2021年9月29日水曜日

シャンゼリゼのアップルストア Apple Store Champs-Elysées

 



 先日、期間限定で幻想的なアートでラッピングされているという凱旋門を見に、久しぶりにシャンゼリゼに出かけた時に、たまたまアップルストアがあるのに気がついて、「そういえば、私の壊れているパソコン・・放ったらかしにしたままだった・・」ことを思い出しました。

 私のパソコンが壊れたのは、よりにもよって、ロックダウンのさなかのことで、お茶を飲みながら、パソコンのそばに置いたままにしていたお茶のカップを猫が見事にこぼしてくれたのでした。

 パソコンに液体は大敵だと知りながら、置き去りにした私が悪かったのですが、今さらながら、パソコンがないと、こんなにも困ることなのかと私は、呆然としたのでした。 

 誰かと連絡を取るのも、何かを申告するのも、お金の振り込みなどの銀行の手続き、買い物、映画を見たり、YouTubeを見たり、何から何まで私はパソコンに頼って生活するようになっていたことを思い知らされたのでした。

 しかも、それがロックダウンという家から出られないという前代未聞の状況の時に、携帯電話はあるものの、パソコンの大きな画面とキーボードについつい頼ってしまう私には、絶望的な状況でした。

 すぐに電源を切って、乾かしてみたりしたのですが、結局パソコンは復旧せず、慌てて、古いパソコンを引っ張り出してきて、なんとか代用し、新しいパソコンをネットで注文して買ったのでした。

 新しいパソコンを使い始めてしまえば、壊れたパソコンは、急いで修理に出す必要もなく、そのまま置き去りにしたまま、ずっと忘れていました。

 それをシャンゼリゼでアップルストアを見つけて、「そういえば・・」と思い出し、「修理できるかどうか、聞いてみよう!」と足を踏み入れたのでした。

 大体、そのパソコンは、日本に行った時に購入したもので、それがいつのことだったかも私は覚えておらず、保証書もどこにしまったのか見当たらない状況でしたが、聞くだけ聞いてみよう!と思ったのです。

 だいたい、パソコンを買うのにふつう、アップルストアには行かないので、考えてみれば、大多数が観光客のこの場所に、なぜ、こんなところにアップルストアがあるのかとも思いましたが、事情を話すと、予約をとって、壊れたパソコンを持って出直してくださいとのことで、その場で予約を取ろうとすると、1週間は、予約が満杯とのことで、一週間後に入れた予約の日にパソコン持参で出かけてきたのです。

 娘には、なんで?わざわざシャンゼリゼ??と呆れられましたが、「どうせ散歩がてらに出かけるなら、歩いていて気分のいいところがいいもん!」と出かけてきたのです。

 店内、1階(地上階)には、多くの店内を案内する人員が配置され、最新のアップルウォッチやiPhoneなどがゆったりと展示され、そこそこのお客さんが入っていました。

 

地上階中央・吹き抜けのスペースでのアップルウォッチのプレゼン

 案内係の人を捕まえて、パソコンの修理のための予約を入れていることを告げると、修理は上の階ですと言われ、中央の階段を何段上がったでしょうか? 店内中央は大きく吹き抜けになっているため、上の階へ行くためには、旧建の階段を延々と登っていかなければなりません。

  

アップルストア店内 吹き抜け部分の天井はガラスで外の光が入る

 しかし、建物自体が歴史ある建築で、それが美しく改装されているため、長い階段もあまり苦になりません。

 上の階に上がり、予約が入っていることを伝えると、ここでお待ちくださいと言われて、待つこと15分程度、名前を呼ばれて案内された先は、長いテーブルと等間隔に置かれた椅子の置いてある開放的なスペースで、個々が個室に入ることはありません。まことに合理的なシステムです。


こんな感じで相談が進んでいきます


 案内してくれる人々も、相談に乗ってくれる人も年齢層が比較的低く、手際良く、質問に対する回答も明快でスピーディーで、ここが本当にフランスなのか?と思うほどでした。

 「パソコンにお茶をこぼして、起動しなくなってしまったこと。それがロックダウン中のことで、新しいパソコンを買ったためにそのまま放ってあったこと。このパソコンは日本で買ったもので、だいたいそれがいつだったのかも覚えておらず、保証書も失くしてしまったこと」などを私がざっと話すと、「あなたのパソコンは、2016年12月16日に最初に起動されています」と言われて、びっくり!

 そして、「私が知りたいのは、このパソコンを修理することが可能なのかどうか?そして、可能だとしたら、費用はいくらぐらいかかるのか?ということなのです。」というと、「はっきりと修理可能かどうかはやってみないとわかりません。しかし、後になってから、悪い形であなたを驚かせたくないので、修理した場合に、最高に高かった場合の金額をお伝えします」と・・。

  

応対してくれた親切なイケメンのお兄さん 全てipadで進めていく

 私が壊してしまったパソコンは現在は既に製造されていないとのことで、最悪の場合は、879ユーロかかると伝えられました。せいぜい200〜300ユーロ程度だとたかをくくっていた私は、まだ払ってもいない段階で既にびっくり!

 「念のため、一番安く済んだ場合はどの程度ですか?」と聞くと、500ユーロ程度とのこと。

 これなら、少し足して、新しいパソコンを買った方が良さそうだと思い、即刻、私は、「それなら、もう諦めます」と伝えました。

 すると、親切に、「パソコンの中のハードディスクのメモリーで保存しておきたいものはありますか?」との申し出をしてくれて、ハードディスクの取り出しだけなら無料でやってくれるとのこと、「そのディスクからメモリーを他のパソコンに取り込むことは、ここではできないから、このサイトをみて、必要なものを用意して、自分でやってみてください」とそのためのサイトまで教えてくれました。

 ということで、結局、修理は叶わなかったものの、メモリーだけは、なんとか復旧できるかもしれない・・という少しの希望だけ持って、私は、お店を後にしたのでした。

 お店を出て、改めて、周囲を眺めて、その立地を考えると、それはシャンゼリゼの中腹の一等地中の一等地。向かいには、ルイ・ヴィトンのビルが聳え立ち、その隣には、この間、びっくりしたばかりの改装中のディオールの大きな建物があるところです。

 アップルストアの中では、一般大衆向けに新しい製品のプレゼンなどもやっていたりしましたが、観光客が中心のこのシャンゼリゼという通りで彼らがアップルの製品をわざわざパリで買い物するということも考えづらいのにも関わらず、こんな場所に存在しているということは、マウンティングの一種なのだろうか? とお店を出て、あらためて通りからお店を振り返って思ったりもしたのでした。

 もっとも、たまたま通りかかった?私のような修理目的の客からも1台900ユーロ近い修理代が取れるのですから、そんな悪い商売でもないかもしれません。念のため、とても親切に相談に応じてくれた店員さんに、1日、どのくらい修理の依頼があるのですか?と聞いてみると、1日300件程度とのことでした。

 修理とはイメージが程遠いシャンゼリゼではありますが、さすがに地の利の良い場所だけのことはあります。転んでないけど、ただでは起きない・・そんな感じです。


シャンゼリゼ アップルストア

 

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