フランスのスーパーマーケットのエコ化が進んでいます。フランス大手スーパーマーケットチェーン・カーフールは、環境問題への取り組みとして、2年以内に同社、スーパーマーケットの買い物の際の印刷されたレシートを自動的に提供することを廃止することを発表しました。
環境問題に関しては、スーパーマーケットでは、このところ、プラスチックの袋が廃止されたり、賞味期限の迫った商品を廃棄しないように、色違いのラベルをつけて大幅に値下げして売り切るとか、なかなかアクセルがかかっています。
フランスでは、年間300億枚のレシートが印刷されています。これは、250万本の木が伐採されたことを表していると言います。
顧客のレシートの長さは一回の買い物で、平均して約20cm、毎週一回買い物をするとして、一人当たり年間、10mの紙を使用しています。
現在、自動的に渡されているレシートは、すぐに捨てられ、保管している人は稀であることから、レシートは、2年以内にデジタル化され、印刷しない形でのレシートを受け取ることになります。
新しい形のレシートを表示するためには、アカウントを作成し、ポイントカードを持って、店舗の顧客ファイルに登録することが求められます。これにより得られたデータは、消費者個々にに特化した情報やささやかな贈り物をしたり、的を絞ったプロモーションを行ったりするために使用されます。
すでに「システムU」というスーパーマーケットチェーンのパイロットストアでは、このレシートなしのシステムを導入しています。
たしかに、フランスの銀行には、通帳が無いように、必要ないと言えば、レシートは必要のないものかもしれません。
これは環境問題を考える上で小さな積み重ねの無駄を排除する意味では良いことではありますが、なんといっても、フランスのスーパーマーケットのレジは、間違い・ミスが多く、品物の数や金額が表示価格と違っていたりする場合が多く、不安も残ります。
フランスでは、「とりあえず、信用しない」ことを信条としている私は、余程、買い物が多い時を除いては、全てセルフレジを使用しています。
その場で、画面上で自分でしっかり確認ができるからです。
それでさえ、間違いは非常に多く、プロモーションの商品だったりして、画面上で値段が間違っている場合などは、お店の人に言っても、最後の段階で割引されて計算されるからなどと言われ、確かに、最後の合計の段階で割引されていることもあるのですが、そうではない場合も多く、その際は、一度、支払ってから、受付にレシートと商品を持って返金してもらわなければなりません。
そんな、みみっちいこともバカらしいとも思い、実際、時間がないときは、もういいや・・となるのですが、安くなっているから買おうと思ったのに、なんだか騙された嫌な気分になるのです。
そして、また、返金は、慣れているせいもあるのか、やけに潔く、あっさり、返金してくれるのですが、その間、謝罪の言葉は、一言だってありません。日本だったら、ありえないことだと思いますが、もうそんなもんだと思っているので、腹を立てる気にもなりません。
今のレジは、商品の値段を数字で打つわけではなく、全てバーコードで読み込むので、バーコードの商品の価格の設定の時点でのミスなのでしょうが、実際にシステム自体は、悪くないのに、現場でそれを使う人のレベルが追いつかないのがフランスらしいところです。
今回のレシート排除のシステムも実際、悪くないアイディアとは、思うのですが、実際のところは、結局は、それを完全に使いこなすようになるまでには、時間がかかるであろうとともに、現場の人がレシートなしでも信頼に耐えうる仕事をしてくれなければなりません。
こんなところにもフランスの格差社会?の一端が見えるような気もします。すごく優秀な人がいる一方で、新しいシステムを作っても、現場がそのレベルに見合わず、思うように回らない。せっかくの優れたテクノロジーが開発されても、それが、実際にはその力を発揮できないのです。
TGVがいくら早く走れるように作られていても、常に時間遅れ、トラブルに見舞われて、あまりその速さが実感できないのと一緒です。
いずれにしても、実際は、レシートなしになった場合は、その場で、自分の携帯で、チェックすることになるのでしょうが、ますます携帯なしには、生きていけなくなる時代になることも、同時にまた再確認させられたニュースでした。
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