フランスのモードの世界
パリは、モードの発信地として、世界的にも、誰もが認めるところとなっています。
他の色々なことが、なかなか、改善されず、古いままなのに、モードの世界だけは、なぜか、新しいものが、どんどん、遅れることなく、次々と出てくるのは、一見、とても不思議なことでもあります。
モードの世界では、毎年、春夏、秋冬、と、シーズン毎の新作のコレクションが発表され、店頭に並ぶ、およそ一年くらい前から、デザインは、出来上がっており、個々のお店が新作の注文をするのも、9ヶ月ほど前になります。
ですから、モードの世界を追っていると、ふと、なんだか生き急いでいるような気さえしてしまいます。
その年、その年の流行には、共通するものがありながら、それぞれのメゾンで独自のデザインを発表しています。
そしてまた、それぞれのメゾン、中でもグランメゾンといわれる、一流のメゾンのプライドたるや、相当なものです。
あたかも、それにふさわしい人以外には売らないと言わんばかりに、デザインを壊すサイズのものは、敢えて作らなかったりもするのです。
まあ、当然といえば、当然です。
デザインを壊してしまっては、ブランドのデザインは、崩れてしまいますから・・。
その毅然とした態度は、あっぱれとしか言いようがありません。
そんな風に、ファッション、化粧品、香水の類は、およそ、フランスの現実とは、かけ離れた速度で着々とシーズン毎に素晴らしい新作、新商品を発表していくのです。
また、新作の買い付けも、グランメゾンに関しては、華やかにパーティー形式を取っているものや、化粧品などの説明会などは、本社の美しくデザインされた研修センターや一流ホテルの大広間を貸し切っての朝食のビュッフェから、昼にはコース料理が振舞われ、1日がかりの華やかなプレゼンテーションの中で行われています。
しかし、そんな、モードの最先端を走ることが可能なのは、モードの世界も、フランス文化の古い歴史と基盤の上に成り立っているからなのです。
そして、それは、また、フランス人の美的感覚、色彩感覚の鋭さでもあり、フランス人のプライドでもあるのです。
いみじくも、あるフランスの歴史学者が、” 一見したところの美しさとは、多くの場合、ふたたび見出された過去にすぎない " と言っていますが、それは、モードの世界にも言えることなのかもしれません。
住んでいれば、トラブル満載のパリではありますが、やはり、パリの街並みは美しく、街の中に掲示されている広告でひとつひとつもまた、パリの街並みに溶け込むようなセンスの良いものばかりです。
そんなパリの街で育まれているモードの世界は、やはり、フランスのイメージそのものとなって、世界に発信されているのかもしれません。
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