海外生活をしている者にとって、終の住処については、いつかは具体的に考えなくてはいけない問題の一つでもあります。海外生活はストレスも多いせいか、わりと早く亡くなる人も少なくないような気もしています。
ある程度の年齢に達すれば、日本の両親は亡くなり、日本に一時帰国するといっても、もう帰る場所もないという人も増えてきます。私の場合は、母が亡くなってからはかなりたっていますし、父もそれから10年後くらいに亡くなって、実家はいなくなってしまいましたが、幸か不幸か家が残っているので、今のところ帰る場所がないわけではありません。
私は、海外に出た時には、あまり具体的に色々と考えていたわけでもなく、一生海外で暮らそうとか、確固たる決意を持っていたわけでもありません。
しかし、海外で生活するにあたってはビザが不可欠なので、未だにビザの更新の度に、ビザが更新できなかったら、日本に帰らなければならないのかな?と不安になったりもします。
パリに住む日本人の知り合いの中には、独身で子供もなく、一人暮らしという人も意外と少なくありません。ガンにかかって、日本に帰国することに決めた人もいたし、最期まで病気と戦って亡くなっていった人もいたし、もう覚悟を決めて、一切の治療をせずにほぼ最期のギリギリまで普通の日常生活を送っていながら、全て自分が亡くなった後の葬儀や後始末の準備をしていたことが、その人の葬儀に行って初めてわかったこともありました。
我が家の比較的、近所に住んでいた日本人の女性がいました。彼女は私よりもかなり年長で、一人でしっかり稼いで、すでにリタイアして、大きなアパートやニースに別荘まで持っていて、悠々自適の生活を送っていました。
しかし、ある時、彼女が引っ越すというので、アパートまで買ったのに、なぜ?と聞くと、今後のことを考えて、断捨離をして、もう少しこじんまりとしたところにアパートを買い替えて引っ越すとのこと。
行動力のある彼女は荷物の整理をすると、不要なものを処分するのに、フリーマーケットまで開いて、荷物を処分して、かなり身軽になって引っ越していきました。かなりあっさりとした様子で、自分にもしもの時があった場合に、自分の財産などの分配もフランス語に不慣れな日本にいる兄弟の子供たちに残すための書類等も全て準備したと話してくれました。
私の場合は、そんなに心配するほどの財産があるわけでもないのですが、どちらにせよ私の些少な財産は娘が引き取ることになると思うので、できる限り、日本にあるものも、フランスにあるものも減らしていこうと思ってはいるのですが、彼女のように具体的に何もしているわけでもなく、一生、このままフランスに居続けるのかどうかも決めているわけでもありません。
きっぱりとフランスにずっといることを決めて、日本の銀行口座なども全て閉めてしまっている人もいますが、私の場合、日本の銀行もそのままで、当然のことながら、現在生活しているフランスの銀行もそのままです。
かろうじて、今、私がしていることは、私の些少ながらもバラバラに散らばっている銀行などの口座がどこにあるのか、私がいなくなった後にわかるように一つのノートに書き残してはいるのですが、それもごちゃごちゃになってきて、また書き直さなければと思っているところです。
私の父が亡くなったときには、そのようなものはなく、また、私も弟も海外生活を送っているので全て銀行にお願いしてしまいましたが、その他のものの後始末は果てしなく大変なものです。人が何十年も生きるとガラクタも含めてこんなに足跡を残すものなのか・・とちょっと呆然とするほどです。
前回の滞在許可証の更新の際は、さんざんすったもんだした挙句にどういうわけか、永住権も取れてしまったので、フランスの法律が変わればまた別の話ではありますが、フランスにこのままいることも可能になったのですが、かといって、ずっとこのままかどうかも決めているわけでもありません。
できればフランスと日本と半々くらいで暮らせたらいいな・・などと甘いことを考えてはいたものの、パンデミックやウクライナ戦争で日本との行き来も早々、簡単な話ではなくなってしまいました。
これが長引けば、今度は体力的に日本との行き来も無理になってしまう(すでにかなりキツいけど・・)のではと、とりあえず、このいつまでも終わらないパンデミックと戦争に悔しい思いを募らせています。
しかし、一度にはできない自分の後始末、そろそろしっかり考えなければと思っている今日この頃なのです。
海外生活の終活
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