ノルマンディーにあるルーアンの南にある高速道路のアンカービル料金所で囚人を搬送中の護送車が複数の男たちの襲撃に遭い、刑務官2名死亡、3名重傷のうえ、囚人たちは逃亡するという大惨劇が起こり、騒然としています。
護送車が料金所を通り過ぎようとしているところを狙って2台の車が近付き、そのうちの1台がまず護送車のフロントに正面衝突して車をとめ、行く手を阻んでいます。複数の襲撃犯の男たちは、黒い服を着て頭にフードをかぶり、マスクをしており、散弾銃で護送車を襲撃し、容赦なく刑務官に向けて発砲しています。
日頃、警察官の発砲事件は後を絶たない印象があるのですが、その警察官が発砲する間もなくあっという間に襲撃・銃撃しているのですから、恐ろしいものです。
護送車の後ろには、警察車両が追随していましたが、後ろの車のドアが開いたのは、映像で確認できますが、彼ら(警察官)が発砲する間もなく、襲撃犯は、刑務官を撃ち、そのまま、全員、無傷で逃走しているのですから、まさにプロ。
周囲の人々の証言によると、銃声は20~30発以上聞こえていたということで、あまりの音に最初は爆竹かと思ったが、すぐに銃声とわかって震撼として、身を伏せたと証言しています。
時間にして、この襲撃から逃亡までの時間は2分程度だったと言われていますが、正直、襲撃犯は役割分担がされ、見張りと襲撃、そして逃走補助を数分のうちにやってのけ、不意を突かれた感があります。
ふだん、パリの街を歩いていても、もう慣れてしまってそれほど気になりませんが、主要な駅などには、長い銃をかついだ憲兵隊などを見るたびに、「これ、もしもの時には発砲するのだろうか?」と長い銃を見つめたりもするのですが、護送車に同乗している警察官も当然、銃を携帯しているでしょう。
襲撃犯からしたら、まさに、護送車を襲えば撃たれる可能性が高いわけでしょうから、やられる前にやらなければ・・というつもりで襲撃しているのだと思いますが、護送車側は不意をつかれて、車に衝突されて、その間に、あっという間に刑務官・警察官が撃たれてしまったのです。
逃亡した囚人は、1994年生まれの組織犯罪に関与している30歳の男で、パリ検察所によると麻薬事件、強盗、誘拐、殺人未遂等複数の容疑で起訴されており、マルセイユでは、誘拐と監禁致死の罪で起訴されているという、いわば犯罪のデパートみたいな人物。にもかかわらず、彼は特に重要な被拘禁者(DPS)として登録されていなかったということで、一体、どれだけ凶悪な犯罪者なら、DPSとして登録されるのか?を考えるとなかなか怖い話です。
この襲撃事件直後にすぐに、エペルヴィエ計画(憲兵隊が特定の期間と地域に部隊を動員するために使用するプラン)が発令されていますが、夕刻には解除されています。
この逃亡した囚人は、手錠がつけられたままで逃走している模様ですが、ここまで計画的に仲間とともに逃走していれば、それを外してしまうことも難しくはない話かもしれません。
不謹慎ではありますが、襲撃時の映像を見る限り、もうほとんど映画の1シーンみたいで、映像でさえも呆気にとられる感じですが、その場に居合わせていたら、大変なショッキングなシーンです。
死亡した刑務官の一人は2日後に21歳の誕生日を迎えるはずだった妻と2人の子供を残し、もう1人は妊娠5か月の女性、両親を残して・・という2人でした。
この凶悪な襲撃事件にフランス政府は「この卑劣な犯罪は決して許されない。私たちはいかなる手段や努力も惜しまずに必ず犯人を捕らえる」と声明を発表しています。
この事件は組織的殺人および殺人未遂、組織的ギャングによる逃亡、銃の取得と所持、および犯罪の実行を目的とした犯罪結社に関する犯罪、まさにプロの犯罪集団でこのような組織を野放しにしてはなりません。
現在は、パリオリンピックに向けて一般市民に向けても、非常に厳しい警戒体制を敷いているフランスですが、この犯罪のプロ組織集団を摘発できなければ、オリンピックにも非常に大きな不安要素を抱えることになります。
日常は、治安が悪い場所もあるとはいえ、警備が厳しめでそこまで危険を感じることはありませんが、このような護送車を襲撃して刑務官を射殺して組織的に凶悪犯が逃亡するなどと言う話を聞くとやぱり、犯罪もいざとなると、日本とは桁違いかも・・とも思うのです。
護送車襲撃 刑務官2名死亡 犯人逃走
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