2019年8月8日木曜日

チーズとバゲットが好き過ぎるフランス人の夫




 ” フランスには、何千、何万という種類のチーズがあるんだ!" という、夫のセリフはもう耳にタコができるくらい、聞かされていました。そして、毎週のように、違う種類のチーズをいくつか買ってきては、” フランスにいる限りは、少しでもたくさんの種類のチーズを知らなければ・・” と言っては、せっせと、私と娘に試食させるのでした。

 もともと、乳製品が苦手だった娘は、そのせいで、ますますチーズが嫌いになり、主人に言われて、仕方なく、ほんのひとかけらは食べるのですが、結局、そのほとんどは、主人が食べていました。

 私たちにチーズの知識を教えるという大義名分を得て、主人は、ここぞとばかりにチーズを食べていたのです。

 そもそも、最初に主人と出会った頃、初めて、主人が私の家に来た時、カッコよく、ドンペリとバラの花束を持って現れたまでは良かったのですが、いざ、シャンパンを開けるとなって、何か、一緒につまめるものをと思って、冷蔵庫からカマンベールを出したところで、電話が鳴り、私は、ちょっと席を離れたのです。

 電話が終わって、戻ると、なんと、主人はカマンベールをまるで、ハンバーガーを食べるように、丸ごと食いつこうとしていたのです。主人は、チーズを目の前にすると、我を忘れてしまうのです。

 きっと、一人の時には、そうやって、食べていたのでしょう。私がビックリして、目を丸くしていると、主人は、我に返って、カマンベールを切り始めました。

 この、カマンベール丸かじりで、せっかくのドンペリもバラの花束も台無しでした。

 一緒に暮らすようになってからは、さすがに、主人はどんなチーズも切って食べていましたが、その一切れが大きいことといったら、驚きなのです。

 正確にいえば、私は、フランス人というのは、これだけの量のチーズを食べるものだと思ってしまっていたので、彼の友人宅に行ったり、レストランに行って、最後のチーズのデザートを食べている他のフランス人のチーズの一切れとは、えらく違うことがわかり、大変驚いたのであります。

 そして、バゲット。パン。

 バゲットを主人が買ってくるときは、3人家族なのに、一度に2本買ってきます。主人のお好みは、” pas tros cuit (焼きすぎていないもの)" といつも、こだわりの注文。そして、家に帰ってくる時には、もう半分はなくなっているのです。おかげで、いつも、車の中は、パンのクズだらけです。

 そして、日曜日の朝には、クロワッサンやパンオショコラを買ってくるのが、最高の優しさと思っているらしく、彼自ら、”クロワッサン、買ってこようか? パンオショコラ食べたくない?” というので、たまには、お願いせざるを得ない感じになります。

 あとは、彼にとったら、ワインがあれば、もう、いうことはないのです。

 日本食をはじめ、私の作ったものは、何でも美味しい美味しいとテーブルを盛り立ててくれる主人ではありますが、本当は、チーズとバゲットとワインが一番好きな、超フランス人なのであります。

 





0 コメント: