2019年8月18日日曜日

フランスのドクターストップの制度





 主人の実家の近くのドクターのところに彼が行くと、第一声が、” Tu veux arreter ? " (ドクターストップにする?)なのだそうです。
 
 ドクターストップは、お医者さんに、ほぼ全ての権限があり、このお医者様は、極端ではありますが、気軽に書いてくれる先生とそうでない先生がいて、ずいぶんと差があるようです。

 あまり、ドクターストップの安売りをしている医者には、チェックが入るそうなので、それを恐れて、なかなか、出してくれないお医者さんもいます。

 私の元同僚であった友人がガンで闘病中だった時に、逆に、手術後、しばらくすると、ドクターストップを解かれてしまい、まだ、体調も万全ではないにも関わらず、仕事に復帰せざるを得なくなってしまったというようなケースもありました。

 フランスでは、厚生省が定めた、いわゆるどドクターストップのシステムの基準が大きく分けて、二つのものがあります。

 一つは、一般的な怪我や病気の場合などは、いわゆるアレットドトラバイユ といって、ドクターストップがかかり、その間のお休みは本人の休暇として換算されることはありません。また、その間のお給料は、半分くらい、日割りの計算で支給されます。
(ただし、ガンなどの特別な疾病に関しては、100%保証されます。)

 これに対して、アクシダンドトラバイユというのは、仕事中、もしくは、通勤・退社途中に起きた場合の疾病・事故に限定するドクターストップです。

 これについては、2名の証人のサインが必要になり、セキュリテソーシャル(フランスの健康保険機構)に24時間以内に提出が義務つけられています。
 また、この場合は、仕事場で起こった疾病・事故ということで、お給料も100バーセント支給されます。

 ですから、フランスに在住の方は、もし、職場で何かあったら、早急に証人を誰かに頼んで、手続きをすることをお勧めします。

 私は、一度、仕事中に会社の階段を踏み外して、転んで、足を怪我して、一ヶ月強、アクシダンドトラバイユで、休んだことがありました。

 転んですぐには、恥ずかしさもあって、” 大丈夫、大丈夫!” と言っていたのですが。その夜、家に帰るとみるみる足が腫れ上がり、どうにも我慢できないくらい痛みが増してきたので、主人に頼んで、救急病院に連れて行ってもらいました。

 そのころの病院は、暴動があったすぐあとで、夜遅くだというのに、病院は猛烈に騒がしくて、混んでいて、待てど暮らせど順番は回ってきませんでした。

 腹に据えかねた主人が、” もう、これ以上見てもらえないなら、ここから救急車を呼ぶからな!!” と怒鳴り込んでくれて、ようやく、見てもらえたくらいでした。

 結果、骨折ではなく、転んだ箇所に血栓ができてしまっていたため、しばらくは、ドクターストップ、最初は、1週間の予定が結果的になかなか血栓が消えずに、結局、一ヶ月強、休むことになりました。

 その間、毎日、血液検査をしては、お医者さんのことろに通うのですが、仕事に早く復帰しなければと焦っていた私は、お医者様からガツン!と、” あなたは、死にたいの!?” と脅され、仕方なく休みました。

 仕方なく休んだ・・というところが、我ながら、いかにも日本人です。
しかし、まともに歩けもしない間、完治するまで有給で休ませてもらえて、本当に助かりました。
 
 また、子供が病気の場合にも、親の分のドクターストップも書いてくれます。病気の子供を放って仕事に行くことはできないからです。

 財務省で働いている知人などは、今年は、もう、バカンスないでしょ!?この間も休んでいたし・・などと言うと・・この間のあれは、アレットドトラバイユ(ドクターストップ)だったから、まだ、バカンスはたっぷり残っているわよ〜” てな調子です。

 どんな、システムでも、それを自分の都合よく、使いこなしていく人って、いるものなのです。

 また、そういう人は、当然の権利だと深く信じて、主張するところが、フランス人のスゴいところなのです。
































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