2019年7月21日日曜日

権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人





 「自己主張が激しく、権利を主張するわりには、義務をきちんと果たさない」これは、私の一般的なフランス人への印象です。
 簡単に言えば、「やることちゃんとやってから言えっつーの!」ということです。

 以前の私の職場にも、この典型のようなフランス人がいて、一緒に働く身としては、辟易としたものです。しかし、このような人でも決して、意地悪だとか、悪い人だとかいうわけではありません。

 これは、圧倒的にフランスの教育から来ているもので、権利を主張することにフランス人は誇りを持っています。義務を果たす部分に関しては、職場等にもよるでしょうが、本人の判断とモラルとに委ねられており、一般的には、日本に比べると格段にハードルが低いです。

 もちろん、なかには、猛烈に働く人もいますよ! うちの主人が日本に赴任していた時などは、それこそ、昼夜なく働いていましたから・・。
 でも、一般的には、なかなか・・・。

 特に、フランスは公務員天国と言われるように、一般の公務員の世界は、まさに、特に権利、そして、それ以上のものを享受しているように思えてなりません。

   高校を卒業してすぐに、娘は、夏休みの間だけ、主人の伝手で、財務省の事務職のアルバイトをしたのですが、その様子に、彼女は、びっくりして帰ってきました。

 部署にもよるのでしょうが、彼女が配置された部署では、

・出社して、少しすると、コーヒーブレーク。
・お昼の休憩は一時間のところ、一時間半はとる。
・定時で帰る、あるいは、定時より早めに帰る。
・一生懸命仕事をすると、仕事はゆっくりやるように注意される。
・子供が病気の場合は、医者の診断書があれば、欠勤扱いにはならない。
・もちろん、本人が病気の場合も医師の診断書があれば、欠勤扱いにはならない。
(最後の二つは、一般企業にもフランスでは、国で認められた法律です)

 中でも、一生懸命仕事をすると、ゆっくりやるように注意されるというのには、驚きを禁じ得ません。

 まあ、ざっとあげただけでも、こんなです。

 それが、少しでも、気に入らないことがあると、すぐにストライキです。

 まだ、パリに来たばかりの頃に、主人の友人に、フランスで印象的なことは?と聞かれて、”ストライキが多いこと!” と答えたら、とても誇らしげにしていたのには、逆にこちらの方がビックリしたものです。

 ユニクロがパリに進出した当時は、ユニクロは、日本のようなシステムを導入し、社員に機敏に働くことを教育しました。たとえ、店内が混雑しても、流れるような、レジのシステムにより、お客様を待たせない、お客様が手にとってみた洋服を端から綺麗に畳んで、常に棚を整頓し、商品を補充する。

 こんな、日本だったら、当然のことが、フランスでは、すごく特別なことなのです。

 今では、パリのユニクロでも定着しつつあるこのシステムも、パリ進出当初は、採用されたフランス人には、到底、耐えられるものではなく、店員がいつかずに、常に人材を募集していました。

 話は、公務員に戻りますが、公務員の特権は、他にも色々あります。

 うちの子供も利用させていただきましたが、春、夏のコロニー(子供のキャンプ)など、公務員の家族のために、その省庁によって、主催しているところもあり、そうでないところには、特別割引が適用されます。

 また、クリスマスの頃には、子供のためのクリスマスプレゼントのためのカタログのようなものがあり、自分で選べるようになっています。また、プレゼントとは別に、その年毎に違いますが、サーカスとか、演出付きの映画や、スケートのショーなどのご招待がありました。

 そんな待遇も権利を主張して勝ち得たものなのでしょうが、それに対して、あの働き様なのです。

 昨年末から行われている黄色のベスト運動や現在進行中のRATP、SNCFをはじめとするデモやストライキ、きっちり働くのも、それは、無理というものです。

 のうのうとストライキをやっていられる人こそが特権階級なのです。
ストライキやデモの被害を被る零細企業の人がどれだけいることか・・。