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2025年9月15日月曜日

フランスで流行するチクングニア熱 土着感染例2件確認

 


 チクングニア熱(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどの蚊により媒介するウィルス性の伝染病)がフランス本土で蔓延しているといいます。この熱帯ウィルスによる感染例がフランスで数百件報告されており、特にグラン・テスト県、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ県、ヌーベル・アキテーヌ県において顕著なようです。

 また、先週末には、プリーヴ・ラ・ガイヤルド県(コレーズ県)で新たに2件が確認されています。

 特にヒメカノコギリ蚊の感染拡大が続いており、プリーヴ県(コレーズ県)で新たに2例の土着感染例が確認されたことが懸念を拡大させています。

 土着感染例の症例というのは、いわゆる海外旅行などで外地に出かけた際に感染したわけではなく、地元で感染したということで、これは、フランス国内の一部の地域に生息する蚊によって感染したということです。

 地球温暖化によって、フランス国内で循環するようになったこれらの蚊が感染を広めているというのです。

 この夏、フランスではこのウィルスが爆発的に増加しました。南部での発生が最も多いようですが、現在はフランス東部や北部にもゆっくりと広がっています。

 ディジョン(コート・ドール県)では7件、バ・ラン県で2件の症例が確認、アンティーブ(アルプ・マリティーム県)は最も被害の多い都市で、ある地域では、家全体にウィルスが広がっており、どの家にも誰かがチクングニア熱に感染したことがあるというほどだといいます。

 症状は2日間から2週間程度の潜伏期間ののち、40℃に達する高熱と斑状丘疹があり、関節が痛むのが特徴。発熱が2日ほど続き、急速に終息するものの、関節痛、頭痛、不眠、全身疲労などは、1週間ほど継続する傾向にあります。

 また、チクングニア熱による関節痛は、年齢差にもよりますが、2年ほど続くこともあるというのは、キツいことです。

 そういえば、夏の間に蚊の駆除に苦労しているとか、蚊を不妊化する技術などを紹介していたことがあって、「蚊の不妊化??」と奇妙に思っていたのですが、このことだったのですね。

 なにやら、モンペリエ市には、蚊の個体数を減らすための新しい技術(昆虫不妊化)を専門とする新興企業があって、不妊のオスのヒトスジシマカを放ちメスと交尾させます。不妊のオスと交尾すると、生涯にわたって不妊の卵を産み続けるとかで、これが大活躍していたということでした。

 今までお目にかからなかった奇妙な病気の上陸にしたがって、摩訶不思議な仕事も生まれるという時代です。

 そういえば、フランスに来てからは、滅多に虫刺され、特に蚊に刺されるということがなかったのですが、それでも、ここ数年は小さなコバエのような虫を見るようになりました。それでも、虫刺されの薬、お手軽なかゆみ止めのような薬がフランスにはなくて、日本に行った時には、たいていムヒを買ってきます。(虫刺されのためというより、かゆみ止めとして使っています)

 日本にある実家は夏には、庭がうっそうとしてきてしまい、蚊がものすごくて、とても庭になど出れたものではなくなっていたことを思い出しました。


チクングニア熱フランス流行


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2025年9月14日日曜日

フィッチ(Fitch)レーティングスがフランスの格付けをAAーからA+に格下げ

  


 2025年9月12日、格付け会社フィッチはフランスのソブリン格付けをAAーからA+に格下げました。フランスは2012年以降、この格付けにおいて、着実に低下して続けており、財政の不確実性と潜在的な政治不安定性が理由とされています。

 バイルー前首相が信任投票で倒れた後、次期首相の任命があまりにも早かったのは、このフィッチの格付けが控えているのも理由のひとつだとの声が上がっていましたが、首相の速攻任命くらいでは、格付け格下げを避けることはできなかったようです。

 そもそも、バイルー首相の首相在任期間は9ヶ月弱、その前のバルニエ首相は、3ヶ月程度、とにかく、今度の新首相が1年の間に4人目の首相というだけでも、政治が安定していないことを表す一番の状況に他なりません。

 「今回の信任投票で政権が崩壊したことは、国内政治の分裂と二極化の深刻化を浮き彫りにしている」とフィッチは声明で述べています。

 「こうした不安定さは、大規模な財政再建を実施する政治システムの能力を弱めている」とフィッチは付け加え、「政府が期待していた2029年までに財政赤字をGDPの3%未満に引き下げることは難しい」としています。

 この格付けの結果に対して、仏経済大臣は、「フィッチがフランスの格付けをAAーからA+に格下げしたことに注視している。これはフランス経済が堅調であるにもかかわらず、財政状況と政治的不確実性に基づく決定である。」と、もっともでもあるけど、甘々な、なんとなく責任逃れをしているようにも受け取れないではないようなコメントを残しています。

 また、ある報道によれば、この決定は、バイルー政権の崩壊、「全てをブロックせよ!」の抗議活動といったフランスにとっての緊迫した時期に下されたもので、あたかも時期が悪かったといった見方をするものもありましたが、この2つだけをとっても、安定した政権のもとであったら、起こってはいなかったことで、巨額の債務を抱えているという事実には、変わりありません。

 フランスはユーロ圏第二位の経済大国と言われていますが、そんなフランスにとっては、屈辱的な格付けであったに違いありません。

 ちなみに、アメリカはこの格付けにおいて、2023年にトリプルA格付けを失い、AA+の格付けを受けており、スタンダード&プアーズなど、他の格付け機関も各国の財政を評価しており、ヨーロッパでは、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ルクセンブルクなどにトリプルA格付けを与えています。

 そして、フランスでは「今、このランキングでは、フランスはスロバキアや日本と同じレベルだ!」と書かれています。読みようによっては、というか、これでは、日本のようにフランスも落ちぶれてしまった・・とも読めるのですが、日本ってやっぱり、こんな風に見られているの?とフランスの格下げ以上に日本の見られ方が気になったのでした。


フランス フィッチ格付け 格下げ


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2025年9月11日木曜日

思っていたよりも激しかった9月10日の「全てを封鎖せよ!」のデモ

 


 フランスにいると、デモは日常茶飯事のことなので、なんだか「あ~~?またなの?」くらいに持ってしまうところがあって、「全てを封鎖せよ!」などという勇ましい呼びかけのもと行われた9月10日のデモも、正直、あんまり大変なことだとも思っていなかったのですが、それは、想像以上に激しいものでした。

 しかし、この感じだと、この動きはまだまだ序章といったところで、とても1日で収まる類のものではない気がしています。

 当日は、朝早い時間に、恐る恐る家を出て、メトロやバスがどの程度、動いているのかとおっかなびっくりでしたが、思ったよりもメトロは動いているし、RATPはちょっと厳しいのかな?くらいに軽く考えていました。

 しかし、蓋を開けてみれば、全国的に約20万人(政府の発表と組合の発表の数が異なるので、どっちが本当なのかはわかりませんが・・)が参加したとのことで、パリ及びパリ近郊はもちろんのこと、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ、ブルターニュ、ペイ・ド・ラ・ロワール、グラン・エスト、ヌーヴェル・アキテーヌ、ノルマンディー、オクシタニーなどなどの地方都市でもなかなかの動員を見せた模様です。

 各労働組合によると、約30の美術館、モニュメント、公共サービスが終日、または、一部中断されました。これには、ヴェルサイユ宮殿、凱旋門、ルーブル美術館、オランジュリー美術館、パリ・ピカソ美術館、サンクルー国立美術館、パリ国立公文書館、ヴァンセンヌ城などが含まれていました。

 また、多くの高校が封鎖。国民教育省は、約100校の学校が妨害され、27校が封鎖されたと発表。主要な高校組合であるリセ組合はフランスの3,700校の高校のうち150校でストライキを宣言。中学校の教員ストライキ率は6.5%、小学校はもともとほとんどの学校が水曜日はお休みなので、この影響は受けていません。

 しかしながら、今回のデモは高校生をはじめ、比較的若い層が多かったのが特徴と言われているので、将来のフランスを憂いている若者たちがいかに多いかということでもあるとも思います。

 大規模な赤字を抱え、社会保障や年金がどんどん削られていく状況に見過ごせないと思っている人が多いのは、日本とも共通する部分が多いかもしれません・・が、フランス人はおとなしく黙ってはいないのです。

 今回の「全てを封鎖せよ!」デモに際して、政府は約8万人の警察官・憲兵隊を一日中配置。約30機のヘリコプターやドローン、放水車、装甲車の配備で備えていましたが、パリでは、多くの惨事が起こってしまいました。

 今回、一番、派手だったのは、シャトレ周辺のブラスリーがデモ隊と警察との攻防戦の巻き添えを食って、火が立ち上り、けっこうな火災。また、シャトレ・レアール駅にあるヨーロッパで最も多い集客数を誇る映画館やプール、多くの商店やレストランなどがある大きなコマーシャルセンターは、午後には安全上(SNS上で強奪を呼び掛ける投稿が出回り始めたためと言われている)、閉鎖になり、シャトレ・レアールの駅でもほぼ電車が停車するという大惨事。

 また、パリ・北駅でも約1000人が侵入しようとしたところを警察が阻止・・駅は一時、閉鎖状態になったようです。

 私は、こんなことになっているとは全く知らずに午後過ぎくらいに近所のスーパーマーケットに買物に行ったのですが、ウソみたいにガラガラでびっくりしました。

 結局、却下されたものの、赤字削減のために祝日2日を返上・・なんていう案も出ていましたが、祝日ではなくても、このようなデモが度々起こり、ほとんど社会が麻痺してしまう状態では、祝日返上以前の問題かも・・と思いました。

 今回の「9月10日全てを封鎖せよ!」のデモは、一応、9月10日・・と日にちが指定されていましたが、とてもこの騒ぎが1日で終わるとは思われず、7年前の「黄色いベスト運動」の二の舞になるのでは?9月10日は、単に国民の意識に火をつけ、エンジンをかける役割を果たしただけで、これがさらに続くのでは?と見る意見が多く出ています。

 今回の「全てを封鎖せよ!」という動きは、SNSを中心に広まったので、結局のところ、どこが火元なのかがわかりづらく、そのうえ、政党までそれを煽る動きに加わっているために、余計に話が複雑になっています。

 しかし、いずれにせよ、フランス・・このままでは、絶対におさまりそうもありません。


9月10日の「全てを封鎖せよ!」デモ


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2025年9月9日火曜日

バイバイ!バイルー! フランソワ・バイルー内閣崩壊

  


 国民議会は月曜日、フランソワ・バイルー首相の信任決議を行い、賛成194票、反対364票で否決し、首相は罷免されました。

 フランソワ・バイルー首相は、公的債務に関する懸念が高まる中、自分の首をかけて、国民議会に問題を突きつけましたが、無残にも砕け散ってしまいました。

 これは、あまりに無謀なやり方で、結果は、ほぼほぼ予想されていたことでしたが、最後の最後まで、なにか、ウルトラ級の案があるのかとも思ったのですが、首相自身がこの方法を発表したのちは、予算案云々以前に現政権を倒すことが目的とも思われる言動が増え始め、バイルー首相を飛び越えて、打倒!マクロン大統領!のような声さえ出始めてしまったのには、まともに予算を話し合う感じがかえって薄れる感じさえしてくるのでした。

 昨年のパリ・オリンピック終了後のミシェル・バルニエ首相任命以来、1年未満の首相退陣が続いていますが、どちらも、膨大な負債を抱えた予算案の審議の過程においての話であり、この財政赤字をどう削減していくかは、現在のフランスの深刻な問題に違いありません。

 2025年の予算は、突如、首相が退陣するハメになったために、年明けまでに予算の審議が間に合わず、予算案が確定するまえに2025年がスタートしてしまい、とりあえず、2024年の暫定予算のままスタートするという壊滅的なスタートでした。

 そして、現在、審議中の2026年の予算案ですが、これで首相の退陣が決まったために、また、予算の審議は先送りになるわけです。

 思い返せば、そもそもは、欧州議会選挙において、極右政党が圧勝したことから、本当はやる必要がなかった国民議会の解散・総選挙を行ったことで、結果的には、マクロン大統領は、多くの自分の党の議席を失い、第一党過半数を失ったどころか、第一党を新人民戦線(NFP)に奪われてしまいました。

 フランスの首相は大統領が任命するのですが、この首相任命にあたっては、通常ならば、第一党の政党から選出するのが誰もが納得できる道だと思われるところ、マクロン大統領は、ここ2回の首相任命に関して、第一党からの選出を行いませんでした。

 ただでさえ、難航しそうな議題(財政赤字削減)に際して、これでは、政府からの予算案が通りづらいのは、当然のことでもあります。

 今の段階では、マクロン大統領が倒れるわけではありませんが、これで1年の間に3回目の首相任命という事態をマクロン大統領は招いてしまったことになります。

 この直後に、フランスはすでに「全てをブロックせよ!」と銘打った大規模デモが9月10日には予定されており、18日には、労働組合デモ、そして金曜日には、フィッチ格付けによるフランスの債務格付け引き下げの決定の可能性もあるなど、次期首相任命に時間はかけられない理由が乱立しており、次期首相任命は、早くなるだろうと予想されています。

 しかし、もとをただせば、マクロン大統領が全てを引き起こしていると思えないでもない事態。もうこうなってくると、次の首相は何ヶ月もつだろうか?と思ってしまいます。


フランソワ・バイルー内閣崩壊


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2025年9月7日日曜日

サン・ドニのとんでも警察官の動画があっという間に拡散されて

   


 セーヌ・サン・ドニ(パリ近郊)で8月28日に撮影された約42秒の動画がSNS上であっという間に拡散されたことにより、事件は公になりました。

 この動画というのは、若い男性が警察官に取り囲まれて、尋問されている中、激しく平手打ちをくらい、唾を吐きかけられているもので、当然、警察官は制服姿で警察官であることは、一目瞭然で、この若い男性は、フェンスにもたれかかった状態で、暴れているわけでもなく、抵抗しているわけでもないのに、暴行を受けているという全く一方的なものであるだけに、実に衝撃的な動画だ!とあっという間に拡散され、警察官に対する非難の声が大きく炎上しています。



 また、この動画をSNS上に最初に投稿したのが、LFIの議員であったこともあり、「尋問の理由が何であれ、身動きが取れない若者への暴行と屈辱的な唾吐きは容認できない!警察の管轄外だ!恐れるべきは彼ではなく、警察官だ!」などと、大いに各方面の政治家からの声も大きく上がっています。

 この動きを受けて、ボビニー検察庁は、9月5日、「公権力の立場にある者による暴力」の容疑で捜査を開始すると発表しました。ボビニー検察庁は、「警察パトロール隊と関与した警察官の身元確認が進行中」として、具体的な場所や日時等は、発表していませんが、地域の警察にとってみれば、そんなものは、動画を見れば一目瞭然なはずで、とっくにこの警察官の身元は確認できているものと思われます。

 もちろん、ほとんどの警察官は正義の味方で、こんな横暴な振る舞いはしないとは思うのですが、ある一定数の、威圧的というか、高圧的な態度の警察官というものが存在することも事実です。

 こういう暴力的だったり、高的であったりする警察官に反感を感じている人々もかなり一般市民の中には、いるもので、数年前に運転中に警察官の指示に従わずに停車しなかったことで射殺された少年の事件(その時は、さらに酷いことに、警察官は嘘の供述をしていたことが後に発覚して、余計に反感が大きく燃え上がった)の時には暴動のような騒ぎになりました。

 今回のこの動画では、暴行を加えている警察官のほか、2名の警察官がそばに立っていますが、携帯を見たり、素知らぬ顔をして見過ごしています。

 たいてい警察官は3人以上の体制でパトロールしています。

 今の時代、防犯カメラはいたるところに設置されているうえに、全ての人が携帯片手に何か事件がおこれば、誰かがどこかで動画を撮っているのが珍しくはない時代です。

 今回のこの動画を撮影したのも地域の住民でした。

 そんな中、もろに身元が特定されやすい警察官の制服姿でこのような暴行行為を行うとは、悪気がまったくないというか、そんな行為がよっぽど常習的なものなのではないか?と疑いたくもなってしまいます。


警察官の暴行動画SNSで拡散


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2025年9月5日金曜日

プラグインハイブリッド車は、2035年EUの新車販売規定に食い込めるのか?

  


 2022年、欧州議会は2035年からEU圏内におけるガソリン車およびディーゼル車(ハイブリッド車を含む)の新車販売を禁止する法案を承認しました。

 この決定を受けて、フランスも電気自動車への援助等を拡大し、なんとか電気自動車のシェアもぼちぼち増えつつはあるようです。(2025年上半期の電気自動車の販売台数は2024年と比して24%増)

 しかし、欧州議会のこの自動車販売に関する法案には、2026年には、状況を評価し、条文の修正を行うための「見直し条項」が設けられており、プラグインハイブリッド車(PHV)(ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を持っている車)については、認められる可能性が出てきています。

 そして、2026年がそう遠くない未来に近付いてきた今、フランスの電気自動車充電事業者協会(Charge France)は、2035年以降のプラグインハイブリッド車に対する適用除外の可能性について懸念を表明しています。

 もし、例外措置が導入されれば、欧州の自動車メーカーはプラグインハイブリッド車に過剰な投資を行い、電気自動車の競争力を低下させ、中国メーカーとの競争で問題を引きおこすだろう・・とフランスの電気自動車充電事業者協会(Charge France)は言っているのです。

 電気自動車充電事業者協会は「特定の技術を強制しないという技術中立の原則を装い、一部の自動車メーカーは、プラグインハイブリッド車の受け入れによって2035年までに内燃機関車を禁止するという目標を放棄しようとしている」と抗議しているのです。

 しかし、実際には、電気自動車はやはり高価であることや、充電の問題もあって、人気があるのはハイブリッド車で、消費者は現段階でもかなりの国からの援助や優遇措置があるにもかかわらず、電気自動車には傾ききらないのが現実なのです。

 いくら、温室効果ガスの排出量などの環境問題やガソリンの消費量(輸入量)削減などを語っても、現実には、まずは自分たちの生活を考えるのが消費者です。

 ハイブリッド車を生産している自動車メーカーは、その折衷案ともいうべくプラグインハイブリッド車という車に歩みよっているのに、この協会は、環境問題等を盾に現状にそぐわないことを威圧的に押し付けようとしている感がなきにしもあらずです。

 プラグインハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を搭載し、電気自動車と同様にバッテリーを充電できる車両であり、環境負荷の低減につながります。しかし、彼らが言うには、「プラグインハイブリッド車が電気で走行するのは全体の45~50%、企業向け車両の場合は10~15%程度である」と主張。

 また、「重いバッテリーを搭載したプラグインハイブリッド車は、軽量のガソリン車よりも多くの燃料を消費する」など、敵?の難点をあげつらって攻撃しているように見えます。

 まずは、個人に負担が及びにくい公の機関(警察や消防、公共交通機関など)の車両から、全て電気自動車に変えていくことから始めてみればよいのでは・・?などと素人感覚では思いますが、やもすると、彼らは本当に環境問題・エネルギー問題を考えているのか? はたまた利益を独占したくて言っているのではないか?と疑いたくなります。


プラグインハイブリッド車


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2025年9月4日木曜日

フランスの若者4人に1人がうつ病という痛ましい現状

  


 Mutualité Française(フランス相互健康保険全国連盟)、Institut Montaigne(モンテーニュ研究所)、Terram Institute(テラム研究所)が発表した調査によると、フランスの若者の4人に1人がうつ病に苦しんでいるという痛ましい状況が浮き彫りになっています。

 2025年春にオンラインアンケートで実施されたこの調査は、フランス本土および海外在住の15歳から29歳までの若者を対象に実施されました。

 この調査はうつ病の症状の有無と程度を測るために一般的に用いられているPHQ-9 の質問票も併せて行われています。

 回答によると、若者の14%が精神的健康状態が悪いと答え、64%が良好と回答しています。しかし、PHQ-9 の回答によれば、若者の4人に1人(25%)がうつ病の症状を示しており、10人中6人以上が悲しみ、憂鬱、または絶望感を感じており、3人に1人近く(31%)が自殺願望または、自傷行為を考えたことがあることが判明しています。

 様々なプレッシャーに直面するこの世代では、倦怠感、引きこもり、興味の喪失があたりまえのようになっているのです。

 特に学校や職場でのストレスが大きなストレス要因となっていることが多く、若者の87%が学業で、75%が仕事でストレスを感じていると回答しています。いじめ(オンライン上でのイジメも含む)もまた不幸の大きな要因となっています。調査対象となった若者の4分の1以上(26%)がネットいじめの被害にあっており、31%が学校でのいじめを経験しており、メンタルヘルスに直接的な影響が出ています。

 既に、他の調査でも確認されているとおり、若い女性の方が影響を受けやすく、女性27%、男性22%と性別によっても、違いが出ています。これは、年齢が下がるとさらに、男女差(女性29%、男性19%)に開きがみられます。

 また、この調査では地域格差も顕著にあらわれており、海外の若者のうつ病罹患率は39%であるのに対し、全国平均は25%になっています。4人に1人だけでも驚きなのに、39%といったら、3人に1人以上ということになります。

 特にフランス領ギアナ(52%)、マルティニーク(44%)、マヨット(43%)は、深刻な状況です。

 これには、公的機関の対応の問題があり、特に海外圏においては、公的機関へのアクセスが著しく困難な状況にあることが指摘されています。

 この調査に私がギョッとしたのは、ちょうど、娘が調査対象になっている年代に該当していることもありました。

 ある程度の年齢になれば、悩み事や本当に困っていることなど、親になどはなかなか話しをしないものです。私もそうでした。

 フランスと日本と離れたところで生活しているために、わかりにくいところもあるのですが、とりあえずは、とても忙しそうに仕事をし、相変わらず、寸暇を惜しんで旅行して歩いているようなので、大丈夫だとは思うのですが、こんな話を聞くと、ちょっと心配にもなります。

 まあ、もっとも、自分を顧みる限り、若い頃は繊細で、なにかと気にしたり、思い悩んだりすることも多くありましたが、年齢とともに、良く言えば、おおらかになり、大雑把で鈍感になって思い悩むことも減りました。

 これがおばさんになるということなのでしょうが、若くて脆かった頃の自分がちょっと愛おしくなるような気もするのです。


フランスの若者のうつ病


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2025年9月1日月曜日

エッフェル塔などへのテロ攻撃を計画していた未成年者2人逮捕・起訴

  


 パリでシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)やエッフェル塔へのテロ攻撃を計画していた未成年者2人(2008年生まれの17歳と2010年生まれの15歳)がジハーグ主義的(外部からの攻撃への抵抗のためや安定を手にするためのの闘い)な暴力行為を計画していたとして、逮捕・起訴されています。

 2023年以降、この種のへの未成年者の関与が急増しており、テロ対策関係者の間で懸念の的となっていることを受けて、彼らは犯罪的テロ共謀罪で起訴されました。

 アラブ系イスラム教徒の家庭出身のこの10代の若者たちは、暗号化されたメッセージサービスで作成された専用グループで互いに連絡を取り合っており、彼らはイスラム国に強い関心を持ち、そのプロパガンダを拡散していました。彼らは、このメッセージサービスの中で、海外でもジハード攻撃を行うことを話し合っており、超暴力的なコンテンツの熱心な視聴者でもありました。

 彼らはすでに関心の段階を超えており、すでに行動を起こすことを検討しており、様々な暴力行為の計画を練っており、反ユダヤ主義と中東戦争を背景にしたシナゴーグやジハード主義の象徴でもあるエッフェル塔などの具体的な場所も選んでいました。

 2人の未成年者たちは、すでにこの計画のための武器入手の段階に入っており、サイバー犯罪のスーパーマーケットともいえるダークウェブにおいて、武器の調達の準備を進めていました。しかし、この2人の未成年者たちは、テレグラムでのチャットグループに参加していたために、面識があるわけではないといいます。

 この互いに面識のないもの同志が、犯罪を計画して実行に移そうとするというのは、最近の未成年者のネットによる犯罪加担の特徴でもあります。

 国家反テロ検察庁(Pnat)は、「数年前には、テロ関連犯罪で起訴された未成年の数は、片手で数えられるほどだったが、2023年には15人、2024年には18人、2025年には、既に7月1日の時点で11人に達している」と報告しています。

 今回の2件の新たな起訴により、今年の起訴は既に13人になっています。

 弁護士や裁判官など、司法に携わる者によれば、これらの少年たちが過激化(主にジハード主義運動)する前には、非行少年ではなかったこと、そして、その多くが極度の内気さを露呈していたり、家庭環境が脆弱であったりすることなど、いくつかの特徴があると述べています。

 9月には、14歳と15歳のときに、ベルギーのイスラエル大使館に向けて、トラックを爆破する計画をたてた3人の少年の裁判がパリで行われる予定だそうです。

 まだ、若いのに・・というべきか、若いからこそ、無謀なことに強烈なエネルギーを傾けようとしてしまうのか? 

 恐ろしいことです。


未成年者のテロ攻撃計画


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2025年8月29日金曜日

パリの大気汚染は、ここ10年間で改善してきているらしい・・

  


 エアパリフ(Airparif 独立機関)がパリ市と共同で実施した調査によると、パリの大気汚染は、2012年から2022年の10年間で、大幅に改善したと報告しています。

 2012年から2022年の間にパリの道路交通量は34%、環状道路は7%減少しています。

 エアパリフは、これらの取り組みは、地方、国、欧州といった様々なレベルで実施された公共環境政策の結果であると述べています。

 これらの対策により、パリ市民がさらされている大気汚染レベルは、二酸化窒素(NO2)で平均40%、微粒子状物質(PM2.5)で平均28%減少し、道路交通からの二酸化炭素排出量は、35%減少しています。

 大気汚染問題については、特にパリは様々な規制が厳しく、車に関しては、当初は、日によって、ナンバープレートが奇数とか偶数とか、運転できる日が限られていたりした時期もありましたが、ここ最近では、住民や、警察、救急、あるいは、配達用の車などの特別な車両以外は、通行できない地域が増え、本当に車が減った印象があります。

 また、特にパンデミックの間に広まった自転車利用についても、大きな道路の車線には、だいたい自転車用レーンが設けられるようになり、また、かなりの人がけっこうなスピードで走っていたりするのには、驚かされるほどです。

 こんな調子で自動車への規制がものすごくうるさいので、車を手放してしまった人も多いような気がします。

 ちょっと郊外に出れば、それこそ車がないと生活するのに大変不便だったりするようですが、実際にパリ市内の場合は、公共交通機関もほぼ、くまなく網羅されているし、そもそも通れる道は、かなり限られていて、目的地に行くのに、すごく遠回りしなければならなかったり、行く先々で、駐車スペースには、酷く苦労するし、そのうえ、路上駐車(合法スペース)などしようものなら、いつ車上荒らしに遭うか、ヘタをすると燃やされたりしかねないし、あまりにリスクが大きすぎるのです。

 なので、我が家のアパートの駐車場などは、現在の場所に引っ越ししてきたときには、ほぼほぼ駐車場は、満車の状態だったのに、現在では、駐車してある車は、半分どころか、2~3割くらいしか、停まっていないんじゃないかと思うくらい車が減っています。

 パリの場合は特に、健康な人が生活するのには、車なしでも全く困らないので、こうして、大気汚染が実際に改善されてきたという話を聞けば、これでよかったんじゃないかな?とも思います。

 規制ばかりが厳しくなっていくと、なんか鬱々とした気分にもなりがちですが、こうして、成果があらわれてくれば、こういう規制も必要だったと思うのですから、勝手なものです。

 東京とパリでは規模が違いすぎて、東京でパリのような規制を敷くのは不可能だとは思いますが、東京ではどんな大気汚染対策をしているのかな?と少し気になります。


パリ大気汚染改善


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2025年8月28日木曜日

秋には本当にフランスにバター不足の危機がやってくるのか?

  


 夏の間の猛暑は私たち人間だけでなく、動物たちにとっても苦しい季節でもあります。この夏の異常な猛暑は牛乳生産に深刻な影響を与えており、それにつれて、バター生産も危機に陥る可能性があります。

 また、この猛暑だけでなく、ブルータング病(昆虫によって媒介される反芻動物に感染するウィルス性の病気)の流行も重なり、乳牛たちも苦しい夏を過ごしました。

 この現象により、牛乳の搾乳量は、特に6月末から7月初旬にかけて、大幅に減少したために、バター不足に陥るのではないか?という懸念の声が拡がり、実際にブーランジェリーやパティスリーなどの間では買い溜めを始めている者も出始めているというのです。

 しかし、国立酪農経済専門職連携専門センター(CNIEL)によれば、実際には、一般消費者向けのバターに関して、スーパーマーケットの棚からバターが消えるようなことにはならないし、バター不足に陥る恐れはないと断言しています。

 近年、フランスではバターの消費量が増加しており、特にペストリーなどの商品が好調となっています。それは、一般消費者である私がブーランジェリーなどを覗いて歩いているときにも感じることで、以前に比べると、ブーランジェリーに並ぶペストリーの種類が驚くほど増えてきたと思います。

 まあ、これも需要と供給のバランスによるものなのでしょうが、これがまた、よく売れているようです。外食の値段があまりに高くなったので、それを台頭するかたちで、ブーランジェリーが手を変え、品を変え、外食を台頭するかたちで、発展を遂げているような気がします。

 また、専門家によれば、熱波やブルータング病の流行にもかかわらず、今年の牛乳搾乳量は、2024年と同程度になる見込みであり、また、近年のフランスでは、牛乳の搾乳量が増えなくても、バターの生産量は増やすことができる技術があるといいます。

 これを裏付けるように農業省のデータによると、今年の5月末のバター生産量は、2024年の最初の5ヶ月と比較して、1.7%増の16万2,029トンでしたが、一方、牛乳の搾乳量は、同時期に0.9%減少しています。

 実際には、バターはほぼ例年どおりに生産できているわけです。

 しかし、牛乳やバターなどは国内需要だけでなく、海外市場が大幅に伸びており、輸出は44%増と驚異的な伸びを記録しています。海外の方がより高価格で売れるために、これらの業者が輸出に力を入れ始めていることは、まぎれもない事実。

 2017年には、この国内需要と海外への輸出のバランスが崩れ、一部のメーカーがフランスの小売業者よりも海外への輸出を優先させてしまったために、国内ではバター不足が起こり、買い溜め現象が起こり、混乱が起こったことがありました。

 今回も原因が何にせよ、バター不足が起こるかもしれない!という推測がこれ以上広まれば、また、以前のような本当にスーパーマーケットの棚からバターが消えるようなことになりかねないかもしれません。

 個人的には、バターはあってもなくてもいい・・くらいのものですが、フランス人にとっては、日本でお味噌やお醤油がなくなるくらいの感じかもしれません。

 しかし、冷静に状況を見極め、慌てず、ムダは買い物をしないように、気をつけたいものです。


バター不足の危機


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2025年8月27日水曜日

8月の最後の週のパリは・・

  


 多くの人がバカンスに出て、その間、お休みにしてしまうお店もけっこうあるパリは、夏のバカンス期間中は、なんとなくガランとした感じで人も少なく、観光客が多い場所にさえ行かなければ、この時期ならではの独特な静けさがあって、私はこの期間が好きです。

 しかし、8月も最終週となり、新年度が近付いてくると、ぼちぼちとパリジャン・パリジェンヌたちは、パリに戻ってきています。

 それでも、本格的に日常に戻るのは、9月に入ってからなので、まだ人々が戻り切っていない、それでも閉めていたお店が再開している、この9月までのギリギリ若干人が少ない今週は、空いているパリを楽しめる一週間です。

 なので、この8月の最後の週の1週間は、いつもなら、混んで大変なお店やレストランに行っておきたい!となんとなく、去り行く夏を惜しむかのごとく、毎日、忙しく出かけています。

 このバカンス期間閉まっていたお店なども、ほんのり日焼けした人たちがバカンス気分の余韻を引きずっているような感じでどこかほんわか気分が漂っているのは、なんとなく微笑ましいところもあるのですが、気をつけないと、大変な目に遭うこともあります。

 先日、あるお店で、このバカンス気分が抜けきっていない感じのおばさんがいて、お会計をしてもらったところ、なんかおかしい??と思って確かめてみたら、なんとまるまる100ユーロ違っていました。

 すぐにその場で気が付いて、申し出たからよかったものの、危うく大惨事(私にとっては大金!)になるところでした。

 指摘すると、さすがにおばさんも、焦って「ごめんなさい!」とすぐに謝って、訂正してくれたのですが、こちらもボーっとしていたら、そのままになってしまうところでした。

 夏のバカンス期間中は、けっこうバカンスに入っている正規職員の代わりに学生らしき若いアルバイトの子たちがいて、この子たちは、何をやるのもキビキビ素早くて、感じもよくて、この期間にこの若い子たちの接客に遭遇するのが楽しみでもあるのですが、バカンス期間が終わると、この学生さんたちもアルバイトを終えて、姿を消してしまうのがとても残念な気持ちになります。

 こんなことを言うのは、おばさんたちには失礼なのですが(私もおばさんの身の上で・・)、パリでおばさんの接客に遭ったら、要注意、特にバカンス明けのこの時期は、さらなる注意が必要かもしれません。


8月最終週のパリ


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2025年8月26日火曜日

フランソワ・バイルー首相 首相辞任の危機 9月8日信任投票

  


 フランソワ・バイルー首相は、25日、「財政管理」という重要課題について、9月8日の国民議会の臨時会期前に憲法第49条第1項に基づき、その日に総合政策声明を発表し、政府の責任を問うと発表しました。

 年金改革問題の際に多くの国民から大反発をくらった憲法第49条第3項は、首相の権限において、採決なしに法案を突破させるものでしたが、今回の憲法第49条第1項は、(場合によっては、一般的な政策声明を発表したのち)政府の政策に関する責任を国民議会で決議するというものです。

 バイルー首相はこの方法を選択する目的について、国家の財政的危機がいかに深刻でいかに緊急を要する問題であるのかという核心的な問いを明確に提起することであると説明しており、過剰債務のリスクを指摘し、それが我々に重くのしかかる差し迫った危険であると考えており、「今年は660億ユーロ、来年は最大で750億ユーロに達する見込みであり、国家予算の中で最大のものになる」と予告しています。

 この採決は二者択一の極めてシンプルな決定で、一般的な政策声明の採決で、過半数を得れば政府は承認され、過半数を得られなければ政府は倒れる。つまり、政府が政権を維持するためには、絶対多数の賛成票を得る必要があり、国民議会が政府の政策表明を否決した場合、「首相は、辞表を共和国大統領に提出しなければならない」と憲法第50条に定められています。

 バイルー首相の説明していることは、もっとも急を要する問題に集中するという意味では、正攻法と思えないこともありませんが、実際には、彼は自らを政権崩壊の危機に晒すリスクを孕んでいます。

 実際に6月に発表された財政削減案については、国民からの多くの反発も呼んでおり、実際に9月10日には、それに抗議するカタチで大規模デモ・ストライキが各方面から発表されています。

 すでに政府内の各党、マリン・ルペン氏がRNは政府の信任投票に反対票を投じると表明しており、また、LFI(自由民主党)、PCF(共産党)、UDR(統一民主党)も同様の意を表明し、社会党も信任投票などあり得ない!と主張しています。

 もう現時点で、この9月8日の採決の結果は、ほぼ絶望的と見られますが、これから約2週間の間にバックヤードでどのような話し合いが行われるのか?また、それによって、結果がひっくり返されることがあるのか?

 この無謀とも思える首相の発表にフランスは騒然となっています。


憲法第49条第1項 9月8日


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2025年8月25日月曜日

RER C線の乗客が発見したセーヌ川に浮かぶ4体の遺体

  


 ショワジー・ル・ロワ近郊のセーヌ川で、付近を通過するRER C線の乗客からセーヌ川に浮かぶ遺体を目撃したという通報により、4体の遺体が発見されました。

 パリ及び、パリ近郊のメトロや電車の車窓からは、セーヌ川が見える路線もけっこうあり、そんな地点を通過する時は、なんとなく、セーヌ川を眺めて景色を楽しむことも多いのですが、まさか電車の中から遺体が浮いているのを目撃するなどということがあるのだろうか?あったとしたら、それは、もうとっても驚くだろうな・・と。

 セーヌ川には、色々なものが浮いていますが、まさか人間の遺体・・しかも4体も・・。

 通報により駆け付けた消防隊が遺体を確認し、殺人事件として捜査が開始されました。

 検死の結果、2体の遺体には、絞殺を思わせる激しい傷が確認され、残りの2体についても原因不明の疑わしい痕跡が確認されたそうです。

 被害者4人は男性で、クリテイユ在住の48歳のフランス人男性(遺体発見現場周辺を頻繁に訪れていた可能性あり)、ショワジー・ル・ロワ在住の21歳のアルジェリア人男性、そしてホームレスの男性2人(21歳のアルジェリア人男性と26歳のチュニジア人男性)でした。

 犠牲者のうち1人は下半身が裸の状態で、もう一人はズボンを足首まで下した状態で発見されています。

 容疑者は市場や建設業界で働いている24歳のアルジェリア生まれの男性で、遺体発見現場近くの不法占拠住宅に住んでいて、被害者の一人の文書を所持していたと言われ、被害者と容疑者を結び付ける物的証拠として押収されています。

 また、アルジェリア人の被害者が行方不明になった翌日から彼の携帯のSIMカードを使っており、またチュニジア人の被害者が行方不明になった翌日に容疑者は彼のクレジットカードを使用したと見られ、その映像が防犯カメラに残されていました。

 遺体の身元確認作業は指紋、生物学的証拠、DNA鑑定が行われ、比較的速やかに判明したそうです。

 遺体発見現場周辺は、同性愛者の出会いの場として知られている場所なのだそうで、この被害者たちの中の少なくとも1人は同性愛者であったことがわかっており、被害者たちは、ここを頻繁に訪れていた者たちであることが確認されています。

 容疑者は、これまでの経歴については簡単に述べたものの、現在のところ、事件に関するコメントは拒否しているようです。

 しかし、この容疑者は、すでに今年の1月に車両損壊を伴う窃盗罪で9月には裁判の予定だったそうで、また8月にも、盗品受領罪で刑事命令の召喚状を受け取っていた、云わば札付きの人物であったそうです。

 彼の身柄は現在、公判前拘留で確保されていますが、殺人事件に関しては、被害者4人が行方不明になった日がバラバラにずれていることから、一度に4人が殺害されたわけではないことがうかがえますが、それにしても同じ場所に遺体を遺棄したことが、全ての殺人を紐づけることになってしまいました。

 容疑者は口を閉ざしているため、動機は金銭目的であったのか?はたまた人間関係のトラブルによるものであったのかは不明です。

 しかし、パリプラージュだの、セーヌ川で泳ぐ遊泳場だのある同じ川(少し場所は離れているとはいえ・・)で人間の遺体が浮いているとは・・何と言ってよいのか、言葉がみつかりません。


セーヌ川に浮かぶ4体の遺体


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2025年8月24日日曜日

「9月10日 全てを封鎖せよ!」9月に大規模ストライキがやってくる!

  


 長い夏のバカンス期間の終わりがもうすぐそこにやってきたことを実感させられるのが、新年度の始まりとともに、呼び掛けられる9月からのストライキの呼びかけ・・というのは、いかにもフランスです。

 今年の新年度は、「9月10日!全てを封鎖せよ!」というスローガンが掲げられ、このストライキやデモの動きを各方面が同時に行い、集結させることで、インパクトを大きくしています。

 ストライキといえば、常にまず先頭に立つのは、鉄道関係で、現在のところは、SNCF(フランス国鉄)、そして、それに続いて、全国タクシー連盟、薬局、薬剤師業界、パリ公立病院協会(AP-HP)、鉱業・エネルギー連盟などがなまえを連ねています。

 それぞれに訴えは様々ではありますが、基本的には、7月に発表された政府の財政削減策に反対するものです。

 SNCF(フランス国鉄)に関しては、現在のところ、Sud-Rail(南レール)だけが、鉄道部門の全労働者に対し、「鉄道部門のあらゆる活動を阻止する!」と呼びかけ強力なストライキを構築することを呼び掛けています。

 また全国タクシー連盟(FNDT)については、患者輸送費改革に反対しており、9月5日から空港、駅、国境、燃料配給所、さらにはパリ・シャンゼリゼ通りまで封鎖する予定にしています。

 そして、薬局に関しては、ジェネリック医薬品に関して提供できる商業割引の削減に抗議するもので、8月中にもすでにストライキが行われていましたが、9月に入ったら、それを一層、動員を強化するという予告通り、この動きを強化する模様で、9月18日にも薬局の閉鎖が続き、その後、9月27日からは、毎週土曜日も閉鎖されると予想されています。

 エネルギー部門では、CGT鉱山エネルギー連盟が9月2日に結集を呼び掛けており、最近のエネルギーコストの上昇を強く批判しています。

 イル・ド・フランス地域では、AP-HP病院グループ(38の施設と約10万人の医療従事者を擁護する)のCGT、FO、CFTC、UNSAの各組合がパリ公立病院(AP-HP)全体の統一ストライキに供えるために、8月25日から総会を開催するよう呼び掛けています。彼らもまた、医療分野における経済対策に抗議する意向を示しています。

 こうなってくると、あと、思い当たるのは、学校などの教育部門ですが、現在のところは、学校関係についてのストライキの予定は、まだ発表されていません。

 このようなストライキは、いつものことではあるものの、また、大混乱を引き起こすことは明白ですが、ここがフランスのフランスたる所以で、国民の70%は、政府予算に抗議するデモに賛成していると言われています。さすがです。おフランス。


9月10日 フランス全土封鎖


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2025年8月23日土曜日

La Poste フランス郵便局 税関規制の厳格化を受け米国への小包配送を停止

 


 トランプ大統領によって発令された大統領令により、8月29日をもって米国への小包配送に対する免税が廃止されます。つまり、これまで免税措置が取られていた800ドル未満の郵便配達物に、欧州連合(EU)からの他の製品と同じ水準、つまり15%の税金を課されることになります。

 La Poste(ラ・ポスト フランス郵便局)は、米国の税関規則の厳格化を受け、個人間の100ユーロ未満の贈答品を除き、8月25日をもって米国への小包配送を停止すると発表しました。

 フランス郵便局は、プレスリリースで、「仕様や技術的手続きが未完成であり、準備期間が極めて短いため、やむを得ず、この結果を下した」と説明しています。

 この米国への小包配送停止を決定しているのはフランスだけではないようで、ベルギー、スペイン、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、オーストリア等の他の欧州諸国もこの米国への小包配送の停止を発表しています。

 要は、急な発表により、準備ができていないため・・ということなのでしょうが、迷惑千万な話です。しかも、安くなる話ならともかく、余計にお金がかかるようになる話なので、余計に腹立たしく感じます。

 ラ・ポストは、年間平均約160万個の小包を米国に発送しており、そのうち80%は企業からのもので、20%は個人からのものです。しかし、ラ・ポストによると、クロノポストは、通常通りに営業しているために、この影響は受けないとのことです。

 個人的には、米国に小包を発送することはないので、あまり影響はないのですが、この配送料金のうえに、さらに税金・・というのは、なんだかモヤモヤするところです。

 数年前からフランスも例えば、日本から受け取る小包に対して税金がかかるようになりましたが、これも、いま一つ、その基準が曖昧で、何にどれだけ税金がかけられているのかもわからないまま、税金の金額だけ請求されて、それを支払わなければ、小包は送り返すことになります・・と脅されるので、仕方なく払いましたが、こんな些細な小包になんで?税金かけられるの? 発送の際にも恐らく高い配送料に加えて税金を払っているのに、またさらに受け取るときに税金とは・・腹立たしいばかりです。

 また、こちらから、海外に小包を送る場合(私の場合は日本へ送る場合)ですが、そもそも国際郵便そのものに慣れていない郵便局員というのもなかなか多いわけで、郵送料と税金を払ったにもかかわらず、届かないという危険性もあります。

 なので、なるべく国際郵便を受け付けなれている郵便局からの方がマシだと思い、一時は、職場の近くの郵便局を利用していました。

 かと思うと慣れているだけあって、郵便局内での盗難事件もけっこうあったりして、一度、同僚が日本の友人に宛てて送ったはずのマフラーを素知らぬ顔をして郵便局員が身に着けて窓口に出ていたのを彼女がみつけて、大騒ぎをしたことがありました。

 たまたま、そのマフラーが特別に作ってもらった一点ものの限定品だったために、発覚した模様です。

 なにしろ、米国の今回の関税だけでなく、小包の発送に関しては、トラブルなしには語れないくらい、常に問題が山積み。

 さらなる問題が起こるまえにサービス自体を停止してしまうというのも、一時的だろうとは思いますが、まあ、トラブルを避けるためには、賢明なのかもしれません。


米国への小包配送停止


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2025年8月22日金曜日

食品のカドミウム汚染 チョコレートの過剰摂取に警告

  


 フランスの消費者保護団体 UFC-Que Choisirは、食品に含まれているカドミウムが健康に及ぼす被害について警告を発し、中でも、とりわけチョコレートやココア製品には、健康に有害(特に子ども)な重金属であるカドミウムが相当量含まれているとし、過度な摂取を控えるように呼び掛けています。

 これは、フランス人にとっては悲報といってもよい話で、フランス人はチョコレートが大好きな国民で、日常のお菓子類にしても、実にチョコレートを使ったものが多く、また、なにかといえば、「ショコラ」・・スーパーマーケットなどの売り場の大きさだけでも、その人気のほどがうかがえます。

 また、季節が変わっても、チョコレートは、手を変え品を変えといった感じで、ちょっとした贈答品や、例えば、なにか人にプレゼントとか、手土産などを探そうとするとき、「困ったときのチョコレート・・とりあえず、チョコレートにしておけば間違いない・・」と思ってしまうほど、「まあ、チョコレートでよいか・・」と、ちょっと良さげなチョコレートを探したりします。

 実際に、チョコレートが嫌いという人は、あまり聞いたことがなく、万人受けする間違いないものとして存在しています。

 そのチョコレートが、健康に有害とは・・困った話です。

 体内に蓄積し、心血管疾患、腎臓疾患やガンのリスクを高めるというこの「カドミウム」は、すでにフランス食品環境労働安全庁(ANSES)によって、「体重1㎏あたり1日0.35マイクログラムのカドミウム」に設定されています。

 そして、それぞれの食品は、概ねこの基準値を遵守していますが、消費者側が偏った摂取や過剰摂取をしている場合には、自ずとこの基準値を超えてしまっている場合が少なくないと言います。

 2021年にフランス公衆衛生局が発表したデータによれば、フランス人の平均カドミウム汚染率が倍増していることが示されており、医療専門家によれば、フランスの子どものこの汚染率は、アメリカやドイツの子どもの4倍になっており、アメリカやドイツは政府に向けて、国民を守るために必要な措置を講じるように書簡を送っています。

 また、カドミウムは、穀物や野菜の生産に使用されるリン酸肥料にも含まれており、私たちが消費する穀物や野菜は多かれ少なかれ、汚染されています。これらの野菜のための肥料を生産するためにフランスは、リン鉱石の90%をモロッコとチュニジアから輸入しており、悪いことに、この地域のリン鉱石は、世界の他の地域のリン鉱石と比較して、特にカドミウム含有量が高いのです。これがフランスが他の国よりもカドミウム汚染の影響を受けている理由のひとつと言われています。つまり、劣化するにつれてカドミウムを放出する岩石と畑に散布されるリン酸肥料の両方が存在するということになります。このカドミウムは植物の根を通して吸収され、最終的に食品を汚染することになっています。

 チョコレートに話を戻せば、さらに質の悪いことには、チョコレート(チョコレートバー、チョコレート菓子、シリアル、チョコレートパウダー、チョコレートスプレッドなど)の中でも、とりわけ、オーガニック製品の場合は南米産のカカオを使用していることが多いため、非常に高濃度のカドミウムが含まれている可能性が高いというのですから、健康のために、わざわざ選んでいるオーガニック食品が実はより身体に有害だった・・という事実は、始末の悪いことです。

 そのため、保健当局は、全てのカカオ愛好家、一般の人々に対し、食生活の多様性を推奨しています。特に子どもと妊婦に対しては、注意を促しています。

 つまり、幅広く、色々なものを食べていれば、なにか一定の有害物質が蓄積される危険性が低いということです。

 しかし、生きにくい世の中になりました。


チョコレートに含まれるカドミウム問題


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2025年8月21日木曜日

EUの空港における機内持ち込み手荷物の100ml 液体制限がまもなく撤廃へ まもなくっていつ?

  


 飛行機に乗るときの機内持ち込み手荷物の液体制限については、毎度のことながら、面倒なことで、大変、嫌な思いもしてきました。

 飛行機に乗る前の手荷物チェックでは、手荷物から100㎖以内に詰め替えた化粧水や香水などをジップロックのような袋に入れたものを出したり、パソコンや携帯などの電子機器を取り出したり、ただでさえ混んでいる中、バタバタと荷物チェックをされるのは、不快です。

 一度、もう少しで使い終わりそうな化粧水を旅行先で使いきってしまおうと持って行ったところ、明らかに残りわずかで4分の1も入っていないのは一目瞭然なのに(透明のボトルだった)「容器には、120㎖って書いてあるからダメです!」と没収されてしまったこともありました。まあ、あまり入っていなかったので、大した被害ではないとはいえ、こんなの、いちゃもんそのものです。

 それ以来、もう容器にも気を付けて、必ず20㎝×20㎝の袋に入る範囲内に詰め替えていくようにしています。飲み物なども持ち込めないので、セコい私は荷物検査の直前でガブのみするハメになったりもします。

 日本の空港は、まだ、それでも良心的で飲み物などは、手荷物検査を通った後でも、市内と同じ価格のものを自動販売機で売っていますが、フランスの空港などは、手荷物検査後のエリアでの飲み物は、市内でふつうに買える価格とは違って価格が跳ね上がっていて、「ドリンクを取りあげて置いて、高いものを売りつけるってひどくない?」と毎回思います。

 ドリンクについては、ちょっとまた別なのかもしれませんが、100㎖ルールについては、撤廃の方向で動いているようです。

 すでにヨーロッパでも一部の空港では導入されている新型3Dスキャナーの導入により、最大2リットルの液体持ち込みが可能になる模様で、エジンバラ、バーミンガム、ブリュッセル・ザベンテム空港、イタリアの7つの空港、そして、パリ・シャルルドゴール空港やオルリー空港を含む一部の空港では、このスキャナーが導入されているそうです。

 ヨーロッパでは、2006年の計画的液体爆発攻撃を受けて導入された100㎖ルールが依然として適用されています。複数の空港でこの機械が導入されているにもかかわらず、制限値は、変更されていません。

 実は今年の初めに欧州委員会は、この100㎖ルールの段階的撤廃を発表したものの、一部の加盟国とアメリカとイギリスから、「一定量を超えると非常に稀ではあるものの、スキャナーが爆発性液体を検知できない可能性がある」というフィードバックがあったため、これにストップがかかったと言われています。

 欧州委員会は、新たな試験結果を待っている状態とのことですが、最終決定がいつ下されるかは、不明です。

 しかし、少なくとも、この3Dの高性能スキャナーの導入について、フランスは2030年までには、完了する予定にしています。

 本当にどうにかならない?と思う、この手荷物検査、特に経由便だったりする場合、乗り換えの際にまた、手荷物検査が必用な場合が多いので、前の便が遅れていたりした場合は、もう次の便にギリギリだったりして、もう大変、焦ります。

 それも、その時によって、荷物だけではなく、靴まで脱ぐように言われたりするのには、本当に辟易します。

 とはいえ、残念ながら、安全のためには必要になってしまったこの一連の作業。できるだけ、簡単になってほしいのは、言うまでもありません。


手荷物の100ml 液体制限


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2025年8月20日水曜日

いい加減、学べよ!と自分に言い聞かせた、さんざんな1日

   



 天気も良いし、明日は雨かもという予報に、今日のうちに用事を済ませておかなければ・・と思って、いくつかの場所をまわるつもりで家を出ました。

 まず、バスに乗って、一か所で買い物を済ませたのち、次の目的地へメトロで移動。メトロに乗って、ヤレヤレと思っていたら、メトロは途中までしか行かずにここまで・・と。

 現在、8号線は一部区間が工事のために閉鎖していたのです。あまり頻繁に利用する線でもないために油断していました。そのまま乗っていれば、目的地に行けたのに、仕方なく、別の線に乗り換え。

 ところが、どうしたことか、なんと、乗り換えを間違えるという失態。

 そして、さんざん遠回りした挙句に思っていた時間を大幅にオーバーして、ようやく目的地に到着。これで、そのお店が閉まっていたりしたら、ホント、笑っちゃうよね・・と心の中で思いながら、お店の前まで行くと、何やら、ちょっと笑えない事態に・・今週いっぱいお休みでした。

 なんだか、勝手にこのお店は、夏休みの間も絶対閉めないよね・・と思い込んでいたため、確認もしなかったのです。

 本当にこの時期、公共交通機関を始め、何をするにも効率が悪すぎで、出かける前にちゃんと交通機関やお店がやっているかどうか確認しなければいけないのは、重々、承知していたつもりだったのに、さんざん、時間を費やして、全く、無駄足そのものでした。

 そのあと、ちょっと、食事に行きたいと思っていた場所の候補がいくつかあったのですが、昼食の時間は、たいてい14時くらいまでで、急いで行っても、ゆっくり食事する時間はないため、それは、イヤだ・・と泣く泣くそれまで諦めることに・・。

 こんなんだったら、家を出て、直接、食事に行けばよかったものの、まったくもう何十年もパリにいるのに、夏のこの期間のパリの事情をいいかげん、学べよ!と自分に言い聞かせた次第です。

 しかし、ここのところ、以前に比べて、メトロ等の工事が確実に増えたな・・と。昨年までは、パリ・オリンピックのための準備かと思っていたのですが、オリンピックが終わった今でも絶賛工事は続いているのです。

 パリの場合、まあ、人が少ないこの時期に工事が集中するのはわからないでもありませんが、それにしても、夜間に工事を行うとか、できるだけ利用者に迷惑のかからないようにしようとか、何も、日中に運行をまったく止めてしまう・・しかも長期間にわたって(8号線の工事は8月末まで続くそうです)

 こうなってくると、人が少なくて嬉しい・・なんて言ってたのに、もういい加減、8月が終わってくれないかな?ふつうに効率的に動けない・・などとまで思ってしまいます。

 しかし、心配するまでもなく、8月ももう残すところ、あと1週間と少し。あっという間に人がたくさんのパリが戻ってきます。


パリ バカンス期間


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2025年8月17日日曜日

ジェネリック医薬品の割引削減に薬局が激怒!

  


 薬局というものは、一般の商店とは少々異なり、ストライキをしたりすることは、珍しいことです。

 逆に、このバカンス期間で多くの商店がこの期間、お休みしていても、薬局は夏休みの間も変わらず営業していることが多いです。

 しかし、今回は、薬局がデモ・ストライキ。これも夏のバカンス期間には、一般的なストライキは、ちゃっかり行わずに夏休み明け早々にストライキ・・というのがふつうなのですが、このバカンス期間に多くの薬局が閉店・つまりストライキを行いました。

 これは、政府が発表した「ジェネリック医薬品割引削減」の発表を受けてのことで、政府は8月6日付官報に「ジェネリック医薬品の値引き上限を9月までに現在の40%から30%に引き下げる決定」を発表したためです。

 また、これは、長期的な計画の経過地点で2027年までには、20%に引き下げる予定としています。

 現在のジェネリック医薬品の値引き額は薬局の年間利益の約半分に相当するものです。

 フランスでは販売される医薬品の3分の2がジェネリック医薬品です。製薬会社が提供する値引きは薬剤師側の報酬の一部となっています。それを減額されてしまうのですから、怒るのもわからないでもありませんが、どこも不景気な風が吹いている薬局界隈では、これは、地域薬局の存続を脅かすものである!と怒り心頭なのです。

 しかし、超多額の負債を抱える政府としては、赤字を抱えている医療保険部門の費用を削減しようとするのは、これまた当然の話。

 正直、私などは、自慢じゃないが、薬局の大変なお得意様で、毎月、山ほどの薬を処方してもらっています。しかし、全て保険でカバーしてくれるので、実際に私が薬局でお金を支払うことはありません。

 しかし、たまに、処方された薬が品切れで注文して後から追加分を取りに行った利する場合には、自分で料金は支払わなくとも、受領証に値段が記載されていて、「この薬、こんなに高い薬だったんだ!!」と驚くこともあります。

 この製薬会社からの割引と薬局の利益の関係については、よくわかりませんが、逆に考えれば、薬局というものは、医者が処方したとおりの薬をまるで横流しのように売っていくのですから、ずいぶんとちょろい商売だな・・と思ったこともあります。

 実際にお店のレイアウトなどは、実に魅力に欠ける陳列の仕方だったり、同じ商品が横並びに場所をとっていて、「日本の薬局見て勉強してこいよ!」と言いたくなります。

 考えてみれば、薬局というのは、これだけ色々なものがどんどんその企業形態などを変えていく中、まことに前時代的なままフランスに存在しているもののひとつかもしれません。

 しかし、だからといって、一般的な商店とはまた、少々立ち位置が違うのも事実。この薬局のジェネリック医薬品割引問題。政府は9月までに・・と言っているから、この時期にもかかわらず薬局はストライキをしているのでしょうが、さて、9月までに折り合いがつくのでしょうか?


ジェネリック医薬品の割引削減


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2025年8月16日土曜日

ここ数年の大ヒット商品 水分補給タブレットの真の有効性

   


 ここのところ、猛暑日が続いていて、暑いと、「この暑さ!なんとかしてくれ!」と切に思い、一日、一体、何回、気温を確認しているか?わからないくらいですが、毎回、少しでも気温が下がっていますように・・と、祈るような気持ちで携帯の天気予報を開いてしまいます。

 こんな猛暑の中にも、しっかりとヒット商品を狙っている人というのもいるもので、この暑さに付け込んで?(というのも言い方が悪いですが・・)ここ数年、フランスでは、「水分補給タブレット」 なるものが大ヒットしているそうです。

 疲労回復、パーティー後の疲れ、猛暑への奇跡の解決策として売り出されたこのタブレットは、ミネラル塩とフルーティーな風味をベースにしており、発汗による電解質損失を補うものとされています。

 私はこのタブレットの存在を、つい最近、知ったばかりなのですが、だいたいタブレットで水分補給?とは、なんとなく胡散臭く感じるもので、水を飲まずに水分補給?水分補給なら、水飲めよ!とか思ってしまうタイプです。

 大ヒット商品だけあって、既に数社がこの商品に参画し、多くの薬局には、この商品が並べられており、フランスには、550万人以上の愛用者がいると言われています。

 この水分補給タブレットを発売している各社は、口を揃えたように「フランス人の成人の約80%がANSES(フランス国民保健サービス)が推奨する1日1.5~2リットルの水を飲んでいない」とフランス国民の水分補給が充分でないという衝撃的な主張を展開し、そのための最適な水分補給を促すタブレットとして宣伝をしています。

 このタブレットには、ミント、レモングラス、ワイルドベリーなど、様々なフレーバーがあり、より摂取しやすく魅力的にアレンジされていますが、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが含まれており、ふつうの水よりも水分補給効果があり、電解質を摂取することで水分補給効果を高めることができると謳っています。

 しかし、専門家によると、その有用性は、実際の健康効果というよりも、商業的なストーリーのうえにのっているものである・・つまり、「のせられるな!」と警告・・。

 これらのタブレットは、結局のところ、わずかな炭水化物の摂取量を抑えることであり、糖分が含まれているために、定期的に摂取すると、体重増加を促進すると語っています。

 これに対し、発売元は、「私たちは水分補給を補うソリューションを提供しており、製品に含まれるブドウ糖の量は非常に少なく、1錠あたり約2グラムで、食事から摂取する糖分過剰摂取とは程遠いもの。もちろん、これは体内の水分補給を改善する製品であり、水の代わりになるものではありません」と弁解しています。

 結局のところ、水分補給だけど、水ではない・・何なんだ!と思ってしまいますが、流行りものとなると、ひとまず、引きたくなる私は、やっぱりあまのじゃくなんでしょうか?


水分補給タブレット


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