2019年7月10日水曜日

日本に帰ると猛然と食べまくる!帰国時の海外在住日本人の姿




 海外在住の方なら、誰でも、日本に帰国する際には、日本での美味しい食事を楽しみにしておられることと思います。私たちも例に漏れず、もの凄い、意気込みで日本の食事に臨んでおります。そして、恥ずかしながら、その執着の様子は年々、激しくなっているような気がします。

 特に、娘は、半分フランス人でありながら、フランス料理には、苦手なものが多く、大の日本食党で、その鼻息の荒さと、それにかける努力と情熱には、毎回、驚かされます。

 日本行きが決まると、まず、日本で思いっきり食べるための、ダイエットから、その行程は始まります。まあ、3キロを目安にダイエットを開始。そして、日本での食事を夢見ながら、着々と痩せて行きます。

 そして、日本に行ったら、食べたいもののリストを作ります。お寿司、天ぷら、中華、とんかつ、洋食・・・。ぜひ、行きたいお店もピックアップして、フランスにいるうちに、サイト等で探したり、友人に聞いたりして、目安をつけておきます。

 そんな、グルメじみたことを言ってはいるものの、もう、実家の近所のスーパーに行っただけで、大興奮!周囲の目も気にせず、野菜一つをとっても、ひゃ〜っわ〜っ!!おいしそう!!と目の色が変わります。傍目からは、”何だ!アイツら?” と見られているに違いありません。

 食事も、日本で、済ませなければならない用事に合わせて、スケジュールを組みます。
例えば、帰国時には、必ず通っている美容院が恵比寿にあるので、恵比寿近辺で美味しいお店を探したりします。

 例えば、2週間の滞在なら、朝食は、まあ、自宅で取るとして、昼と夜の食事14日間×2で28回の食事のチャンスがあります。全て外食というわけではありません。食べたい食材もリストの中には含まれているので、季節によって、食べたい野菜や魚などもあり、食材を買ってきて、家で好きにお料理して食べることもあります。
 
 前回は、冬の帰国でしたので、おでんをたくさん食べました。おでん種もパリで買えないこともないのですが、高いし、そんなに豊富にも揃いません。だいたい、大根が・・日本の大根は美味し〜い!!

 とにかく、娘たるや、その28回の食事の、ただ一度さえも、余計なものは、食べたくないのです。ちょっとお腹が空いたから、まあ、これでも食べておこうか・・なんてことは、許されません。また、お腹がいっぱいであっても、次の食事を美味しく食べられるように、夜、ひたすら、何キロも歩いたりします。偶然、夜、見かけた近所に住む従姉妹からの、娘があまりの勢いで歩いていたから、通り過ぎてから、気がついた・・という目撃談まであります。(笑)

 だいたい、胃の具合が自分の食い意地に付いて行けずに、日本にいると、常に満腹状態。常に胃腸薬を携帯。一年分の恨みを食い尽くすが如く、”ああ、これが、こんなに焦る事なく、小分けにちゃんとお腹が空いているときに食べられたら、どんなに美味しいだろうか?” と思いながらも、次の食事の事を考えています。
 この意地汚さには、我ながらも、ちょっと引いてしまうこともありますが、ここは、日にちに制限があるゆえ、自分を省みている場合ではありません。

 また、考えているのは、次の食事の事ばかりではありません。フランスに持って帰る食材についても重さを考えながら、優先順位を考えながら、買い物にも、余念がありません。他の買い物をする場合も、”これを買ったら、この分の食料を持てなくなってもいいのか?” という基準で選びます。預ける荷物は大抵、一人当たり23キロのスーツケース2個、×二人分で、92キロ。手荷物にする分を合わせると、合計100キロ以上の荷物の大部分は食料品です。

 羽田でチェックインの際も、毎回、”お引越しですか? 大変ですよね〜。” などと言われつつも、これは、いつものことで、”え〜、ま〜〜” と苦笑いしながら、スルー。日本の美味しいお米を始めとして、茅乃舎のだし、乾燥しじみ、あさりパウダー、ゆずの皮、昆布、お蕎麦、明太子、干物、佃煮、お漬物、季節の野菜、おせんべいなどの日本のお菓子類、などなど・・もう、持って帰りたいものに限りはありません。

 周りの親戚や友人からは、もはや、同情にも似た、”可哀想に・・”という目で見られます。”フランスにも美味しいものがいっぱいあるじゃない!!”と言われるたびに、二人揃って、”いやいやいやいや〜〜〜〜” 日本食が一番!!と。

 そんなに日本食がいいなら、日本に住んだらいいじゃない?とも思うのですが、これが日常になってしまったら、この感動は、味わえなくなるのです。何とも自虐的な喜びではありますが、そんな風に私たちは、帰国時には、思う存分、日本食を味わっているのであります。


<写真は、自由ヶ丘・九品仏近くの「こばやし」のランチ>
 ここは、お魚がとても美味しい著名人もよく訪れるお店です。