エルメスがLVMH(ルイ・ヴィトン)に勝った!・・といっても、株式市場での話ではありますが、ルイ・ヴィトンだけでなく、ディオール、セリーヌ、フェンディ、ショーメ、ティファニーなどの複合企業であるLVMHは、この株式市場においても、これまで圧倒的な存在で、他の追随を許さない不動の一位を保ってきたのですから、その競合であるエルメスにその座を奪われたことは、歴史的なことでもあります。
エルメスは、今週火曜日、パリ証券取引所で同日、取引終了後の価格で株式時価総額が2,486億ユーロに達し(一時的には3,000億ユーロを超えた)、LVMHの2,443億9,000万ユーロを大きく上回りました。
この展開は、前日に発表されたLVMHの第1四半期の売上高にアナリストによって失望とみなされたことにより、LVMHの株価が急落したことによるもので、米国による関税引き上げも大きく影響し、LVMHの株価は1月の初め以来、株価は23%以上下落を続けていた果てに起こったことだと言われています。
これに反して、エルメスは、この危機に直面しておらず、1月初旬以降、上昇しており、高級品業界全体にとって、より厳しい状況が続いているの中で注目すべき進歩であることが注目されています。
エルメスは高級品に対する世界的な需要の減速を競合他社よりも上手く乗り越えていると言われており、エルメスはそのターゲットを「超富裕層」に絞ると同時に商品の希少性の倫理で運営することで、その商品そのものの価値を上昇させ、合理的な価格上昇を基盤としています。
この希少性を高めることにより、エルメスはよりブランドに対する信頼の証を強め、強固な価格決定力と製品の長いウェイティングリストを誇っています。
最近、パリのメインと言われるエリアには、「えっ?ここにもルイ・ヴィトン?しかも、こんな広いスペースで?」と驚くほどに、拡大していると思われるルイ・ヴィトンに対し、エルメスは頑固に店舗を増やさず、しかも、ともすると、全くやる気なし、商売っ気ない?と思わせるような感じさえあります。
私自身は、自分でこのようなハイブランドには興味はないのですが、少し前に日本に住んでいる従姉妹に頼まれて、エルメス本店に彼女のご希望の商品を探しに行ったことがあるのです。
従姉妹によれば、日本では、どんなに探しても買えないとのことで、もしかして、パリの本店に行けば、買えるかもしれないから見てきて!とのことでした。パリのエルメス本店に行って、聞いてみると、店員のお姉さんによれば、「ああ、それ、素敵よね!でも、今は、その商品はなくて、次にいつ入荷するかもわからないの・・」とのことで、まったくやる気ないというか、商売っ気がないな・・と思ったものです。
しかし、これこそが「希少性」のマジックで、従姉妹曰く、「とにかく、いくらでもいいから買ってきて!日本では絶対に手に入らないから・・」ということで、まさにこの希少性の罠?にハマっているわけで、こうして、手に入りづらいことから、どんな強気な価格で販売しようとも、売れてしまうわけです。
たしか、小さなポシェットのようなバッグだったと思いますが、軽く10万円は、超える価格、ちょっと常識では考え難い値段、まさに「超富裕層」をターゲットにしていることがうかがえます。
無理に急いで大量生産せずに、悠々と品質を保ちながら、価格を余裕で高価格に設定できるエルメスの基本理念が見事に成功しているように思います。
もっとも、2024年の売上高、営業利益を見れば、LVMHは、売上高847億ユーロ、営業利益196ユーロに対して、エルメスの売上高は152億ユーロ、営業利益は62億ユーロと少ないのですが、株価は将来性やトレンドなどある意味、現段階でははっきり見えない部分を予測した価格が繁栄されるので、現在の利益がそのまま反映するものではありません。
10年前には、エルメスを買収しようとしていたLVMHにとっては、頑として買収を許さなかったエルメスに圧倒的1位の座を奪われる日が来ることを想像していたでしょうか?
しかし、その経営方針から、今や両極?のようになった2つのハイブランドの企業が相容れなかったことは明白です。
エルメス時価総額LVMHを上回る
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