2023年9月30日土曜日

ラデュレとカイリー・ジェンナーとのコラボでマカロン無料配布 LADUREE Champs Elysees

  


 たまたま、朝、インスタグラムを開いたら、広告だと思うけど、たまたまラデュレの写真が載っているのを目にして、私にラデュレの広告してもね~などと思いながら、見過ごしてしまいそうになったら、マカロンのコフレ(箱詰め)が無料配布!という文字が目に入って、えっ??となりました。

 場所は、シャンゼリゼのラデュレ、期間限定で毎日、100人にラデュレのコフレを配ります!合言葉は「パワープラッシュ」! 17時から100名様限定・・とあったので、これは、この100人に入るためには、どれだけ前に行けばいいのだろうか? こんなの、すぐに100人になっちゃうから、少なくとも、1時間前には行かなければ・・と16時に行くと、すでに行列が・・。

 昔は、フランス人というものは、行列が嫌い(誰でも嫌いだとは思うけど・・)で、入場制限をしているようなハイブランドのお店などは別として、(これとて、行列しているのは、たいてい観光客)行列してまで、何かを手に入れたりしようとすることはないんだな・・と思っていました。

 しかし、時代は変わったようで、フランス人も行列することを厭わなくなってきて、けっこう、人気のお店の前には、どこも行列ができているのを見かけます。

 少し前に軽い気持ちで訪れた大人気パティスリー・セドリックグロレなどでも、かなり行列に並ぶハメになったし、しかも、今度のラデュレは無料配布、しかも、誰もがニッコリしてしまうラデュレのマカロン、しかも、シャンゼリゼ・・一体、どんなことになるのか?興味もありました。

 今回のラデュレのマカロン配布は、カイリー・ジェンナーのカイリー・コスメティックス(Kylie Cosmetics)とのコラボで、カイリー・ジェンナー自身がチョイスしたフレーバーのマカロンが箱詰めされています。

 なぜ?マカロンとコスメのコラボ?と少々、不思議な気もしますが、ラデュレのお店や色とりどりのマカロンは、大変、フォトジェニックで、いわゆるインスタ映えそのもののような媒体。

 


 このマカロン目当てにラデュレに訪れた人々が、次々に写真に収めて、SNS上で拡散してくれれば、大変な好印象とともに、カイリーコスメティックスのPRにもなるわけです。

 奇しくも、シャンゼリゼのラデュレの正面には、ピエール・エルメがロクシタンとコラボしている店舗が存在し、まさに、マカロン+コスメのコラボが正面対決しているようでもあります。

 


 しかし、残念ながら、シャンゼリゼのラデュレのレストラン自体は、現在、改装中で、可愛く作りこまれたテラス席ならぬテラス上のショップができており、改装中の店舗自体も、インスタ撮影用と言わんばかりのスポットが出来上がっており、ラデュレとカイリーコスメティックスの目論見どおりに、マカロン目当てに訪れた人も、シャンゼリゼを通り過ぎていく人々も皆、写真撮影していきます。



 我が家も娘がいた頃は、彼女がけっこうマカロンが好きだったので、たまに買うことはありましたが、私自身は、それほどマカロン好きというわけでもなく、妙に可愛らしすぎるところも、ちょっと、こそばゆかったりもし、また、何よりもこんなちっちゃいのに、こんな値段!とバカらしい気もして、久しくマカロンを買うことはありませんでした。

 ピエール・エルメが幅を利かし始めてから、マカロン人気は、ラデュレとピエール・エルメで人気を二分するようになりましたが、さりとて、老舗感は圧倒的にラデュレの方があり、とにかく、街中にもけっこうお店はあるし、空港や駅などには、必ずと言っていいくらいラデュレのスタンドが存在します。

 しかし、一時は、ラデュレのマカロンはフランス製ではないことが暴かれたりして、「えっ?」とびっくりしたこともありました。

 今回、1時間くらい並んで、無事、マカロンをゲット!小さいサイズのマカロン8個が入った小箱を手にしながら、このサイズのマカロンは1個 2.5ユーロだから、ひと箱20ユーロ分だ!などと、せこい計算をしてニコニコしながら、家に帰りました。

 


 マカロンなど、もう何年も食べていなかったので、マカロン・・久しぶりだな・・と思いながら、今日は、夜だし、1個にしておこう!と食べると、思いのほか美味しくて、「えっ?マカロンってこんなに美味しかった?」「やっぱり、ラデュレ美味しい!」となり、今後、また、買いに行ってしまいそうで、ヤバい気持ちになりました。


ラデュレ マカロン カイリーコスメティックス


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2023年9月29日金曜日

超高級車で回るパリ フェラーリ・ランボルギーニでのパリ・プチツアー

  


 シャンゼリゼを歩いていたら、もうノエルのイルミネーションの準備が始まっていて、街路樹には、ライトアップ用の電球?がとりつけられ始めていて、まだ9月というのに、なんだか、今年はやけに早くないか?と驚かされました。

 また、依然として工事中のルイヴィトンのとなりのビルは、つい、この間まで、白っぽいディオール仕様のカバー(工事を隠すためのカバー)だったのが、なんだかメタリックな感じのルイヴィトンのマークが一面にバ~ンと貼られていて、あれ?ここディオールじゃなかったっけ?と思いつつ、まあ、どっちにしてもLVMHだな・・などと思いながら、シャンゼリゼは、少し来ない間に様変わりする場所だな・・と思っていました。

 すると、シャンゼリゼの脇道、(ジョルジュサンク(George Ⅴ)あたり)に飛びぬけて派手な車を発見! そういえば、以前から、なぜか、フェラーリとかポルシェとか、やたらと派手な車が停まっている通りがあったな・・と思い出しましたが、それは、この場所ではなく、もっと上の方(凱旋門に比較的近い場所・シャンゼリゼからの脇道)だったのに、どなたか知らないけど、停車場所を変えたのかな?と思っていると、どうやら、私の思っていたのとは、違う理由で停まっている車だったようで、車のフロントには、何やら、広告のような紙が・・。

 「まさか?こんなところでフェラーリ売ってる??」とびっくりしてのぞき込むと、どうやらそれは、レンタル?だったようで、フェラーリとランボルギーニでパリを廻るツアーのようなもので、免許を持っていれば、自分で運転することもできるし、運転してもらって、ジョルジュサンクから、エッフェル塔、エリゼ宮、コンコルド広場、アンヴァリッド(軍事博物館)などを20分ほどで回ってくるプライベートプチツアーのようなものでした。



 自分で運転したい場合でも、隣には、この管理会社の人が同乗するので、ランボルギーニの場合は、一人だけしか乗れず、フェラーリの場合でも3人までしか乗れません。

 また、お値段が強烈で、ランボルギーニ、おひとり様 199ユーロ(約3万1千円)、フェラーリだと1人129ユーロ(約2万円)、2人 159ユーロ(約2万5千円)、3人 189ユーロ(約3万円)と設定されています。

 まあ、考えようによっては、超高級なトゥクトゥクのようなものですが、20分でこのお値段、フロントに置かれている値段表には、要予約となっているので、「予約が必要なんですね・・?」と聞いてみると、「いやいや、今すぐでも乗れますよ!」と。

 いくらなんでも、20分でこのお値段、そうそう利用する人がいるとも思えないのですが、そこはシャンゼリゼ、立ち並ぶお店は高級店ほど行列ができていて、カフェフーケなどのテラス席も満席です。いないこともないかもしれません。



 観光客は通貨の違いなどもあって、金銭感覚が麻痺しがちな傾向もあり、ましてや、せっかくパリに来ているのだから、少々、お高くても・・などと気が大きくなるのもわからないではありませんが、この、初めて見かけた超高級車によるプチツアーという新しいビジネスに驚かされたのでした。

 しかし、平日の昼間などは、まだマシだとしても、けっこう、渋滞も多いパリの中心部、このコースを廻って、20分では到底、済まないことも多々ありそうでもあるし、ましてやこんな超高級車のしかもオープンカー。このように走っていれば、観光客だということは、わかっても、狙われることも充分に考えられるし、そういった対策はとられているのか?と少々、心配にもなります。

 たしか、昨年だったと思いますが、パリの街中の観光地っぽい場所には、トゥクトゥクが急増し、また、それが結構な値段でビックリした覚えがありますが、今度のフェラーリやランボルギーニは、またさらに、桁違いのお値段です。

 あまりのお値段に、半分はやっかみの気持ちがないとも言えませんが、何より、こんな車でパリをうろうろして大丈夫なの?と本気で心配になります。

 観光客にせよ、こんな車を利用する人は、お金を持っているであろう人として目をつけられ、車に乗っている間に襲われなくとも、車から降りて、しばらくして、後をつけられて、襲われる・・など、犯罪者の絶好のターゲットになりうるのではないか?などと余計なことばかり考えてしまいます。

 オリンピックに向けて、観光客向けの新しいサービスが生まれていることは、悪いことではないのですが、このようなビックリ価格を見ると、なんとなく、微妙な気持ちになります。

 しかし、興味のある方は、こちらから、詳細をご覧になれます。Drive Ferrari Lambo


フェラーリ・ランボルギーニのパリツアー


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2023年9月28日木曜日

学校でのいじめの惨状に容赦ない闘いを宣戦布告するフランス政府

  


 久しぶりに登場した感のあるボルヌ首相が、深刻化するフランスの学校でのいじめ問題の惨状に今年度の絶対的な優先事項として、学校および子どもたちが生活するあらゆる場所におけるいじめ問題やハラスメントを掲げ、容赦ない闘いを主導すると宣言しています。

 新年度早々に自殺した子供の事件をきっかけに、この動きが加速化し、パワーアップしたカタチをとりましたが、この問題に関して、組織的に、あらゆる手段を総動員するといくつかの対応策を発表しています。

 まず、いじめに遭遇した場合の通報ナンバーを、より迅速な対応を可能にするために、これまで3本あったナンバーを「3018」に統一して一本化し、通報があった場合は、組織的にただちに「検察官」を送致すると発表。

 また、「SNSによって、嫌がらせ、いじめをする者を徹底的に排除する」とし、深刻ないじめ加害者の携帯電話を没収、またそれに関与した者らの携帯のSNSへのアクセスを禁止することを検討していると発表しています。

 携帯の没収やネットへのアクセス禁止とは、なかなか強引な手段でもありますが、具体的に、誰によって、どのタイミングにどのように実践されるかは、有罪判決を下した裁判官ではないか?などと言う向きもありますが、現段階では未定です。

 新年度が始まる前に、すでに、いじめ問題に関しては、いじめの被害者ではなく、いじめの加害者の方が学校を退学、あるいは、停学になるという法令が施行されたばかりですが、SNSによる嫌がらせやいじめに至る場合は、それだけでは、充分ではないということなのでしょう。

 このいじめ加害者の携帯電話の没収やネットアクセス禁止の新たな措置を見る限り、SNS上での嫌がらせがどれだけ拡大していることか?と思います。

 また、ガブリエルアタル教育相は、2024年度から、学校教育の一環として、学校カリキュラムの中に「共感」の授業を設けることを発表しています。このカリキュラムは実際にオランダで行われて、いじめ問題減少の効果が表れているという授業をモデルにしていると言われています。

 これだけでも、警察、検察などの法務省、携帯に関してのデジタル省、そして、教育省と省庁間をまたがって、連携した対応が必要な問題であり、ボルヌ首相が総動員で連携していいめ問題との闘いを主導するという意味がわかるような気がします。

 たかだか子供のいじめ問題とは、簡単に済まされない惨状が、これだけの政府間の連携に感じられます。

 一度には無理なことは、わかっていますが、これらの措置と同時に、なぜ?いじめるのか?なぜ?嫌がらせをするのか? についてを追求し、原因を考えることも必要なのではないか? 病んでいるいじめの加害者をただ罰するだけではなく、指導していく道も必要なのではないか?と思います。

 今、フランスの学校では、1クラスに2~3人、年間80万人から100万人のいじめの犠牲者が生まれていると言われており、問題は本当に深刻です。


学校いじめ問題 携帯電話没収 ネット遮断


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2023年9月27日水曜日

15歳の少女の不可解な失踪事件

  


 フランスのサヴェルヌ(アルザスとロレーヌの間あたり)の人口が約230人という小さな町で、15歳の少女が突然、行方不明になったという話が大きく報じられています。

 彼女は、土曜日の午前中11時頃に家を出て、ストラスブールに住むボーイフレンドに会いにでかけました。駅までの3キロほどの道のりを電話しながら歩いている様子が11時30分頃までに2人に目撃されています。

 実際には、彼女の携帯電話は11時22分に不通になっていますが、その直前に彼女は自分の乗る乗車予定の時間と到着時間を知らせるため、ボーイフレンドにメッセージを送っています。

 この事件は、彼女が乗っているはずだった電車に彼女は乗っておらず、携帯も繋がらなくなってしまったことから、まず、家族に連絡が行き、比較的早い段階で、彼女の両親は、警察に連絡を入れました。

 のどかな街並みで、街中の人すべてが知り合いのような場所で、突如、何の痕跡もなく姿を消してしまった彼女を家族はもちろんのこと、周囲の人々も大いに心配して、もう数日が経過していますが、未だ行方不明です。

 この事件が失踪事件というのかどうか?わかりませんが、彼女は直前までボーイフレンドに会いに行く途中であり、その時間等の連絡をとっていたことを考えれば、彼女が自ら失踪することは考えづらく、また、彼女が歩いていたと思われる駅までの道には、交通事故等の痕跡もなく、事故とも考えづらく、事件性が高いです。

 彼女の母親はマスコミの前に登場し、涙ながらに、娘の無事を祈っている、そして、捜査に協力して下さっている憲兵隊をはじめ、ボランティアの方々にもとても感謝していると語っています。

 彼女が行方不明になって以来、彼女のカード等が使われた痕跡もなく、彼女の生命の痕跡が絶たれてしまったのではないかと心配されています。

 推理小説のような話でもありますが、人口230人あまりのすべての人々が知り合いであるというような町で、土曜日のお昼近くという時間帯に目撃者が2人だけで、突然、姿を消してしまうというのも不思議な気もしますが、かなりな田舎町、しかも駅までの道のりは歩道ではなく、あまり人目につかないような自転車用のルートを歩いて行かなければならないのです。

 そのルート上にも何も痕跡がなく、また、駅の防犯カメラ等にも彼女は写っておらず、電車内でも彼女は目撃されていないことから、彼女が駅に行く途中で車で連れ去られたのではないか?と見られています。

 彼女が乗っているはずだった電車の到着を待って、駅を何度も歩きまわったという彼女のボーイフレンドの心情を考えるも、いたたまれない気持ちにもなります。もしも、彼女と会う約束をしていなかったら、こんなことにはならなかったかもしれない・・と自責の念にもかられてしまいそうです。

 娘を持つ親として、ちょっと想像するだけでも恐ろしい話ですが、正直、娘がその年ごろに、私は、ほとんどそのような心配をしたことがなく、今さらですが、冷汗もの。このような事件を聞くたびに、よく無事に何ごともなく、育ってくれたことを奇跡のような気がしてしまいます。

 しかし、我が家の場合は、特に娘が未成年の間は、突然、片親になってしまったために、裁判所の監督下にあったということもあり、具体的にこのような心配はしなくとも、娘を一人にすることはできる限り避けていたし、何より、彼女は勉強に忙しくて、休日にボーイフレンドと遊びに行くなどということも全然、ありませんでした。

 しかし、未成年の失踪事件、行方不明事件は、フランスでは年間4万件くらいあるそうで、その中には、自ら家出するようなケースも多く含まれているとはいえ、そんなにいるのか?と、この事件の中で最も驚かされた情報です。

 夫が急に亡くなったときにも感じたのですが、不幸に見舞われたり、また、困難に陥っている人々に対しては、特別ないたわりの情を示し、協力してくれるフランス人の国民性?からも、また、しかも、このようなすべての人々が知り合いのような田舎町での人々の協力体制がどんなに強力なものであるかは、想像に難くないところです。

 もしも、彼女を連れ去った犯人がいたとしたら、間違いなく、この事件が国中で大騒ぎになっていることを知っているはずで、一体、どのような人物がどのような目的で彼女を連れ去ったのか? 異常者であれば、再犯の恐れもあるわけで、出来るだけ早い事件の解決が切望されます。

 また、捜索のために公開されている彼女の写真を見る限り、ブロンドの悲しいほど可愛らしい女の子です。しかし、私の勝手な見解ではありますが、14~15歳という年齢は、やたらと事件に巻き込まれることが多い気がするのは私の気のせいでしょうか?


15歳の少女の失踪事件


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2023年9月26日火曜日

今度はプリンターが壊れて大わらわ・・

  


 夏、真っ盛りの時期に冷蔵庫が壊れて、なんとかネットで色々、調べて復活を試みるも結局、功を奏さず、あきらめて、慌てて冷蔵庫を買いに行ってから、まだそんなに経っていません。

 もう買い替えると決めると、もうすぐにでも・・となり、やはり結構な大きな出費となるため、さすがにネットで買うのは、躊躇われ、自分の目で見て、サイズ感などを目の当たりにして選びたいと電気屋さんに行って注文し、翌日には、冷蔵庫が届いて、壊れた冷蔵庫は、引き取ってもらいました。

 新しい冷蔵庫は、運んできてくれた業者のおじさんがセッティングしてくれて、スイッチを入れて、ちゃんと稼働するか確認してくれて、1時間くらいして冷えてから、中身はいれてください・・と教えてくれました。

 やはり、新しい冷蔵庫はよく冷えて(あたりまえですが)、快適でしたが、慌てて、設置してもらったために、電源コードの位置が悪く、一旦、コードの向きを変えるためにコードをいったん外して、電源を差し替えたら、いきなり、ピーピー冷蔵庫がアラームのような音がし始めて、何ごとか?と焦って、ちょっと絶望的な気分になりました。

 とにかく、電化製品、そして、ネット、いわゆるデジタル関係などに、ものすごい苦手意識を持っている私(苦手意識だけでなく、実際に苦手)は、必要以上にパニック状態になるのです。

 とにかく、大金をはたいて、今、届いたばかりの冷蔵庫に、もうアラーム??と焦りまくり、配達に来てくれたおじさんを呼び戻そうかと真剣に考えたくらいです。

 しかし、幸いにも、アラームの音は、次第に小さくなっていき、そのうち、消えてくれました。慌てて、おじさんを呼び戻さずにすんで、少々ホッとしました。

 そんな冷蔵庫の故障から、そんなに経っていないというのに、今度は、プリンターが壊れて、また、慌てることになりました。少し前から調子が悪くて、怪しいな・・と思っていたところ、ついに壊れてしまったのです。

 たまたま郵送しなければならない書類があって、パソコン内に保存していたものを印刷しなければならないタイミングでした。結局、プリンター用のインクを買ったばかりだったので、ケチ根性で、このインクが使える機種にしようと同じメーカーのものを選び、さすがに、それをネットで注文すると、配達は翌日、または翌々日・・となっていて、おいおい・・2日間も来るかどうか待ち構えていなくちゃならないの?と思ったものの、運よくプリンターは翌日配達され、ヤレヤレ・・と安心したのもつかの間、今度は、そのプリンターとパソコンを接続しなければなりません。

 そういえば、前のプリンターの時には、まだ家に娘がいたので、娘任せにしていた私。コードで繋ぐならともかく、無線でwifiにつなぐとなると、私には、ハードルが高くなり、ものすごいストレスです。

 そもそも、家のネット環境、携帯などに関しては、デジタル世代の娘に一任していて、未だに、よくわかっていない私。ラクラクとこなしていく彼女がやってのけるように、私にはいくはずもなく、もうとりかかるのも大変、気が重く、それでも致し方なく、これまたネットで調べて、接続の仕方をしらべ、手順どおりにプリンターを設定するためのファイルをダウンロードして、手順どおりに進めるも、「接続するプリンターが見つかりません・・」と出てきます。

 何度、繰り返してもできずに、仕方なく娘に電話。まずは、家のネット環境とプリンターを繋がなければならないということに気付かずにいた自分が情けないやら、もう疲労でぐったり。

 そんな中、外で携帯でのネットが繋がらなくなり、もうトラブルに次ぐトラブルで、もう心底ウンザリ。

 いちいち、このようなトラブルのたびに私から「助けて!」メッセージが届く娘には、もう慣れているとはいえ、いい加減、あきれられていることはわかっても、どうしようもないのです。

 結局、娘に教えてもらったとおりにプリンターとネット環境を繋いで、なんとか、プリンターは稼働するようになり、おまけに、携帯電話の方もプリンター騒ぎでワタワタ携帯を懐中電灯がわりに使った際に私がいらぬところを触ってしまったおかげで、ネットが絶たれたことが判明。

 娘も呆れて、「まさかとは思ったけど・・」と返す言葉もない様子。

 デジタルネイティブ世代にはわからない、この電化製品、ネット環境周りのことに対する苦手意識(というか苦手)とこのストレス。

 今の時代を生きていくためには、必要不可欠なものとは知りながら、これらのことでトラブルが起こるたびに、過剰に絶望感を感じるのです。

 昭和生まれの私が子供の頃には、携帯やネットなどはSFのような話だったのに、あっという間に時代が変わり、もはやそれがないと生活できないくらいになっていて、見事に私は、それに取り残されそうになりつつあるのを必死にぶらさがっている感じです。

 以前、私が若い頃に、家庭用ビデオができて、母がテレビの録画などができなくて、「なんで、こんなことができないんだろう?」と不思議に思ったのを記憶していますが今の私は、娘にとって、きっと、そんな存在になっているのだろうと、このような件で娘に頼るとき、いつもあのビデオの録画のことを思い出すのです。

 と、ここまで書いたところで、今度はタブレットが壊れた模様。今度はこっちのネットが繋がらなくなった!!今年は色々、壊れる年なのか・・本当についていない・・もう嫌だ・・新しいの買った方が早いかもと思ってしまうのはダメですか??


デジタルネイティブ


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2023年9月25日月曜日

ワインの国フランスでのノンアルコールワイン市場拡大

  


 これまで私は、ノンアル、あるいは、ノンアルコールといえば、ビール・・かな?と思っていたのですが、どうやら、最近、フランスではノンアルコールワインなるものが市場を拡大しつつあるらしく、ノンアルコールのワインなんて、あるんだ??とちょっと驚かされました。

 そもそも私にとって、アルコール飲料は、その味はもちろんのこと、多少なりとも、酔い心地を楽しみたいというものでもあって、アルコールが入っていないなら、なにもそこまでして、ビールを飲みたいというものでもなく、私はこれまでノンアルコールビールですら、飲んだことがありませんでした。

 それが、ここのところ、ノンアルコールワインの市場が拡大していると聞いて、ノンアルコールワインなんてあるの?と驚いた次第です。

 ワインといえば、原材料はぶどうで、アルコールが入っていないならば、ぶどうジュース?と思ってしまいそうなところですが、ノンアルコールワインとは、正確に言えば、脱アルコールワイン、あるいは、非常に低レベルのアルコールのみを含むように作られたワインの一種であると言われています。

 そこでは、うんちくを延々と語りそうなフランスでは、そんなものを「ワイン」と呼んでいいのか?などと論争が起こりそうなところでもありますが、一応、欧州連合では、この「ワイン」という名称は、少なくとも7%のアルコールを含んだものに制限する法律があるそうなので、ノンアルコールワインをワインと呼んでよいものかはわかりませんが、現在、一般的に売られているノンアルコールワインのアルコール含有率は香りを保つための、せいぜい0.3%程度で、カロリーは一般的なワインの3分の1と言われています。

 カロリー3分の1というのは、ちょっと惹かれる気もしますが、ワイン好きのフランス人に言わせれば、アルコールの入っていないワインなど、「カカオの入っていないショコラみたいなもの・・」と、かなり邪道な扱いをする人もいます。

 当初は、糖尿病患者やスポーツ選手、妊婦を対象に作られていたこのノンアルコールワインは、現在ではアルコールを摂取したくない人すべてに市場が開かれつつあります。

 このノンアルコールワインは、アルコール入り?のワインからアルコールを除去して作られる製法が主流であると言われていますが、そもそも発酵をおさえて造る製法もあるようです。

 ぶどうを発酵させて、アルコール入り?のワインを作るところ、そこからアルコール分を除いてしまったら、一緒にワインの香りも飛んでしまいそうなところですが、そこを香りを損なわずに製造するところが、ノンアルコールワインの生産者の腕のみせどころのようです。

 実際にフランス人のワイン離れが語られるようになって久しく、特に若者たちの間でよく飲まれているのは、ビールやウォッカなどを使った別の飲み物に変化しつつあり、スーパーマーケットの売り場を見れば一目瞭然、かつて、広いスペースを割いていたワインのカーヴ(ワイン用のスペース)は縮小され、代わりにビールの棚がずっと拡大し、種類も大幅に増えました。

 そんなワインの人気停滞から、なんとか、別の顧客層を拡大しようとしているワイン市場、一部のワインの生産者は、ノンアルコールワインの生産を選択する人が増加していると言われています。

 実際にジロンド県(ランディラ(ボルドー地方))の大手ワイン輸出業者がこのノンアルコールワインのために、350万ユーロを投資して、ワインを約 40℃ に加熱する新しい工場を建設しています。

  この真空温度ではアルコールと香りが蒸発し、その後、香りのみが脱アルコールワインに戻るそうで、ワイン市場の客離れに貢献できるものであると期待されているそうです。

 個人的には、ノンアルコールビールと同じで、酔わないアルコールなしのワインは飲まなくてもいいかな?と思ってしまいますが、カロリー3分の1という点では、魅力的に感じるところもあるので、ノンアルコールワインという呼び方よりは、カロリーオフワインという方が、売れるのではないか?などとも思います。

 それでもフランスでは、秋になるとスーパーマーケットでは、ワインフェアなどをやっていて、カタログ片手にワイン好きのおじさんたちが集まってくるのですが、やはり、見渡す限り、どう考えても、年齢層は高め、「アルコールは控えて・・」などと言われる人も多いのだろうと思えば、このワイン離れの進むフランスでのノンアルコールワイン市場の拡大は、たしかに需要はあるかもしれません。


ノンアルコールワイン


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2023年9月24日日曜日

フランスのジャンクフードの広告についての警告

  


 フランス公衆衛生局は、最新の報告書の中で、ジャンクフード広告が子供や青少年に与える影響と、フランスにおける肥満の蔓延におけるジャンクフード広告の役割を明確に指摘しています。 

 同局は、ジャンクフードメーカーの無責任なマーケティング慣行を禁止する時期が来ていると、明確に企業名を挙げて、勧告しているのです。ジャンクフードメーカーは、子供たちをターゲットにして、脂肪分が多すぎたり、甘すぎたり、塩味が強すぎたりする製品を販売することを非難し、このような商品の広告の禁止を呼び掛けています。

 ジャンクフードといえば、いわゆるファストフードのようなものを思い浮かべますが、上の写真にあるような、お菓子、駄菓子の類、そして朝食用のシリアルなどまでが含まれていることにはちょっと驚きです。

 フランスは、もともと広告に対して、すでに、かなり厳しい規制があることも事実で、私の知る限りでも、アルコール飲料などに関してはテレビのコマーシャル、映画館、若者向けの雑誌、スポーツ関連、また若者向けのwebサイト上の広告は禁止されています。街中の、例えば、駅やバス停などに、この種のポスターが貼られたりすることがありますが、必ず、その広告の中には、必ず過度の飲酒は健康を害するとか・・1日〇杯程度にしましょうなどの注意書きが書き加えられています。

 つまり、ジャンクフードもこのような扱いにするべきであるという意味合いであると思われます。

 この呼びかけを行っている Foodwatch France という機関は、バーガーキング、ネスレ、コカ・コーラ、モンデリーズ、ユニリーバなどを名指しにして、これらのメーカーが健康対策にたいする自発的な取り組みが不十分で効果がないものであると、これらのメーカーの製品に対する厳格な広告禁止を呼び掛けています。

 現在、日本で話題沸騰中のジャニーズタレントによる広告の是非などという問題ではなく、製品そのものを広告することを禁止しようという声があがるということは、メーカーにとっては、大変な痛手であることに違いありません。

 販売を禁止するほど、毒扱いはしないまでも、製品自体は許可?しておいて、広告は禁止というのは、大変に厳しい措置です。

 日本はフランスなどと比べると、大変、健康志向の強い国で、健康に良いことをアピールすることが何よりの広告効果をもたらす気もしますが、フランスとて、健康志向がないわけではなく、やたらと bio とか、グルテンフリーとかの表示があるものが増えてはいます。

 私が思うに、フランスで一般的に言われている1日に5種類の野菜か果物を!などという呼びかけも5種類??さすがに、ずいぶんハードル低い・・などと思ってしまいます。

 しかも、一般的に思い浮かべられるフランスの美味しい食べ物(チーズやバター、生クリーム、パン、ケーキなどのスイーツ類など)は、決して身体によいものとは程遠いイメージがあります。

 しかし、このような広告禁止を呼び掛けることで、単に広告をしないというだけでなく、少しでも健康に害が少ないものをメーカー側も開発していこうとする努力を促すことになるわけで、少しでも国民を健康に導いていくきっかけになります。

 とはいえ、そもそもジャンクフードに、背徳感はつきもので、これらの食品は、そもそも健康には、あまりよくないと知りつつ、たまにはいいだろう・・と食べたくなってしまう魅惑的な食べ物であることも、魅力のひとつです。

 このような動きがあるせいかどうかはわかりませんが、マクドナルドフランスは、一時、フライドポテトの代わりに野菜サラダとか、フライドベジタブルなるものをメニューに加えたりしていましたが、やっぱり、圧倒的にフライドポテトが人気です。

 日本に一時帰国したりした際に日本のテレビをつけると、ビールのコマーシャルの多さにビックリさせられますが、それはそれで、さすがにそんなに違和感も感じず、「あ~美味しそう!」と思うのですが、どちらかというと、一緒に出てくる食べ物の方が気になる最近の私です。

 なぜか、フランスにいると、ビールというものは、全然、飲みたくならないのは、気候のせいでしょうか?食べ物のせいでしょうか?

 しかし、最近は、若者のワイン離れが叫ばれ、フランスでもビール売り場が拡大しています。これも、コマーシャルがほとんどない状態での動向なので、コマーシャル戦略に慣れている日本のビールメーカーなどは、このビール人気にどうやって対応していくのか?きっと難しい課題なのではないか?と思います。

 それにしてもフランスのテレビコマーシャルなどは、有名タレントがでてきてのコマーシャルってあんまり見ない気がするのも日本のCMと違うところかもしれません。

 

ジャンクフード コマーシャル規制


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2023年9月23日土曜日

具合が悪くて、もしかして・・と、久しぶりにコロナ検査に行った・・

  


 今週に入って、体調が思わしくなく、微熱が続いて身体がだるく、鼻がグズグズ、ちょっと痰がからむような咳が出始めて、まあ、しばらくおとなしくしていれば、なおるだろうと、適当に放置し、タカをくくって、ちょっと出かけたら、いきなりまた、発熱。

 いつまでたっても治らず、翌日は、会議で人と会わなければならない予定もあり、「まさか・・でも、もしかして、これって、コロナウィルス??最近は、また感染者が増えていると言っていたし・・」だとしたら、他人に感染させては申し訳ないと、久しぶりにコロナウィルスの検査を受けようと出かけました。

 もうすっかり、元の日常に戻っているので、まだ薬局で検査してくれるのかな?と思いましたが、近所の薬局には、再び「コロナウィルスの検査します!」という看板が出ていて、検査をしてもらってきました。

 もう検査する方もされる方も慣れたもので、「ハイハイ!検査ね・・座って待ってて!」と言われ、パンデミック以来、ずっとお決まりの検査スペースになっている場所へ。ちょっと立って待っているのもしんどいくらいだったので、優しい心遣いに感謝しつつ、すぐに検査。

 検査はあっという間に終わり、「結果が出るまで、待ってて!」と、待つこと7~8分。

 「陰性でしたよ!」と言われておしまい・・。今やヘルスパスも何もいらずに簡単にやってくれました。

 ひとまず、コロナウィルス感染ではなかったことに多少なりともホッとして、しかし、だからといって、検査をしただけで、体調が改善するわけでもなし、翌日の会議は延期できるものでもなかったので、とにかく寝て治す・・と思って、その日はおとなしく寝ていました。

 ずっと忙しい日々を送ってきて、多少、具合が悪くても、これまで、なんとか休まずにのりきってきたのですが、だんだん自力で回復するのも難しく、時間がかかるようになり、下手をすると、さらに悪化するようになってしまった今、病気=安静に寝ている・・というのが、意外とシンプルな回復の手助けになることが、意外に新鮮でした。

 しかし、多少、回復したものの、翌日はちょっとまた、不安が残る感じのまま会議に出かけました。

 こうして自分が体調を崩してみると、気のせいかメトロに乗っている人の中にもマスクをしている人がいるのが目についたり、また、車内の手すりなどに直接触れたくないのか?紙でカバーして手すりにつかまっている人がいたりして、そんなに気にするなら、いっそのこと手袋をすればいいのに・・と思ったり・・。

 しかし、パリはあっという間に寒くなり、まさに、木の葉も色づき、路上には枯れ葉がけっこう目立つようにもなってきて、街を歩く人々も、今はきっと、一番、服装にバラつきのある時期かも?と思うほど、まだサンダルにTシャツの人もいれば、革ジャンやコートやマフラーをしている人までいます。

 私個人としては、もう秋めいてきたら、いつまでも夏っぽい恰好をしているのは、なんだかみすぼらしい気もするので、早めに秋モードに切り替えるようにしています。

 今朝の気温は10℃程度、私も風邪気味ということもあり、ヒートテックに薄手のコートを羽織って出かけましたが、やっぱりセーターも着てくればよかった・・と思ったほどです。

 季節の変わり目で、一日の気温の差も激しくなり、朝晩などは、寒いくらいなので、うっかりすれば、風邪をひいてしまう季節でもあるのですが、やっぱり風邪のような症状が出てみれば、未だにコロナ感染かも?とギョッとしてしまうのは、一体、いつまで続くのだろうか?と、ちょっとウンザリしているのですが、未だにこんなに簡単に検査してくれるなら、体調が悪いと思ったら、すぐに検査してもらった方が、やっぱり自分も安心だし、他の人に感染を広げてしまうことを避けれるので、せいぜい、この検査を利用させてもらおうと思っています。


コロナウィルス検査


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2023年9月22日金曜日

チャールズ国王のフランス訪問に見るフランスとイギリスの関係

  


 本来ならば、今年3月に予定されていたイギリス国王のフランス公式訪問は、年金改革問題のデモのために、繰り返し延期されていました。

 あの時点でも、本当にギリギリまで、最大限の警備体制をとっているので、問題ないと言っていたものの、チャールズ国王の公式訪問の際に訪問予定にされていたボルドー市庁舎の大扉が燃やされるという事態にまで発展し、マクロン大統領がチャールズ国王と直接電話会談し、ほぼドタキャンに近いかたちで、延期されたのでした。

 今回のチャールズ国王のフランス公式訪問は、即位後の初の海外公式訪問として、また、ブレグジット後、初のフランス訪問として、イギリスとフランスの外交の象徴として、位置付けられていたものが、フランスの社会情勢のために延期という、まことに縁起の悪い感じもしたものです。

 フランス人はイギリス王室の話題が大好きで、自国の王室は崩壊しているためもあるのか?なにかにつけて、スキャンダラスな話題も多いイギリス王室に、フランスのマスコミもまるで自国のことのように大騒ぎするのも不思議な感じがします。

 しかし、フランスでは、やはりエリザベス女王やダイアナ妃人気が高く、チャールズ国王がフランスを訪問したとて、そこまで盛り上がるものなのか?と思っていましたが、やはり、マスコミは熱狂的に報道し、また、フランス側の盛大な歓迎ぶりも手伝ってか、大きく扱われています。

 フランスに到着したチャールズ国王夫妻は、レッドカーペットで迎えられ、マクロン大統領夫妻がエスコートしながら、初日は凱旋門の無名戦士の墓を訪れ、シャンゼリゼを下り、150人以上の著名人が招かれたヴェルサイユ宮殿の鏡の間での晩餐会に出席しました。

 このような晩餐会には、比類ない抜群の美しい舞台となるヴェルサイユ宮殿、しかも鏡の間は、華麗なる晩餐会そのもので、この類の晩餐会の中でも、群を抜いて煌びやかな豪華さを演出します。晩餐会には、フランスのVIPだけでなく、ミックジャガーや俳優のヒュー・グラント、作家のケン・フォレットなども招かれていました。

 気になる晩餐会のメニューは、スターター、メインともに、ミシュランの三ツ星シェフの二人が担当し、ブルーロブスター、ブレス鶏の他、デザートにはピエールエルメが腕を振るい、イギリス国王にちなんだ30ヶ月もののコンテを含む3種類のチーズが選ばれ、ワインは1本800ユーロ以上という噂まで飛び交っています。

 このチャールズ国王の遇し方を見ていると、フランスがイギリスをどのように位置づけているのかが見えるような気がしますが、この豪華な晩餐会と同時に、訪問先で、親しくフランスの一般市民とも触れ合う姿が見られたり、上院議会でスピーチを含め、少なからず政治的と思われる発言をしたりと、開かれた新しい王室を演出しようとしている向きも見られました。

 このチャールズ国王のフランス訪問の日程は、イギリス王室とフランス側が当初に予定していたものと、大きくは変更がなかったそうですが、フランスは、超VIP待遇でお迎えすると同時に親しみのある王室アピールの意を汲んで、訪問先を選び、その場を盛り上げることに協力していたのだということがわかります。

 お二人ともがご高齢にもかかわらず、日程はぎっしりで、それこそピンからキリまで・・、シャネルの工房から、サンドニでフランスのオリンピック選手と、そしてブリジットマクロンとピンポンをするなど、概ね暖かい雰囲気を醸し出していました。

 マクロン大統領は晩餐会のスピーチで「チャールズ国王のフランス訪問は我が国の過去への賛辞であり、未来への保証であり、私たちはこれからも私たちの大陸の未来の一部を一緒に描き続ける」と述べ、チャールズ国王は、「21世紀の課題に対処できるよう、友好関係を再活性化するのは我々次第だ」とフランス語でスピーチしました。

 このチャールズ国王のフランス訪問が他の諸外国でどのように報道されているのかは、わかりませんが、ここぞとばかりに華やかなフランスをアピールしていると思われる向きもあり、また、同時に懸命にエリザベス女王とは違う王室アピールをしようとしているチャールズ国王に、お互いの親しい友好関係を示しつつも、それぞれの目的を遂行しているような感じも受けました。

 この豪華すぎる晩餐会には、一部、生活に貧窮している学生なども多いのに、こんなことが必要なのか?などという声がないではありませんが、多くのジャーナリストなどは、そこまで言う?と思うほど、チャールズ国王のフランス語を褒めちぎったり、大いに持ち上げるような発言に、微妙な気もしました。


チャールズ国王フランス訪問


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2023年9月21日木曜日

いじめ・嫌がらせをしていた14歳の少年 授業中に手錠をかけられ逮捕

  


 学校でのいじめ問題が深刻化し、新年度が始まる前に、「いじめ問題が確認された場合には、いじめられた被害者ではなく、加害者を退学、あるいは、転校させる」という措置をとるという国家レベルの法律を制定したフランスですが、事は、そんなに簡単に解決するわけもなく、新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった少年がいたことが報じられていました。

 実際には、いじめられている、嫌がらせを受けている側の子の方が学校から遠ざかる傾向があるのは、当然のこと、しかし、現在は、学校に来る来ないだけでは、いじめや嫌がらせがやむことはなく、SNS上での嫌がらせを続けて拡散する手段は、被害者をさらに追い詰めることになっているのが現状のようです。

 この新しい法律は、学校側の取るべき態度としての確固とした基準という意味では、有効ではありますが、実際に、9月早々に自殺してしまった子供の両親からの話では、何度も学校と話し合いを続けたが、充分な対策をとってはくれず、警察に訴えても、訴えを受け付けてもらえなかったなどという実情が暴かれ、この問題の道のりの長さを物語っているような気がしていました。

 ところが、今度は、パリ近郊の中学校で、いじめ、嫌がらせをしていたとされる少年が授業中に逮捕されたという衝撃的な事件が浮上してきています。

 この少年は、インスタグラム上でトランスジェンダーの少女にトランスフォビア的な発言や殺害の脅迫(かなり過激な内容)などを繰り返していた容疑で、いじめの被害者の少女の父親が通報し、かなり強く訴え出たことから、警察が動き出したと言われています。

 警察への拘留後、この少年は、容疑の事実を認めていますが、問題になっているのは、この警察が授業中に学校に押し寄せ、授業中に少年を逮捕するという、かなり強引なやり方です。

 この学校の責任者は、警察が介入することに同意していたとされていますが、授業中に突然、大勢の警察官が侵入してきて、容疑者の名前を呼び、「深刻な嫌がらせと殺害の脅迫で逮捕する」と述べ、少年の腕を掴み、手錠をかけたとクラスメイトの学生が証言しています。

 想像するだけでも、かなりの衝撃的な場面にその後は授業にならなかったと言われていますが、これは、ある種の見せしめ的な意味があったのではないか?と思うのです。この少年に対する容疑を考えれば、何も学校で、しかも授業中に逮捕する必要はなく、家におしかけてもよかったわけだし、また、登校時、下校時などのタイミングでもよかったはずなのです。

 それをわざわざ、授業中におしかけて、他の生徒の目の前で手錠をかけるようなことをするのは、多分に、嫌がらせをすれば、このような目に遭うという警告の意味があったとしか思えないのです。

 警察が学校に介入することに同意していたとはいえ、授業中に手錠をかけて逮捕するという具体的なことまでは把握していなかった模様で、学校側は警察に対し状況の説明を求めていると言われていますが、これには、なんと政府報道官が説明に応じており、「この逮捕は検察と教育チームの合意のもとに行われたものであり、これが私たちが嫌がらせの惨状に対処する方法であり、これが私たちが子供たちを守る方法でもある」と毅然とした態度で回答しています。

 いじめには、直接関与していないにしても、それを容認するという集団心理も加わる性質が多分にあると思われるため、かなり荒療治ではあるものの、これくらいの対応が必要なのではないかと思ってしまいます。

 また、今回のケースもそうですが、最近は、いじめの対象となるのは、同時にLGBT問題であるケースも多く、問題をさらに複雑にしています。


いじめ加害者少年 授業中に逮捕


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2023年9月20日水曜日

日本の失われた30年に思うこと

  


 最近、よく日本のメディアでは「失われた30年」という言葉をよく目にするようになった気がしますが、正直、この30年は、はからずも、私が日本を出て、海外生活を始めて現在に至るまでの期間とまるかぶりしていることに、複雑な思いがしています。

 フランスで暮らすようになって、30年は経っていませんが、その前にアフリカにいた期間などを加えると、ほぼほぼそれに近い年月が経っているわけで、海外にいるからこそ、外から見ている日本、たまに一時帰国する日本、フランスで見る日本のものなどが移り変っていることを感じることもあります。

 それでも、実際にこの間を私は日本で暮らしていたわけではないので、実感として感じているわけではないのですが、たまに見かけるニュースなどでも、よい意味でも悪い意味でも、ついついフランスと比べてしまう癖がついている気がします。

 そう考えてみれば、フランスに来たばかりの頃は、なんでフランスはこうなんだろう?と日本と比べて、腹立たしく怒ることが多く、「まあ、ここはフランスなんだから、仕方ない・・」と思っていたのですが、この30年近くの間に、日本のニュースなどを見るにつけ、また、フランスの様々な社会システムなどの変化に接するにつけ、「フランス人にできて、なぜ?日本人にできない?」と、逆に日本をもどかしく思うことが増えてきた気もします。

 何よりも、私自身がフランスの生活に順応してきたこともあるとは思うのですが、それにしても、最近は、日本の「失われた30年」などという話題に触れて、残念ながら、やっぱりそうだよな・・と思ってしまうのです。

 フランスに来たばかりの頃は、一年に一度、日本に帰るたびに、一年留守にするだけで、まるっきり、日本は景色が変わってしまう・・と驚かされるほど、新しいビルが建ったりしているのに比べて、パリって本当にいつまでたってもちっとも変わらない・・などと思ったりもしていたのですが、ある時期から、日本に一時帰国した折に、「えっ?こんなに年配の方が警備員とか、道路の交通整理などの仕事するようになったの?」などと驚かされるようになったのです。

 また、かつては、電気屋さんなどに行けば、日本人として、ちょっと誇らしくなるほどに日本製品が高価な値段でずら~っと並び、日本製品は、絶対的な信頼を勝ち得ているような感じがあったのですが、いつのまにか、電気屋さんで日本製品を見かけるのは、珍しいことになってしまったし、日本のものでフランスで注目されるのは、日本食か、マンガやアニメ、そしてユニクロくらいでしょうか? 

 日本で物議を醸しているマイナンバーカードや保険証などに関しても、フランスでは、いつの間にか、スムーズにIT化が進み、問題なく進化しています。まさにフランスにできることが、なんで日本では、そんなに揉めているのだろうか?と思ってしまいます。

 正直、フランスでは、日本のことは、よほどのことがない限り、細かいことはニュースにはならないし、そんなに真剣に話題にのぼることはありません。フランスにとっては、周囲のヨーロッパ諸国や、アメリカやロシアなどの方が差し迫った問題なのです。

 それでも、昨日もこちらのニュースで見かけたのは、日本の少子高齢化の問題で、日本は人口の29%が65歳以上で、10人に1人が80歳以上、経済を支え切れずに、900万人の高齢者が働いているなどと伝えています。

 政府に関しては、フランスだって、色々な問題はあるし、暴動にまで発展する事態も少なくありません。しかし、少なくとも、フランス政府には、フランスの将来のためにはどうしていくべきなのか? 特に教育や若者に対しての支援などを模索し、様々な試みをしていることが感じられるし、ある程度の信念が感じられます。

 それに比べて、現在の日本政府は、行き当たりばったりで、その場その場で周囲にいい顔をしつつ、すでに、ある程度、上り詰めた人々が利権を守るためにやっているとしか思えないことが多いような気がします。

 もう外から見ていても、ため息しか出ない感じで、以前は、老後は日本に帰ろうと言っていた日本人カップルなども、やっぱりやめた・・などと言っている人が増えているという話も聞きます。

 月日が経つのは早く、あっという間に時は過ぎていきますが、とはいえ、30年といえば、決して短くない時間です。

 しかし、今の日本の状態を見ていて、私は、母の病気のことを思い出します。母は、拡張型心筋症という病気で、発症から10年ほどで、亡くなりましたが、その後、母が亡くなった病院で後学のために、解剖を求められました。心臓病は遺伝という要因も多いに考えられるために、お母さまの病気について、深く解明することは家族にとっても必要だと言われて、解剖をお願いして、その結果を聞いて驚いたときのことを思い出すのです。

 心臓病は、わかりやすい病気ではないので、その辛さは周囲にはわかりにくいために、一体、どの程度、悪化しているのか、それこそ開けてみなければ、わからなかったわけですが、解剖の結果、母の心臓は、正常な状態の数倍にもなっていて、おそらく、健康な状態から、急にこの状態になったらば、窒息するような苦しみだっただろうとのことで、お母さまは、10年かけて、少しずつ悪化(心臓が肥大)していったので、苦しさにも少しずつ慣れておられたのだろう・・と聞いて、母の苦しさを理解できていなかったことを本当に心苦しく思ったものでした。

 今、失われた30年などと言われている日本も、まさに日本に住み、日本で生活していれば、それこそ、悪く言えば、苦しさに慣れてしまって、本当は窒息しそうな苦しみなのではないか?とも思うのです。

 しかし、実際には日本は依然として、フランスよりもはるかに優れている面もたくさんあるわけで、フランスでの日本のイメージは、決して悪くはないどころか、他のアジアの国とは一線を画している上質なイメージが根付いていることも事実で、特に歴史に根付いた日本の自然や文化には、憧憬の念があることは、日本にとっての大変な財産であり続けています。

 日本の文化遺産や、食文化、そして近代的な清潔な街、礼儀正しさ、そして、若者に人気のマンガやアニメなどは、少なくとも、日本がこの30年間に失わずにいたものには、しっかり注目していてくれることは、ありがたいことです。


失われた30年


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2023年9月19日火曜日

やっぱり美味しかったマドレーヌ Le Comptoir ル・コントワール Ritz Paris

  


 前々から、「ここのマドレーヌは美味しい・・」という噂は聞いていました。しかし、わざわざ出向くほどに、特にマドレーヌが好きというわけでもなく、「Ritz(リッツ)でしょ!そりゃ、美味しいでしょ!それなりのお値段だろうし・・」と思っていました。

 まあ、機会があればね・・くらいに思っていたのですが、たまたま、何なのか?市内が異常に警戒態勢が敷かれていて、通ろうと思っていた道が閉鎖されていて、迂回しなければならなかったりして、たまたま近くを通りかかることになり、「そういえば、あのマドレーヌのお店(実際には、別にマドレーヌだけのお店ではない)、この辺だったかも??」と思いついたら、まさに、その通り沿いだったので、お店を覗いてみることにしたのです。

 お店のウィンドーには、まさに山積みのマドレーヌのオブジェが飾られていて、あ~ここだここだ・・と思って店内に入ると、甘い香りが・・。

 そんなに広くはない店内ではありますが、一応、イートインができるスペースもあって、お菓子が並んでいるケースの前には、行列ができていました。(といっても、セドリック・グロレのようなお店の外まで行列ができて、延々と並ぶ・・というような行列ではありません)


 マドレーヌがお目当てのお客さんが多いとはいえ、それ以外のケーキもしっかり売れています。しかし、まさに、もう拝むという表現がふさわしいようなケーキのお値段は、1個16ユーロ(約2,500円)とか18ユーロ(約2,800円)、少し大きめのものだったりすると、20ユーロを超えるお値段・・もはや、なんだか、国が違うというか通貨が違うのかと勘違いして、金銭感覚がちょっと麻痺してしまうような感じ・・一緒に並んでいるマドレーヌ(1個3.5ユーロ)(約550円)が安く感じてしまうから、おかしなものです。


この写真だと大きく見えるけど、ふつうのケーキの大きさです


 そもそも、マドレーヌは、フランス人にとっては、ほんとうに身近なお菓子のひとつで、スーパーマーケットなどで袋入りで市販されているものでも相当な種類があり、大手のスーパーマーケットではそれぞれが自社ブランドの製品を出しているくらいポピュラーなお手軽なお菓子。そんな一般庶民(私も含めて)が食べるマドレーヌ一袋(5~6個入り)は、ここのマドレーヌ1個のお値段か、それ以下です。

 


 マドレーヌも色とりどり、ナチュール、ショコラ、レモン、キャラメル、フランボワーズ、ピスタッシュ(これだけ1個5ユーロ)、パッションフルーツなどがありますが、たかがマドレーヌに3.5ユーロはやっぱり高い・・。

 しかし、せっかく来たのだから、まあ、ちょっとくらい食べてみたいな・・まあ、まずは基本・・とオリジナル(ナチュール)のマドレーヌ一つだけを買って帰りました。

 そもそも、どうしても、「たかがマドレーヌ・・」という気分が私の中には、あるせいか、どんなに高級なマドレーヌと言ったって、たかがしれている・・と思っていたので、そんなに期待もしていなかったのです。

 でも、値段が値段の高級マドレーヌ、一度で食べてしまうのはもったいないとせこい考えを起こして、半分にして、ひとくちパクッと食べたときの意外な驚き!「えっ?ふつうのマドレーヌと全然ちがう!」。

 そもそも、こんなに高いマドレーヌを買っておいて、期待していないのもおかしい話なのですが、どうせ、大したことない・・と思っていたものが、一口食べて、予想を超えた時に感動することは、そんなにあることではありません。

 思わず、目を大きく開いて宙を見つめてしまう感じです。

 何より、生地がなめらかで、上質なことに疑いの余地はなく、軽くて、やさしい味の今まで食べたことのないマドレーヌでした。

 こうなってくると、他のものにも期待できそうで、細長いクロワッサンやパンオショコラなども買ってくればよかったと悔やまれ、後日、買いにいったときには、すでに売り切れ。



 仕方なく、ショコラとキャラメルのマドレーヌを買って帰りましたが、これらは、中にクリームが入っていて、また、そのクリームが甘すぎず、キャラメルの方などは、キャラメルとはいえ、爽やかな味わいのキャラメルでこれまた別の感動でした。





 頼めば、お土産用に箱詰めしてくれるので、日本へのお土産にすることも可能です。

 ホテル・リッツの方は、ちょっと入りづらい、敷居の高い感じがしないでもありませんが、こちらのパティスリーは、それほど臆することなく入れる感じです。

 まあ、ホテルリッツに泊まることを考えれば、その一辺を味わえるとしたら、まあまあ納得できないこともありませんが、それにしても、この高級スイーツの値段の高騰ぶり、そしてまた、これらが飛ぶように売れているのも不思議な現象だなとも思います。


Ritz Paris Le Comtoir  ル・コントワール 

38 Rue Cambon 75001 Paris 

8:00~19:00 日休


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2023年9月18日月曜日

言ってはいけない言葉

  


 夫が亡くなってしまったとき、突然のことだったし、まったく予想にさえしていなかったdできことに、みっともないことに、私は、少なからず取り乱し、落ち込み、途方に暮れて、あの頃のことは、思い出すのも怖いくらい、一日、一日をどう過ごしていたのか? はっきり思い出せないことと、やけに鮮明に覚えていることとが混ざりあっています。

 私は、胃に蓋がされたかのように、全く空腹というものを感じなくなり、食べられなくなり、眠れなくなりました。家中に何も変わらずそのままに残っている夫の洋服や靴、その他、買い物好きの彼が世界中で買い集めた奇妙な骨董品のようなものなどに囲まれて、ことあるごとに夫を思い出しては、涙があふれてくるのをとめられず、眠れない夜でありながら、このまま夜が明けなければいいのになどと思ったりもしました。

 私のそんな状態とは裏腹に、当時まだ10歳だった娘は、激しく感情を乱す様子もなく、葬儀が終わってすぐに、学校生活に戻り、私も仕事に復帰しました。

 夫のいない家にいるよりも職場や学校の空間にいた方が気が紛れて助かったということもありましたが、やはり、娘のことは、それはそれは心配で、学校に復帰した娘を迎えに行ったときは、再び、無事に学校生活に彼女が戻れたかどうか、どきどきして、先生に娘の様子を尋ねたりもしました。

 彼女の行っていた学校では、夫が亡くなってすぐに、病院から娘を迎えに行き、普段は保護者たりとも学校に立ち入れないところを事情を説明して学校に入れてもらい、彼女のいる教室に授業中にもかかわらず、急に入って行って娘を連れ帰ったこともあり、あっという間に夫の亡くなったことは学校中に知れ渡ることになり、その後は、学校のディレクトリスから直接電話をもらったり、葬儀が終わるまでの間、学校を休んでいた彼女に同級生のお友達のパパやママたちが子供を連れて、学校の授業に遅れないようにと、ノートを届けてくれたり、学校がお休みの水曜日には、自分たちの子供と一緒に預かってくれたりと、これからも学校生活が送れるように一致団結して助けてくれました。

 しかし、人から助けてもらうばかりで、自分は他の人のために何もできないことは、それはそれで、辛いことでもありました。

 最初は特に、もう一日一日を過ごしていくことに必死で、夫の死後の煩わしい手続きに追われながら、精神的にも張りつめていて、また実際にも、これまで夫と手分けしてやっていた様々なことを一人でやってかなければならなくなったため、また、行く先々で、新しい生活環境に変わった事情を説明しなければならなかったりと、生活のリズムを取り戻していくのには、時間もかかりました。

 ことあるごとに涙を流していた私と違って、娘はそのようなことはなかったのが逆に心配なほどで、泣かない娘を心配して、ママ友に相談したりしたこともありました。

 しかし、それからしばらくして、ある日、娘が目に涙をいっぱいにためて、「かわいそうな子だと言われたくない・・」と私に打ち明けてくれたことがありました。

 彼女の言葉に私はハッとさせられて、そんな彼女の気持ちに胸が痛くなったことがありました。「かわいそうに・・」という言葉は、一見、人を傷つける言葉には聞こえないし、暴力的な言葉でもありません。また、ごくごく身内の本当に近い存在の人だったらば、いたわりの言葉にもなりうる言葉でもあるかもしれません。

 しかし、人々が何気に口にしかねない「かわいそうに・・」という言葉は、実は、けっこう人を傷つける言葉ではないかとその時に思いました。実際にかわいそうなことになっていても、かわいそうだと思われたくないのは心情です。

 でも、このことがあって、私は、より、しっかりしていかなければいけないと思ったし、彼女にこれまで以上の愛情を注がなければ・・、そして、今まで以上に色々な経験をさせてあげたいと思ったことも事実だし、また、彼女自身もそんなことを言われないように、彼女なりの努力をしてきたと思います。

 あれから、もう10年以上が経って、おそらく彼女のことをかわいそうだと思う人は、あんまりいないんじゃないかな?と思っています。


言葉 禁句


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2023年9月17日日曜日

欧州連合 TikTok へ3億 4,500万ユーロの罰金

  


 今年の7月の段階で、フランス上院調査委員会は4ヶ月間にわたる調査と専門家、研究者、学者、政治指導者、TikTok側のフランスの代表らとの約30回の公聴会を経て、ソーシャルネットワークの利用と個人データの利用に関する報告書の結論を発表し、TikTokに対して、年齢制限、時間制限、危険なコンテンツについて扱いなどについての要請を行っていることを明らかにしていました。

 この要請は、少なくとも21項目に及ぶもので、この段階で回答があったのは、その20%ほどで、残りの80%に対しては、なんら対策がとられていない状態ということで、一定の猶予期間を設けた後、2024年1月までに、これが改善されない場合はフランスは、TikTokに対して停止措置をとると発表していました。

 そして、その2024年1月を待たずして、問題は、フランスだけでなく、欧州連合全体が問題を追及し、欧州連合は、未成年者のプライバシーに関する欧州データ保護規則 (GDPR) に違反したとして、TikTokに対して、ヨーロッパで過去最高となる3億 4,500 万ユーロの罰金を課すことを発表しています。TikTokはこの罰金を3ヶ月以内に支払わなければならない・・と。

 以前のフランス上院調査委員会の調査の際にも非常に問題視されていたものでもありますが、この中国で誕生したSNSサービスのツールが中国当局との強力な連携の上に成り立つものであり、ユーザーに関する情報がアルゴリズムファイリングを通じて全て中国当局に収集されていることに対する懸念でもあります。

 欧州連合全体で1億3,400万人のユーザーを抱えているTikTokに回収されるデータ量は、膨大なものであり、特に未成年のユーザーも多く、今回の違反(罰金対象)とされているのは、親の TikTok アカウントをティーンエイジャーの TikTok アカウントにリンクできる「家族接続」モードに関連したものであると言われています。

 TikTok の広報は、「今回の決定、特に課せられる罰金の金額には同意しかねる」と異を唱え、次のステップを検討中であると回答しています。

 他の欧州連合の国々、ひとつひとつの対応はわかりませんが、少なくともTikTokは、この欧州全体の違反通告、罰金措置とともに、フランスからの改善要請と警告(年内までに改善されない場合は、フランス国内ではTikTokは停止)を受けているわけで、TikTok側が言っている次のステップは、どういうことなのかはわかりませんが、どちらに対しても、彼らがあっさりと要請を受け入れないことだけはたしかなようです。

 と同時にこのような問題があるたびに、日本人の私としては、フランスや欧州全体がこれだけ警戒しているTikTokというツールに対して、日本はなんらかの対策をとっているのだろうか?と少々心配になります。

 彼らが収集しているデータは、ヨーロッパからだけというわけではなく、どこの国からも同様に収集しているわけで、日本だけが例外ということはないのです。

 TikTokが未成年者のデータの処理を理由に罰金を課せられたのは、これが初めてではなく、 2019年にアメリカで570万ドル、2021年にオランダで75万ユーロ、イギリスで昨年4月に1,270万ポンドの罰金を課せられています。

 つまり、この程度の罰金では、まったく懲りずにいるということなのです。


TikTok 罰金


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2023年9月16日土曜日

新年度の始まりとともに、急激に増加しているコロナウィルス感染

  


 フランス公衆衛生局は、ここ1週間で急激にコロナウィルス感染者が増加していることを警告しています。

 もう、また~~?と言いたくなるところですが、救急医療が処置したコロナウィルス患者数は、8月最終週からの1週間では、3,488件、9月に入り、4日から11日の間に4,067件に増加しました。その前まではわずか7%増でしたが、1週間で17%増となり、その後は22%増と3週間連続で上昇傾向が続いています。

 この傾向は、学校に戻って最初の 1 週間の子供たちに特に顕著にみられる傾向であり、大人ではわずか 12% であったのに対し、子供では 58% 増加しています。過去の感染の経過を参考にするならば、子供が学校で感染してきたウィルスが家庭内に広まり、今度は大人に感染が拡大し始めるというこれまでの実績を考えれば、これからさらに2週間後くらいになると、本格的に感染が拡大してしまうことになりかねません。

 これにつれて、救急外来の受診も増加しており、救急患者の数は30%増と堅調に?増加しており、救急患者の約3分の1が入院措置になっているそうです。

 ただし、体調を崩して救急外来に訪れる人々の多くは、もはやコロナウィルスを疑うことはなく、風邪をひいた・・と言ってやってくるそうで、たいていの場合はドリプラン(パラセタモール)を飲んで、2~3日安静にしていればよい程度のもので、このような人々のことを、一部ではコビデットと呼んでいるそうです。

 しかし、今回の感染拡大も依然として、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人々にとっては、深刻なケースに陥る危険があり、フランス公衆衛生局は、10月17日から予定していたワクチン接種キャンペーンを10月2日に前倒しすることを発表しています。

 今年のワクチン接種には、欧州規制当局によって承認された新変異種XBB.1.5 対応のファイザーの新しい適応ワクチンが使用される模様です。

 また、フランス公衆衛生局は感染後重症化リスクの高い人に関しては特に症状が出た場合は早期の検査を推奨しています。 なぜなら、早期の段階ならば、感染が悪化しないための抗ウイルス薬(ファイザー社のパックスロビッド)を処方できる可能性があるからということです。

 喉元過ぎれば・・ではありませんが、すっかり、日常生活に戻っている今、ワクチン接種をするかどうかは、これまですでに数度にわたり、ワクチン接種をしてきた時と違って、なんとなく、またさらに続けて大丈夫だろうか?という抵抗もあり、また、差し迫って、危険を感じていないことから、さらにハードルが上がったような気もします。

 研究によると、欧州では、ほぼ全人口が感染歴があることが示されており、また、感染によって、ある程度は免疫を獲得し、守られていると考えることもでき、また、同時にファイザーとモデルナのメッセンジャーRNAワクチンには、特に若い男性において心筋炎(心筋の炎症)のリスクがあることが報告されていることから、無差別にワクチン接種を行うことは避け、フランス、ドイツ、イギリスでは、リスクのあるグループにのみ毎年追加免疫を行うことを推奨するという体制を固めつつあると言われています。

 気温が下がってくるとウィルスが活発になることから、秋以降は感染が増加することは、必須なのでしょうが、とりあえずは、こまめに手を洗うこと、うがいをすることなどの日本人ならば、決して特別ではない地道なことが大事かな?くらいに思っています。

 どのみち、ワクチン接種キャンペーンは10月以降、ワクチン接種に関しては、かかりつけのお医者さんとも相談して、決めようと思います。


コロナウィルス感染急増


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2023年9月15日金曜日

コンコルド広場にできているラグビーヴィラージュ ラグビーワールドカップ2023パリ

  


 現在、フランスでは、ラグビーのワールドカップが絶賛開催中で、このワールドカップが始まる少し前に見かけた工事中だったコンコルド広場のオフィシャルショップが完成したところを見てみようと出かけたところ、コンコルド広場全体が、ラグビーヴィラージュとなっていて、大きなオフィシャルショップだけでなく、巨大スクリーンが設置され、そこでは、現在進行中の試合の模様が中継されていました。

 私が訪れた日の夜には、フランスの試合が開催される予定だったためか、このラグビーヴィラージュ周辺は、大変な警戒ぶりでした。

 少し歩こうとシャンゼリゼから歩いて行こうと思ったのですが、通常ならば、シャンゼリゼを下っていけば、コンコルド広場に到達するのですが、これがシャンゼリゼの途中、グランパレを過ぎたあたりで、通行止め。

 やたらと警察車両が止まっているので、何ごとか?と思いましたが、警察車両がたくさん待機していることは、決して珍しいことでもないので、そのまま通り過ぎたのですが、それにしても警察官の数も半端ではありません。

 あと5分くらい歩けば・・というところで、いよいよ本格的に歩行者さえもシャットアウトで、警備にあたっている警察官を捕まえて、コンコルド広場には、入れるのでしょうか?と聞くと、迂回していくしかないとのこと・・。

 結局、想像以上に歩くことになり、コンコルド広場に入るかなり前の道にも警官がたくさんいて、「ラグビーショップに行きたいのですが・・」と言ったら、荷物チェックのうえ、道を通してくれました。

 最寄りのメトロの駅(①号線コンコルド駅及びチュイルリー駅)は閉鎖されており、せっかくのラグビーヴィラージュに簡単にアクセスできないことは、フランスの現在の治安を物語っています。

 しかし、このワールドカップの期間(9月8日~10月28日)限定のラグビーヴィラージュは、その背景には、シャンゼリゼやエッフェル塔、チュイルリー公園などが広がる絶景のスペースです。


 ラグビーヴィラージュの中には、巨大スクリーンの他に、大きなステージが用意され、簡単に遊べるミニラグビー場や障がい者用(車いす用)のスポーツエリア、飲食店のスタンドなどが、いくつかあり、コンコルド広場って、こんなに広かったっけ?と思わせられるスペースになっています。





 飲食店のスタンドもそんなに多くはない中、ビールは、スポンサー企業であるアサヒスーパードライが独占状態で、さすがに他にワインやジュースもある中、フランスでビールがアサヒのスーパードライだけ・・という場所もそうそうないことで、これを機に日本のビールがもっともっとフランスでも広まってくれればなぁ~と思いました。



 コンコルド広場は、来年のオリンピックにも、いくつかの試合が開催されるアーバンパークとして利用されることが発表されていますが、このラグビーヴィラージュは、おそらく、その予行演習のようなテストケースのようなものでもあるのかもしれません。



 しかし、今回のように、実際にコンコルド広場で競技が行われるわけでもないのに、こんなに凄い警戒態勢で、大変な迂回を強いられるわけなので、オリンピックになったら、もうパリの街中は、自由に移動することが不可能になるのではないか?と、ちょっと、ウンザリしないでもありません。


ラグビーヴィラージュパリ ラグビーワールドカップ2023


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2023年9月14日木曜日

フランス発 肺がん治療ワクチン Tedopi について

  


 フランスのバイオテクノロジー企業 Ose Immunotherapeutics が開発した肺がん治療ワクチン Tedopi が化学療法と比較して、死亡リスクを40%以上軽減するという研究結果ががんに関する医学専門誌に掲載され、がん治療に光が差したと話題を呼んでいます。

 このニュースは肺がん治療に関わる人々にとっての大きな朗報であることには違いありませんが、現在のところは、このワクチンは、すべての肺がん患者を対象としたものではなく、最も重篤な患者、再発した患者、転移のある患者、既存のすべての治療に抵抗があるが免疫療法にすでに陽性反応を示した患者のみを対象としています。

 つまり、この研究結果は、かなりの末期患者を対象としたもので、この臨床試験の結果も、「肺がんの末期患者の44%以上がこのワクチン接種後1年後も生存が確認されており、平均すると3ヶ月半の生存期間の延長がみとめられた」というもので、必ずしも完全治癒するというものではありません。

 しかしながら、化学療法などと比較すると、副作用等も3分の1に減少するため、治療に際して患者さんのQOL(生活の質)も向上するとしています。

 このワクチンは、現段階では、いわゆるワクチンでイメージされる予防のためのものではなく、治療薬であり、免疫反応を引き起こす抗原を選択し、免疫系のキラー細胞である T リンパ球は腫瘍細胞を認識し、それらを排除する働きを利用するという、コロナウィルス対応のRNAワクチンを思わせる感じです。

 病気に特有の病気の異常を特定し、ワクチンによってこれらの異常に特異的に対処する免疫系の細胞を生成することが可能になり、患者自身の免疫系が病気に関連する細胞を根絶するというものです。

 このメッセンジャーRNAタイプのワクチンは、コロナウィルス予防のワクチン開発のために、急激に普及し、研究も進みましたが、元来は、がん治療に有効であるという考えのもとに開発されてきたものでした。

 このワクチンは腫瘍学者によれば、これは「がんとともに生きるすべての患者に大きな扉を開くものであり、本当に大きな希望をもたらすものである」と断言しており、肺がんと同時に転移のある膵臓がんや再発した卵巣がんに対する検査も進行中です。

 しかし、このワクチンも、現段階では、治験の段階であり、一般化されるかどうかは、未定であるものの、比較的可能性が高いとも言われています。

 Tedopiは2027年に販売認可を申請予定としていますが、さらなる新たな治験でテストされる必要があるようです。現在の治験の結果を見ると、治験ゆえ、あらゆる治療を試みたにもかかわらず、効果が認められず、他に手立てがない場合に行われているもので、その前段階に使用した場合の効果に関しては、発表されていません。

 しかしながら、これはフランスの5,000人から7,000人の患者に相当するもので、このワクチンを製造するバイオテクノロジー企業は、世界中で年間10万人の患者を対象とするものになることを見込んでいるそうです。

 以前は、ガン宣告=死亡宣告のようなもので、告知されないケースなどもありましたが、この研究が進んでいけば、ガンも治る病気として認知される日がやってくるかもしれません。


フランスバイオテクノロジー 肺がん治療ワクチン Tedopi


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2023年9月13日水曜日

フランスでの iphone 12 販売禁止の理由

  


 奇しくも iphone 15が発表された日にフランス ANFR(国家周波数局)は、9月12日のプレスリリースで、Appleに対し、規制されている許容量を超える電波を発する iPhone 12の販売を中止するよう要請したことを発表しました。

 これは、この機種の電波がヨーロッパで規制(認可)している比較している閾値を超えているためであることから、この措置はフランスだけに留まらない可能性があります。

 また、ANFRは、この問題について、2週間以内に同社が対策を講じない場合は、この製品の、すでに流通している商品に対するリコールを命令する用意があると警告しています。

 一応、携帯は持ってはいるものの、まるで、その知識に疎い私にとっては、一体、なんのことやら、わからないのですが、この販売禁止の理由は、過度に高い波動の放出が原因とされており、最近実施されたテストで、携帯電話を手に持ったり、ポケットの中に入れたりしたときに人体が受信する電波を測定した結果、比吸収率の限界を超えたことが関連していると言われています。

 このテストによれば、フランスでは、携帯の電波は、4 W/kg に制限されていますが、 iPhone 12 の場合は 5.74 W/kgであったとされています。

 具体的にどのようにこの閾値が設定されているのかはわかりませんが、一応、様々な観点から設定されているであろう数字なので、これを看過することはできないのもわかります。

 しかし、この iPhone 12 は、2020 年にリリースされたもので、すでに3年も経った今になって言われるのも、なんで、発売前にちゃんとチェックしてくれなかったの?とモヤモヤします。

 現在、発売になったばかりの iphone 15の前にすでに iPhone 12の後には、13、14が出ていて、それに関しては、販売禁止の対象になっていないということは、これらに関しては、問題がないのだとは思われますが、それにしても、販売する企業側も、販売を許可する側も販売前にその検証がなされていなかったことは、遺憾に思います。

 同時に、今や携帯なしでは生活できない気がしてしまうほど、全ての人々に浸透しているからこそ、このような検証がなされ続けることは必要なことではないかと思っています。


フランス iphone 12 販売禁止


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2023年9月12日火曜日

ラグビーワールドカップとジャニーズ性加害スキャンダル

  


 現在、フランスではラグビーのワールドカップを開催中で、街中には、サポーターの集団がワイワイしているのを見かけたりするので、普段、あまりラグビーに興味がない私は、今さらのように、「ラグビーってこんなに人気あるスポーツだったんだ・・」などと、少々ズレたことを感じたりしていました。

 ラグビーとは全然関係なしに、このワールドカップが始まる少し前に、たまたまパリのコンコルド広場近くを通ったら、ずっと工事中だった場所に大きな仮設の建物が建っていて、「あれ?オリンピックの用意ができ始めたんだ・・見てみよう!」などと、行ってみると、まず、その建物には、マスターカードのマークがやたらと張り付いていて、「えっ?オリンピックはVISAカードじゃなかったっけ?」などと、「へっ??」と思っていると、それは、ラグビーのワールドカップのオフィシャルショップ(けっこうな広さ)で、なるほど、ワールドカップの方は、マスターカードがスポンサーなのか・・と気が付いたのでした。

 しかし、ワールドカップのために、コンコルド広場にこんなスペースを設けるとは、なかなかなアピール具合です。

 コンコルド広場には、その他、いくつかのスポンサー会社のテントが張られていて、その中に「Asahi」のテントを見つけて、「やるな~!日本の会社も頑張っているぞ!」と思ったばかりでした。

 日本でのジャニーズの性加害スキャンダルについては、フランスでは、今のところ、テレビメディアでまでは、それほど大きな扱いにはなっていませんが、新聞媒体(ルモンド紙)では、ジャパンラグビーのアンバサダーとして起用されているジャニーズ事務所のタレントであることを問題視する記事を掲載したりはしています。

 そんな中、ジャニーズ事務所の謝罪と新体制の記者会見を受けて、次々と企業側がジャニーズタレントの広告起用を取りやめる発表をし始めていますが、中でもいち早く、アサヒホールディングスが入っていたことに、なるほど・・と思った次第です。

 日本では、このような事態に対して、曖昧な状態でいることが、さほど責められないどころか、賛否両論あるなどと、甘いことを言っていますが、このような事態は、海外では一発アウトの案件であり、今回のラグビーのワールドカップのスポンサーなどという、世界中の注目を集めるイベントのスポンサーとしての立場にいるアサヒホールディングスは、いち早く、キッパリとした対応をとる必要があったのです。

 さもなければ、世界の大舞台のスポンサー企業として名を連ねていることで、通常以上に一企業として注目される立場にあるわけで、同企業の社長が会見で「ジャニーズタレントを起用するということは、人権問題に寛容な企業と判断される」と発表しているように、はっきりした態度をとる世界基準に沿ったきっぱりとした対応を早急に表明する必要があったのです。

 現在、どの程度、どの企業の広告にジャニーズタレントが起用されているのかは、わかりませんが、このワールドカップのスポンサーであるアサヒホールディングスの対応を考えれば、来年のパリオリンピックのスポンサーとなっている企業、ブリヂストン、コカ・コーラ、パナソニック、トヨタなどは、同様の対応をとらざるを得ないことは必須です。

 世界的には、タレントに罪はないなどという理屈は通用せず、むしろ、このような事務所のタレントを広告に起用したりすることは、マイナスイメージにしかならないのが世界の常識なのです。


ラグビーワールドカップ アサヒホールディングス ジャニーズ事務所


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2023年9月11日月曜日

モロッコの大地震 救助を制限されているフランスの焦燥




 2,000人以上の死者を出したモロッコの大地震について、フランスでは、我が国のことのように大きく報道しています。

 私はモロッコという国に行ったことがありませんが、フランスに来てから、モロッコという国は以前よりも身近に感じる国になったことは事実です。

 在フランスモロッコ人の数は約150万人と言われており、モロッコ人に遭遇する確率も多く、比較的、近い、異文化を感じられる国として、フランス人の人気のバカンス先でもあります。

 以前の会社の同僚には、モロッコ人もいたし、フランス人でも、バカンスにモロッコに行くという話はわりとよく聞くので、最初は、「へぇ~モロッコって人気あるんだ・・」と、最初はちょっと意外に感じました。

 今回、モロッコでの大地震による大惨事に、フランスの報道機関は取材チームを現地に送り、大々的な報道を続けています。

 専門家の解説によれば、どうやら、今回の地震は、「起こるか起こらないかではなく、起こることはわかっていたが、いつだかわからなかった・・」というものだったらしく、「驚くことではない・・」などと説明していることに驚いてしまいます。

 しかし、専門家が「驚くことではない・・」と説明するのとはうらはらに、その被害の様子の映像は、充分に衝撃的なもので、壊滅的に崩れて、原形がどういう場所だったのかは、よくわからないような状況です。

 もともと、フランスには、こうした地震がないので、一般的には、おそらく日本人以上に大きな地震に対する反応が大きいような気もするし、それだけモロッコを身近な国であると感じているということもあるのだと思います。

 しかし、当のモロッコ政府は、国際支援の管理について、責任を持って、最も効果的なアプローチが必要との理由で、現在のところ、スペイン、英国、カタール、アラブ首長国連邦の4ヵ国からのみの援助を受け入れています。

 これに対し、すでにフランス、イタリア、米国、スイス、ベルギー、トルコなど、多くの国がモロッコに支援を申し出ており、赤十字などの団体やアストラゼネカなどの企業も援助を申し出ています。

 マクロン大統領は、モロッコ当局が有用と判断した場合に介入できるよう、技術チームと安全保障チームを待機させていると発表しています。

 救助を申し入れているフランス人としては、この悲劇的な状況にモロッコが支援を制限していることが、少なからず納得がいかず、なぜ、スペインやイギリスを受け入れて、なぜフランスからの支援を受け入れないのか? 日頃の外交に問題があるのではないか? などと、話は別の方向にも傾いています。

 とりあえず、フランスのすべての携帯電話事業は、「激しい地震に見舞われたモロッコへの通話とテキストメッセージを顧客に提供している(フリー、ブイグ、SFR、オレンジの顧客はモロッコへの通話とSMSが無料になる)」と、デジタル担当大臣代表が発表しています。

 慈愛の精神に満ちたフランス人としては、壊滅的な被害を受けている場所に飛んでいって、助けたいという気持ちが溢れているのに、それを止められていることに少なからず焦燥感を感じるところがあるようですが、政治的な立ち位置は別として、とりあえず、一度にあらゆる国が押し寄せてきてくれても、場所を含めて被害状況がはっきり確認できない状態では、混乱を招きかねないと考えるモロッコ政府の言い分もわからないではありません。

 援助を提供するのも受けるのも簡単なことではないようです。

 在モロッコフランス大使館は、モロッコに旅行予定だったフランス人に向けて、現在のところは、旅行予定を中止、延期してほしいと呼びかけるとともに、状態が沈静化した後のモロッコ復興のために、モロッコをバカンス先候補から排除せずに、モロッコの観光産業を盛り立ててほしいと話していました。

 マクロン大統領、インドのモディ首相、コモロのアスマニ大統領、世界銀行、国際通貨基金、欧州委員会の指導者は、「モロッコが緊急事態に必要なあらゆる支援を提供する」と約束する共同宣言に署名しています。


モロッコ大地震とフランス


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2023年9月10日日曜日

久しぶりの郵便局で・・家にいるのに不在通知を入れられて・・

  


 フランスに来たばかりの頃は、ポストを覗くのは、楽しみなことで、今のようにネットが自由に使えなかったので、私は仲の良い友人にも家族とも、結構、よく手紙のやり取りをしていたので、自宅のポストを覗いて、手紙が入っているのは、一日の終わりの嬉しいことでもありました。

 今では、私もすっかりネットに侵され、よっぽどのことでもない限り、手紙を出すこともなくなってしまったし、よって、友人から手紙をもらうということもなくなってしまったので、今やポストに入っているものは、請求書や厄介な要件のものばかりで、一応、日課のようにポストは覗くとはいえ、何も入っていないと、ホッとするようになっています。

 昨日、出かける前にポストを覗くと、郵便局からの不在通知が入っていて、「え~~?家にいたのに・・」と思いました。家にいるのに、アパートの上まで上がってくるのが面倒で不在通知だけをポストに入れていくというのは、まあフランスではそんなに珍しいことではないとはいえ、ふつうの郵便物ならば、そのままポストに入れて行けばいいものの、手渡ししなければならない書留できている手紙なわけで、また、どこから、そんな書留が来ているのか? どうせロクな手紙ではないわけで、わざわざ、この招かれざる手紙をこちらから出向いて取りに行かなければならない煩わしさと、それがどこからの何なのか?という不安とで、ざわざわしてしまいました。

 まあ、これから出かけるので、帰りについでに寄ってくればいいか?と思いきや、受け取りは、翌日以降と指定されていて、一晩はなんとなく何の手紙なのか?ちょっと気になりつつも翌朝、起きるとさっそく指定された郵便局へ行くと、土曜日ということもあってか、長蛇の列。

 ようやく自分の番になって、不在通知票と身分証明書を出すと、記載されたナンバーを入力してチェック・・すると、ここにはなくて、間違って別の郵便局に保管されているらしい・・とのこと。さんざん並んだのに~~!

 以前だったら、猛烈に怒っているだろうと思いつつ、もうこんなことでいちいち怒りません。仕方なく、もう少し、遠いところにある、言われた別の郵便局へ行くと、ここも、けっこう混んでいます。

 しかし、郵便局に来るのも久ぶりで、ずいぶんきれいになったんだな・・しかし、以前は、なんで、あんなに郵便局に来る用事があったんだろうか?と考えてしまいました。

 多分、郵便局に持っていた口座にお金を入れに来たりしていたのですが、それが今では、ネットで全部済むようになったことや、郵便局経由での荷物が減ったことも郵便局から足が遠のいた理由でもあります。

 果たして、今度こそは、私宛の手紙はちゃんとこの郵便局に届いており、土曜日の閉店時間(土曜日は午前中のみ)ギリギリに受け取ることができました。

 手紙は裁判所からのもので、何ごとか?と、ちょっとギョッとしましたが、何かの公的な手続きが通らなくて、こちら側から異議申し立てをしていたものの返事で、少し時間をおいてから、再度、手続きをしなおして、もうとっくに問題は解決していたものでした。

 それにしても、忘れずに反応があるのは、律儀といえば、律儀ではありますが、もうかれこれ1年半以上前の話。私の方はもうすっかり忘れていました。

 まったく、まともに、返事を待ち続けていたら、気の遠くなるような話でした。

 

不在通知


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2023年9月9日土曜日

しっぺ返しの夏の暑さ 9月に入って毎日35℃超えの猛暑のパリ

  


 今年の夏はちょっと不気味なくらい暑くならなかったパリは、新年度、新学期が始まったとたんに暑さがやってきて、こんなに長い夏休みの期間は暑くなくて、学校が始まったとたんに暑くなるのも皮肉なもんだな・・と思っていました。

 しかし、この暑さ・・思った以上に長く続いており、ここ数日間は35℃を超える暑さで、今年はあまり、暑さに痛めつけられてこなかった分だけ、ここへきて、しっぺ返しを受けている感じがしています。

 今年の8月のパリは、日中、少々汗ばむくらいのことはあっても、朝晩は少々、肌寒いほどで、私などは、のんきに、「そういえば、以前は、こんな感じだったな~、このまま秋になってしまうのかしら?」と、実際にもうセーターや革ジャンなどを着ている人をみかけて、「もう冬服じゃん!いくらなんでも・・」などと思っていました。

 このフランス人の季節の変わり目の衣替えの速さは毎年のことながら、舌を撒くところなのですが、今年の場合は、それからまもなくして、真夏の暑さが今頃になってやってきたのですから、よけいに身体には堪えます。

 とはいえ、ここ数年の夏の暑さ対策は、もう手慣れたもので、朝の早いうちに家の空気の入れ替えをした後は、シャッターのある窓は、ほぼ締め切り、暑い日差しが入ってくる大きな窓には、板でバリケードをし、遮光状態にして、不思議な空間の中で過ごします。

 しかし、こう暑さが続くと朝になっても、さほど気温が下がらなくなってきて、また、数日にわたる暑さからくる疲弊でますますしんどくなってきます。

 日本だと日中、一番、気温が上昇するのは14時~15時くらいだという記憶がありますが、フランスの場合は、夏は日が長いせいもあるのか、一番、気温が高いのは17時頃です。

 我が家には冷房がないので、暑い時間帯は、むしろ、外出して、美術館や博物館などにいたり、プールに泳ぎに行ったりするものの、もうぐったりしてくると、その往復だけでも、バスやメトロは冷房が効いていなかったりすると、もうそれは地獄のようで、家にこもりがちになります。

 寒ければ、着込めば済むものを暑いとなると、脱いだところで暑いし、だんだん頭もボーっとしてくるので、始末に負えないのですが、もう最近は、家には他に人もいないし、洋服は着ない状態で、濡れたパレオを身体にまとって過ごすという、ちょっと他人様にはお見せできない状態でなんとか乗り切っています。

 しかし、同時に強い太陽の光は、排気ガスを拡散させるそうで、オゾンが発生し、暑いだけでなく、実際に有害なガスを引き起こしているようで、バカンス期間が終わって、パリ市内の交通量が増えてからのこの暑さは、大気汚染の公害も引き起こしているようです。

 それでも、けっこうフランス人は暑さには、強いようで、こんな炎天下でも平気でパラソルなしのテラス席で食事をしていたり、昨日から始まったラグビーのワールドカップの応援でけっこう、パリ市内、あちこちで興奮状態のサポーターを見かけ、暑さ以上の熱気を感じます。

 今年のパリの夏は冷夏だったような気がしていましたが、よくよく振り返ってみると、5月から6月にかけては、けっこうな暑さでもあり、今からこの暑さでは、夏真っ盛りの時期はどうなっちゃうんだろう?と思ったし、また、9月の今になって、この猛暑日が続いているということは、結果的には、総合的に夏の暑い時期が長期化しているということで、ただただ異常な気温の上昇というだけではなく、年間を通しての平均気温は確実に上昇しているということです。

 こうして、異常な暑さに見舞われるたびに、地球温暖化対策って、大事だな・・などとは思うのですが、この現状を見ると、環境対策は全然追いついていないということなのかもしれません。


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2023年9月8日金曜日

日本から、また訃報・・

  


 今朝、起きたら、日本の友人の夫からメールが入っていて、「○○についてお知らせ」というタイトルがついていたので、少々、嫌な予感がしつつも、「えっ?なんだろう?」と思ってメールを開けました。

 彼女は奇特?な人で、彼女を古くから知っている人にとったら、「まあ、彼女なら、そうかもね・・」とも思えるのですが、今どき、メールアドレスも作らず、携帯も持たない人なので、彼女に何か急いで連絡をしたいとき、あるいは、手紙を書くのが億劫な場合は、彼女の夫のメールアドレスにメールを送って、「これ、○○ちゃんに渡しておいて!」と頼んでいたので、彼女の夫からメールが来ること自体は、そんなに不思議なことではありませんでした。

 彼女には、私が日本に行った際に電話をして、近況を話したり、一緒に食事にでかけたりしていました。

 そもそも、彼女は私が大学を卒業して、日本で最初に就職した会社で同じ部署にいた先輩で、私の入社した当時は、彼女は結構、特異な存在で、しっかり仕事はこなすものの、同僚の女の子や周囲の人々とワイワイしたりするところが全くなく、いつも一人で本を読んでいて、どちらかというと孤立した存在で、ちょっと変わった人として存在していました。

 今から思うと、あの頃は私もずいぶん無邪気で、みんなが少々、距離を置いていた彼女にもふつうに接していて、話してみると、全然、ふつうで、彼女も私にだけは、わりと心を開いてくれたので、彼女が上司から食事に誘われて困っているのを「一緒に来て~」などと言われて、ある土曜日の午後に一緒に食事に行ったりしたこともありました。

 彼女は、しばらくして、お見合い結婚して、出産を機に会社を辞めてしまいましたが、そんなに頻繁ではないにせよ、その後もどういうわけか、付き合いが続いていました。

 少々、個性的ではあったものの、実は彼女は育ちのよいお嬢さんで、ネットを一切使わないとか、世の中の動きに迎合しないところはありましたが、おっとりしつつも、無理せず、自分の生き方を貫いているようなところは、私が彼女に対して心地よいと思っていたところでもありました。

 前回、私が日本に行った時は、娘が日本で生活を始めるタイミングで忙しくて時間が取れず、多分、電話で話したくらいで会わなかったと思いますが、まあ、今度、来たときには、また、食事でもしようね・・と話した記憶があります。

 そんな具合ですから、他の友人とは違ってメールもLINEもしないので、私がフランスにいる日常では、あまり頻繁に彼女と連絡を取ることもなく、しかし、しばらく連絡をとらなくても、また話したときには、その間の溝を感じることもない不思議で、しかし、私にとっては貴重な存在でもあったのです。

 それが、彼女の夫からのお知らせは、まさかの彼女の訃報で、ちょっと信じられない気持ちでした。いくら元先輩、私より年上とはいえ、まだまだ、とてもとても、そんな年齢ではありません。

 しかし、彼女の夫からのお知らせによれば、彼女は乳がんから肺に転移して、それが他にも転移が広がり、入院して1週間で亡くなってしまったというのです。

 長く海外生活を送っていると、自然と音信不通になってしまった人も多く、関係が長続きしている人はそんなに多くはありません。

 たしか、彼女は、ほんの数年前にお母さまを亡くしたばかり、しかも、喧嘩したまま、亡くなってしまったと話していましたが、彼女らしく淡々と、「相続手続きがけっこう面倒・・」などと話していたばかりでした。

 若い頃、彼女は、おばあさまとお母さまとともに、ずっとお茶のお稽古をやっていて、若い時分に奇特なことだと思っていましたが、どこか所作がきれいで、若い頃から、落ち着きのある人でした。

 この間は、親友のお母さまの訃報、そして、今回は彼女の訃報・・なんだか、もともと多くない知人・友人が立て続けにいなくなってしまい、お参りにさえいけないことは、悲しいことです。


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2023年9月7日木曜日

新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった15歳の少年

  


 先月、新年度を前にフランス政府(文部科学省)は、増大していく、いじめ問題に関して、「学校を去るべきなのは、被害者ではなく加害者である」と、いじめの加害者を転校あるいは、退学にさせることができる新しい法律を発令したばかりでした。

 しかし、新年度が始まって早々に、いじめを苦に15歳の少年が自宅で首を吊って自殺してしまうという悲劇的な事件が起こってしまいました。

 この被害者の少年は、長い間、いじめのターゲットとなっており、昨年12月には、この少年に対するいじめが報告され、今年3月には、学校側が、複数の加害者とその保護者、そして、この被害者の両親を呼び出し、話し合いが行われていました。

 4月には、学校と被害者の両親との間で数度にわたる手紙のやりとりが行われていた模様ですが、この被害者側は、学校側からの対応は満足のいくものではなかったと語っています。

 業を煮やしたこの父親は、警察に訴状を提出したものの、受け付けてもらえなかったと話しています。

 結局、年度末(夏のバカンス前)まで、学校との話し合いは続けられ、学校側は、この被害者の少年のいじめ状況を、CPE(Conseilleur principale d'educaation 教育アドバイザー)が、定期的に監視するという措置をとっていたと言います。

 結局、この被害者の両親は、学校側の対応に不安が拭いきれずに、この少年は、9月からは、別の学校に転校することになっていました。

 文部科学省の出した法令は、結局、この少年に対しては適用されなかったようで、(タイミング的に遅かったこともあるが、)被害者の両親の言い分では、このいじめの事実認定が正確になされていなかったと話しています。

 とはいえ、この少年にとって、新年度からは新しい学校で心機一転というわけにはいかなかったということは、このいじめや嫌がらせが、校内だけでなく、SNS上などにも及んでいた可能性があることが指摘されています。

 しかし、まだまだこれから長い人生が待っているはずの15歳の少年が、自らの命を絶ってしまったという事実、夜、自分の家で首を吊っていたところを発見した両親の気持ちを考えるといたたまれない気持ちです。しかも、さんざん心配な状況をなんとかしなければならないと奔走していただけに、許せない気持ちだと思います。

 この加害者になっている子供たちとて、こんな行為に及ぶということは病んでいる状態であることは明白ですが、やはり、あらためて、いじめの問題は、ことさら早く、厳しい対応が必要であることを痛感します。

 納得する対応をしてくれない学校、訴えを受け付けてくれない警察。さんざんいじめに遭っていた少年の心は弱っており、SNSで無限に拡散されるいじめもあったとしたら、もう耐えられないと思ってしまったかもしれません。

 未成年ということで、厳罰化ができないという側面もあるかもしれませんが、最近の未成年の犯罪(いじめも犯罪)は、目に余るものがあり、未成年とて、厳しい措置をもって、早急に対応することが必要なのかもしれません。

 フランスでの未成年の事件では珍しいことではありませんが、この被害者の両親は、前日に息子が自ら命を絶ってしまったというのに、気丈にもテレビのインタビューに答え、「今、すぐになんとかしなければいけないのは、アバヤの問題などではなく、いじめの問題に対する確固とした対応です」と訴えていました。


フランスのいじめ問題


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