2019年7月6日土曜日

日仏カップルの離婚と親権問題について




 離婚は結婚の何倍も大変です。
 ましてや、子供がいて、しかも、国際結婚の場合は、なおさらのことです。

 最近も、日仏カップルの離婚で、離婚した日本人の母親が子供を日本に連れ去り、父親に会わせないという事例がフランスで騒がれ、カメラを連れたフランス人の父親が日本の子供に会いに行く様子が報道され、物議を醸しており、ついには、マクロン大統領まで、元夫側を支持する声明を発表する大騒動となっています。

フランスで放映された「日本・誘拐された子供たち」
https://www.youtube.com/watch?v=MJVKHztFQUc&t=4s

 このドキュメント番組の放送では、一方的に男性側だけの主張を報道しており、母親側の言い分は一切、入っていないので、この番組の情報のみでは、実際の離婚の事情や、なぜ、子供を父親から遠ざけるのかは、わかりません。

 日本では、離婚の際、単独親権(片方の親が親権を持つ)が採用されていますが、フランスなど多くの国は、離婚後も共同親権(両親が共に親権を持つ)が一般的です。

 共同親権を認めているフランスでは、片方の親が一方的に子供を連れだし、もう片方の親が子供に会えない状態は誘拐と考えます。そして、子供が親に会う権利が優先されていて、子供は双方の親が責任を持つとの考え方から、離婚した後であっても子供は両親のもとを互いに行き来することができます。

 双方の国の異なる法律の間に入り、問題を解決するために定められたハーグ条約というものがあります。これは、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置を巡る紛争に対応する国際的な枠組みとして、親子の面会交流の実現のための締約国間の協力等に定めた条約です。
 フランスは元より、日本もこれに同意しています。

 しかし、問題は、法律以前のことで、この父親が常軌を逸して、強引に子供に会いに行って、泣いたり、騒いだりして、子供を怖がらせていることです。自分が子供に会いたいという自分の感情が、先に立ち、そのような振る舞いに子供が何を感じるかを全く考えていないことです。そして、それをただ、拒絶しているこの母親にも私は、納得がいきません。

 国際結婚をして、不幸にも離婚という結果になったけれども、同時に、二人は子供の親であり、もし、父親がDVなどの問題のある人物だったとしても、(いや、そうだったら、なおさらのこと)父親をあんなに興奮させずに、なんとか、弁護士をたててでも、話し合いをし、何らかの解決策を講ずる手立てはあるはずです。

 この夫婦は、周りの多くの人を巻き込んで、迷惑をかけていますが、一番、傷ついているのは、子供であることには、間違いありません。二人で子供を持った以上、子供にとって、何が良いのかを、たとえ、面と向かってではなくても、きちんと話し合って、解決する責任があると思うのです。自分たちではなく、子供のためのことを考える責任です。

 一番、深く傷ついているのは、子供です。