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2025年11月2日日曜日

今年のハロウィンの人気の仮装はルーブル美術館の強盗犯

  


 ハロウィン(フランスではトゥーサン)の季節を迎え、以前は、ハロウィンよりもトゥーサン(万聖節)、亡くなった人を祀る=簡単に言えば、お墓参りの日という印象が強かった(今でもお墓参りの日ではある)フランスですが、ここ数年で、だいぶハロウィン色が濃くなってきて、かぼちゃをくりぬいたり、いわゆるハロウィンの仮装をする人々が増えてきて、スーパーマーケットなどにもハロウィンの仮装用の衣装が店頭に並んでいます。

 仮装しているのは、子どもを中心としたその親たちや若者たちなのですが、まあ、吸血鬼だったり、ドクロだったり、魔法使いだったりとベーシックなものが一般的ではありますが、毎年、その年の象徴的なものがモチーフになることもあります。

 そんな中、今年は皮肉?なことに、わりと最近に起こったルーブル美術館の強盗の仮装がけっこう人気を呼んでいるようで、特にSNS界隈(TikTokなど)で若者たちがルーブル美術館の強盗が着ていた黒い服にジレ・ジョーヌ(いわゆる黄色いベストやオレンジの蛍光色のベスト)を着て、バラクラバ(つまり帽子とマスクを合わせたような帽子)をかぶって強盗を装い、動画を撮って、投稿するのが軽いブームになっています。

 今回のルーブル美術館の強盗たちは、作業員を装うつもりだったのか?皆、黄色いベストを着用していたのです。強盗に入るならば、真っ黒な服など、できるだけ目立たない服装を選びそうなものを、よりによってわざと目につきやすい蛍光色のベストを着て、目くらましをするとは、大胆な発想です。

 そもそもこの黄色いベストは、数年前の燃料税増税で起こった抗議運動に続いて、年金改革問題など、なにかの抗議運動の際のシンボル的衣装となっていますが、この蛍光色のベストは、そもそも、緊急時などに着用するためのもので、どこの家にでもふつうにあるもので、手軽に安く手に入るもので、今回、ハロウィンの仮装の衣装といっても、衣装?を揃えるのが極めてお手軽なのも、この現象が一気に広まった要因でもあるかもしれません。

 まさか、よりにもよって、世界一有名なルーブル美術館に強盗に入るなどということは、誰も予想すらし得なかったことで、今世紀最大の歴史に残る強盗事件です。

 盗賊といえば、フランスには、アルセーヌ・ルパンという小説上の大強盗が有名ですが、変装の名人といわれたアルセーヌ・ルパンを彷彿とさせる今回の大強盗事件。しかし、変装とはいえ、最も庶民的な、また、近年の度重なるデモや抗議運動の象徴ともなっている黄色いベストでの変装とは、世相を表しているようで、なんとも皮肉な話でもあり、また、それがさらに、ハロウィンの仮装のトレンドのようになるとは、シニカルなフランス人らしいアイディアでもあります。

 ただし、バラクラバで頭を覆うのは、本来ならば法律違反なので注意が必用で、公共の場で顔を隠すことは禁止されており、1,500ユーロの罰金が課せられる可能性があるそうです。

 安くついたはずの仮装が実は高くついた・・なんてことになりませんように・・。


ハロウィン 黄色いベスト


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2025年11月1日土曜日

フランス語って、本当にむずかしい・・

  


 今、パリに来てくれている私の友人は、けっこう海外経験も豊富な人で、英語も堪能な人です。彼女は言語というか、語学そのものが好きなようだし、パリに来ても、すぐに、スイスイ一人で動きまわるものだと思っていました。

 とはいえ、かなり長いこと、ヨーロッパには来ておらず、久しぶりということもあって、ちょっと戸惑いはあるようなのは、私には、とっても意外なことでした。

 運悪く、パリに到着した途端から、様々なトラブルに遭遇していることもあるのでしょうが、第一には、やはり「フランス語」という言語の壁が彼女にとって非常に高いということがあったようです。

 まあ、ふつうの日本に住んでいる日本人にとっては、フランス語というものは、あまり馴染みのない言語であるわけで、英語が堪能な彼女でさえも、「え?そうなの?そうか・・」とあらためて、気付かされます。

 というよりも、何より、私自身がほぼ最初はフランス語初心者で、渡航するまで(最初は西アフリカでしたが・・)には、直前に1カ月くらいアテネ・フランセに通っただけで、ほぼフランス語ゼロの状態で、アフリカに行ってから、大学に通って、本格的にフランス語の勉強を始めたものの、最初は、発音を聞いて、アルファベットの綴りをなんとなく思い浮かべるということが、フランス語においてはできなくて、辞書を引くのでさえも四苦八苦して、何度も何度も同じ単語を辞書で引かなければならず、大変、苦労していたことを思い出しました。

 当時は今のようにネットも発達していなくて、ひたすら、古典的に辞書を引いて、書いて覚えるという繰り返し・・もう中年に差し掛かってからのことだったので、覚える側から忘れていく・・しかし、ある程度、フランス語ができなければ生活が成り立たないという焦りもあって、なんだか必死に勉強した時期がありました。

 今では、その時のそんな苦労はすっかり忘れていて、フランス語だったら、こういう綴りであろう・・ということが予想がつけられるようになっているので、なんか、そんなフランス語が厄介な言語ということも忘れていました。

 しかし、そんなことを偉そうにいうほど、私のフランス語は今でも完璧には程遠いのですが、彼女が駅のマップなどを見ながら、「だいたいメトロの駅名でさえも読めないから、駅名からして探すのがた~いへん!もうフランス語アレルギーになりそう!!」などと言っているのを見て、フランス語ってそういえば、そうだった・・と、昔を懐かしく思い出します。

 今だって、正確にフランス語を書くということは、とても大変なことだし、私は決してフランス語が好きではありません。

 その点、英語は一応、世界の公用語でもあり、かなり単純な言語で、やっぱり、「なんて英語っていいんだろう!」と思います。

 彼女は現在、軽いフランス語アレルギー・・英語が恋しい恋しい・・といっており、あたりまえのことながら、街中はフランス語であふれていて、英語を見つけると嬉しい!と「FIVE GUYS」というお店の看板を見て、「ああ~英語があって、なんだかホッとする!」などとのたまっています。

 しかし、パリは以前に比べれば、格段に英語で応対してくれるお店なども増えていることも、同時に感心しているところでもあります。


フランス語


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2025年10月31日金曜日

行く先々でトラブルに遭遇・・友人とのトラブル続きのパリ観光

  


 ものすごく久しぶりにヨーロッパに来た友人と彼女が行きたいところをピックアップして、少しずつ廻ることにしていますが、この日は、彼女は自分の好きなミュージシャンのアルバムのジャケット写真の表紙に使われている場所で写真を撮りたい!ということで、まったくベタな話ですが、エッフェル塔が全景で見える場所=トロカデロ(シャイヨ宮の正面)に行くつもりで出かけました。

 ところが、6号線の一部が工事中のため、思っていたとおりのルートが利用できずに急遽、ルートを変更。パリ・リヨン駅経由で乗り換えて、目的地へ・・。

 ところが、パリ・リヨン駅で改札を通ろうとしていたところに、浮浪者のような人がウロついて、他人が改札を通ったあとに紛れて改札を通ろうとしていた様子はなんとなく見ていたのですが、近くにいた人が「ポケットに気を付けて!」と大きな声で注意してくれた時点で、この浮浪者が改札を他人と同時にすり抜けるのと同時にスリを働こうとしていたことが、発覚。慌てて、友人の袖をつかんで、「この人が通るのを待ってからにした方がいい・・」とストップ。

 結局、この人は、別の人と一緒に改札をすり抜けて行きましたが、友人はぞっとしたらしく、「なんなの?怖い!パリ!」とドキドキしてしまったようでした。

 そして、今度は無事に電車に乗ったと思ったら、今度は検札官が3~4人でやってきて、「チケット拝見!」と・・。友人曰く、「本当にこんな感じで検札が来るんだ!威圧感半端ない・・」と、またまたドキドキ・・。

 さらに、ようやくトロカデロに着いたと思ったら、なんとこの日はフォーラムをやっているので、終日通行止めの進入禁止とのこと。「え~~?楽しみにしてきたのに、なんで~~?」とまたショック。

 そして、気を取り直して、フレンチのレストランでランチをして。なんとなく、トラブル続きの本日の気分を変えられたのかな?と思って、ヤレヤレ・・と清算を頼みました。すると、持ってきたレシートは、なんだか?思っていたよりも、ずいぶん高い・・。おかしいと思ってよくよく内容を確認してみたら、どうやら、私たちの分のレシートではなく、別の人の分のレシートと間違えて持ってきたようでした。

 「これ、間違ってます・・私たちのものではないのでは?」とレシートを突き返すとウェイターさんは一旦、戻って確認すると、「すみませんでした。こちらでした・・」と。危うく高い請求分を支払うことになるところでした。

 「まったく、パリってのは、全てにおいて、気が抜けないところだね・・」といいつつ、超有名なカフェでお茶していこう・・とカフェのテラス席へ・・。

 しばらくすると、ホームレスがテラス席に座っていたお客さんに向けて、お金をせびりに来たところで、お店のスタッフた数名、すっ飛んできて、追い払ってくれたのですが、その追い払い方が容赦ないというか、なんだかすごい勢いと迫力。

 歴史あるカフェだけに、お店の品格と信用を落とさないための措置だとは思いますが、なんだか微妙な気持ちになりました。

 一日を振り返って、結局のところは、何一つ被害に遭ったわけではないのですが、すんでのところで何度危ない、危うい目にあったことか・・と。

 ふだん、私が一人で出歩いている時には、そうそう一日にこんなにトラブルに見舞われることは少ないことですが、そのひとつひとつを振り返ってみれば、どの出来事もパリでは起こり得ることには違いなく、やっぱり注意が必用なことばかりかもしれません。


パリ トラブル


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2025年10月29日水曜日

観光客の観光客用のメトロ・バスのチケットについて

 


 友人がパリにやってきて、パリに滞在中の移動のために使うチケットは、どんなチケットを買ったら良いのだろうか?と、ちょっと迷いました。

 私がこちらで日常的に生活するために使用しているNavigo(パリ市内を利用できる定期券のようなもの)は1ヶ月分をチャージするのがふつうなので、その他のNavigoについてよく知りませんでした。

 本当は、空港で1週間分パリで使えるチケットを買ってしまったら、ラクかな?と思っていたのですが、空港のチケットを売っているマシンへ行って、いざ、買い進めようと思ったら、観光客用の「Forfait Paris Visit」(パリ観光パッケージ)というものしかなくて、それが、1日分29.90€、2日分44.45€、3日分62.30€、5日分76.25€となんだかふつうのNavigo(1ヶ月 88.80€ )に比べて、めちゃくちゃ割高なのにビックリ!ちょっとあまりに高いんじゃない?とちょっと引いてしまいました。

 ネットで調べていたところ、たしか、短期用のパスには、Forfait Semaine (1週間用のパッケージ)というものがあったはずなのに・・と思って聞いてみたところ、このForfait Semaineをチャージするためには、まず、パリ市内のメトロの駅でカード(Le Passe Navigo Découverte)(ディスカバリー・パスナビゴ)を作る必要があるそうで、まずこのカードを作らなければなりません。しかし、このカードを作るのは、意外にも簡単です。

 このカードを作るためには、本人の顔写真が必用ですが( 2.5 cm*  3cmくらいの小さめ・・あまり写真の正確なサイズはうるさく言われませんが大きすぎるとカードに貼れないのでダメだと思います)、写真が必用というだけで、写真さえあれば、メトロの駅の窓口でこのカード(Le Passe Navigo Découverte)(ディスカバリー・パスナビゴ)を作りたい・そして、「1週間分をチャージしてください」と頼めばその場ですぐにできます。5分でできます。

 このカードをまず作る(5€)と、その後、このカードにチャージできます。そうすると、1週間分(Zone 1~5)が31.60€でチャージできます。なので、最初はカード分5€を加えると36.50€かかりますが、その後、追加するときには、1週間分31.60€でバスもメトロも乗り放題になります。

 いわゆる一番買いやすい「Forfait Paris Visit」(5日分)を買うよりも安い金額でメトロもバスも乗り放題のカードが手に入るのでお得だと思います。

 あまりメトロやバスを使わない方には、必用ないのかもしれませんが、ふつうに自分でバスやメトロなどの公共交通機関を利用してパリを観光して歩くには、こちらの方がずっとお得なのでは?と思います。

 また、バラでバスやメトロのチケットを購入したり、チャージしたりする場合は、バスとメトロのチケットは料金も違い、パスも別々のものになるので、ややこしく、よく、バスの中で観光客が、運転手さんに、「これはバスのチケットじゃなくて、メトロのチケットだから、別に、今、携帯で払えるから今ここでチャージして・・」などと言われているのを目にすることも多々あるので、けっこうややっこしく、そんな光景を見かけるたびに、「じゃあ、携帯持ってない人はどうすんのよ!」と思います。

 「だったら、もっとわかりやすく表示しておけよ!」と思いますが、バス停などに、そんな表示をしてあるのは、あまり見かけたことはありません。

 それで、正しいチケットを持っていないときに、検札にあたれば、観光客でも容赦なく罰金をとられるので、まず、正しいチケットを確保しておくことをおススメします。

 このLe Passe Navigo Découverteは、どこの駅でも発行できるのかどうかはわかりませんが、とりあえず、駅の窓口に行く必要があります。

 友人は「パリって物価が高いんだね~」と驚いていますが、とりあえず、交通費もなかなかバカになりませんから、少しでも自分の滞在にあった、お得なチケットを見つけることは、けっこう大切かもしれません。

 ちなみに1週間分のカードは、月曜日から日曜日までとなっています。


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2025年10月28日火曜日

CDG空港で電車が不通になって大変だったけど、お兄さんがとても親切だった話

  


 日本から友人が来てくれるので、彼女も久々のヨーロッパというので、「じゃあ空港まで迎えに行くよ!」と空港まで出向きました。といっても、私は車を持っているわけではないので、電車で行って、一緒に電車で帰るだけなのですが、それでも、久しぶりに会える友人に少しでも早く会えて、電車の中でもぺちゃくちゃおしゃべり出来たら楽しい・・そんな呑気な気分でした。

 ところが、飛行機は定刻よりも早くに到着し、通関もスムーズでわりと早く出てこられたまではよかったのですが、いざ、さて、家に帰ろうか・・となったら、空港からの電車(RER B線)が不通になっていました。まさにフランスあるあるです。

 空港でのチケット売り場にいたお兄さんに、「どのくらい動かないの?」と一応、聞いてみると、「RERは17時半までには動くと言っているけど・・(その時点ではあと30分くらいな感じだった・・)」との回答も、そんなの絶対にあてになるはずはありません。

 「となると、タクシー以外になにか選択肢はありませんか?」と聞くと、自分のスマホを出して、スラスラと調べてくれて、「このバスに乗って、ここまで行って、その先はこれがいいんじゃない??・・」と教えてくれました。

 それなら、バスでもいいや・・と思ったのが甘かった・・。そりゃそうです。RER B線が動かないのですから、バスの混雑ぶりは恐ろしいほどです。すでに一台がギューギュー詰めになっているのに、まだ出発せず、しかもバスに乗れなかった人の山がもう一台でも、恐らく乗り切れないだろうと思われるほどの黒山の人だかり・・。しかも、次のバスが出るのはさらにその40分後・・。

 もうバスは諦めて、タクシーで帰ろう・・となって、タクシー乗り場に行くと、こちらもけっこうな人・・それでも、タクシーの運転手さんが出てきて、「パリまで100ユーロはかかるよ!今日は・・」と意味不明の警告。

 「今日は電車が動いていなくて、人も多いから、100ユーロはかかる・・」と言い張ります。定額料金なはずでしょ!と言っているのに、ぼったくる気満々・・。

 もうそれでは、空港バスでオペラまで行くか・・と一回、空港に戻り、チケットを買おうかと思っていたところに、最初にバスを教えてくれたお兄さんがいたので、これまでの経緯を説明して、「どうしよう!」と泣きついたら、「じゃあ、Uber頼めば・・」と・・。

 でも、私は、「アプリも入れてないし、Uber なんて使ったことないから・・」といったら、私の携帯でサラサラとUber の予約をしてくれました。

 若い、おそらく20代の移民らしきお兄さんでしたが、嫌な顔ひとつせず、ロクに携帯も使いこなせないおばさんのために、「これは、こうして・・運転手に連絡取りたい場合は、ここを押して・・」と、ウーバーが来るパーキングの場所までちゃんと教えてくれて、あまりの親切に感動してしまいました。

 お兄さんは空港の職員のようでしたが、こんな親切な空港職員、初めて会いました。

 そんなわけで、友人とともに、タクシーよりも格段に安い値段で無事に家に帰ってくることができました。

 なんだか、腹を立てたり、慌てたり、お兄さんの優しさに感激したり、忙しい1日でした。


CDG空港からのタクシーとUber


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2025年10月27日月曜日

麻薬密売のための隠れ蓑になっている店舗の拡大

  


 ヨーロッパ1が明らかにした警察の報告書によれば、食料品店、ケバブ店、理髪店、ネイルサロンなどの店舗の新規開店が麻薬密売に端を発する大規模なマネーロンダリング計画の隠れ蓑として機能していると警告しています。

 全国的に拡大しているこの怪しい現象は、当局の深刻な懸念を引き起こしています。

 シャルルヴィル・メジエール(フランス北部アルデンヌ県)、市内中心部郊外にある夜遅くまで営業している食料品店(何でも売っている小さなスーパーマーケットのような、営業時間が長い点ではコンビニのようでもある・・けど日本のコンビニとは全然違う)は、今年の夏に開店したばかりでしたが、ここが麻薬取引の拠点であることが判明し、店長に有罪判決が下っています。

 2025年6月に開店したばかりのこの店は、すでに近隣住民から不審な活動が多く見受けられることから、懸念を持ち、市当局に通報していました。

 市民からの通報により、この食料品店では、警察がまず店長の身元確認を行った後、店内を捜索しました。現場捜索の結果、押収された品物には合計500グラムを超える大麻樹脂と大麻草のほか、コカイン、ヘロイン、秤、携帯電話、包装袋、数十箱のタバコ、香水瓶、衣類などが含まれていました。

 この品目を見ると、まるで違法販売の物品の倉庫みたいな感じです。

 シャルルヴィル・メジエール検察庁はこれらの事実を公開し、「警察の拘留下において、この食料品店の店長は、これらの品物の所有権を認めている」ということです。

 この食料品の店長は、麻薬取締法(CRPC)に基づき、麻薬の使用、所持、取得の罪で起訴され、懲役10ヶ月と携帯電話の没収と800ユーロの罰金を言い渡されたそうです。

 しかし、お店でこんなもの扱っておいて、懲役10ヶ月と携帯電話の没収と800ユーロの罰金だけって、ずいぶん甘くない?と思うのは私だけでしょうか?

 パンデミック以来、パリでもたくさんの店舗が潰れて、新しい店舗に入れ替わっている感はあるのですが、まさか、ケバブやネイルサロンなど、一見、あまり警戒感を感じないような店舗にまで、この麻薬密売組織が絡んでいる可能性が拡大しているなんて、本当に恐ろしいことです。

 地域にもよるのでしょうが、この手のお店などが新規開店した場合、ちょっと疑ってかかって用心するのは、ありだな・・と思うのでした。


麻薬密売の隠れ蓑の店舗拡大


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2025年10月26日日曜日

RER C線の暴行男から被害者女性を救い、動画まで撮影して犯人逮捕に貢献したのは勇敢な女性

  


 友人がパリに行くという話をしたら、同僚のカナダ人から、パリは危ないから、メトロなどの公共交通機関に乗るときには、「バッグを前に抱えたりして、充分、気をつけなきゃダメだよ!」と言われたという話を聞いて、苦笑してしまい、「今は、そこまでだとは思わないけど・・、まあ、気を付けるに越したことはないけど・・」という話をしたばかりでした。

 数日前にRER C線の中でブラジル人の若い女性が車内で襲われ、暴行を受けたというニュースがSNS上で出回っていました。

 普段、私は、ほとんど郊外線に乗ることはないのですが、せいぜい、郊外線を利用するといえば、空港に行く時くらいのもの(しかもオルリー空港はメトロ14号線で行けるようになったので、シャルルドゴール空港に行くとき乗るRER B線)です。

 しかし、ふだんは、ほとんどパリ市内から出ることはない私にとって、郊外線というものは、乗るたびに、パリをちょっと出ただけで、いきなり景色が変わる・・グッと開けていない感じの空き地の多い、のどかなエリア・・つまり田舎に突入することに驚かされます。

 私は、東京で生まれ育ったので、東京都内だけでもずっと広いし、たとえ、都内を過ぎても、しばらくは、ビルが建て込んでいるエリアが続くので、すぐにのどかな景色に変わるパリ郊外というものに、驚かされるのです。

 そんな途中の駅では、ほぼほぼ降りることはないのですが、人の量も警備の人数もパリとは全然、違います。

 今回のRER C線での暴行事件は、この拡散された動画に出ている時間を見ると、夜の8時半頃でしたが、若いブラジル人の女性が暴行被害を受けているところに、近くに居合わせた乗客の女性が介入して、被害者を救い、それだけではなく、諦めて去っていく犯人を動画撮影していました。

 たまたま近くに居合わせたのが女性だったのかもしれませんが、そこが男性ではなく女性だったということにもスゴイな・・私だったら、同じようにできただろうか?と思ってしまいます。

 この勇敢な女性は、この被害者女性が被害届を出すのを手助けして、一緒に動画を警察にも渡していました。

 被害者の女性は、唇を噛まれ、引っ掻かれ、殴られ、性的暴行を受けたと被害の様子を語っています。

 そこに割って入っていくのは大変なことですが、結果的には、また別の女性がこの様子を見つけて悲鳴をあげたことで、この男は暴行を諦めて、動画をとっていることについて、脅迫しながら、逃げていきます。

 なんと勇敢な女性なんだろうか!と感服しますが、この勇敢な女性は、「何もしないで見過ごすという選択肢はなかった」とインタビューに答えています。

 なんと、この映像のおかげで、数日後、男は逮捕されました。犯人は、26歳でエジプト国籍を名乗っているということです。

 現在は、この男、警察に拘束されていますが、他にも余罪があると見られており、この人物の他の被害者についても捜査が進められているそうです。

 内務省によれば、公共交通機関における性的暴行は2016年と比較して86%増加しており、特にイル・ド・フランス地域では、性的暴行の加害者における外国人の割合が極めて高く、2024年に記録された性的暴行の62%は外国人によるものであったと言われています。

 友人に、「パリは別に、そこまで危なくないよ・・」と言った言葉、撤回しなければなりません。必ずしも、こんな勇敢な女性がどこにでもいるわけではないですから・・。


RER C線の暴行被害 救世主は女性乗客


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2025年10月25日土曜日

ガレージに5年間監禁されていた45歳の女性 加害者は・・

  


 ときに、こんなことってあり得るの?と思うような犯罪というものが起こるものですが、まさに、今回の事件は、そんな事件のひとつだったのではないか?と思います。

 事件は、サン・モルフ(ロワール・アトランティック県)で発生しており、ナント検察庁は、2名の容疑者を「拷問ならびに蛮行を伴う誘拐」の罪で起訴しました。

 被告らは、40歳の女性を自宅のガレージに監禁し、劣悪な生活環境を強いるとともに、彼女の金銭と社会保障給付金を横領したとして告発されています。

 また、さらに驚きなのは、この被告人たちが、60歳の介護士とそのパートナー(82歳)の二人という決して若くないというか男性にいたっては、はっきりいって、高齢者だということです。

 ナント地方検事局によると、被害者は、「当初は、女性とアパートで暮らしていたが、その後、庭のテントに泊められ、男性が家に住み始めた瞬間から庭のガレージに閉じ込められていた」と証言しています。

 事件現場となっていた家に住んでいた男性(容疑者の一人)は、「彼女がガレージにいるのは知っていたが、彼女とは全く話をしたことはない。今となっては、深刻な事態だったと理解している」とマスコミの取材に対して答えています。

 「今となっては・・」と、言えるのかどうか・・なんといっても被害者が監禁されていたのは、5年間という決して短くない期間です。

 彼の証言によれば、彼の同居人である女性と被害者の女性は、主従関係にあり、二人は喧嘩になり、それがエスカレートしてしまったとのこと。しかし、5年間の監禁とはやはり常軌を逸しています。

 被害者の女性は、捜査官に対し、「普段はガレージで生活し、ガレージの中にあるデッキチェアで寝て、鍋とビニール袋で排泄し、食器用洗剤が混ざったお粥のようなものを食べていた」、「時折、庭に出ることができたものの、時には、一日中、雨や寒さの中にいることもあった」、「恒久的に暴力を受けていた」と証言しています。

 時折、庭に出ることができた時以外は、ガレージのドアは外側からコンクリートブロックで塞がれていたといいます。

 裁判所は被告人2人が被害者の金銭と社会補償金を横領した疑いについても言及しています。検察の捜査によれば、2022年以降、「被害者の生活の痕跡は残されていない」とされ、彼女の銀行口座は、彼女の生活が突然、混乱したことを示しており、最後の彼女の銀行取引履歴は、被告人への送金が最後になっている事実を確認しています。

 彼女自身は特別な監視下にあったわけではなく、もはや携帯電話の契約も切れていたために、事務手続上、彼女は失踪した人物とみなされていました。

 10月半ばの夜、監禁されていた女性は、監視の隙をついて、屋外の囲いから逃げ出し、隣家の家のドアをノックして助けを求めました。その時の彼女はほとんど裸の状態で、低体温症で非常に弱った状態だったそうです。

 5年間、劣悪な環境で監禁されていた彼女は、虐待を受け続け、身体は漂白剤で洗われ、食事には、食器用洗剤や混入され、薬物を投与され、体重が50㎏も減少していたと言われています。

 隣人に助けを求めた時の彼女は、錯乱状態だったそうです。

 しかし、なぜ?こんなことが起き得るのか?監禁された当初は40歳であった女性も今では45歳。とはいえ、相手は、あまり若くない相手、体力的には、彼らよりも勝っていただろうに・・逃れるチャンスもあったのでは?とも思われますが、詳しい状況は不明です。

 異常なことに、この加害者の方は、事態の深刻性をあまり認識していなかった様子というのですから、さらに異様な話です。


ガレージに5年間監禁されていた女性


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2025年10月23日木曜日

サルコジ元大統領収監の波紋 刑務所は大変そうだ・・パリ14区 ラ・サンテ刑務所

  



 とうとう元国家元首であるサルコジ元大統領がパリ14区にあるラ・サンテ刑務所(Céntre Penitentiaire de Paris La Santé)に収監されました。最後のギリギリまで、なんだかんだいって、結局、入らないんじゃないの?とも思っていたので、やっぱり衝撃的で、想像以上の大騒ぎになっています。

 なんといっても大統領だった人が刑務所に入ったのですから、その日のトップニュースは、この話題で持ち切りでした。

 彼が収監されたのは、午前10時という比較的早めの時間で、その日は、彼は16区の家を夫人と手を繋いで出てくるところから、家の近くに集まった支援者たちと短い時間を過ごした模様、そして、警察の車両に先導されて、彼の乗った車が刑務所内に入っていく様子まで報道されていました。

 彼の入った刑務所は、パリ14区の本当にふつうの住宅街のような場所にあり、高い塀(といっても、私が想像していたほどには高くはない)とその上に鉄線がはられていますが、はす向かいには、小・中・高校が一緒になったノートルダム系の私立の大きな学校があります。

 パリ市内にある刑務所はこの1ヶ所だけだそうですが、あまり広くないパリ、サルコジ氏の住む16区からは、たぶん、車で10~15分程度の距離ではないかと思われますが、ただでさえ地価が高騰しているパリで、かなりのスペースをとり、それなりのセキュリティも必要な刑務所、ここにある必要あるの?と思わずにはいられません。

 そういえば、刑務所というもの、フランスだけでなく、私は、日本でも見たことがなかったので、なんとなく、すごく特別な場所にあると思い込んでいただけに、「こんなにふつうの場所にふつうにあるものなの?」とビックリしました。

 サルコジ元大統領は、刑務所では、受刑者たちから熱烈歓迎を受けたようで、独房の部屋からは、サルコジ氏がやってくると、「ようこそ!刑務所へ!」「サルコジが来た!」とひやかしのかけ声?が上がっていたというのですから、なかなかな盛り上がりぶりです。

 おそらく退屈であろう刑務所で、サルコジ元大統領が入ってくるということは、またとないイベントだったのかもしれません。



 彼が入ってくるということで、その日の関係者や家族の面会は全てキャンセルさせられたり、彼の独房は、隣の独房を使って24時間体制で2人の看守?が彼を守るのだそうで、刑務所側の対応もなかなか大変そうです。

 その日の他の受刑者たちの面会が全てキャンセルされたにもかかわらず、24時間も経たないうちに、夫人であるカーラ・ブルーニが面会を許されたということで、これはこれで、また、「特別待遇だ!」、「受刑者間の平等な扱いについての疑問」が湧き上がっています。

 「通常、家族の面会申請には、膨大な時間がかかり、多くの障害があるもので、翌日に面会の許可が下りることなどは、絶対にない・・通常は2~3週間はかかる」という弁護士の証言もあります。

 そして、サルコジ元大統領の刑務所での最初の一夜には、刑務所内では、受刑者たちがTikTokでのライブ配信を通じて、サルコジ元大統領を侮辱、脅迫したということで、受刑者3名が拘留されたそうです。

 すでに刑務所に入っている受刑者を拘留って?妙な話ではありますが、こういうことが起こりかねないことを憂慮して24時間体制で彼だけのための看守がついていると思われるのですが・・。

 とにかく、彼の収監は、刑務所内でも大変な出来事のようです。


サルコジ元大統領の刑務所 パリ・ラ・サンテ刑務所 パリの刑務所


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2025年10月21日火曜日

ルーブルだけではなかった 国立自然史博物館等 フランスの美術館・博物館での盗難事件

  


 パリ・ルーブル美術館の強盗事件がセンセーショナルに報道された後、過去、といってもそれほど昔ではないフランスの美術館での盗難事件があらためて注目を集めています。

 実はルーブル美術館強盗事件よりも1カ月ちょっと前の9月16日パリ5区にある国立自然史博物館(Musée National Histoire Naturelle)では、金塊5個が盗まれるという盗難(強盗)事件が起こっていました。

 犯人は非常口から侵入し、月曜日の閉館後も館内に潜み、深夜に鉱物展示室に入り、バーナーとアングルグラインダーを使って防護展示ケースを切断して金塊5個を強奪。

 博物館側は、セキュリティシステムは完全に機能していたとしていますが、それならなぜ?犯人はその場で捕らえられなかったのかが、疑問です。

 盗まれたものは、金塊だったこともあり、被害額も出しやすく、約60万ユーロと言われています。

 当初、捜査当局は、犯罪集団による犯行とみて捜査を開始していましたが、博物館の防犯カメラの映像を分析したところ、夜間に現場にいたのは、黒い服を着て、帽子をかぶり、ベールで顔を覆った女性1人のみでした。この女性は、金塊を盗むために木製のドアをこじあけて、強盗後に現場で発見された警備員をバーナーで襲った模様です。

 その後、この捜査は継続されていましたが、どうやらこの女性がバルセロナ空港で逮捕され、逮捕時の彼女の所持品からは969グラムの金が発見され、分析の結果、これは、パリの国立自然史博物館から盗まれた金塊の一部であることが判明しました。

 逮捕されたのは、30代の中国人女性ということですが、この人物、既に同様の状況下で窃盗を犯し、他のヨーロッパ諸国の裁判所での逮捕歴があり、この女性に対しては、欧州逮捕状が発行されています。

 真夜中の博物館でたった一人で強盗に入る女性。昔、ナイトミュージアム?(題名はよく覚えていないけど)というような映画がありましたが、まさに、この自然史博物館は、大きな動物のはく製がたくさんあって、なんだかその映画を彷彿とさせる・・真夜中には、ちょっと怖い気もしますが、その中で約6キロの金塊を盗んで逃げるというスゴイ話です。

 また、さらにその少し前の9月3日から4日にかけての夜、リモージュのアドリアン・デュブーシュ国立美術館では、国宝に指定されている磁器製の花瓶1個と皿2枚が盗難に遭っています。

 夜中の3時頃に警備員が迅速に警報を鳴らしたにもかかわらず、まんまと3点の国宝は盗まれ、この国宝3点は、推定650万ユーロと言われていますが、こちらの方は、依然として、発見されていませんし、犯人も捕まっていません。

 ここ数ヶ月の間にもう3ヶ所も盗難(強盗)被害に遭っているフランスの美術館・博物館、金塊はともかくも国宝級の美術品を一般人がそんなに簡単に捌けるものとも思えず、特別なルートを通じて、誰かの手に渡っていると考えるのがふつうです。

 しかし、ルーブルの方は、強盗事件から、一夜あけて、もうすっかりこの事件が有名になり、この強盗が侵入した窓は、観光客の撮影スポットになっているという話です。

 美術品というものは、けっこう盗難の憂き目に遭っているものだ・・モナリザだって、かつて盗まれたことがあったんだ・・などという話をテレビでしています。


フランスの美術館・博物館強盗事件


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2025年10月20日月曜日

ルーブル美術館に強盗が・・ ウソみたいなホントの話

  



 つい先日、あまりお天気が良くなかった日に、お散歩がてらに久しぶりにルーブル美術館にでも行ってみようか・・とのんきに出かけたところ、あまりの混雑ぶりに、そのまま、引き返し、チュイルリー公園を散歩して帰ってきたばかりでした。

 夏休みのバカンス期間中は予約なしには、入れないということでしたが、9月からは、予約なしでもOKということだったのですが、予約の有る無しにかかわらず、長蛇の列で、時間を決めて予約しているはずなのに、どうしてこうなってるんだろうか・・疑問に思っていたところでした。

 そんなルーブル美術館に日曜日の朝に強盗が押し入り、美術品8点が7分間の間に盗まれ、その日は一日休館になったという事件が話題になっています。

 そもそも入場するだけでも簡単ではないルーブル美術館に押し入り、あっという間に美術品を盗み出すという、まるで映画のストーリーのような話。報道の中には、「ルーブル美術館に華々しい強盗!」などと見出しをつけているものもあります。

 事件は開館直後の9時30分から40分の間に起こったそうで(ルーブル美術館は午前9時開館)、犯人はトラックに積まれたチェリーピッチャーを使って工事を装って、窓を割って外部から美術館内に侵入。工事作業員を装うために、黄色いベストを着用していた模様というのですから、念が入っています。

 強盗犯は王室の宝石コレクションと王冠ダイアモンドを収蔵するアポロンギャラリーの一室に侵入し、ナポレオンやフランス国王の展示品をターゲットとし、ティアラ、イヤリング、ネックレスなどの8点が盗まれました。

 彼らが盗んだのは、実はもう1点あったのですが、ウジェニー皇后の王冠が美術館付近で破損した状態で発見されたそうで、ルーブル美術館によれば、これは、「ナポレオン3世の妻の王冠で、皇帝の王冠の典型的なもので、1,354個のダイヤモンドと56個のエメラルドで飾られているものだとのこと」、しかし、それを逃走中に落としていってしまうなどというところまで、なんだか映画のストーリーみたいな気さえしてしまいます。

 幸いにも怪我人はなかったようですが、事件発生当時に既に入館していた来場者たちは、安全のために避難させられ、美術館はその日は終日閉館となりました。

 ルーブル美術館は、午前10時半頃に「特別な理由により休館」すると発表。来館者向けの通知には、安全上の理由とされており、当日の予約はすべて返金されるとしています。

 内務大臣は、ルーブル美術館の特別臨時休館は、捜査のための痕跡と証拠を保全があると説明し、盗賊鎮圧旅団(BRB)が文化財密売取締中央局(OCBC)と共に事件を担当すると発表。また、パリ検察庁は、「組織的窃盗」と「陰謀犯罪」の捜査を開始しています。

 現在のところ、判明しているのは、強盗犯は1~2台のTMAXスクーターに乗って現場(現在工事中の現場)に到着、その後、ナセルと呼ばれる小型の牽引車を使って窓際に陣取り、小型のチェーンソーあるいはグラインダーを使って窓を破壊して侵入したということ。

 このチームは予め綿密な偵察を行っており、非常に経験豊富でなんといっても7分間という短時間に美術品を強奪し、逃走したようで、実際に強盗に侵入したのは3~4人とみられています。

 なんといっても、よりによって世界一観光客が多いと言われるルーブル美術館に強盗が侵入し、こんなに簡単に美術品が強奪されてしまうとはフランスの恥だ!という声もあります。

 強盗事件の後には、たいていはおおよその被害額が発表されますが、ここまでの美術品となると、金額の算定が非常に困難で歴史的遺産として非常に価値の高いもの・・としか今のところは伝えられていません。

 ふだん、美術館に行くと、やたらとセキュリティーの人が多いな・・とも思うのですが、このように侵入されては、防ぎようもない気もします。なにせ、広いですから・・・。

 しかし、美術館職員によれば、このところの緊縮財政により、180~190人のセキュリティが減らされたばかり・・との話もあり、(だからといって、早朝に外から入られては無理な話)緊縮財政の煽りがこんなところにも・・と思ってしまいます。

 なにしろ、セキュリティというのは、目立たない仕事で何も起こらないのが当然で、なにか起こったときだけ注目されてしまう、なんだか損な役割なんだな~とつくづく思います。


ルーブル美術館に強盗


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2025年10月19日日曜日

S&P グローバル・レーティング フランスの格付け格下げ

   


 フィッチに続き、S&P グローバル・レーティング(旧スタンダード&プアーズ)は、フランスのソブリン格付けをAA-からA+に引き下げました。

 これは、フランスの財政に関する不確実性が高いことを理由としており、格付けは「高品質」から「平均以上の品質」に変更されたのです。

 この格下げに関し、ローラン・レスキュール経済相は、「これは透明性と責任を求める声であること」を認め、「この不確実性を無視することはできない」と語りました。

 S&Pは、プレスリリースの中で、今回のフランスの格付け決定の主な要因は、「年金改革の停止」であることを明かし、「年金問題は、フランス財政の長期的な悪化の主要要因のひとつである」と見ており、「この改革の後退は絶対に避けるべき一線である」と警告していたため、当然の結果であるとも見られています。

 また、S&Pは、フランスの政情不安にも焦点を当てており、政情不安は財政再建の可能性に大きな不確実性をもたらしており、財政再建は予想よりも時間がかかると見ています。

 さらに、S&Pは、この政情不安とそれに伴う不確実性が成長を阻害していると考えています。来年の成長見通しも1%に下方修正しています。

 この決定が市場に与える影響は、即時にフランス国債の金利が急騰する可能性は低いと見る見方もありますが、中長期的には問題となる可能性があります。

 フランス国債の金利がさらに上昇した場合、それに伴って公的債務による国債債務による政府予算への負担も増加する可能性もあり、具体的には、利払いに充てられる数十億ユーロが引き続き増加し、教育、防衛、司法、環境問題への有益な支出が損なわれることになります。

 しかし、今回のS&Pの格付け格下げは、既に投資家が認識していることを単に確認しているだけのことであるとも言えます。

 年金問題、財政悪化、政情不安は、それぞれが混ざり合って、悪循環に作用していますが、財政赤字削減の政府の予算案、長いこと定まらずに、何回も短期間で退任する首相、政府、今回は年金改革を一時停止することで、ようやく首相不信任案を一端回避できたものの、これがいつまで続くのかも不透明で、そのうえ、大手各付け会社からは、「年金改革停止を主要因」とする軒並み格下げの烙印を押されています。

 年金改革の停止をしなければ定まらない政府と年金改革停止でさらに悪化する財政。

 その結果、さらに国債の金利の上昇から、ますます赤字増大。

 これはフランス政府に対する圧力となる可能性もあり、国の利益のために、財政健全化を可能にする予算を策定するために、誰もが妥協し、譲歩しなければならないということを警告されているとも言えます。

 ちなみに、この格下げとなった「A+」という格付けは、スペイン、日本、ポルトガル、中国と同等の格付けなのだそうです。


フランス S&P 格下げ


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2025年10月18日土曜日

警察官も出動する騒ぎになったマルセイユのギャラリーラファイエット閉店クリアランスセール

  


 ギャラリーラファイエットがマルセイユの2店舗を閉店することを発表したのは今年1月初旬のことでした。それから、半年以上が経過し、いよいよ閉店を目前に控えて、閉店するマルセイユのギャラリーラファイエットでは、在庫処分のクリアランスセールがスタートしました。

 ふつうの在庫処分とは違って、この2店舗のクリアランスセールは店内の棚にある商品と在庫の全てを処分することが目的なため、一部のブランドでは、一部の商品もしくは全ての商品を回収し、自社ブティックや他の店舗で再販売することを選択していますが、とはいえ、デパート全体に残る商品は数万点にも及びます。

 靴やコート、ランジェリー、美容製品、家具、あらゆる種類のテキスタイルまで、デパートまるまる空っぽにするわけですから、もの凄い商品数です。

 それを処分するためには、割引もふつうのセールに比べて、思い切りもよく、最大80%引きまでというかなりの割引率になるために、多くの来客が見込まれていました。混雑を予想して、店舗は警備員の増員など、セキュリティを強化して臨んでいたはずでした。



 しかし、見込みは全然、甘く、実際にこの閉店セールが開始された水曜日には、予想以上の大勢の人が押し寄せ、現場は大混乱に陥り、大勢の来客というよりも群衆が押し寄せ、乱闘の末に、強盗未遂事件までもが発生し、警察官が出動する大騒動になり、予定よりもずっと早い時間で閉店となり、翌日の開店も正午過ぎになりました。

 事態の深刻さに鑑み、警察官が現場に派遣され、衝突と暴力行為を鎮圧するために介入、警察官が軽傷を負っています。

 業績不振のために閉店するお店に制御不能なほどの来客で埋め尽くされるというなんという皮肉な話。大勢の来客に慣れていなかったのか?それとも、特別な割引にお客さんたちが熱狂・興奮しすぎていたのか?いずれにしても、哀しい話です。

 私はマルセイユのギャラリーラファイエットには行ったことがないので、どのようなお店なのかはわかりませんが、そもそも、ほんの一部の例外を除いて、やはりデパートというものは、今、ほぼほぼオワコン(この言葉自体ももうひょっとすると使われていないのでしょうか?)なのかもしれません。

 先日、たまたま、パリのギャラリーラファイエットに行って(実際に行ったのはグルメ館の方で、本館の方は、ちょっと中を通って、相変わらず、ドームがきれいだな・・と眺めただけですが・・)ここだけは、いつ来ても、すごい人だな・・と思ったばかりです。

 パリのギャラリーラファイエットは、その例外に入るのかもしれません。


マルセイユのギャラリーラファイエット閉店セール大混乱


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2025年10月14日火曜日

サルコジ元大統領 10月21日パリ・ラ・サンテ刑務所へ収監決定

  


 サルコジ元大統領に懲役5年の実刑判決が下って約2週間、予定どおり、サルコジ元大統領は、国家財務検察庁(PNF)からの召喚状を受け取り、その日程と場所を告げられました。

 元大統領は、判決を不服として控訴したものの、仮執行猶予付きの拘禁命令により、収監されることになります。

 彼が収監されるパリ・ラ・サンテ刑務所は、パリ14区にあり、6年前に全面改装されて、2019年初頭に再開したばかりの比較的、新しい刑務所で、脆弱な立場にある人々の安全を確保するために隔離された「脆弱者区画(QPV)」があることで知られています。

 これまでにもピエール・パルマード、ベルナール・タピ、パトリック・バルカニーといった著名人も受けいれたことでも有名な場所でもあります。

 刑務官によれば、いかなる人物も優遇措置を受けることはないとのことではありますが、元国家元首ともなれば、刑務所側が優遇というよりも、中での争いごとを避けるための配慮が必用になることは言うまでもありません。

 とはいえ、彼は、他の受刑者と同様に、個人収監通知書、つまり比較的個人的な質問票への記入を求められました。内容は、「うつ病ですか?」、「監視すべき自殺の危険性はありますか?」、「治療や投薬が必用な依存症はありますか?」などの質問です。

 彼が入るのは、9平方メートルの個室。ベッド、ワードローブ、シャワーに加え、テレビと冷蔵庫も利用可能(利用料を支払った場合のみ)。他の受刑者と同様に、週3回の面会室と24時間利用可能な携帯電話の利用権が与えられますが、利用できる電話番号は裁判所が許可した番号に限られます。

 それでも、刑務所内で携帯もテレビも冷蔵庫も利用可能とは、驚きです。

 ただし、個室から出ることは元大統領という立場場、制限を受けるとのこと。このいわゆる社会的脆弱者区画では、1日に2回、専用の中庭に出て、他の受刑者と会うことなく独りで過ごすことができます。

 これは、携帯電話を持ち込んだ他の受刑者がサルコジ氏の動画を撮影したりするリスクを避けるためとしています。

 しかし、サルコジ元大統領は、収監後、ただちに彼の弁護団は、釈放を求める申し立てを請求することができるようで、審査は最大で2カ月以内に行われるというので、彼がノエルまでには、出られる可能性もあり得るという見方もあります。

 この申し立てに対して、70歳以上の高齢者は減刑の恩恵を受けられる可能性が高いともいわれているものの、これは、最終的な有罪判決が下された場合に限られます。しかし、サルコジ元大統領は、控訴しており、6ヶ月以内に再審が開かれる予定になっているため、この控訴がこの申し立てを遮るものになる可能性もあります。

 しかし、なんとかして、逃れるかと思っていましたが、とにかく一度は、お入りになることになりそうです。


二コラ・サルコジ元大統領 パリ・ラ・サンテ刑務所


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2025年10月11日土曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相再任 大混乱中の政治・・フランスにしても、日本にしても・・

  


 フランスでは、昨年の欧州議会の選挙の右派が大勝を果たした頃から、政治の混乱は激しくなり始めました。これに危機感を感じて誰もが驚く突然の国民議会解散と総選挙で、マクロン大統領にとっては、さらに悪い状況に陥り、大統領の派閥が議会の過半数を失うどころか、第一党でさえもなくなってしまいました。

 それからというもの、首相が決まっては、ほぼほぼ、何もできないまま辞任・・ということが続き、昨年末も、今年度の予算案が決められないままに、年を越すという最悪の事態を迎え、それからも、また数人首相が交代し、現在は、次期首相の指名が誰になるのか?とずっとテレビなどでも、喧々囂々と激しい討論が続いています。

 日本にしても、自民党が国会での過半数を失って以来、外から見ていても、なんか、似たような状態だな・・と思っていますが、日本とフランスは政治の仕組みも違い、フランスは、首相といっても、大統領の下にいる立場。そして、その首相は、大統領が任命するというかたちなので、現在、もっぱら、非難の的になっているのは、マクロン大統領です。

 当面の差し迫った課題は、来年度の予算をまた年内に決められなくなること、そして、その予算案に際しての財政赤字をどうやって縮小していくか?何を削るのか?ということなのですが、インフレが進み、生活が苦しくなっている国民が悲鳴をあげているという意味ではフランスも日本も同じことです。

 一般市民というか、国民の立場からすれば、国の言われたとおりに高い税金をきちんと払い、まじめに働いて、生活しているというのに、お金が足りなくなったから、おまえたちの補償を減らすとか、先延ばしにするとか、さらには、余計に税金を徴収するとか・・横暴といえば、横暴なはなしです。

 これまで、赤字が累積されるまで、放っておいたのは、政治家で、ウクライナなどの他国には、気前よく大金を投じて、フランスの場合は、ド派手なオリンピックなどまでやっておいて、自分たちが使うお金を見直したらどうなんだ!と思うのも当然の話です。

 フランスに関して言えば、もう話はどんどんこじれていくようで、これがカップルとか、夫婦などだったら、しばらく距離をおいて、冷静に見直そう・・などと言うことになりそうな気もしますが、国の政治となれば、待ったなしです。

 少なくとも、年に何回にもなる首相交代劇で、政府が停止状態になるたびに、国の政治は中断状態。今回の首相交代劇に関しても、9月の初めに就任して、組閣が26日間も据え置き状態の挙句に組閣発表の直後に辞任。約1ヶ月間は、またフランスの政治はストップ状態です。

 先日の辞任するセバスチャン・ルコルニュ首相は、来週の月曜日が予算案を年末までに決める時間的リミットだと言っていましたが、これも絶望的な感じです。

 すったもんだの挙句に辞任したセバスチャン・ルコルニュ首相が首相に再任されたということで、また大論争が起こりそうです。


セバスチャン・ルコルニュ首相再任


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2025年10月9日木曜日

辞表提出済みのセバスチャン・ルコルニュ首相がインタビューで語ったこと

 

    

 史上最短記録を樹立したセバスチャン・ルコルニュ首相に対して、マクロン大統領からは、2日間の間に最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を課せられていました。

 この48時間の間、フランス国内は政界のみならず、世論も荒れに荒れ、各政党がここぞとばかりにマクロン大統領を攻め立て、もはや内閣というよりも、「大統領辞任」を求める声が強くなり、これまでマクロン大統領の腹心と言われていた人々からも、彼を否定するような発言が飛び出し、特にマクロン大統領を支持しているわけではない私でも、ちょっと見るに堪えない惨状となっていました。

 これまでも、「マクロンやめろ!」の声は、けっこう上がっていたのですが、今回ばかりは、なかなか真実味が増してきたような気がしたのも事実です。

 こんな混乱状態の中では、誰と誰が会ったとか、何を話したか?とか、憶測に過ぎない話なども、盛沢山に出没するわけで、全てを真に受けてはいけないと思っていましたが、そんな中、エリザベス・ボルヌ(元首相)が年金改革を一時停止にしてはどうか?というような発言をしたため、また、それが新しい火種になったりもしていました。

 年金改革案を49.3条(首相の権限において、採択せずに法案を通すこと)を発令して、大暴動まで起こして、通した年金改革です。「自分たちの身が危うくなれば、あんなに強引に押し通した年金改革でさえも、あっさり取り下げるのか?結局は、自分が可愛いだけじゃないか!」などの声もあがって、これがまた逆効果になったのです。

 そして、48時間が経過する間に、辞表を出しておいて、結局は続投するのではないか?とまで言われたセバスチャン・ルコルニュ首相は、夜のニュース番組で、この48時間と今後の展望を語りました。

 彼は、予定どおり、首相は辞任すると断言。今後48時間以内に次の首相が任命される予定であると発表しました。彼は今日までの48時間の間の各政党の党首との話し合いから、「複数の政党が共通予算案で合意する用意があると考えている」、「特に左派政党はフランスの安定と予算を望んでいるが、条件を付けている」、「とても困難な状況ではあるが、道はまだ開けている」と大統領に伝えたことを説明しました。

 首相は「党派的な思惑によって、政権構成は行き詰っている」と認め、ほんの14時間で終わった自分が行った組閣に関しては「いくつかの点を見落としていた」、「政権構成に関して一つ後悔があるとすれば、それは、次期大統領選への野心とは無関係なチームでなければならなかった」と告白しています。

 実際に、そう遠くはない2027年の大統領選挙が今回の政治的混乱に無関係ではないことは、今回の騒動を批判して声を挙げている政治家の面々を見ても思い当たる発言がけっこうあります。

 彼は、自分がもう首相を辞任しているということからか、どこかスッキリした顔つきでもありましたが、予算案は月曜日に提出されると話しています。

 しかし、その前の大問題は、48時間後に任命されるであろう首相が一体誰なのか?どの党派の人物なのか次第で、また、問題はぶり返されることは確実。

 また、マクロン大統領の陣営を置いたのでは、問題は繰り返され続けることは確実です。


セバスチャン・ルコルニュ首相


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2025年10月8日水曜日

新型コロナウィルス感染急増と新たな変異株「フランケンシュタイン」

  


 秋の深まりとともに、今年も新型コロナウィルスの感染者が増加する季節になってきたようです。9月の最終週のデータによると、この9月末の1週間の新規感染者数は、33,461人を記録しているそうです。

 これは人口10万人あたり50人の感染率です。

 このコロナウィルス感染の急増により、フランス国内の薬局では先週1週間で15万個の検査キットが売れに売れ、現在、セルフ検査キットが品不足に陥っているそうです。セルフ検査キットの中で最も売れているものは、子どもと高齢者用の検査キットとのこと。

 今回の新型コロナウィルス感染の急増には、「フランケンシュタイン」というニックネームを持つ新型変異株が大きく影響していると言われています。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、この新たな変異株は、9月初旬に記録された感染者の80%以上を占めていました。

 この新たな変異株の学名は「XFG」で「フランケンシュタイン」というのは、ニックネームのようなもので、2つのオミクロン亜変異株が融合したため、「フランケンシュタイン」と呼ばれています。

 つまり、2つの異なる変異株が融合して出来上がった変異種であることから、人間の身体の一部から作られた、あの有名な架空の生き物を彷彿とさせるハイブリッドウィルスということでこのニックネームがつけられたようです。

 このフランケンシュタインは、感染力が非常に強いものの、危険性は高くないと言われてますが、専門家によると、ここ数週間、高齢者施設で依然として感染拡大が確認されており、重症化による入院も増加しているということで、高齢者や化学療法を受けているガン患者、慢性的な肺、心臓、腎臓の感染症など健康上の問題を抱え、感染リスクが高い人は、一層の注意が必用だと警告しています。

 しかし、フランス公衆衛生局は、今回の新型コロナウィルス感染の流行は、ワクチン接種キャンペーンの開始を早めるほどではないという判断を下し、ワクチン接種キャンペーンは、従来の予定どおりの10月14日から、インフルエンザワクチン接種と併せて開始すると発表しています。

 一時は、少し具合が悪いと「もしかして?コロナ?」と不安に思ったものですが、そんなことはすっかり忘れていました。しかし、忘れた頃にやってくるコロナウィルスとインフルエンザ・・という感じになっています。

 キャンペーンが始まったら、ワクチン接種に行ってきます。


新型コロナウィルス感染急増 新型変異種フランケンシュタイン


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2025年10月7日火曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相 辞任 史上最短の在任期間 フランス政府の危機

 

         


 こんなに政局が急速にガタガタと崩れていくものかと、フランス人ではない私でさえも、驚愕する事態がフランスでは起こっています。

 前首相のフランソワ・バイルー氏が辞任して、24時間も経たないうちに任命されたセバスチャン・ルコルニュ首相は、首相任命から、なんと組閣人事発表まで26日もかけて、ようやく10月5日(日)の夜に内閣人事が発表されました。

 私は、そのニュースをなんとなく、サラッと眺めて、明日、じっくり見てみよう・・と思っていました。

 ところが、その14時間後の月曜日の朝、今度は、突如、首相が辞表を提出して、マクロン大統領がそれを受け入れたというビックリニュースが飛び込んできて、「なんなの?これは?どうなってるの?」とビックリした次第です。

 この1ヶ月未満という記録的なスピードでの首相辞任は、当然、国全体を揺るがす大騒動になっており、朝早くに発表された首相辞任のニュースで株価は急落。SNS上だけでなく世論が大炎上しています。

 この首相のスピード辞任、特に組閣人事発表からの速攻辞任には、組閣人事に対する各政党や世論からの大反発によるものと見られており、この組閣人事の構成が前政権からの引継ぎ、つまり大統領陣営がかなりの割合で含まれていること、特にブルーノ・ル・メール氏(長年、マクロン政権で財務相を務めてきた人物で国防・軍事に関しての経験はないらしい)の国防相という人事への反発であるという声も大きいと言われています。

 ブルーノ・ル・メール氏に関しては、マクロン政権がかなり崩れ始めた頃に、自ら財務相を辞任し、どこかの大学の教授として、若者と意見をかわしつつ、フランスの将来について考える・・というようなことを言っており、私としては、まことに清々しい引き方だ・・と感心していたのですが、さらに混乱した状況において、なぜ、政界に復帰することを了承したのでしょうか? 彼は、今回の人事を受け入れるにあたって、「政府に参加するという私の決断は専ら使命感から下したものでした。私の決断が一部の人々から、理解不能で虚偽で不相応な反応を引き起こしていることを承知しています」と述べていました。

 とにかく、この組閣人事発表から、首相退任による組閣取り消しにより、前日の夜に任命された大臣たちは、公式に任命が交付されているために、何もしない14時間のおかげで、各自(大臣たち)が3ヶ月間の給与28,000ユーロの給与が支払われることになり、この任命の総費用だけでも、約50万ユーロかかることなども、報道されています。

 あまりの世間の怒りに慌てているマクロン大統領は、辞表を受け取ったものの、セバスチャン・ルコルニュ首相に対して、2日後の夜までに最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を委任したと大統領府は発表しています。

 ここまでグダグダになって、今さら解決策などあるのだろうか?と思ってしまいますが、今後、しばらくは、離せなくなりそうです。

 今回の首相に関しては、「来年度の予算を通すまでに何人の首相が必用か?」などと嫌みな見出しの報道などがされていましたが、冗談ではなくなってきました。

 1ヶ月未満で職を放棄してしまった新(前)首相に対して、国民の反発もさぞかし強かろう・・と思いきや、世論調査によると4人のうち3人のフランス人は、セバスチャン・ルコルニュ首相の辞任は正しかったと答えているそうです。


仏首相 1ヶ月未満のスピード辞任


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2025年10月6日月曜日

バスの検札がやっぱり物々しくて・・

  


 パリ市内では、バスやメトロなどの公共交通機関のコントロール(いわゆる検札)に遭遇する機会は珍しくありません。先日、バスに乗ったら、まず、チケットをチン!とチェック?する機械が壊れていて、何回かやってみても、赤いランプがついて、ブーッという音が鳴って、一瞬、「どうしよう?」と思って、運転手さんの方を見たのですが、運転手さんは、知らん顔をしているし、次に乗った人もまた、チケットを機械にかざすと、ブーッとなっていて、「あ~これは、機械自体が壊れているんだから、しょうがないよね・・」と思って、そのままバスの中に進もうとしました。

 それにしても、運転手さん、機械が壊れているのは、彼はもうわかっているんだったら、なんか、説明してくれればいいのに・・と思っていたら、そのあとにすぐにバスの入口と出口から検札軍団(5人くらいのいかつい男の人たち)が乗ってきて、チケットのチェックが始まりました。

 あいかわらずの物々しさ・・すごい威圧感だな・・「ただでさえ、ちょっとバス待たされたのに、これで、また時間がかかる・・こんなのやってたから、バスがなかなか来なかったんだな・・」と思いつつ、それでも、自分はチケットをチェックしてもらって、そうそうに、奥の方の空いていた席に座って、「早く、検察なんて終えて、さっさと出発してくれ・・」と思いながら、なんとなく、様子を伺いながら、待っていました。

 いつものことながら、検察軍団は、5~6人が1組になって、動いているのですが、メトロの駅などならば、スペースが広いので、さほど威圧感もないのですが、狭いバスの中だと威圧感がハンパありません。

 それでも、ふつうにチケットをもっていれば、正当に乗車しているわけですから、文句のつけられようもなく(実はチケットは持っていても、チン!と機械に通していなければ、罰金対象になります)、怖いこともないのですが、小心者の私は、チケットを持っていなくて、詰問されているのを見るだけでも、ちょっとビビってしまいます。

 その時は、中学生くらいの男の子と女の子ひとりずつ(一緒にいたわけではなく、別々に乗っていた)がチケット不携帯で違反切符を切られていました。

 男の子のほうは、わりと素直に身分証明書を出して、おとなしく?従っていたのですが、女の子の方が、少々抵抗したらしく、そのままバスの中で尋問が開始。

 少し離れたところにいたので、詳しい内容は聞こえてこなかったのですが、フランス語で話していたので、地域の学生なのだと思いますが、検察官の方が女の子に向かって、「バスに乗るのは、初めてじゃないだろう?」というフレーズだけでしたが、彼女は一体、ナント言い訳をしたのでしょうか?

 しかし、大男たちに囲まれて、責められ続け、しばらくすると、彼女は、半べそをかき始めました。その間、バスは停車したまま、10分経ち、15分経ち・・と時間が経つにつれて、今度は、乗客の方が怒り出して、「自分たちは、仕事中なんだ、こんなに待っちゃいられない!その子と一緒におりて、続けろ!」とバスの中から怒号が湧き始めましたが、検察官の方は、「この先でランデブー(アポ)が入ってる!それに彼女は未成年なんだ!」とよくわからない説明。しかし、ついに乗客の怒号に負けて、検察官とその女の子は、一緒にバスを降りて、ようやくバスは発車しました。

 そもそも、キセルをしたその子が悪いのは、当然なのですが、その検察官たちも、臨機応変に対応ということがすんなりできないものなのか?そんなにすったもんだしてバスを20分以上も停めてしまうことに何の呵責も感じないのか?と、ちょっと、そっちの方に疑問を感じてしまったのでした。


バスの検札


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2025年10月5日日曜日

SNCFを装った「ストライキ後の払い戻し」請求の詐欺メール

  


 まったく、ぼんやりしていられない世の中・・度重なるストライキの挙句に、そのストライキによる払い戻しを装った詐欺メールが横行しているらしいのです。

 ここのところ、新年度になってから(9月から)の度重なるストライキには、皆が少なからずうんざりしているところだと思いますが、今回はSNCF(フランス国鉄)のサイトを装ったホンモノのサイトにそっくりなビジュアルに作られており、詐欺サイトの指示どおりに画面を進めていくと、個人情報、特に銀行の情報がごっそり盗まれる仕組みになっています。

 今回は特にサイトがほぼほぼ、SNCFのホンモノのサイトとそっくりに出来上がっているため、非常に巧妙にできていますが、一部の列車が運休となった9月18日のストライキに関して、ユーザーに29.99ユーロの補償を提示するメールのようです。

 「9月18日の混乱により、29.99ユーロの払い戻しが可能です」とこんな感じです。

 詐欺メールの送信者は、SNCFを装い、標的のユーザーに個人アカウントで払い戻しの詳細を確認するように促してきます。

 その後、ユーザーはリンクをクリックするように促され、SNCF Connectのオンラインチケット購入プラットフォームを巧妙に模倣したサイトへと誘導されます。

 一見すると、このメッセージは、まるで疑いようのないSNCFからのメッセージに見えてしまいます。SNCF Connect(詐欺メール)のデザインは、ホンモノのSNCFと同じデザインで出来ているのです。

 送信元「nrp@sncf.fr」は確かに信憑性があり、内容もユーザーの名前も綴りも間違いなく伝えてきます。

 メッセージには、約束された払い戻しの詳細は個人アカウントで直接確認できると書かれており、「手続きは迅速かつ安全です」と豪語し、リンクをクリックするように促してきます。

 リンクをクリックするとSNCF Connect のウェブサイト(模倣して作られた偽物)にリダイレクトされ、ご丁寧にロボットではないことを確認するためのキャプチャーコードの入力が求められます。

 そして、払い戻し確認のため、個人情報とクレジットカード番号の入力を求められます。詐欺師は、データに直接アクセスし、データが盗まれてしまいます。

 ホンモノのSNCF Connectは、これらの詐欺メールが横行していることに対して警告を発しています。

 偽物を見分ける方法として、送信者のアドレスを注意深く確認するように呼び掛けています。通常ホンモノのメッセージには、@mail.sncfconnect.com、@mail.sncf-connect.com、@info.sncf.com、@connect.sncf、@info.sncf-voyageurs.comといった識別子が含まれています。これらの識別子で終わらないアドレスの場合は、警戒が必用だと言っています。

 私の場合は、「ん??なに?このメール?」と思った際には、そのままそのリンクをGoogleなどで検索してみます。すると、だいたい、詐欺の警告が出ているので、それですぐに削除してしまいます。

 一番簡単な方法です。

 しかし、さんざん、ストライキで迷惑していて、イラついているときなど、「払い戻し!」などというメッセージがきたら、ついうっかり「そりゃそうよ!返してもらわなきゃね!」などと乗っかってしまいかねない気もします。

 まったく、ストライキで足止めを食って痛めつけられ、その後にそれを補償してもらうための詐欺にひっかかるなんて、まったく二重に痛めつけられることになります。

 ほんとに皮肉なことですが、この種の詐欺師などは、ほんとよく気が付くし、よく働くな・・と感心してしまいます。


SNCFストライキ後の払い戻し詐欺


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