2022年7月3日日曜日

シャルル・ド・ゴール空港 ストライキのための大混乱

   


 7月1週目の週末は、学校が夏休みに入っての最初の週末のため、一斉に皆がバカンスにでるため、例年、何も問題がなくても、空港は大混雑に見舞われます。娘が小学生の頃には、日本の小学校に少しでも通わせたかったために、フランスの小学校がお休みになったすぐのこのタイミングで日本に行っていました。

 日本の小学校は、フランスの小学校とは少しずれて夏休みに入るため、その短い期間に日本の小学校への短期入学を受け入れて頂いていました。在仏邦人で同じことを考える人は、私だけではないようで、同じ目的のために空港で見かける在仏日本人ママを見かけることも少なくありませんでした。

 在仏日本人でなくとも、待ってましたとばかりに皆がバカンスに出発するこの週末はおそらく一年のうちで最も空港が混雑するタイミングでもあります。

 それが、今年のこの週末は、空港職員に加えて、空港の消防隊員のストライキのために、予定されたフライトの20%(5便に1便)は欠航という混乱に加えて、機械の故障も相まって、チェックインした荷物が飛行機に積まれず、乗客の約半数の荷物が積まれないまま出発してしまったり、また、到着便の荷物を回収するまでに5時間もかかったという人まで出ています。

 ただでさえ、混雑するこの時期に、キャンセルになったフライトの代替便を確保する人で空港は溢れかえり、また、荷物を確保するための人がどんどん溜まって膨れ上がっていくわけで、パリ・シャルル・ド・ゴール空港は大混乱に陥りました。

 空港職員のストライキに加えて、空港消防隊員のストライキのために、飛行機の離発着の安全性が確保できないためのキャンセルになっているのです。

 このストライキはインフレ、物価の上昇に対応するための賃上げの要求に加えて、パンデミックの初期のロックダウンや減便によるコストカットのために人員を大幅に削減したことによる人員不足による労働環境の悪化の改善要求も含まれており、早急に解決ができる問題でもありません。

 この掻き入れ時にこれだけのキャンセルに対する補償問題もさらに今後、上乗せされる問題として蓄積されていきます。

 フライトのキャンセルや遅延に関して、欧州消費者センター(ECC)フランスは、以下のように説明しています。

「スタッフのストライキを理由に会社がフライトをキャンセルした場合、キャンセルした航空券の払い戻し、または同等の輸送条件でキャンセルしたフライトの代替便を要求する権利がある」としています。

 さらに、「すべての旅行者は追加補償を受ける権利がある」と付け加えています。

「この補償金は、会社が航空券を払い戻した場合でも、お客様に追加で支払われるもの」とし、補償金額は、1,500km以下のフライトの場合は250ユーロ、EU圏内の1,500kmを超えるフライトの場合は400ユーロ、EU圏外の1,500~3,500kmのフライトの場合は600ユーロとなっています。航空会社が代替便を提供した場合、この補償額は半額になることがあります。

 航空会社がこれに対応しない、あるいは補償を拒否するなどの問題が発生した場合、苦情を申し立てることができます。

 また、航空会社が代替便を提供する場合、「翌日までに出発できない場合の軽食、食事、2回の連絡(電話、テキストメッセージ、メール)、ホテルや空港の移動費用」を負担しなければならないことになっているようです。

 ただし、これには、追記があり、「航空会社以外のスタッフ(例えば航空管制官)によるストライキの場合は、補償が拒否される場合がある」とされているため、今回のように空港スタッフや消防隊員のスタッフによるストライキの場合は、補償されるかは定かではありません。

 現在のフライトには、依然としてコロナウィルス感染対策のためのハードルに加えて、航空運賃の爆上がり、長距離迂回フライトなどのストレスが重なっていますが、それに加えてのストライキのためのフライトキャンセル、ロストバゲージなどのトラブルが加わっています。

 今回のストライキに関わっているのは消防隊員やADP(パリ空港公団)グループの従業員のだけではなく、ほとんどの航空会社の客室乗務員を代表し、「労働法の適用と残業代の支払い」を要求する全国客室乗務員組合(SNPNC)のクリステル・オスター会長は、「ストライキは繰り返される。必要なら夏中続ける」と徹底抗戦の姿勢を発表しています。

 これは恐ろしいことです。まだまだこのストライキは続く可能性があるのです。

 いよいよバカンス!という瞬間に、高いチケットを購入した挙句に、フライトが予定どおりに飛ぶかどうかを心配し、また運良くチェックインまで漕ぎ着けたとしても、荷物が無事に届くかどうかを心配しなければならない事態です。

 チェックインした荷物に関しては航空会社が責任を持って、本人の自宅または、ホテルまで届ける義務があるとされていますので、少なくともスーツケースには名前と連絡先を書いたネームタグをしっかりと付けることは、せめてものリスクオフ対応かもしれません。


パリCDGストライキ ロストバゲージ


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