長い独身生活の後の子育て・・ あなたは、少し、やり過ぎでした。
私は、独身生活がけっこう長かったので、好き勝手に、ずいぶんと色々なことをしてきました。留学、海外旅行、本ばかり読んでいた時期もありましたし、友達との飲み歩き、おしゃれも楽しみ、テニス、ダイビング、モーターグライダー、ワインやカクテルの勉強などなど・・十分に独身生活を満喫していました。
父には、” おまえは、空を飛んだり、海に潜ったり、今度は宇宙にでも行くのか?” と、呆れられていたくらいです。
しかし、私は、独身生活を享受する中で、次第に、そこそこのことでは、満足しないようになり、無意識のうちに、自分のためだけに生きていることに、どこか虚しさを感じ始めていたのです。
そして、運良く、そんな頃に、私は、主人と知り合い、家庭を持つことができました。まもなく、娘も産まれて、私は、自分以外の人間のために生きることになりました。
それは、自分よりも大切な存在ができるということで、そのことが、まさに、自分にとっての画期的な変化を起こしていることに感動を覚えました。
ですから、家庭を持って、子供を持った時、とりあえずは、もう思い残すことはなく、
子供のために自分の時間を持てないとか、自分のやりたいことができないとか、そういった不満を感じたことは一度もありませんでした。
むしろ、子育ては、新鮮で、新しい喜びを私に与えてくれて、仕事以外の時間は、出来るだけ、娘と過ごせるようにと思っていました。
娘を出産したのは、アフリカでのことだっったので、それなりに大変なこともありましたし、その後、パリに来てからは、仕事をしながらの子育てだったので、それもまた、それなりに大変でしたが、私は、とても幸せを感じていました。
娘には、私は、あなたが産まれてきてくれたことで、私自身も産まれてきてよかったと思っているということ。そして、私にとって、あなたは、何よりも大切な存在だということをできるだけ、伝えるように心がけていました。
それは、私が心の底から思っていることでもありますが、そう娘に伝えるのは、私が、子育てで一番大切なことは、自我の安定であると思っているからです。
自分の存在が肯定されている、絶体的な安心感とでもいうのでしょうか? それを娘には、植え付けたかったのです。
私は、この根本的な自我の安定は、親が担うものだと思っています。
だから、娘には、” 時々、育児ノイローゼになったりして、子供がいるから自分のことが何もできない!という母親もいたりするけど、私は、あなたが生まれる前に充分、色々なことをやってきたから、全然、そんなことを思ったことはないのよ。" と話しました。
すると、娘は、ひとこと、” あなたは、ちょっとやり過ぎでした。” と、冷静に言ってのけるのでした。
どうやら、娘の自我は、しっかりしているようです。
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