2020年11月30日月曜日

ロックダウン緩和でようやく営業許可が下りた店舗

   


 フランスのコロナウィルス感染もロックダウンのおかげで減少傾向にあり、当初の予定よりも一週間近く早く、一般の小売店(生活必需品以外の店舗)もようやく営業許可が下り、土曜日から、一ヶ月近く閉まっていたお店が一斉に開店しました。

 特に欲しいものもなかったのですが、散歩がてら、久々にお店を覗いてみようと、近所のショッピングセンターに行ってみました。土曜日ということもあり、これまで買い物できなかった人がさぞかし、押し寄せているだろうと思っていたのです。

 ショッピングセンターの中は、ノエルのデコレーションがキラキラで、今まで暗く閉ざされていた店舗に明るく電気が灯っているだけで、なんだかちょっと心にも火が灯るような、そんな妙にじ〜んとした感慨がありました。

 あたりまえだった日常が戻ってきた静かな喜びです。

 ところが、いざお店をのぞいてみると、人出は大したことはなく、お店によっては、ガラガラのお店もあって、なんだか拍子抜けした気分でした。

 とにかく、お店に入ってみようと、まずは、子供服のお店に入ってみました。店舗内に足を踏み入れると、すかさず、店員さんが、「全商品50%offです!」と声をかけてきました。例年は、ノエル前の今の時期は、ほぼほぼ値引きはなく、ソルド(バーゲン)が始まるのは、年明けからです。  

営業開始とともに全品半額の子供服のお店


 今年は、一ヶ月のブランクを取り戻すために、そんなことも言っていられないのでしょう。それにしても、今から全品半額とは・・こちらとしては、嬉しい驚きですが、お店の必死さがヒシヒシと伝わってきます。

 この店舗は、フランスでおそらく一番ポピュラーな子供服のチェーン店です。

(Du Pareil au même )デュパレイユ・オ・メム

 お値段も比較的お手頃なわりには、品物も悪くないので有名な子供服のお店です。そんな大手の店舗でさえも、ノエル前から一斉に半額とは・・しかも、半額にしているからといって、お客さんが詰めかけているわけでもありません。

 他のお店はどんなかな?と思って、洋服屋さん数点に入ってみました。コマーシャルセンター内に入っている店舗ですから、ほぼ大手のチェーン店ばかりです。大幅な値引きをしているお店が多いのですが、どこも今ひとつ振わない感じ・・というよりも、お店によっては、商品が充分に置かれていなかったりして、やる気あるの??という感じです。





 これが、個人の商店であるならば、必死にもなっているのでしょうが、大手のチェーン店、おそらく、上の指示で割引にはしているものの、これまで閉店していたために商品の搬入が間に合わないのか? 勝手なことができないのか? いかにもフランスのダメな感じが、こんな危機状態にも表れているのです。

 かろうじて、人も商品も満載だったのは、マリオノ(Marionnaud)(化粧品・香水を扱う店舗)で、クリスマス前に登場するコフレ(詰め合わせセット)が山積みになり、お客さんもひっきりなしに訪れていました。

 さすがに香りの国・フランス、ノエルのプレゼントに香水・・という人は多いのです。

  

クリスマス前には必ず登場する香水の詰め合わせセット

 これから、12月にかけて、クリスマス商戦が始まるわけですが、どうやら、やはり、例年とは違う店舗の様子に私は、少なからずショック・・次回は、もう少しノエルらしい雰囲気を味わいにパリの街中を歩いてみようと思います。


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「香水を楽しむフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_87.html

「フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見」

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2020年11月29日日曜日

フランス全土で13万3千人超のデモで大荒れ パリ・フランス銀行まで燃やされる大惨事

                                                                          

  Des locaux de la Banque de France, situés près de la place de la Bastille à Paris, ont été incendiés par des manifestants en fin d'après-midi. 


 土曜日に、グローバルセキュリティ法に反対するデモが行われることは、予めデモの主催者から届け出が出ており、当初、レピュブリック広場からバスティーユ広場に向かうデモ行進が申請されていましたが、パリ警視庁の許可が下りなかったため、レピュブリック広場飲みの集会に限定されていました。

 ところが、結果的には、デモは、強行され、バスティーユ広場で大騒動になりました。

 先日の警察官による暴力事件がグローバルセキュリティ法に対する国民の反発をさらに大きくし、内務省の発表によると、デモはパリだけではなく、ストラスブール、レンヌ、リヨン、ボルドー、マルセイユなど、フランス全土で133,000人の参加者だったと伝えられています。(デモの主催者側の発表によると50万人)

 このコロナ禍中、この人出だけでも驚異的なことですが、デモの一部に、ブラックブロックと言われるデモなどに紛れて破壊行動を繰り返す集団が、暴れ始め、街頭に駐車してあった車を壊して、燃やし、トラックをひっくり返し、キオスクやブラッスリーなども燃やされ、消防車がひっきりなしに出動していました。

 警察とデモ隊の間には、バリケードが張られ、物々しい戦闘態勢、手榴弾や催涙ガスに放水での攻撃と、日が落ちていく夕刻には、パリは荒々しい光景に包まれました。

  


 極めつけは、バスティーユにあるフランス銀行(Banque de France/フランス中央銀行)が放火され、銀行の前には、警察官の暴力反対の垂れ幕を掲げた人々が、炎に包まれた銀行を背景に雄叫びをあげる恐ろしい光景が繰り広げられていました。

 そもそも、グローバルセキュリティ法に正当に?抗議する人々によって行われていたデモです。この際、コロナウィルス感染のことは、別問題として、政府に抗議することは、時には必要なことでもあると思いますが、その正当な抗議活動を冒涜するかのような、このような暴力的な破壊行動は、決して許されることではありません。

 このデモが行われた土曜日は、約1ヶ月のロックダウンにより営業停止になっていた小売店にようやく営業許可が下りて、営業が再開になった初日でした。この騒動では、少なくともバスティーユ界隈の小売店は、営業などとんでもない状態であったことは言うまでもありません。

 日頃から、血の気が多いと感じることも多いフランス人が、さらに、ロックダウンによりストレス満載状態の国民は、デモで感情を爆発させる度合いも高まっているような気がします。

 このタイミング(コロナ禍中)での、グローバルセキュリティ法の採択、そして、火に油を注ぐような警察官の暴力事件の発覚。

 マクロン大統領も、警察官の暴力事件に対しては、声明を発表してはいますが、いかにも、ごもっとも・・と言えるような、優等生的な内容で、そんな言葉では、国民には響きません。

 少なくとも、事件を起こした警察官に対しては、早急な処分ときっぱりとわかりやすい対応が求められていると思います。

 これからロックダウンを緩めていこうとするフランスは、このような事件も、早急に解決していかなければなりません。

 フランスは、荒れています。

 ようやく下がってきたコロナウィルスの感染状況もロックダウンの緩和とデモや破壊行動でダブルパンチで、再び感染を拡大させてしまう危険を孕んでいます。


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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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「防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_28.html






2020年11月28日土曜日

防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス

     


 ここ数日、フランスでは、3人の警察官によって、音楽プロデューサーであるミシェル・ゼクレールが過激な暴力を振われた事件で大騒動になっています。

 事件は、先週末、午後8時頃、パリ17区で起こりました。

 警察車両を通過した男性は、マスクを着用していなかったことから、罰金を回避するために彼の利用しているスタジオの敷地内に入ったと言います。彼を追いかけた3人の警官が玄関に入ると彼を捕まえ、殴る蹴る、挙句の果てには、武器まで使って押さえつけ、執拗に暴行が繰り返されました。

 その際に彼は、警察官から「汚いネグロ・・」などの差別的な言葉で罵られ続けたと証言しています。

 彼は警察の暴力を受けた挙句に48時間警察に勾留されましたが、釈放された後に、暴力を振われた現場であるスタジオ内に設置された防犯カメラに、警察官3人が暴力をふるっている様子が録画されていたことから、その動画とともに、暴行を受けた彼自身の画像がSNSで拡散され、マスコミも動き始めました。

 彼はせめて、防犯カメラがあったことは幸いであったと語っています。

 私もTwitterで拡散されている動画を見ましたが、あまりに暴力的で、引き裂かれた腱、開いた頭蓋骨、打撲傷等、怪我も酷いことから、ちょっと目を覆いたくなるような映像でした。


 https://twitter.com/Loopsidernews/status/1331870826652643328


 この最初の投稿に続いて、あまりの騒ぎに驚いて、様子を伺っていた近隣の人が撮影していた動画が次から次へと出てきており、騒動は、どんどん大きくなっています。

 しかし、さらに酷いことには、このミシェル・ゼクレールの勾留に関して、警察官は虚偽の報告書をあげており、この動画の拡散がなければ、この事件は、葬り去られていた可能性があることです。

 この動画の拡散により、警察は、この事件に関して、再捜査を開始し、この事件に関わった4人の警察官が身柄を拘束されています。

 これには、マクロン大統領までが、「法を執行する者は法を尊重しなければならない。憎しみの感情や人種差別を繁栄させてはなりません。私は政府に、フランス人と彼らを保護する人々との間に自然に存在しなければならない信頼の絆を再確認し、あらゆる形態の差別に対してより効果的に戦うための提案を迅速に行うよう要請します。」と声明を発表しました。

 また、マクロン大統領は、この声明の中で、「フランスは、秩序と自由の国であり、不当で恣意的な暴力は許されません」とも述べています。

 たしかに、この事件を起こしたような警察官はごく一部ではあり、全ての警察官がこのために彼らの信頼を失うことがあってはなりませんが、たしかに一部には、このような警察官は存在する話でもあります。このような事件を聞くのは初めてではありません。

 フランスには、人種差別は(意識、無意識の差はあれど)、存在します。警察官のような特別な権力を行使できる立場の人がそれを暴力を持って行使するほど恐ろしいことはありません。私自身も外国人としてフランスで生活し、どちらかといえば、差別されかねない立場です。

 もし、これが、いやこれだけではなく、私の身に危険なことが起こったら、私は、叫び声を上げることができるだろうか? そんなことさえ考えてしまいます。

 今は誰もがスマホを持ち、誰もが簡単に撮影できる時代、「助けて!」だけでなく、「誰か撮影して!」と叫ぶことも必要かもしれません。

 この件は、決して曖昧にすることなく、徹底的に追求してもらいたいです。

 土曜日もグローバルセキュリティ法に反対するデモが予定されていますが、この事件がさらにこのデモをエスカレートさせる発火剤となるような気がします。

 「防犯カメラによって、警察官が逮捕される」こんな恐ろしいことはありません。


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「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」」

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「ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状」

(人種差別反対のデモ)

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html




2020年11月27日金曜日

コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ

 

  

         

 今週に入って、マクロン大統領から発表されたロックダウン緩和へのステップを歩み始めたフランスとは対照的に、昨日、ドイツのメルケル首相は、新規感染者数に大幅な減少が見られない限り、現行の感染対策を来年の1月初旬まで延長、しかも強化する方針を表明しました。

 新規感染者の推移を見れば、フランスは一時は、一日6万人近かった新規感染者数もどうやら1万人台にまで減少し、ICUの患者もあわや5千人の壁を超えるかと思われていたところが、こちらも少しずつ減少し始め、4,018人(11月26日現在)までに下がっています。

 これまでドイツは、コロナウィルス感染に関しては、被害の大きいヨーロッパ全体の中でも常に優等生で、フランスとは比較にならないほどに、常に感染者数は、フランスよりもずっと少ない状況に抑えられてきました。

 これまでの総感染者数は、フランス 2,183,660人、ドイツ 1,001,965人(半分以下)コロナウィルスによる死者数は、フランス 50,957人、ドイツ 15,706人(3分の1)となっています。

 フランスが医療崩壊を起こして、あっぷあっぷしている時もドイツはいつもフランスを助けてくれていました。

 ところが、メルケル首相の発表を見て、ここへ来て、久しぶりにドイツの新規感染者数を見てみると、なんと、わずかではありますが、ドイツがフランスを追い抜いているではありませんか?(ドイツ14,306人・フランス13,563人・11月26日現在)

 フランスのゆるゆると思われるロックダウン1ヶ月で、よくもここまで下がってきたものだと正直、感心していますが、ドイツとて、ロックダウンと呼ぶのかはわかりませんが、感染症対策の様々な制限をしてきたはず、飲食店の営業や劇場やジムなどの文化施設も閉められ、フランスと違う点といえば、小売店の営業が許されてきたことくらいです。

 にもかかわらず、ドイツでさえも、感染状態が悪化してきているということは、小売店の営業による人の流れが、かなり感染状態に影響していると考えざるを得ません。

 感染状況からすると、フランスは減少傾向、ドイツは増加傾向にあるとはいえ、現在の数字は、どちらも似たような状況で、フランスは、制限緩和の措置をとり、ドイツは、制限を継続、しかも強化するという両極の対応。

 ノエルに向けて、ヨーロッパ諸国が制限緩和を開始する中、メルケル首相は、「今の状況は、目標からは、程遠い。もうひと頑張りしなければならない」としています。

 特に、ノエルのバカンスはスキーのシーズンでもあり、また、ヨーロッパでは、スキー場になっている山を隣国と共有しているようなところがあり、ドイツは、EU全体に対しても、特にノエルのバカンスにスキーをすることを禁止するように呼びかけています。

 フランスは、12月15日以降、ロックダウンが解除となった場合、移動制限はなくなり、72時間以内のPCR検査等の衛生管理規則を守れば海外旅行も許可されることになりましたが、スキーに関しては、スキー場は開けてもいいが、リフトは営業禁止というどこか不明瞭な立場をとっています。

 ヨーロッパという地続きの国々での制限の違いは、このバカンス期間は特に、ある程度は、足並みを揃えなければなりません。

 12月のこの対応の違いが1月には、どのように表れるのか、制限が緩和されることにちょっとホッとしかけたものの、ドイツの対応を見て、やっぱり不安が膨らんでくるのです。


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「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

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2020年11月26日木曜日

段階的なロックダウン緩和〜解除策には、83%のフランス人が賛成

                                           

  Comment vont se dérouler Noël et le Nouvel an cette année ?


 一昨日にマクロン大統領から発表された段階的なロックダウン緩和から解除に向けてのシナリオには、83%のフランス人が賛成しています。

 概ね国民には、好意的に受け入れられたノエル・年末年始の予定ですが、12月15日にロックダウンが解除されるには、一日の新規感染者数が5000人以下、ICUの患者が2500人以下まで減少した場合という条件がついていることを皆、ちゃんと聞いていたのかな?と、ちらっと思います。

 とはいえ、現在のフランスの感染状況を見ると、まだ一ヶ月はあるし、まるで不可能な数字でもありません。

 そんなこともあってか、73%の人が12月15日までは、現在のロックダウンの制限を厳密に尊重すると答えています。(2回目のロックダウンが発令された10月28日の段階では、98%が尊重すると答えていたので、すでに大幅に減少しているとも言えます)

 このロックダウンの制限を厳密に尊重するというのが、もはや、この約1ヶ月間に起こっている数千人単位のデモや数百人にも及ぶパーティーなどのことを考えると、どの程度の尊守なのかはわかりませんが、ひとまず、目の前にぶら下げられたニンジンのために、頑張るつもりになっているのかもしれません。

 しかし、ともかくも週末からは、生活必需品以外の店舗も営業が許可され、20キロ、3時間以内の外出は許可され、ノエルには、家族と過ごすための移動も許可され、ノエルを家族と祝うこともできるのですから、多くの人が賛成というのも、そりゃそうだろ・・と、思います。

 しかも、ノエルと年末年始に関しては、「個人の自覚を持っての自粛して過ごすことを要請する」などという、「ここは、日本か??」と思うような政府の物言いで、そんなことが通用するほど、フランス国民は甘くありません。

 ノエルと年末に対してのこの政府の取った措置は、そりゃ〜国民には受け入れられるだろうけど、だからと言ってフランス人がおとなしくノエルと年末年始を過ごすわけがなく、政府は第3波への大きなリスクを背負ったのです。

 かといって、ノエルを制限するようなことがあれば、それこそ暴動でも起きかねないフランスです。もはや、国民のノエル圧を抑えきれない政府が半ば妥協して提案したとしか考えられません。

 何が起こっても、政府のせいだと責任転嫁する国民には、今回の政府の提案に反対する理由はありません。残り17%の反対の人は、おそらく、少なくとも1月20日までは営業が出来ないレストランやバー、ホテル、スポーツジムなどに関わる人々だと思います。

 しかも1月20日に営業ができるという確証もないのですから、怒り心頭なのも当然理解できます。(その上、このノエル・年末年始後の感染状況は、悪化している可能性大なので、さらに、それより先に延期されることも充分に考えられます)

 今日、近所にちょっと買い物に出かけましたが、街は着々とノエルのデコレーションが進み、街に出ている人たちも、とりあえずのメインイベントであるノエル・年末年始の目処がついたことから、どこかホッと落ち着きを取り戻したかのような雰囲気が漂っていました。

 今週の土曜日から営業が許可されたお店は、まだ今日の段階では営業していないものの、店内では、さっそく営業再開の準備をしている様子でした。

 とりあえずは、多くの人が当面のおおよそのプランが出たことで、少しホッと落ち着きを取り戻している雰囲気が、これまで先の見えない不安というものが、どれだけ人を変えていたのかと・・そんな不安定な状況が続くことへの心理的な影響の大きさを逆に思い知らされた気がしたのです。

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「フランスの感染がおさまらないのは政府の責任というフランス人」

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2020年11月25日水曜日

フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見




 フランスのロックダウン緩和は、とりあえず、今週末の全ての商店がオープンすることから始まることになりました。大方の予想では、12月からと言われていただけに、一週間早くなった全てのお店の再開は、明るいニュースです。

 そして、これまでどおり、外出許可証は必要ではありますが、自宅から20km、3時間以内の外出が認められるようになります。沢山のお店がオープンしても、行けないじゃん!と思っていましたが、パリは狭いのです。行きたい所もそうあるわけでもありませんが、とりあえず、行こうと思えば、いつでも行けるようになることは、思いのほか嬉しいことです。

 さらに、12月15日には、ロックダウンが解除になり、映画館、劇場、美術館などが再開し、外出規制が撤廃されますが、夜9時から午前6時までの時間帯の外出制限措置(夜間ロックダウン)が取られます。

 普通の生活が近づいてきました。

 しかし、レストラン、バー、スポーツジムなどは、年内の再開はできませんが、どうやら、ノエルを家族で祝うことはできるようになるようです。

 特に12月24日と31日は、夜間ロックダウンも撤廃されるという甘々な措置、公道での集まりは禁止されていますが、今は、まだロックダウン状態でさえ、ここ数日のデモの人出を見ていると、これが守られることは、どうにも信じ難く、今からシャンゼリゼが人で埋まる様子が目に浮かぶようです。

 つまり、ノエルのバカンスには、皆が家族に会うための移動を始め、衛生管理に気をつけてと呼びかけてはいるものの、ほぼ、例年に近い年末年始を迎えることになりそうです。

 そして、このまま、感染状態が減少していった場合は、(一日の新規感染者数が5000を下回っている場合)、1月20日には、レストランやスポーツジムの営業が認められるようになります。

 マクロン大統領から、ロックダウンの緩和についての発表があると聞いて、小売店等の再開は、おおよそ予想がついていましたが、一番の問題は、ノエルをどうするのか?が最も気になっていましたが、まさかの24日と31日の開放に、今から、クリスマスイブと大晦日の惨状が目に浮かぶ気がします。

 これまでの締め付け?られた生活の鬱憤が、ノエルと年末年始に一気に爆発するような気がするのです。

 例年の一般的なフランス人の傾向としては、ノエルは家族と過ごし、大晦日は、友人と騒ぐという人が多く、特に31日は、レヴェイヨンと言われ、年明けのカウントダウンの瞬間は、より多くの人が集うのです。

 マクロン大統領からの発表があった数分後には、SNCF(フランス国鉄)の予約サイトは400%に膨れ上がり、これまで予約を躊躇していた人々が一気に予約を開始したようです。

 さっそくみんな、出かける気まんまんです。ちなみにフランスにはGO TOキャンペーンはありません。

 この会見で、マクロン大統領は、「第2波のピークは過ぎたけれども、依然として、深刻な状態、なんとしても、感染の第3波、第3のロックダウンは、避けなければならない」と話していますが、このノエルと年末への対応を考える限り、第3波は確実、1月20日のレストラン再開は、絶望的だと思います。

 しかし、フランス人の様子を見ている限り、ノエルをシャットダウンすることは不可能、こうするしか仕方がなかったかもしれないとも思っています。

 私個人としては、12月15日からのロックダウン解除は嬉しくもありますが、その間に、再び、次のロックダウンに備えなければ・・という気分になっているのです。

 フランスのコロナウィルスによる死亡者は、とうとう5万人を突破(50,237人)しました。


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「フランスの年末年始にかけての食事」

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2020年11月24日火曜日

サン・ドニの難民キャンプ解体による避難所要求のデモ

 Les migrants ont installé leurs tentes place de la République à Paris (photo d'association).


 次から次へとよくも、こんなに色々起こるもんだ・・と、ため息が出るほどです。

 一昨日のデモに続いて、またデモ・・です。

 先週の初めにパリ北部、サン・ドニ(セーヌ・サン・ドニ県)の難民キャンプで、警察により、2,500人が追放され、移動先の宿泊施設の解決策がないままに、700人から1,000人の人々が路上に残されました。

 行き先を失くした人々のうち、400人以上が安全を確保するために、パリ・レピュブリック広場に集結して、テントを張り、セーヌ・サン・ドニ県、パリ市役所、政府に対し、基本的権利の尊重と難民に対する警察の暴力の即時かつ継続的な終結と、1,000か所の無条件の即時宿泊施設の設置を要請しています。

 権利の主張は、あらゆる人に共通するようです。基本的権利や警察の暴力に対する抗議はまだしも、無条件の宿泊施設とは意味がわかりません。

 彼らは、同時に、先週のキャンプ解体による避難中に警察がとった暴力的な行動に対して、県と内務省に対する苦情の申し立てもしています。警察のとった暴力行為といえば、さっそく、先日、大きなデモを引き起こしたグローバルセキュリティー法第24条(警察・憲兵隊の撮影を禁ずる法律)の是非が問われる案件です。

 そして昨夜のレピュブリック広場に集結した難民との間にも再度、緊張状態が生じ、警察だけでなく憲兵隊まで出動する騒動に発展しています。

 もともと、サン・ドニといえば、パリ郊外の中でも治安の悪さで有名な地域、私は、20年以上パリに住んでいて、ほんの数回しか行ったことはありません・・というよりも、敢えて近寄らないようにしている場所です。

 サン・ドニ界隈に行けば、難民の多さは一目瞭然、ここはフランス??と思うほどの移民の多さ、治安の悪さは、すぐに肌で感じることができます。治安の悪さを肌でひしひしと感じるってなかなかスゴいことです。

 何か事件が起こる度にサン・ドニの地名が上がり、今回のコロナウィルス感染においても、パリ近郊では一番、感染状態が深刻だった場所です。

 一昨日も、殺人事件が起こったばかり、先日のテロ事件で、共犯で手配された犯人もサン・ドニのアパートで逮捕されており、私の身近なところでは、知り合いのガイドさんが、サン・ドニ界隈のホテルに日本人ツアーのお迎えに行ったところ、強盗に襲われ、殴り殺されたという悲惨な事件もありました。

 移民も多く、生活水準も低く、治安も悪いことから家賃も比較的安く、若者が多いのも特徴で、人が埋もれて暮らしやすい場所でもあります。

 今回、難民キャンプが追放されたことで、パリ中心部での騒ぎに発展して、彼らの意図した通りに注目を浴びましたが、サン・ドニを追放された700人から1,000人近くの人が行き場を失い、パリ近郊を放浪していることになります。

 治安が悪いサン・ドニを避けている私には、避けているものが向こうからやってくるような気持ちにさせられます。

 感染対策も含めて、難民キャンプを追放したと思われますが、追放するだけでその後の準備がなされていない雑なやり方は、また別な混乱を生むだけです。

 ロックダウン中とは思えない光景は、政府がわざわざ作り出している部分もあるのかもしれません。

 この騒動は翌日まで持ち越し、この避難した難民を擁護する人々がちょっと目眩がしそうなほどの規模で、再びレピュブリック広場に集合し、デモを行っています。


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「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

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2020年11月23日月曜日

シャンゼリゼのイルミネーション点灯がフランス人のノエル気分に火を灯す

 Image


 昨日、毎年、恒例のシャンゼリゼのイルミネーションが点灯されました。これから1月まで、シャンゼリゼは美しいイルミネーションに彩られます。

 私も毎年、一度は、このイルミネーションを見物がてら、まだ、日が落ちきらない、一番ライトアップがきれいに見える時間を見計らって、シャンゼリゼの近くに買い物に出かけて、立ち寄っていましたが、今年は、行けるかどうか??

 シャンゼリゼのイルミネーションをきれいに写真を撮るのには、ジョルジュⅤ(メトロ駅)よりちょっと下あたりが綺麗に撮れます。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、街路樹に付けられるライトの色やデザインが毎年、変わり、今年は、どんなデザインになっているのか? それを見届けるのも楽しみにしています。やはり生で見るシャンゼリゼのイルミネーションは、圧巻です。

 今年のシャンゼリゼの点灯式は、例年よりは、ずっと縮小されてはいたものの、カウントダウンが行われ、そんな映像だけ見ていると、ロックダウンを忘れそうになります。

 2年前にシャンゼリゼのイルミネーションを見に行った時は、ちょうど、黄色いベスト運動が盛んに行われていた頃で、不謹慎にも、シャンゼリゼのイルミネーションに加え、警察車両の青いライトがきれいだと思ったりしたことが、すごく印象に残っています。

 シャンゼリゼのイルミネーションとともにシャンゼリゼの下の方にオープンするマルシェ・ド・ノエルも今年は、どうなることやら・・毎年毎年、同じもので、変わり映えもしませんが、季節の風物詩でもあります。

 しかし、今年は、マルシェ・ド・ノエル以上に営業許可を心待ちにしている一般の小売店、今週には、マクロン大統領から発表があるとのことで、色々な情報が錯綜しています。

 営業が許可されるかどうかなどの情報に紛れて、来年、3月初めから3回目のロックダウンが始まりますという政府から出されたという偽造文書まで流されています。ちょっと考えてみれば、目先の営業許可を出すか否かということでさえも、躊躇している状況で、3月からのロックダウンの発表を政府ができるはずもないことは、すぐにわかることです。

 現在のところ、ロックダウンの効果で、新規感染者も1万人台にまで減少してきて、緩和に向けて勢いづきそうになっている国民を「今回の発表はロックダウン解除ではない!」としきりにブレーキをかけていますが、どうやら、小売店の営業は許可されるのではないかという見方が強いです。

 だいたい、数千人規模のデモが許可されて、生活がかかっている小売店の営業が許可されないというのは、おかしな話です。

 マスク着用や店舗内の人数制限、衛生管理を行えば、営業は可能だと思います。どうしてもマスクをし続けることができず、滞在時間も長くなり、衛生管理がお客さん側の良識に委ねられるのレストランやバーについては、年内の営業は不可能なようです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションの点灯は、フランス人のノエル気分に火を灯したようなもの・・着々と近づくXデー(ノエル・クリスマス)は、もうすぐそこまで来ています。

 これまでの様々な出来事に対する政府の対応を見ていると、ノエルを家族で祝うことを全面的に政府が禁止することはあり得ません。とはいえ、到底、野放しにできる状態でもありません。

 新規感染者は減少したものの、ここ一週間のフランスでのコロナウィルスによる死亡者は4,209人と1時間に25人が亡くなっている状況、4月以来の驚異的な数字を記録しています。

 ノエルのバカンスの移動を許可するタイミングや家族での集まりの人数制限など、問題は山積みです。黄色いベスト運動などで、あれだけ嫌われていたマクロン大統領も支持率が41%と上昇しています。

 このノエルと年越しを迎える重大な局面をどう乗り切れるのか? 夏のバカンス解禁で大失敗している前科を持つフランス政府が、夏のバカンスに次いで、フランス人が大切にしているノエルをどう対処するのか? フランスは、国民の良識に頼れる国ではないのです。

 この重大な局面、全て、マクロン大統領の裁量にかかっています。

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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年11月22日日曜日

グローバルセキュリティー法に反対する数千人規模のデモ

                                           

Place du Trocadéro à Paris ce samedi 21 novembre, manifestation pour le droit d'informer


 これがロックダウン中の光景であることに驚かないわけにはいきません。土曜日にデモがあることは、前日からわかっていましたが、まさかこれほどの人出とは・・・。

 この人たちの外出許可証の理由は、どの欄にチェックしてあるんだろう? と思って姉妹います。外出許可証の外出理由の中には、「デモに参加」なんていう項目もないし、まさかの「健康を維持するための運動」???なのでしょうか? クソ真面目にそんなことを考えている私は、日本人なんだな・・なんてことを思います。

 しかし、デモ自体が一応、警察に届出が出ており、許可?されたものである以上、参加する人もOKということなのでしょうか? フランスに住んで、もう20年以上経ちますが、本当にフランスという国は、未だによくわかりません。

 このデモは、20日(金)の国会において、グローバルセキュリティー法の第24条が採択されたことによるもので、これに異議を唱える数千人の人がパリ・トロカデロ広場に集まりました。

 グローバルセキュリティ法の第24条は、国民を保護する立場である警察や憲兵隊を保護するために、彼らを撮影する(顔や身分を明かすもの)ことを禁ずる法律で、これに違反した場合は、1年間の懲役と45,000ユーロの罰金を規定しています。

 たしかに彼らが撮影され、それが悪意を持って拡散されることによる危険もありますが、逆に、人種差別とみられる警察の横暴な振る舞いなどが表面化したりすることもあります。この法律が容易に認められ難いのは、当然です。

 いずれにせよ、表現の自由を声高に訴える国で、この種の法律の採択は、物議を醸すのは、必須。

 このロックダウン中の、しかも感染がおさまるか否かの瀬戸際のようなタイミングにわざわざ国民を刺激する法律をどうしても急いで採択したことの方が解せません。明らかにデモが起こるであろう採択を今、国会でするのはどういうつもりなのか?と思うのです。

  

デモの終盤、警察とデモ隊の衝突

 実際に、このデモ自体も取材しようとする人と警察との間に衝突が起こっています。

 国民を守るはずの警察を守るための法律が、さらに、衝突を起こし、感染も拡大させる悪循環の最悪のシナリオです。

 数千人がデモに集まり、警察と市民が戦う様子を見ていると、ロックダウンどころか? この人たちは、今、何と戦っているのだろう??と思います。

 今、まず、戦うべきは人と人ではなく、コロナウィルスなのです。


<関連>

「ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html

「ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_7.html


2020年11月21日土曜日

フランスのメディアが日本のクラスター対策に注目し始めた!


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 ここのところ、フランスのメディアで再び、日本の感染症対策の利点に注目し始めました。

 一度目は、マスクの着用が有効か否かという極めて、基本的な感染症対策について、日本などのアジア諸国では、日常的にマスクを着用する習慣があるために、感染が広がりにくいということで、日本が取り上げられていました。

 普段、フランスではあまりニュースに上がることのない日本の話題、Japon・ジャポン・・という言葉が聞こえてくると、「ん???なになに??」と耳がダンボになるのです。

 今回は、マスクとは別次元の話で、日本が取っているスーパースプレッダーと言われる感染者の中でも、特に一人で数十人に対して感染を広げる人物を特定して、感染者の追跡と隔離を行っている流行の波の始まりを芽で潰す日本のスーパースプレッダー対策に注目しています。

 「日本は、これまでに一度もフランスのロックダウンのような大規模な外出制限はしていない。フランスと違って、個々の感染例の起源を突き止め、スーパースプレッダーを割り出している。日本の人口は、フランスの倍近いが、感染者数は、16分の1で、死者数に至っては、とても比較にならない。日本がこれほどまでに感染を抑えることが出来ているのは、日本がこのスーパースプレッダーを特定し、感染者の追跡を行っているからである。フランスも第3波を回避するためには、この方法が有効であろうことから、複数の専門家がこの追跡方法を検討し始めている。」と、フランスのメディアは報じています。

 夜のゴールデンタイムのニュースで堂々と日本が取り上げられているのは、嬉しいことです。

 夜のニュースを見ながら、「どうだ!日本は凄いだろ!」と、日本人として、なんとなく誇らしい気持ちになりながらも、「日本の感染がフランスよりずっと抑えられているのは、それだけじゃないんだ・・日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、日常からの衛生観念など、たくさんのことの積み重ねなんだ! 日本人は一度使ったティッシュをもう一度使ったりはしないぞ! コロナがなくてもみんな手を洗うぞ!除菌してるぞ!」などと思っていました。

 しかしながら、国民の意識を急に変えさせることは無理だとしたら、スーパースプレッダーを追跡することは、フランスにも可能な、有効な手段なのかもしれません。

 ましてや、PCR検査を拡大して、検査を多く行ってはいても、感染者の隔離がほとんど出来ていないフランスでは、スーパースプレッダーを特定し、少なくとも、多くの人を感染させる人だけでも、厳重に隔離することできたら、効果が期待できるかもしれません。

 フランスにまだ、第3波が来ていない?のは、一先ず、ゆるゆるとはいえ、一応、ロックダウンの措置を取っているからであり、しかも、今はまだ、第2波の真っ只中、第2波のピークを超えられたかどうか・・という状況なだけであり、これから、ノエル、年末年始を控え、気温もさらに下降していく季節を迎えるフランスが、第2波が少し、おさまりかけてきたとはいえ、第3波を迎えるのは確実です。

 今からでも、日本のスーパースプレッダーを追跡する方法に注目し、フランスとしては、新しい試みを模索していることは、嬉しいニュースに違いありません。


<関連>「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html














2020年11月20日金曜日

衰退するボジョレーヌーボー



 

              

 今年は、コロナ騒ぎでボジョレーヌーボーの日もすっかり忘れていました。

 ボジョレーヌーボーは、毎年、11月の第3木曜日に解禁と決められているフランス・ボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した赤ワインです。(ボジョレーヌーボーとしては、白ワインは認められていません)

 もともと若く醸造期間も短いので深みというものはなく、フレッシュな風味を楽しむワイン、値段も安く、安いものは、3ユーロ程度から、高いものでも 6.5 ユーロくらい(400円から800円)のお手軽価格です。なんといっても、日にちが決まっているので、その季節のその時期に楽しむ、なんとなく季節を告げる年中行事のひとつのような感じです。

 ですから、ほんの少し経って、ノエルの頃にでもなれば、ボジョレーヌーボーはまるで賞味期限切れでもあるかのような感じになってしまうのです。

          

こんなかわいいパッケージのものもある

 以前は、みんなで「今年のはどう?」なんて、いっちょまえに語りながら、簡単なおつまみを用意して、ワイワイと味見をしたりしたものです。

 しかしながら、ここ数年、スーパーマーケットのボジョレー解禁日のボジョレー売り場も、どんどん縮小され、お祭り感もなくなり、扱いもめっきり地味になってきました。

 ボジョレー解禁日には、仕事でお得意先に届けたりしていた時期もあったのですが、そんなこともいつの間にか廃れて、なくなってしまいました。

 今年は特に、コロナウィルスのためにロックダウン中、ボジョレーでパーティーなんていうこともできないので、ますますボジョレーヌーボーは盛り上がりません。

 一時、日本では、時差の関係から、11月の第3木曜日が現地のフランスよりも早く訪れるために、早くボジョレーが味わえると大変な騒ぎになっていたこともありましたが、フランスでは、そもそもボジョレーでは、そんなに大げさには騒ぎません。

 それがコロナのおかげでいっそう地味になりました。

 それでも、酒瓶が沢山並んでいるのを見てるだけで、なんとなくご機嫌になれる私としては、一応、買い物のついでに今年のボジョレーは??と売り場を覗いてみたものの、ボジョレーに群がる人は、ごく僅か・・ワイン好きらしきおじいさんが数名のみ・・なんとも寂しい光景でした。

 どちらかといえば、ワイン全般を扱う秋のワインフェアの方がよっぽど人が多く、カタログ片手に集まるおじさんで賑わっているくらいです。

 いずれにせよ、ボジョレーといい、秋のワインフェアといい、ワインを熱心に選んでいるおじさんたちには、結構、味わいのありそうな人が多く、ワインとともに、私は、そのおじさんたちも眺めて楽しんでいるのです。

 私は特にワインが好きというわけでもないのですが、フランスにいるならば、一番コスパも良くて美味しいのは、ワイン・・と思うようになり、日本にいた頃に比べれば、ワインを飲む機会が増えてみると、「今年はどう?」などと、味見をするかのようにボジョレーを飲むならば、ボジョレーはなんとなく物足りなくて、せっかく味見をするならば、他のワインを味見したいと思うようになり、ここのところは、ボジョレーはわざわざ買わなくなりました。

 

おそらくフランスでは一番ポピュラーなボジョレー、ジョルジュ・デュブッフ

 ワインに群がっているのがおじいさんやおじさんばかりというのも、現在のフランスの若者のワイン離れという現象が垣間見れるような気もします。

 いずれにせよ、ボジョレーの出る頃に、「今年のボジョレーの出来栄えは?」などと言い合いながら、みんなでいっぱしのことを言い合って味見をしたりするフランスの文化が衰退していってしまうことをなんだか寂しく感じる私は、それなりの世代ということなのかもしれません。


<関連>

「フランス人のワイン離れ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_13.html

 

 


 

2020年11月19日木曜日

コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張

 


 今は、ロックダウン中ではなかったのか???と、首をかしげたくなるような光景がここ数日、ニュースで流れてきます。ここのところ、コロナウィルスの感染状況は、少しずつ減少傾向にあるものの、昨日の新規感染者数は、28,383人、ICUには、4,775人(病床占拠率95%)、死亡者 456人が出ている状態なのです。

 それでも、一時期の新規感染者が6万人以上出ていた時期に比べれば、良くなってきてはいるので、そんな雰囲気も手伝ってか、ロックダウン中にもかかわらず、連日、フランスのお家芸とも言うべくデモが起こり始めているのです。

 一昨日も、グローバルセキュリティ法に反対するデモ、ゴミ収集者による労働条件に抗議するデモなどが起こっています。

 2年前の今頃は、黄色いベスト運動が起こり始めた時期で、2年前の年末は、黄色いベストでフランス国内は、大荒れで、黄色いベストのデモがエスカレートして、週末のパリなどは、シャンゼリゼなども土曜日はシャッターを降ろした上にバリケードまでして、デモの被害を防がなければならないような状態でした。

 黄色いベスト運動は、それから少しずつ内容や形を変えながら、今年3月に最初のロックダウンの直前まで続けられていました。今は黄色いベスト運動も、なりを潜めているものの、決してこの問題も解決したわけではありません。

 このようなデモもさすがフランスだけあって、現金なことに夏のバカンス期間中は、しっかりバカンスを取り、9月に入ってからのデモ・ストライキの予定を決めて、休みに入ります。

 1度目のロックダウンが解除された後も人種差別を訴えるデモや病院のスタッフによるデモ、警察によるデモなど、数々のデモが起こっていました。デモは、フランスでは日常的に起こることで、特別な出来事ではありません。

 そして、今、ロックダウン中にも関わらず、デモが起こり始めていますが、ロックダウン中なのになぜ?とも思いますが、それをきっちりと抑えきれないのには、フランス人の「自分の意見を主張する権利」を冒涜できないことにあります。

 ロックダウンの規則を守ることと、この「自分の意見を主張する権利」とが、ぶつかり合うわけです。フランスでは、デモを制止することは、単なる人出を取り締まる以上にデリケートな問題なのです。

 フランス人の「権利の主張」に関しては、先日のイスラム過激派のテロの原因にもなった、(イスラム教に関する風刺画問題)「表現の自由」=「自由に表現する権利」について、マクロン大統領自ら、「不快に思う人がいるからといって、フランスの表現の自由を否定することはできない」という発言をして、大炎上したばかりです。

 この自分たちの権利のためには、他の人が不快な思いを呑み込まなければいけないとも言うような、あくまでフランスファーストな彼の発言から、彼自身、ザ・フランス人であることを私は、再確認したのですが、この「権利の主張」こそが、1800年代から続くフランスの長い歴史に基づいたものがフランスの根底に流れ続けているのです。

 フランス人は、自分の意見を主張することに誇りを持っていますし、愛国心旺盛な彼らは、意見を言っても、反抗しても、デモを行っても、フランスという国をよりよくする・・フランスは、こんなことではいけない・・という気持ちが根底にあり、政府に反抗しながらも、デモの際には、マルセイエーズ(フランス国歌)を歌って団結するというハタから見ているとちょっと不思議に見える光景でもあるです。

 とはいえ、いくら権利を主張しようとも、コロナウィルスの感染拡大はまた別問題、きっぱりとデモを否定しきれないこともフランスの感染拡大の一端をになっているような気もするのです。


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「フランス人の年金への思い入れ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_10.html

 

2020年11月18日水曜日

保健総局長が訴えかけるロックダウン下の精神的サポートの必要性


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 昨夜、保健総局長のジェローム・サロモンが会見をするというので、「今のタイミングで彼は何を話すのだろうか?」と 思っていました。彼は、今やフランスでは、ムッシュ・コンフィヌマン Monsieur Confinement=ロックダウンおじさん と呼ばれており、1回目のロックダウンの時には、毎晩、毎晩、現れては、その日の感染状況、一日の死亡者数、ICU病床の患者数、入院患者数などを発表していたために、彼の存在そのものがロックダウンの象徴のようになってしまっているのです。

 とはいえ、当初に登場した時に比べると、彼は、ひと回り引き締まって、顔つきも厳しくなり、随分と印象も変わりました。このコロナウィルスが登場してから9カ月間に彼が直面してきた多くの厳しい状況が彼の顔に刻まれているかのような変化です。

 彼は、もともと感染症専門医で、政治家ではなく、彼がこれまで開いてきた会見も、科学的なデータと医学的見地からの発言で、ロックダウンなどの制限の詳細について発言するわけではありません。

 彼が昨夜、発表したのは、ロックダウンの効果が現れ始め、新規感染者が減少してきたこと、しかし、依然として病院のICUは、ほぼ満床状態で、地域によっては、患者の移送が必要な状況であるので、引き続き、気を引き締めて生活しなければならないということでした。

 要は、「ロックダウンをよく頑張っているね・・おかげで、ずいぶん感染のスピードが下がってきたよ・・でも、まだまだ、大変な状態だから、もう少し頑張ってね・・」ということなのです。

 ひたすらロックダウンに耐えている?国民に対して、成果が出始めたことを報告し、そのことを褒めてあげることがフランス人にはとても大切なことなのだと多くの人は言います。

 そして、彼は、感染状況に伴い、フランス人の多くが心理的苦痛を訴えていることに触れました。コロナウィルスの感染拡大により、ストレスがたまり、不安を引き起こし抑鬱状態になっている人が9月末から11月初めの間に2倍になっています。

 もちろん、経済的な問題等も大きいですが、家族や友人に自由に会えない、人と触れ合えない、ストレスを発散できないことができないことが抑鬱状態を生んでいます。個人主義と言われることも多いフランス人ですし、実際に個人主義的な考え方も強くはあるものの、その個人主義は、あくまでも人との繋がりありきの状態の上に成り立っていることが今回のコロナウィルスの危機で浮き彫りになっているような気がします。

 むしろ、個人主義と言われる彼らの方が、日常から人との会話も接触も多く、彼らのマインドを支えていたのです。

 私などは、海外生活も長くなって、自分の家族とは滅多に会えないことに慣れてしまっているし、会えないままに、もう両親も亡くなってしまったので、きっと私がロックダウンで感じているストレスは、彼らとは違うものかもしれません。

 どちらが正しいとか、どちらが良いというわけではありません。彼らの日常が彼ら自身を形成していることをあらためて、この状況が映し出しているような気がしているのです。

 ロックダウンおじさんは、他の人と連絡を取り合うこと、話すことを躊躇しないこと、一日中ニュースに繋がることを避けることなどを勧めています。

 そして「しっかり眠れていますか?」「ストレス、イライラ、不安を感じていませんか?」「集中力が低下していませんか?」「食欲はありますか?」「アルコールやタバコの量が増えていませんか?」などと、うつ病の特徴的な兆候をあげ、「これらの症状が現れたら、専門家に相談することを躊躇しないでください」と述べ、精神的なサポートを行う24時間、年中無休の専用ヘルプラインが開設されたこと(0800130000)を公表しました。

 彼の話を総合して考えるに、彼は、国民の精神的なサポートのために会見に臨んだのだということがわかります。

 ロックダウンの成果が現れてきて、頑張ってきた国民を褒め称えなければならないなど、子供じみているとか、あくまでも人と群れたがるのも、理解し難いことでもありますが、精神的に病んでしまう状況などを目の当たりにすると、それらが彼らの日常で、彼らの生活を支えている重要な部分であることを考えると、あながち冷たく否定できない気もしてくるのです。

 しかし、この感染症が蔓延している世界では、ことごとく彼らの日常は、適さないものが多すぎるのです。


<関連>

「フランスでコロナウィルスが広まる理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html


2020年11月17日火曜日

認可間近?の新型コロナウィルス対応のワクチンとフランスの現実



 ここ数日、フランスでは、新型コロナウィルス対応のワクチンの話題で持ち切りです。

 先週には、米ファイザー社(Pfizer)と独ビオンテック社(BioNTech)の研究所が、新型コロナウィルスに対するワクチンが90%有効であること、ロシアのスプートニクVワクチンは92%の効果があると発表し、ワクチン問題がヒートアップしてきたところに、昨日は、米モデルナ社(Moderna)が同社の開発中のワクチンが94.5%有効であると発表。

 モデルナ社のCEOは、「米国では、数週間以内に、「緊急使用許可」と呼ばれる承認を加速するためのファイルを提出、これにより、2020年、年内に製品の承認を得ることができます。すでに、欧州医薬品庁(EMA)との話し合いを開始しています。「数週間」以内に米国とヨーロッパで承認書類を提出します。」と発表しました。

(EMAは、欧州の医療製品市場への参入を承認するかどうかを決定する組織です。)

 このモデルナ社の発表により、フランスでもさらに、ワクチンの話題が沸騰しています。

 折りしも、ここ数日、フランスでは、ロックダウンの効果がようやく表れ始め、依然として、病院のICUの病床等は埋まり続けているものの、新規感染者が減少し始めたこともあり、徐々に明るい兆しが見え始めたことに、希望の光を見つけて、まだどうなるかもわからないワクチンの輸送方法(マイナス20℃での保管が必要なため、巨大な冷凍庫とともに輸入しなければならないとか・・)やワクチンを義務化するかどうか? ワクチンは、国民健康保険が負担するかどうか? などと言うことを盛んに話しています。

 世界中が苦しんでいるコロナウィルスのワクチンともなれば、巨大マーケット、各国、各社がフライング気味に次々と新しい前倒しの発表をするのもわからないではありませんし、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはありません。

 しかし、このワクチンが、もしも年内に認証されたとしても、今は、すでに11月半ば、年内には、一大イベントのノエルが控えており、ワクチン以前にフランスには、このノエルをどう乗り越えるかということが、目の前の最大の課題なのです。

 私は、ワクチンの接種が年内に認可され、遠くない将来に可能になるということは、あまり現実的ではないと思っています。たとえ、ワクチンの有効性が94.5%であったとしても、ワクチンというのは、あくまで、予防接種であり、治療薬ではないのです。ある程度、感染がおさまった状態でなければ、難しいのではないかと思っています。

 副作用に関しては、あまり大きくは騒いでいませんが、モデルナ社は、同時にワクチン接種を受けた人の約9〜10%が、2回目の投与後に、注射部位周辺の疲労、痛み、発赤などの副作用があることも発表しています。さらに広い範囲で使用された場合に、より深刻な副作用が出てくることも充分に考えられます。

 現在のところ、フランスは、コロナウィルスの患者だけでも、病院は、いっぱいいっぱいの状態で、ワクチンが登場したとて、予防接種ができるような状況ではないのです。

 現実的には、フランスは、ノエルを始めとした年末年始を国民の反発とともにどう乗り切るのか? そちらの方が現実的な問題です。

 下手をするとおさまり始めた感染がノエル+年末の年越しで再び爆発し、年明けには、ワクチンどころではなく、また、感染者数も増加し、患者の対応に追われる危険性が非常に高いと思っています。

 政府は、レストラン・カフェなどの飲食業に関しては、少なくとも来年の1月半ばまでは営業は無理であろうことを発表しています。

 もしも、感染がおさまってくるとしたら、それは再び、気候も良くなり、気温の上昇によるウィルスそのものの活性化のおさまり始める春頃、そのタイミングでワクチンが使えるようになっていれば・・来年いっぱいには、なんとか感染もおさまり始めるのではないか・・と思っています。

 道のりはまだまだ長い・・。


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「コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/1500.html



 

 

2020年11月16日月曜日

スーパーマーケットの日用必需品以外のコーナー閉鎖による部分的な失業手当申請の悪循環

 

日用必需品以外のコーナーがシートで覆われているスーパーマーケットの店内


 今回のフランスのロックダウンでは、前回のロックダウンのように全面的なロックダウンではなく、生活必需品以外の一部店舗、電化製品、通信機器、メガネ屋、ガーデンセンター、DIYショップ(日曜大工用品)などが営業を認められています。

 前回のロックダウンのように、薬局か、スーパーマーケットしか開いていない状態とは違って、営業許可と営業禁止の境界線の意味の理解が難しいこともあり、不公平感が高まり、結果として、不公平感を是正するために、政府は、大型スーパーやFnacなどの総合小売店(フランスの書籍、情報機器、電化製品等を扱う店舗)に対して、閉店を余儀なくされている店舗が扱っている商品(書籍やおもちゃ、洋服など)のコーナーを閉鎖させるという奇妙な政策を取りました。

 スーパーマーケットなどは、ついでに色々な買い物ができるところが利点なのですが、その一部を閉鎖しなかったたからといって、新しい人の流れを作るわけでもなく、感染対策には大した変化はなく、不公平感を是正するためだけの一部コーナーの閉鎖は、単に売り上げが減少するだけで、あまり実質的な賢明な対策とは思えません。

 その上、大手スーパーマーケット、カーフール、オーシャン、カジノなどは、この日用必需品以外のコーナーの閉鎖による売り上げ減少のために、部分的失業手当(活動の減少により、出勤時間を減らしたりして、減らされた分を国が補償するというシステム)を申請し、この措置が開始されています。

 カーフールグループだけでも9万人がこれに該当しています。当然、政府の負担も相当な金額です。

 前回のロックダウンでは、スーパーマーケットの一部を閉鎖するなどという面倒なことはしていなかったのに、今回のロックダウンでは、わざわざオープンしている店舗の一部を閉鎖させて、当然、売り上げが上がるはずの部分を不自然にストップさせ、しかも、さらにその分の補填を政府がするという悪循環。

 だいたいスーパーマーケットは、前回のロックダウンで逆に売り上げは増加したはず、今回のロックダウンのための今のところ一ヶ月の売り上げ減少などは充分に相殺されるはず、しかし、当事者にとっては、「それはそれ、これはこれ、今回のロックダウンでは、お前らがコーナーを閉めろと言って、閉めたおかげで売り上げが下がったのだから、その分は補填しろ!」という理屈です。

 どんな状況でも、自分たちが受けられるべき権利はとことん主張するのがフランスです。そしてまた、それが通ってしまうのです。

 それならば、どうせ、食料品等の日用必需品のために開店するべき店ならば、一部のコーナーを閉めるなどということはせずに開放すれば、部分的失業手当の補償などする必要もなく、その分を開店できない小規模の店舗に上乗せする方がどれだけ実質的かわかりません。

 不公平を唱える店舗とて、スーパーマーケットの一部コーナーが閉鎖されて、同種の商品が他店でも売れなくなることだけで納得できる問題でもないのです。

 それでもノエル前のこの時期、実際に消費が低迷するわけでもなく、店舗で買えない商品は、その分、アマゾンなどのネットショッピングに移行してしまうだけなのです。

 不公平感是正のためにとった、店舗内の一部コーナーの閉鎖が、不必要な税金の消費、理不尽なお金の流れを生んでいます。

 なんだかおかしな悪循環の連鎖がどんどん広がっていきます。


<関連>

「フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_31.html

「権利を主張する割には義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html

2020年11月15日日曜日

パリ近郊(イル・ド・フランス)で週末行われたロックダウン中の300人超えのパーティー


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 「意外にもロックダウンの規則を一番守っているのは、イル・ド・フランスだ!」というニュースを目にしたのは、つい一昨日のことでした。「へえ〜??ほんと、意外だな・・」と思ったのも束の間、翌日には、とんでもないニュースが入ってきました。

 イル・ド・フランスのヴァル・ド・マルヌ県、ジョアンビル・ル・ポンで、週末の夜に300人〜400人が集まるパーティーが行われ、夜中の2時に近隣住民による通報により、警察が突入して催涙ガスまで使って解散させる大騒動が起こっていました。夜中から明け方にかけての時間帯です。

 静かな住宅街にあるプールやハマムまである巨大なロフトが秘密のナイトクラブと化しており、いくら緩いとはいえ、ロックダウンのさなか、まさかの場所での、まさかの人数のパーティーの決行に警察もノーマーク、最初に駆けつけた警察官もこれほどの人数が集まっているとは思わずに、恐らく大した人数ではなかったのでしょう。

 すでに酔っぱらって、興奮状態にあるパーティーのゲストたちの方が優勢で、警察の介入に怒る人々のボトルを投げつける等の応酬と、あまりの人数に、警察は、一旦、ロフトの入り口まで戻り、体勢を立て直して、催涙ガス等の手榴弾等を使って、パーティーに集まった人々を解散させるという大騒動になったのです。

 このような特別な場所を用意し、これだけの人数を集めるパーティーは、明らかに営利目的のパーティーの開催ですが、それに乗っかり集まる人々が300人も400人もいることにも驚きです。

 現在、フランスはロックダウン中なのです。一体、どんな人たちが集まって、バカ騒ぎをして、翌日には、しらっとした顔をして生活いるのかと思うと怒りと恐怖が湧いてきます。

 翌日、警察は、パーティー参加者にコロナウィルス陽性患者が混ざっていたことがわかったので、パーティーに参加した人は、事実を隠さずに、直ちにPCR検査を受け、結果が出るまでは自粛することを呼びかけています。

 ロックダウンから2週間たって、期待していたよりは、感染がおさまっておらず、未だ生活必需品以外を扱う店舗が営業を許されずに、昨日も多くの店舗のオーナーが営業許可を求めてデモを行っていたフランスです。

 多くの人がお店を営業できなくて、困っているというのに、かたや未だに夜中に集まって飲んで騒いでいる人が後を経たないのです。

 このようなパーティーに参加するのは、若者とはいえ、もう立派な大人たち。これらの想像力のない無秩序で身勝手で思いやりのない行為がどれだけの人を直接、間接的に傷つけているのかと思うと怒りが湧いてきます。

 次から次へとやってくる患者の対応に休みなく働く医療従事者や、ロックダウンのために営業できないでいる人々、結果、失業して路頭に迷う人々、そしてコロナウィルスに感染して苦しむ人々、亡くなる人々。自分たちの行動がそのような人々を生むということを想像できない若者。

 「親の顔が見たい・・」と本当に思います。どういう風に育ったら、こんな若者になってしまうのでしょうか? 

 フランス人は感染拡大を政府のせいだと責任転嫁する傾向にありますが、責任は、このような身勝手な行動をやめない人たちにあるのです。

 結果的に、この日のパーティーは、警察もとりあえず、大勢の人を解散させることが先決で、集まった人々が捕まることはありませんでした。

 警察は、週末のロックダウンの取締りを一層厳しくすることを発表していますが、ロックダウンの取締りの項目の中にこのようなパーティーの開催を企画した人を取締る項目をぜひ、加えてもらいたいです。

 思い起こせば、4月末のロックダウン中にもパリ18区の大通りに面した広い歩道で、大音量で音楽をかけて、大勢の人たちが集まって、踊り出すという事件?が起こりました。あの時は、日中堂々、若者だけではありませんでしたが、すぐに警察が駆けつけ、集まっていた人々は解散させられました。

 あの時も、ロックダウン中なのに何これ??と、フランスは、やっぱりダメだと絶望しましたが、今回は、さらにレベルアップした深刻な事態です。

 こんなことを続けていては、感染拡大もロックダウンも永久に終わりません。


<関連>

「フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html









2020年11月14日土曜日

フランスの感染がおさまらないのは政府の責任というフランス人

  

街中ではけっこう行列も見かけます


 ロックダウンから2週間後のカステックス首相の現状報告によると、ロックダウンの効果は、恐らくロックダウンを開始した時の政府の予想に比べると、どうやら芳しくなかったようです。

 というのも、ロックダウン発表時には、2週間後の感染状況によっては、最初の2週間で開店できなかった店舗についても開店できるようにすると言っていたのが、結局のところ、2週間では、感染のスピードは若干下がったものの、劇的な変化は見られず、現状が維持されることになり、開店できる業種は拡大されなかったのです。

 恐らく政府は学校と企業と一部の商店を継続することで、ここまでの人が街に出ることを予想できていなかったと思います。

 今回のロックダウンの効果が劇的に表れないのも当然のことで、前回のロックダウンは、約2ヶ月間、学校も企業も全て閉めて、まさに街中がシンとした状態であったのに比べて、今回は、街中はほぼ普段と変わらないほどの人出。そんなに甘いわけはないのです。

 しかも、調査によるとフランス人の約60%が少なくとも1回はロックダウンに違反したことがあると回答。外出許可証に虚偽の理由を記載して、半数以上のフランス人が家族や友人とあったりしたことがあるというのです。

 たしかに外出許可証は、生活必需品の買い物に加えて、子供の送り迎えや介護が必要な家族のケア、ペットの散歩、健康維持のための1時間以内の散歩などの運動などかなり広範囲に渡っていて、ちょっと出かけるには、どれかにこじつければ、いつでも外出は可能で、実際に街中は、かなりの人で溢れています。

 私は、家の近所の様子しか直に見ることはできませんが、明らかに今回のロックダウンは、全く軽視されている印象ですが、驚くことにロックダウンが一番、守られているのは、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)なのだそうです。 

 違反というからには、単なる外出ではなく、理由をこじつけて、友人や家族に会う・・人と接するということなのでしょうが、これだけ人が出ていれば、取締りもできる状態ではありません。取締りがなければ、規則はないも同然のフランスです。私自身も今回は、買い物等で出かけても、一度も取締りをしている警官等を見かけたことはありません。

 そのくせ、フランス人は、フランスの感染拡大、ロックダウンの効果が表れてこないのは、政府のやり方が悪いせいで、自分たちの自由は奪われて、感染は一向に治らないと怒りの矛先を政府に向けます。やり方が悪いのは、たしかなのですが、(感染者の隔離がなされていないことなど・・)強いて言うのならば、意識の低い国民を甘く見ているという点が一番の政府の失敗なのではないかと思います。

 実際に、在仏日本人の日仏カップルの家庭などでは、フランス人パートナーが家族や友人との会食などの約束を勝手に入れてしまって・・とか、孫を預かることにしてしまったり・・という事態に困惑して、家族の安全をガードするのにかなり強固な態度を撮り続けなければならなかったりと、苦労しているケースが多いのです。

 甘い顔をすれば、すぐにでも人を家に呼んだり、呼ばれたりする結果に陥ってしまうのです。

 これからさらに2週間後、一応の期限の12月1日を迎えても、そうそう劇的に感染が治ることは考えづらく、それでも、感染状況が少しでも改善されれば、多くの経済危機を迎えている店舗等の現状を考慮して、現在、開店できていない店舗が開けられることでしょう。

 そして、さらに2週間が経てば、そろそろノエルのバカンスに突入です。いつもとは違うノエルになるだろうと言いつつも、ノエルに家族との接触を一切禁止するとも考えづらく、また、せいぜい人数を規制したりする程度で国民には節度を持ってほしいなどといいながら、ノエルを迎えることになるのではないかと睨んでいます。

 医療関係者は、現在の逼迫した病院の状況に苦しみながら、すでにノエル後に訪れるであろう第3波を懸念し始めています。

 こうして近い未来を予想してみると、やっぱりフランス政府のやり方がまずいかな?という気持ちも強くなってもくるのですが、日本がGO TOキャンペーンなどを行いつつも、感染がフランスのようには広がらないのを外から眺めるにつけ、日本で、あの状況を可能にしているのは、ひとえに国民の衛生観念や意識の高さによるものだと思うと、基本はやはりそこなんだな・・と思うのです。

 自分たちは、ロックダウンを守らなくても、うまくいかないのは、政府のせいと責任転嫁しておいて、どうにもならないと政府になんとかしろ!と騒ぐ・・それがフランスなのです。


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「権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html



2020年11月13日金曜日

フランスのロックダウン 2週間後の首相記者会見 12月1日までは現行どおり


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 今回のフランスのロックダウンが発表になったのは、10月末のことでした。日に日にグングン増えていく新規感染者数や病院の逼迫していく様子の報道を見て、言葉どおりにまさに遠くからやってくる波が見えるように大きな波に呑まれていくようでした。

 ですから、ロックダウンになった時も、もはや驚く人はあまりいなかったのではないでしょうか? 

 今回の2回目のロックダウンの発表の際に、今回のロックダウンは経済をできるだけ止めない方法をとるということで、学校も仕事も継続、しかし、商店に関しては、生活必需品と通信機器等のごく一部の商店を除いて営業停止、2週間後に状況が改善していれば、営業再開を検討するということになっていました。

 今回のロックダウンは、前回のロックダウンとは違って、全ての商店が営業停止というわけでもなく、食料品、薬局の他に、通信機器、電化製品、ガーデンセンターやDIY(日曜大工用品)ショップなどは営業許可になっていることから、余計に不公平感も高まり、また、ノエル前のかき入れ時ということもあり、営業できないでいた店舗のオーナーは、この2週間後の再検討に一縷の望みを抱いていたのです。

 ところが、昨日のカステックス首相の発表では、現在のフランスの状況は、まだまだ深刻な状況、感染のスピードは少し減速してきているものの、感染は増え続け、30秒に一人がコロナウィルスで入院している状況、現在の死亡者の4分の1はコロナウィルスによるもので、ICUの占拠率は95%に達しており、依然として病院の逼迫状態は悪化しているとのこと。

 すでにフランスのコロナウィルスによる入院状況については、第1波の時の記録を超えているのだそうです。

 よって、現在のロックダウンの制限を緩めることはできない、同時に例外的に失業者の権利を拡大するとの発表がありました。

 2週間後には営業できるかもしれないと微かな期待を抱いていた人々には、ショッキングな発表となりました。

 しかし、今週に入って新規感染者数が3万人台に落ち着いてきてはいるものの、(一時は6万人を超えていた)依然として一日3万人もの感染者が出ている状態では現在のロックダウンを現時点では緩めることができないのは、当然のことです。

 もはや、少々、数字に麻痺してきていますが、例えば、日本で一日3万人の感染者がいたとしたら、大変な騒ぎになることでしょう。それが3万人台まで下がって少しホッとしているのですから、どれだけ異常な事態かがわかります。

 私は、今回のロックダウンは、「これがロックダウン??」と思うほど、街には人が出ていて、どちらかというと、このゆるゆるぶりに驚いているくらいです。今日もちょっと買い物に出たら、平日だというのになんだかすごい人出、「今日、何かあるの?」と思ってしまったくらいです。

 営業していない店舗がけっこうあるのにこの状況ですから、さらに多くのお店が営業を始めたら、街にはさらに人出が増えるだろうと思うのです。仕事、学校、生活必需品の買い物、一日一時間の運動、ペットの散歩等、外出許可証さえ持っていれば、外出できるので、もはや皆が外出許可証にも慣れきって、気軽に外出するようになっているのです。

 遠距離の移動はできませんが、通常の日常生活を送るのには、何の支障もありません。

 現在のロックダウンの状況でさえ、充分に緩んでいると思われるのに、現在のフランスの感染状況でこれ以上制限を緩めるのは、ありえないことなのです。

 それでも、今は、「ノエルには、家族と過ごすことができるように・・」という少し先のニンジンが鼻先にぶら下げられている状況なので、なんとかフランス人も12月1日までの現在の制限継続は、乗り切ろうとすると思いますが、カステックス首相は、「今年のノエル、年末年始をいつもの年のように盛大に祝えると考えるのは、あまり合理的ではない」と遠回しの言い方でかわしています。

 記者会見での記者からの質問もどちらかというと、「12月1日以降は?」とか、「ノエルのための帰省の切符をとっていいか?」など、フライング気味のものが多く、恐らく今後、最も政府の対応が注目されるのは、ノエルのバカンスから年末年始の、本来ならば、フランス人が家族や友人と過ごす会食続きの時期をどのように制限するかだと思います。

 フランス人にとって大イベントであるこの時期をどう乗り切るか如何で、その後、感染がさらに爆発するかどうかがかかっています。この時期の制限は政府と国民の大きな軋轢を生みかねません。

 すでに今回の発表の際にカステックス首相は述べています。

 「敵は、国家でも政府でもない。ウィルスだ!」と。


<関連>

「フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_31.html

 


2020年11月12日木曜日

使い捨てマスクは洗って使える???

                                                                                                                                

        Les masques chirurgicaux sont lavables et réutilisables 10 fois, assure l'UFC-Que Choisir


 「これまで使い捨てと言われていたサージカルマスクは洗って何回も使うことができる!」そんな話がフランスでは、出回り始めました。

 3月のロックダウンの頃には、フランスには、マスクは国民に行き渡るほど在庫はなく、政府までもが、「日常生活を普通に送るぶんには、マスクは必要ない」などと言っていたし、医療関係者や基礎疾患などのある人以外は、マスクを買うことはできませんでした。

 私は、「マスクは必要ない」などということは、どう考えても信用できず、した方がいいに決まっていると思っていましたが、当時は、これ幸いとマスクをせずにいた人も多かったと思います。

 しかし、さすがにコロナウィルスに関する情報が出回るにつれ、大量のマスクが輸入され、また、ルイ・ヴィトンやサンローランなどの大手ブランドまでもがマスクを作り始め、マスクはした方がいい・・から、しなければならない・・義務化へ・・となっていきました。

 ロックダウンが解除になった5月の時点では、マスクは今の数倍の値段で、それでも皆が奪い合うようにマスクを買い求めていました。

 長期にわたり、マスクを着用しなければならないことから、市からも洗うことのできるマスクが配られました。市から我が家に送られてきたのは、白いマスクではなく、無地の紺色のマスクでした。

 マスク嫌いのフランス人は、マスク=病気を連想させる嫌なイメージがあるために白いマスクを嫌い、自分で工夫して柄物の生地を使って、マスクを作る人も増えました。メトロなどに乗っていると、それぞれのマスクを見ているだけでも、なかなか色々なバリエーションがあって楽しめます。

 しかし、やはり一番出回っているのは、使い捨てのサージカルマスクです。

 これまでもみんなが本当に使い捨てをしていたかどうかは、怪しいものですが、(街中にポイ捨てはしてある・・)通常は4時間使用後には、廃棄することが前提の使い捨てマスク、いくら値段が下がったとはいえ、毎日毎日、4時間おきにマスクを交換するのには、かなり費用も嵩みます。

 それが、ここへ来て、フランスの消費者団体が市販の使い捨てマスクを数種類テストしたところ、「サージカルマスクは60℃の洗濯機で洗浄可能で、その後、乾燥、アイロンをかけることで10回は使うことができる」「洗浄後も一般の人が日常生活で感染を回避するのに十分な効力を維持している」と発表したのです。

 もともとフランス人は洗濯物をお湯で洗濯する習慣があり、家庭の洗濯機でも温度設定ができるようになっています。また、アイロンをかけるのも一般的に習慣化している家庭が多いです。義姉などは、洗濯をした後にTシャツから下着までを丁寧にアイロンかけをしているのを見て、びっくりしたことがありました。

 この「使い捨てマスクが洗える」という話の信憑性がどのくらいなのかはわかりませんが、これまで4時間で捨てていたものが10回も使えるという話は朗報に違いありません。

 実のところ、マスクの在庫が圧倒的に足りなかった時点で、マスクのリサイクルのために、グルノーブル大学病院では、今回の消費者団体が行ったものとほぼ同じ実験を行っており、ほぼ同じ結果を出していたのです。

 この情報がこれまで出回らなかったのは、フランスの公衆衛生高等評議会が検査不十分として、この大学病院の研究結果を取り上げず、引き続き、使い捨てマスクは使い捨てることを推奨し続けてきたのです。

 しかしながら、洗えるマスクでさえ、どの程度、洗っているかも怪しいところ・・もし、洗えるマスクを洗ってアイロンをかけてまで、感染回避を心がけるのであれば、それだけでも、フランス人にしたら、大きな進歩だと思うのです。


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「ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post.html


2020年11月11日水曜日

プランタングループ・フランス国内7店舗閉鎖


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 10日、プランタン(Printemps)がグループの7店舗の閉鎖を発表したのは、はなかなかの衝撃的なニュースでした。

 3月のロックダウンに続いて、今回、10月末からの再度のロックダウンにより、多くの営業を許可されない小売店からは、悲鳴があがっており、衛生基準を十分に尊重して営業できるのになぜ? メトロなどの交通機関の利用が許されているのに・・、学校は継続しているのに・・と大きな不満の声があがっています。

 特に今回のロックダウンは、ノエル前の書き入れ時、多くの店舗は、例年、一年のうちで、わずかこの約一ヵ月間の間にかなりの割合の売り上げをあげる期間であるだけに、今回のロックダウンの営業停止は、前回のロックダウン以上に被害は甚大です。

 それが、小さな店舗だけではなく、まさかのプランタンまでがこれほどまでに逼迫した状態であることは、いかに今回のロックダウンによる経済危機が大きいものであるかを物語る衝撃的、象徴的な出来事のような気がします。

 1865年に設立されたプランタングループは、フランス国内に19のデパートと8か所のシタディウムストアを所有しており、約3,000人の従業員を擁しています。

 今回は、そのうちのパリ、ル・アーブル、ストラスブール、メスの4店舗とパリとトゥーロンの3店舗のシタディウムストアが閉鎖となり、(組合筋によると、関係するパリの店舗は、Italie 2ショッピングセンターにある店舗と、Champs-ElyséesとPlace de la Nationのシタディアム)2021年7月までに450人の雇用を削減する計画。これは、従業員の10%以上に相当します。

 プランタンは、一昨年前からのテロ、黄色いベスト運動のデモ、ストライキなどの大きな社会的な危機からすでに煽りを受け続けており、それに加えて、極めつけの今年のコロナウィルスによるパンデミック。

 しかも、ファッション業界では春夏ものが発表される3月からのロックダウン、たくさんの新作の商品が売れ残る中、また、夏のソルド(バーゲン)までもが、バーゲン期間が例年は6月の最終週から4週間のところを7月15日から4週間に延期され、バーゲンが始まったころには、多くの人がバカンスに出てしまっているという憂き目にあいました。

 そして、現在、一年のうちの最も売り上げのあがる時期のロックダウン、一年を振り返ってみても、そのうちのほとんどが開店休業状態。しかも、プランタンともなれば、通常は、その多くの顧客は海外からの観光客。

 現在のフランスに海外からの観光客などほとんどいません。

 その観光客でさえ、ここ数年は、デパートは、まるで博物館を見学するような買い物しない顧客が増え、日本からの観光客でも、プランタンは、ちょっとのぞいてみたいところではあっても、買い物をしたいなどという話はあまり聞かなくなっていました。

 前回のロックダウンの煽りを受けて、老舗食料品店フォションが倒産した時も、あんな老舗でも倒産するのだ・・と驚きを隠せませんでしたが、よくよく考えてみれば、フォションにしても、ここのところの顧客の購買傾向からも経営危機に陥っていたであろうことは、素人の私でさえも、想像がついたことでした。

 この経済危機の中、小さな商店はもっと大変なのかもしれませんが、老舗だからこそ難しいこと、大所帯だからこそ厳しいことも多いのかもしれません。

 今回のプランタンは、倒産ではなく、フランス国内27店舗のうちの7店舗の閉鎖です。経営陣は、「損失を食い止め、市場の動向に適応し、その長期的な持続可能性を確保するために、モデルを変革する義務がある」と述べています。

 特に、顧客基盤を再構築することを目指しており、「今後2〜3年で毎年4000万ユーロの投資を計画している」と発表していますが、大企業とはいえ、また450人の従業員削減となれば、黙っていないのがフランスの労働組合です。

 先日の業績悪化のために、ブリヂストンのフランス国内の工場を閉鎖し、従業員800名ほどを削減することを発表した際の労働組合の大きな抵抗に加えて、政府の大反対にあって、工場の閉鎖がペンディングとなっていることからも、この店舗の閉鎖についても、話が落ち着くまでは、相当な時間を要することになりそうです。

 しかし、コロナウィルスの煽りとはいえ、ショッピングはどんどんネットに移行しています。買い物をしたい人がいなくなったのではなく、買い物の仕方が変わってきているのです。ロックダウンは、さらなる追い打ち、決定打となりましたが、多くの市場がその形態を変えていかなければならない時でもあるのです。

 フランスは、老舗の格調を保ち、維持していくことは、ある程度、国そのもののあり方と似ているようなところがあり、また、老舗がしっくりとくるエレガントさを持っています。

 老舗のプライドと格調を失わずにどのようにプランタンが立ち直り、復興していくのかを私は楽しみに見守りたいと思っています。

 

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/blog-post_17.html


「フランス・夏のソルド(バーゲン)は、コロナウィルスの影響で7月15日に延期」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_23.html

2020年11月10日火曜日

フランス人はロックダウンでも着々とノエルの準備をしている

   


 なんでもグズグズと遅くて時間がかかるフランスで、唯一、毎年、感心するのは、ノエルの準備の早さです。

 だいたい、例年、トゥーサン(11月1日前後の万聖節)のバカンスが終わると、あっという間に、街はノエルのデコレーションを始めて、お店もノエル商戦が始まり、キラキラとノエル仕様のデコレーションになり、寒くなる冬でもどこか楽しい雰囲気を味わえる季節に突入します。

 今年は、ロックダウンのためもあるのか、我が家の近所はまだノエルのデコレーションが始まっていないし、だいたい閉店しているお店も多いので、あまりノエル気分ではありません。

 私は、前回のロックダウンの際に、家の中を片付けて断捨離を始めた際に、家の中から出てきた買ったまま使っていなかった洋服、バッグ、アクセサリー、香水、装飾品などをフランス版メルカリのようなサイトに載せてあったのです。

 忘れたころに、ポツポツと売れて、ちょっとしたおこづかい稼ぎになっていました。

 それが、ここへ来て、問い合わせや値切り交渉などのメッセージが急に増え、私としては、品物を送るために、外出したくもないので、あまり今は、売れなくてもいいな・・と思っていたのですが、ここのところ、連日、売れていくのです。

 明らかに多くのフランス人がノエルのプレゼントの準備を始めたのです。

 日本のメルカリは、コンビニなどで、発送を扱ってくれますが、こちらは、クロノポストやモンディアル・リレー、郵便局などが発送を受け付けてくれます。

 売れた商品の発送ラベルを自分でダウンロードして、印刷したものを自分で梱包した商品に貼り付けて、商品の預かりの下請けをしているお店に預けてくるようになっています。

 商品の注文をした人は、自分の家の近くの荷物の取り扱いをしているお店で受け取ることができます。自宅までの配達ではないので、その分、人出を介さないので、配送料も安く、一つ一つの商品に配達人が関わらないので、盗難のリスクも少ないのです。

 これは、最近、フランスに浸透しつつある配送のシステムで私としてはまず荷物がなくなることが減って、なかなか気に入っています。

 その荷物の預かり、受け渡しを専門にやっている店舗もありますが、その多くは、他のお店が副業のようにやっている場所が多く、現在のようなロックダウンの状態では、その本業のお店自体が営業停止になっている場合も多く、当然、荷物の受け渡しも行っておらず、荷物を預けられるお店を探すだけでも大変なのです。

 今日も荷物を預けに行きたくて、念のため、「お店やっていますか?」と電話したところ、「今はロックダウンのためにお店は閉まってます・・でも、欲しいものがあれば、ネットで注文を受け付けるからネットで注文してください・・」とお店の方も必死・・「すみません、クロノポストの荷物を預けたかっただけなんです・・」という私に明らかに落胆する店主と電話で話し込んでしまいました。

 以前から、ノエル前には売れるかな?と思ってはいましたが、今年はノエルもいつもどおりにはなりにくそうだし、あまり出かけたくないから、売れなくてもいいな・・と思っていたのですが、予想に反して、みんな、水面下では着々と始めているんだ・・と何とも複雑な思いにかられるのでした。

 しぶしぶと、どこか腑に落ちない気持ちで外出証明書をダウンロードしながら、買い物にかこつけて、荷物を預けるために外に出ると、外は肌寒いながらも天気が良くて気持ちよく、これでコロナがなければどんなに晴れ晴れとした気分で歩けるだろうに・・と思いながら、それでも、運動不足解消には、散歩がてら出かけるのも悪くない・・と自分に言い聞かせながら、マスクに手袋と重装備で黙々と歩くのでした。

 それにしても、フランス人のノエルへの思い恐るべし・・政府は国民のこのノエルへの思い入れと、このコロナウィルスの第2波とノエルをどうやって乗り越えるのか?

 なかなかな難題になりそうな予感がしています。


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「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見る、やたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」

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「ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトの人気商品」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_6.html

2020年11月9日月曜日

フランスのロックダウン延長は避けられない

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 「判断するのは、時期尚早だ・・」コロナウィルスの感染拡大が始まって以来、やたらと耳にするフレーズです。そして、今、また同じことを言っています。この大変な局面で、様々な制限等の措置は慎重にしなければならないのはわかりますが、数日の判断の遅れがさらに感染拡大に拍車をかけてきています。

 私は、今回のロックダウンのタイミングもいささか遅かったと思っています。しかも、甘い。

 フランスは、10月末に2度目のロックダウンに入って以来、ロックダウンの効果は一向に見えず、新規感染者数は増加するばかり、先週金曜日には、60,486人、土曜日には86,852人(前日からのバグにより正確な数字ではないとされている)と日々、新記録を更新しています。

 (コロナウィルスによる)入院患者も30,217人にまで達し、第1波の際、4月14日に記録した最高記録 32,292人に迫る勢い、また、死亡者も40,000人(40,439人)を突破しています。

 集中治療室の患者も 4,527人とフランスのICU病床の占拠率は91%にも達しています。

 特に今回の第2波で、最も感染状態が深刻なオーベルニュ・ローヌ・アルプの地域では、病床の占拠率が144%と、すでに医療崩壊を起こし、次々と患者の他地域への移送が行われており、来週には、200人ほどの患者の移送が必要になると見られています。

 このような状況の中、すでに集中治療室に入れる患者の選別も始まっています。第1波の際に医師たちが悲痛な面持ちで語っていた命の選別が再び行われ始めているのです。人出が足りずに急遽、駆り出された医学生などは、初めての現場でいきなりこの命の選択の場面に立ち会うことになり、トラウマとなってPTSDを引き起こしてしまった学生も少なくありません。

 フランスの集中治療室の数は5,000床、比較するのもおこがましいですが、ドイツはフランスの5倍の25,000床、フランスの医療体制の貧弱さが再び浮き彫りになっています。

 そもそも第2波は第1波よりも深刻な状況になると言われているのに、ロックダウンは第1波に比べてゆるゆるの状況。

 前回のロックダウンでは、学校も企業もすべて閉めて、街の中には誰もいない状況で、しかも、気候も春に向かう気温が上昇し始めるタイミングで、どうにか感染がおさまり始めるまでに2ヶ月近くかかったのに、今はともすると、これロックダウンなの?と疑問に思うような街中の様子で、しかもこれからさらに気温も下がり始めるこの時期に、そうそう簡単に感染がおさまるわけはないのです。

 そのゆるゆるなロックダウンでさえ、皆、慣れてきていることもあり、日曜日の午後など、外出許可証を持っていればいいだろうと言わんばかりに、家族で散歩に出かける様子などは、日常と大して変わらない風景です。

 学校の授業は継続され続けていますが、さすがに学校での感染も増加しています。うちの子供のクラスの子が感染して・・なんていう話を頻繁に耳にします。

 政府がノエルのバカンスまでなんとか継続したい方針なのはわかりいますが、あと一カ月半近くもある学校、このままにしてよいのかどうか・・第一波の際は学校もすべてリモートワークをしていたのですから、不可能ではないはずなのです。

 緩めのロックダウンで、前回よりも長期間にわたるロックダウンを続けるつもりなのでしょうか?

 ノエルを控えていることもあり、とりあえず、約1ヶ月の予定のロックダウンと発表されましたが、これが12月のはじめにロックダウンが解除されることは恐らく無理だろうということは、みんな薄々わかりはじめています。

 私は、現在のロックダウンの形態を続けるならば、ロックダウンを解除できる日はまだまだ遠いと思っています。ロックダウンの解除どころか、さらに強い制限が必要になってくるような気がします。

 今回のロックダウンの際にマクロン大統領は、目標とする目安は一日の新規感染者数を5,000人程度に抑えたいと言っていました。5,000という数字は、一日5万人、6万人という今の現状からは、想像もつかない遥か遠い道のりです。

 ひたすら、検査数を拡大させると言っていますが、検査を拡大させるだけで、ゆるゆると現在のロックダウンを続けるだけでは芳しい効果は期待はできず、検査の結果、陽性になった人を完全にロックダウンする方法を探すことが、フランスには何よりも必要なことだと思っています。

 とはいえ、バカンスに次いで、ノエルノエルと騒ぐフランス国民を前にして、政府が毅然としてロックダウンの延長を宣言できるかどうか? また、ノエルにさしかかるロックダウンの延長を国民がおとなしく受け入れるかどうか? 

 心配は尽きないのです。


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「フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで」 

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/12.html

2020年11月8日日曜日

アメリカ大統領選挙をフランスはどう受け止めているのか?

   

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 ここ数日、フランスは、国内でもデモなどが起こり、コロナウィルスの新規感染者数も6万人を突破し、感染状態も一段と悪化し、深刻化しているというのに、ニュースはどこもアメリカの大統領選挙が大きく占め、テレビ局は、各局のメインジャーナリストをアメリカに送り、生のアメリカの大統領選挙の動向を逐一、報道していました。

 もともと政治の話題が大好きなフランス人、報道が過熱するのもわからないでもありません。それにしても、前回のアメリカの大統領選挙の際は、あまり記憶にないのですが、ここまで熱くなっていただろうか?と思います。

 昨日の夕方(フランス時間18時頃)に、ABC, CBS, NBC, CNN などのアメリカの主要メディアからバイデン氏当確のニュースが流れるとまもなく、フランスのSNS、ツイッターのトレンドは一気にトップにバイデンが躍り上がり、バイデン氏当選の喜びの声で溢れました。

 正直、これだけバイデン氏がフランスで好意的に受け入れられていることに、少し驚きましたが、よくよく思いなおしてみれば、思いあたることもあります。

 すぐに、マクロン大統領もアメリカの新大統領ジョー・バイデン氏と副大統領候補であるカマラ・ハリス氏に向けて「アメリカの新しい大統領が決まりました。おめでとうございます。今、我々には山ほどの課題がある。一緒に頑張りましょう!」とお祝いのコメントを発表しています。

 フランスの大統領がこれだけのスピードでアメリカの大統領当選のお祝いのコメントを発表するのは、異例のことのようです。

 テレビ各局もアメリカの選挙結果を喜ばしいこととして、報道しています。

 だからといって、フランスは特にバイデン氏が取り立てて素晴らしいと言っているわけではなく、トランプ氏じゃなくて良かった・・正直、そんな感じです。

 そして、マクロン大統領がお祝いのコメントをバイデン氏だけではなく、カマラ・ハリス氏との連盟にしていることからも、アメリカでの女性初の副大統領の誕生を大いに祝福していることがわかります。

 マクロン大統領は、フランスの組閣に際しても女性を積極的に登用しており、現在のフランスの閣僚は、首相と担当大臣、閣外相を含む32人全体を見ると、女性が17人、男性15人と女性優勢の体制を敷いてきていることから、バイデン氏の大統領就任以上にカマラ・ハリス氏の副大統領就任を好意的に捉えているようにも取れます。

 トランプ大統領については、特に、このコロナ禍に突入してからの彼の様々な仰天させられる言動には、もはや、マクロン大統領も正面きって相手にすることもなく、どこか少し斜め上くらいのところから、別の立場をとってきたような気がします。

 コロナウィルスが拡散されたとされている中国の研究所(フランスが多額出資している)に関する中国の発表に際して、「中国のいうことをまともに信じてはいけない」と述べ、それに乗じてトランプ大統領が中国に対して攻撃的な言動を始めた際も、それには触れることはせずに、中国とも、アメリカともまともに相手にはしない・・あくまでフランスとしての対応を続けてきたのです。

 コロナウィルスの治療薬として、クロロキンが注目され、トランプ大統領が感染してもいないのにクロロキンを服用し始めたときは、もうフランスのメディアはどこも失笑・・その様子を報道はしていましたが、どの局でも、鼻先で笑うような感じが隠し切れませんでした。

 あのクロロキン服用で、フランスでは、トランプ大統領のおバカぶりが特に印象付けられたような気がします。

 それが、今回のバイデン氏の当確のニュースにマクロン大統領は、「一緒に頑張っていきましょう!」とコメントを発表したのです。彼がこれまで、まともに話ができないトランプ大統領にどれだけ辟易していたのかが、このコメントでわかります。

 もともと、フランスはアメリカを毛嫌いし、どこか小バカにするような人(特に年配の人に多い)も少なくない国、ヨーロッパをどこか上に見てヨーロッパの連帯を尊ぶ人が多い中、それでも大きな力を持つアメリカは、常に気になる存在です。

 これで、アメリカの大統領も決まって、しばらくは、フランスは自国の悲惨な状況への対応に集中してほしいと私は切に思うのです。

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「マクロン大統領が警告 「コロナウィルスの中国の発表をバカ正直に信じてはいけない!」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_18.html

「アメリカのものが嫌いなフランス人の夫」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_16.html





 

2020年11月7日土曜日

フランスの新規感染者6万人突破 フランス各地の高校で起こる衛生管理を求めるデモ

 

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ナントの高校で起こった高校生による衛生管理を求めるデモの果て

   

 ここ連日、フランスの新規感染者数は、新記録を更新し続け、昨日は、とうとう万人を突破し、60486人を記録しました。10月の初旬には、一日の新規感染者数は12000人前後でしたから、一ケ月で約5倍近くなっていることになります。なんという驚異的な増加ぶりでしょうか? 一日6万人の新規感染者となれば、フランスは、世界的にもアメリカに次いで堂々第2位です。

 また、フランスの場合は検査で陽性となっても、隔離がしっかりなされておらず、1週間のみの自粛生活、しかも、検査機関からは、マスクをすれば、生活必需品の買い物は行ってもいいなどと指導されているようで、ほぼ、陽性患者も野放し状態。

 1週間で約33万人の人が感染しているということは、これだけの人がまたさらに他の人に感染させることができるということです。恐ろしいことです。

 現在、ロックダウン中とはいえ、学校は継続し、会社のリモートワークもまだまだ徹底されていません。

 ここ数日、フランス各地の高校では、学生が学校側の衛生管理が十分でないことを訴えるデモがいくつも起こっています。

 ナント(フランス西部・ロワール川河畔に位置する都市)にあるリセ・デブルド二エールでは、数百名の学生が学校の入り口をゴミ箱を山積みにして塞ぎ、学校内の衛生環境に問題があり、自分たちは感染の危険にさらされていることを訴えました。

 デモは、興奮状態になり、近くのバス停付近のごみ箱が燃やされ、警察が介入する事態に発展しています。

 また、リモージュ(フランス中部にあるリモージュ焼で有名な都市)でも、リセ・ゲイルサックで学生約800人によるデモが起こり、他の人を殴打するなどの暴力行為に発展したため、警察は催涙ガスで応対する大騒ぎになりました。

 その多くの問題は、詰め込みすぎの教室やキャンティーン(給食)でのマスクを外した場所での衛生管理についての問題ですが、学生が危険だと感じる環境を、なぜ放置したまま、学校側が改善策をとらないまま授業が続けられているのか? しかも、その問題提起の方法がなぜ、デモにしかならないのか? そして、なぜ暴力化するのかがわかりません。

 大人のデモのやり方をそのまま子供が模倣しています。デモを起こしてゴミ箱を燃やしたりするのは、今やフランスでは、継承されていく伝統芸??

 フランスはデモの国、何かを抗議するには、とりあえずデモですが、衛生管理を訴えるならば、デモという抗議の方法が適切かどうかに、思い至らないのが解せません。

 また、逆にパリの高校では、衛生管理が十分になされていないということで、閉鎖された高校に学生が押し寄せて暴れるという事件も起こっています。

 学校に関しては、リスクが低いことから、ロックダウン中でも授業が継続されているはずなのですが、実際のところ、学校の衛生管理がしっかりとなされているのか? ほんとうに学校は安全なのかということについては、多くの疑問が上がっています。

 これだけの深刻な状況になっているにもかかわらず、概して、学校も会社も危機感が薄く、企業のリモートワークへの移行も十分ではありません。

 娘が現在、スタージュで通っている会社も、彼女の仕事の性質上、リモートワークが可能(少なくとも、毎日、通勤しなくても可能な業務)なのにも関わらず、未だにリモートワークには移行されていません。

 こうした現状から、政府は、学校の衛生管理の取り締まりに加えて、企業のリモートワークへの移行の取り締まりを来週からはさらに厳重に行うことを発表しています。

 ロックダウンしかり、外出する人が後を絶たない街中の取り締まりに始まり、営業しているお店の取り締まり、学校の衛生管理の取り締まり、企業のリモートワークへの移行状態の取り締まり・・取り締まりにも大変な人員を要します。

 ルールがあっても、自分たちは大丈夫・・取り締まりがなければ守らない・・結果として、締め付けがさらにキツくなる・・常に自由と権利を叫びながら、結果として、自分たちがより一層、強い締め付けの状態を作っている・・そんな悪循環のフランスです。


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「フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_12.html

 









2020年11月6日金曜日

フランスの新規感染者5万8千人突破 パリは22時以降の宅配も禁止

 

 
 ロックダウンから1週間、フランスの感染拡大は止まりません。

 昨日のフランスの新規感染者は、再び?新記録を更新し、58046人を記録しました。

 第2波の現状を重く受け止めているパリは、11月6日から、現在のロックダウンの措置に加えて、22時以降のレストランのテイクアウト・宅配サービスの営業を禁止することを発表しました。

 この規制は、外食をできない人々が家に集まってパーティーをしたりすることを封じ込めるためですが、この22時以降の宅配サービスの禁止でどの程度、効果があるかは疑問です。

 宅配サービスを利用しなくても、いくらでも家でのパーティーは可能です。むしろ、パーティーをしている人の大多数は宅配サービスなど利用していないでしょう

 にも関わらず、このような制限を加えるということは、ロックダウン後、外に出れない人々が家でなかなかの割合でパーティーをしているということで、ロックダウンとはいえ、通報者でもいない限り、家の中にいる人の取り締まりは不可能ですから、このような制限でも追加するしかないのです。

 現に、うちのアパートでも週末の夜などは、なかなか賑やかな声が聞こえてくることも多いので、たしかに家で群れている人は多いのです。

 先日、クリスマスの権利をたてに非常事態宣言の延長が通らずに激怒した保健相オリヴィエ・ヴェランは、昨日、夕刻に、現在のフランスのコロナウィルスの状況についての説明をするために、記者会見を開きました。

 詳細なデータ(数字)の発表に加えて、

・第2波は驚くほど暴力的に感染を広げ、すでにフランス国内の34県では、集中治療室が満床状態であること

・すでに61人の重症患者が他の病院に移送されている状態であること、満床状態の病院からの移送先がなくなってきていること

・ロックダウンをきっちり守らなければ、現在、4230床が埋まっている集中治療室の患者が11月中旬には9000以上に膨れ上がるであろうということ

・集中治療室の患者の4人に1人は生き残れないということ

という内容を発表しました。

 なかでも、衝撃的なのは、「集中治療室に入ったら、4人に1人は助からない」という事実、フランス人は事を難しそうに、理屈っぽく語るのが好きですが、その実、聞く方には大して響いていないことも多く、殊に今回のコロナウィルスの感染状況に関しては、もう数字自体にみんなが麻痺している状態で、一日の感染者数が5万8千人などと言っても、どこかピンと来なくなっているのです。

 ですから、今回のように、「ICUに入ったら、4人に1人は助からない」というような伝え方は、なかなか衝撃的で、(これを聞いていた人がどのくらいいるのかはわかりませんが・・)少なくとも、私は、震え上がりました。

 毎日、3000人近い人がコロナウィルスのために入院し、その1割くらいの人数がICUに入っています。患者はかなり長いことICUでの治療が続けられるので、時間のズレがありますが、今週は、一日平均500人近い人が亡くなっています。

 運よく、集中治療室から生還できたとしても、後遺症に悩まされ、長いことリハビリを続けている人が多いのです。

 どちらにしても、感染して、発症したら、ただでは済まない・・フランス人にはどのくらい響いているかわかりませんが、私には、めちゃくちゃ響いた保健相の会見でした。


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「フランスのコロナウィルス感染 第2波は第1波よりも深刻かもしれない」

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2020年11月5日木曜日

フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」

  


 フランスがコロナウィルスの急激な感染拡大、悪化から、ロックダウンの措置をとってから、まだ一週間も経っていません。当然、その効果は表れておらず、一日の感染者数は、毎日、4万人~5万人の状態、さらに深刻なのは、一日4000人近くの人がコロナウィルスのために入院しており、どんどん患者が蓄積されていく病院の逼迫状態です。

 集中治療室の患者も4000人を突破、フランスの集中治療室のキャパシティは5000床と言われていますから、すでに80%が埋まっていることになります。

 ここのところ、集中治療室の患者は一日200人前後が増加し続けていますから、もう一週間もすれば、満床になってしまいます。

 政府は、この状況を考慮し、非常事態宣言(ロックダウンとは別で、この宣言により、人の移動などの制限を行うことができます)を2021年2月16日まで延長することを提案していました。

 ところが、フランスの議会は、このコロナウィルスが蔓延する危機的状況にも関わらず、「年末の行事は特権的な瞬間」「今後のスケジュールは、すべてのフランス人がクリスマスを家族と過ごすことができるように調整しなければならない」という野党の意見がまかりとおり、投票の結果、非常事態宣言は、12月14日までということになってしまいました。

 現在の状況から考えても、たとえ、12月になって、ロックダウンの効果が表れ始めたとしても、今回の緩めのロックダウンの状況を考えても、また気温の低下によるウィルス自体の活発化することを考えても、到底、第一波のロックダウンを解除した5月のレベルに達することは、ありえません。

 にもかかわらず、フランスの国会議員は、「フランス人には、クリスマスの行事を行う特別な権利がある」とか、「クリスマスを家族と過ごせるように衛生管理のスケジュールを組むべき」などということを何ら憚ることなく発言し、あろうことかにその意見に多数が同調して、その意見が通ってしまうという驚愕の国なのです。

 フランス人は何よりバカンスを大事にし、バカンスのために生きているようなところがありますが、そのバカンスの次に大切なのが「ノエル」「クリスマス」なのです。

 しかし、ロックダウン解除後にみんながバカンスに出た結果が今の爆発的な感染拡大、そして、2回目のロックダウンを迎えて、まだ数日しか経っていないというのに、国会でどうどうとまかり通ってしまう「クリスマスを家族と過ごす権利」なのです。

 これには、政府側、厚生大臣のオリヴィエ・ヴェランは大激怒。

 「自分が今日、視察してきた病院では、コロナウィルスと戦っている医療者のこれまでの自分を犠牲にしての戦いの経過を聞いてきました。いくつかの集中治療室も訪れました。一つ目の部屋には28歳の男性が、2つ目の部屋には、35歳の男性が意識不明でたくさんのチューブと呼吸器に繋がれて横たわっていました。感染の悪化は高齢者だけのことではありません!これが今のフランスの現実なのです!このような状況で12月半ばに国民に不安定なスケジュールを提示することはしたくありません!」日ごろは、あまり声を荒げることのない彼の怒りの爆発が話題になりました。

 ここ数年のフランスを見ていると、黄色いベスト運動しかり、ストライキしかり、あまりに強すぎる「フランス人の権利の主張」が経済を停滞させ、今回は、コロナウィルスの2度にわたる危機的な感染拡大を招いています。

 コロナウィルスの感染第2波に関しては、ヨーロッパ全土に広がってはいますが、その中でも、特にフランスの感染拡大が著しいのは、この強すぎるフランス人の権利の主張が影響していると思わざるを得ないのです。

 国民がバカンスを過ごす権利を尊重して、感染を再拡大させ、さらに、クリスマスを家族と過ごす権利がまかり通ってしまうフランスに制御不能状態の危機の一旦を再び垣間見る気がするのです。

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「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」

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「夏のバカンスに突入するフランス TGV予約状況は、ほぼ例年どおり」

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「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

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2020年11月4日水曜日

フランスの再ロックダウンさなかの買い物

 

営業許可は下りてもガラガラの電気店

   

 今回は、ロックダウンになるだろうな・・ということが、けっこう前から、事前に予想できていたので、前もって少しずつ買い物をしていました。だから、おそらく、一ケ月くらいは、買い物に行かなくてもいいだろうな・・と思っていたのです。

 ところが、よりにもよって、予想外の事態がおこってしまったのです。

 ポニョ(我が家のツンデレ猫)がパソコンにお茶をこぼして、パソコンが故障してしまったのです。ポニョとて、わざとではないのはわかっているし、パソコンの近くにお茶をおきっぱなしにしていた私が悪いのですが、今は、よりにもよって、ロックダウン中でもあり、(ロックダウンではなくても今はなんでもネット頼りの私の生活)パソコンがない生活など考えられず、呆然としたのでした。

 前回のロックダウンの際は、ネットサービス自体が2日近く不通になりましたが、あの時は、私ができることは何もなく、ひたすら、ネットの復旧を待ったのですが、今回はパソコンの故障、携帯や iPadなどがあるので、まるで世界から遮断されたわけではありませんが、こうして、いざ故障となると、日ごろ、どれだけパソコンを使っているのかをあらあめて思い知らされるわけです。

 今回のロックダウンは、通信機器などのお店はやっているとのことだったので、一体、他も、どんなお店がやっているのか?と興味もあって、さっそく近所のコマーシャルセンターをのぞきに行ってきました。たしか、カーフールにも、以前は、パソコンあったな・・と思いながら・・。

 まずは、電化製品を扱っているお店へ・・。確か、パソコンも携帯電話も扱っているから、開いているはず・・案の定、他のカフェや洋服屋さんが真っ暗に門を閉ざして閉まっている中、ひっそりと?開店していました。

 しかし、ロックダウン中の限られた買い物の時間に、わざわざ電化製品を買う客など、そうそういるものでもありません。案の定、店内はガラガラ・・パソコンとて、そんなに種類があるわけでもなく、一回りして、即、退店。

 ついでに、以前はたしかパソコンも扱っていた・・と思い、一応、カーフールものぞいてみました。生活必需品とそうでないものについての境界線についても、すったもんだの挙句にスーパーマーケットの中の生活必需品ではないもののコーナーは、火曜日から閉鎖されることになっていたので、ほんとに閉鎖されているのかな?と、ちょっと興味もあったのです。

通常となんら変わりのないカーフールのおもちゃ売り場


 残念ながら、店内の工事のためにパソコンの扱いはなくなっていましたが、子供のおもちゃのコーナー、食器類などは、普段となんら変わらず、オープンされたまま・・・。

 撤去、せめて、進入禁止のテープぐらいは、貼られているかと思ったのですが、いつもと全く変わることなく、お客さんも普通に買い物をしていました。

 だいたい、進入禁止のテープが貼ってあったとしても、お客はくぐって物色し、レジに持って行けば、結局のところは、買うことができるだろう・・そんな風に思っていたのですが、想像を超えていました。

 火曜日から禁止になったのだから、火曜日から少しずつ、準備すればいい・・もしくは、注意されるまでは、ギリギリでも販売しようと思っているのでしょう。

 日本だったら、火曜日から禁止となったら、是が非でも、お店側もきっちりと規則を守るだろうし、下手をするとお客さんの側から、「禁止されているのに、あの店は・・」などと、クレームが入ったり、通報されたりしかねません。

 なにか、規則が決まっても、すぐに従わない、何につけてもゆるゆるなフランス。こういう一つ一つのことの積み重ねで、感染も拡大し、社会も混乱していきます。

 結局、罰則、罰金が敷かれるまで、規則も、ズルズルと徹底されないのです。

 不公平感是正のために敷かれたこの規則、キッチリと門を閉ざさざるを得ない店は、ますます不公平感を募らせることでしょう。

 結局のところ、わざわざ買い物にでかけた私のお目当てであったパソコンもあまり品揃えがなくて、ネットで買うことにしました。

 せっかく営業許可がおりているお店でも、結局のところは、お客さんは、ネットで買い物・・そんなケースも少なくないんだろうな・・と思っています。だって、ネットなら、選択肢もやまほどあって、レビューなども見れて、しかも値段も安い。

 お店は、ちょっと実際に触ってみたい人のためのショールームのようです。それでさえ、フランスではサービスが悪いので、ショールームの役割もあまり果たしません。

 このコロナ危機の前から、買い物はネットに移行しつつあるのですから、今は、店舗を持っている人は、リスクだらけです。

 ほかに開店していたのは、メガネ屋さん、携帯電話・ネットサービスのお店、ファストフードのお店だけでした。言われてみれば、メガネも生活必需品、しかし、だからといって、お客さんがたくさんいるのは、カーフールくらい・・しかし、そもそも、今はロックダウン中なのだから、仕方がありません。

  

携帯・ネットを扱う店舗は、盛況




悲しいほどピカピカなメガネ屋さん 誰もいない


 今回は、前回のようにほぼすべてが閉ざされたロックダウンではないため、緊張感がないと言われていますが、まさにそのとおり。国民に緊張感はないのに、閉店だけを余儀なくされている店舗の憤りもわからないでもありません。

 しかも、どの業界も同じですが、ノエル前の書き入れ時、おもちゃ業界などは、一年の売り上げの半分以上をこの時期に稼ぐと言われています。

 それにしても、私にとっては、予想外の出費・・みなさま、パソコンの水没事故には十分にご注意下さい。


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フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線

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2020年11月3日火曜日

ロックダウンが耐えられないのはフランスだけではないらしい

   

オーストリアで起こったテロの模様


 フランスで、ロックダウンによる抑圧に耐えかねて、次から次へと暴力的な事件が起こっていると思ったら、スペインなど、他のヨーロッパ諸国でも、ロックダウン反対のデモや暴動が起こっているようで、ロックダウンに耐えられないのは、フランスだけではないのだと、驚いています。

 思えば、ヨーロッパでは、これまでも、マスクの着用でさえ、反対のデモがいくつも起こっていたので、ましてやロックダウンとなれば、それも当然あり得る話なのかもしれません。

 そして、昨日、オーストリアで起こったのは、デモというより、もはやテロ・・銃などの武器が使われ、死傷者まで出て、もはや、フランスで起こっているイスラム教などの宗教がらみのものなのか? はっきりとしたことは、現在のところは、わかっていません。

  オーストリアでは、ロックダウン前日の夜の出来事で、最後の自由な夜を楽しむ人がレストランやカフェのテラスには大勢いて、突然の街中での銃撃にパニック状態になりました。

 銃撃は、時間差を置いて、数カ所で起こった計画的と思われる犯行で、その犯行の性質から、単なるロックダウン反対の動きとは、考えにくいのですが、いずれにしても、パンデミックによる混乱に乗じたものではありそうです。

 さすがに、ここまでのテロ行為には、ヨーロッパ中が大騒ぎで、マクロン大統領はもちろんヨーロッパ各国の首脳は、ヨーロッパとしての協力体制をとるという声明を直ちにそれぞれが発表しています。

 ヨーロッパ全体でのコロナウィルス感染第2波で混乱の最中に、それぞれ感染をなんとか阻止しようと躍起になって対応に追われる中、反発は、あらゆる形で表れ、もはや、このような事件は、いつどの国で同じことが起こってもおかしくないような状況なのです。

 フランスでは、ここ1ヶ月の間にいくつものテロが起こっていますし、昨日もトゥーサンのバカンス明け、ロックダウン中に再開した学校も先日、テロにより殺された教師の追悼から始まったと思ったら、また今度は、それに反抗する一部の学生が、教師に向けて、硫酸を投げつけて逮捕されたり、波乱含みの学校再開となりました。

 ヨーロッパは、コロナウィルス感染第2波に見舞われ、続々とロックダウンに踏み切り始め、感染者も急増し続け、混乱状態にありますが、この社会的な混乱状態がさらに、暴力的、攻撃的な輩の感情に火をつけています。

 また、表現の自由についての講義を担当した教師がテロにより殺害されたことに端を発したマクロン大統領の発言により、イスラム教国の多くで反フランスのデモやフランス製品の不買運動などが、かなり過激な形で広がっています。

 マクロン大統領は、テロ行為は絶対に許せない、フランスでは、表現の自由は認められるべきもので、表現することは、我々の権利でもある。表現の内容に関して、フランスは抑えつけることはできない。内容に関して、反論があるならば、あくまで話し合いをするべきだと言っているのです。

 このマクロンの発言は、フランスらしい、あくまで自分たちの権利を全面に主張するやり方、その表現により、傷つく人々への歩み寄りや思いやりが、まるで感じられません。もちろん、だからと言って、テロ行為が正当化されることは絶対にありませんが、彼の発言の仕方は、間違いなく、多くの人の怒りに火をつけています。

 今は、何よりもコロナウィルスの感染をどうにか抑えなければならない時、多くの人の感情に火がつきやすい状況。

 今、ヨーロッパで起こっているテロの全てが同じ目的のものかどうかは別として、此の期に及んで、自分の権利を全面に出した主張で人の怒りを煽ることは、どう考えても得策ではありません。

 コロナウィルスは宗教や思想は関係なく、すべての人を襲う、今のところ、向かうところ敵なしの強敵なのです。

 人間同士が争っている場合ではないのです。



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「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」

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2020年11月2日月曜日

再ロックダウンが完全なロックダウンではないことから生まれる混乱


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パリ郊外・サルトルビル(イル・ド・フランス)で放火されたバス


 フランスは、再ロックダウンとはいえ、今回のロックダウンは、前回のロックダウンとは、かなり違うスタイルのロックダウンで、前回のロックダウン時には、本当に街は静かで、人が出歩いているのを見かけることも稀なくらいだったのに比べると、今回のロックダウンは、ずっとたくさんの人が街に出ています。

 もちろんレストランやカフェなどは、テイクアウトや宅配のみの営業とはいえ、それができている店舗は少なく、ほとんど閉鎖状態ですが、以前は生活必需品、主に食料品、医薬品を扱う店舗のみの営業だったのに比べて、情報機器、電化製品、ガーデンセンター、DIYショップなどのちょっと生活必需品かどうかの境界線がつきにくい店舗の営業が許可されています。

 当然、生活必需品かどうかということだけでなく、営業することによって、感染が懸念されるかどうかという観点から、危険はないだろうということで、営業許可を求める小売店の声があとを絶ちません。

 この不公平感是正のために、なんと、大型スーパーマーケットなどで扱っている生活必需品ではない商品のコーナーは3日(火)から閉鎖されることが発表されました。思わず、そっち??(すでに営業している店のコーナーを閉める?)と思いましたが、後を絶たない営業許可を求める声を封じるには、手っ取り早い方策なのかもしれません。

 前回は、閉鎖されていた学校も(昨日までは、トゥーサンのバカンスでした)再開されます。本日から1200 万人の学生が登校します。(学校では6歳以上からマスクが義務化)フランスの場合、小学生には、送り迎えの保護者も登下校の際には付き添うので、実際には、保護者も含めるとその1.5倍くらいの人が街に出ます。

 これだけの学生・保護者が普通に登下校すれば、街中の様子は、前回のロックダウンとは随分と違ったものになり、当然、緊張感も緩むことでしょう。

 まだ、再ロックダウンになってから3日しか経っていないにも関わらず、相次ぐテロに加えて、ロックダウンという事態に耐えられない、受け入れられないと思われる人の暴力行為が後を経ちません。

 昨日は、カンヌで取り締まりに当たっていた警官がハンマーで頭を殴られ重症。モンペリエでは、黒い服を着た約10人ほどの銃撃事件が発生(ドラッグを巡る抗争と見られています)。そして、パリ郊外、サルトルビル(イブリンヌ・イル・ド・フランス)では、回送中のバスから運転手が引き摺り下ろされ、バスが放火・・明らかに病んでいると思われる人々が急増し、フランス・・どうしちゃったの??大丈夫かな??と心配になります。

 辛抱強い日本人に比べて、明らかにメンタルが弱いフランス人。抑圧されたり、制限されたり、緊張状態に耐えられない人が多いです。前回のように、全く外に出られないという状態ではなく、仕事も学校も継続され、街には結構、人が出ている状態では、網の目を潜って、このようにメンタルが崩壊してしまった人も街に出て、何かしら事を起こします。

 コロナウィルスの原因を中国人だとして、中国人(アジア人)攻撃を企む人々も同じです。

 メンタル弱めで、我慢ができずに何かと爆発して暴れるのは、多かれ少なかれ、フランス人に共通する傾向です。

 たしかに、3月から2ヶ月間近くは、ロックダウン状態でしたが、夏の間は、多くの人が、バカンスに出て、充分に楽しんだではないですか? その結果が今なのです。とりあえず、ここ1ヶ月くらいのロックダウン(しかも、完全なロックダウンでもない)、我慢ができないのか? 甘ったれるな!いい加減にしろ!と腹立たしい気持ちです。

 政府は、もっと、現在の深刻な状況を具体的にわかりやすく国民に説明し、何のために今、ロックダウンをしなければならないのかを国民に納得させなければなりません。

 再ロックダウンを発表した際は、「このロックダウンを乗り切って、何とか家族でノエル(クリスマス)を迎えられるように祈っています」などと言っていた政府も、早くも「今年のノエルは、いつものノエルと同じようには過ごせない」と言い始めました。

 そんなことは、最初からわかっていたことで、どの時点でよし(ロックダウン解除)とするのかは別として、この再ロックダウンも到底1ヶ月のみで終わるとは思えません。冬の間(気温が下がっているからこそ起こっている感染拡大でもありますが・・)のしかも、フランス人にとってバカンスの次に大切なノエルを過ごす権利を脅かされたフランス人のメンタル崩壊が今から心配です。


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2020年11月1日日曜日

コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」

 


 

 2度めとはいえ、「ロックダウン」という国全体の一大事と言える事態が起こって、本来ならば、ニュースは、ロックダウン一色になっているだろうタイミングで、フランスでは、毎日、ロックダウンのニュースを塗り替えるような出来事がここ数日、次から次へと起こっています。

 近々では、パリ郊外で起こった、表現の自由の講義を担当していた教師が路上で首を掻き切られて殺されたり、ニースのカトリックの教会内で祈りを捧げていた信者3名が刺し殺されたり、昨日は、リヨンのギリシャ正教会の司祭が銃で打たれるという事件が起こりました。

 いずれも、イスラム過激派によるテロと見られていますが、物騒なこと極まりありません。

 表現の自由に対する暴力的な抵抗、反抗、テロ行為は、絶対に許されないことは、大前提ではありますが、表現の自由とはいえ、人を傷つけるほどの表現は、ある程度、考慮されるべきであると思います。

 しかも、昨日はすでにロックダウン下の出来事で、街中は、通常以上に警察の取り締まりが多いはずで、このようなテロリストが教会内に普通に侵入できることからも、いかに今回のロックダウンの中、かなりの人が街を往来している状況であるかがわかるような気がします。

 とはいえ、別にテロ対策のためのロックダウンではないわけで、警戒するとは言っても、こうテロ事件が全国的に散らばって起こっていては、警戒にも限界があります。

 コロナウィルスを警戒し、テロを警戒し、警戒だらけのフランスです。

 そして、もう一つ、警戒しなければならない動きは、SNS上で「すべての中国人(アジア人)を攻撃せよ!」という呼びかけが起こっていることです。

「アジア人狩り」の呼びかけです。

 フランスでは、今年、2月にコロナウィルスが広がり始めた頃に、すでに、中国人差別、アジア人差別問題が起こっており、メトロの中、街中などでも、アジア人がコロナウィルス扱いされて、暴言を吐かれたり、時には暴力を振るわれたりした事件が相次いだのですが、ここへ来て、その動きが再燃しているようです。

 「すべての中国人を攻撃せよ!」という呼びかけと同時に、「アジア人は、最大限の注意を払ってください!そして、あなたがもしもアジア人でないならば、あなたの周りの隣人を見守ってください!」という呼びかけも同時に広まっています。

 ほとんどのフランス人(ヨーロッパの人)から見れば、中国人も他のアジアの国の人も区別はできないため、差別となれば、十把一絡げに差別されるわけです。実際に襲われて被害にあった中国人が傷だらけになった自分の顔をSNSに挙げたりもしています。

 この「アジア人狩り」の動きに関しては、パリ検察庁が調査を開始しています。問題のおおもととなったと思われるツイートは、すでに削除されていますが、このような動きが存在していることに代わりはありません。

 残念なことですが、フランスに差別は存在します。平常時には表面化しにくいものの、このようなパンデミックの異常事態が長く続き、抑圧された生活や経済危機が続くことにより、日頃は表面化しない差別が浮上します。

 鬱屈した感情を異人種に向けての憎悪として発散し、感染拡大の原因を責任転嫁し、スケープゴートを探して、行き場のない感情を爆発させようとするのです。もちろん、すべての人がこのような感情を持っているわけでもなく、ごく一部の人たちの行為ではあるものの、その一部の人に遭遇する機会がいつやってくるかはわかりません。

 恐ろしいこと極まりありません。ある程度、この種のゴロツキとも思われる人々の多いと思われる地域などには、行かないようにするか、フランス人と行動を共にするように心がけるとか、できる対策は限られています。

 もっとも、今は、ほとんど外を出歩けないので、危険も少ないとは思いますが、このパンデミックがおさまるまでは、ずっと続く恐怖です。

 コロナウィルスの陽性率は現在20%というフランス。5人に一人は感染者という状況で、感染する恐怖、テロの恐怖、加えて「アジア人狩り」にあう恐怖。

 強制されなくとも当分、ロックダウンします。



アジア人狩り


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