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2024年11月11日月曜日

友だちと旅行に行くのも色々、難しい・・

  


 最近は、日本に一時帰国をする際には、必ず、日本国内をできるだけ旅行したいと思って、予定を組むようにしていますが、これが、なかなか簡単ではありません。

 そもそも、私がまだ日本に住んでいた頃は、私もまだ若く、どちらかというと、海外旅行ばかりに目が向いていて、国内は、実家の山小屋がある場所や箱根やせいぜい伊豆程度で、あまり日本国内を旅行していませんでした。

 あの頃は、むしろ、安いチケットなどを探せば海外旅行の方がなんだか割安感があったし、むしろ、国内旅行の方が割高な気がしていて、国内旅行は、もっと歳をとって、海外旅行がしんどくなったときにしよう・・と思っていました。

 もうすでに、場所にもよりますが、海外旅行はけっこう、しんどい(フランス⇔日本は直行便で15時間フライト程度)のですが、現状、フランスに住んでいる以上、日本の国内旅行をするためには、まず、この15時間フライトのハードルを越えてからになるので、これから先はよりしんどくなる一方なので、日本に行った時には、ここぞとばかりに旅行したいと思っています。

 それでも、若い頃は、私の世代の女性としては、海外・国内ともにけっこう旅行している方だったと思うのですが、あの頃は、だいたい友だちと二人で・・ということが多かったと思います。

 お互いに独身だったし、同じ会社の友だちとか、学生時代の友人とか、身近な友人の間で、まあ、お互いに比較的、自由に気軽に決められていた気がします。

 フランスに来てからは、娘が巣立つまでは、もう娘の学校のバカンスを埋めるためにスケジュールを調整するのが精一杯で、また、日本に行っても両親がいる頃は、常日頃、親のために何もしてあげられないので、日本にいる間くらいは・・介護というほどのことではなくとも、なんとか、生活しやすいように家の中を整えたり、介護の手続きをしたりと、病院に行って、お医者さんに会ったりとか、そんなことに大忙しでした。

 今、私は、もう娘も巣立ち、両親も他界してしまったので、日本に行っても、自分の好きなように旅行をしようと思えばできるようになったのですが、ところが、友人たちの方は、それぞれの生活があり、忙しく仕事をしていたり、親の介護に追われていたり、また、懐事情にも色々あって、なかなか一緒に旅行をするのも難しいのです。

 両親が隣に住んでいるという友人もついこの間、急に母親が入院してしまって、家に残った父親の世話と入院している母親を見舞うのにてんてこまい・・また、もう一人は90過ぎの母親と同居していて、もうとても2日以上は家を空けられない・・と完全にがんじがらめの状態。

 旅行先や旅費にかけられる予算というのもまた人それぞれで、私の方は、せっかく行くのだから、多少の出費は仕方ない・・もうおそらく二度と来ない場所への旅行だったら、少々贅沢してもいいな・・と思っているのですが、これがまた、そのあたりの感覚が合わないも場合もあって、そもそもそんなに友だちが多くない私で、もうなんなら、友人と旅行するのは諦めて、娘を誘って行こうかな?と思ってしまいます。

 娘と旅行する場合、これ、お誕生日プレゼント、あるいは、クリスマスプレゼントの代わりにしといてね・・と旅費は私が払うのですが、友人の場合はそういうわけにも行きません。

 結果的に、ここ最近、私が旅行したのは、友人と・・というのはごくごくわずかで、娘と旅行ということが圧倒的に多いです。

 私自身は母親と二人で旅行ということなど、一回くらいしかしたことがなかったので、ずいぶん親子関係も違うな・・と思います。まあ、それはそれで、それぞれで良いなと思っています。

 なんなら、一人旅というものも、してみたいと思いつつも、今のところは、なかなか踏み切れずにいますが、いつか挑戦したいとも思っています。


旅行


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2024年11月9日土曜日

ワクチン接種の季節

  


 少し前までは、インフルエンザなどのワクチン接種のお知らせなどが来ても、私は、ほとんど無視したままで、長いこと、ワクチン接種はしていませんでした。

 そんな私がワクチン接種をするようになったのは、パンデミック以来のことで、当初、新型コロナウィルスのワクチンができた!となっても、まだ、開発されたばかりのものだし、その副作用や効用をどこまで信用していいものか?とコロナウィルスのワクチンも、しばらくは、どうしたものか?決めかねていました。

 しかし、長い間、おさまらなかったコロナウィルスの流行とこの病気にかかって悪化する恐怖の方がだんだん勝ってきて、しかも、途中からは、ほぼ、事実上の義務化のような状態になり、ワクチンをしていないと、極端に行動制限をされるようになった時期もあったので、その後は、もう大人しく従って、あっさりとワクチン接種を受けることにしました。

 また、それまでは全く無視していたインフルエンザの予防接種に関しても、インフルエンザに罹ったうえに、コロナウィルスにまで感染したら、さぞかし辛いことになりそうだ・・という恐怖から、ここ数年は、毎年、インフルエンザの予防接種も受けています。

 私の受けた医療の履歴は、私が医者に通ったり、薬を処方してもらった際には、すべて記録が保険のカードに蓄積されているためだと思いますが、私は、軽い心臓疾患もあったりするためか、虚弱な人々のグループに分類されているらしく、この手のお知らせ(ワクチン接種など)や、通知などが、メールなどでもやってきて、今回のワクチン接種に関しては、ご丁寧にバウチャーのようなものが送られてきています。

 私は、今年からは、インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンのようなものになると完全に勘違いしていて、一応、他の診察の際にかかりつけのお医者さんに、これ?どうしよう?と相談してみたら、(このバウチャーが届いたのは、9月半ば頃でした)10月半ばには、ワクチンが出回りだすから、その頃にやった方がいいんじゃない?と言われていて、つい先日、バウチャーを持って、薬局に行ったのです。

 勝手に混合ワクチンだと思い込んでいた私は、ワクチンを受け取って、翌日にお医者さんの予約を入れました。

 混合ワクチンってどんな感じ?と思って、箱をまじまじと見てみたら、どうやら、それは、インフルエンザのワクチンのようで、薬局に戻って、コロナウィルスのワクチンは入っていないの?と言ったら、それは、来週以降にしか入らない・・というので、そのまま、とりあえず、インフルエンザのワクチン接種だけしてもらいにお医者さんに行きました。

 ちょうど、ふだん常用している薬も切れるタイミングだったので、ワクチン接種と一緒に薬の処方箋ももらってきたのですが、コロナウィルスワクチンは、私がやるから・・でも、インフルエンザワクチンとは一緒にはしない方がいいから、それは来週にしましょうと言われて、来週の予約を入れて、帰ってきました。

 インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンができたのかと思っていました・・と言ったら、将来的にはできるかもしれないけど、今のところは、まだよ・・コロナウィルスのワクチンに関しては、未だにどんどん変異種が出ているから、新しい変異種に対応したものになっているはず・・とのことで、そんなに簡単な話ではないようです。

 インフルエンザのワクチンにしても、コロナウィルスのワクチンにしても、そのあと、だるくなったり、ちょっと熱っぽかったりすることもあるのですが、しないで、罹って、悪化した場合のことを考えれば、もう虚弱な人というカテゴリーに入れられているなら、それを素直に受け入れることにして、やっぱりやっておこうと気弱になっている自分を感じないでもありませんが、妙に強がっても仕方ないので、素直に従おうと思います。

 最近は、YouTubeなどを見ていても、テレビででも、「インフルエンザとコロナウィルスのワクチン接種をしましょう!」というコマーシャルが入ることもあるので、国は、このワクチンキャンペーンにずいぶんと力を入れているんだな・・と感心?しています。

 考えてみれば、以前に比べて、医者にかかる割合がグッと増えている私・・もうだんだん高齢者なみに医者通いが増えてる・・と自分でも思うのですから、虚弱な人の括りに入れられるのも仕方ないかもしれません。


インフルエンザワクチン接種


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2024年11月7日木曜日

インプラントが保険適用になる?

  


 フランスの高等保健機関(HAS)は、歯科治療へのアクセスを改善するという目的で、歯科インプラントの償還を認める決定を下しています。

 現在、歯科医療に関しての社会保障は比較的、軽い補綴(ほてつ)物(虫歯や歯周病などで、歯が欠けてしまったり、失ってしまった部分を人工的な材料で補うもの)のみを補償しています。つまり、義歯やブリッジとクラウンです。

 しかし、現在、フランスで行われている歯科治療のインプラントは、年間100万本にも及ぶようになっており、今後もこのインプラント治療を受ける人は増加し続けるであろうし、特に平均余命の延長により、歯(1本以上)を失う人が増えているといいます。

 インプラントの技術がそれだけ一般的に普及してきたこともありますが、HASは、この状況の変化に応じて、必要かつ最適なケアを保障したいとしています。

 HASの報告書では、感染症や緩みに伴う歯の1本、あるいはすべての喪失は、例えば栄養欠乏などの機能的、審美的、そして社会的な健康への影響を伴うハンディキャップを構成するとみなしています。

 また、かつては、本当に特別な治療でほんの一握りの人しかやらなかった治療が一般的な治療のひとつになってきたということも言えます。

 これが実現すれば、本当にありがたい話ではありますが、高等保健機関(HAS) は政府から独立した機関であり、このような勧告を出しますが、結局、決めるのは政府なので、政府が彼らの決定を受け付けるとは限らないのだそうです。

 現在の政府は、「緊縮財政の金メダル政府」と揶揄されるほどの、600億ユーロ削減計画で色々な予算が削られつつあるタイミングで、このインプラントの保険適用は、実現するのは、難しそうではありますが、それでも見て見ぬふりをせず、何度でも提案していってくれれば、いつかは・・という期待も持てないことはありません。

 それでも、できるだけ、お世話になりたくない歯医者さん、ましてや、インプラントなど、保健適用になったとしても、できれば、二度とやりたくはないのです。

 とはいえ、数年に一度は、お世話になるハメになる歯医者さんですが、もうこれが保険適用部分とか、ミューチュエル(国民健康保険を補う保険)も加えて、これだけとか、この方法だといくらで、この材料を使うといくらで・・とか、もうややっこしいことこのうえないのですが、歯医者さんも、そこはお仕事で、一応、歯の状態を見て、必要な治療を判断すると、すぐに、いくつかの方法で見積もりを出してくれます。

 こちら側もその見積もりを見て、治療方法は選択しています。

 しかし、食べることが大好きな私にとって、歯は、何よりも大事なもので、結局は、いつも、かなりの額を支払うことになります。インプラントの時などは、パンデミックの時に重なったこともあり、とにかく時間はかかるわ、お金はかかるわ、痛いわで、頬を抑えながら、ちょうど改装中でもあった歯医者さんの新しくなった金の扉を恨めしく眺めながら、この扉の一枚分くらいは、私がつけてあげたのよ・・などと思ったものです。

 それにしても、こうして、どんどん長寿になっていく・・のも、いいのか?悪いのか?などと思わないでもありません。


インプラント保険適用


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2024年11月6日水曜日

自分が死んだときのことを考えていたら・・

  


 ここのところ、トゥーサンだったり、夫の命日だったりで、珍しくお墓参りをしたりして、なんとなく、自分が死んだときのことをぼんやりと考えています。

 まあ、今のところ、具体的に差し迫った予定?はないものの、いつ何があるかわからないし、いつかは必ず死ぬということだけは、確かなことです。両親も夫も他界しているとなると、次は私の番と思うのです。くれぐれも、娘には、この順番は守ってほしいとだけは切実に思います。

 常日頃から、わりと「死」については考えることも多く、大学やその後もホスピスなどの勉強をしてきたので、家庭内でも「死」についての話題は避けないようにしてきたつもりです。大方のことは、娘に話してあるし、そんなに大きな金額ではないけれど、日本とフランスにバラバラと散らばっている銀行などの口座についても書き残してあります。あとは、具体的に誰に知らせてほしいとか、そんなことも書き残しておいた方がいいかな? などと、ぼんやりと考えていたのです。

 私の場合、今の現状を考えると、圧倒的にフランスにいる時間が長いので、フランスで死ぬ確率が高いので、日本の友人等は、知らせたところで、仕方ないとも思うのですが、それでも数人だけ、親しい友人には知らせてほしいかなと思っています。でもその他の人々には、「そういえば、あの人亡くなったんだってね・・」、「へえ~~」というくらい、ひっそりと、消えていきたいです。

 いつか、娘に「私が死んでも、お葬式はしてくれなくていいよ・・」と言ったら、「お葬式は死んだ人のためだけにするものではないよ!」と怒られたので、「じゃあ、あなたがやりたかったら、やってもいいけど・・あまりお金をかけるのはもったいないからね・・」と言いつつ、同時に、娘もいつか来るであろうそんな日のことを考えることがあるのだろうか?とビックリした覚えがあります。もう、そんな話をしてから、何年も経っていますが・・。

 それは、残された娘のために何かの繋がりとか、心の中を少しでも埋めてくれるものなのか?は、わかりません。まあ、お葬式が好きという人もいないと思いますが、私自身は、お葬式に会社や仕事の義理でやたらと人が集まるお葬式は嫌いです。

 幸か不幸か、今、娘は日本にいるし、日本の私のごくごく親しい友人たちと娘は、娘が小さい頃から日本に行く度に一緒に会っていたので、正直、親戚のおばちゃんに近い存在で、今でも私がいなくても、個々、一緒に食事をしたりすることもムリなくできる間柄であることは、ありがたいことです。

 しかし、考えてみれば、彼女たちは、ほぼほぼ私と同い年。向こうだって、いつなにがあるかわからないし、もしかしたら、私の方が長生きしてしまうかもしれません。それならそれで、もし、彼女たちに次の世代の子どもがいたら・・娘とも付き合いが続くのに・・と、一人一人、顔を思い浮かべて、あらためて考えてみたら、なんと、私のごくごく親しい友人で子供がいる人は、一人もいませんでした。今さらですが、ちょっと衝撃的でした。

 私が子どもの頃、若い頃は、なんとなく、女の人は、ある程度の年齢になれば、自然に結婚して、結婚したら会社を辞めて、子育てして・・とそれがあたりまえのようなことだと思っていて、いつまでも結婚せずに会社にいるオールドミス(今はもちろん死語だと思いますが・・)になんて自分は絶対になるわけない!などと思っていました。

 今から思うと、今とはずいぶん価値観が違いますが、私が子どもの頃はそんな感覚だったのです・・。というと、おばあちゃんの昔話みたいですが・・。

 ところが、どういうわけか、仕事のことは別として、私の周囲には、子どもがいる人が全然いなくて、むしろ、私よりも良いママになりそうな子ばっかりなのに、私に子どもがいることの方が奇跡的な気さえしてしまいます。

 彼女たちは、経済的に困窮しているわけでもなく、結婚していたり、していなかったり、立場は様々ですが、あらためて、考えたこともなくて、付き合いはそれぞれ別々なのですが、誰にも子どもがいないのです。しかし、自分の身近でもこんなんだから、やっぱり、日本の少子化って、大変なことなんだなとつくづく思ったのです。

 彼女たちの家などは、全部、空き家になるんだろうか?と思ったら、まったく凄い話です。


遺言


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2024年11月3日日曜日

墓地の値段 リヨン市の墓地価格に社会的価格制度導入

  


 季節柄の話題だとは思いますが、あまり普段は話題にはしないものの、お墓については、多くの人が実は興味のある話題であると思います。

 今、一部では「リヨン市が3月までに墓地の権利料に社会的価格制度を導入する」ということが話題になっており、「はて?墓地使用料とは、いくらくらいなものなのだろうか?」と思いました。

 実際に、我が家も夫が亡くなった時に、家から一番近い墓地ということで、市内の市民墓地に埋葬してもらったのですが、恥ずかしながら、その時は、メンタルがボロボロの状態で、義理の息子たちが全てを手配してくれて、私自身は、ほぼ何もしていませんでした。

 しばらくしてから、墓石は、私が注文して、私が自分で買ったので、墓石の値段は知っているけれど、墓地に関しての契約料には全くタッチしていないので、値段も知りません。

 ただ、墓地も含めて、葬儀にかかった費用等に関しては、夫がけっこうちゃんとした保険に入っていたので、全て保険でカバーできたはずなので、葬儀費用や埋葬費用等の心配はありませんでした。市営墓地なので、そこまで高いとは思いませんが、一応、30年間の契約ということだけは聞いているので、私が死ぬのがそれ以降になる場合は、これを更新手続きしなければならないことだけは、承知していました。

 まあ、まだけっこう期間があるので、期限が近付いてきたら、聞いてみようと思っていました。

 話は脱線しましたが、リヨン市は、「社会的不平等を解消するということ」で、「私たちの考えは、社会正義の概念を葬儀政策に組み込んで、死が新たな社会的不平等を助長しないようにすること」と宣言しており、これまで富裕層に対しても、困窮層に対しても、同じ額を請求していた墓地使用料に収入、資産に準じて3種類の価格設定を行うという発表をしています。

 リヨン市の場合は、現行の市民墓地使用料は、15年間で525ユーロ(約87,000円程度)(墓石などの価格は別)ということで、収入資産にかかわりなく均一価格でした。しかし、今回の改正によって、これに収入・資産によってグラデーションがつけられるようになるのだそうです。

 この社会的不平等解消のためのこの支払料金の調整が「保育園、学校、文化施設などの一定数の自治体の公共政策」に適用されていることを考えれば、これは当然あるべき措置ではないか?と言っています。まさに「ゆりかごから墓場まで」にするということです。

 これは、まだ議案の段階だそうですが、一律価格ではなく、360ユーロ、550ユーロ、750ユーロの3段階になるようです。

 今まで、墓地については、前述したように、墓石以外は、全く関わってこなかったので、あまり墓地使用料について、気にしたことはなかったのですが、たしかに、フランス人の知人で、親が亡くなった時の葬儀にえらくお金がかかって大変だった・・と嘆いていた人がいたので、たしかに、このような配慮をしてくれるのは、ありがたいのだろうなと思います。

 おそらく、パリはもう少し高いのではないかと思いますが、私としては、(自分が死んだ場合)、死んでしまった私に対してお金と手間をかけていただく必要は全くないので、一番簡単でお金のかからない方法にしてね・・と娘に言ってあります。

 私の友人の一人が亡くなった時は、彼女は独身だったということもあるのでしょうが、自分が亡くなったときには、ペーラシェーズで火葬して、お墓のない人のために砂(フランスの場合、砂状になるまで火葬するのが一般的に遺骨ではなく砂という言い方をする)を撒く場所があるので、そこに一緒に撒いてほしいと言い残していたので、彼女の砂はそこに撒かれ、彼女は今、パリの土となっています。

 これを書きながら、思ったのですが、お墓など、面倒なことがなくて、それも悪くないかも・・?と今度、娘に会ったら、提案してみようかとも思います。

 日本の墓地は、どんな具合なのか?これまた、前の世代の人々が買ってくれてあるものなので、全然、値段も何も知りませんが、今後、子どもがいない人などが増えたら、このペーラシェーズの砂山?みたいな場所・・あってもいいのかも?と思います。

 この友人の砂を撒いた日には、行けなかったので、今度、お墓参りがわりにペーラシェーズに行ってみようかと思います。ペーラシェーズはパリの有名な墓地で歴史的な偉人などもたくさん埋葬されている墓地で、お散歩にもなかなか良い場所です。


リヨン市墓地価格 社会的価格制度導入


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2024年11月2日土曜日

お墓参りで毎回、思うこと・・

  


 世間では、最近では、フランスでもトゥーサン(万聖節)というよりは、ハロウィン色が強くなってきていますが、私は、毎年、この時期くらいは・・とお墓参りをする習慣になっています。

 我が家の墓地は、夫が亡くなったときに、まだまだ本人もずっと先のことだと思っていたでしょうが、机の裏側に少しだけ書きかけの遺言のようなものが張り付けてあって、その中に、墓地は、家から一番近い墓地に埋葬してほしいというようなことが書いてあったので、夫の希望どおりに家から一番、近い墓地にしました。

 夫は自分の両親のお墓は、なんだかやたらとお金をかけて、自分の兄の家の近くに建てたので、当然、そこに一緒に埋葬してほしいと思っていると思っていたら、そうではなかったことが、意外でもありました。

 きっと、寂しがり屋だった夫は、できるだけ来てもらいやすい場所を選んだと思うのですが、もうここ最近では、せいぜい、このトゥーサンの時期か、もう一回くらいしか、行かなくなってしまいました。まったく冷たいことです。

 夫が亡くなった直後(埋葬後)は、本当に私自身も身の置き場がない感じで、お休みのたびに毎週のように娘を連れて、お墓に行っていました。トゥーサンなどの特別な時期以外の墓地は、あまり若い人はいなくて、けっこう高齢の人が多いので、私たちは、とても、異色な存在だったと思います。

 今では、正直、当時のことは、ぼんやりとしか思い出せないくらいになりましたが、あまり感情表現が激しい方ではない私が、夫の埋葬の時には、後にも先にも、人生の中であれほど取り乱したということはないというくらいに大声で泣き叫び、恥ずかしながら、「私も埋めて~~!」と泣き叫んだことだけは覚えています。今から思うと娘には申し訳なかったし、埋葬に立ち会ってくれた人々は、きっとドン引きだったと思います。

 まだ10歳だった娘はそんな母親だったからか、妙に冷静で、「きっと墓地の高い壁を越えて、ママの声が外にいる人にまで聞こえたと思うよ・・」などと言われて、ハッとしました。

 週末ごとのお墓参りは、どのくらい続けていたのかも、今ではあんまり覚えていませんが、その後、少しずつ、一人での子育てと仕事の日常に忙殺され、だんだん足が遠のいていきました。

 それでも、この時期は、周囲のお墓も華やかなお花でいっぱいになるので、誰も来ないお墓は、寂しそうで可哀そうだ・・とこの時期だけは、必ず行くようにしています。

 前もって、鉢植えのお花を買っておいて、当日にお墓に行って、夫に心の中で話しかけながら、ひととおりお墓を掃除して、お花を供えてお祈りとお願いをしてきます。

 「久しぶりだね・・元気だった?いやいや、元気じゃなかったから死んじゃったんだよね・・」と毎回、同じことを繰り返していることに苦笑しつつ、私の近況や娘の近況を報告し、「これからも私たちを見守ってね・・いつになるかわからないけど、そのうちに行くからね・・」とお願いして、帰りに「じゃあ、またね!」と言って帰ってきます。

 このお墓の墓石に名前を掘ってもらうときに、一応、二人分の名前が掘れるように、スペースを調整して夫の名前は掘ってもらったので、私がもしもフランスで死んだら、ここに入れてもらうように娘には頼んでいます。

 私は、お墓というものは、自分自身は全くこだわりがないので、(なんなら捨ててくれてもいいくらいだけど、そういうわけにもいかないだろうから・・)、日本にいるときに死んだら、両親が入っている実家のお墓に入れてもらうのでもよいし、一番、簡単な方法にしてね・・と言ってあります。

 本当に偶然ではありますが、夫の命日は、トゥーサンの日のすぐあとで、彼が亡くなったときも、トゥーサンのバカンスが終わった直後だったことを覚えています。

 今は、娘も義理の息子たちも遠いところに住んでいるので、恐らく私の他には、誰も来ないと思われる夫のお墓なので、せめて、私くらいは行ってあげなくちゃ・・と思うのです。

 実際に、もう長いこと誰も来ない、来られないのか、もう苔が生えているようなお墓もあります。歳をとってくると、病気とお墓の話題が多くなるなどと言いますが、とりあえず、私は、フランスでも日本でもお墓の心配はありません。


トゥーサン お墓参り


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2024年10月28日月曜日

日本の選挙結果に関するフランスの報道

  


 今回の日本の衆議院選挙の結果は、深刻な日本の経済状況などからも、とても気になっていたし、自分自身も在外投票にも行ってきたし、とても気になって、少しずつ発表されていく当選・落選の行方をネットでずっと見守っていました。

 結果は自民・公明の大敗という結果でしたが、だからと言って、すぐに政権交代して、ガラッと日本が変わるというわけでもなく、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。

 そして、フランスでは、今回の日本の選挙はどんな風に報道されているのかな?と、一応、目を通してみました。

 「自民党は2009年以来、ほぼ前例のない過半数を大幅に下回る結果となった」、「自民党と連立していた公明党もまた大幅に議席を失い、連立でさえも、過半数に満たない大敗に終わった」とまず事実を説明し、これに至った原因として、金融スキャンダル、統一教会問題などを挙げています。

 それに加えて、石破茂氏は、「公平、公正、誠実な党として新たな基盤で再スタート」したいと明言したにもかかわらず、総裁就任直後に、早期解散選挙を宣言し、夫婦別姓の可能性やキャピタルゲイン課税の強化など、当選以来いくつかの問題で方針を転換したことに加えて、裏金議員への偽装非公認・非公認としながら、裏で2,000万円を援助していたことがスクープされたことなどを挙げています。

 この内容は、ほぼ日本で報道されている内容と同様のものですが、一部、この偽装非公認の2,000万円問題のスクープ記事元が朝日新聞となっていることが奇妙でした。(日本では、赤旗のスクープだと言っていましたが・・)

 特にこの2,000万円問題は、購買力を侵食する持続的な価格高騰が有権者の不満を煽っているにもかかわらず、野党の激怒と有権者の怒りを引き起こすには十分だったと説明しています。

 自民・公明の連立政権を維持するには、より広範な連立を構築するよう努める必要があり、これは明らかに行動能力を制限することに繋がり、政府は麻痺する危険があり、日本では、不確実性と政治空白の時代が始まると見ています。

 また、この選挙結果は、このシナリオに慣れていない金融市場をパニックに陥らせる可能性があるとアナリストが警告しています。

 まったく、さんざんな書かれようですが、事実なので仕方ありません。

 ただひとつ、好意的に評価されていたのは、「今回の選挙で選出された女性の数は、これまでの2009 年の記録である 54 名を上回り、70 名でした。今回の選挙に立候補した女性は 314 名で、全候補者の 23.4 % に相当します。この結果により、日本は2024年に世界経済フォーラムが定める男女平等ランキングで146位中118位と順位を向上させることになるだろう」という点だけです。

 また、フランスの報道には、記載されていませんでしたが、私が特にショッキングだったのは、相変わらずというか、ほぼ記録的な投票率の低さということで、これは、本当に深刻な問題だと思います。

 日本で生活していて、日本経済や暮らし向きなどなどが悪化していることは実感しているだろうに、にもかかわらず、選挙に行かないという無責任というか、無関心というか、ちょっと○○なのか? 文句は言っても、最低限の投票という義務を果たさないのは、本当に意味がわかりません。

 フランスならば、こんな低い投票率は大スキャンダルです。

 よく知らないとか、よくわからないとかいう人がいますが、知らないなら、知る努力をしなければいけないし、今はそれこそネットだってなんだって、いくらでも情報はあります。必ずしも正しい情報ばかりではありませんが、数を見ていれば、どれが本当だろうか?ということは、見えてくるものです。

 日本の失われた30年は、たしかに政治家に一番の原因がありますが、この投票にさえ行かない国民にも大きな責任があります。


衆議院選挙についてのフランスでの報道


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2024年10月23日水曜日

30件目の誘拐警報は生後17日の未熟児の赤ちゃん

 


 週明け早々、月曜日の午後11時から午後11時30分の間に、オルネー・スー・ボワ(イル・ド・フランス地域圏セーヌ・サン・ドニ県)(パリ近郊)のロベール・バランジェ病院の産科病棟から生後17日の未熟児の赤ちゃんが誘拐されました。

 この赤ちゃんは2ヶ月も早く生まれた早産のために、病院での治療が必用な状態で、12時間以上、病院のケアが受けられない状態が続けば生命の危険が大きく、さらに2週間以上の入院が必用な状態で誘拐されたため、その安否が問われています。

 フランスでは、2006年から「誘拐警報」というものが存在しており、国民を動員するために未成年の子供の誘拐が発生した場合に大規模に警報を発令することで構成され、メディアだけでなくソーシャル ネットワークや公共交通機関ネットワークでも大規模に中継されます。

 今回の事件が30件目に発令された「誘拐警報」ということで、実際に起こっている失踪事件を含めた誘拐事件は、もっと多いはずなのに・・と思うところですが、これが「警報」レベルになるには、いくつかの条件を満たす必要があるということです。

 まず、それが失踪などではなく、誘拐であることが証明されなければならないということと被害者が未成年でなければならないということで、今回の事件に関しては、自分で動くことはできない生後17日の乳児ということで、ここは間違いなく問題ない話です。

 そして、被害者の生命または身体が危険にさらされていることですが、これもまた、今回は、本来は少なくともあと2週間は入院の必要があった乳児ということで、間違いなく該当します。

 最後に、検察官が子供の居場所を特定できる情報を持っていなければならないという条件がありますが、今回の事件に関しては、病院の監視カメラの映像から、この乳児を連れ去ったのは、子どもの両親と他3人が子どもを連れ去ったことがわかっており、すでにこの両親の家族5人が逮捕され、彼らの証言から、恐らく彼らは子どもを連れてベルギーに向かったと見られています。

 この両親は、23歳の父親と25歳の母親ですが、彼らだけで逃げているのではなく、他数名も一緒に逃げているとみられ、何のために子どもの命を危険に晒してまで逃げなければならなかったのかは、明らかになっていませんが、この2人は薬物中毒であると言われています。まったくもって気の毒な赤ちゃんです。

 この誘拐警報というシステムが誕生して18年間で、警報が失敗したのは、昨年7月にセーヌ・マリティームで6歳の男児が死亡した事件と2020年にナントで1歳の少女が死亡した2件だけということで、それなりの検挙率を挙げています。

 すでに逮捕されている逃亡中の両親の家族の証言から、容疑者らはベルギーに向かった可能性が高く、捜査依頼は、ベルギー司法当局にも送られ、悪質な犯罪捜査は、ベルギーの司法当局と警察当局と協力して続いていると検察官は説明しています。

 しかし、ここで説明されている乳児の安否(12時間以上病院のケアなしでは生命が危険に晒されるという点)は、すでに12時間以上はとっくに経過しているため、かなり危険な状態にあると考えられます。

 そして、不思議なことに、この乳児は発見されていないにもかかわらず、この「誘拐警報」は解除され、しかし、捜査は続いているという説明をしているのは、よく意味がわかりません。

 とにかく、この不可解な事件は大々的に報じられているのですが、この病院についての責任問題には、誰も触れていないのは、不思議なことだとも思っています。乳児の誘拐というのは珍しい話ではあるとはいえ、病院が責任を持って管理しているべきはずの子どもが誘拐されたのですから、その病院には問題はなかったのか?と管理責任を問う話があってもよさそうなものの、誰も話していません。

 もちろん、乳児を誘拐した人物が悪いけれど、新生児をしっかり管理できていない病院ってのもどうなのかな?とモヤモヤしています。


生後17日の乳児誘拐事件


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2024年10月22日火曜日

「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事

  


 先日、仏レゼコー紙に掲載されていた「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事を見つけて、あらためて、1990年代からの日本経済の失敗が紹介?されていることに、愕然とする思いでした。なんか身内同士で悪口を言い合うのはまだしも、外野から言われると傷つく・・そんな気持ちでした。

 その記事によると、「多額の債務、不動産バブルの崩壊、人口の高齢化、成長の鈍化、デフレの蔓延、米国との緊張を悪化させる重商主義(重商主義は、国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家的な経済政策)、そして消費よりも投資に基づいた経済モデル。 2024 年の中国には、1990 年代初頭の日本と、いくつかの厄介な類似点がある・・」と始まります。

 「日本は、長年にわたる過剰債務によって生じた不動産バブルの崩壊後、長期間のデフレと低成長を経験している・・一方、中国の公的債務と民間債務の総額はGDPの245%に達しており、30年前の日本よりも高い水準にあり、中国の労働人口は減少に転じており、2050年までに総人口は2億人減少すると予想され、中国の人口動態の変化は、やはり日本よりも早いと見られている」

 「中国経済において輸出は依然として重要であり、かつての日本のように米国からの保護主義波の圧力を受けている・・不動産バブル崩壊後の中国の家計の不信感が貯蓄を促し、内需の圧縮が起こり、経済全体を弱体化させているにもかかわらず、供給側政策を実践し続けている・・しかし、歴史上、GDPに占める消費の割合が増加せずに先進国の生活水準に達した国は例がない」

 「輸出と投資だけでは経済を永久に推進するのに十分ではなく、これを続ければ日本と同様の罠に陥る危険があり、ほとんど進歩していない生活水準に留まり続けることになる」とエコノミストが強調しています。

 しかし、1990年代の日本と現在の中国を明確に区別できる点もあり、現在の中国のGDPは、30年前の日本を上回っており、何よりも、中国は国家が経済分野全体を支配しているということで、為替レートは当局によって設定されており、これにより人民元の過小評価が維持される。したがって、日本に起こったことは中国には起こらない。

 1985年に日本はドル安と円高を目的とした米国および欧州諸国とのプラザ合意に署名し、その結果日本の輸出の活力が低下したが、中国は政府が大手銀行と金融セクターの大部分を管理しており、資本規制により貯蓄の国外流出が防止されているという事実により、中国は、そのディリジスト・モデルが生み出す過剰投資や不良投資に関連する損失を経済主体に配分することができるようになっているが、日本のような自由主義経済には当てはまりませんでした。

 「最近の不動産部門の粛清はその一例で、10月に発表された再建計画では、大手銀行の資本増強が計画されておる、政府は不動産部門の統合を推進することで、不動産リスクを小規模銀行から大規模銀行に移している・・したがって、中国は経済の「日本化」を回避する可能性を秘めていると思われる」

 「多額の債務、輸出に依存したモデル、高齢化、成長の鈍化」最後に再び、このワードを羅列して、「1990 年代の日本に似ている地域がもう 1 つあり、それはヨーロッパです」と締めくくっています。

 私もそんなに経済について詳しいわけではないので、ご丁寧に説明してくれてありがとう・・と半分、嫌みというか、自虐的な思いで読みながら、この記事に一貫して書かれていることは、日本がこの30年間の失敗経済・失敗政策のモデルのように使われていることで、いかに日本がダメであったか? 経済の「日本化」=経済の失敗という意味で引用されているわけで、事実だから仕方ないとはいえ、つくづく情けない気持ちになりました。


経済の日本化


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2024年10月18日金曜日

在外投票に行ってきました!

   


 私のフランスでの生活も四半世紀を超え、その前のアフリカにいた期間やイギリスにいた期間を加えれば、ほぼ30年・・つまり、最近、よく言われる「失われた30年間」の間、私は海外で過ごしていることになります。

 この間のことは、私は、日本で生活していないために、日本の生活を実感することはありませんが、だいたい一年に一度か二度、帰国するたびに、「えっ??」と感じることの変遷で「失われていった30年間」を「そういえば・・」と思い返すことができます。

 フランスに来て、当初は、もちろん、フランスでの生活に慣れないこともあり、多くのことに戸惑い、何もかもが時間がかかり、なにかミスをされても、ぜったいに謝らないフランス人に腹の立つことばかりでした。そのたびに、「ここは日本じゃないんだから仕方ないよな・・」と自分をなだめたり、久しぶりに日本に帰国した際にスーパーマーケットのレジで「これ、ちょっと傷んでいるから(ブロッコリー)変えましょうね・・」などと申し出てくれて、あまりの親切さに「え~~なんて親切なの~~?」と悲鳴をあげてしまったことを覚えています。

 それから数年経った頃から、やけに年配の男性が、工事現場の交通整理や駐車場などで働いているのが目につき始めて、あまり深くは考えずに「どう考えても、年配の人がする仕事じゃないだろうに・・日本はこんなに高齢者が働かなくちゃいけないんだろうか?」などと思うことが増えました。

 フランスでの生活は、日本とは逆に、IT化がどんどん進み、多くの手続き等がラクになり、今まで人を介するからこそ起こっていたミスも格段に少なくなり、ストレスも軽減してきて、逆に日本に行くと、「なぜ?銀行にこんなに行列?」とか不思議に思ったり、マイナンバーや保険証などのことで揉めている日本を見ていて、フランスは、いつの間にかすんなりと保険証カードなども、すべて切り替わって何の問題もなく、とっても便利になったのに・・など、「フランスにできることがなぜ?日本でできないの?」(来仏当初は日本にはできてもフランスには無理だろうと思ってあきらめることが多かったため・・)と思うことが増えてきました。

 以前は家電のお店などに行くと、目白押しに並んでいた日本製品もすっかり姿を消しています。

 フランスは依然としてダメダメなところもありますが、たしかにこの間にフランスが進化している部分が日本では、抜け落ちているのでは?と思うことはけっこうあります。

 フランスでは、概して日本という国は、アジアの中では、飛びぬけて良く見られている国で、イメージもかなり良い方だと思いますが、それはフランス人の中にある日本のイメージであって、その実態について、あまり一般の人々は知ろうとはしていないところは、幸いなことだと思ってしまうこともあります。

 でも、さすがに、日本が絶対にこのままではいけない!と私は思っているわけで、これは、海外にいてもできる在外投票は絶対にしなければならない!と強い使命感のような思いで、日本大使館に在外投票に行ったのです。

 在外投票ができるということ自体はありがたいですが、このためには在外選挙人登録証が必用で、この申請には、かなり時間がかかります。この在外選挙人証とパスポートかフランスでの滞在許可証等の身分証を提示すればできます。




 この間、大使館は、9時半から17時まで昼休みはなしで投票ができるそうです。通常の大使館の業務もぜひ、昼休みの閉館は是非、やめてほしいです。今どき昼休みってそんなことありえる?と思います。平日しかやっていないのだから、せめて昼休みの時間しか行けない人だっているのです。

 脱線しました・・。

 そして、この在外投票のための本人確認はともかく、そのために用意された用紙や封筒を何重にも使って、2段階チェックされ、最後には立ち合い人のサインとやらが加わります。そして、なんだかうやうやしく投票用紙を金庫みたいな保管場所に入れてもらうのですが、これ、今の時代にこんなやり方?と思わずにはいられません。

 当然、会場には、こんなに人員が必用?と思うほどの人が待機しています。これを全世界の日本大使館でやっているのでしょうか?

 ちなみにフランスの在外投票(海外在住のフランス人の在外投票)は、今年からネット投票が可能になっており、しかも在外選挙登録などというものは必要なく、現地で在留届を出していれば自動的に選挙に投票することができるのです。

 在外投票に来て、ますます日本は変わってほしいと、より実感した次第です。


在外投票


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2024年10月14日月曜日

物議を醸す盗難防止ボックス入りの板チョコ

  


 大手スーパーマーケットチェーン店モノプリ MONOPRIXが板チョコを盗難防止ボックスに入れて陳列したことが物議を醸しています。

 ここ1年でスーパーマーケットにおける万引きが14%増加したと言われており、内務省も万引きが増加傾向にあり、この現象は、インフレとともに悪化していると発表しています。

 一般的にスーパーマーケットの盗難防止装置のロックやチケットなどは、比較的高価な商品(アルコール類や電子機器類に関するもの)につけられていたり、ボックスの中に隠されて設置されたりしているのがふつうで、あまり高価なものを買わないので、私には、あまり縁がなく、しかも、これがついていると、外してもらったりするのに、手間取ったり時間がかかったりすることもあり、むしろ、買うのをやめてしまったりもします。


 

 しかし、今回、物議を醸しているのは、これがなんとチョコレート・・しかも、ごくごくふつうの板チョコで、それほど高価なものでもない、せいぜい2ユーロ~4ユーロ程度のもので、「いくらなんでも、ちょっと大げさなのではないか?」との声が上がっています。

 このために手間暇かけて、逆に商品が値上がりしてしまうのでは?と人々の関心はそちらの方に向かっています。

 現在のところ、これを実施しているのは、マルセイユにある1店舗での試みだそうで、この店舗では、実際に板チョコの万引きが増加しており、その被害額は月あたり500ユーロ(約81,500円程度)に相当するそうで、チョコレートの単価から単純に計算すると、月あたり、170枚近くの板チョコが盗まれていることになるので、この単体だけからみると、かなりの被害とも言えます。

 同様の取り組みは海外でも実施されており、英国ではチーズやバターに盗難防止アラームが設置されているケースがあったり、アメリカでは洗濯洗剤の容器がチェーンで保護されている場合もあるとも報道されていますが、板チョコを盗難防止のケースに入れて陳列するというのは、どうにも割に合わなさそうな気もします。

 しかし、さすがにチョコレート好きの国民だけに、万引きの多い商品のベスト5にはチョコレートが入っているのだそうで、最近のトレンドとしては、電動歯ブラシの詰め替え用ブラシが急上昇中なのだそうです。

 この万引きの増加の波の最初のきっかけは、セルフレジの拡大で、これは、当初から、「こんなのフランスで通用するのかな?」と私でさえも思ったくらいだし、実際に買い物をしていると、そんなに厳しくチェックされている実感もなく、一応、セキュリティの人がいたり、出口には、レシートのバーコードを通すようになっていたりするのですが、一応のお決まりの行程というだけで、それがどの程度、効果的な工程になっているのかは甚だ疑問です。

 そして、その後の波が加速したのは、インフレが原因とされているようです。

 そもそも、少々の万引きくらいでは、警察も呼ばずに商品の分のお金を払っておしまいというのが多分、大半なのではないか?と思い、この扱いがとっても軽いです。

 もっとも、治安が悪すぎるので、こんなことにまで対応していたら、警察はパンク状態になるだろうというのは、悲しい現状です。

 今回のこの店舗の盗難防止入りの板チョコは、これだけ話題にのぼったということで、「店側が警戒を強めている!」という警告の意味合いが強いのだとは思いますが、なんとも情けないというか、ここまでしなければならないのか?と暗澹たる思いです。


盗難防止ボックス入り板チョコ


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2024年10月13日日曜日

平均寿命はどこまで延びるか?

  


 INSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、2023年のフランスの平均寿命は、男性で 80.1歳、女性で85.8歳に達し、2022年と比べると、かなり明らかに伸びています。

 実際に、マスコミで報道される有名人の訃報などを見ても、けっこう長生きしたんだな・・と思うことも多いし、先日、亡くなったアラン・ドロンも88歳でした。周囲の友人・知人のご両親なども、90歳を超える両親がパリで2人で暮らしているのを毎週、身の回りの世話をしに行っているとか、自宅に引き取っていた義母が100歳を超えて、ついに亡くなったとか、明らかにこの平均年齢を遥か超えるほど長生きしている話を聞くことがあって、この平均寿命は、あくまでも平均であって、それよりも長生きしている人もたくさんいます。

 現に夫は57歳で亡くなってしまったので、彼のように早く死んでしまう人も統計には組み込まれているために、平均寿命が80~85,8ということは、すごく長生きの人もけっこういるということです。

 しかし、長寿国としては、日本には、まだまだ及ばないフランスではありますが、この平均寿命が延び続けているのは、一体、どこまで、いつまで続くのか?その場合は、どうなるのか?ということもINSEE(国立統計経済研究所)は予測しています。

 彼らの予測では、2070 年には女性の寿命は90歳、男性で87歳に達し、100歳以上の高齢者が27万人になると予測しています。しかし、一方では、この平均寿命の延びは、鈍化していることも事実で、これまでの寿命の延長は、予防や治療に加えて、生物学的老化を遅らせる技術の進歩であり、これには限界があり、遠からずピークに達するということも述べています。

 日本とフランスを比べてみると、新型コロナウィルス感染が恐ろしく拡大したりした経緯を見ても、公衆衛生管理は日本は断然、優れているし、食生活を中心とする生活習慣などから見ても、どう考えても日本の方が長寿国である理由は明らかであるような気がするので、前向きに考えれば、フランスはまだ伸びしろがあるのかな?とも思います。 

 しかし、寿命が延びることは、喜ばしいことである一方、いわゆる健康寿命というものは、必ずしも最期まで続くわけではないので、個人差があるとはいえ、周囲の様子を見ていると、80歳を超える頃になると、明らかに大きな変調が表れるような気がして、本来の寿命というものは、せいぜい80歳程度なのではないか?と思うこともあります。

 私の両親は、母は平均寿命には遠く及ばず、父はほぼ平均寿命どおりくらいに他界しているので、それ以上の高齢になった場合を目の当たりにはしていませんが、この健康寿命を超えてもなお生きていることが幸せなのだろうか?と、最近、私は、寿命そのものよりも健康寿命や、むしろ、そこそこのところで死ねなかったらどうしよう?という不安の方が大きいです。


フランスの平均寿命


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2024年10月9日水曜日

14歳の殺し屋と50ヶ所をメッタ刺しにされ、生きたまま焼かれた15歳の被害者

  


 つい先日、SNSで雇われた14歳の殺し屋が刑務所に服役中の雇い主からの通報により逮捕されたという事件がありましたが、この原因ともなった、その数日前に起こった殺人事件は、さらに残酷なものであったことがわかってきました。

 その両方の事件には、マルセイユ3区ベル・ド・メのムーラン・ド・メ市での取引地点を争うDZマフィアと「ブラック・クラン」との間のクラン抗争の一端であり、そのどちらもが、人を殺害するという極めて深刻な事柄にもかかわらず、かなり現場の指示が杜撰で、先日の14歳の殺し屋によるVTC運転手殺人事件も、本来のターゲットはVTCの運転手ではなく、別にいた模様で、被害者のVTC運転手は、明らかに巻き添えを食って殺害された模様です。

 その前に起こっていたと言われる殺人事件の被害者は15歳の少年で、なんと、この少年もSNSで募集され、敵対する勢力のメンバー宅の襲撃と放火を2,000ユーロで請け負っていたとのことで、友人を伴い現場に向かったところが、逆に反撃にあい、拳銃をもっていたことから、逆襲を受けナイフで50ヶ所以上刺され、生きたまま焼かれるという(解剖結果により判明)残虐的な方法で殺害されてしまいました。

 この2つの事件は、関連しているものでありながら、もともとの目的?とは少しずれた対象に対して発生しており、また、実際の抗争者たちは、彼らではなく、彼らは単にお金で殺人等を請け負ったがために、巻き込まれて殺された駒の一つにすぎないわけです。

 このような危険な依頼に対して、その広告がSNSで出されようと何だろうと、彼らが、今や麻薬密売などだけではなく、殺人でさえも請け負ってしまう・・そして、失敗すれば、いとも簡単に殺されたり、雇い主からの通告で逮捕される・・。しかも、それが14歳、15歳という極めて低年齢であることは、信じがたいことですが、現在起こっている現実です。

 しかし、いずれにせよ、この問題の根幹にあるものは、麻薬・覚せい剤等による巨大マネーであり、それに銃器売買や人身売買などで雪だるま式に巨大な勢力になり、その勢力争いのために起こる殺人事件・・そして、その駒となりお金目当てにいとも簡単に殺人を請け負い、結果的には、自身が殺される未成年です。

 この勢力争いの中心となっている地域は、北部地区からマルセイユ市中心部の3区に移り、ヨーロッパで最も貧しい地区の一つであるベル・ド・メ地区に移動しつつあると言われています。

 つまり、麻薬による巨大マネーを握っている勢力が狙っているのは、最も貧しい地域の人々で彼らは最も貧しく、弱い立場の人々を食い物にし、その貧しい者同士を抗争の駒として使っているという悲しい現状なのです。


犯罪の低年齢化


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2024年10月6日日曜日

SNSで募集されたマルセイユの14歳の殺し屋

  

 

 何から何まで驚愕の突っ込みどころ満載というか、どれだけ、首を傾げても傾げきれないような事件です。

 10月3日から4日の夜、マルセイユ3区でVTCの運転手である30歳の男性が首に銃撃を受けて、交通事故を起こして死亡するという事件が起こりました。現場の写真を見ると、激しく学校の門に衝突して大破した車の様子から、一見、交通事故か、あるいは、学校へのテロ攻撃?と見えないこともありませんが、この被害者は、この衝突の前に首を銃で撃たれており、救急隊が到着した時には、すでに心肺停止状態にあり、蘇生は不可能であったということです。

 ところが、この事件が起こってまもなく、警察に刑務所の独房から通報があり、この通報者自らは、この事件の先導者(黒幕)と名乗り、この実行犯の少年の名前と居場所を知らせてきたということで、この先導者の情報どおりに、逮捕されたのは、14歳の少年だったという・・一体、どこでビックリしたらいいのかわからない事件です。

 この14歳の少年、刑務所の独房にいる先導者(マルセイユの麻薬密売組織DZマフィアのメンバー)が、SNSで殺し屋を募集、この14歳の少年に殺害を依頼していたそうですが、この少年の仕事に落ち度があった・・彼の依頼では、殺害後に車を燃やすはずだったのに、車を燃やしていない・・つまり、不完全な仕事のために雇った殺し屋を警察に売ったと話していると言います。

 この通報は、この殺し屋の仕事を請け負っている者たちへの見せしめというか、仕事をきっちりやらないとこうなるぞ・・ということを知らしめているような気もします。

 まず、刑務所の独房からなぜ?自由にSNSを使ったり、電話ができたりするのか? そもそもなんで携帯もってるの? また殺し屋として14歳の少年を雇う?また14歳の少年が殺し屋の仕事を引き受ける・・全てが意味がわかりません。

 この黒幕の男によると、この事件は、10月1日から2日の夜にマルセイユ3区で刺殺された暗殺事件への対応であることも示唆しており、麻薬密売組織の抗争とみられています。

 マルセイユの警察当局によると、現在、マルセイユで起こっている麻薬密売に関連した事件に関係した者の35.87%は未成年者であるということで、この麻薬密売組織は、人身売買に積極的に参入しているが、この中には、殺し屋として採用される者もいるということで、若い殺し屋は犯罪組織に雇われ、スナップチャットなどのソーシャルネットワーク上で頻繁に利用されており、暗殺1件につき2万~3万ユーロ(約320万円~480万円)が支払われると言われています。

 この末端の麻薬密売人は、14歳から21歳が中心ということで、今回の殺し屋が14歳であったということは、衝撃的であると同時に、この背景からは、あり得ない話ではないのかもしれません。

 マルセイユ警察当局の信じられないほどの努力にもかかわらず、この4~6年間、治安の悪化は激化する一方で、この麻薬密売は巨額の金をもたらし続けているということです。

 この14歳の殺し屋はニーム生まれのコモロ人で、彼のプロフィールは警察にもよく知られていたと言います。彼は重大な犯罪歴のある家族の出身で、両親は加重ポン引きで有罪判決を受けて刑務所に収監されているそうで、もうそれ自体も痛ましい生い立ちのような気がしてきます。

 よく、司法制度については、日本の司法制度が人質司法などと非難されますが、これでは、なかなかなことをしないと刑務所に収監されないうえに、刑務所の独房で携帯使い放題のようなフランスの司法もどういうものか?とも思います。

 もう、何から何まで問題づくめのこの事件、徹底的に追及してほしいものです。


14歳の殺し屋


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2024年10月4日金曜日

フランス政府 航空券にかかる連帯税(TSBA)の大幅な引き上げ検討

  


 まだ、検討中という話なので、確定するのかどうかはわからないので、騒ぐのもどうかとは思うのですが、ちょっと聞き捨てならない話なので、一応、今後、注意して行方を見守りたいと思いつつ、公に話が出てくるということは、かなり確率がある話ではないかと、本当にウンザリしている話があります。

 フランスではバルニエ新首相の政権が始動し始めてから、まるで、ロクな話が聞こえてこず、財政赤字補填のための色々な隙をついての様々な増税が検討されているようです。

 しかも、今回の話は、航空券に関するもので、私にも大いに影響のある話です。

 仏メディアによると、経済財務省は航空券にかかる連帯税(TSBA)を大幅に増額することで10億ユーロ近くを集めるつもりで、ビジネスクラスや長距離路線からのさらなる税収を求めているということです。 TSBAは現在4億6000万ユーロをもたらしているということで、単純に考えても、この税金は、倍以上になるわけで、これが航空券の料金に上乗せされるのは、必須であると見られています。

 どう考えても、日本行きの航空券はこれに該当します!

 航空券に関して言えば、もうここ数年で燃料価格の上昇などにより、すでにかなり値上げされているもので、このうえ、また、よくわけのわからない連帯税なるものを引き上げられるのは、本当に勘弁してほしいものです。

 エールフランスを始めとする各航空会社は、「これほどの税金ショックを吸収することはできず、この計画が日の目を見れば、チケット価格に転嫁しなければならない・・しかし、それは、移動性を奪い、航空輸送の民主化を損なうことになるだろう!」と警告しています。

 この連帯税に関しては、FNAM(全米航空連盟)も、フランスは、ヨーロッパ諸国の一つであり、ヨーロッパの中でもすでに航空部門に最も重税を課している国であることを指摘しており、この増税圧力の高まりにより、外国航空会社と比較して競争力がさらに失われることを懸念しているとコメントしています。

 FNAPによれば、スペインやイタリアなどの近隣諸国は、より多くの観光客を呼び込むために航空税を引き下げることを選択しているというが、これはフランスという目的地の魅力に不利益を与えることになるだろうと警告しているのです。 

 周囲の欧州の国々に比べてフランスの航空運賃が極端に高くなった場合、つい数か月前のオリンピック時のように多くの観光客がフランスを避けることになります。オリンピックの前後の期間、航空運賃だけでなく、ホテルから公共交通機関などの全てを値上げしたため、オリンピックにもかかわらず、多くの観光客は、パリを避ける結果となり、とても客室が足りないであろうと言われていたパリ市内・パリ近郊のホテルは、がら空きの状態になりました。この連帯税による航空運賃の値上げは、ヨーロッパの中でもとりわけ航空運賃の高い国として、恒久的に避けられる結果になりかねません。

 この連帯税に関しては、フランスは2020年にすでに「環境貢献」の名目で値上げしたばかりです。

 フランスは、観光収入も少なくない国で、このフランスだけが値上げする航空券の連帯税のための航空券の価格上昇により、観光客を失えば、税収だけでなく、観光収入も大幅減収ということになりかねません。

 現在のところ、決定事項ではありませんが、この試みが正式に提案されれば、まず、かなりの確率で、とりあえずは、エアフランスのストライキが起こることだけは、間違いなさそうです。

 パンデミックの期間、しばらく日本には行けず、その後、戦争が始まって、一気に航空券の料金は跳ね上がりました。現状でさえも、今までの直行便よりも時間がかかるようになったのに、値上げされたことに、憤慨しているのに、このうえ、連帯税って何よ!と本当に頭に来ています。


航空券にかかる連帯税(TSBA)大幅引き上げ


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2024年10月2日水曜日

娘と私の友人の九州珍道中

  


 娘が日本で仕事を始めてから、もう2年くらいが経過し、日本での生活にもかなり慣れ、仕事もどうにか順調そうで、また、リモートワークを上手く利用して、彼女はかなり頻繁に旅行して歩いて、楽しそうに生活しているようです。

 やはり、日本とは時差が7時間(もう少しすると8時間になる)もあり、ゆっくり話せる時間帯もズレているので、電話するのはけっこうタイミングが難しいし、また、独立した娘にあまり口出しして、ウザいと思われるのも嫌なので、時々、電話してみたりもするのですが、そんなに頻繁でもありません。

 でも、娘の方も、たまに思い出したように電話をくれます。前回、電話をくれたのは、連休を利用しての九州旅行の最中で、電話がかかってきた時には、「もう、東京に戻ったの?どうだった?九州?」と聞いたら、「いやいや、まだ九州にいる!」と。

 連休を利用しての旅行なので、もう東京に帰っていると思ったら、「せっかく高い新幹線代払ったから、もう少しいようと思って、一緒にいた友達はもう帰っちゃったんだけど、今は、リモートで仕事しながらまだ、一人で九州を旅行している」とのこと。

 「え~今どこどこ?」と聞いたら、「明日は鹿児島に行こうと思ってる・・」ということで、「えっ?鹿児島なら、友だちに案内してもらえるか?聞いてみようか? ママの友だちに案内してもらうなんて、面倒な感じだったら、別に頼まないけど・・」と言ってみたら、「全然、嫌じゃない・・頼めるなら、嬉しいけど・・」とのことだったので、急遽、友人に連絡してみると、ちょうど、「その日なら、大丈夫!」と快諾してくれたので、お願いすることにして、直接、SNSを繋げて、直に二人で連絡をとって、1日、案内してくれたようです。

 その友人というのは、昨年、私が友人と九州に行ったときにも、案内してくれた私のロンドン留学時以来の友人で、不思議な間柄の友人です。よく男女の間に友情は成立するか?などということを言われたりもしますが、ず~っと恋愛モードには、まったくならない男性の友人です。

 海外にいると、日本にいる友人ともつきあいを継続させるのは、難しいことですが、ここへきて、世代まで越えて親子でのおつきあいができるとは、今まで想像もしていなかったし、大変、嬉しい限りです。

 とはいえ、「20代半ばの女の子と母親の友人のおじさん」・・友人の方が娘の写真を1枚送ってくれましたが、まあ、これがビックリするほど娘はラフな格好(ショートパンツにTシャツ)で、詳しく娘の説明をしていなかったので、うら若き可愛らしい乙女が来るかと思っていたかもしれない友人からしたら、ガッカリしたかもしれません。

 しかし、お世辞半分でしょうが、友人は、「とても落ち着いて、しっかりしていて良いお嬢さん・・キャピキャピしてる子じゃなくてよかった・・まあ、あなたの娘がキャピキャピするわけないけどね・・、ここへ行って、あそこにも行って・・トンカツ屋さんに連れて行ったら、逆にご馳走になっちゃった・・」と。

 あちこち案内して頂いたお礼にトンカツはごちそうするという男前・・というか、若さに甘えず、あまり、ちゃっかりしすぎないところは、親としては、嬉しかったところです。

 娘の方も「車であちこち連れて行ってくれて、桜島にも行って・・美味しいトンカツ屋さんにも連れて行ってくれた!」と楽しかった模様。

 しかし、それにしても、娘は東京にいる私の友人とも、そんなに頻繁ではないにせよ、全然、抵抗なく、会ったりできるところは、私の若い頃だったら、ちょっと考えられないことだったけど、そんな柔軟なところは良いな・・と思うのです。

 それもこれも、しつこいようですが、彼女が日本語が全く問題なく話せるということが大きいわけで、私の友人から娘と過ごした時間の話なんかを聞くたびに、やっぱり、日本語を頑張って教え続けてきて、よかった・・と自己満足に浸る私です。


私の友人と娘


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2024年9月29日日曜日

コロナウィルス感染者増加とコロナ&インフルエンザワクチン

  


 体調不良で、どうにもだるくてたまらない日々が続くので、こんなのやっぱり普通じゃないな・・と思い腰をあげて、お医者さんに行ってきました。

 自分としては、ちょっと風邪っぽくもあるけれど、特に咳が出るとか、高熱が出るとかいうことでもなく、とにかく、ひたすらに身体がだるく、朝からとても辛い日がずっと続くので、いよいよ、どこかおかしいのかも? ひょっとして心臓?もしかして肝臓?などなど、以前から、色々と薬を飲みつつ様子を見ましょうと言われている箇所が多数あるので、そのうちのどこかが悪化したのでは? もしそうなら、早いとこ血液検査をしてもらえるように処方箋を書いてもらおう!・・と思っていました。

 いつもお世話になっているかかりつけの先生なので、症状を話して、血液検査のことを頼むと、一応、診察をしてくれてから、「ん~~・・まずは、今、またコロナが流行ってきているから、もしかしたら、コロナウィルスに感染しているかもしれないから、まず、コロナの検査を受けた方がいいわよ!薬局ではなく、ちゃんとラボで検査受けた方がいいわよ!」とまず、PCR検査の処方箋を書いてくれました。

 そして、もし、コロナが陰性だとわかってから、血液検査をした方がいいから・・と血液検査の処方箋も同時に書いてくれました。

 検査に行ってみると、まあ、久しぶりとはいえ、ラボは超満員、ラボなので、必ずしもPCR検査に来ている人だけでなく、他の検査に来ている人も多いとはいえ、こんなにここのラボが混んでいるのは、初めてで、もう待合室の椅子が足りないくらいで、ただでさえ、だるくてしんどいのに、立って待っているの辛いな~と思ったくらいでした。

 私のかかりつけのお医者さんは、現場で見ていて、コロナやインフルエンザなどのウィルスに感染している人が多いことを感じてそのように勧めてくれたのですが、それから少したって、フランス公衆衛生局は、ここ数日の新型コロナウイルス感染症の感染者数の確実な増加について警告を発表しました。

 このフランス公衆衛生局の発表によると、9月16日から22日にかけての1週間で新型コロナウイルス感染症の疑いで緊急治療室に行った後の入院が1,013件とかなりの数字になっています。

 パリは、もうすっかり秋というより、もう冬に近い感じで暖房をいれたくなるくらいの気候で、朝晩の寒暖の差が激しく、ただでさえ、風邪をひきそうな季節に加えて、ウィルスが蔓延するための適温になってきました。

 Ameli(フランス国民健康保険)からは、ついこの間、ワクチン接種のお知らせが届いていて、10月の半ばには、薬局に出回るそうなので、それ以降に受けようと思っています。

 幸か不幸か、私は、コロナウィルス検査では陰性で、コロナウィルスに感染していなかったのは、「セーフ!」という感じではあるものの、私の症状の原因は別にあるわけで、どうもすっきりしませんが、来週にでも、今度は血液検査に行こうと思っています。

 まったく、私も以前と比べると、すっかり検査や医者や薬局に行くことが多くなり、もう高齢者みたいだ・・とちょっと、自分で自分が情けないです。

 しかし、この体調の悪いところに、コロナウィルスにまで感染したら、本当にダブルでダメージをくらうところなので、注意しなければ・・と思っています。


コロナウィルス感染増加 混合ワクチン


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2024年9月25日水曜日

RATP(パリ交通公団)が掲げる9つの約束と知らなかったサービス

  


 「私たちは、お客様にさらに満足していただくために、一貫した、パーソナライズされた高品質のサービスを提供することに日々取り組んでいます」、「私たちは具体的な9つの取り組みを掲げて絶え間ない動員を続けています!」というRATP(パリ交通公団)の広告をチラッと見て、「こんなの絵にかいた餅になるんだろうな・・」と半ば、あんまり信用せずに読んで行ったら、けっこう知らなかったサービスもあったんだな・・と思ったので、ちょっとだけ書いておくことにしました。

 メトロや RER のプラットフォーム、またはバスやトラムの停留所での待ち時間を短縮する取り組みとして、待ち時間はメトロで3分、RER 中央区間で4分、支線で12分を目途に調整しているそうで、メトロ、バス、トラム、RERを年中無休、1日20時間利用できるようにし、ノクティリアンバスは一晩中、利用可能を実施。

 ここに関しては、待ち時間はともかく、忘れてはならないのは、ストライキ問題で、なんといってもRATPの一番の問題は何かあるたびに先頭を切ってストライキをお客様そっちのけで、高品質のサービスとはかけ離れたことをやるわけで、待ち時間とか、運行時間などの問題ではなく、この期間は運休だったり間引き運転だったり、大変な迷惑を被るので、この問題を一番に解決してほしいところです。

 また、27,000 人の従業員が、身体の不自由な方や障害のある方を歓迎し、サポートするための訓練を受けており、フランス語を話せない方、視覚障害者、聴覚障害のある旅行者を毎日案内しているそうです。

 これに関しては、一度、RATPの職員が視覚障害のある女性を案内して、メトロに乗せるために、駅のホームをエスコートしているのを見かけたことがあり、その女性が下りる駅では、その駅の職員が待機して案内するように手配してあるのでご心配なく・・と伝えているのを目撃したことがあり、ずいぶんと親切なんだな・・と感激したことがあります。

 フランス語を話せない方・・に対しては、最近は、オリンピック効果?なのか、駅によっては、オリンピックが終わった今でも英語で案内してくれる人が待機している駅もあります。

 また、「RATP」のサイト上(仏・英語)では、交通情報や物品を紛失した場合の問い合わせができると言っていますが、これはRATPの問題以前に、メトロなどの公共交通機関で失くしたものが出てくるかどうかは、また別問題です。失くさなくても盗られるのに、自ら紛失したものが出てくる可能性は、限りなく低いです。

 そして、これは知らなかったのですが、駅によっては、傘の貸し出しサービスをやっている駅もあるそうです。

 また、RATPには、カスタマーサービスがあり、年中無休、3424 (無料通話) で利用できるそうです。

 そして、これまたビックリしたのは、RATP ネットワーク全体 (車両とスペース) は毎日清掃および消毒されているのだそうで、そういえば、以前ほど、汚~い!というメトロは見かけなくなった気がします。

 また、さらにビックリするのが、「当社は、すべてのエスカレーターとエレベーターの 95% が正しく機能することを保証します」というところで、これは、正しく機能するために修理中・・というのは、カウントされるのだろうか?とちょっと、いじわるに思いますが、100%と言わないところがなかなかリアルです。

 また、セキュリティに関しては、セキュリティ専門の 1,000 人以上の職員と50,000 台を超えるカメラが駅や車両に配備され、24 時間年中無休で運用される指揮所を通じて操作されているそうで、ジェンダーに基づく暴力や性暴力との戦いのために、特別に職員を訓練しているそうです。

 また、85のRER駅と地下鉄駅にはWIFIを導入しているそうです。

 いずれにしても、RATPのクォリティはオリンピックを機に格段にアップしたのは、事実で、車両はずいぶん新車に切り替わったし、少なくとも期間中はほんとに清潔できれいになりました。

 「やれば、できるじゃん!」とも思いましたが、正直、これが維持できるかどうかは、あんまり期待はしていませんが、少しは、改善されていく方向なのかな?とは思います。

 現在、RATPの社長は、数期前の首相だったカステックス氏で、彼自身、時々なのかはわかりませんが、メトロを利用しているようで、私も一度、見かけて「お~~っ!」となりました。

 あまりにふつうに、一般の乗客に溶け込んで、乗っていらっしゃったので、びっくりしたのですが、こんな風に社長自ら、現状をご覧になっているのかもしれません。


RATPのサービス


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2024年9月24日火曜日

薬局で倒れたおじいさんを見守りながら、なにかあったら、薬局に駆け込もうと思いました・・

  


 体調を崩して、お医者さんに行き、処方箋を書いてくれたので、帰りに薬を出してもらいに薬局に寄ったときのことです。

 小さな人だかりができていて、???と思って覗くと、おじいさんが倒れていて、それをコマーシャルセンターの救助の人々と薬局の人が取り囲んでいました。

 おじいさんは、床に仰向けに転がっていて、苦しそうな顔をしています。でも、どうやら意識はあるようで、「何歳ですか?」とか、「左足をたてられますか?」、「右足をたてられますか?」、「私の手を強く握ってみてください」とか言われながら、指示に従って、そのとおりに身体を動かしていますが、目は閉じたままですが、時々、苦しそうに目を薄くあけています。

 ひとまずは、言っていることは理解しているようで、「はい、83歳です」とか、言われた通りに片足ずつをたてたり、救助の人の手を握ったりしています。

 それでも自分で起き上がることはできないようで、また、下手に動かしてはいけない様子で、まあ、とりあえずは、薬局で倒れたのは不幸中の幸いのようで、応急処置に必要な器具などが揃っていて、ひととおりの質問が済んだところで、救助の人が「救急車を呼びましょう」と判断し、通報していました。

 ものすごく優しく語りかけているにもかかわらず、緊迫感が伝わってくる感じです。

 ここで私が驚いたのは、その救助の人たちも薬局の人たちも、ものすごく優しくて、わりとよく知っている薬局で、いつもの彼女たちも知っているので、日常はどんな感じの人なのかわかっているだけに、いつもと全然違うのも、わかります。

 もちろん、日常だって、親切だし、感じよい人々なんだけど、ベタベタは決してせずに、ほどよいさっぱり感が私は、気に入っているのですが、ここぞという緊急時には、本当に親身になって、めちゃくちゃ優しいところに感心させられたのです。

 これは、多くのフランス人に共通するところで、いつもは、わりと我関せずな感じでさっぱりしているけれど、本当に困っている人、怪我人、病人などには、ものすごく優しいのです。

 いつだったか、わりと人通りが少ないと思われるちょっと郊外の通りを道がわからないので、GoogleMapを見ながら、歩いていたら、歩道と車道の段差でものすごく勢いよく、転んだら、どこで見ていたのか、若い男性2人がどこかからすっ飛んできてくれて、大丈夫?大丈夫?近くの会社で手当できるよ・・と助けてくれました。

 他に数人の女性も駆け寄ってきてくれました。

 その時は、かなり痛かったのですが、痛いよりも恥ずかしさが先にたち、もう早く立ち去りたい気持ちが強くて、「はい、大丈夫です。ありがとうございます!」と言って、早々に立ち去ったのですが、後から考えたら、「すごく優しい人たちだったな・・」と、ちょっと感動したのです。

 また、これが薬局ということで、対応もより的確で、お見事といっていいくらいの対処で、見直しました。

 私は、近所にかかりつけのお医者さんがいるので、いざとなったら、彼女のところに駆け込もうと思っているのですが、このお医者さんよりもさらに家から近く、開店時間も長い薬局の方がとりあえず、駆け込むのには、よいだろう・・などと、倒れたおじいさんを見守りながら、考えていたのです。

 最近、体調を崩しがちな一人暮らしのわが身からすれば、これは、なかなか心強いことです。


フランスの薬局


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2024年9月23日月曜日

逆さはいけない・・

  


 夫が急死したのは、日本にいる母が亡くなった約2年後のことで、母の死から、ようやく立ち直りつつあった私には、本当に辛いことで、「こんなに悲しく辛いことは、もうこれ以上、この世にはないだろう・・」と思いました。

 母が生きていてくれたら、おそらく何をおいてでもかけつけてくれただろうに、そんな母はもうおらず、(父は、そのような人ではない)、日本に行けば、とても優しく親しくしている叔父や叔母たちも、さすがに腰が引けたのか、すぐには、誰も来てくれませんでした。

 それでも、私にはまだ、当時10歳の娘がいたし、娘もそうそう学校を休むのもいけないし、私も仕事があったので、むしろ、夫がいなくなってしまった家に一日中ふさぎ込んでいるよりも、それぞれ、学校や職場に行った方が気が紛れて助かったのです。

 そのうえ、夫の死後にしなければならない公的手続きなどは、山積みで、夫の同僚の人が手伝ってくれたものの、私が直接、提出しなければならない書類などもけっこうあり、また、さすがのフランスのお役所・・その必要な書類をバラバラ、後から追加してきたりするので、(もう!一度に言ってよ!と思ったけど、その時はそんなことを言い返す元気もなく・・)、ひたすら、淡々とその日、やらなければならないことをこなしながら、時を過ごしていました。

 当初から、「でも、娘ちゃんがいてくれて、よかったね・・」となぐさめてくれる人もけっこういましたが、そんなことを思うのは、それからしばらく落ち着いてから言える話で、異国の地で、子どもを一人で育てていかなければならなくなったことは、正直、とても不安なことでもありました。

 しかし、当時は、これ以上悲しいことはもうないだろうと思ったけれど、これ以上悲しいことは、娘にもしものことがあった時ということがあったわけで、そんなことがあったら、今度こそ、本当に私は立ち直れないだろうな・・と思ってしまいます。

 ところが、その子どもに先立たれるということは、全くない話ではなくて、数年前に、「そういえば、彼女、どうしてるんだろう?」と、仕事関係で(あくまで仕事上でのつきあいだけでしたが、)けっこう親しくしていた人に連絡してみたら、なんと、数年前に息子さんを亡くされたそうで、しかも、自ら命を絶ってしまった・・ということで、それ以上は、あまり彼女も話したがらなかったし、深く聞くのも憚られたし、彼女もその時点では、もう受け入れられたからもういいの・・と言っていたので、あまり詳細は聞きませんでしたが、どんなに辛い思いをされただろうか?ということは想像に難くないところでした。

 彼女も私も一人ずつ子どもがいて、顔を合わせれば、息子さんはお元気?などと、お互い子どもの話をすることも多く、男の子を持つママにはありがちな感じで、もう夫よりも息子の方が恋人みたいな感じで、とても可愛がっていたという記憶があり、男の子の親と女の子の親っていうのも、微妙に違う感じなんだな・・と思っていました。私と娘は、どちらかといえば、恋人というより、友だちみたいな感じです。

 その話を聞いて、また数年が経ちましたが、つい最近、友人から、元同僚の一人が息子さんを亡くしたという話を聞いて、正直、驚きました。彼女とはそれほど親しかったわけではないので、直接、話を聞いたわけではないし、あまりここぞとばかりに、連絡を取るのも空々しい感じなので、詳しい事情はわかりませんが、お悔やみのメッセージだけ送りました。

 月並みだけど、「やっぱり逆さはいけないよな・・」と思い、最も痛ましいことの一つだと思いました。

 しかし、この話は別としても、「逆さはいけない・・」とか、「順番が違う・・」とか、言いますが、この高齢社会、親が90や100まで生きていても不思議ではない時代、その「逆さ」もさぞかし増えてることだろうな・・と妙なことも思いました。

 うちは、両親ともに、すでに他界しているので、もう私の実家においては、「逆さ」はあり得ないことですが、親が長生きすればするほど、それは、充分にあり得る話になってきます。

 今の私などの世代での「逆さ」であるならば、その子供の年齢もあまりにも若いことによる悲劇という要素もあると思いますが、親が90歳とか100歳の逆さの場合でも、やっぱり、そんな風に思うのだろうか?と、私は、そんなことにならないように、逆さにならないようにほどほどの年齢でお暇したいと思っています。


逆縁


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