フランスでは、2020年3月から施行されていた保健衛生上の緊急事態は7月末で終了し、それとともにコロナウィルス感染対策のためにとられたすべての例外措置が終了し、今後、これまで行われてきたロックダウンや行動制限措置等が必要になれば、政府は国会と一つ一つ交渉して、対策を講じなければならない、いわば、通常モードに戻りました。
科学評議会もまた、2年以上にわたる流行管理に関する勧告を終了しました。
2020年からこれまでの間、屋内外でのマスク着用、ワクチンパスポート、外出禁止令やロックダウンなど、フランスは国で罰金付きの厳しい制限を行ってきました。パンデミックが発生した2020年3月以来、この保健衛生上の緊急事態期間は最初のロックダウン開始3日後から、これまで3回にわたり延長されてきましたが、今回は延長されることはありませんでした。
自由とか、権利とかをとかく主張したがるフランス人に対して、これまでのような強制的な処置がとられてきたということは、なかなか歴史的にも特異な期間であったような気がします。パンデミックが始まった時にマクロン大統領は「我々は、今戦争状態にある」と宣言しましたが、戦争でもないのにロックダウンなどという耳慣れない言葉が普通に使われるようになって、確かに異常な期間でした。(まさか、その後、本当の戦争が地続きの国で起こるとは思ってもみませんでしたが・・)
フランスは6月末から7月初旬にかけて、1日の新規感染者数が20万人を突破する第7波を迎えていましたが、その後、特に対策も講じずにいつの間にか感染者数は減少し始め、さすがに一時は、重症患者数も増加しましたが、壊滅的な被害に陥るほどにはならずに第7波を乗り越えてきました。
今回の緊急事態期間の終了は、逆に言えば、コロナウィルスに関して、特別扱いをやめるということで、これ以上は、マスクをしようとしまいと、ワクチンをしようとしまいと個人の自由に委ねるということです。
それでも、コロナウィルスか終息したわけでもなく、感染は依然として続いており、先週1週間の1日の平均感染者数は5万人前後です。しかし、重症化する人が激増しない以上、これ以上の制限を加え続けるべきではないと判断し、日常生活を完全復活させる道を選択したのです。要は、これ以上は多少の被害は止むを得ないと判断したということです。
一方、31日(日)に官報に掲載された法令では、病院、医療・社会福祉施設、薬局、医学生物学研究所の責任者が、6年以上マスクを着用することを義務付けることができると明記されていまおり、パリ公立病院(AP-HP)、ボルドーやニースのCHUなど、マスク義務を維持することを選択した病院もあります。
しかし、これは、医療施設での話で、もともとパンデミックでなくともマスクをしていた方が良さそうな場所で、あまり、問題ではなさそうです。
フランスでは、5月の段階で、すでに公共交通機関でのマスク着用義務化が解除されて以来、ほぼ、全ての感染対策の義務が解除した形でしたが、それから波を一つ乗り越えて、今回の緊急事態期間の終了ということで、完全に日常生活復活宣言になりました。
そんなことには、おかまいなしにバカンスシーズン真っ只中のフランスは皆がバカンスに出かけ、観光客も2019年(パンデミック以前)よりも10%増という状況に戻っており、いつまでも、ビクビクしてはいられない(実際、ほとんどの人が全くビクついていない)というところです。
重症化のリスクの高い人はマスクをして、追加のワクチンをすれば、それでいいんじゃないかということです。
私は、自分の判断で追加のワクチン接種をしましたが、それは全ての人がそうしなければならないとも思いません。
多少、不安は残りますが、重症化する人が減少している現在、ただの風邪と変わらないとまでは言えませんが、いつまでも危ない危ないと言って、行動制限を続けるのは、なんとなくもう社会全体のバランスが保てなくなってきているのかもしれません。
フランス緊急事態期間終了
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