「えっ??休み?」と思ってしまったし、扉の張り紙を見ると「開店中」と書いてあったので、お店に入ると、お店の人が「ボンジュール!」と機嫌よく挨拶してくれたすぐあとに、「扉、閉めといて!」というので、「あれ・・ずいぶんとキッチリしているな・・」「珍しいな・・」となんだか、ちょっと、いつもと違う感じがした気がしていました。

 多分、私も知らず知らずのうちに、お店の扉が開いていなければ、「え??閉まってるの?」と思ってしまい、扉が開けたままになっていることにも、何の抵抗もないことが習慣になってしまっているのです。

 パリには、夏の間は、特に室温の管理にうるさく、◯人以上はお店に入れない・・などというチョコレート屋さんがあり、人間よりもチョコレートが大事にされている・・と思ったこともありますが、これまでパリのお店は当たり前のように冷房が効いていても扉は開けたままというお店が多かったような気がします。

 お店の扉が開いていた方が客足が伸びるというのが、これまでの定説でしたが、これからは、それが罰金付きで禁止されることになります。

 しかし、普通に考えてみれば、自宅で冷房をつける時は、ドアどころか、窓も閉め切るのは、当然のことで、消費電力を考えれば当然のことです。

 これが罰金付きの禁止ということは、マスクの義務化の際同様、かなりきっちりと守られるであろう厳しい法令です。

 このパリ市の冷房に関する法令の発令に次いで、政府・エコロジー担当大臣は、この法令を恒久化し、全国レベルに拡大すること、冷房に限らず、冬の暖房に関しても適用し、同時に街の規模にかかわらず、午前1時から午前6時までの間、電飾広告(広告看板の夜間照明)を禁止することを発表しています。

 この広告看板の夜間照明禁止については、駅や空港(夜間に閉鎖されない特別な場所)を除き、罰金1,500ユーロに設定されるとのことです。

 戦争による電力供給の問題もありますが、この年々過酷になる猛暑に、地球環境問題は、もはや猶予のない問題であるとなると、やはり罰金付きの法令ということになるのが、フランスなのです。フランスでは、罰金のないルールはルールにならないのです。


冷房中閉扉義務 違反罰金150ユーロ


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