2,000人以上の死者を出したモロッコの大地震について、フランスでは、我が国のことのように大きく報道しています。
私はモロッコという国に行ったことがありませんが、フランスに来てから、モロッコという国は以前よりも身近に感じる国になったことは事実です。
在フランスモロッコ人の数は約150万人と言われており、モロッコ人に遭遇する確率も多く、比較的、近い、異文化を感じられる国として、フランス人の人気のバカンス先でもあります。
以前の会社の同僚には、モロッコ人もいたし、フランス人でも、バカンスにモロッコに行くという話はわりとよく聞くので、最初は、「へぇ~モロッコって人気あるんだ・・」と、最初はちょっと意外に感じました。
今回、モロッコでの大地震による大惨事に、フランスの報道機関は取材チームを現地に送り、大々的な報道を続けています。
専門家の解説によれば、どうやら、今回の地震は、「起こるか起こらないかではなく、起こることはわかっていたが、いつだかわからなかった・・」というものだったらしく、「驚くことではない・・」などと説明していることに驚いてしまいます。
しかし、専門家が「驚くことではない・・」と説明するのとはうらはらに、その被害の様子の映像は、充分に衝撃的なもので、壊滅的に崩れて、原形がどういう場所だったのかは、よくわからないような状況です。
もともと、フランスには、こうした地震がないので、一般的には、おそらく日本人以上に大きな地震に対する反応が大きいような気もするし、それだけモロッコを身近な国であると感じているということもあるのだと思います。
しかし、当のモロッコ政府は、国際支援の管理について、責任を持って、最も効果的なアプローチが必要との理由で、現在のところ、スペイン、英国、カタール、アラブ首長国連邦の4ヵ国からのみの援助を受け入れています。
これに対し、すでにフランス、イタリア、米国、スイス、ベルギー、トルコなど、多くの国がモロッコに支援を申し出ており、赤十字などの団体やアストラゼネカなどの企業も援助を申し出ています。
マクロン大統領は、モロッコ当局が有用と判断した場合に介入できるよう、技術チームと安全保障チームを待機させていると発表しています。
救助を申し入れているフランス人としては、この悲劇的な状況にモロッコが支援を制限していることが、少なからず納得がいかず、なぜ、スペインやイギリスを受け入れて、なぜフランスからの支援を受け入れないのか? 日頃の外交に問題があるのではないか? などと、話は別の方向にも傾いています。
とりあえず、フランスのすべての携帯電話事業は、「激しい地震に見舞われたモロッコへの通話とテキストメッセージを顧客に提供している(フリー、ブイグ、SFR、オレンジの顧客はモロッコへの通話とSMSが無料になる)」と、デジタル担当大臣代表が発表しています。
慈愛の精神に満ちたフランス人としては、壊滅的な被害を受けている場所に飛んでいって、助けたいという気持ちが溢れているのに、それを止められていることに少なからず焦燥感を感じるところがあるようですが、政治的な立ち位置は別として、とりあえず、一度にあらゆる国が押し寄せてきてくれても、場所を含めて被害状況がはっきり確認できない状態では、混乱を招きかねないと考えるモロッコ政府の言い分もわからないではありません。
援助を提供するのも受けるのも簡単なことではないようです。
在モロッコフランス大使館は、モロッコに旅行予定だったフランス人に向けて、現在のところは、旅行予定を中止、延期してほしいと呼びかけるとともに、状態が沈静化した後のモロッコ復興のために、モロッコをバカンス先候補から排除せずに、モロッコの観光産業を盛り立ててほしいと話していました。
マクロン大統領、インドのモディ首相、コモロのアスマニ大統領、世界銀行、国際通貨基金、欧州委員会の指導者は、「モロッコが緊急事態に必要なあらゆる支援を提供する」と約束する共同宣言に署名しています。
モロッコ大地震とフランス
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