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2026年3月15日日曜日

フランスの研究者らがアルツハイマー病の新たなメカニズムを発見   

  


 3月初旬にリールの研究者らが発表した科学論文で、アルツハイマー病の発症と進行における細胞の関与が初めて明らかにされたとして、この発見により、発症前であっても早期介入が可能になるという希望が生まれたと注目されています。

 これは、神経科学と認知科学の研究者であるヴァンサン・プレヴォ氏の指導の下、フランスの国立保健医療研究所(INSERM)、リール大学、リール大学病院(CHU)によって行われた研究です。

 アルツハイマー病は、記憶と学習を司る脳領域である海馬に位置するニューロン(神経細胞)のゆっくりと進行する変性によって引き起こされます。徐々に変性は脳全体に広がり、記憶、日常的な作業の遂行、空間と時間の見当識に問題が生じます。

 アルツハイマー病患者に共通する特徴の一つは、主にニューロンに存在する「タウタンパク質」(神経細胞の中で物質を運ぶ仕組みで脳の神経細胞の構造を安定する役割)の異常な蓄積で、通常は少量が分泌されて血液中に排出されますが、アルツハイマー病患者のタウタンパク質の構造は変化し、ニューロン内で正常な機能が果たせなくなり、血流から適切に排出されないタウタンパク質はニューロン内に蓄積し、脳機能を阻害し、徐々にニューロンの変性を起こし、認知機能の低下に繋がるということです。

 ここでリール大学は脳と身体の他の部分との間の重要な情報交換を担っている「タニサイト」が重要な役割を果たし、タニサイトがタウタンパク質の輸送に関与し、脳脊髄液からタウタンパク質を補足して毛細血管へ輸送していることを発見したと発表しています。

 もう一つの発見はタニサイトが実はタウを脳から除去して血流へ輸送する主要な経路であるということです。

 マウスにおいて、これらの細胞の活動そ阻害することで、研究者たちは、アルツハイマー病の初期段階を発症したことを確認したと説明しています。

 そしてアルツハイマー病で亡くなった患者の脳を調べたところ、タウタンパク質を含むタニサイトが損傷していることが明らかになり、断片化された細胞は、もはや血液を脳性髄液に適切に結合できずにタンパク質の必用な排出を妨げていました。

 この発見により、「タニサイトが断片化する前に生活習慣の改善や薬物療法などを通じて早期介入を行い、タニサイトの窒息に対処することで、発症リスクを低減することが期待できると言われています。

 将来的にはこの発見はアルツハイマー病の予防に役立つ可能性はあるものの、現時点では、治癒できる可能性は低いとも言われています。

 現在、フランスでは約90万人がアルツハイマー病に苦しんでおり、現在の薬物治療やケア活動では、アルツハイマー病を治癒することはできず、認知機能低下の症状を遅らせることしかできていません。

 

アルツハイマー病のメカニズム


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2026年3月13日金曜日

労働省が「就職面接でますます一般的になっているハンドバッグテストは違法」と警告    

  


 ここ数年、フランスでは、就職面接の際にハンドバッグの中身をテストするケースが増加しており、このような状況に遭遇した就職面接に臨んでいる女性がソーシャルメディアや報道機関でこの状況に苦情を申し立てており、労働省は就職面接における「ハンドバッグテスト」は違法であると宣言しています。

 私は、フランスでも幾度となく、就職面接を受けてきましたが、幸いなことに、このような経験は一度もありませんでした。ただでさえ、少なからず緊張する就職面接のような場において、突然、「バッグの中身を見せてください」などと言われたら、どんなに驚いただろうか?と思うと、ちょっと信じられない気持ちです。

 仕事の機会は得たいものの、こんなことを求める会社は辞退したくなる気もします。

 このおかしな現象が、フランスで始まったのは、2025年頃からのことで、そんなに歴史は長くないものの、この慣行は、過去2年間でアメリカで広まったものだとも言われています。

 女性のバッグの中身はその人の生活の全てを物語るものであるとか、バッグの中の整理整頓がその人の能力を知るうえでの判断基準のひとつになりえる・・とか、そんな理由付けがもっともらしく説明されています。

 しかし、実際には、バッグの整理整頓方法と職業上のスキルを関連付ける科学的根拠は存在せず、全くのデタラメです。

 逆の見方をすれば、散らかったバッグはどんな状況にも適応できる能力と解釈できる可能性もあります。

 この「バッグの中身を公開せよ」という要求は紛れもなく違法。プライバシーの侵害であり、憲法、民法、欧州法に違反しています。

 また、このバッグテストは、多くの場合、男性はバッグを持ち歩いていないことが多いためか、圧倒的に女性に対して行われているテストで性差別であるとも言われています。

 フランス労働法・社会保障協会(AFDT)によると、「応募者がこのような不条理な慣行にさらされた場合、損害賠償を求めて法的措置を取ることができる」のだそうです。

 さしずめ、私自身に関して言えば、私のバッグの中身はかなりグチャグチャで、やたらと荷物が多く、このようなテストをされれば、一発アウトです。

 また、バッグの中身ではありませんが、私は以前、ある通信社で働いていたことがありますが、その事務所の乱雑さは、最初、衝撃的でもあったほどでした。

 このようなプライバシーの侵害のようなことがおこるなんて、フランスらしくないな・・と思うと同時に、これってセクハラ・パワハラの一種なのではないか?とも思うのです。


ハンドバックの中身テスト


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2026年3月12日木曜日

欧州連合(EU)域内の女性のほぼ3人に1人がの暴力を経験しているという驚くべき調査報告書  

  


 EUの2つの機関である欧州連合基本権機関(FRA)と欧州ジェンダー平等研究所(EIGE)が発表した調査報告書によると、EU域内の女性の3人に1人が生涯で暴力を経験していることが明らかになっています。

 この調査は2020年9月から2024年3月にかけて18歳から74歳までの女性11万4,000人以上を対象に実施されています。

 欧州連合基本権機関(FRA)によると、「女性の約30%がパートナーから屈辱、脅迫、または支配的な態度をとられた経験があり」、約10人に1人が「パートナーから傷つけられた」と回答し、17.2%が性的暴力を受けた」としています。

 さらにFRAは、「女性の8.5%がネットいじめを受けた」と報告し、「10.2%がパートナーからオンライン監視、またはストーカー行為を受けた」と付け加え、オンライン暴力の増加を指摘しています。

 この調査によると、パートナーによる虐待の被害者のうち、警察に通報するのは、わずか6.1%、パートナー以外の人物から暴行を受けた被害者のうち、わずか11.3%です。

 EUは、女性に対する暴力を撲滅させるための法的文書である「イスタンブール条約」(女性に対する暴力および家庭内暴力および、これらとの闘いに関する国際条約)に批准し、各国に対し、法律整備や被害者支援体制の強化の義務付けや国際的な監視制度を設けることを規定していますが、事実上、これは全く機能していないと言わざるを得ません。

 しかし、このイスタンブール条約に対して、ブルガリア、チェコ共和国、ハンガリー、リトアニア、スロバキアの5ヵ国は批准していません。

 ちなみに日本は加盟していません。

 この調査に関しては、特にオンライン暴力の増加を問題視していますが、女性への暴力に関しては、「知られたくない」という心理が働くことから、通報にも至らず、暴力が常態化したり、無視されたりする結果に繋がることから、制度的な欠陥が浮き彫りになったと言えます。

 以前、職場にどうやらDVを受け続けているらしい同僚がいて、心配したことがありましたが、本人が「転んだ・・」などと言い訳するので、それ以上は介入できず、それでも、あまりに頻繁に転びすぎるので、「絶対、転んだんじゃないよね・・」などと言っていましたが、結局、彼女はしばらくして、仕事を辞めてしまって以来、その後はどうなったのかはわかりません。

 このような国際条約などには、実際には、まるで機能していないものがけっこうあるものです。


女性への暴力


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2026年3月11日水曜日

SHEIN はなぜ?そんなにフランスに店舗を展開しようとしているのか?      

  


 中国のオンライン・ファッション小売大手「SHEIN」がリモージュ、アンジェ、ディジョン、グルノーブル、ランスのBHV百貨店に出店することを発表しています。

 SHEINは、すでにパリの一等地にある老舗百貨店BHVマレ店内に店舗をオープンしており、この出店に関しても様々な物議を醸し、反対する声も多かった中、そのうえ、そのわりと直後にSHEINのウェブサイトの第三者販売専用セクションに少女の様相を呈したセックスドールやA級武器が掲載されていたことが発覚し、一時的にサイトは閉鎖され、大いに問題視されていました。

 その他、環境汚染や不正広告などについても問題を指摘されています。

 私も一度、BHVマレに入っているSHEINを覗きに行ったことがありましたが、店内においても大々的な広告がされているにもかかわらず、そこまでの人出は確認できず、それ以降もあまり盛り上がりは見せていないようです。

 というのも顧客側は、オンラインよりも価格が高いという印象を持っており、SHEIN側はこれは誤った認識であると主張はしているものの、顧客側がそのような印象を持っているかぎり、どういわれようとそのイメージを払拭しなければなりません。

 しかし、さすがにBHVの一店舗目のオープンから10日後にはすでにSHEINは、顧客を失望させないために、商品ラインナップや価格設定を変更する必要があると述べています。

 とはいえ、BHV全体を見渡してみれば、それ以外の店舗は本当に無残な客入りで、よくもこんな場所でこんな店舗を構えてやっていけるな・・とちょっとハタから見ても心配になるくらいです。

 SHEINの受け入れに関してはBHVに出店している店舗はある程度のステータスを誇りにしているというところがあるのでしょうが、そこにSHEINのような安さが売りのような店舗を加えることには抵抗があったとはいえ、これが顧客を呼び込む呼び水になるのではという期待もあったかもしれません。

 決して、上手く行っている感じでもないSHEINの1号店にもかかわらず、SHEINはなぜ?そんなにフランスに店舗を展開しようとしているのか?といえば、フランスを世界的ファッションの拠点として捉え、ブランドの信頼性の向上や欧州市場全体への影響力の拡大、「安いだけ」から「トレンドを作るブランド」への展開を目論んでいると言われています。

 フランスはEUの主要消費市場の一つでオンライン購買率も高い国であり、フランスでは都市部以外に住む顧客が多く、これに対応するものとも思われます。

 また、地方に店舗を展開することにより、現地での雇用創出や投資を強調することで、多くの規制の緩和に繋がることも期待していると思われます。

 とはいえ、決して好調とは見えないSHEINのパリ実店舗出店にもかかわらず、あくまでも強気のSHEIN。簡単には諦めないことが成功の秘訣という気もしないこともありませんが、この地方5店舗の出店が吉と出るか?凶と出るか?は、まだ不透明です。


SHEINフランスにさらに5店舗出店


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2026年3月10日火曜日

深刻化する子どもの持久力の低下        

   


 最近の文部科学省の調査によるとフランスの10歳~11歳の子どもの半数以上がジョギングペースで5分以上走れないことが明らかになりました。

 テストを受けた26万7,000人の児童のうち、半数以上が最低時速 9.5kmで5分以上で走ることができず、さらには18%は時速 8.5kmで3分以上止まることなく走ることができませんでした。

 このデータは性別や社会的背景に関連した不平等の拡大を浮き彫りにしており、非常に憂慮すべきものだと言われています。

 このテストは2025年9月に行われたもので、心肺持久力運動、立幅跳び、30メートル走の3種目で構成されていました。また、10歳以上の子どもたちには、少なくとも3分間、そしてその後少なくとも5分間、一定のジョギングベースで止まることなく走ることが求められました。

 最初の持久力運動で不合格となった生徒は5人に1人、2番目の持久力運動でも半数が不合格、全体として、持久力運動で満足のいく成績を達成した生徒はわずか34.2%でした。

 このうちの割合は女子では21.6%、男子では43%で、また社会的地位指数1(最も恵まれない地位とされる)の学校では合格率25.3%、社会的地位指数5(最も恵まれている地位とされる)学校での合格率は43.4%という数字も出ています。

 個人的には、子どもの持久力が社会的不平等に関連しているという見解は、「お金がなくても、子どもに運動させることはできるのではないか?」、うちなんか、決して豊かではなかったけど、子どもの身体を鍛えることは、夫婦そろって、お金をかけずにやっていた!」とピンと来ないところがあるのです。

 私はとにかく体力云々よりも子どもに健全にエネルギーを発散させるために、休みごとに市内のプールに連れて行ったり、夫は休みの日には、娘をグラウンドに連れて行っては知らせたりしていました。(常に肥満気味だった夫に対して、私はおまえも走れよ!などと思っていました)

 なので、決してお金がかかるものではなく、社会的格差が影響するものではないと思っていたのですが、こうして「社会的地位指数」などというものを基にデータを比較されて、このような結果が出れば、実際には、その違いは顕著であるので、認めざるを得ません。

 しかし、言えることは、結局は親の意識の問題で、やっぱり、この社会的地位指数の上位にいる人々は、子育てに対する意識が高いのだと言わざるを得ません。

 数年前から学校でのスポーツ、体育の時間の強化などという話もチラホラ聞いていましたが、わずか10歳やそこらで10分ジョギングできない子どもが半数とは・・さすがに深刻です。

 うちの娘は、とにかく小さい頃からエネルギーを発散させて、疲れさせることをひたすらやってきた結果、これが鍛えて続けていることになり、生半可なことではへこたれない娘に仕上がったので、10分やそこらで走れなくなる子どもなど、想像すらしないことでした。

 このような子どもの体力・持久力の低下には、身体を動かして遊んだりすることから、スマホ、タブレットで遊ぶ、時間を費やす子どもが増えたことも影響していると思われます。

 子どもは心身ともに健康に育てるためには、特に幼少の頃には、身体を動かさせることが大切なんだと思います。


フランスの子どもの持久力低下問題


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2026年3月9日月曜日

フランスで再注目されている「ブークリエ・サニテール(Bouclier sanitaire)」        

   


 巨額の財政赤字を抱えるフランスで主に社会保障・医療制度の公平性、公正性をめぐる議論(2025年末の社会保障赤字は230億ユーロ)の中で、昨今、浮上しているのが「ブークリエ・サニテール(Bouclier sanitaire)」です。

 これは誰もが負担過多にならずに医療を受けられる仕組みをめぐって行われている議論で、直近では、フランスの公共財政専門の経済学者フランソワ・エカル氏が提案しているもので、同氏によれば、「この制度は現行の制度よりも再分配効果が高く、不平等性が少ないものだ」と訴えています。

 現行の制度は国民が支払う医療費は、国民健康保険でカバーされる部分と国民健康保険ではカバーできない部分を補足健康保険(任意)が補う形になっており、この補足健康保険(通称ミューチュエル)はもちろん別に支払うのですが、その金額によってもちろんカバーされる範囲は異なります。

 以前は、このミューチュエルに加入している人が大半という印象でしたが、この保険料も値上げされ、これに加入していない(特に若者)も増加しているようです。

 私がフランスに来たばかりの頃は、このミューチュエルは当然、加入するものと教えられて、また、娘がまだ小さくて、医者にかかることも多かったので、何の疑問もなく加入していました。

 しかし、この補足健康保険に加入しているにせよ、していないにせよ、どちらにもひっかからずに自己負担せざるを得ない医療費に関しては、(最)貧因世帯の家計にとって、(最)富裕世帯よりも大きな負担となっている・・つまり、これらの自己負担額は最低所得層10%の家庭では、生活水準の2.76%に達するのに対し、再考所得層10%の世帯にとってはわずか0.59%にしかならないということです。

 この不均衡を解消するために、医療費の年間支出上限額を所得比例型で設け、上限に達すると、それ以上の負担が発生しなくなるというシステムです。

 考えてみれば、これは非常に合理的な考え方で、多くの補助金・援助金、他の多くの社会保障については、この所得比例に応じた金額設定になっていることが多いフランス(日本のように一律いくら・・とかいう補助や援助はあまりありません)で、逆に、なんで、今までこうなってなかったんだろう?と不思議にさえ思います。

 ただ、現在、大きなネックの一つは、補助健康保険の意味が薄れることで、この大手の補助健康保険会社とこの種の類の企業と結びつきの強い政治家が反対しているそうですが、これは、主客転倒というか、そもそも何のための保険?何のための政治?という話でもあります。

 この制度は2007年に当時、貧因対策高等弁務官を務めていたマーティン・ヒルシュが提案し、技術的な実現可能性を示していたと言われていますが、実現しないままに放置され続け、最近になって、ふたたび、それを焼き直した感じでフランソワ・エカル氏が再提案しているものです。

 国民の生活を改善するためのはずである政治が有効な制度をストップしているという例はけっこうあるものです。

 高齢化問題を抱える日本にも参考になることではないか思ったので、話題に挙げさせていただきました。


所得比例型医療費上限制度「ブークリエ・サニテール(Bouclier sanitaire)」


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2026年3月5日木曜日

フランスの農業用土壌でPFAS(多年生汚染物質)の濃度が記録的な水準に   

  


 数十年にわたり、産業汚泥が撒き散らされてきたムーズ地方(フランス北東部・ロレーヌ地域)とアルデンヌ地方(フランス北東部・シャンパーニニュ アルデンヌ地域)の農業用土壌でPFAS(多年性汚染物質、主にフッ素からなる人工化学物質の総称で難分解性や高蓄積性を持ち、環境や人体への影響が問題視されている物質)の濃度が記録的水準に達していることが明らかになっています。

 これは、France3等のメディアが「土壌と河川サンプルの科学的分析に基づく調査報告書」を公表したもので、この報告書では、「2025年夏以降、約10の自治体で飲用不可とされている水道水の飲用禁止措置は、このスキャンダルの氷山の一角に過ぎない」と説明しています。

 これらの多年性汚染物質は、「畑や川、農地から地下水、野菜から住民の血液に至るまで、あらゆる場所に浸透している」とメディアは44のサンプル分析結果に基づいて報じています。

 アルデンヌ県とムーズ県で実施された調査では、分析結果に基づき、多年性物質であるPFASが農地、さらには野菜にも存在していることが明らかにされており、ムーズ県の機密文書には、「重大な健康と環境問題を示す危機」が記されています。

 農業におけるPFASの拡散に関する暴露を受け、議員の一部は、国家規制の導入を訴え、「発生源から水道を止めなければならない」と訴えています。

 シャンパーニュ・アルデンヌの土壌でPFASの濃度が警戒レベルに達したことを受け、この問題は今や、国家レベルにまで及んでいます。ジロンド県選出の国会議員は環境大臣に対し、 濃度上限の設定を求めています。

 これらの化学物質は、防水性と非粘着性のために数十年にわたり産業界使用されてきましたが、分解には非常に時間がかかるのです。一度、環境中に放出されると、PFASは水や食物に移行し最終的には私たちの食品に混入する可能性を含むものなのです。

 


PFAS(多年生汚染物質)濃度警戒レベル


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2026年3月3日火曜日

忘れてたけど、在留証明書の発行には3日間もかかる・・

  


 今月、日本に一時帰国する予定にしているのですが、今回の帰国には、ひとつ「日本での公的書類の手続きをしなければならない」という目的もあるのです。

 日本の実家に手続き用の書類がもう届いているのは知っていたのですが、なんとなく行きそびれていたのと、もう少し気候が良くなってからの方がよいな・・と、なんとなく、のばしのばしになっていたのです。

 その手続きについては、なんとなくは友人にだいたいのことは聞いていたのですが、やっぱり必要な書類なんかを確認しておこうと調べたところ、海外在住の場合には、在留証明書が必用なことがわかり、大使館に在留証明書をもらいに行ってきました。

 これまで、様々な公的手続きに幾度となく、在留証明書をもらってきたにもかかわらず、この発行には申請から3日間もかかるということを、私はすっかり忘れていて、そう遠くない出発にはなんとか間に合うものの、「やばかった・・ギリギリセーフ・・」と焦った次第です。

 しかし、以前にも書いたことがありましたが、数年前に、以前、仕事でシンガポールに住んでいた弟が、「その場で20分ほどで発行してもらえた・・」という話を聞いて、なんでパリは同じ在留証明書にこんなに時間がかかるの??と思った覚えがありましたが、パリは未だ、変わっていないようです。

 そのうえ、申請書を提出した際に「もしも、これで不備がありましたら、また来てください・・」みたいなことを受け付けてくれた人に言われて、日本にこれを持っていかなければならないと言っているのに、「また来てください」ってどういうことよ!と、ムッとしました。

 そんなに簡単に日本と行き来できるわけではないのに・・。

 パリに来たばかりの頃は、フランスでは、どんなことをするのにも、ましてやお役所や銀行などなど、何をするにも時間がかかって、「日本だったら数分で終わることなのに・・」と地団太を踏んだこともしばしばありましたが、むしろ、あれから20年くらい経って、むしろ、フランスではオンラインで済むことが増え、以前に比べると、ずっとスムーズに行くようになった気もします。(とはいえ、滞在許可証の申請だけは、依然として最悪ですが・・)

 この「在留証明書発行まで3日間もかかるんだって・・」という話を娘にメッセージのついでに送ったら、「わお!お役所仕事だね!」と返事が返ってきて、「お役所仕事」などというワードまで出てくるようになった娘の日本語力にちょっと感心しつつ、この「お役所仕事」というワードについて考えました。

 一般的に「お役所仕事」という言葉は良い意味に使われることは稀で、お役所は「お役所仕事だね・・」などと言われないようにするべきであるということは、なんとも皮肉な日本語のひとつだと思いました。

 前回、日本で区役所に行った時に、とっても感じよくて、早くて親切になって、区役所も変わったな・・という印象を持ったのですが、外国にありながらの「日本」である大使館は、あまり進歩しないようです。

 大使館に行ったついでに、申請書類の中に「免税用」というものがあったので、ついでにこれも申請して行こうかな?と思って、「必用書類」等を見てみたら、日本よりもずっとたくさんの書類が必用で、「日本でもらった方が早いな・・」と断念しました。

 日本人でありながら、日本に住んでいないのですから、必用な書類が多いのも致し方ないとも思うのですが、あらためて、海外に住むということは、手続きも多くなり、大変だな・・と今さらのように思い知らされたのでした。


在留証明書


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2026年2月28日土曜日

乳児用粉ミルクのリコールで、メーカーの中国産原料への依存が明らかになった・・    

  


 今回のネスレを始めとする乳児用粉ミルクのリコール事件に関して、その中心となっている毒素とされるセレウリドが含まれていたのは、粉ミルクの成分の中のARA(アラキドン酸)という成分であることが明らかになっています。

 今回のこの粉ミルク騒動では、乳児3名の死亡と10名の入院が確認されています。

 このARA(アラキドン酸)という成分は本来ならば、母乳に自然に含まれている成分で、乳児の脳の発達に有用な成分とされていますが、ところが、これが粉ミルクとしての製品を製造するにあたってのARA(アラキドン酸)となれば、工場でバイオ発酵によって生産されているものであり、その後、粉ミルクに添加されています。

 今回のこの毒素入り粉ミルクの原因はこのARAの中に含まれているセレウリドであることが解明されつつあるため、このARAの製造元の追跡をしており、すでに世界最大級のARA生産企業である中国のキャビオ・バイオテック社のものがほとんどであったことが判明したほか、ネスレは問題のARAサプライヤーとの関係は絶ったと発表。

 ダノンは現在、フランス市場向けの欧州サプライヤーを含む複数のARAメーカーと提携していると報告し、なんとなく言葉を濁している印象を受けます。

 またVitargermineグループは、原材料は米国と中国から調達していたと説明し、残念ながら、この原材料はフランスでは入手できないとしながらも、中国からの調達を停止したと発表しています。

 いずれにせよ、今回の粉ミルクリコールに関しては、大手国際グループに製品を供給している中国のキャビオ・バイオテックの製品供給先と合致しており、いかに世界中の粉ミルク業界がいかに中国産原料に依存していたかが明らかになっています。

 このキャビオテック社は最初のセレウリド問題での警告から3ヶ月も経過しているのに、武漢工場の経営陣は自分たちに向けられた非難に対してコメントしていません。

 というか、また武漢??偏見はいけないと思いつつ、武漢ってコロナウィルスが広がった震源地的な場所ではなかったか?と思うと、なんだか、さらに恐ろしい気になってくるのでした。

 一部の欧州の企業では、この問題に立ち向かう準備はできていると豪語しているとの情報はありますが、それにしても、追加投資が必用となり、専門家の推定によると決定後、機械の発注、設置、稼働の開始までには約13カ月がかかると予想しています。

 それにしても、いつのまにか、なぜ業界全体がそんなに中国製品にガッツリ依存してしまっていたのか?恐ろしい話です。


粉ミルク事件 中国キャビオ・バイオテック社


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2026年2月27日金曜日

フランスの大部分で花粉「高」警報発令

  


 少しまえに、日本にいる友人から「今年はスギ花粉が酷くて、目が炎症をおこして眼科に行きました、あなたも花粉対策しっかりしてね・・」というLINEをもらって、「え~もう花粉がそんなに酷いの??」とビックリしましたが、「フランスはそれほどでもないしな・・」と思っていたところでした。

 気候変動のせいか、私がフランスに来たばかりのころには、まったく花粉症なんて言う話を聞いたことがなかったのですが、「ここのところ、フランスでも花粉症が増えたらしい・・」という話は聞いていました。

 しかし、それも一時、「パンデミックの影響で皆がマスクをするようになって、花粉症も減ったようだ・・」という話も聞いていて、「ああ、けっこうマスクで花粉症も防げるものなのだな・・」とも思っていました。

 ところが、パンデミックもおおよそ終息し、皆がすっかりマスクをしなくなった昨今、今ごろになって「フランスの大部分で花粉「高」警報発令」といいうニュースでまたまた花粉症がぶり返していることを知り、ビックリしています。

 年が明けてから1月2月と雨の日が多く、お天気も悪い日が多く、陰鬱な日が続いていましたが、ここ数日、急に暖かくなり、もう半袖でもいいかも・・?と思うくらい暖かい日が訪れています。

 しかし、この暖かい季節の到来とともに、花粉の飛散が始まったようです。フランスの花粉の原因の多くは「ハンノキ」だと言われ、このハンノキは、冬の終わりに受粉が始まるそうです。

 今の時期に舞うハンノキの花粉は、スギやヒノキほど有名ではありませんが、スギなどよりも早く花粉を飛ばすことが特徴です。

 ハンノキ花粉症では体にある免疫システムがハンノキの花粉を異物として認識し、過剰に反応してしまうことでアレルギー症状を起こします。

 この木はフランス全土に広く分布しており、また、この花粉は非常に細かく軽いため、アレルギー誘発性が高いのです。

 現在、フランスのほぼ全域に小さな赤い斑点が点在しており、これは花粉ピークの閾値である高い花粉量を示しています。

 科学的研究によると、気温と二酸化炭素濃度の上昇は花粉の微粉量の増加と受粉期の長期化を促進されることが示されています。

 つまり大気汚染は花粉を変化させ、アレルギーの誘発性を高める可能性があるということです。

 フランス食品環境労働安全庁(ANSES)の統計によると、フランスの成人の30%、9歳以上の20%が花粉症に悩まされているそうです。

 特に今週初めから、ヴォークリューズ県(プロヴァンス・コートダジュール地域圏)はヒノキの非常に高い警戒地域、ハンノキの高い警戒地域に指定されています。

 これに比べて、日本の花粉症の状況を調べたら、調査機関にもよりますが、国民全体の約40%、50%以上の人々が花粉症に悩まされているということで、おおよそ、約3~4人に1人、あるいは、2人に1人の割合のようです。

 私も以前、4月に日本に行った時に、花粉症から呼吸困難のような症状を起こして、非常に苦しい思いをしたことがあるので、花粉症は決して侮れません。

 ある程度は、予防できることはありそうなので、お気を付けください。


フランスの花粉症警報


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2026年2月25日水曜日

16歳の高校生2人の爆弾テロ計画 

   


 先日、夜9時頃の報道で、パリのモンパルナスタワー、エッフェル塔、パリ政治学院(SiencePo)、バタクラン・コンサートホール、パリ市内のショッピングセンターなど5ヶ所が標的とされ、複数の当局に「パリ各地を爆破する」という脅迫を含む複数の爆破予告メールが同時に送信されたことを知りました。

 この爆破予告があったのは午後5時頃のことだそうで、それぞれの施設には、避難命令が発令され、爆発物の捜索作業に追われました。

 この中のバタクラン・コンサートホールに関しては、当日、閉館していたために、大きな被害はありませんでしたが、他の施設はいずれも大混乱に陥りました。

 ただし、エッフェル塔に関しては、あまりに頻繁にある爆破予告のためか、避難勧告を発令しなかったと言われています。それはそれで、もしも、本当だったらと思うと怖いんですが・・。

 結局は、どの施設も爆破されていなかったので、この予告は嫌がらせ、愉快犯の類だったのかもしれませんが、この報道を聞いて、「意外と犯人は子どもだったりするのかも・・?」などと、私はこっそり思っていました。

 そして翌日、「あの爆破予告・・どうなったのかな?」と調べようとしたら、「16歳の少年が爆弾テロ計画で逮捕!」という報道がされていたので、「あぁ・・やっぱり子どもだったのか・・」と思ったら、これはまた、別の事件で、「国家テロ対策検察庁(PNAT)はフランス北部でショッピングセンターなどを狙った爆弾テロ計画を準備していた16歳の少年2人を逮捕した」というものでした。

 こちらの計画については、ただの愉快犯ではなく、既に準備のために、爆発物を製造、実験していた疑いをもたれているため、より具体的なテロ計画であったことが明らかになっています。

 2人の少年は、イスラム国のプロパガンダに利用され、インターネット上で過激化。彼らはジハード主義(イデオロギーに動機付けられた暴力を用いてウンマ(集合的なイスラム世界)を外国の非イスラム教徒や国内の異教徒とみなす人々から守る、主にスン二派の過激なイスラム世界)のプロパガンダや人物像に深い関心を抱いていたと見られています。

 実際にこの少年は、コンサートホールやショッピングセンターを標的とした爆破テロ計画をしていたこと、燃焼実験を行うための化学物質を入手し、TATP(過酸化アセトン)の製造を試みていたことを認めているということです。

 主犯格の少年は逮捕、拘留、もう一人の少年については、拘留されないまま司法監督下におかれるということです。

 パリの爆破予告との関連があるかどうかは、わかっていませんが、より衝撃的だったのはそれが16歳の高校生の少年であったことで、本来ならば、青春真っ只中で楽しく暮らしているであろう年頃に、一体、なぜ?と思う反面、それだけ純粋で思い込んだら突き進んでしまう・・信じ込んでしまう・・そんな年頃でもあるのかもしれません。

 彼らが感化されたネット上のイスラムのプロパガンダを操っているのは大人。しかもこのような少年たちを挑発して実行させようとしているその裏に控えている者たちこそ、罪をとわれなければならない気がしています。


16歳の爆弾テロ計画


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2026年2月24日火曜日

ルーブル美術館に英国王室のアンドリュー元王子の写真が・・ 

 



 昨年から何かとお騒がせ続きのパリ・ルーブル美術館に今、世界中を騒がせているエプスタイン事件に関わっていたとされている英国王室のアンドリュー・マウントバッテン・ウィンザー元王子の写真が飾られました。

 チャールズ3世の弟であるアンドリュー氏は、エプスタイン氏のファイルから機密情報を含む可能性のある情報をアメリカ人性犯罪者であり、資金提供者であるエプスタイン氏に渡したことを示唆するメールに基づき、「公務遂行における職務違反」の疑いをかけられています。具体的には、アンドリュー氏のアジア旅行に関する報告書やアフガニスタンにおける投資機会に関する情報などとされています。

 ルーブル美術館に展示された、このアンドリュー元王子の写真はロイター通信のカメラマンが撮影したもので、11時間の拘束を経て釈放された際のもので、パトカーの後部座席に倒れ込み、虚ろな視線を向けているもので、近年で最も象徴的な写真の一つとして、すでに全世界に拡散されているものです。

 これをルーブル美術館に展示したのは、南アフリカの実業家、イーロン・マスク氏と億万長者を憎む人々のグループ「Everybody Hates Elon」の活動家が世界に名だたるパリ・ルーブル美術館のサーモンピンクの壁に額装されたアンドリュー元王子の写真を「彼は今、汗をかいています」というキャプションとともに飾ることに成功したのです。

 このルーブル美術館での写真展示について、「People vs Elon」(イーロンマスク反対派)というグループの活動家数名がソーシャルメディアに投稿し、活動の最新内容を紹介していました。

 「ルーブル美術館に飾ろう!」は、ソーシャルメディアでよく使われるミームなのだそうで、ユーザーが称賛され、記憶に残るに値するほど素晴らしいや動画を投稿される際に使われています。

 それほど、ルーブル美術館に展示されるということは象徴的という意味合いなのかもしれません。

 この写真はルーブル美術館2階、サリー翼903号室のすぐ隣の部屋に15分間来館者に公開された後、美術館職員により撤去されました。

 しかし、15分間とはいえ、なぜ?このような額装された写真が美術館内に持ち込むことができて、展示までできてしまったのか?美術館のセキュリティーも問われそうな話でもあります。


ルーブル美術館にアンドリュー元王子の写真展示


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2026年2月23日月曜日

フランスはヨーロッパで一番車が盗まれている国らしい・・  

  


 フランスはヨーロッパにおける自動車盗難件数ナンバー1の国だそうで、内務省によると、2025年には12万5,000台の自動車が盗まれています。フランスでは4分に1台の自動車が盗まれていることになります。

 そして、昨今のフランスでの自動車盗難の特徴は、もはや窓ガラスを割って侵入したりする物理的な破壊をせずに、約90%の自動車が完全に電子的な手口(キーの信号複製など)を使って盗まれていることです。

 ハッキング装置を装備した窃盗犯は、家の中にある車のキーからの信号を傍受し、これにより、窃盗犯はドアをこじ開けることなく車を開けることができてしまいます。ハッキング装置は、様々な車種に合わせて調整されています。

 なかなか車の盗難もスマートで近代的なものに進歩しているようです。

 昨年、フランスで最も盗まれた車はルノー・クリオで、2位もルノー、3位~5位はプジョーが名を連ね、6位にトヨタRAV4がランクイン?しています。

 トヨタは2021年に栄えある?最も盗まれた車の堂々第一位に輝いていましたが、現在では、ランクダウンしたのは、トヨタがこの盗難に関して、なんらかの対策を講じたのか?それとも、単に出回っている車の台数が減っているためなのか?理由は定かではありません。

 ヨーロッパで一番車が盗まれるというフランスと日本を比較するのも何なんですが、日本での盗難車事情はどうなのか?と思って調べたら、日本で盗難された車の台数は年間6,080台(2024年)(2025年はまだ上半期3,800台という数字しか出ていません)だそうで、まさに桁違い(二桁違い)の数字でした。

 亡き夫はフランス人で車が大好きな人で、どうしても車を持ちたがり、どこに行くにも車の人で、家にも車がありましたが、夫の没後は、維持費もかかるし、少しでも手続きのいるものは減らしたいと車は手放してしまいました。

 日頃、パリの中で暮らしているので、ほぼほぼ公共交通機関でどこにでも行けるし、昨今、パリ市内は交通規制も厳しく、駐車スペースを探すだけでも一苦労。その上、滅多なところに停めれば、盗難に遭うし、下手したら、燃やされることだって無きにしもあらずです。

 車を持つことを考えれば、たまに必要なときには、レンタカーを借りるか、もしくはタクシーを頼んで人に運転してもらった方がずっと経済的です。

 いずれにしても、まったく物騒な国です。

 

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2026年2月22日日曜日

波乱満載の今年の国際農業見本市 大統領選がもう始まっている・・

  


 毎年、この季節に行われるパリ国際農業見本市(サロン・ド・アグリカルチャー)が今年も待った始まったところです。

 パリで行われるこの国際農業見本市は、ここ数年は特に、メルコスール問題をはじめ、様々な農業規制などへの反発が一向におさまらない農民たちの抗議運動等のため、スムーズに行われたためしがないくらい、毎年、波乱を呼ぶ催し物になっています。

 今年もここ数年の動向の中での例外ではなく、政府の農業危機への対応への反対を表明するために、農民連盟は恒例の大統領との朝食会をボイコット。

 世界第3位の農業組合であるコンフェデレーション・ペイザンヌも、同見本市にブースを出展していますが、大統領主催のあらゆる会合へのボイコットを表明しています。

 毎度、毎度、このようなボイコットにあおうとも、全くめげないマクロン大統領のハートは強いもんだ・・と妙な感心をしています。

 この反応を受け、この場では為す術のないマクロン大統領は、エリゼ宮で農業会議所、労働組合、そして多種連携組織を結集した会合を開くことを約束しています。

 この見本市開催の数日前には、政府は現在、検討中の貯水池プロジェクトの3分の1を公開すると発表。政府の優先交渉相手としての地位を確立している主要農業組合FNSEAに向けた措置とみられていましたが、この交渉はエリゼ後日、エリゼ宮に持ち込まれるようです。

 これに加えて、今年はここ数ヶ月、畜産農家に深刻な影響を与えている結節性皮膚炎の流行を受け、畜産団体の意向により、牛の出展は行われません。鳥インフルエンザの影響を受けで飼育が制限されている家禽(かきん)も同様です。これはパリ国際農業見本市史上初のことです。

 また、さらなる混乱は、この場が2027年の大統領選に向けた政治家たちのアピールの場としてエキサイトしている点で、政治家たちが自分たちの人気獲得のため、またソーシャルメディアに載せる動画・映像を撮影するためにいつも以上に集まっています。

 この催し物は大統領候補にとって、フランス全土から来る人々と触れ合い、自分をアピールできる絶好の場となります。

 しかし、大統領選に登場するほどの有名政治家がこぞって現れるとなると、現場のセキュリティ強化は大変なもので、このために、一般入場者が自由に見本市を見て廻ることができないような事態にも発展してしまっているようです。

 本来の趣旨とはずれたところで盛り上がってしまっている今年の国際農業見本市。

 これを報道するマスコミも、ここのところカンタン・デランク氏(政治的活動家)の死をめぐる緊迫した政治情勢、そして、欧州連合(EU)とメルコスール諸国間の自由貿易協定の採択をめぐる不安定な農業政策の状況が緊迫すればするほど、報道が盛り上がる絶好の機会とばかりに騒いでいます。

 なんだか、これはなんのための見本市なのか?逆にさめざめとしてきてしまいます。


2026年パリ国際農業見本市


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2026年2月21日土曜日

運輸大臣がSNCF(フランス国鉄)とRATP(パリ交通公社)の警備員に電気ショック兵器の携帯を試験的に許可 

  


 フィリップ・タバロ運輸大臣はSNCF(フランス国鉄)とRATP(パリ交通公団)の数百人の警備員に電気ショック兵器(テーザー銃等)を装備させ、公共交通機関における暴力行為への対応を強化させると発表しました。

 この電気ショック兵器の携帯許可は、当初「鉄道警備員の10%」、あるいは、今後、数週間で300人から400人に適用されます。

 SNCF(フランス国鉄)は、SNCF総合監視サービス(Suge)として知られる社内鉄道警察部隊に3,000人の警察官を擁しており、RATP(パリ交通公団)は、ネットワーク保護・セキュリティグループ(GPSR)に約1,000人の警察官を擁しています。全員が宣誓し、訓練を受けた警察官であり、彼らは既に殺傷武器の携帯を許可されています。

 実際に、日常的には、メトロの中などでは、あまり警備隊と警察官をあまり区別しては見ていませんが、やはり警察官の一団は、しっかり武器を携帯しているので、それを見ると、少々、ギョッとさせられるところもあります。

 今回の電気ショック兵器は非殺傷性武器で、この携帯許可は3年間の試験的なものであるとしています。

 ここのところ、パリ市内のメトロの駅などでの物騒な事件を見ていると、100歩譲って、深夜の時間帯や、比較的、危険とされる地域ならいざ知らず、平日の昼間の時間帯にナイフやハンマーを持った人が暴れたり、人を傷つけたり、全く、これでは気を付けようがない・・とウンザリしていたところでした。

 つい最近もメトロ14号線のピラミッド駅で血だらけのハンマーを持った男が暴れて、制圧に介入した警察官の銃を奪って発砲したという事件があり、ピラミッド駅=オペラ座界隈(日本人も比較的多い地域)で私にとってもかなり身近に感じている場所でもあり、なおさらショッキングな怖い思いをさせられたばかりでした。

 運輸大臣は「一部の国ではテーザー銃の有効性が実証されている」と、昨年11月に起きたドンカスター発ロンドン行きの列車内で起きたナイフによる襲撃事件で11人を負傷させた男を治安部隊がテーザー銃で制圧した事例を紹介しています。

 ここ数年で特にパリの公共交通機関での暴力事件が増加したのは、メトロなどの各路線が郊外線とのアクセスが可能になった事にもあるとは思うのですが、とはいえ、治安がこれ以上悪くなっていくまま、放置されることは、あり得ないことで、このような措置を取らざるを得ない事情は、充分に理解できます。

 日本も治安が悪くなったという話を聞くには聞きますが、やはり治安の悪さに関していえば、レベルが違うとしか言いようがなく、残念な限りです。


公共交通機関警備員 電気ショック兵器携帯許可


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2026年2月20日金曜日

スーパーマーケットチェーン「ALDI」の深刻な衛生問題 

  


 ディスカウントスーパーマーケットチェーン「ALDI」(アルディ)のヴァル・ドワーズ店が深刻な衛生問題が発覚し、行政閉鎖となっています。

 「ALDI」チェーンは、昨年の11月にも同様の問題でアルジャントゥイユ店が閉店したばかりです。

 こう立て続けに衛生問題が発覚していくと、その会社全体の管理体制に問題があるのではないか?と疑わしくなってしまうところです。

 先週の衛生検査により、ヴァル・ドワーズ県(イル・ド・フランス地域圏)は、ヴィリエール・ベルのビジネスパーク内にあるALDI店舗に対し、「公衆衛生に関する深刻かつ差し迫った危険」を理由に行政閉鎖を命じました。

 ヴァル・ドワーズ県人口保護局(DDPP)がスーパーマーケット内を検査した結果、特に顧客の目に触れない倉庫において、多数の欠陥が発見されました。



 県当局は、配達エリアと果物や野菜を保管する冷蔵室で害虫が著しく発生し、尿の匂いとネズミの糞が見られたと報告。これらすべては、汚れていて整備が不十分な建物、設備で発生しており、適切な衛生管理も行われていませんでした。清掃、消毒、ネズミ駆除にも不備がみられるとのことです。

 パリとネズミは切ってもきれない関係にあり、以前に私はオフィスでゴミ収集のおじさんが大きなゴミ箱を回収しにきた際にたまたま居合わせ、大きなゴミ箱からネズミが飛び出したのを見てしまい、悲鳴をあげたら、ゴミ収集のおじさんに笑われて、「あなた、ここをどこだと思ってるの?ここはパリなんだよ!」と笑われたことがありました。

 それくらいパリにはネズミがオフィスにさえ出てくる可能性があるわけで、私がいたオフィスにも、ネズミ駆除用の薬を定期的に取り換えに来る業者が来ていましたし、ましてや、スーパーマーケットのような大量の食料品を扱う店舗では、細心の注意を払わなければ、ネズミから食料品を守れないものではないかと思います。

 今回、立て続けにALDIの衛生問題が発覚していますが、おそらく少なからず、良く調べれば、どこのスーパーマーケットにおいても、その度合いは違うのだとは思いますが、問題は抱えているのだと思っています。

 たしかに行政処分が下るほどの問題となれば、ALDIはその管理体制に問題があることは否めませんが、だからといって、他のスーパーマーケットが安心だとも決して思いません。

 管理問題としては、賞味期限切れ、コールドチェーンの途絶、衛生基準の不遵守、例えば、保管エリアにゴミが捨てられていた・・などが挙げられています。

 ALDIは昨年、2月、9月にも別店舗が行政閉鎖処分を受け、そのうちの1店舗ではネズミが大量発生したそうで、同社のCGT労働組合によると、「いたるところにネズミの巣があり、倉庫には糞が散乱し、食品パレットの中にはネズミの死骸が散乱していた。尿で汚れたかじり取られたソーセージは箱から1つずつ取り出され、残りは何ごともなかったように店舗に陳列されていた」という恐ろしい報告までありました。

 ここまで行くと、衛生観念の基準というものが全く違う感じで、残念ながら、そういう人々もたしかにフランスには存在しているということも否定できません。

 以前、私がアフリカにいた頃、マルシェに買物に行ったら、ちょうどお昼時で、店員さんたちが食事をしていたのですが、その傍らには、もう一人の同僚用の食事が用意されていたのですが、その食事をネズミが平然と食べていて、ビックリした私は、そばにいた店員さんに「あそこにネズミが・・ネズミが食べてる!!!!」と言ったら、その人は、平然と笑いながら、「ネズミも食事しなきゃ・・」と言って溜まって見過ごしていたのを覚えています。

 こんなネズミが大量発生したりする話を聞くたびに、私はアフリカのマルシェでの光景を思い出すのです。


「ALDI」の深刻な衛生問題


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2026年2月17日火曜日

盗難防止のため、2027年末まで店舗におけるアルゴリズム監視の試験導入法案可決

  


 AI(人工知能)がスーパーマーケットに導入されようとしています。

 国会は、盗難防止のため、2027年末まで店舗におけるアルゴリズム監視の試験導入を認めるルネッサンス法案を可決しました。

 この法案は小売店、スーパーマーケット、ショッピングセンターのCCTV映像をアルゴリズムを用いて分析することを実験的に認可することを目的としています。

 このシステムは不審な行動を認知する、例えば、バッグに商品を入れる、通路に長く居座りすぎているといった特定の行動を識別するようにプログラムされており、小売業者に警告を発し、小売業者はそれに応じて対応することができます。

 この技術は現在は、認可されていませんが、既に「2,000社~3,000社」で試験的に利用されています。

 この法案には、「顔認識技術の除外」や「この技術を利用する際に国民に通知する義務」など、一定の安全策が含まれています。

 また、これらのアルゴリズム分析は「それ自体は訴追の対象にはならない」ことも銘記されています。

 この法案が国会で可決されたとはいえ、まだ上院を通過しなければなりませんので、現段階ではまだ即、施行というわけではありません。

 ヴェドレンヌ内務大臣は、「この提案の精神」を歓迎しつつも、アルゴリズム監視の開発は「主に国家権力の領域に属する」と主張し、国家情報技術・市民的自由委員会(CNIL)および国家評議会と協議したうえで、「政府法案」によって対処することが望ましいとしています。

 この法案が上院で速やかに可決されなければ、この条文は「日常の安全保障に関する法案草案」に盛り込まれる修正案として提出される可能性があります。

 たしかに、この監視システムにAIが導入された場合、さらに国民の日常的な監視体制がエスカレートしていく危険性もあるため、これが店舗内の盗難防止システムだけに留まらない危険性も孕んでいます。

 アルゴリズムによるビデオ監視の最初の試行は、2024年パリオリンピック期間中に実施され、群衆の動きや放置された手荷物を当局に通報することを目的にしていました。

 今回のルネッサンス法案の日付が2027年末までとされたのは、2030年アルプス冬季オリンピックを念頭に入れたもので、アルゴリズムによるビデオ監視の施行の終了日となっています。

 この法案には反対する声もあり、特に左派は「極めて憂慮すべき事態」、「国民の自由に関する懸念」などが問題視しています。

 個人の自由に対する潜在的なリスクについて、「自由の問題を考慮せずに技術解決主義的なアプローチを取り、技術が全てを解決できると考えるのは問題である。なぜなら、私たちが常に監視されている瞬間、私たちはプライバシーの権利、つまり私生活を尊重される権利を失ってしまう」と人権連盟も主張しています。

 国会の議論の中で、ある議員が「私たちは立法府よりも早いスピードで進歩するテクノロジーに追いつかれつつあります。急いで枠組みを作らなければ、基本的自由が侵害されてしまいます。」と述べていましたが、これはどこの国でも共通する問題。

 進歩していくテクノロジーに即した法律をどんどん制定していかなければならないのです。

 何かというと、自由や権利の主張を叫ぶフランスも治安とのバランスが難しいのです。


店舗におけるアルゴリズム監視の試験導入法案


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2026年2月16日月曜日

パリのバスの中で運転手をナイフで脅迫した男に警察官が発砲

  


 パリ市内を走るバスの中で男が運転手をナイフで襲うという事件が起こりました。

 狭いバスの中でナイフを振り回す男がいるというだけでも震撼とする状況ですが、バスの中に居合わせた乗客がこの攻防に介入して、男の行動を阻止しようとして、バスを降りたところ、このナイフを持った男もバスを降りて、ナイフでの攻撃を続けていたところに制圧に駆け付けた警察官が発砲、男は腹部を撃たれ、重症とのことです。

 この事件が起こったのは、パリ13区91番線のバスの中、そして、バス停ゴブラン駅の近くでした。深夜ならまだいざ知らず、この事件が起こったのは午後5時少しまえのこと。

 ふつうにバスに乗っている人々、街を行き交う人がごくごくふつうに生活している時間帯のことです。

 ナイフを振り回している人の存在は、もちろん恐ろしいことですが、そのうえ、警官が街中で発砲するという事態は、さらに恐ろしい話です。

 当初、警察官の一人がテーザー銃(スタンガンの一種で棘状の電極が生えた小さな射出体が発射する)を使用しましたが、効果がなかったために、その後、同僚の警察官が銃で男の腹部を撃ったとのことです。

 パリ検察庁によると、男は少なくとも3発の銃撃を受け、そのまま救急搬送され、重体で危篤状態とのことです。(その後、死亡)

 そもそもは、この男のナイフでの攻撃が原因であったとはいえ、ここで銃を発砲する必要が本当にあったのかどうか? しかも3発も・・。

 警察本部はこの騒ぎの中で、この男によって負傷した乗客や警察官はいなかったことを明らかにしています。

 パリ検察庁は、公職にある者に対する殺人未遂と、公職にある者による武器を用いた加重暴行の2件の捜査を開始しました。つまり、ナイフ男と警察官双方の罪が問われている状態です。

 警察官の発砲事件は時には聞く話ですが、これまでは、深夜の乱闘の末とか、服従拒否のために発砲した事件とか・・そんな感じでしたが、平日の昼日中に一般市民がふつうに生活している空間での出来事にちょっと今までとは違う気がしています。

 また、バスの中で、ナイフを持った男が暴れる・・なんてことも、これまで私は遭遇したことがなく、とはいえ、バスをよく利用する私としては、あのスペース内でそんなことが起こったら・・と、想像するだけでも恐ろしいです。

 運転手の席は、通常、プラスチックの衝立で守られていて、危険から身を守れるようになっていますが、介入した乗客が追いかけまわされ、そのうえ、バスを降りてまで、攻撃が続く・・考えられないことです。

 このナイフ男の身元等は発表されていませんが、容易に発砲する警察官についても、なんとか、対策をとってもらいたいものだと思います。


パリのバスの中でナイフ男 警察官発砲


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2026年2月15日日曜日

13日の金曜日にパリ・凱旋門で起こったテロ事件の犯人は・・

  


 最近のパリの物騒なことといったら、本当に数日おき、時には連日・・「ナイフ男による襲撃事件!」などという話を1週間のうちに何度聞くことか?と思うと本当にうんざりしています。

 しかし、今回の事件の犯人はテロリストだったようで、ちょっとここ最近、たて続けに起こった事件とは、また種類が違うかもしれません。

 13日の金曜日の夕刻、凱旋門の下にある無名戦士の墓(記念碑)に点火のセレモニーが行われている最中にナイフとハサミを持った男が憲兵隊に襲いかかり、現場にいた別の数名の憲兵がこの男に向けて発砲。この男はすぐに救急搬送されましたが、数時間後に死亡が確認されました。

 この男は、予め、この犯行を彼が毎日、出頭を命じられている警察署に電話で予告するという奇妙といえば、奇妙なことをしていました。というのも、憲兵隊、しかも凱旋門でのセレモニーの最中、憲兵隊は、銃装備しているのは常識。そこへ、ナイフやハサミでとはいえ、憲兵隊を襲撃すれば、銃で撃たれることは充分に考えられることで、ある意味自爆テロのようなものです。

 彼は、1978年生まれのフランス国籍の43歳で、2013年にベルギーでテロ行為に関与したとして、懲役17年の有罪判決を受けていました。2012年にブリュッセルの地下鉄の駅で検問を行っていた警察官に突進し、ナイフを取りだし、警察官2人を刺殺、男女2人を刺して軽傷を負わせました。

 イスラム主義運動に近いと言われるこの男は犯行の理由を「公共の場でニカブ着用をを禁止したベルギー政府への復讐と異教徒アフガニスタンからの撤退を求めるためだ」と説明していました。

 国家テロ検察庁(PNAT)によると、彼はベルギーで投獄された後、フランスに移送され、量刑裁判所が発令した司法監督命令に基づき監視下に置かれており、「個別行政管理・監視措置」(Micas)の対象となり、毎日、警察署に出頭することが義務付けられていました。

 彼が犯行を予告したのは、この彼が毎日、出頭していたオルネー・スー・ボア警察署でした。

 そもそも以前にテロ行為による殺人罪の判決が下りたのは2013年、懲役17年ならば、2030年まで出てこれないはずなのに、なんだかんだで、司法監督下などという名目で出てきてしまうことも、その司法監督下が全く監督下になっておらずに、このような犯罪行為を再び起こすことも、本当によく聞く話です。

 今回の凱旋門の事件では未遂に終わって、自らが命を落としていますが、今回は本人が死亡してしまっているので、何に抗議しての犯行だったのかは、もうわかりません。

 前回のベルギーでの犯行は、公共の場でニカブ着用をを禁止したベルギー政府への復讐と異教徒アフガニスタンからの撤退を求めるためだったとしても、そのために殺害された2人の警察官も浮かばれないし、早く出所したとしても、そこそこの刑期は受けているにもかかわらず、全く反省もなく、再び今回のような事件を起こしていることを考えれば、まるで更生されていなかったわけで、そのような人物を釈放してしまった司法にも問題があるのではないかとも思われます。

 いずれにせよ、このような危険人物が一度は逮捕され、投獄されたとしても、再び出てきて、街中をウロウロしているわけで、やっぱり恐ろしい限りなのです。

 また、もう一つ、気にかかっていることは、死刑制度を声高に反対している国の警察官や憲兵隊が、あまりにもあっさり犯人に対して発砲して、死に至らしめてしまうということです。

 危険回避の意味はわかりますが、どうにも引っかかって仕方ないのです。


パリ・凱旋門テロ事件


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2026年2月14日土曜日

ルーブル美術館でチケット詐欺の大規模ネットワークを摘発 美術館職員2名逮捕

  


 今回の事件はルーブル美術館側からの不正行為の報告(大規模なチケット詐欺を組織するネットワークの存在が疑われる)から始まった捜査から明らかになった事態です。

 ルーブル美術館広報担当者によると、ルーブル美術館は「チケット詐欺の再燃と多様化」という問題に直面しており、これに対応して、職員と警察が連携して、組織的な詐欺対策計画を実施する中、この大規模ネットワークの摘発に繋がっていきました。

 この事件に関連して逮捕された者たちの中には、美術館職員2名も含まれていました。

 今回の事件は昨年の華々しい強盗事件以来、パリの美術館が厳しい監視下に置かれることになったわずか数ヶ月後に発生しているという非常に残念な事態です。

 しかし、この現象?は、実は少なくとも、2024年夏には始まっていたもので、この詐欺には美術館のチケット販売員だけでなく、外部のガイドやツアーオペレーターも関与していたとされています。

 詐欺師たちは、定員である20名を超える団体ツアーを企画し、公式のチケット販売システム外で定員を超える観光客に法外な料金を請求し、私服を肥やしていたと伝えられています。

 この事件では、ツアーガイドを含む9名が逮捕されています。

 また、パリのオルセー美術館とオランジュリー美術館でも、オンラインチケット詐欺(ミラーサイトを利用した偽造チケットのオンライン販売)の被害に遭い、一時は正規のチケット販売サイトを閉鎖しなければならない事態も発生したりしていました。

 つまり、正規のサイトで購入しているつもりが、いつのまにか、偽サイトにリダイレクトされているのに気付かないまま購入してしまうケースが続出したのです。

 両美術館では、購入の際に正しいURL(www.billetterie.musee-orsay.fr と www.musee-orsay.fr)にアクセスしていることを確認するように呼び掛けています。

 今回のルーブル美術館のチケット詐欺は、少しタイプが違いますが、いずれにしても、まさに災難続きのルーブル美術館。世界で最も多くの来場者数を誇る美術館は、大規模な窃盗事件、老朽化による水漏れから美術館の一部を閉鎖、12月中旬からは職員間の労働条件に抗議行動が発生しており、立て続けのストライキ、そして、今回の詐欺チケット騒ぎ。

 それでも、いつもルーブル美術館は長蛇の列です。

 同様の詐欺チケットはヴェルサイユ宮殿でも行われていたようで、被害総額はルーブル美術館だけでも1,000万ユーロ超え、このグループ逮捕によって、現金95万7,000ユーロが押収されたほか、複数の銀行貸金庫から48万6,000ユーロが押収されています。


ルーブル美術館チケット詐欺大規模ネットワーク摘発


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