2025年4月28日月曜日

家についている猫と家についている私

   


 「猫は家につく」と言いますが、最近、私も家についているな・・と思います。「ついている」というのは、ラッキーという意味ではなく、(住居に困っていないという意味ではラッキーですが・・)、家が好きという意味です。

 我が家の猫は、生まれて2ヶ月ほどで我が家にやってきて以来、ほぼほぼ外に出ることのない生活をしていることもあり、まさに内弁慶というか、外に出かけるのをとても嫌がります。

 最近は、もう無理に連れて出ることもやめてしまいましたが、娘が家にいた頃は、歩いて20分ほどの夫の眠る墓地に行く際に一緒にお散歩させたりもしましたが、家から出てしばらくは、ほっておくと、我が家に向けて一目散に駆け戻ってしまうので、近くまで抱きかかえて行って、その先はなんとかなだめすかして散歩させる・・それでも、途中、何度も抱っこしては、おろし・・を繰り返し、墓地の中だけでは、なぜかリラックスしているのですが、彼女にとって、お出かけは大変なストレスのようです。

 家の中は、すべて彼女の好きなように、時間帯によって、陽あたりのよい場所を移動して、勝手気ままにしていますが、食事の支度をはじめたりすると、どこにいてもすっ飛んでやってきます。

 日常的にはとても穏やかなのですが、嫌いな人がやってくると牙をむき、唸って威嚇します。そんなわけなので、とても外に預けることは無理そうで、私が旅行する時などは、知人に頼んで、家にご飯とトイレの世話に来てもらっています。

 人懐こいわけではないのに、微妙に側にいたがり、今もパソコンと私の間のちょうど私の腕に触れるか触れないかの微妙に邪魔な位置に寝ています。

 完全に家についている猫なのですが、最近、私もこの家、というかこの空間が一番好きで落ち着くな~としみじみ思います。旅行するのは楽しいし、温泉などもとても快適で気持ちよいのですが、生活空間としては、やっぱり我が家が一番、落ち着きます。決してきれいでも、近代的でも素敵でもないアパートですが、私の生活には、現時点ではとても快適です。

 もともと、今の家に引っ越してきた時には、夫と娘と3人で、今考えると、よくこのスペースに3人で住んでいたな~と思うのですが、夫が亡くなった当時はなんとなく、一人いなくなっただけで、なんとなくガランとした気がしたし、それから大分たって、娘が独立したときも、なんとなく、広くなった気がしたのですが、今では、これがちょうどいい感じになっています。

 夫と二人で使っていた寝室はもちろん、今は私一人で大き目のベッドに悠々と寝て、娘のいた部屋はすっかり倉庫状態(我が家にはフランスのアパートにはたいていあるカーヴ(倉庫蔵のようなもの)がない)。夫が亡くなってからは、ずいぶん、彼のものも処分したし、娘のものは、まだたくさん残っているものの、それでも少しずつ減らしています。

 にもかかわらず、現在の娘の部屋の倉庫としての変容ぶりには、ずいぶんと処分したはずなのに、なんでこんなにたくさんのものがあるんだろうとちょっと不思議な気もします。

 娘が帰ってきたときや、誰かが泊まりに来たときは、娘の部屋をなんとか俄かに片付けて使ってもらっているのですが、今度、誰かが来た時には、どうしよう?とちょっと不安になるくらい、とっちらかっています。

 私の部屋と倉庫になっている娘の部屋、そして、サロン(居間)と台所、台所はわりとスペースがあるため、テーブルに椅子、テレビもパソコンもあって、おそらく、私はそこにいる時間が最も長いです。

 サロンには、ソファや低いテーブル、ピアノなどが置いてありますが、他の部屋よりは少し広いために、もっぱら私の運動場というか、ヨガマットなどが備えてあります。

 その先には小さいスペースですが、ベランダがあるので、ベランダでは日本の野菜を少しずつ育てています。今は小松菜や水菜、春菊、わさび菜、小葱、山椒の葉などが採れています。

 私の育った東京にある実家は、2階建ての家で、私の部屋などは、2階にあったので、階段の上り下りのいらない(年寄りくさい気もする)今の家はずっと暮らしやすい気がしています。

 とにかく、全て家の中を自分の好きなように使い、好きな時に好きなようにできる今の家が何より心地よいのです。もしかしたら、私がいつまでもフランスにいる理由はこの空間を自由にしていられる・・周辺の環境や、だいたい30分以内でパリの好きなところには、どこにでも行ける・・そんなことを含めての環境だとも思うのですが・・。

 食べ物だけは、日本での食べ物には執着が断ち切れませんが、それも年に1~2回日本に行った際に山ほどの食料を持ち帰り、パリ市内で何がどこに行けば買えるかもだいたい承知しているので、日本のように簡単に手に入るわけではありませんが、困ることもありません。

 要は、自分の空間を自分の好きなように使えている今の家がとても心地よく、「猫が家につく」のと同じように、「私も家についているな・・」と思う所以です。


猫は家につく


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