2021年9月30日木曜日

マクドナルドの水が呼び起こす大論争 Eau by McDonald's

 


 フランスでは、マクドナルドが環境問題を理由に年末までにプラスチックボトルの販売を取りやめる代わりに、精製水を販売することで、大論争が起こっています。

 「マクドナルドでは、水道水が利益の源」「今世紀最大の詐欺」大手新聞社の見出しもなかなか辛辣なタイトルを掲げています。

 現在、フランスのマクドナルドでは、コカコーラを始めとするオレンジジュースや清涼飲料水は、紙コップで販売されていますが、同時にそれ以外のミネラルウォーターやスパークリングウォーター(エヴィアンとバドワ)に関しては、その品質保持のためにペットボトルで販売されていました。

 マクドナルド側は、これまでフランスのマクドナルドでは、平均して7500万本のボトルが販売されており、この新しい取り組みにより、1,000トン以上のプラスチックの消費を抑えることができると4月22日のプレスリリースで発表していました。

 しかし、このミネラルウォーター、スパークリングウォーターに代わるものとして、マクドナルドが新たに販売している水 Eau by McDonald's(オー・バイ・マクド)がマスコミによる隠しカメラで撮影したマクドナルドのレストランのマネージャーの証言を含む取材により、マクドナルドで販売されている水が濾過された水道水に他ならないことが発覚し、騒ぎになっているのです。

 このEau by McDonald'sは、紙コップで提供され、25clカップの静水は1.70ユーロ(約220円)、50clで2.30ユーロ(約300円)、ライムフレーバーバージョンでは、2.75ユーロ(約360円)で販売されています。

 通常、フランスのレストランでは、水道水は無料で提供されるものであり、それを濾過しただけのものに金を取るとは何事であるか?と多くの消費者が怒っているのです。

 

 「パリの水道水の値段は、1リットル0.003ユーロ、Eau by McDonald'sは1リットル7ユーロ!」こんなツイートも出回っています。

 「Eau by McDonald's」はマクドナルドの実際の生産コストをはるかに超えている!「理論的には、水道水はメニューに付随している限り、レストランでは無料である必要がある!」

 マクドナルドはすでにプラスチック製のストローの配布を控えることで、地球に大きな一歩を踏み出し、ハッピーミールの子供向けに無料で配布されているおもちゃからもプラスチック製品を取り除くことを約束しています。

 しかし、この「Eau by McDonald's」がプラスチックの使用を減らすという生態学的な試みに代替するもののに、実際のクォリティーを超える価格設定がなされ、過剰な経済的利益と結びついていることが大論争の的になっています。

 「マクドナルドでは、間違いなく濾過され、炭酸と風味が付けられた水道水が売られている!」などという内部告発も相次ぎ、火に油を注いでいます。

 しかし、この情報を知った上で、嫌なら(不当だと思うなら)、買わなければ良いだけの話ですが、逆に、フランスでのエビアンとバドワのブランドの所有者こそが大きなクライアントを失ったことで大打撃を受けることは確実です。

 しかし、文句があれば黙って引き下がらないフランス人。1967年に制定された法令では、レストラン経営者が食事のサービスで無料で水道水のデカンタを提供することを規定していることを引っ張り出し、競争総消費詐欺管理局(DGCCRF)は、「食事の価格には、パン、水道水、スパイス、食器、ナプキンなどが食事中に顧客が利用できる料金が含まれていることになっている」と主張しています。

 ワクチンパスポートのシステムが浸透し、ようやく外食が普通に楽しめるようになった途端に、このマクドナルドの水問題。

 今後、このような環境問題を配慮する上で、プラスチック製品を排除していこうとする中、マクドナルドだけでなく、他の場面でも摩擦が生まれてくるかもしれません。


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