2020年7月31日金曜日

ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人




 心理学的には、あまりにも強い強制は、強い反発心を生みます。その反発心を露わにするのが、フランス人で、日頃からも、普通なら、なんのことはないことでも問題に発展させるところがあります。

 今回のコロナウィルスによる2ヶ月間のロックダウンは、まさに、フランス人にとっては、あまりにも強い強制でした。しかし、日本のようにロックダウンはせずに緊急事態宣言、外出は、控えて・・などということでは、国民は、全く従うことはなく、感染が減ることは、なかったのです。反発心を煽らないように感染症を封じ込めることは不可能だったのです。

 その強制に対する反発が、外に向けられない場合に家庭内で起こった場合は、悲惨な結果になります。外にも逃げられず、家の中では暴力では、ほんとうに地獄です。フランスでは、ロックダウン中のDV被害の相談電話に45000件もの訴えがあったそうです。これは、フランスのコロナウィルスによる死者数よりも遥かに多い数字です。現実には、電話などできない状態の人もいたでしょうから、実際の数字は、もっと多いのだと思います。

 日頃から、DVは、少なくない国ではありますが、ロックダウン中には、前月までの3倍以上に跳ね上がっています。そのうち、警察等が駆けつけて解決したのは、15610件の約3分の1のみで、他者が介入しにくい問題でもあります。

 フランスには、日本のような大地震もなく、大洪水などの自然災害もあまりなく、現在のようなコロナウィルスによるあまりに大きな緊急事態に慣れていないということもあります。パニックに弱いというか、辛抱ができないというか・・。

 フランスでは、災害は起こっても、大抵、テロとかデモとか、人が起こす人災です。

 以前、日本で東日本大震災が起きた時に、フランス人から、「日本人はスゴいわね、避難所でもみんなが譲り合って、大人しく列に並んで・・フランスだったら、殺し合いが起こるわよ・・」と言われたことがありました。本人たちもわかっているのです。あのような状況が起こったら、フランスだったら大変なことになるということが・・。

 その大変なことが今、起こっているのです。震災のように、目に見える災害ではなく、じわじわと長期間にわたる災害が・・。だから、表面的には、見えづらくても、目立たないところで、強制からのストレスに耐えきれずに発散している場面があちこちにあるのです。

 それがデモだったり、強制に反発して反対のことをする行動(マスクをせずに大勢で集まって騒いだり、踊ったり・・)だったり、バカンスだったり、DVだったりするのです。マスクをするように注意したバスの運転手が殺された事件も起こりました。

 フランス人は、日本人のことを、日本人は黙って我慢すると思っており、それを馬鹿にするようなところがありますが、現在のような災害時においては、日本人の我慢強さ、辛抱強さは、尊いと思うのです。

 そんな中、今週末は、40℃に迫る猛暑、しかも、その暑さの中、マスクの義務化。そして、南仏ビアリッツ近くのアングレにあるピニャーダの森で大火災が発生し、50ヘクタールの松林が焼失し、周囲100ヘクタールに広がり、火は住居にまで迫る勢いで、周辺住民が避難所での生活を強いられる事態に陥る災害が発生しました。

 コロナウィルスの感染に怯える中、この猛暑、そして火災による避難所生活、これによる感染拡大も心配されますが、同時にフランス人が、このストレスにどこまで耐えられるのかを心配しています。


<関連>
「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」



 









2020年7月30日木曜日

フランス人があまり食べないもの





 日本には、ごくごく普通にあって、皆、わりと食べるであろうもので、そういえば、意外にも、フランス人があまり食べないな・・というものは、結構、あります。

 例えば、「コンビーフ」。今や日本人とて、そんなに食べているかと言えば、そうでもないかもしれませんが、まあ、普通にコンビーフを知らない人は、いないだろうし、まあ、たまには、食べるという程度かもしれません。

 先日、ツイッターで、「このコンビーフ、美味しいです」というツイートが回っていて、家の近くには、そのお店がないので、まあ、今度、出かけて通りかかったら買ってみよう・・と思っていて、この間、たまたま見つけて、「あ〜これこれこれ!」と思って買ってきたコンビーフを娘と二人で食べていました。二人でコンビーフを食べながら、そう言えば、コンビーフってフランス人、食べないね・・知らない人もいるんじゃない?・・なんて話になりました。

 普通のスーパーマーケットでも、コンビーフは、売っていることは売っているのですが、非常に存在感が薄く、ごくごく目立たない場所に追いやられていることが多いのです。我が家も何年かに一度、思い出したように買う程度で、しかも、これまで買ってみたコンビーフは大して美味しくもありませんでした。

 今日、食べてみたコンビーフは、これまでフランスで食べたコンビーフの中では一番、美味しくて、いつも、すぐに成分を確かめる習慣のある娘が、「これは、牛のほお肉と心臓でできてるんだ・・」と不思議そうにしていました。

 フランスには、パテやテリーヌ、フォアグラなどがあるので、おそらくコンビーフには、目がいかないのかもしれないし、うちの夫のようにアメリカのものと言えば、目の敵にして、「身体に悪い!」と毛嫌いするような、ある一定以上の年齢の人がフランスには、少なからずいることも確かです。(パテやテリーヌ、フォアグラも、身体にいいとは、思えないけど・・)

 そして、スーパーマーケットのコンビーフの並んでいる棚の近くには、SPAM(スパム)が置いてあります。(日本では、スパムのおにぎりとか、今やコンビニなどでもあるほど人気のようですが・・)このスパムもフランスでは、コンビーフと同じような存在です。おそらく、コンビーフもスパムも、その存在さえ知らない人が少なくないと思われます。

 また、夏といえば、「とうもろこし」。私は、とうもろこしが大好きなのですが、フランス人は、缶詰のコーンをサラダに散らす程度にしか食べません。夫に言わせれば、「とうもろこしは、もともとブタのえさ」だと言います。

 だからかどうかは、わかりませんが、コーンスープというものもありません。フランス人は、スープが好きで、色々な種類のスープがあり、スーパーマーケットなどでも、スープ売り場は、相当なスペースを取っているのにも関わらず、コーンスープはありません。とても残念なことです。コーンスープに関して言えば、おそらく知らないだけで、食べてみれば、絶対にフランス人も大好きな味だと思います。うちの夫も日本のコーンスープが大好きです。

 あとは、アイスキャンディー。フランスにもアイスキャンディーがないことはありませんが、種類も乏しく、なかなか、これは!と思うものに出会いません。先日、モヒート味のアイスキャンディーを見つけました!)だいたい、フランス人は、アイスキャンディーよりも、圧倒的にアイスクリームが好きで、アイスクリームでなくとも、せいぜい、ソルベ(シャーベット)です。

 フランス人の好みで言えば、スイカよりもメロン、ゼリーよりもムースやクレーム類(クレームブリュレのようなものやヨーグルトやフロマージュブランなど)が圧倒的に好きなようです。ですから、日本のようにぷるぷるのゼリーなどもないし、ゼラチンでさえも、板状の使いにくいゼラチンが売られています。

 フランス人は、フランスのものが好きで、食べ物に関しては、かなり保守的です。(食べ物だけではないかも・・?)

 こうして見ると、コンビーフとパテは、どっこいどっこいとしても、つくづく、フランス人は、さっぱり味よりも濃厚な糖度の高いものがお好みのようで、この食生活で以外にも長生きなフランス人。彼らの健康維持は、食生活よりも、やはり長期間のストレスフリーなバカンスなのかもしれません。

<関連>「フランス人はとうもろこしをブタのえさだと思っている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_89.html

 

 

2020年7月29日水曜日

ヨーロッパ各国のコロナウィルス感染拡大への対応強化




 今回のコロナウィルスのパンデミックでは、被害も大きかったヨーロッパに、明らかに第2波が訪れつつあります。7月に入ってからの感染者の増加は、国によって、差はあるものの、どの国もかなりの割合で増加が認められるため、各国がその具体的な対応を始めました。

 現在、ヨーロッパの中でも一番、感染が増加しているのは、スペインで、イギリスもスペインを旅行をするのに安全な国のリストからスペインを外しましたし、フランスのジャン・カステック首相もスペインのカタルーニャ地方にはいかないようにと発言したりで、周囲のヨーロッパの国もスペインを警戒しています。

 スペインは、ここ一週間で90%近く感染者が増加しており、特にカタルーニャ地方、アラゴン州、ナバラ州のこの3つの地域は、特に深刻な状況になっています。この状況を受けて、スペインは、外でもマスク着用義務化、10人以上の集まりの禁止、ディスコやナイトクラブは1時半に閉店(カタルーニャ地方などでは、閉鎖)などの規制措置をとりました。

 ドイツは、感染者の増加率は、30%程度ですが、政府は非常に深刻な状況だと認識しており、人との間隔は、1.5m以上取ること、それが不可能な場合は、マスクをすること、スペイン(特に危険な3ヶ所の地域)には、行かないこと、旅行者には必ず検査をすること等の措置を発表しています。

 中でもベルギーは、非常に厳しく受け止めており、できる限りテレワークをすること、外でもマスクをすること、買い物は、できる限り一人で行くこと、バーやレストランは、23時30分から6時までは、営業禁止、クラスターが起こった場合に備えて、顧客の氏名と連絡先を保管することなどの措置を今後4週間続けるとし、これで状況が改善しない場合は、再ロックダウンを検討するとしています。

 フランスは、先週一週間の感染者数が6000人近くまで増加しており、一週間単位での増加率は50%ほどに上昇しています。ところが、フランスは、屋内でのマスク着用が義務化されたのみで、他の対策は何も発表されていません。

 テレビなどでも、ドイツでは・・スペインでは・・ベルギーでは・・と隣国の第2波の深刻な状況とその対策を紹介していますが、当の本人(国)も十分に危険な状況ながら、まるで、対岸の火事のような様子で、まるで自国は問題がないかの如く余裕でいるのがどうにももどかしくてなりません。この危機感の違いは、どこから来るのでしょうか?

 実際に今、ドイツやイギリスなどのヨーロッパの隣国が一番危険としているスペインのカタルーニャ地方、アラゴン州、ナバラ州は、スペインでもフランスと隣接している地域なのです。

 感染対策は、早め早めの対応が何よりで、今、まさにバカンスで皆、浮き足立っているフランスと、ドイツやベルギーなどの国々の対応を見ていると、アリとキリギリスのようだと思ってしまいます。

 緊張感は、長くは続きづらいものではありますが、フランスにももう少し、警戒体制をとってもらいたいと、「ちゃんとしようよ!」と、私は、学級委員のようなことばかり、思ってしまうのです。

<関連>
「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年7月28日火曜日

2021年冬からのテラス席の暖房を禁止するフランス


 フランス人は、とてもカフェが好きで、さらにテラス席が大好きです。このテラス席が今回のコロナ渦の中、感染回避のためにスペースも、拡張され、大活躍しています。

 夏の間は、天気の良い中、日差しを浴びて、通り行く人を眺めながら、食事したり、ちょっとお茶を飲んだり、ビールやワインを飲んだりと、とても気持ちが良いもので、パリのカフェやビストロならではの、狭いテーブルが並んだカフェの光景は、フランスらしい街にとけ込んだ景色です。

 私自身は、このコロナ渦の前までは、テラス席というものは、あまり好きではなく、ざわざわした人通りも埃も多いところで、夏は、暑く、冬は寒く、しかも通り沿いで、排気ガスを吸いながらの飲食を楽しんでいるフランス人を理解し難く感じていました。

 今は、コロナウィルスの影響で、感染が心配される中、やはり、屋内は出来るだけ避けたくて、テラス席を利用するようになりましたが、やってみると、これが意外と楽しいもので、おそまきながら、つい先ごろ、テラス席デビューをしたばかりです。

 しかし、今は、天気も良く暖かいので、良いのですが、冬の間でさえ、彼らは、席の近くに置かれた暖房器具に当たりながら、寒い冬の景色を楽しみながら、やはり、テラス席を好むのです。

 ところが、先日、環境問題改善のため、2021年の冬から、このテラス席の暖房が禁止されることが発表されました。これには、テラス席での売上が莫大なものになっているカフェやレストランを経営する人にとっては、大きな痛手となります。

 実際にこの暖房の規制措置が施行される一年以上前から発表されたのは、このテラス席の暖房撤廃に対する代替案を模索するために猶予がおかれたものです。

 しかし、このコロナウィルスによる経済危機の中、これまで使用していたテラス席の暖房器具は、全て使えなくなり、さらに、このことによる売上減少を打開するためには、資金もかかります。すでに、コロナウィルスの感染回避のために多額の資金を投資しているカフェやレストランにとっては、さらに大きな痛手となることは、確実です。

 テラス席の暖房は、冬のパリのカフェの景色にとけ込んだ趣深い、パリの情緒を感じさせる外観でもあり、とても残念ですが、環境保護も切実な問題です。これから真夏を迎える季節に年々酷くなる暑さも異常で、このままではいけないとも思います。

 この規制は、冬のテラス席の暖房だけでなく、店舗等の夏の冷房に関しても、30度以上の気温の際には、ドアを閉めるなどの規制も含まれています。

 この規制に関しては、まさかデモやストライキということには、ならないとは思いますが、このコロナウィルスで、生活が制限される中、さらなる規制がフランス人をイラつかせることを私は、少々、心配しています。

 コロナウィルスのワクチンも治療薬もまだまだ開発には、時間がかかるようで、コロナと共存していくために色々と生活の仕方や習慣も変えなければいけないし、壊れかかってしまった地球を取り戻すために、やはり、これまで慣れ親しんだ生活の様々な場面を変えていかなければならない・・色々な意味で、今は、新しい生活に変えていかなければならない時なのかもしれません。


<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」

2020年7月27日月曜日

ファッションの国、フランスで服飾品が売れなくなった



 現在、絶賛進行中のフランスのSOLDES(ソルド・バーゲン)ですが、どうにも売れない現状に、財政難に喘ぐブランドが増え続けています。コロナウィルスのロックダウン以前から、すでにこの業界は、ここ数年、衰退しており、Camaïeu、Celio、さらにはNaf-Naf:困難なブランドのリストは日々増え続けています。

 2ヶ月にも渡るロックダウン生活で、今もリモートワークなどが続く中、たとえ外出の際でも、以前よりも、よりラフなスタイルに移行している傾向にあるようです。リモートワークなら、極端な話、上半身だけちゃんとしていれば、良いわけですから・・。

 以前は、出かける時には、もっと指輪やネックレスなどのアクセサリーもたくさんつけていたけど、長く、家にいる生活をしていて、外出する時もあまりおしゃれをしなくなってしまった・・そんな人が多いのです。

 これには、私も大きく頷くところです。通常でも、私は、家に帰って来た時点で、腕時計、指輪、ネックレス等の装飾品は、全て外し、解放されて、シャワーを浴びてスッキリして、部屋着に着替えてしまうのですが、その室内モードの生活をずっと送ってきてしまったので、さて、出かける時には、・・まず、マスクとアルコールジェルと・・などと考えていると、他のものは、ついつい億劫になってしまって、外出の際の一連の流れがすっかり変わってしまいました。

 ましてや、マスク姿でおしゃれをしても・・と、どうにも、おしゃれをする感が削がれます。お化粧でさえも、マスクをするために、口紅は、つけないし、顔の上半分というお粗末さで、先日、久々にフル装備?をして外出したのが新鮮に感じられたほどです。

 あらためて、おしゃれなフランス人にとって、マスクはまことに彼らの美的感覚にそぐわないものであることを実感します。中には、マスクでさえもファッションの一部としている人もいますが、それは、ほんの一部の人に限られています。

 おまけにロックダウン中に皆、家の整理をした人も少なくなく、家のクローゼットには、すでに売るほどのたくさんの洋服があることに気付いてしまったのです。

 そして、一般の店舗は、さらに悲惨な状態が加速し、顧客は、ロックダウン中にすっかり浸透したオンラインショッピングに大幅に傾いています。昨年の時点でフランスのネットショッピング売上高は、1000億ユーロを超えています。これは、10年前の4倍の数字です。

 もともと日曜日が閉店のフランスのお店でショッピングをするには、チャンスは、土曜日のみ、お店に行くには、マスクをしなければならないし、週末は、お店で買い物をするよりも田舎や自然の多い場所に行きたいフランス人なのです。

 もともとネットショッピングに抵抗のあった世代は、買い物を控え、若い世代は、素材に触れたり、試着したりする必要性を感じることなく、気軽にネットで買い物をして、気に入らなければ、返品します。

 元来、古いものを大切にし、中古品も喜んで使う国民性のフランス人、古着でさえも、メルカリのようなネットのサイトに溢れかえっています。

 そういう私も今年のソルドで買ったものは、ロックダウン中にやたらと傷んだスリッパだけです。

<関連>「フランス人のおしゃれの仕方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_71.html

 












2020年7月26日日曜日

テーマパークで12000人動員のスペクタクル フランス人は規則があっても罰則なければ守らない


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 ロワール地方にあるテーマパーク、ル・ピュイ・ド・フー(Le Puy du Fou)(ヨーロッパ中世の大規模テーマパーク)で、12000人を動員してのスペクタクルが行われました。このテーマパークは、宿泊施設も備え、古城にバイキングの村、魔法の槍の物語、幻想の中世の世界が広がり、次から次へと活気に満ちたスペクタクルが上演されるフランスでも有名なテーマパークです。

 フランスでは、現在のところ、8月31日までは、5000人以上の集会は禁止されているため、このテーマパークは、それを大幅に超えた12000人を動員したということで、非難の声が上がっています。

 これには、今のところ、厳重に警戒体制を取って、最大5000人という規則を遜守しているフットボールファンは、怒り心頭です。

 テーマパーク側は、観客には、体温チェックをし、マスク着用を義務化し、アルコールジェルを提供し、衛生管理には、注意を促したと弁明していますが、入場時の人数は、チェックできるはずのところ、人数に関しての規則を尊重することはありませんでした。

 当日の動員の様子を見ると、ほぼ満席で、観客を隔てるものは何もなく、ソーシャルディスタンスは、まるで取れていません。これまでにもデモなどで、数千、数万人単位の人混みの様子を見るたびにギョッとしてきたものの、もはや、なかば諦めのような、「またか・・」という気持ちになります。

 また、訪れている人も、まるで屈託がなく、「天気もいいし、バカンスだし・・」と、およそ危機感がないのにも呆然とさせられます。

 5000人以上の集会は、禁止となっているのに、全くルールを守らないフランス。罰則、罰金がなければ、規則は、あっても無いようなものです。このテーマパークのあるペイ・ド・ラ・ロワール県の自治体は、このテーマパークに対して、何の許可も下してはいないので、責任は、テーマパーク側にあるとしていますが、責任を取るといっても、集会禁止の規定に関しては、罰則も罰金も制定されていないため、責任の取りようがありません。

 クラスターになった場合に感染者の追跡を考えて、観客の連絡先を記録するといったことも一切されていません。

 ここ数日、新規感染者が1000人を超え、明らかに第2波の波に乗りかけているフランスですが、それに追い討ちをかけるように、毎日、このような絶望的なニュースが入ってきます。

 このような場所に足を運んだ人々がバカンスが終わって、それぞれの場所に散っていき、気温の下がる秋を迎えるのです。7月初旬までは、感染者が下がり続けたため、どうやら気温が影響していたとも言われていたコロナウィルスの感染拡大ですが、(実際、気温も関係はある)結局のところ、ここに来て、感染者がうなぎ上りに増加していることを見ると、どうやら、感染者数が一時、減少したのは、ロックダウンの効果であったと考えざるを得ません。

 せっかく、減少したウィルスの感染減少をこのバカンス期間で、台無しにしてしまいそうです。これまでの世界的なパンデミックでは、第2波の死亡率が最も高かったというデータもあります。

 フランスでは、ここのところ、新規感染者数の発表も土日は、休みで発表なしです。バカンス中は、土日くらいは、きっちり休むということでしょうか? コロナウィルスの感染に土日の休みはありません。

<関連>
「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスにGo To キャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

 








2020年7月25日土曜日

コロナウィルスによる経済危機対応 フランスの若者への支援策




 コロナウィルスの感染が再拡大しつつあるフランスで、感染防止対策とともに、ここ数日、少しずつ経済支援策が発表されています。

 7月の初めに新内閣に変わってから、新首相ジャン・カステックス氏が、精力的に動いています。先日から、奨学金で通学している人に対しては、キャンティーン(学食)が1ユーロになるとか、18歳未満の未成年向けの Pass Imagine R(交通機関利用の際のパス・定期券)が9月から無料になるとか、若者に対する援助策が発表されています。

 中でも、「PLAN JEUNE」(ユースプラン)と銘打った政策は、若者の採用に対する援助を行うというかなり大掛かりなもので、2年間の長期計画で施行されます。

 ジャン・カステック首相は、「経済危機が激化した時に、最初に懸念するべきは、年少で最も脆弱な者であり、可能な限りの最善の準備をするべきだ」と述べており、25歳未満の若者を採用する際に(最低でも3ヶ月以上の契約)、政府が企業支援を行います。

 この若者採用支援金は、8月から来年の1月までの採用に対して、最大で1年間、四半期ごとに1000ユーロ、つまり、最大4000ユーロの支援金が支給されます。現在、そうでなくとも、多くの企業で、現在の従業員でさえも大幅な解雇措置が取られている中、新卒、あるいは、若者の採用を躊躇っている企業を後押しする政策です。

 この計画に当てられるのは、2年間で65億ユーロ。1月までに45万人の採用を促進し、2年間で70万人から80万人の若者が労働市場に参入することを目標としています。

 また、若者のためのワークスタディプログラム支援や高等教育で失敗した若者のために新しい資格取得のためのトレーニングコースが提供されます。

 これらの計画が、実際にどのように機能していくのかは、注目されるところですが、問題も多いフランスで、私が感心しているところは、国が子供の教育費を大きく負担してくれていることです。フランスは、私立でさえも、日本に比べると学費がかなり安く、本人が真剣に勉強をしようと思えば、かなりの高等教育でさえも、少額で受けることができます。

 フランスは、少子化対策に成功していることからもわかるように、子供の扶養に際して税金の軽減措置があり、特に3人以上は、その割合が上がるそうで、娘の友人にも3人兄弟の人が多いです。

 年長者を蔑ろにして良いというわけではありませんが、こうした政策がまず、子供、若者への対策から始まるというところは、私がフランスに対して持っている好印象の一つでもあります。

 実際に、今年の新卒の就職は、何も対策が行われなければ、真っ暗闇な状況。これが、どれくらい良い結果を生むかはわかりませんが、少なくとも政府がこうして、大金を投入して対応してくれるだけでも、希望が持てるではありませんか?

<関連>「フランスの雇用問題」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_6.html










2020年7月24日金曜日

フランスでの一日の新規感染者数1000人突破と暴力事件増加


File d'attente devant un laboratoire à Paris pour un test coronavirus, le 18 juillet 2020


 ここ1〜2週間ほどで、フランスのコロナウィルス新規感染者数は、ぐんぐん増加して、一週間前までは、500人前後を行ったり来たりしていると思っていたら、今週に入って、800、900、1000と、とうとう1000人の王台に乗り、1062人になってしまいました。

 今は、バカンスに出ている人が多くて、思うように検査が捌き切れないと言いながら、この数字、近隣のヨーロッパの国々は、どうかな? と覗いてみると、イタリア306、ドイツ661、イギリス769、スペイン2615といずれも上昇中で、フランスは、スペインに続いています。

 スペインは、もうすでに、数カ所の地域でロックダウンの措置を取っているので、かなり危険な状態であると政府が判断していたと思われますが、フランスは、今のところ、屋内スペースのマスク義務化だけで、それ以上の措置は、取られていません。

 だいたい、一度、ロックダウンを解除したら最後、マスクを義務化するだけでも大変な騒ぎで、家族4人で一枚いくらのマスクを一ヶ月使うとこれだけの負担になる!などと騒ぎ出し、洗えるマスクが配布されることや、心臓疾患、糖尿病などの持病を抱えた人には、サージカルマスクが全額保険適用になることになりました。

 バカンスには、平気でお金を使うくせに、マスクとなると、途端にお金がかかって負担になると騒ぎ出す。要は、なんだかんだと難癖をつけては、マスクをしたくないのです。3万人以上の死者を出して、2ヶ月もロックダウン生活をして、さらに現在の一日1000人を超える感染者を出しても、まだ駄々を捏ねるフランス人には、呆れ返ります。

 1000人以上の新規感染者に加えて、一日で10件以上のクラスターも発生しているのです。また、感染者の増加とともに、これまで下がり続けてきた集中治療室の占拠率が下がらなくなったことが発表されています。つまり、一定の人数が毎日、亡くなったり、治癒して出て行くとともに、新しく、集中治療室に入る人が増え始めたということです。

 イルドフランス、グランエスト、オードフランス、ガイアナでは、集中治療室の71%が埋まっている状態です。

 だいたい、コロナウィルスの第一波が来た時は、最初の症例は前年の11月に見られており、そこから全国に蔓延するまで3〜4ヶ月、それを考えると、5月のロックダウン解除から現在2ヶ月半が経っていますが、この数字の上昇の仕方は頷けるような気がするのです。

 おまけに、7月からヨーロッパ内の国境が、解禁していて、国外から来る、例えばフランス以上に感染が広まっているスペインなどからも毎日、たくさんの旅行者が入ってくるのに、空港では、なんの検査もせずに野放し状態なのです。

 さらに、バカンスに入って、デモも休暇状態に入ったと思ったら、フランス国内各地では、リヨンで通行中の若い女性が車で500メートルも引きずられて殺されたり、ニースでのドラッグを巡ってのいざこざから発砲事件が起こったり、高速を走行中の車が突如炎上したり、暴力事件、しかもかなり過激な事件が次から次へと起こっています。

 ロックダウンのストレスとバカンス突入の開放感からか、タガが外れたような人が増えているのです。

 ロックダウンの最中から、外から聞こえてくる救急車のサイレンには、ずいぶんと慣れましたが、今は、コロナウィルスの患者さんだけでなく、他の事故や事件もあるわけで、どうにも止まらないフランスの混乱状態、頼みの綱がマスクだけというのは、あまりにも心細いではありませんか?

<関連>
「マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_21.html

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

2020年7月23日木曜日

親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由





 私は、人が生きていく上でのその人の軸となる部分を作るものは、家族、主に親子関係だと思っています。それは、経済的に恵まれているとか、いないとか、そういう問題ではなく、絶対的な信頼感とでもいうのでしょうか? 自分は確かに愛されているという感覚を子供が成長過程において、感じることができるかどうか? そのことが、子供にとって、その子がどんな道に進んだとしても、その人の軸となる部分を強く持ち続けることができるかどうかを大きく左右すると思っています。

 家柄とか、経済的にとか、そういうことではなく、家族の絆がしっかりある家庭で育った人は、強いです。そして、それは、何よりの財産です。

 自分の恥部を晒すようで、躊躇いもあるのですが、私は、それを持たずに育ちました。一見、何不自由ない暮らしをさせてもらってきました。しかし、私の育った家庭では、父は、わがままで気分屋で、身体的な暴力を振るわれたことはありませんでしたが、気に入らないと暴言を吐く、家族中が父の機嫌を常に伺う、ピリピリした家庭でした。母の愛情は、感じていましたが、父には逆らえない母にしっくりしないものもありました。

 時代もあったのでしょうが、母も父に刃向かうことはできず、ただ、その場を凌いで紛らわせることを積み重ねてきたのです。

 表向きは、ごくごく普通の家庭に見えるし、母はもちろんのこと、私も弟もそれを特に他の人に深刻に訴えることもせずにいたので、親戚でさえも我が家の実情は、よく知りません。ただ、私と弟は、何度も母に離婚を勧めました。しかし、世間体やそこまでの勇気が母にはなく、そのまま、なし崩しに暮らしてきました。

 弟が大学に入った頃に、とうとう弟は父と衝突し、ほとんど家に帰らなくなりました。当然、家の中の雰囲気は最悪です。私は、自分の気持ちが不安定なことを逆に追求したくて心理学の勉強をしてきました。

 母が小さい頃から英語を教えてくれていたこともありますし、好きになった相手がたまたまフランス人であったり、弟も海外に出て仕事をしたいという目的も確かにありましたが、私も弟も海外で生活しているのは、そんな家族から少しでも遠くに離れたい気持ちがどこかにあったことも否めません。

 私も弟も独立して、それぞれの家族を作って、たまに里帰りするくらいになって、どうにか、自分の育った家庭を外から眺められるようになりました。しかし、ピリピリした環境で育った私の自分自身の軸が弱いこともよくわかっています。

 私が、心理学に続いて、死生学を学んでいた過程でイギリスのホスピスで働いていた時、そこで出会ったたくさんの患者さんたちと話をして、まさに死にゆく瞬間に思う人生にとって大切なものとは、何なのか?・・私が感じたのは、家族でした。

 その後、私は、私自身の家族を作ろうと思い、実際に家族を持ち、子供も生まれました。私は、何よりも娘に対して、「何があってもママは自分を愛してくれている」と感じられるように接してきました。(だからと言って、娘が何をしてもいいというわけではありませんが・・)夫が娘に対して理不尽なことを言っても、決して黙って我慢することは、ありませんでした。とことん、話してきました。

 私は、そんなに口数が多い方ではありませんが、言うことはきっぱりと言います。これは、特に夫に対してだけというよりも、海外生活では、言うことは、はっきりと言わないと暮らしていけないということもありますが・・。

 私がこれまでで自分がすごく幸せだと感じた瞬間は、まだ娘が小さかった頃にお休みの日に朝、なかなか起きてこなかった夫を起こしに行って、3人でベッドでゴロゴロ戯れていた、なんのたわいもない時間でした。家族での心底リラックスした時間を感じた瞬間に私は、このまま死ねたらどんなに幸せだろうと思ったくらいです。

 海外での生活ということで、難しいことは、たくさんありましたし、特に娘は、自分が選択したわけでもないのに、フランスと日本と両方の国の間で生きることになったのです。そうでなくともアイデンティティーの所在が不確かになりかねません。

 それでも、結果、娘は、ちょっと鼻持ちならないほどの自己肯定感の強い、軸がしっかりした人になりました。それは、これから、彼女が生きていく上で、とても大切なことだと思っています。

 先日、三浦春馬さんという日本の俳優さんが自ら死を選んで亡くなったというニュースを見て、人の軸の強さと家族の関係について、少し考えたので、今日は、こんな話題になりました。

 人は、自らの意思で生まれてこられないように、自らの意思で命を断つことは、あってはなりません。少なくとも、娘は、彼女が自ら命を断つようなことがあったら、私が死ぬほど苦しい思いをすることを知っていてくれると思っています。


<関連>
「ハーフの娘の祖国 アイデンティティーの帰属」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_28.html

「ハーフだって楽じゃない・・・ハーフの子」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_4.html

2020年7月22日水曜日

まさかのパリ・プラージュとコロナウィルス検査

Paris Plages 2017 - Parc Rives de Seine © DR


 パリ・プラージュ(Paris-Plages)は、2002年にスタートしたパリのセーヌ川岸に、夏の間だけ、多くの人がバカンスに出る時期にバカンスに出られない人や、パリを訪れる観光客のために、川の土手にある車道が封鎖され、人工的なビーチが作られ、デッキチェアが置かれたり、様々なイベントを開催したりして、毎年、盛況で、パリの風物詩のようなものになっています。

 私もパリ・プラージュができた年に一度だけ、娘を連れて、行ったことがあります。その頃は、まだ、セーヌ川の右岸に設置したビーチだけでしたが、物珍しいこともあり、まだ、小さかった娘は、水着でビーチをスキップして歩き、砂で遊んだり、出くわした子供と水遊びをしたり、ボルダリングをしたりして、楽しいひと時を過ごしました。

 しかし、今年は、コロナウィルスがおさまっていない状況で、パリ・プラージュは、中止だとばかり思っていました。ところが、今年もパリ・プラージュがオープンしたというニュースを見て、ひっくり返りそうになりました。

 普通のビーチを解禁するのとは、わけが違い、人工的なビーチを作るのです。それをわざわざ、この状況でオープンするとは、やはり、フランス、侮れません。

 人混みを作りたくないのではないですか? 屋外だから、良いのですか? そもそも、ロックダウン解除以来、いくつも起こってきた数千人単位のデモなどの人出を考えれば、可愛いものかもしれませんが、どうにも理解しがたいことです。


Un village santé a été installé sur le parc des quais de Seine à l\'occasion de Paris-Plages
パリ・プラージュにあるコロナウィルス検査スペース


 しかし、今年のパリ・プラージュは、いつもと違う工夫もされているようです。
パリ・プラージュの中には、2カ所のコロナウィルスの検査が無料で受けられるスペースが設けられ、気軽にテストが受けられるようになっていて、行列ができているようです。
これは、とても良い試みだと思います。自覚症状のない人も気軽に明るい雰囲気で検査を受けることができて、結果、スクリーニングが可能です。


C'est une première à Paris
パリ・プラージュの一貫のセーヌ川の上で楽しめるシネマ
                     
 また、川岸のボートから、映画を楽しめるシステムなども導入しています。これなら、ソーシャルディスタンスを保ちながら、また、夕暮れ時のパリの景色の中で映画を楽しむことができます。これは、なかなかロマンチックではありませんか?

 やはり、是が非でも、バカンスを快適に楽しく過ごそうとするフランス。そのためには、なかなか、色々と知恵が回るものだと・・ちょっと、感心しました。
 
 これから当分の間、コロナウィルスと共存して生きていかなければならないのは、ただ、ダメダメというばかりではなく、こうした試みも必要なのかもしれません。


<関連記事>「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_29.html


 

 

 

 

2020年7月21日火曜日

マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?


 

 フランスで、公共の屋内スペースでのマスクが義務化になって、もしかしたら、ロックダウンの時のように、警察がウロウロして、コントロールをしているのかも??と思いながら、買い物に出かけると、街中は、いつもどおりで、警察がコントロールしている場面には、出会いませんでした。

 しかし、コマーシャルセンターの中に入ると、ビックリするほど、みんながマスクをしており、135ユーロの罰金の威力、恐るべし!と思いました。(みんながマスクをしていてビックリするところが何なんですが・・)

 これも、初日のことですから、これが、いつまで続くのかは、甚だ疑問です。多くの人がコロナウィルスが怖くてというよりも、罰金が怖くて仕方なくマスクをしているからです。警察のコントロールが緩いとなれば、マスク率も一気に下がると思われます。何と言っても、今は、警察の人もたくさんの人がバカンスに出ていますから、どうしても警戒は、緩くなります。

 しかし、マクロン大統領をはじめ、政府の官僚たちも、これまでマスクなしで経済復興アピールをしているのかと思われるほど、公の場でも、マスクをしていなかったのに、一斉にマスク姿でそれぞれの場に登場して、マスク着用をアピールしていました。

 マスクを着用していない場合は、入店(もしくは入場)できないわけですから、また、それなりの軋轢も生まれそうで心配です。いみじくも、先日、マスクを着用していなかった乗客に注意して殺されたバスの運転手さんの埋葬がマスク着用義務化初日と重なったことは、とても皮肉なことです。

 これだけマスクの義務化の必要性を訴え、実際に罰則付きの義務化が施行されても、フランスでは、15%の人は、マスクの義務化に反対しています。(18歳〜34歳の人たちの間では、22%の人が反対)

 街に出てみれば、若い子でも、洋服と素敵にコーディネートして、マスクをファッションの一部として楽しんでいる人もいるし、ブティックなどでもおしゃれなマスクを売り始めているのですが、残念ながら、それは、ごく一部のことです。

 
ジャケットの赤とパンツとマスクとバッグの黒がいいな


 先日のバスの運転手さんが殺された事件や、注意すると逆ギレして、店員に食ってかかったりする人がいるフランスでは、マスクをするように注意することさえ、命がけです。店舗の人も、「これ以上、感染が広がって、再びロックダウンになっては堪らない・・マスクをするのは、仕方がない・・」と、渋々、受け入れているのがわかります。

 屋内でマスクをしていない人がいた場合は、当然、当人はもちろん、その店舗や商業施設等も管理責任を問われるわけで、注意をすること自体がリスクである国では、規制は、ありがたいはずは、ありません。

 そのような事態を予測してのことか、店頭に、「マスク着用は義務です」「納得いかない人は、下記にご連絡を!と、大統領官邸と首相官邸の電話番号を書いてあるお店もあるほどです。

 しかし、手段はいかにしても、これで少しでもマスクをする人が増えてくれるのは、少しでも感染の拡大を防げます。

 先日のパリ祭では、いつもどおりの軍事パレードは、行われず、いつもは目にすることのない戦車などの軍用機を見ることはできませんでしたが、今は、どんな勇ましい軍事兵器をもってしても勝つことができない目に見えないウィルスにマスクで立ち向かっているのは、力(チカラ)とは、何なのかを考えさせられます。

 実際に、フランスは、第2波を避けるためにと言っていますが、もはや、感染状況を見れば、第2波は、始まっている状態です。先週の週末は、3日間続けて、新規感染者数は、800を超えています。ですから、第2波は避けられなかったわけで、始まってしまった波をどれだけ低く抑えることができるのか? 

 それがフランスの課題=マスク着用義務化なのです。

<関連>
「マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人はルールは、守らない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_9.html
 

 










 

2020年7月20日月曜日

ナント大聖堂の火災で思い出したナントの役所での娘の国籍申請



 フランスの西部、ロワール川湖畔に位置する Nantes(ナント)にあるサンピエール・サンポール大聖堂で18日、火災が発生し、ステンドグラスの窓やパイプオルガンなどが破損しました。

 大聖堂の中心から赤い火が登る光景には、誰もが、昨年に発生したパリのノートルダム寺院の火災を彷彿とさせるものを感じたことと思います。今回のナントの大聖堂の火災では、短時間での消火活動により、ノートルダム寺院ほどの被害には、至りませんでしたが、出火現場が3ヶ所に渡ることから、放火の疑いがあり、国家警察が捜査に加わることになりました。

 大聖堂は、15世紀建立のナント市民にとっては、シンボル的な存在であり、また、教会でもあることから、心の拠り所でもあり、大きなショックを受けています。

 この報道で、インタビューを受けている市民を見ていると、人の良さそうな、おっとりしている感じの人ばかり・・パリ・パリ近郊の人としか、接することのない私は、彼らの表情や話し方を見ていて、パリジャン・パリジェンヌが嫌われるわけだな・・と妙なことを考えていました。

 ナントといえば、まだ、フランスに来たばかりの頃に、娘の国籍などの手続きがなかなか進まず、夫と娘と義理の兄夫婦とで、車でナントのお役所に出向いたことがあったことを思い出しました。外国で生まれたフランス人の国籍等の管轄は、なぜか、全てナント扱いとなっていて、一日がかりで、長い道のりを車で手続きに出かけたのでした。

 結局、娘の出生証明書(アフリカ生まれなので、アフリカで発行してもらったもの)に不備があり、アフリカから、出生証明書を取り寄せ直して送るということで、方はついたのですが、せっかく来たのに、手続きがすぐに済まないことに、フランスのお役所仕事に慣れていなかった私は、大いにショックを受けたのでした。

 長い道のりになるので、ランチ用にと大人4人分のサンドイッチを山ほど作って、出かけるときは、ピクニック気分で出かけたのに、結局、事がうまく運ばずに、海辺に出て、暗い気持ちでサンドイッチを食べ、義理の姉に、時間がかかるけど、大丈夫だから・・と慰められたことを思い出しました。

 手続きにとても手間取ったこともあり、その上、どんよりとした天気で、なんだか、とても暗いイメージしか残っていないので、私にとっては、あまり良い印象がない場所で、ナントにこんな大聖堂があったことも全然、覚えていませんでした。

 今から思えば、何かとスムーズには、運ばないフランスのお役所仕事、ましてや、アフリカからの案件など、すんなり事が運ぶ方が不思議なくらいなことは、充分にわかるのですが、その頃は、かなり絶望的な気持ちになったものでした。

 せっかくナントまで行ったのに、観光も何もしなかったことを何も思わないほど、当時の私には、余裕がなかったのです。

 今の私だったら、たとえ、手続きが進まなくとも、せっかく来たのだから、ちょっと街を見ていこうくらいの図々しさがあるのに・・と、火災前の大聖堂を見れなかったことを残念に思うのでした。

 それにしても、最近のフランス、ノートルダムの火災や、ナント大聖堂の火災、規模は違いますが、先日は、オルリー空港でシャトルバスが炎上する火事が起こり、大騒動になりました。コロナ渦で警戒状態の中、火災までがあちこちで起こるって、何なんだ??


<関連>「フランス人の夫との離婚の危機」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_28.html







2020年7月19日日曜日

拡張しているテラス席でのパリのレストランでのランチ


アントルコット(牛肉)と手前がアニョ(子羊)

 私は、日頃から、友人に会ったりする時も、ゆっくり時間を過ごしたくて、家においでよ!と、自分でお料理を作って、延々と食べて、飲みながら、おしゃべりすることが多くて、(もしくは、友人宅に押しかける・・)あまり外食はしないので、ロックダウンになっても、あまり、外食が恋しいとはなりませんでした。

 しかし、さすがに、これだけ、閉じこもりの生活が続くと、少しは、街の景色を眺めながら、誰かが作ってくれる食事をしたくなり、久々に友人とランチに出かけました。

 彼女は、庶民の私と違って、まことに優雅な暮らしをしていて、パリのマレ地区に、ここにこんな空間があるの??と思うようなアパートに住んでいるので、彼女と会う時は、マレ地区が多く、今回も彼女の馴染みのレストランでのランチになりました。

 マレ地区は、日頃から、デザイナーのアトリエや、アートのショールームのような場所も多く、比較的、お店の入れ替わりが激しいので、今回のコロナ渦によって、特に変わったな〜という感じは、ありませんでした。

 しかし、どこのカフェやレストランも大幅にテラス席を拡張し、自分のお店の前だけでなく道路を挟んで、向こう側の歩道沿いにまで、テラス席を作っているので、通り全体がテラス席のような印象の通りもあったりして、全くの通行止めになっている通りもありました。もともと、この辺りは、細い通りも多く、ピザ屋さんなども、「配達は、自転車でやっています」というお店などもあります。


通りの向こう側までテラス席

 私は、いつもなら、何となく落ち着かないし、人が行き交うテラス席は、あまり好きではないのですが、今は、さすがに店内の席は、やはりちょっと躊躇われて(店内も営業していましたが)テラス席を選びました。

 そのレストランは、普段は、狭い場所に小さめのテーブルと椅子がたくさん並び、かなり密になる店内ですが、(パリのレストランは、こんな感じが多いのです)その小さめのテーブルがそのまま外のテラス席に並べられ、相変わらず小さいテーブルでお皿の置き場がギリギリのテーブルでの食事です。

 お料理は、基本、フレンチですが、アジアティックのテイストが入ったアレンジになっています。私たちは、普段、あまり食べないからと、二人ともお昼から、ガッツリお肉を注文しましたが、メニューには、魚介を使ったブロシェット(串焼き)や、日本風生のまぐろのミルフィーユなんていうものもありました。

 アジアティックのテイストというだけあって、フレンチにしては、比較的、さっぱりとしたソースで、シンプルで何より素材が抜群で、付け合わせの野菜などもフランスにありがちなグニョグニョではなく、程よい茹で加減、私は、滅多に食べない子羊肉を注文しましたが、臭みもなく、あっさりしているわりには、しっかりと肉の味がひきたつように焼かれていて、バジルとガーリッククリームを使ったソースも、決して勝ちすぎておらず、肉にピッタリマッチしていて、しっかり堪能しました。

 その日は、朝、早くからついでに色々と用事を済ませるために歩き回ったこともあり、空腹で、出てきた、白と茶色のバゲットも全部、完食!友人とも久しぶりで、おしゃべりしながら、延々と長いランチタイムを過ごしました。お店の人にも、一番最初に来て、最後までいたわね!と言われてしまいましたが、全く嫌味がなく、楽しそうでだったね!美味しかった!と、笑って、また来るね!と言って、レストランを後にしました。

 狭いパリの中でも、地域によっては、行き交う人が、全く違うのですが、さすがに若い子でもおしゃれで可愛い子が多く、年配の人でも、ちょっと気の利いたおしゃれをしている人などが多いので、街行く人を眺めるながらの食事も楽しいものです。

 コロナ渦で、今まで敬遠していたテラス席が、思いの外、心地よく、開放的で自由でもあり、他のお客さんとも程よく距離が取れていて、まるで、コロナなどなかったように、外で、楽しそうに食事する人々の様子をちょっと離れたところから、心地よい風景のように眺めていました。

 場所にもよりますが、私も今後、テラス席にハマりそうです。

 
食事のあとのカフェに付いてきたのは、チョコレートではなくヌガーでした


<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」


<この話に出てくるレストラン>
 ★ Le Petit Marché
       9 Rue de Béarn, 75003 Paris



 

2020年7月18日土曜日

フランスと日本のコロナウィルスに対する危機感の大きな隔たり




 フランスのル・モンド紙(フランスの大手新聞)は、日本でのコロナウィルスの感染が増加していることを7月17日の紙面で報道しています。報道では、「日本のコロナウィルスの症例は、首都・東京や米軍基地で増加しており、病院は、財政的に追い詰められ、低所得に不満を抱く医療介護者の山に直面しています。」

 「7月17日金曜日、日本の首都は新規感染者数293と発表しました。これは1日の感染者数としては、パンデミックが始まって以来の記録的なものです。 5月と6月に停滞した後、7月の初めから毎日の感染が増加しています。東京感染症専門委員会のメンバーである大曲典男氏は、「感染経路が不明なケースは、1週間で2倍になった」と語っています。
 パンデミックの発生以来、死者数は、1000人を超えていません。

 東京都知事の小池百合子氏は、7月15日に、国民は、予防策が効果を発揮するために状況の緊急性を理解しなければならない・・と、レベル4の最高警戒態勢を敷きました。 住民は再び動きを制限し、距離の測定とマスクの着用を尊重し、外出を避けるように求められました。東京都は、現在3,000件に対して、毎日10,000件のテストをすることを約束しています。新たな汚染の多くは歌舞伎町と池袋の夜間地区のバーやナイトクラブで記録されており、当局は施設の入口で検温テストを受けることを勧めています。

 さらに、7月22日に開始予定の「Go Toキャンペーン」(割引で旅行するためのクーポン)は、地域で広がるリスクを減らすために、東京を除外することに決めました。」

 この報道を見て、どの口が言っているのか・・と私は、思いました。事実?を報道しているといえばそれまでですが、他国のことを言っている場合なのか・・と。

 フランスのコロナウィルスの死者数は、30152人(7月17日現在)、日本の死者数が1000人に迫ろうとしているとしても、30倍以上です。(ちなみにフランスの人口は、日本の約半分です)

 また、日本の新規感染者数がパンデミック以来の数字を記録したといっても、300人前後、フランスの新規感染者数は、836人(7月17日)で、全体の感染者数は、ロックダウン中のピークの期間の数字をすでに超えているのです。7月に入って以来、毎日の感染増加の度合いは、フランスの方が明らかにヤバいのです。

 それなのに、この事実を棚上げしての、日本の感染者数増加の報道には、何を余裕こいてんだよ!と思ってしまいます。

 日本は、この段階で、警戒態勢を敷くのは、賢明だと思います。フランスは、マスクが義務化となったものの、今日もパリのメトロには、スーツケースを持った人がたくさんで、バカンスに出る人の多さが伺えます。

 また、街中も、レストランなどは、テラス席がかなり拡張されて、外のスペースで食事をしている人がほとんどですが、これは、テラス席好きのフランス人にとっては、テラス席が増えただけで、ほとんど、いつもの日常で、レストランのスペースでは、食事をすることもあって、マスクをしているのは、店員さんだけです。

 現在は、多かれ少なかれ、どこの国も綱渡りの状態、特にフランスは、ほとんどサーカスのような状態です。

 早め早めの対応が大事なことは、多くの犠牲者を出したフランスがわかっていないはずはないのに、マスクが義務化されただけで、大騒ぎのフランス。300人の新規感染者で最高警戒態勢を敷く日本と836人の新規感染者が出ても、みんながバカンスに出かけるフランス。この危機感の違いに、もはや、ため息も出ません。

 まさか、また、国民のショックを考えて・・などとしていることなら、少しは、ショックを与えてもらいたいくらいです。

<関連>「バカンスを、何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

 

2020年7月17日金曜日

来週から屋内でのマスク義務化へ フランス・マスク論争ふたたび


Illustration de l'obligation de porter le masque dans un centre commercial francilien.


 7月14日の革命記念日・パリ祭のセレモニーの後、テレビのインタビューに答えたマクロン大統領は、8月1日から「すべての閉鎖された公共の場所でマスクを必須にする」と発表しました。

 「なんで、8月1日なんだよ!明日からでも、さっさとしろ!」と思ったのは、私だけではなかったようで、来週の月曜日から、屋内での公共の場においてのマスクが義務化されることになりました。(コマーシャルセンター、店舗内、映画館、ジムなど・・)

 マスクに不慣れな国フランスは、マスクへの抵抗は根強く、コロナウィルスの流行が広まり始めた頃も、マスクをしているアジア人をコロナウィルス扱いして差別したり、ロックダウンになってからも、普通の日常生活を送る分には、マスクは必要ないとか、(そもそもマスクのストックが圧倒的に足りなくて、)医療従事者でなければ、マスクはいらないなどということを政府が発表していたくらいです。

 それでも、流行がピークに達していた頃は、医療従事者以外はマスクを買うことができなくて、(幸いにも、なぜか、家には、マスクがあったので、買い物の際はマスクをして出かけられたので、助かりましたが・・)その頃は、やはり、さすがのフランス人もマスクなしでは怖いのか、飛行機で配っているアイマスクをマスクがわりにしている人もいたくらいでした。

我が家に送られてきた紺色のマスク😷


 それが、ロックダウン解除を前後して、国民には、各市町村からマスクが配られ、薬局やスーパーマーケットでも、マスクが売られるようになり、最初は、奪い合うようにマスクを買って、マスクをして、恐る恐る外出していたフランス人も、時間が経つにつれて、気候も良くなって、感染も少しずつ減少していくにつれて、もはやマスクは、用無しとばかりに、街を歩く人でマスクをしている人は、どんどん減ってきて、道端には、使用済みのマスクがポイ捨てされ、買い物に行っても、マスクをしていない人が見られるようになってきていました。

 当然、大量のマスクを仕入れたスーパーマーケットでは、マスクが山積みになっていました。ロックダウン解除の時には、マスクの義務化は、公共交通機関利用の際のみで、その他の場所では、マスクの着用が推奨される・・という内容でしたが、「推奨される・・」程度で、フランス国民がマスクをし続けるはずは、なかったのです。

 ところが、ここ2週間ほど(7月に入ってから)バカンスに入ってからのフランスの感染状況は、感染者数が6万を超え、(64664名・7月16日現在)(ちなみに日本は、2979名です)グラフには、危険な上昇のカーブが現れているのです。

 ロックダウン時にも、国民のショックを考えて、段階的にロックダウンをしたというマクロン大統領は、今回のインタビューで、「コロナウィルスの第2波が少し始まりかけているという兆候が見えています」「私たちは、警戒して、第2波に向けて準備をしなければなりません、引き続きソーシャルディスタンスを!」という、比較的、ソフトな言い方をしています。

 そして、彼は、同時に「第2波に対する準備は、できています」とハッタリをかましていますが、医療の現場では、医療従事者用の安全性の高いマスクや防護服、医療物資等は、未だ十分とは、言えない状態なのです。医療従事者が革命記念日に行ったデモは、単なるベースアップ要求だけのデモではないのです。

 このコロナウィルス感染の経過、現状と、政府の発表には、隔たりがあることを感じずにはいられません。

 国民の混乱や反発を抑えるために、ロックダウン解除以降、強制事項は避けてきたフランスが、マスク着用の義務化を決定するということがどういうことなのか、事態をしっかりと見つめなければなりません。

 ハッタリをかましている政府の発表を鵜呑みにはできません。ロックダウン解除時に約束した週70万件の検査も、実際のところは、はるかにその数字には及ばない状況で、当時、隣国ドイツの検査数の5分の1だった数字が6分の1になっています。(ドイツの検査数が大幅に増えている割に、フランスは増えていない)

 ともかく、マスク着用を義務化してくれたことに、私は、少しホッとしています。マスク着用の義務を怠れば、罰金135ユーロが課せられます。罰が与えられなければ、統制が取れない、まことに民度が低いフランスであります。

<関連>
「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_20.html


「フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_8.html






2020年7月16日木曜日

フランスのソルド・盛り上がらないバーゲンの初日




 革命記念日の祭日・パリ祭が終わって、延期になっていた夏のSOLDES(ソルド)(バーゲン)が全国、一斉に始まりました。例年ならば、夏のSOLDES(ソルド)(バーゲン)は、6月最後の週の水曜日から4週間と決められています。6月24日に始まるはずの夏のソルドが3週間延期になってしまったことで、その間に、お客さんの大半は、バカンスに出てしまいました。

 それにしても、ここ数年のバーゲンは、以前に比べるとすっかり盛り上がりがなくなり、そういう私も、もはや大して欲しいものもなく、今日は、フライパンが欲しくて、近所のコマーシャルセンターを覗きに行ったのですが、以前では、考えられないようなバーゲンの初日、お客さんも大したことないなら、お店側もバーゲンというのに、やる気あんのかよ?という感じです。

 だいたい、バーゲン時期は、お客さんもお店側も戦闘体制だったのは、昔の話で、お客さんも少なければ、店員さんさえもバカンスに出てしまって、通常よりも少ないくらいなのです。

 フランスでは、バカンスが最優先、ソルドの開始が延期になったからといって、バカンスの予定を延期する人は、いません。

 その上、ここ数年、ネットショッピングの割合が増加していたのに加えて、ロックダウンで、さらにこの傾向に拍車がかかり、何もソルドの時期に足を運んで買い物に行かなくてもネット上でもソルドは、やっています。「せめて、洋服くらい、自分で着てみてから買いたいじゃない!」という私に、娘は、「買ってみて、着てみて、気に入らなかったら、返品すればいい・・今は、それが簡単にできるようになってるの!」とバッサリ。

 ただでさえ、配送事情が悪く、全ての手続きがトラブルの素になるフランスで、ネットで買い物したものが、ちゃんと届くかどうかも心配な私と違って、さすがにフランスで育ってきた娘、そんなトラブルがあろうと、モノともしない逞しさです。

 ともかく経済再開のためにロックダウンを解除したものの、どうにも怪しげな感染状況(今もフランスは、1日の新規感染者数は、500人前後の日が続いています)のために、ソルドの開始日を延期したものの、バカンスは7月初めに解禁になり、国内移動のTGV(新幹線)は、ほぼ、満席状態。

 感染状況を鑑みて、押したり、引いたり、ワリを食ったのは、バーゲンを控えていた店舗のようで、すでにバーゲンを待つまでもなく、閉店に追い込まれた店舗も少なくはなく、第2波の心配は、当分、続きそうで、昨年末からのデモやストライキでお店を開けられなかったり、売り上げが伸びなかった上に、国民のネットショッピングへの移行。たくさんの在庫を抱えた店舗はさらに厳しい状況に追い込まれていくことでしょう。

 ビッグネームの老舗やブランドでさえも危機に立たされています。

 フランスのネット上では、ロックダウン解除とともに、国内のあちこちの店舗で行列ができたというZARAでさえ、今年のソルドは、1分で終わった・・最悪・・などと、ブーイングが上がっています。

 ショッピングのように、コロナとともに、変わっていく業界もこれから多々出てくることでしょう。コロナとともに、たくさんの人の暮らしも変わっていくのだ・・とソルドの初日に、またあらためて思うのでした。

<関連>
「フランス・夏のソルド(バーゲン)は、コロナウィルスの影響で7月15日に延期」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_23.html

2020年7月15日水曜日

2020年 フランス革命記念日・パリ祭の光と影


コンコルド広場でのセレモニー


 2020年のフランス革命記念日は、コロナウィルスの感染が危惧される中、いつもと違うパリ祭となりました。例年は、シャンゼリゼの沿道には、大勢の観衆が集まり、凱旋門から、コンコルド広場へ向けての華やかなパレードが行われます。

 フランスの持ちもの全てがパレードすると言われるこの催しは、天候も良いこの時期に、シャンゼリゼの沿道に植えられているマロニエの木に、トリコロールのフランス国旗がたなびき、美しいパリのロケーションにそれぞれの隊が精悍な制服姿で行進する光景は、フランス国民ならずとも心を奪われるような光景です。

 このパリ祭のパレード(フランスでは、デフィレと言います)には、デフィレに参加する人は、もちろんのこと、フランスの国力と美しさに、多くのフランス人がフランスを誇りに思うような、国民の愛国心を強固にするような不思議な力があります。

今年は、シャンゼリゼではなかったので、マロニエのグリーンがないのは残念


 マロニエの木の緑、トリコロールの国旗、茶色い馬、白い馬に乗る深い紺を基調とし、ゴールドがあしらわれ、ところどころに差し色に赤が入った制服、制帽、ブーツなどでバッチリ決めた一団が束になって、次から次へと行進してくる様子は、圧巻です。

 今年は、コロナウィルスの感染が収まっていないこともあり、一般大衆は、シャットアウトされ、招待客のみで、コンコルド広場の小さい?スペースのみで、大幅に規模を縮小して行われました。それでも、演出は、なかなかなもので、数週間前から、政府は、このパリ祭は、コロナウィルスの危機と今も戦い続けている英雄のためのものと発表していました。

コンコルド広場でのセレモニー全景


 その言葉どおり、例年は行われない医療関係の隊もパレードに参加したり、医療従事者の一部も招待客に加えられていました。式の最後に、コロナに向かって国民が一丸となって戦おうという気持ちを込めて歌われたマルセイエーズ(フランス国歌)では、招待されていた医療従事者の複雑な表情がとても印象的でした。

 そんなデフィレは、正午には、終わり、マクロン大統領は、テレビのインタビューに答える形で、コロナウィルスの第2波が来たとしても我々には、充分な準備ができている。また、今後、(恐らく8月1日から)公共の場(屋内)でのマスク着用が義務化されることを発表しました。(マスク着用の義務化に対しては、なぜ、ロックダウン解除の際に試行しなかったのかと思いますが・・)

 そして、その日の午後、華やかなパレードとは裏腹に、フランス国内のいくつかの都市では、CGT(フランス労働組合)など、12の労働組合の呼びかけにより、数千人に上るデモが行われ、(黄色いベストによる政府に反対する人や、公立病院の医療従事者による医療に関わる職員の待遇を含む医療環境・物資の不足に対するデモ)、午後6時頃、パリ・バスティーユでは、催涙ガスまで発砲される警察との衝突が起こりました。

 パリ祭で、英雄と感謝され、奉り上げられた一部の医療従事者の複雑な表情の背景には、このデモがあったのだと思わずにはいられませんでした。

 そして、革命記念日・パリ祭の最後は、エッフェル塔での花火です。今年は、無観客で行われましたが、数ヶ月前までは、閑散として、皆がウィルスに震え上がっていたパリでの盛大な花火は、それは見事なもので、エッフェル塔からは、結構、離れた我が家の窓からでも、花火のど〜んという音まで聞こえ、充分に楽しめた見応えのある30分近い素敵なショーでした。



 家の窓から見える花火とテレビで中継されている花火、若干の時差を楽しみながら、今年の3月の時点では、こんな花火が見られることなど考えられなかった状況から、たとえ観客は、シャットダウンといえども、ここまでできるようになったという感慨が襲ってくるのでした。



 こうしてセレモニーや花火でパリの街を改めて見るにつけ、やはり、パリは、美しい・・と珍しくパリにいることを嬉しく感じた1日の終わりでした。


 しかし、朝からデフィレ、デモ、花火と盛りだくさんな一日でした。

 これに加えて、エソンヌ(イル・ド・フランス)で、火事だと通報を受け、駆けつけた消防士が襲撃を受けるという事件が起こったそうです。華々しい革命記念日の光と影、わけのわからない影の人がまだまだ、たくさん潜んでいるフランスなのです。


<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

 

 

 










2020年7月14日火曜日

一枚のお皿が思い出させてくれた小さい頃からの娘の食事




 私がフランスで仕事を始めたのは、娘がちょうど一歳になった頃でした。娘がアフリカで生まれてから、3ヶ月くらいで、フランスに引っ越してきて、当初は、右も左もわからない状態でした。しかも、娘は、まだ0歳児、初めての子育てで、ミルク探し、日用品の買い物、お医者さん通い、ごくごく普通の最低限の生活を送ることを少しずつ積み重ねていきました。

 当時は、主人の兄夫婦の家から比較的近い、パリからは、電車で40分ほどの郊外のアパートに住んでいたので、気軽にパリを散歩するということもできませんでした。パリに行けば、日本食品なども、わりと簡単に手に入るのですが、当時は、怪しげな多国籍の食料品を扱っているお店で、日本食を作れる食品を物色したりしたものです。

 その頃は、娘の国籍のことや、私の滞在許可証の申請などが、なかなかスムーズに進まず、ようやく少し目処がたったのは、半年以上経ってからのことでした。

 ですから、それまでは、私も仕事どころではなく、娘とベッタリの生活で、私は、娘と片時も離れることはありませんでした。それでも、娘が可愛くて可愛くて、子育ては楽しくて、特にストレスに感じることはありませんでしたが、初めて仕事に行く電車に乗った途端、想像していなかった開放感に自分自身が驚いたほどです。

 娘を保育園に送って行って、仕事をして、帰りに娘を迎えに行って・・と、娘といられる時間は、朝と夜の短い時間だけ、休みの日には、娘に日本語を教えながら、買い物や家事に追われて、時間はあっという間にすぎて行きました。

 仕事の都合上、私は、日曜日に仕事のことも多く、そんな時には、必ず、昼食の支度をして出かけました。主人と二人で、娘のお休みの日には、必ずどちらかが娘といられるように予定を調整していましたので、日曜日に私が仕事でも、主人がいてくれるので、私が食事の支度をしていかなくても、主人が何か娘のために作ってくれたのですが、娘は、主人の作る食事が嫌いで、嫌がっていたし、私は、私で、お休みの日に仕事に出かけてしまっても、「ママは、あなたのことを忘れていないよ・・」という意味で、出来るだけ、彼女が寂しい思いをしないように、必ず、彼女の好きそうなものを作って置いてきていました。

 忙しいお母さんでも、お弁当作りは、欠かさない・・そんなお母さんたちもきっと同じような気持ちなのかもしれません。

 当然、主人が作るものは、フランス料理?のできそこないのようなもので、日本食が好きな彼女の口には合わなかったので、せっかく作ってくれたパパに気の毒な思いをさせないためにも彼女に食事を作り置きしてくるのが習慣になっていました。

 とはいえ、カレーやシチュー、チャーハン、オムライス、ちらし寿司・・などなど、そんなに手の込んだものではありません。それでも、一応、彼女の気に入った食事があるだけでも、少しは、気持ちが和むだろうと思っていたのです。

 昼食とは別に、小さい頃から彼女は、ブロッコリーが大好きで、小・中学生になってからも、我が家の冷蔵庫には、必ず茹でたブロッコリーと人参が入っていました。学校から帰ってきて、お腹が空いたら、お菓子を食べずに茹で野菜をモリモリ食べていました。実に健康的な好みの娘です。(彼女は、サラダ用のソースやマヨネーズなどは、一切使わず、軽い塩で茹でたそのままで食べるのです)

 先日、長いこと使っていなかったお皿に、オムライスを盛って出したら、娘が、「このお皿、懐かしいなぁ〜、よくママが仕事の時に、このお皿にお昼ご飯がのせて置いてあった・・」と、当時のことを思い出してくれました。

 小さい頃のことでも、私が作った食事のことを覚えてくれていることを、何だかとてもほっこり嬉しく思いました。母親なんて、そんな些細なことが嬉しいんだな・・と、私は、私で、母の作ってくれたお料理のことを思い出していました。


<関連>「子供を預けて働くということ 子供を預けることは、育児放棄ではない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_20.html

2020年7月13日月曜日

ニースで5000人の屋外コンサートの惨状


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 先週末の土曜日の夜のニュースでは、ゲストの医者が「フランスは、ほんとうによく頑張っている・・公共交通機関でのマスク着用は徹底しているし、ソーシャルディスタンスを尊重した生活を送っている。」とフランス人を絶賛しているのを、半ば、呆れる感じで、「本当にフランス人は、自画自賛、自国を褒めることが大好きだ・・」と思いながら見ていました。

 ところが、ちょうど、そのニュースが放送されていた頃、ニースでは、屋外コンサートに5000人が熱狂状態になっていました。このコンサートが行われた場所は、通常ならば、36000人が収容できるスペースのところ、ソーシャルディスタンスを考慮して、5000人は超えない、マスクの着用を求めるという条件でニース市は、このコンサートの開催を許可したようです。

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 ところが、実際のところ、ソーシャルディスタンスなどをとっている人など誰もおらず、マスクをしている人も見当たりません。まあ、考えてみれば、感染を危惧する人は、現段階で、このようなコンサートには、行きませんから、マスクの着用など義務化し、かなりの警戒体制を敷かなければこのようになることは、明白だったのです。


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 いみじくも、前日の金曜日にフランスは、コロナウィルスによる死者3万人突破を記録したばかりでした。3万人という犠牲者を出しながらもこのウィルスの恐ろしさがまだわからない、コロナウィルス以来、何度となく、フランスは、どうしようもない・・と思ってきましたが、まだまだ、これでもかというくらいフランス人には、驚かされます。

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 一時的ではありながら、バカンスに入って、デモが沈静化してきて、とりあえず、よかったと思った矢先の出来事です。

 結局、ニース市では、屋外であったとしても、全てのイベントに際しては、マスクが義務化されることになりました。

 サッカーもmax 5000人でソーシャルディスタンスに配慮してという条件で、観客を入れての試合が開始されます。ニースの二の舞にならないかと大いに心配です。

 そんな中、フランスは、コロナウィルスが広く循環している危険国からの旅行者を対象に空港でのコロナウィルス検出のための無料テストを体系化することを発表しています。現在、フランス(ヨーロッパ)に入国できる13ヶ国の中にフランス以上にウィルスが蔓延している国があるのかは、疑問ですが、フランス領でもギアナなどのような場所からの入国者ということでしょうか?

 いずれにしても、外国からの入国者のチェックをするよりも、国内で、日々起こるこの惨状をどうにかするのが先決で、このままでは、(すでに)フランスは危険な国として認知され、フランスから海外に出たい人は、要注意扱いされるようになり、海外からの観光客も誰が好んで、こんな危険な国に来るでしょうか?

 フランスも、いい加減、自画自賛、自己満足に酔いしれるのではなく、周りからも安全な国として認知されるようになって、海外からの観光客が安心して来れるような国になってほしいものです。

 それにしても、今、世界の感染状況を見て、驚きました。アメリカは、もちろんのこと、ブラジル、インド、南アフリカ、南米などは、感染の勢いが物凄く、1日の新規感染者が余裕で1万人を超えています。

 世界的なパンデミックは、まだまだ、おさまりそうにありません。

 やはり、到底、今年のオリンピックは無理であったし、来年でさえ、絶望的です。

<関連>
「フェット・ド・ラ・ミュージックでまた群衆・飲んで踊って大騒ぎのフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_2.html

「フランスは、やっぱりダメだと、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html





2020年7月12日日曜日

バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない


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 日本では、「Go To キャンペーン」なる国内観光需要喚起の観光割引のキャンペーンが開始するそうですが、フランスには、このようなキャンペーンは、いらないようです。そんなキャンペーンをやらなくても、フランス人は、こぞってバカンスに出かけるのです。コロナウィルスへの懸念はあるものの、フランスでは、バカンスに出かける人に対して、世間が後ろ指をさすようなことは、全く、ありません。

 いよいよ7月からバカンスシーズンに突入したフランスでは、バカンス突入後の最初の週末でもあり、今週末は、来週火曜日の革命記念日(パリ祭)の祝日の間の1日さえ休みを取れば、4連休となることもあり、土曜日からバカンスに出発する人で、駅も大混雑、高速道路も大渋滞となりました。

 長いロックダウンから解放されてのバカンスは、混雑や渋滞でさえも、どこか高揚感を感じている人もいるようです。

 そして、驚くことに、昨日は、土曜日にもかかわらず、パリでは、ほとんどデモは行われなかったようで、ウィルス感染の危険を侵して、あんなにも大勢の人が異論を唱えて騒いでいたのに(年金問題、人種差別問題、黄色いベスト、病院の労働環境などなど、その時々によって問題は、様々でしたが・・)、あれは、何だったんだろう?と思うくらい、デモが影を潜めた土曜日でした。(だいたい、土曜日にデモがないことに驚くこと自体が異常ですが・・)

 デモがほとんど行われなかったのは、デモに参加していた多くの人がバカンスに出たことによることは、間違いありません。デモでさえも、バカンス休暇をとっている・・そんな感じです。

 例年も、やはり夏の間は、デモは少なくて、バカンスに入る前にしっかりと9月以降のストライキ・デモの予定を決めてから、バカンスに出発するところも、ここ数年のお決まりのパターンとなっています。今年は、特にコロナウィルスの感染拡大が心配される中での強硬なデモの連続だったので、バカンスに入った途端のデモ消滅のギャップが大きく感じられます。

 こうしてみると、フランス人にとっての優先順位は、バカンスが何よりも勝るようで、次がデモ・ストライキ・・コロナウィルスへの警戒の順位は、どんどん下がっています。バカンスが終わって、秋に入って気温も下がった頃にデモ・ストライキが優先順位の一位に返り咲いた時が心配です。

 さっそく、多くの観光客が訪れるニースでは、夜のコンサートに5000人が集まりお大騒ぎ、バカンスシーズンで浮かれて、このようなことが今後も度々起こりそうです。

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ニースの街でDJの野外コンサートに集まる人々

 とはいえ、バカンスに行かない人も、まだまだたくさんいるパリですが、やはり気持ちは、バカンス気分なのでしょうか? マスクをしている人もすっかり減りました。さすがに公共交通機関では、皆、マスクをしていますが、よく見かけるのが、もはや、何のためにマスクをしているのか、わからなくなっているようで、鼻を出して口だけマスクをしている人もよく見かけます。

 先日は、何を勘違いしているのか、マスクをしていた年配の男性が、くしゃみが出そうになって、慌ててマスクを外して、思いっきりくしゃみをし、くしゃみをした後は、また、しっかりマスクを付け直すという光景を目にしました。

 たしかに、マスクをしていると思いっきりくしゃみができない感じがするのもわからないではありませんが、さすがにこれには、失笑してしまいました。

 話が逸れてしまいましたが、例年だと8月になると、みんながバカンスに出かけるので、パリは、メトロも私の住んでいるアパートでさえも空いてきて、静かで、スッキリした感じになります。ロックダウンを経験した今年は、8月のパリが静かに感じられないかもしれません。


<関連>「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_62.html

 

2020年7月11日土曜日

9月のフランスの学校再開へ向けての準備  予定の立たない今後の予定


Image d'illustration d'enfants dans un collège -


 コロナウィルスによるロックダウンになった際は、もうフランスは、壊滅状態に向けてまっしぐらの状態であったので、否応なしに、生活の必要最低限の機関しか動かない状態になり、経済もストップし、いつもの日常の多くのことが奪われ、今になって思い出しても、本当に緊迫した日々が続いていました。

 しかし、ウィルスが蔓延し続ける中での、再スタートは、単純に全てを再開するわけにはいきません。それでも、フランスは、新内閣も発足し、前へ前へと進もうとしています。今日、文部省から発表されたのは、2020年度(2020年9月〜2021年6月)の学校再開に際してのビジョンです。

 9月に新学期が始まるフランスでは、夏が終わり、気温が下がり始める(気温が下がるとウィルスが活発化する可能性が高い)時期に学校が再開するという皮肉な新年度を迎えるわけですが、子供達の安全を確保するために、一先ず、手指の衛生を徹底させること、11歳以上の学校の屋内施設でのマスクの義務化、校内の換気、清掃、除菌などの衛生、ソーシャルディスタンスなどに関する規定が発表されました。

 この規定には、国の公衆衛生高等評議会や国防評議会が関わっているとのことですが、フランスにこれまで、公衆衛生高等評議会なるものがあったことは、コロナ以前の街中を見る限り、信じがたいことです。

 また、最悪の事態も想定して、リモートワークのサポートの充実化への準備も同時に進め、感染拡大が起こった場合には、数日内にリモートワークに切り替えられるように備えています。約2ヶ月間のロックダウンにより、教育格差も生まれ、約4%の学生が脱落したと言われています。

 現在、ロックダウン解除から約2ヶ月経ちましたが、もはや、メトロ内、駅の構内の清掃、除菌作業が雑になってきていることも問題視されています。多くの人がマスクもしなくなっている中、公共機関の衛生管理も緩んできているとは、まさに第2波の下地を着々と作っているような状態です。

 また、先日は、新首相のジャン・カステックス氏とCGT(フランス労働総同盟・労働組合連合)のこの経済危機に瀕する状況についての話し合いが行われ、今は、何よりもこの経済危機を乗り越えることに重点を置くという首相に対して、CGT側は、昨年から問題になっている年金問題を差し置くことはできないという主張が衝突し、早々に9月17日の大規模ストライキ・デモが決定しています。

 娘も10月からの留学が一応、決定していますが、「リモートワークになる可能性あり」という但し書き付きの状況で、どうにも予定が立ちません。

 現在は、多くの人が先の予定が立たない状況、それも致し方ないと思いますが、今のところ、はっきりと日時指定で決定していることが、ストライキとデモの予定だけというのがフランスの状況をよく表しています。

<関連>「フランスの駅とトイレの先進国とは信じ難い臭さ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_27.html

「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

 

 
















 

2020年7月10日金曜日

コロナウィルス第2波は、いつ来るか?




 先日、アパートの換気口の掃除業者の人が来てくれた時に、「バカンスには、行くんですか?」と聞いてみたら、「とんでもない!まだウィルスは、あちこちにウヨウヨしているんだよ!」と即答されたので、「あ〜フランス人でも、こんな風に思っている人もいるんだ・・」と少しホッとしました。

 彼らは、たくさんの家を回る清掃業者の人たちなので、多くの人に屋内で会うわけで、しかも清掃という仕事をしているので、普通の人よりも意識が高いのかもしれません。

 しかし、街中は、すっかり緊張感も緩み、マスクをしている人もかなり減り、レストランなどもだんだん、いつもと同じような人出になってきていますし、バカンスに出かける人も大勢います。どんどん、以前のような日常に戻りつつある気配です。

 一方、昨日、東京にいる友人から、「東京の感染者の多さには、閉口してしまいます。早く普通の日常に戻りたい。」という内容のメールをもらいました。ここのところ、日本の新規感染者数が増加してきていることは、知っていましたが、やっぱり、大変、問題視されているようですし、やはり、普通の日常には、まだまだ戻れない・・と思っているようです。私としては、やはり、日本の反応の方が普通だと思うのです。

 もともと、コロナウィルスの被害がフランスと日本は、比較するまでもないほどなので、おかしな話ですが、フランスは、昨日も今日も新規感染者が663名、621名と600名を超える数字で、現在は、ヨーロッパの中でも(検査数もそれほど多いわけでもないのに)ダントツの数字なのです。

 ロックダウンが解除になった途端にデモだ、音楽祭だ、と目にするたびに気が遠くなりそうな人出が続いてきたのですから、むしろ、この数字で留まっていることが不思議なくらいです。

 すでに、ドイツやスペイン、オーストラリアなどは、一部の地域で再ロックダウンになっているそうですが、フランスでは、今のところ、そのような地域はありません。これまでの状況を見ていると、ウィルスの拡散には、どうやら気温が関係していると思われる状況が多く、たとえ、この夏の間は、第1波のような感染爆発は起こらなくとも、感染者を一定以上キープしたままで、秋から冬を迎えれば、それは大変なことになります。

 うんざりすることに、そんな秋を迎えた頃の9月17日、年金問題に関する大規模なストライキが行われることが発表されています。ストライキやデモもバカンス期間中は外すのがフランスなのです。

 現在、再ロックダウンの措置をとっている国も、これ以上の感染爆発を起こさないためにやっているのであって、3月〜4月のような危機的状況に陥っているわけではありません。この段階で、小規模でのロックダウンや警告は、秋以降の状況に大きく差が出てくるような気がしています。

 日本は、もともと完全なロックダウンの措置を取らずにここまで来ましたが、現在もその警戒を怠らずにいることは、やっぱり日本、凄いなと思います。日頃から、街中も国民も清潔で、マスクをする人が多い日本がこんなに頑張っているのに、感染者600名を超えても、すっかりバカンス気分のフランス人には、ため息が出ます。

 今日、家の外から、パリ祭の航空ショーの練習のために轟音で飛んでいく飛行機の音が聞こえてきました。いつものパリ祭とは、形を変えるようですが、やはり、パリ祭は、行われるようです。革命記念日であるパリ祭は、全国民を高揚させる不思議な力を持っています。バカンス突入に加えて、パリ祭でさらにアクセルがかかりそうなフランスに、私は、大いに不安を感じています。


<関連>「フランスでコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

 

2020年7月9日木曜日

娘の初めてのおつかい 近所のパン屋さんの超絶美味しいバゲット




 昨日、出かけたついでに、昔、よく行っていたパン屋さんの近くを通ったので、懐かしくなって、寄ってみました。そのパン屋さんは、特に有名なパン屋さんではないけれど、地元の人には、人気のパン屋さんで、特にバゲットが美味しくて、私が立ち寄ったのは、お昼どきだったこともあって、お店の外まで行列ができていました。

 外がカリッとしていて、中がふんわり、もっちりとしているバゲットは、もうそれだけで、ごちそうで、あとは、美味しいバターがあれば、十分に満足な食事になり、少しずつちぎりながら食べていると、あっという間に食べてしまうので危険です。

 大のパン好きのフランス人である主人がそのパン屋さんに行くと、大抵、バゲットを2本買って、家に着いた頃には、もうすでに一本は、なくなっているという状態です。

 フランス料理があまり好きではない娘でさえ、バゲットは、大好きで、彼女は、友達と出かけたりしても、よく、バゲットと生ハムなどを買って、ピクニックをしているようです。それが一番、安上がりで美味しい軽食だと彼女は、そのスタイルを頑なに守り通しています。

 以前とほとんど変わらない、その店先で並んでいたら、昔、娘が小さい頃に(幼稚園くらいかな?)そのパン屋さんの手前で、パパにバゲットを買って来なさいと言われて、尻込みしていた娘を思い出しました。強気なくせに、妙に内気なところもある娘は、お店で〇〇ください・・と、自分で買い物をすることがなかなかできなくて、やっと、初めて一人でお買い物ができたのが、このパン屋さんでのバゲットだったのです。

 「Une baguette pas trop cuite s'il vous plait(焼けすぎてないバゲット一本ください)」と言って買うんだよ!とパパに言われて、(フランス人は、バゲットを買う時に、その焼け具合まで注文することが少なくありません)渋々、一人でパン屋さんに入って行った娘、それでも、パンを抱えてお店を出て来た時の得意げな顔は、忘れることはできません。

 日本の人気TV番組で、「はじめてのおつかい」という番組があったと思いますが、フランスでは、幼少の子どもを一人で外出させることはないので、娘が一人でおつかいに行くことは、ありませんでした。

 娘の幼少期、娘に「はじめてのおつかい」をさせてみたかったのですが、(きっとおかしなことを言ったり、やったりしているはず)それも叶いませんでしたが、日本の小学校に短期通学させて頂いていた時は、(こちらの学校が夏休みになってすぐに日本に行って、1〜2週間、通わせて頂きました)下校時に、勝手に近所の果物屋さんなどに顔を出して、毎日、挨拶を欠かさなかったという話を後になって果物屋さんに聞いて、驚いたこともありました。

 そういえば、おつかいではありませんでしたが、色々な経験をさせたくて、パン好きのパパが、パン屋さんに頼み込んで、一日、パン屋さんで娘にパン作りをさせてもらったこともありました。また、主人は、ちょっと良さげなレストランなどに行くと、ちょっとお客さんが引けたタイミングを狙って、レストランの人に頼み込んで、娘だけ、厨房を覗かせてもらうように頼んだりもしていました。

 小さい頃は、内気だった娘に前へ前へと押し出そうとしていたパパでした。

 その甲斐あってか、娘は、今では、ちょっと偉そうなくらい堂々と振る舞う娘になりました。食いしん坊の我が家の教育の根本には、いつも、食べ物が絡んでいるのです。


<関連>「チーズとバゲットが好きすぎるフランス人の夫」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_8.html

 

2020年7月8日水曜日

マスク着用を注意したバスの運転手が暴行を受けた末に脳死状態 フランスの治安 


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 フランスの南西部、ヌーベル・アキテーヌ圏のバイヨンヌで、日曜日の夕刻、乗客の乗車時にマスク着用の注意をしたところ、20代前半の男性の4人組にバスから引き摺り下ろされ、殴打され、重傷を負い、現在、脳死状態という悲惨な事件が起こりました。

 フランスでは、現在のところ、公共交通機関を利用する場合は、マスクの着用が義務付けられていますので、運転手は、当然の注意をしたまでのことです。こんなことってあるんでしょうか? 私は、この話を聞いて、震撼としました。

 この事件以来、バイヨンヌ、アングレ、ビアリッツ及びその周辺の都市に公共交通サービス会社Chronoplus(クロノプルス)の従業員、約300人は、この事件に対して怒りを露わにし、彼らの安全が確保されるまでは、仕事をすることができないと、ストライキ状態で、地域の交通サービスは、混乱状態を引き起こしています。

 彼らは、少なくとも葬儀が行われるまでは、仕事を放棄することを決定し、水曜日には、運転手の家族と同僚の主導で、デモが行われることになっています。
 また、デモです。

 事件が起こったバイヨンヌ地区は、取り立てて危険な地域ではありません。ですから、そのような場所で、こんな悲劇が起こることは、余計に恐怖を覚えます。私は、パリに住んでいるので、パリの様子しかわかりませんが、街中では、マスクをしている人は、本当に減りましたが、さすがに公共交通機関の中でマスクをしていない人は、今のところ、見かけたことはありません。

 どのような国や地域でも、一定の割合でどうしようもない人がいることは、事実ですが、コロナウィルスの感染が犯罪の引き金になってしまうような人災は、これからもしばらくは、続くと思っていた方がよいのかもしれません。それだけ、人の心も荒れている状態なのかもしれません。

 私自身は、これまで、フランスで命の危険を感じるような場面に遭遇したことはありませんが、それでも、知り合いのガイドさんが、日本人の観光客が泊まっているホテルに迎えに行った際に、お金目当ての強盗に襲われて、亡くなってしまったり、中国人の同僚が自宅の近くで携帯電話を強奪するために、いきなり見知らぬ人に殴られたりと身近なところでは、何度か恐ろしいことが起こっています。
 
 もともと、治安がいいとは、言えない国なのです。

 しかし、そのいずれも、これまでは、金品を奪うためのもので、マスクをしていないことを注意されて・・などということではありませんでした。

 コロナウィルスは、そのウィルスそのものによる犠牲者だけでなく、感染状態が引き起こす別の形の災害も起こっているのを見せつけられた気持ちです。

 そして、事件から一週間、運転手さんは、亡くなりました。コロナ渦の中も仕事を続け、コロナウィルスの感染からは、逃れられて元気に仕事をしていた人が、人間によって、殺された事実には、やるせない気持ちにさせられます。


<関連>「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

 


















2020年7月7日火曜日

やっぱりウンザリする10年に一度の滞在許可証の更新


フランスの滞在許可証更新のための5本指の指紋認証の機械


 10年に一度のことなので、ついつい、あの嫌な感じを10年後には、忘れているのですが、行ってみると、やっぱり嫌なのが、滞在許可証の更新手続きです。

 私は、ちょうど、今年がその10年に一度の更新の年に当たっていて、6月の半ばに有効期限が切れることになっていました。いつもは、何もしなくとも数ヶ月前に、更新手続きについてのレターが届き、必要な書類を揃えて、役所に手続きに行っていたのですが、なにせ、前回の更新手続きは、10年前のことで、なんだか、漠然と、嫌な感じだったという記憶しかなく、昨年末に友人に、「来年は、更新手続きなんだよね〜」とボヤいたら、「最近は、ネットである程度、できるようになっていて、予約を取って、決められた日に書類を揃えて持って行くだけで済むようになったから、随分、楽になったよ!」と言われて、10年の間にフランスも少しは、進化したんだな・・と思っていました。

 ところが、今年に入って、そろそろ、お役所から書類が届くかな?と思っていたところに、まさかのロックダウン。ロックダウンになったのは、3月だったので、6月までは、まだあるから・・と、嫌な宿題を後回しにするような感じで、しばらく、知らん顔をしていたのですが、5月にロックダウンが解除になった頃から、まだ書類が来ないのは、おかしい・・とサイトを調べて見てみると、私の滞在許可証のちょうど前日の日付のものまでは、自動的に数ヶ月は延長になるので、サイトで手続きしてくださいと書いてあり、一日ずれている私は、どうすんのよ!と思って、電話をしたところ、サイトを見てくださいと一言だけ言われて、(書いてないことを聞きたいから電話してんだろ〜が!!と思ったけど・・)ガチャンと電話を切られ、たまたま、悪い人に当たってしまったのかもしれない・・と別の日に再び電話をしても、やはり同じ対応で、途方に暮れて、仕方なく役所宛に事情を説明するメールを送ったのです。

 すると、しばらくして、今は、手続きが滞っているから、そのうちレターが届くまで、そのままで良いですとの回答で、なんとも落ち着かない状態が続いていましたが、それから一週間くらいして、更新手続きの呼び出し状が届きました。

 そして、必要な書類を揃えて、呼び出し状にあった日時に、いよいよ10年振りの更新手続きに行ってきたのです。普段は、まるっきり用事がないので、場所さえもうろ覚えで私は、早めに家を出たのでした。

 今回は、日時に加えて窓口まで指定してあったので、少しはましになったのかも・・と思いきや、やはり、外にまで行列ができていて、時間や窓口まで指定されているのに、何の行列なのか?意味がわからず、入り口にいる人に聞いても、「あなたは、時間より早いから、まだ待ってて!」というだけで、そのうち、また中から出てきた女性が、ガナリ立てるように呼び出し状を回収に回り始め、全員、ちゃんと並べと威張り出し、また、横入りする人までが表れ、それを統制しようと声を張り上げるのでした。

 あ〜〜これだった・・この嫌な感じ・・説明がない上に、予定どおりでもない感じ、人種差別とは言いたくありませんが、外国人に対して、どこか威圧的な態度に出るこの種の職種の人たちを10年振りに思い出した気がしました。

 ようやく中に入れてもらえたのは、指定の時間をすでに過ぎた時間、しかも指定されてあった窓口は、閉められています。それから、一時間近く待たされたところで、隣に座っていた女性に「あなたの時間は、何時?」と聞かれたので、11時と答え、「あなたは?」と聞き返すと、なんと、「9時」というのを聞いて、私は、気が遠くなる気分でした。その時点ですでに12時近く、彼女は3時間も待っているのです。

 黙っていてはいつになることやら・・と、一体、どうなっているのか、聞きに行くと、「順番ですから・・」と言われたものの、まもなく私の名前が呼ばれ、手続きにこぎつけたのです。フランスでは、何事も、黙っておとなしくしては、泣きを見るのです。

 実際に手続きに当たってくれた人は、比較的、穏やかな人で、わりとすんなりと手続きは進みましたが、両手5本指の指紋を取られたのには、びっくりしました。(以前は、確か、指一本だった気がします)そして、指紋認証の機械のそばには、アルコールジェルもなく、消毒されることもなく、私は、終わった後に慌ててトイレに行って、手を洗ったのでした。

 そして、もう一つびっくりしたのが、とりあえず、正式なカードを受け取れるまでの申請中に携帯しておく仮のカードの期限が2021年の1月5日までになっていたことで、書類を受け取ってから、カードを発行するのに、そんなにかかるの??と、驚いたのです。

 カードが出来上がったら、SNSで連絡しますからと言われつつ、なにせ、3月から7月分の滞在許可証の発行が滞っているのですから、時間がかかることは、覚悟しなくてはなりません。

 今回は、コロナウィルスのロックダウンのために、通常ではない混乱状態の時期に当たってしまったことは、ありますが、それにしても、この滞在許可証を発行する役所の異様な雰囲気に、思わず、日本に帰れば、こんな嫌な思いもしないのにな・・と思ってしまった一日でした。

 それにしても、弱い者には、やたらと威圧的に出るわりには、縁故やお友達にはやたらと優しいこの手の人たち、これほどあからさまではないにしても、日本にも、この手の人は、いるのですが・・やっぱり、これほど酷くはありませんね。


<関連>「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

2020年7月6日月曜日

同い年の小池百合子都知事と仏大統領夫人のブリジット・マクロン 注目される二人の違い


Brigitte et Emmanuel Macron, un couple présidentiel


 東京都知事に小池百合子氏が再選されて、そのニュースを見ていたら、彼女のプロフィールが改めて、公開されていて、「67歳」とあったのを見て、「ブリジット・マクロンと同い年なんだ!」と私は、妙な感想を持ちました。

 東京都知事とフランスのファーストレディーという、国も立場も違う二人ですが、どちらも、それなりに世界的にも注目される二人が同い年ということに、なんだか妙な驚きを覚えたのです。調べてみると、正確に言えば、もう少しすると東京都知事の方が一つ年上になりますが、その年代の女性が堂々と世に出て活躍されていることは、同じ女性として、嬉しいことです。

 私は、フランスにいるので、どちらかというと、ブリジット・マクロンの方がテレビや雑誌などでも見かける機会が多く、目にする機会も多いのです。そうでなければ、小池百合子67歳・・と聞いて、ブリジット・マクロンと一緒だ!とは、思いません。

 ブリジット・マクロンは、マカロンで有名な老舗のショコラティエのブルジョアの家に生まれ育ち、21歳の時に一度目の結婚をして、3人の子供をもうけ、当時、彼女が教師として勤務していた高校で、15歳のマクロン少年と出会い、なんとマクロン少年は、17歳で当時、既婚者であった彼女にプロポーズ。(彼女は、当時42歳)

 当時の高校でスキャンダルになり、マクロンは、パリのさらに優秀な高校へ転校しますが、なんと、彼女もその後、パリに転職しています。それから間も無く、彼女の離婚が成立した翌年に、彼女は、マクロンと結婚しました。

 マクロンの政界進出とともに、25歳の年齢差のカップル、しかも、二人が出会った当初は、彼女は既婚者であったというスキャンダラスな取り上げられ方をしましたが、そこあは、フランス、必ずしも致命的なスキャンダルとはならず、むしろ、ブリジット・マクロンは、「ブリジット・マニア」「フェノメノン・ブリジット」などと、好意的な印象を持たれるようになりました。
 今では、マクロン大統領以上に好感度が高いかもしれません。

 ファーストレディーということから、そのファッションなども頻繁に注目され、つい先日の統一地方選挙の投票に向かう際に彼女が持っていたバッグは、2710ユーロのルイ・ヴィトンのインペリアルサフランのショルダーバッグだった・・などと書かれていました。

 彼女のファッションは、全体的にシンプルで控えめですが、シンプルながらも、どこかに必ずエスプリが効いていて、何よりも67歳という年齢を感じさせない圧倒的なスタイルをキープしており、膝上丈のワンピースやスカートが多く、あくまでも自分のファッションスタイルを貫いているように見えます。(彼女は、ルイ・ヴィトンがお好み?のようで、ワンピースやバッグもルイ・ヴィトンのものが多いです)

 しかし、彼女のファッションは、決して派手すぎることはなく、彼女自身が自分のことを「私は、ファーストでもなければ、ラストでもない、私は、私。」「夫婦で一つだとしても、ハッキリしていることは国民が選んだのは、夫であって、私ではない。」と言っていることが、彼女のファッションや立ち振る舞いにも表れているような気がするのです。

 彼女の恋愛・結婚は、なかなかなドラマチックなものにも関わらず、彼女自身が絶世の美女というわけでもなく、ギラギラした感じもなく、しかし、静かに自分を貫いていることに多くの国民が共感するのは、彼女の知性と、自由さと、控えめに振る舞いながらも情熱的で、マクロン大統領が大統領選で勝利した際には、「ブリジット、あなたなしで今の私はいない」と言わしめた彼女の女としての、そして人間としてのチカラに違いありません。

 立場も違いますが、東京都知事もブリジット・マクロンのように、愛を貫くパートナーがいたら、もう少し、好感度も上がるかもしれない・・などと、同い年の二人を見て、下世話なことを思ったのでした。



<関連>「美しく歳を重ねるフランス人のマダム」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_52.html
 






 

 








2020年7月5日日曜日

夏のバカンスに突入するフランス TGV予約状況は、ほぼ例年どおり


La SNCF attend 800.000 voyageurs dans les trains pour ce premier weekend de départs en vacances


 昨日、買い物に行ったら、魚売り場のコーナーにいるおばさん(お姉さん?)に、「Bon Vacance !」(ボン・バカンス!)と声をかけていた人がいたので、「どこに行くの?」と尋ねたら、「モンペリエ!」となんの躊躇いもなく、満面の笑みで、答えてくれました。

 「この迷いのなさは、やっぱり凄いな・・フランス人・・」と思う私は、やはり、フランスでは少数派なようで、この週末からフランスは、やっと再開された学校も年度末を迎えて、夏休みに突入し、早々に80万人の人がバカンスに出発します。

 それでも、今のところは、海外旅行は、二の足を踏んでいる人がいる分、国内でのバカンスに出る人が多いのか、SNCF(フランス国鉄)は、バカンス突入の最初の週末でのTGV(新幹線)の座席のほぼ、8割型埋まっているとのことで、コロナウィルス感染の影響で、予約は、減っていると思いきや、ロックダウン中に予約を躊躇っていた人が一気に予約を始め、現在、予約のペースは、非常に好調で、昨年の同時期とほぼ同じ状況なのだそうです。

 TGVの低価格のウィチケットの販売数は、急激な予約の増加により、歴史的な記録を塗り替えたと言います。

 フランスは、14日が革命記念日(パリ祭)で祝日のため、7月にバカンスを取らない人でも来週末は、月曜日の一日を休めば、ちょっと長めの週末になるため、150万人の旅行者が見込まれています。

 フランス人にとって、夏のバカンスは、一年のハイライトでもあり、多くの人が一ヶ月近いバカンスに出かけます。多くの会社が○千人解雇、失業者が溢れている状態でもバカンスに出るフランス人。フランスでは、失業者にもバカンスが認められており、バカンスに出かけている間も失業保険は支給されます。

 ロックダウン中に仕事をできなかったり、学校へ行けなかったのだから、その分、夏のバカンスを削って、補習をしたり、仕事をしてもいいのでは?とも思いますが、そんなことは、フランス人にとっては、ありえないことで、ロックダウンの宣言とともに、夏のバカンスは、予定どおりの日程で・・と、追加の項目があったほどです。

 そんな中、スペイン北東部、カタルーニャ地方のリェイダ市周辺の人口約20万人の地域は、感染拡大のため、再びロックダウンの措置が取られたというニュースが入ってきました。ヨーロッパの中では、一番最初にロックダウン解除を始めたスペインのこの状況がフランスに遅れて起こらないとは言えません。

 最もバカンスに出る人が多い、バカンスの本番は、8月ですが、その頃に、フランスは、どうなっているのでしょうか?



<関連>「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_25.html









2020年7月4日土曜日

フランス内閣総辞職 フィリップ首相の退任 引き際の美学


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新任のジャン・カステックス氏を迎えるエドワール・フィリップ元首相


 フランスは、7月3日、エドワール・フィリップ首相率いる内閣総辞職を発表しました。フィリップ首相の後任として、官僚出身のジャン・カステックス氏が新首相として任命されました。

 フィリップ首相は、2017年、マクロン大統領就任時より、黄色いベスト運動や、コロナウィルスのパンデミックなどの危機的状況の対応に、国の屋台骨として当たってきており、特に、今回のコロナウィルス対応に関しては、より厳しい状況に陥ってきた段階からは、マクロン大統領は、登場しなくなり、フィリップ首相が矢面に立ち、苦しい状況の中でも、真摯に対応してきた結果、最近の世論調査では、マクロン大統領の支持率が35%なのに比べてフィリップ首相の支持率は43%で、彼の支持率の方がかなり高いことが報道されていました。

 ロックダウン解除には、消極的で慎重であったフィリップ首相は、経済回復を急いでいたマクロン大統領との間に確執があったとも言われていますが、実際にその段階では、国民も学校再開には、疑念を持っている中で、国会での質疑応答で、「あなたの子供も学校へ行かせるのですか?」などと、詰め寄られ、苦しそうに、しかし、誠実に回答していたのが、とても印象的でした。

 言わば、あくまでマクロン大統領は、上から一方的な声明の発表の仕方で、困難な状況には、彼が前に押し出されて、直に説明するという苦しい立場に立たされてきました。しかし、そんな彼の態度が逆に国民には、評価されるという、マクロン大統領にとっては、皮肉な結果となっていました。

 先週末の統一地方選挙で、フィリップ首相は、ル・アーブル市長選に勝利しており、首相を辞任することは、決まっていたわけで、今回の首相交代については、彼の覚悟の上の決断であったのです。

 新首相を迎えるフィリップ首相は、むしろこれまで以上に頼もしさを感じられる悠然としたにこやかで晴れやかな表情で、彼の退任の挨拶には、さらに賞賛の声も上がり、彼の退任を惜しむ声も多く聞かれます。

 マクロン大統領は、2年後に控える大統領選の再選に向けて、内閣を一新して、まき直しにかかったとも言われていますが、コロナウィルスの感染も続いている中、経済も停滞し、毎週のようにおこるデモやストライキから、国民が混乱状態であることは、明らかな中、これを機に国の気運を一新することも必要なのかもしれません。

 しかしながら、国民に支持されているフィリップ首相を失うことは、リスクでもあり、(57%の国民が彼の首相継続を望んでいました)、新首相カステック氏がどのような人なのかは、現時点では、多くのフランス人もあまりよく知らない状況で、カステック氏の手腕が注目されています。

 今の段階では、彼がかなりのエリートであることは、わかっていますが、ちょっと見には、キツい南仏訛りのフランス語にどこか冴えないスーツ姿、彼が首相となって、これから洗練されていくのを見届けるのも楽しいかもしれません。

 それにしても、フィリップ首相の引き際?は、なかなか見事でした。もしかしたら、ル・アーブル市長に就任して、2年後には、大統領選挙に立候補するのでは?という声もありますが、ひとまず、現段階での首相退任に際して、特にここ数ヶ月間の彼の発言などを振り返ってみると、なかなか人間味の感じられる人であったと、そして、首相としての引き際もなかなか見事なものであったと、改めて、私も世論と同じように、彼の人間味あるところを好意的に感じています。

 引き際というのは、難しいものですが、やはり、なかなか大事なものだと彼の退任を見て、改めて思い知らされた気持ちです。

 しかし、もしかしたら、彼が2年後の大統領選に立候補すると考えるならば、これは、彼の新たなスタートであったのかもしれません。


<関連>「5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会」






















2020年7月3日金曜日

フランスでの日常の食料品の買い物 ① フランスの野菜

ナスもピーマンも唐辛子も何もかも大きい

 約2ヶ月間のロックダウン中は、感染が怖くて、2回しか買い物に行かずに過ごした私です。ちょうど、日本から帰国して、まもなくのことだったので、日本から山ほど運んできた食料品が潤沢にありましたし、ロックダウン直前に買い込んだものを冷凍してあったりしたからです。

 しかし、それでも買い物に行かざるを得なくなったのは、何と言っても野菜がなくなってきたからです。いつもは、日本から帰ってきた後に行くフランスのスーパーマーケットは、腹立たしく感じられるほど、魅力的なものがないように感じられる私ですが、その時ばかりは、新鮮な野菜にちょっと嬉しくなったのも、珍しい体験でした。

 周りの人は、どんな買い物をしているんだろう?と思うことはありませんか? 今日は、ごくごく庶民の私が日常でフランスで買っている野菜をご紹介します。なんだか、フランスに長くいると、当たり前になっている野菜ももしかしたら、日本の方にとったら、ちょっと珍しいかもしれないと思ったからです。

レチュ、バタビア、シコレ(チコリ)などのサラダ類

 まずは、サラダ。最近は、少しは、増えてはきましたが、フランス人は、野菜をあまり生では食べません。圧倒的に火を通して食べることが多いと思います。それでも、いつも売っているサラダ。サラダと言えば、日本では、レタスが主流だと思いますが、レタスもアイスバーグと呼ばれて売っていますが、主流は、Laitue, batavia, chicolee(レチュ、バタビア、シコレ)など、また、やたらとがさばる葉物です。
 
アンディーブ
 
 アンディーブも我が家はサラダにしますが、(オリーブオイルに塩・胡椒、ガーリックパウダー、ビネガー、マスタードをクリーム状に混ぜて、ザクザク切ったアンディーブと合えます。独特な歯ざわりが美味しいです。)フランス人は、おそらく、ハムと共にコンソメスープで煮て食べることが多いと思います。


 赤かぶは、日本のようにまん丸なものより、細長いものが多く、フランス人は、なんとバターをつけて食べます。

アーティーチョーク
 アーティーチョークは、茎の部分を切って、丸ごと塩茹でして、お皿にドンとのせて、一枚一枚、剥がしながら、茎に近い部分をソースをつけて、嬲りながら食べます。最後に残った芯の部分が柔らかいたけのこのような感じで、その部分だけが瓶詰めになって売っています。
 
生のホワイトアスパラは、春だけ
 他の多くの野菜にも、本来の季節があるにも関わらず、一年中、並んでいますが、ホワイトアスパラは、春先だけ、店先に並びます。皮を剥いてから茹でます。スープにする時は、茹で汁も使います。アスパラは、季節を感じられる野菜です。

ポアロ
 我が家において、ポアロは、もっぱら日本のネギの代用品ですが、フランス人は、ポトフに入れたり、ビネガーで煮たりします。ビネガーで煮るのもとろーっとして、美味しいです。あと、ポアロのタルトっていうのもあるな・・。

セロリとセルリラーブ(セリアック)
セロリは、日本でもおなじみの野菜ですが、セルリラーブ(セリアック)は、これ何?と思われる方も多いと思います。セロリに似た独特な風味の野菜で、フランスでは、千切りのセリアックがマヨネーズのようなもので合えたサラダが一般的で、出来合いのものが良く売られています。

 自分でお料理する場合は、皮を剥いて、スティック状に切り、バターで炒めて仕上げにビネガーとハチミツを垂らして、付け合わせに添えたりします。また、スープにする家庭も多いようです。
 
エシャロット
 エシャロットは、小さい細身の玉ねぎのような形をしていますが、生ガキを食べるときに、散らしたり、私は、フランス料理を作るときには、とても良く使います。玉ねぎとニンニクの中間のような味ですが、バターなどで炒めると玉ねぎとニンニクを合わせて炒めるよりも上品な風味があります。バターや生クリームとの相性がとても良いです。エシャロットをみじん切りにして、バターで炒めたものを小分けにして少量ずつ冷凍しておくと、少し入れると味が引き立ちます。

 冷凍といえば、きのこ類もフランスには、たくさんありますが、一番、お手頃なのは、シャンピニオン・ド・パリと呼ばれるいわゆるマッシュルームですが、マッシュルームをスライスして冷凍しておくと、生の時よりも香りがたって、とても良いです。

 以上、特に贅沢なものは、何もありませんが、私が日常、買っている野菜です。私がこれらの野菜にあまり喜びを感じないかというと、やはり、これらの野菜は、フランス料理に適した野菜であって、我が家は、ほぼ日本寄りのお料理が多いからだということに、今、気がつきました。

 それでも、飽き足らずに日本の野菜を育てたりしていますが、これからは、フランス料理もちょいちょい作っていこうかな?と思っています。

 ごめんよ!娘!
 彼女は、半分フランス人なのに、フランス料理がお好みではないのです。

<関連>「チーズとバゲットが好き過ぎるフランス人の夫」