2019年7月12日金曜日

いい加減は、良い加減ということ 海外生活の秘訣は良い加減に生きること 



 
 不思議なことに、たいていの日本人は、同じセリフで話を切り出します。

 私は、パリで長いこと、観光客に接する仕事をしてきたので、日本人観光客とも、お話しをする機会が多くありました。
 
 そんな中、たいていの日本人は、” もう、長いんですか?” と、決まり文句のように、話しかけてくださるのです。

 長いんですか?というのは、パリに住んで・・長いんですか?” ということらしいです。

”はい、いつの間にか、まあまあ、長くなりました。・・”と、私は、答えます。

 このように、観光でパリに来てくださる日本人の方の中には、少なからず、海外に暮らしている日本人の生活に興味がある方も多いようでした。
 どうして?どんな風に、海外で生活しているのか?ということを。

 そして、その次に来る質問は、
” え〜!?、じゃあ、ご主人がフランス人なんですか?” です。
” はい。” と答えると、
" わ〜素敵!!" と、主人の顔も知らずに、その人は、言います。

 フランス人だからといって、皆、必ずしも、フランス映画に出てくるようなハンサムな人ばかりではなく、結構、残念な方もいらっしゃいます。(笑)

 うちの主人はどちらかというと、その残念なタイプなのです。(笑)
でも、外見が残念だからといっても、中身まで残念というわけではありません。

 私自身も、まさか、自分が将来、長く、外国で暮らすようになるとは、思ってもみませんでした。海外旅行は好きで、独身生活も長かったので、色々な国を旅しました。

 しかし、旅行をするのと生活をするのでは、全く違います。日々、生活するとなれば、日本のような便利で安全な国に生まれ育った者には、華やかな先進国のイメージとは裏腹な、厳しい現実の暮らしが待っています。

 私は、特に、フランスが好きだったわけでもありませんし、むしろ、フランスというより、フランス語だけは、嫌だ!と思ってきました。それが、どういうわけか、フランスに住むことになってしまったのですから、人生は、わかりません。

 だから、どうして、私が海外に住んでいるのか? それを続けていられるのか? 正直のところ、私自身にもわかりません。
 まあ、強いて言うなら、出会った相手がフランス人だったということくらいです。
 
 でも、振り返って、改めて考えると、思い当たる理由は、あります。

 その一つは、留学経験があったことです。一度でも、長期で海外で過ごした経験は、実際の海外生活に飛び込むハードルを大きく下げる気がします。しかし、留学には、期限がありますし、仕事をするわけでもありません。自分一人がなんとかなれば良いのです。

 しかし、いざ、パートナーを持ち、仕事を持ち、子供を育てていくとなると、それは、全く違うものになります。最初は、異文化の生活に、いちいち疑問に感じたり、腹を立てたりすることを繰り返しながら、少しずつ、海外での生活に適応していきました。

 子供がいれば、なおさらのことです。言うべきことは、ハッキリ言わないと暮らしていけません。母は強しです。
 そして、それは、同時に、自分の家族を築いているという喜びでもあったからです。

 もう一つ、思うことは、あまり、固定観念に縛られないという事かもしれません。
日本に住んでいたなら、日本人として持つであろう固定観念も、海外に出れば、私も一人の外人です。いつまでも、それを引きずらずに、柔軟になることが求められます。

 それは、自分の中で、どうしても譲れない部分は、ぶれずに持ちつつも、あとは、状況に応じて、ある程度、いい加減にできるということかもしれません。

 いい加減というのは、ふつう、無責任というような悪い意味で捉えられていることが多いと思いますが、いい加減というのは、本来は、良い加減なのだということを以前、本で読んだことがあります。

 良い加減に、いい加減にできること、これが、海外生活の秘訣のひとつなのかもしれません。

 

 

 

 






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