久しぶりに登場した感のあるボルヌ首相が、深刻化するフランスの学校でのいじめ問題の惨状に今年度の絶対的な優先事項として、学校および子どもたちが生活するあらゆる場所におけるいじめ問題やハラスメントを掲げ、容赦ない闘いを主導すると宣言しています。
新年度早々に自殺した子供の事件をきっかけに、この動きが加速化し、パワーアップしたカタチをとりましたが、この問題に関して、組織的に、あらゆる手段を総動員するといくつかの対応策を発表しています。
まず、いじめに遭遇した場合の通報ナンバーを、より迅速な対応を可能にするために、これまで3本あったナンバーを「3018」に統一して一本化し、通報があった場合は、組織的にただちに「検察官」を送致すると発表。
また、「SNSによって、嫌がらせ、いじめをする者を徹底的に排除する」とし、深刻ないじめ加害者の携帯電話を没収、またそれに関与した者らの携帯のSNSへのアクセスを禁止することを検討していると発表しています。
携帯の没収やネットへのアクセス禁止とは、なかなか強引な手段でもありますが、具体的に、誰によって、どのタイミングにどのように実践されるかは、有罪判決を下した裁判官ではないか?などと言う向きもありますが、現段階では未定です。
新年度が始まる前に、すでに、いじめ問題に関しては、いじめの被害者ではなく、いじめの加害者の方が学校を退学、あるいは、停学になるという法令が施行されたばかりですが、SNSによる嫌がらせやいじめに至る場合は、それだけでは、充分ではないということなのでしょう。
このいじめ加害者の携帯電話の没収やネットアクセス禁止の新たな措置を見る限り、SNS上での嫌がらせがどれだけ拡大していることか?と思います。
また、ガブリエルアタル教育相は、2024年度から、学校教育の一環として、学校カリキュラムの中に「共感」の授業を設けることを発表しています。このカリキュラムは実際にオランダで行われて、いじめ問題減少の効果が表れているという授業をモデルにしていると言われています。
これだけでも、警察、検察などの法務省、携帯に関してのデジタル省、そして、教育省と省庁間をまたがって、連携した対応が必要な問題であり、ボルヌ首相が総動員で連携していいめ問題との闘いを主導するという意味がわかるような気がします。
たかだか子供のいじめ問題とは、簡単に済まされない惨状が、これだけの政府間の連携に感じられます。
一度には無理なことは、わかっていますが、これらの措置と同時に、なぜ?いじめるのか?なぜ?嫌がらせをするのか? についてを追求し、原因を考えることも必要なのではないか? 病んでいるいじめの加害者をただ罰するだけではなく、指導していく道も必要なのではないか?と思います。
今、フランスの学校では、1クラスに2~3人、年間80万人から100万人のいじめの犠牲者が生まれていると言われており、問題は本当に深刻です。
学校いじめ問題 携帯電話没収 ネット遮断
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