2021年3月11日木曜日

東日本大震災から10年・マクロン大統領の日本へのメッセージ

 


 

 東日本大震災から10年、「FUKUSHIMA」は、世界中に知られる有名な場所になり、フランスでも、おそらく「FUKUSHIMA」を知らない人はいないでしょう。

 あの日、朝、起きて、習慣のようになっていたテレビの朝のニュース番組をつけると、まだ、ぼんやりとした頭に「ジャポン・TSUNAMI・・」という声が聞こえてきて、「えっ?」と思って、画面に目を向けると、流されていく車や家の映像に、思わず二度見して、果たしてこれは、現実の映像であるのだろうか?と、座り直して、テレビに釘付けになったのを覚えています。

 「TSUNAMI」という言葉は、あれ以来、フランスにもしっかりと定着し、今回コロナウィルスの感染状況を表すにあたっても、「TSUNAMI」がやってきた・・などの言い方をしているのを時々耳にします。

 フランスでは、現地のニュースで日本のニュースが流れることはあまりありませんが、あの時ばかりは、連日連夜、FUKUSHIMA・・FUKUSHIMA・・と、何日も特番が組まれ、荒れ果てた被災地の様子や被災者が避難所でもきちんと並んで配給を受けている様子なども逐一、報道されていました。

 その頃、通っていたスポーツジムなどでも、居合わせたフランス人に、「あなた、日本人でしょ、あなたのご家族は大丈夫だった? 大変だったわね・・日本人は、あんなに大変なことがあっても、慌てず、礼儀正しく、我慢強くて、きちんと並んで・・スゴいわね・・フランスであんなことがあったら、みんな殺し合いになるわよ・・」などと話しかけられることが何回もありました。

 あの時は、「なるほど、フランスであんなことがあったら、みんなパニックになって、さぞかし大変なことになるだろうな・・本人たちもちゃんとわかっているのだな・・」などと、心の中でこっそりと思ったりしていたものです。

 そして、形は違いえども、昨年から、コロナウィルスによるパンデミックというなかなかな困難な局面に世界中、ほぼ同時に直面している今、震災などの危機をくぐり抜けてきた日本とフランスはやっぱり違うんだな・・とあらためて感じています。

 それをどこまで実感しているかは別として、抜かりのないマクロン大統領は、3月11日、ツイッター上で震災から10年に際しての日本へのメッセージを発表しています。(以下全文)

 「Mon message au peuple japonais. Au nom de l'amitié qui nous unit.

   日本人へのメッセージ 私たちを結びつける友情の名において」. 

 「ちょうど10年前の2011年3月11日、日本はかつてない規模の大地震と津波に襲われました。今日、私は当然、何よりもまず、この恐ろしい震災の犠牲者と家族、全てを残してただちに避難しなければならなかった数十万人の被災者に思いを寄せます。

 フランスと世界中の多くの人びとと同様、私もこの日、これらの恐ろしい映像を通して、家族、町や村、すべての人々に想像を絶する苦しみを与えた荒れ狂う自然の驚異を思い知らされました。

 この悲劇に加え、原発事故と人々への影響に対する懸念が追い討ちをかけました。

 しかし、私はすべてのフランス人と同様に試練に見舞われた人々の勇気と尊厳、私たちも含め世界中に大きく広がった連帯と支援の輪、私たちを結ぶ友情の表れも目にすることができました。

 フランスの各都市、地方自治体、市民団体、企業、個人、日本在住のフランス人も含めフランス全体が被災者を支援しようと立ち上がりました。

 世界がパンデミックに直面している今、この場をお借りして日本国民の皆さんの抵抗する力、復元する力に敬意を表します。10年間、被災した地域を復興させ、活気を取り戻すために惜しみない努力が注がれてきました。

 今日、この希望のメッセージはフランス人と日本人、私たち皆にウィルスの試練を乗り越える力を与えてくれます。

 この希望のメッセージは、皆さんの国と皆さん一人一人が、この10年間、私たちに与えてくれたものです。

 「さあ、一緒に未来に目を向けましょう!」

 「MINASAN TO ISSYO NI MIRAI WO !」

https://twitter.com/EmmanuelMacron/status/1369887308854550531


 フランスは、たしかに困っている国を支援しようとする姿勢が強く、実際に行動も早いので、東日本大震災の時はもちろん、最近でも、私が覚えているだけでも、このコロナ禍の中、レバノンの湾岸地帯で大爆発が起こった後に暴動の様な状態になった時も、モーリシャス沖合で日本の貨物船が座礁して、大量の重油が流出した時も、すぐに声明を発表して、翌日には、救援隊を派遣しています。

 ちょっと、外面が良すぎる感は、ありますが、そのスピードと連帯の姿勢はスゴいなと思わされることも多いのです。

 しかし、このマクロン大統領の全編フランス語のメッセージ。

 日本人として、マクロン大統領が日本に向けてメッセージを発信してくれたことは、正直、嬉しかったのですが、なんだか、スッキリと響いてはきませんでした。

 日本へのメッセージというよりは、フランス国民、そして、世界に向けてのポーズであるようで、どこか空々しく、素直に私に伝わってこないのは、私が捻くれているせいでしょうか?

 日本語で語った最後の一言、「MINASAN TO ISSYO NI MIRAI WO」が虚しく響く気がしたのです。


<関連>

「モーリシャス沖合での日本貨物船座礁事故にだんまりを決める日本政府」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_15.html

「100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/100.html

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