フランス保健総局は、15日、コロナウイルスの新しい変異種がブルターニュのクラスターに出現し、少なくともこの変異種に8人が感染していることを発表しました。
これは、2月22日に確認されたブルターニュのコートダモールの病院内のクラスターから特定された79例の感染のうち、3週間後に8例の新しい変異種が発見されたものです。この新しい変異種は典型的な新型コロナウィルスの症状を示していますが、厄介なことは、鼻咽頭サンプルによるPCR検査では陰性を示していた点です。つまり、PCR検査では、検出ができなかったわけです。
現在の段階で発見されている、この新しい変異種の感染者は、すでに死亡しているため、この変異種の変化については、確認が容易ではありません。
この新しい変異種の危険性(感染性や重症化のリスク)については、現在、調査が進められています。
PCR検査で発見できなかったのは、ウィルスが上気道で検出されなかったということで、これは、ウィルスが急速に肺に移動したと考えられ、エアロゾルを介した感染経路が減少するため、伝染性が低いと考えることもできますが、一方、急激な病状悪化の可能性が高いとも言えます。
ましてや、PCR検査で検出できないとなれば、感染の回避は困難になるため、結果として、感染性が高いことになります。
ウィルスの突然変異は、ウィルス自体が生き残るために、時間の経過とともに変異を続ける自然なプロセスとは言うものの、これまでのPCR検査を逃れるように変異するとは、なかなかな変異ぶりです。
この新しいブルターニュ変異体が、より感染しやすいものなのか? 免疫を逃れるものであるかどうか? より重症化するものなのか? ブルターニュで2月末に起こったクラスターの追跡が続いています。
これまでもイギリス、南アフリカ、ブラジルなどの変異種が出現し、パンデミックを長引かせています。日本変異種も一時、話題に上がりましたが、すっかり、なりを潜めているので、新しい変異種と言えども、必ずしも脅威的な存在になるとは限りません。
しかし、今やイギリス変異種の感染者が全体の感染者の70%以上にとってかわり、1日の新規感染者数が3万人にものぼる勢いで、医療状態も逼迫し、今にもロックダウンかもしれない現在のフランスの状況を考えると、新しい変異種の出現は、フランス国内ということもあり、見逃すことはできない、新しい変異種の出現です。
悲観的に考えれば、現在は、亡くなっている人からしか確認されていないということは、致死率100%なわけで、それ以外は、PCR検査で検出できないのですから、発見のしようがありません。
次から次へとトラブル続きのフランス。
集中治療室の満床を防ぐための患者の移送も思うように進まず、頼みの綱のワクチン接種も中断したと思ったら、今度は、新しい変異種出現で、春がまた遠くなった気がしているのです。
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