今年の7月の段階で、フランス上院調査委員会は4ヶ月間にわたる調査と専門家、研究者、学者、政治指導者、TikTok側のフランスの代表らとの約30回の公聴会を経て、ソーシャルネットワークの利用と個人データの利用に関する報告書の結論を発表し、TikTokに対して、年齢制限、時間制限、危険なコンテンツについて扱いなどについての要請を行っていることを明らかにしていました。
この要請は、少なくとも21項目に及ぶもので、この段階で回答があったのは、その20%ほどで、残りの80%に対しては、なんら対策がとられていない状態ということで、一定の猶予期間を設けた後、2024年1月までに、これが改善されない場合はフランスは、TikTokに対して停止措置をとると発表していました。
そして、その2024年1月を待たずして、問題は、フランスだけでなく、欧州連合全体が問題を追及し、欧州連合は、未成年者のプライバシーに関する欧州データ保護規則 (GDPR) に違反したとして、TikTokに対して、ヨーロッパで過去最高となる3億 4,500 万ユーロの罰金を課すことを発表しています。TikTokはこの罰金を3ヶ月以内に支払わなければならない・・と。
以前のフランス上院調査委員会の調査の際にも非常に問題視されていたものでもありますが、この中国で誕生したSNSサービスのツールが中国当局との強力な連携の上に成り立つものであり、ユーザーに関する情報がアルゴリズムファイリングを通じて全て中国当局に収集されていることに対する懸念でもあります。
欧州連合全体で1億3,400万人のユーザーを抱えているTikTokに回収されるデータ量は、膨大なものであり、特に未成年のユーザーも多く、今回の違反(罰金対象)とされているのは、親の TikTok アカウントをティーンエイジャーの TikTok アカウントにリンクできる「家族接続」モードに関連したものであると言われています。
TikTok の広報は、「今回の決定、特に課せられる罰金の金額には同意しかねる」と異を唱え、次のステップを検討中であると回答しています。
他の欧州連合の国々、ひとつひとつの対応はわかりませんが、少なくともTikTokは、この欧州全体の違反通告、罰金措置とともに、フランスからの改善要請と警告(年内までに改善されない場合は、フランス国内ではTikTokは停止)を受けているわけで、TikTok側が言っている次のステップは、どういうことなのかはわかりませんが、どちらに対しても、彼らがあっさりと要請を受け入れないことだけはたしかなようです。
と同時にこのような問題があるたびに、日本人の私としては、フランスや欧州全体がこれだけ警戒しているTikTokというツールに対して、日本はなんらかの対策をとっているのだろうか?と少々心配になります。
彼らが収集しているデータは、ヨーロッパからだけというわけではなく、どこの国からも同様に収集しているわけで、日本だけが例外ということはないのです。
TikTokが未成年者のデータの処理を理由に罰金を課せられたのは、これが初めてではなく、 2019年にアメリカで570万ドル、2021年にオランダで75万ユーロ、イギリスで昨年4月に1,270万ポンドの罰金を課せられています。
つまり、この程度の罰金では、まったく懲りずにいるということなのです。
TikTok 罰金
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