2022年8月20日土曜日

検問拒否で、また警察官発砲事件 同乗者死亡・運転手意識不明の重体

  


 リヨン近郊のヴェニシュー(ローヌ県・フランス南東部にある街)で検問を拒否した車に対して警察官が発砲し、1人が死亡、1名重症に陥る事件が発生しています。

 ほんとに、また?と思ってしまう警察官の発砲事件です。

 事件が起こったのは深夜0時頃のこと、パトロール中の4人の警察官が、ヴェニシューにあるスーパーマーケット・カーフールの駐車場で盗難届が出ている車を発見しました。

 警察官が検問のため、警察車両をおり、対象車に近づくと、運転手は検問を拒否して車を発車させ、それを止めようとした警察官が車にぶつかったものの、車はそのまま逃走しようとしたため、同行していた同僚の警察官が数回にわたって発砲したと言われています。

 警察官の発砲により、車は停車したものの、助手席に乗っていた20歳の男性は銃撃の数分後に死亡、運転手は頭部に重傷を負い、病院に搬送され脳死状態という事態に至っています。

 武器を使用した2人の警察官は、事件後の早朝には身柄を拘束されましたが、同日夕刻には、釈放されています。警察官付きの弁護士によると、「捜査当局は正当防衛の条件を満たしていると考えた」と発表し、この見解は、リヨン検察庁によって確認された。

 しかし、検察庁は「警察官が武器を使用した正確な状況を確認するためには、さらなる捜査、特に事件の詳細の検証と弾道検査が必要である」と述べ、IGPNに調査を委託し、銃器使用の経緯を再確認する模様です。

 検察によると、運転していたアヌシー地方出身の26歳の男性は前科9犯。事件当時、彼は車両窃盗の容疑で捜索中、同乗していた男性はリヨン出身の20歳、警察にはマークされていたものの前科はありませんでした。札付きの不良といった感じの若者のようですが、殺されなければならなかった凶悪犯かどうか、また同じ年頃の子供を持つ親としては、親御さんの気持ちはいかばかりかと思ってしまいます。

 警察組合は、「彼らは同僚が盗難車の制圧に向かい、車が発進したので、反撃した。彼らは命を守るために撃った」と述べ、内務大臣も「私は、フランスのすべての警察官と憲兵に、私は彼らを支持し、彼らの働き方が模範的で勇ましいと思うことを伝えたい」と述べ、倫理規定に則って行動したかどうかは、司法の場に委ねます。私は、私の権限の下にある公務員を信頼しています。」と概ねこの警察官の発砲を容認する声明を発表しています。

 フランスでは検問拒否は30分に1回起こっていると言われていますが、それが警察官の発砲を容認につながるのは、別の問題だと思っています。警察官の発砲事件には、なかなかな確率で犯人を死亡させる結果に繋がってしまっていることも、見逃せない事実です。

 相手が銃を所持している場合は別としても、今回のように車で逃走しようとする場合などは、致命傷にならない発砲方法はなかったのだろうか? たとえ警察官とはいえ、発砲があまりに雑なのではないか?と思ってしまいます。

「死刑制度は人類の恥」とまで明言して死刑制度を非難する国である一方、こんなに頻繁に警察官の発砲事件で死亡者を出すのは、どうにも納得がいかないのです。

 警察も30分に1回は起こっているという検問拒否に往生しているとは思いますが、検問拒否で発砲という事件がここのところ、急激に増えているのは見過ごせない気がするのです。逆に言えば、検問を拒否して逃走する場合は射殺される覚悟で・・というのは、言い過ぎでしょうか?


警察官発砲事件 フランス


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