2022年7月11日月曜日

シャルル・ド・ゴール空港のロストバゲージの行方

  


 パリ・シャルル・ド・ゴール空港の大掛かりなストライキから1週間経って、空港に足止めを食ったスーツケース約2万個が依然として持ち主の元に届いておらず、空港に山積みにされているようです。

 先週末のパリの空港でのストライキは、多くのフライトをキャンセルさせただけでなく、何万人もの旅行者の荷物を奪いました。荷物係もストライキを起こしていたうえに、荷物積載のシステムダウンが原因だったと言われています。

 今回のシャルル・ド・ゴール空港でのロストバゲージの多くは当然のことながら、最も発着便の多いエール・フランスの便に関するものが多いそうで、エール・フランスは、荷物を積まずに離陸してしまった旅行者に対して、当初は、「1週間以内には、荷物を届ける」と発表していたにもかかわらず、荷物は山積みにされたまま、持ち主の元には届いていないのです。

 そもそも、このハイシーズンに人員不足にストライキ、次から次へと離発着が続く空港では、その日の荷物の処理で手一杯。賃金値上げとともに、過剰労働の緩和を訴えていた空港職員が、残業までして山積みにされた荷物を処理するとは考え難く、また、時間が経てば経つほど、空港に残された荷物の配送先は、旅行先に届けられるべきものなのか?それとも自宅に届けられるべきものなのか?どんどん複雑な要素が含まれてきます。

 平常時のフライトでさえも、荷物が無事届くかどうか?盗難にあったり、スーツケースが壊されたりしていないか?いつも不安を感じるところですが、空港に足止めをくって1週間以上経ってしまったスーツケースに関してはもう不安というより絶望的です。

 エールフランスおよびシャルル・ド・ゴール空港は現在、ロストバゲージ扱いになっている荷物は空港で保管していると発表していますが、スーツケースが何の保護もされずに倉庫の外、コンテナでむき出しになっているものもあることがわかっています。

 これまで、個人的には最も荷物のトラブルが多いのは、イタリアというイメージがあって、ローマからの便でスーツケースの鍵が切られていたこともあったし、サルディニアに行った際は、空港について、やたらと空港内にロストバゲージのコーナーが多くて嫌な予感がしていたら、やはり荷物は同じ便には積まれておらず、必ずしも荷物は同じ便では届かないのは普通というようなことを言われてびっくりし、荷物は翌日ホテルに届けてくれたものの、一晩は着替えもなく不自由な思いをして以来、イタリアに行く際には、もう荷物は預けずに手荷物以外には持たないようにしているくらいです。

 しかし、ここまで大掛かりに荷物が溜まって保管(というより、放置)されている状態には、楽しいはずのバカンスが荷物のクレームを入れることに費やされるストレス満載のものになってしまいます。

 この事態を受けて、エールフランスは、一刻も早くスーツケースを持ち主に返すために増援を動員したことを発表していますが、このロストバゲージの量を考えると、パリ空港組合は、この荷物の山が処理されるには、数ヶ月間かかるはずだと断言しています。

 ということは、バカンスに出かけた人はさすがにもうバカンスを終えて帰ってきたあとに荷物が戻るということです。

 エールフランスは「荷物はすべてこちらに向かっている」と、これ以上荷物の配達の遅延を否定していますが、荷物の保管状況を考えると現実的な解答ではありません。

 すでに、補償問題についての解説が始まっていますが、荷物が遅れた場合、補償を受けることができることが可能で、荷物がない間に生活必需品(衛生用品、下着など)を購入しなければならなかった場合、請求書の提示により航空会社に払い戻しを請求することができます。また、荷物を紛失した場合、乗客1名につき約1,200ユーロを限度として弁償を請求することができます。

 しかし、どちらもクレームを申し入れるのは、書面で21日以内に航空会社宛に申し立てをする必要があるので、この期限を過ぎてしまえば、補償されることはありません。これは、旅行保険などの補償とは別のものなので、もしも、泣き寝入りしたくなければ、航空会社と保険会社との両方の手続きが必要になります。

 航空会社が補償を拒否した場合、民間航空総局(DGAC)にオンラインで苦情を申し立てるか、旅行観光オンブズマン(MTV)に連絡し、解決を図ることができます。

 友好的なアプローチがうまくいかない場合は、裁判を起こし、被った損害の賠償(物の交換、荷物の紛失・破損)を請求することができます。管轄の裁判所は、紛争に関わる金額によって異なります。会社や裁判は2年以内ということです。

 まさに、ここまでくると、完全な戦闘体制、やっぱりフランスで生きていくためには、常に戦闘体制に入る覚悟が必要なのか・・と、ほとほとウンザリします。

 私の場合、飛行機を利用するのは、やはり日本⇄パリ便が最も多く、スーツケースの中身はほぼ食糧、しかも航空便ならではの保存のあまりきかないものなども多いので、もし、今回のようなロストバゲージになり、数ヶ月間も放置されてしまったら、ほぼ私のお宝の食糧は絶望的なことになると思うと、ゾッとしてしまいます。

 それでも、無事に回収できたらまだマシですが、保管?放置されている間に盗難に遭う可能性も大です。今は、海外からの小包も規制が厳しくなり、やたらと税金がかけられるようになっている今、ロストバゲージに泣き寝入りするわけにもいきません。

 本当に今は航空運賃も爆上がりしている上に迂回ルートなどで時間もかかり、そのうえロストバゲージで荷物を受け取るのに数ヶ月もかかるのでは、本当に踏んだり蹴ったりです。


シャルルドゴール空港 ロストバゲージ


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