まだまだ・・というか、知らないフランス語がたくさんある中で、「DDPF」というのを初めて聞きました。「DDPF」は、「Defense des Droits des Prisonniiers Français」の頭文字を重ねたもので、「フランスの囚人の権利」という意味です。
これまで多くの場面で様々なフランス人の「権利の主張」を目にして、当然の権利だろうと思われるものから、中にはビックリするような権利の主張を見てきました。
今、思い出すちょっとビックリした権利は、行方不明で捜索願いがでていた人に対して、ニュース番組で、ああでもない・・こうでもない・・こんな可能性などもある・・などと警察関係者?や専門家たちが何やら喧々囂々と議論しているときに、その中のある人が「でも、人には、失踪する権利、いなくなる権利・・というものがあるから・・」と言い出したのに、とても驚いたことがありました。
今回の「フランス囚人の権利」というのも、なかなかびっくりしました。囚人といえども人権はある・・ので、ある程度の人権は保護されるべきだとは思いつつ、それがふつうの人のようにはいかず、多くの行動において制限されるのが刑務所だとも思うのです。
もっとも、今回の「DDPF」は、大雑把にいえば、囚人たちの仲間が同時多発的にフランス各地の刑務所をこれで3日連続、襲撃している事件で、この襲撃している者たちが、スローガンのように刑務所や、刑務学校などを狙って襲撃と同時に「DDPF」と車や建築物、刑務所の壁面などに、落書きしまくっているようで、さすがにこの襲撃を襲撃する権利とまでと言っているわけではありません。
このフランス各地の刑務所を中心とした襲撃事件は、トゥーロン、マルセイユ、ヴァランス、ナンテール、ムラン、ヴィルパント、アジャンなどなど、今週明けくらいから、毎晩のように起こっているようで、組織的なテロ行為と見られています。
これは、とても偶然に刑務所および刑務学校ばかりが同日、連日、起こっていると考えるのは、むしろ不自然で、中には、刑務所にカラシニコフの銃弾が撃ち込まれたり、刑務官たちの車が燃やされたりすることがかなりの規模で行われているのは、不気味な動きでもあり、恐ろしいことでもあります。
これら全ての襲撃は、今年になって発表された「麻薬密売人専用の厳重警備刑務所」や「刑務所警察部隊」の設立をはじめとする組織的な麻薬密売組織への厳しい処遇などに反発する組織的なムーブメントであるとも言われています。
これは、昨年5月に起こった囚人護送中に起こった「刑務官射殺のうえの囚人逃亡」事件以来、刑務所の中でも携帯電話使い放題問題、刑務所内から外に向けて新たな犯罪を指揮する組織の問題などが次々と明らかになって、この刑務所内の管理体制が少しずつ強化されているもので、これらの事態に麻薬密売組織がある種の暴力的、破壊的な抗議行動に出ているものと見られています。
また、この動きを組織的に指示して、統括しているのが、刑務所内にいるのか、外にいるのかはわかっていませんが、いずれにしても、相当な大規模な組織であるということは、同時に広範囲の刑務所に向けて行われていることからも明らかです。
車を燃やされたり、命の危険に晒されている刑務官からしても、たまらない・・というか、やってられない事態でもあります。
国家テロ対策検察庁(Pnat)は、この事件の捜査を担当し、司法のテロ対策副局(Sdat)、国家警察の関連地域局および国内治安総局(DGSI)に捜査を委託すると発表しています。
それにしても、刑務所まで警備が必用とは・・ため息も出ない気持ちです。
フランス各地刑務所襲撃 DDPF
<関連記事>
「フランス人はどんな権利も主張する 驚愕の「失踪する権利」」
「14歳の殺し屋と50ヶ所をメッタ刺しにされ、生きたまま焼かれた15歳の被害者」
0 コメント:
コメントを投稿