2022年8月18日木曜日

猛暑の後は豪雨、洪水 パリの脆さを露呈する異常気象

  


 ここ数年は、毎年の年中行事のようになった夏の猛暑も、今年は5月から始まり、6月、7月、8月と数週間おきに続き、例年ならば、40℃に迫る暑さが訪れた翌日には、本当にここはパリなのか?と思うほどのスコールのような雨が降ったりして、スッと涼しくなる感じだったのに、今年の猛暑は、一瞬、気温が下がっても、長いこと雨はほとんど降らずに本当の日照り状態で、水不足が深刻になり、作物が育たなくなるだけでなく、原子力発電所の冷却のための川の水位の低下と温度の上昇で、電力供給にまで影響が出ていました。

 また、街中でも、パリの街中のあちこちにある、本来は青々としているはずの芝生が黄色くなって枯れ始め、シャンゼリゼの街路樹までが黄色くなりかけていました。

 最近、パリで流行りの造花によるカフェなどのデコレーションでさえも、日焼けして、色褪せるほどでした。

 それが、先日、猛暑の波が去ったと思ったら、今度は豪雨で、本当ならば、待ちに待った恵みの雨だったはずなのですが、90分間に40ミリ以上の記録的な大雨で、我が家の近辺では、なにやらガラス窓にカチカチ氷の粒があたっているのが聞こえていて、雹まで降っていました。

 90分間に40ミリの雨というのは、通常1カ月に降る量の70%をすべて合わせた量だそうです。

 パリの街路樹には落雷で倒れた木もあり、何よりも、この豪雨に、街中の水は捌けていかずに、あっという間にパリの街中の道路は川のような状態になり、車もウォータースライダーのように水飛沫をあげて走っていました。


 大きな駅は別として、パリ市内の小さなメトロの駅は、かなりシンプルな構造で、街中から続く階段をいくらも降りないところに駅があることが多いので、駅には容易に水が流れ込み、浸水状態になってしまうのです。


 パリ市内のメトロ10、12、6、9、4、8番線の複数の駅は閉鎖に、首都圏の中心部にある地下鉄のサンミッシェル駅では雨漏りのためにホームにまで水が及ぶ事態となりました。


 幸い?にも、現在のパリはパリの住民の多くがバカンスにでかけている時期で、一年中で最も人の少ない時期で、車も人も少ないため、そこまでの大騒動には発展しませんでしたが、これが人も車も多い時期だったら、大変なことになっていたと思います。

 何より、2年後に控えたパリオリンピックには、通常の数倍に人口も膨れ上がっているはずで、その間に、もしもこんなことが起こったら?フランスはオリンピックの際のこの異常気象対策をしているのだろうか?と疑問に思います。

 水捌けが悪いのは街中だけではなく、セーヌ川も大雨が続いたりすると、あっという間に川の水位が上がり、何本の橋の下を通過するバトームーシュなどの遊覧船が通れなくなったり、水が溢れたりするのをどうしていつまでも改善しないのか不思議ですが、ずっと改善されないままです。

 パリオリンピックでは、選手の入場パレードをセーヌ川で行うなどと言っているので、オリンピックのためになら、このような洪水対策も含めて万全の対策をとってくれるだろうと勝手に期待しています。

 しかし、地球温暖化対策をいくらとったとしても、急激な改善を期待できるものではなく、そもそも、この異常な暑さの中、なぜオリンピックを夏にするのか? もう少し誰もが過ごしやすい春や秋にすればいいのにと思います。

 今回の豪雨は、2年後のパリオリンピックには猛暑だけでなく、洪水のリスクも多いにあり得ることを予告してくれたようにも思います。


パリ豪雨被害 メトロの駅浸水


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