2023年9月14日木曜日

フランス発 肺がん治療ワクチン Tedopi について

  


 フランスのバイオテクノロジー企業 Ose Immunotherapeutics が開発した肺がん治療ワクチン Tedopi が化学療法と比較して、死亡リスクを40%以上軽減するという研究結果ががんに関する医学専門誌に掲載され、がん治療に光が差したと話題を呼んでいます。

 このニュースは肺がん治療に関わる人々にとっての大きな朗報であることには違いありませんが、現在のところは、このワクチンは、すべての肺がん患者を対象としたものではなく、最も重篤な患者、再発した患者、転移のある患者、既存のすべての治療に抵抗があるが免疫療法にすでに陽性反応を示した患者のみを対象としています。

 つまり、この研究結果は、かなりの末期患者を対象としたもので、この臨床試験の結果も、「肺がんの末期患者の44%以上がこのワクチン接種後1年後も生存が確認されており、平均すると3ヶ月半の生存期間の延長がみとめられた」というもので、必ずしも完全治癒するというものではありません。

 しかしながら、化学療法などと比較すると、副作用等も3分の1に減少するため、治療に際して患者さんのQOL(生活の質)も向上するとしています。

 このワクチンは、現段階では、いわゆるワクチンでイメージされる予防のためのものではなく、治療薬であり、免疫反応を引き起こす抗原を選択し、免疫系のキラー細胞である T リンパ球は腫瘍細胞を認識し、それらを排除する働きを利用するという、コロナウィルス対応のRNAワクチンを思わせる感じです。

 病気に特有の病気の異常を特定し、ワクチンによってこれらの異常に特異的に対処する免疫系の細胞を生成することが可能になり、患者自身の免疫系が病気に関連する細胞を根絶するというものです。

 このメッセンジャーRNAタイプのワクチンは、コロナウィルス予防のワクチン開発のために、急激に普及し、研究も進みましたが、元来は、がん治療に有効であるという考えのもとに開発されてきたものでした。

 このワクチンは腫瘍学者によれば、これは「がんとともに生きるすべての患者に大きな扉を開くものであり、本当に大きな希望をもたらすものである」と断言しており、肺がんと同時に転移のある膵臓がんや再発した卵巣がんに対する検査も進行中です。

 しかし、このワクチンも、現段階では、治験の段階であり、一般化されるかどうかは、未定であるものの、比較的可能性が高いとも言われています。

 Tedopiは2027年に販売認可を申請予定としていますが、さらなる新たな治験でテストされる必要があるようです。現在の治験の結果を見ると、治験ゆえ、あらゆる治療を試みたにもかかわらず、効果が認められず、他に手立てがない場合に行われているもので、その前段階に使用した場合の効果に関しては、発表されていません。

 しかしながら、これはフランスの5,000人から7,000人の患者に相当するもので、このワクチンを製造するバイオテクノロジー企業は、世界中で年間10万人の患者を対象とするものになることを見込んでいるそうです。

 以前は、ガン宣告=死亡宣告のようなもので、告知されないケースなどもありましたが、この研究が進んでいけば、ガンも治る病気として認知される日がやってくるかもしれません。


フランスバイオテクノロジー 肺がん治療ワクチン Tedopi


<関連記事>

「フランスのガン患者 約30年で2倍に増加」

「ガンの余命宣告は残酷か否か」

「パリ一人暮らしの日本人女性の死」

「イギリスのホスピスにいた、ある青年とお母さんの話」

「絶対に入院したくないフランスの病院」

「海外生活中、もし、ガンにかかったら、あなたは日本に帰りますか?」


0 コメント: